7

数字で1文字、“ 7 ”という名前のラッパーが先日発表したEP『7-11』がすこぶる良い。

 

『7-11』が世に放たれる約半年前、7のファーストシングル『マリファナ』がツイッターのタイムラインに流れてきた。メインとなる歌メロの大部分が某レゲエバンドの有名曲のカバーであり、プリクラ調のアートワークには気だるげな女性の横にシンプルに「マリファナ」とだけ書かれている。この時点での自分の感想は「クオリティも高いし面白いけど一発芸みたいなものかな」という生意気なものだった。

 

しかしサードシングル「7色の小さな世界」を聴いて認識を改めた。相変わらずサンプルは特大ネタでアートワークもプリクラだったが、それまでのコンセプトが先行した印象とは異なり、抑えこんでいたものを一気に解放するような発声、断片的で想像力を掻き立てられる私的な歌詞、生命力溢れるオフビート具合に引き込まれた。

 

いつだったか自分の好きな某アーティストが「ラップの上手さは演技力の高さ」といった趣旨の発言をしていた。分かるような分からないような気もするが『7-11』を聴いていると「正に」と言いたくなる。全曲で絶妙にニュアンスの異なる声色が使い分けられており、どのキャラも7の真実として立ち上がってくる。単なるリスナーにもちろん真実なんて分からない。しかしそう聴こえる以上何度再生しても気を緩めることは出来ない。こちらも毎回新鮮に「受け取ろう」と言う気持ちになってしまう。6曲目に客演で参加している炒炒の勘繰りラップも毎回心配になる。

とはいえ『7-11』は全く聴き疲れするような作品ではない。全編にわたって大胆なネタ使いで口元を緩ませてくれるHomunculu$のビートや、『tapple』や『罰ゲーム』で光るメロディーセンス、細かい韻を織り交ぜた口に出したくなるフレーズ満載の歌詞やラップのテンションをドライブしていく個性的で全力なアドリブなど、単純に楽しませてくれる仕掛けがたくさん用意されている。

個人的には間違いなく今年一番リピートする作品のうちのひとつだが一点だけ欠点がある。シンプルすぎるアーティスト名/作品名だ。自分以外のリスナーの感想が知りたくてパブリックサーチをかけようにも検索結果には数字としての“ 7 ”やコンビニの“ セブンイレブン ”が大量に立ちはだかってくる。かなり険しい道のりだ。しかしこれだけ作品が良ければそんな細かいことまあそのうちなんとかなるだろうと思えてくる。7は7だ。

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