【金融】生涯アセットアロケーション考察 -1- 20世紀労働モデル型

mixi日記(2010/01/12)からの転載
 
一つのかごにたくさんの卵を盛るな。
 
では我々の持つ全ての資源を卵と考えた場合、どのかごにどう分散させるべきなのでしょうか。
 
■まず人間は何かしら収入を得て生きています。
すべての収入をリスク資産に対するリターンととらえてみます。
話を簡単にするために、長期期待ROI(return on investment;投資回収率)は5%であると仮定しています。
登場する主役は大きく6つです。
1)現金・有価証券 2)不動産 3)4)自分(株式的部分&債権的部分) 5)会社依存性資産 6)国家依存性資産
1)2はそのままです。債務(ローン)はモデルの中には直接反映していません。
3)4)について説明をしておくと、まず我々自身が資産的価値を持っています(そして労働を通じて配当を受ける)。また、退職金部分を会社に積み重なる「債権」としています。
5)は後述します。主に人的ネットワーク(social capital)や内部スキルと、退職後には企業年金相当です。
6)はつまりは国民年金(人によっては生活保護含む)原資です。国からの扶養です。
 
■考え方
これは広い意味でのリソース配分の問題です。
仮に自分がその年齢の時点で「広い意味での潜在資産全部あわせて」○○円を持っているとして、どこに振り向けているのか、という話をしていきます。
たとえば後述するモデルの35歳時点で言えば、8000万円相当を自社株に突っ込んで400万円の配当を得ているようなもの、ということです。
(労働→対価を投資→配当に置き換えています)
 
■最初のモデルは20世紀労働モデル型です。20歳過ぎに就職し、40歳くらいで年収500万円に達し、退職金2500万円をもらって退職し、国民年金企業年金で老後を生活する、現時点での平均モデルを描いています。
 

 
■若いうちは自分自身の株式的部分がとても大きいです。辞めると退職金はもらえません。
そのかわり転職しても基本的に期待リターンに変動はありません。
この時期は年収×20程度の金銭的価値が自分自身に存在します。
 
■35〜40を境目に事情が変わってきます。まず債権部分が発生します。退職すればある程度はもらえるようになります。一方、転職するとよほどのコアスキルがない限り、年齢とともに期待リターンは低下し始めるようになります。
なおこの頃、家を持つとポートフォーリオの中である程度の割合を不動産が占めはじめるようになります。(収益資産ではないので最初の図には入れていませんが、アセットアロケーションとして後の図には入っています)
 
■45〜50以降は転職すると、スキルがない限りほぼ確実に収入が低下します。一方、退職金に向けた債権的部分は積み重なっていきます。
ですが考えてください。たとえば50歳の人が転職したとして、タクシードライバーなり脱サラするなりした場合、おそらく年収は300万行けば良いほうでしょう。
とすると45〜50歳のこのモデルのサラリーマンを株式に換算したときにトータルの価値は6000万円、それによる年収は300万円ということになります。
一方、退職するとおそらく1000〜2000万円程度もらえます。これを債券と考え、利率5%をかけると、年収50〜100万円換算です。
しかし実際の年収は500万円ほどあります。500-(50〜100+300)=100〜150。
この差の100〜150万円はどこから沸いてきたのでしょうか?
それはその会社の中でしか通用しない技術・人脈・政治力などをもとにした「会社依存性資産」と考えられます。45を過ぎたあたりからこの割合が飛躍的に増加し始めます。
おそらく45〜50を過ぎたサラリーマンは社外から見ると基本的に使えな…コストパフォーマンスが悪い人間ばかりに見えるのはそのせいです。そしてみんな会社にしがみつきはじめます。だって自分の持っている技術や人脈は他に行って使えるものではないとみんな分かっているから。
上の折れ線グラフでは青い線の中にその部分を入れています。
 
■60歳、だいぶ自分(債権的部分)の割合が大きくなってきました。株式的価値はかなり下がっています。タクシードライバーをしても、コンビニでバイトをしても、年間200万稼ぐことも厳しくなってくるでしょう。そして60〜65歳のどこかで退職し、現金・有価証券のポートフォリオが急激に上昇します。(退職金) それで住宅ローンを完済する人も多いかもしれません。
 
