一十木音也の『I am Here.』はいいぞ

一十木音也の『I am Here.』はいいぞ


 まずあの真っ赤な装丁。あれを音也のプリツイで見た瞬間に「あー!めっちゃいいなコレ!!」と思い「買ってみたいかも」という気持ちが芽吹いてなんやかんやで購入に至ったので、あの真っ赤な装丁を考えた人にはノーベルプリンセス賞を贈るべきです。あの装丁でなければ私はきっと『I am Here.』を購入しなかったし、そこから70曲ものうたプリ楽曲にも出会わなかっただろうことを思うと、本当に私の個人的MVPはソロアルバムのデザイン担当者様です。ありがとうございます。あとあれの写真をTwitterに載せてくれた一十木音也くんその人。本当にありがとう。


 さて、ST☆RISHメンバーそれぞれのソロアルバム、正直に言えばソロ曲を集めたものだと思っていたんですけど、まぁそんな甘いものではなく。アルバムなので確かにソロ曲を集めたものではあるんだけれど、それ以上に一人のアイドルの成長と人生の片鱗が詰まったもので、「私は今すげぇもんを聴いているぞ!?」となったのは今も鮮烈に覚えているし素晴らしい体験だったと思っています。

 そして私がそれを一番感じたのが『I am Here.』であり、7枚のアルバムのトップバッターを飾ったのが『I am Here.』だったからこそ全てのアルバムを購入しようと思い、70もの楽曲に出会うことが出来ました。だからこその一十木音也の『I am Here.』はいいぞというわけです。


 アルバムというと明るい曲、ゆったりした曲、激しい曲、静かな曲など……それぞれがより良く聴こえるように考え抜かれた順番に収録されていることが多いと思うのですが、ST☆RISHのソロアルバムは皆さんご存知の通りすべて発売順に収録されています。そのことについてプリツイでも「成長を感じてほしい」みたいなコメントがされていて、愚かな私は「はへ〜」くらいの気持ちでいたんですけど聞いてみてまぁビックリ。アイドル達の成長、めちゃめちゃ感じる。曲の雰囲気や歌い方はもちろん、何よりアイドル達自身が作詞した歌詞から人生の片鱗をこれでもかと魅せつけられて、60分もない1枚のアルバムで長い小説を読んだかのように感じられた程です。

 そんな風に「これはただのアルバムじゃないぞ」と思ったのは『I am Here.』の4曲目と5曲目、『Over the Rainbow』から『SMILE MAGIC』の2曲を聞いた時でした。最初の3曲が私が知っている『一十木音也』からイメージする明るくて元気で格好良かったり可愛かったりする楽曲だったのに対して、『Over the Rainbow』は自身の存在への悩み迷いのようなどこか陰を感じさせる歌詞から始まることに「こういう曲も歌うのか」とそれまでの印象との違いに驚いたのを覚えています。

 対して次曲の『SMILE MAGIC』は辛いことや悲しいことがあって雨が降っても、それがいつかは虹をかけてくれるよという応援ソングだと思っているんですが、この曲が陰を感じさせた『Over the Rainbow』の後に歌われたものであることがもう、とんでもないなと。それまでは明るくて元気で格好いい〈アイドル〉という遠い存在だったけれど、『Over the Rainbow』を経て歌われる『SMILE MAGIC』はアイドルとして活動している〈一十木音也という青年〉の等身大のメッセージが詰まったものだと感じられました。そしてそこでやっと『Over the Rainbow』はそれまで知らなかった彼の抱える陰の一面を見せてくれたのだと気付いて、そういうある種弱い部分を見せられる成長をした〈アイドルの一十木音也〉が歌うからこそ、『SMILE MAGIC』のメッセージが届くんだなと思った時はもう本当に、11つの楽曲だけでなく楽曲から楽曲への変化でも成長を魅せてくれるなんて「私今すげぇもんを聴いているぞ!?」と、本当に思いました。長く人気を得ているうたプリだからこそ出来る発売順に収録されたアルバムというコンセプトは単純なようでいて考え抜かれたものなんだと心から感動しました。

 私もそれまでプリツイなどを見ていて(彼らはどこかにいるとしか思えない)と素敵な夢に浸らせてもらっていましたが、このアルバムを聞く中での感動はその認識を更に強めてくれるものであり、うたプリが見せてくれる素敵な夢は確かに現実なのだと思わせてくれる力を楽曲から受けとって「ソロアルバム全部買うしかない」と決意しました。


 『キスよりすごい音楽って本当にあるんだよ』はうたプリの有名なキャッチコピー()ですが、履修がアニメとシャニライのみで歌詞の聞き取り能力が絶望的に低い私はアルバムを買うまで実感がありませんでした。それを「こういう事だよ!!」と原作ゲーム未履修の私でも理解出来るくらい叩きつけてくれたのが『愛と呼べる木の下で』でした。もうこれは、本当にすごい。歌い出しから声への感情の乗り方がとんでもなく、歌詞も一十木音也のパーソナルな部分をこれでもかと浴びせられて聴き終わった頃には放心状態でした。こんなにわかもにわかの私がこれなら長年応援してきたプリンセス達はめちゃめちゃになってるんじゃないかと他人事ながら心配した程です。

 まだアルバム購入に至る前に、ソロアルバム発売記念のプリツイの中で『音楽で届けた愛がファンの中で育ってまた返ってきて一つの大きな木になる』という旨のツイートに感動してたりしたのですが、説明されずとも曲を聞いだけでこういう事かと理解し、一十木音也という1人の青年の成長と人生を詰め込んだ曲達が心にグッサリ刺さったまま抜けなくなった決定打となった『愛と呼べる木の下で』に心をぐしゃぐしゃにされながら(いい意味)「これがキスよりすごい音楽だ」と本当に納得しました。


 最後に、長い文章を普段書かないので内容も支離滅裂なうえ書きたいことが迷子になってしまいました。こういう文章ってどうやって締めればいいのか分からなくて今困っていますが、こうやって形に出来て良かったです。こんな怪文にも関わらず最後までお付き合い頂きありがとうございました。


 一十木音也の『I am Here.』はいいぞ。

 (ST☆RISHメンバーのソロアルバムも全部いいぞ)