■退職以降は、ポートフォーリオに閉める国家依存性資産の割合が多くなっていきます。国が吹っ飛べば年金/生活保護はもらえないか大幅減額されるかもしれません。
 
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…というのが図の説明です。
 
ではどのような資産運用をすべきでしょうか?
■〜40歳まで
自分(株式的部分)の価値も不動産の価値も、国内株式市場に相関します。(医薬業界のような景気があまり関係ないところや外資系企業を除く)
するとリスク分散を考えるのであれば国内株式はお勧めできません。自社株買いとかどうかしています。リスクの上乗せです。
俺の存在でこの会社の業績は上がるぜ!と思うなら会社の高齢者に貢がず起業しましょう。
不動産を持つべきではないという論調も根強いですが、この図から見るとそんなに非合理的ではありません。3000万円程度の物件であれば、潜在総資産の25%を占めるに過ぎず、むしろポートフォリオとしては良好です。
ただ国内資産なので、やはり日本全体の浮き沈みにひきずられます。
しかし20世紀型だし多くの人は国内産業に従事し、たぶん死ぬまで日本で暮らすので、日本と一蓮托生というのも悪くはないでしょう。
冷静にリスクを分散させたい人は、外国資産を多めに持ちましょう。
物欲を満たしたい方は金とかプラチナとかを買ってもいいかもしれませんが、基本的に金もプラチナもそれ自身は富を生みません。
それに金とかプラチナが真価を発揮するような局面では、よほど大量に持っていない限り買い叩かれます。注意しましょう。
外貨普通現金? FX? 期待リターンゼロですよ。債権でいいじゃん。
 
…と、ここで注意が必要です。
今までのはあくまで「金融商品(有価証券・不動産など)に投資する場合」の話ですが、個人的にはこれをおすすめしません
たとえば年収400万円の人が、がんばって勉強して、簿記だとか英語だとかができるようになって、あるいは業界資格を得て、年収450万円になったとします。(ちなみに英語ができる人はそうでない人より平均年収が100万円高いという統計があります)
年50万円のリターンを出すためには1000万円必要です。100万なら2000万円です。
(このエントリーを見ているマイミクの方々は別として)20代とか30代前半でそんなに持っていないでしょう?
だったら自分に投資したほうがはるかに効率的です。
できれば、社内資格よりは業界内資格、業界資格よりは国家資格の方がよいでしょう。語学も有効ではないでしょうか。
 
■ある程度余裕の出てくる45歳以降ですが、その余裕は社内でしか通用しないスキルによる部分が大きいことを自覚する必要があります。つきあい以上の自社株買いは自殺行為です。
この段階でもやはり総資産は日本の株式市場全体と相関すると思われるので、外国資産の方がいいのかもしれないですね。子供がいるなら、子供に出資するのも良い選択です。もっとも回収不能リスクは債権より高いかもしれませんが。大量のお稽古事をリスク分散ととるか、無駄なコールオプション買いととるかは判断が難しいところです。
 
■退職して年金生活に入ります。まとまった現金が入りました。
ペイオフがあるので、現金1000万円以上は銀行でなく証券会社に入れておいた方が無難でしょう。預かり金として分別保管されます。
不動産に投資してしまうのも現状では賢い選択です。分散効果を考えるならREITと言いたい所ですが、現物には大きなメリットがあります。相続における節税効果です。(なぜか日本では不動産評価額がかなり安く見積もられる※金持ち=土地持ちはこのため)
最近多いのは海外不動産を利用して脱z…ゴホンゴホン。
安全性を考えて国債を…という馬鹿なことはやめましょう。自分のおしっこを自分で飲むようなもんです。国債を発行して支払われた年金を国債に回すとかどうかしています。日本がどうにかなった瞬間アウトです。
 
■結論から言うと、若いうちは自分に投資しろ、子供ができたら子供に投資しろ、どうしても有価証券に投資したいならリスク分散を考えたら外債分散投資(+αで外国株)がいい(グローバル化が進んでいることが前提)、日本と一蓮托生でかまわないなら家を買うのも悪くない。
というところでしょうか。
 
次は我々の世代がどうすべきか、というところと、医者みたいな専門職系はどうすべきか、というのを考えたいと思います。
そしてシミュレーターを用いて効率的フロンティア(最適と考えられる資産ポートフォリオ)の割り出しを行います。

カレンダー・スプレッドに関するメモ

AkiyoshiXP2009-11-07

カレンダー・スプレッド(タイム・スプレッド)を薦めるエントリーが微妙に多いので気になってシュミレーションしてみた。
 
以下要点

全体として、現在のIVが高くて今後減少しそうな場合には、組まないほうがよい

→IV下落すると期先OPのプレミアムの減少がきつく、しばしば期近OPのタイムディケイを上回る

大きくどちらかにじわじわ動きそうな場合にも組まないほうがよい

→たとえばコールのカレンダースプレッドの場合、原資産がどんどん上昇してATM→ITMになった場合、期近の売っている方が先物のように振舞いだすので、タイムディケイがきかない。その反面、買っている期先の方はタイムディケイが効いてきて価格が下がってくる
→(コール)逆に原資産が下がった場合、OP価格はマイナスにはならないので、期近の売っている方の値下がりをある時点で買っている期先が上回ってしまい、損失となる
→プットはこの逆。
 
以下考察

どういう時につくる?

→IVは上昇し、相場は動かない、という矛盾する環境が最大利
→つまり、このポジションは案外使えない
→ただ、短期間にIVが増える場合には利益を出せるので、事件・事故には強い

落とし穴

→一番損をするのは、IVが下落し、さらに現資産価格が満期に向けて大きく動く場合。
→つまり、要は急落(>急騰)後のリバとかが起きる場合
→PUTの方がIV減少きついので、まだコールでタイム・スプレッド組むほうがマシ

結論

カレンダー・スプレッド=事件に対するヘッジつきロングバタフライ。
急落(それこそテロみたいな)に強い反面、最大利益は出しにくい。
ロングバタフライとは時間・ベガに対する反応性がちょっと違う。

格差、コンピテンシー、階層化 (a)

なんとなく感じたことのメモ書き。
初アジアから帰国。
日本よりはるかに格差は大きく、搾取の構造はあちらこちらに見え、階層の固定化と所属の条件も明確。
外需依存が大きい分、コミュニケーション能力がそのまま収入のボトルネックになっている。
ありていに言えば、現地語を満足に話せない近隣アジア諸国から来た人は明らかに搾取されている。
時給単価の低そうな人は一ヶ国語しか話せず、地域や店・ホテルのグレードが上がると日本語・英語が通じるようになる。
逆に親日的な(おそらくアジアでは一番)国ではあるものの、グレードのより高いブロックはかなり個性の消えた国際都市化していて、英語が標準。
そして格安パックツアーでやってくるような日本人は言語バリアのためにそこのリソースにはアクセスできない。
 
格安パックツアーも初体験だったけれど、中高年参加者のソーシャルスキルの低さは異常。
平気で現地の人を馬鹿にするし(意味が分からない)、同行者が落し物を拾ってあげても礼すら言わない(物だけ受け取って無視)。漫画に出てくるようなエロオヤジ的コメントをバスの中で延々繰り広げたり。なんと以前のツアーでは車内で脱糞した奴もいたそうな。
というか定年前後で学生が使うようなパック旅行に夫婦で参加する時点で…という感じだけれど、その理由が分かりやすすぎる。
 
ほとんどの労働は機械化が可能で、人間だけにできる仕事はもはやコミュニケーションに依存するものしか残っていないので(あとは例外的に芸術・工芸的分野が残る)、そのウェイト(コミュニケーション依存度)が低い人間は必然的に市場価値が下がる。
とすると現在そして今後、「生まれついての要因」で、金融資産および遺伝以外のもの(容姿・身体能力・IQ的知能は遺伝する)で階層を固定する大きなファクターは、家庭の中で継承され得るノンバーバルも含む広義のコミュニケーションスキルであって、そしてかつてのラテン語的言語に英語は場所をとりつつあって(国籍に関係なくそのリソースにアクセスするためにはそれをできていないとならない)、いい加減ゆとりどうこうとのんきな議論をしている暇があったら、もう十分ツールは開発されているんだから(ロールプレイなどで)、英語+ソーシャルスキルレーニングをさっさと小学・中学で徹底的にやった方がいいと思う。
どうせこれから日本は相対的に発展途上国に転落していくんだから、その中にあって生産性やQOLを保ち、かつ格差の縮小化のために一番手っ取り早い方法はそれだと思う。
 
せめて子供には、今の社会をバリアなく生きていくために必要なツールは教えてあげようよ。

もうできないこと(r)

勉強をずーっとやってる、ということはもうできないなあ。しない。しない方法を探してしまう。
浪人の間は結構ずっと勉強をやる日々だったはずだけれど、それも信じられないぐらいに遠く感じます。
 
そういう点で私は医者や弁護士のような職業から脱落していて、「自分さえ楽しければOK」に近いフワフワとした仕事にあっさりと就いた。朝は9時に起きたりして、好き放題やっている。一面では生活の奔放さが自慢だけれど、他面では仕事にたいして自信がない。はあまあ、どうでしょうねえ。これをやって喜ぶ人が居るやらどうやら?
 
だからあきよしくんの存在意義は、今そのガツガツと文字を追っているまさにその間に、ぐんぐん大きくなっているんじゃないかなあ。
どうぞがんばってよいお医者さんになってください。
 
「触れ合い」のところにもっとつっこんだほうがよかったのk
 

6年ぶりの勉強で(a)

なんかこう、ほとんど誰とも触れ合わず、文字を追うだけの生活をしてると、自分の存在意義とか分からなくなってくるよね。(微小妄想)
生まれてきた意味とか考えちゃうよね…。
鬱だ…。
 

長続きするのに大事なのは(a)

どう考えても、互いに求めてる距離感が一致することだよねー。
はい。以前本気で好きになった人に、直訳すれば「近すぎ」という理由で振られた私です。
一度寝りゃあ相手の求めてる距離感なんてだいたいすぐ分かるもんなのに、惚れてる時はなかなか思うようにいかないですよね。
 
と、たまには真面目に答えてみる。