変圧器・変流器について勉強するブログ

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タイトルのまんまのブログを目指します。初学者であるため、色々と間違った情報を発信してしまうかもしれませんが、何卒大目に見て頂きたいです。

変圧器の基本動作を理解する⑤

変圧器の基本動作を理解するため、次の順で電圧変換が行われているとイメージします。(実際は違うかもしれない)

  1. 1次電圧を加える

  2. 1次コイルに電流が流れる

  3. 電流がコアに磁束を作る

  4. 磁束が2次コイルに電圧を発生させる

  5. 2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる

  6. 2次に電圧が得られる

「2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる」~「2次に電圧が得られる」について

 

 

 5.2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる

当然開放状態だった2次コイルに抵抗等繋いで閉じれば、そこに電流が流れる。繋いだ負荷のインピーダンスがZだとすると、オームの法則より単純にI=V/Zの電流が流れる。

わざわざ丁寧にこんな事を書くのはこの2次電流が流れることにより、出力電圧が無負荷時の電圧から低下するからである。

 

6.2次に電圧が得られる

2次コイルを開放している状態を無負荷状態、抵抗や回路など接続している状態を負荷状態という。
無負荷状態と負荷状態で2次の出力電圧が変わってくる。
そしてその変化率のことを電圧変動率という。
変圧器にとっては無負荷の状態が理想の状態に近い。一方インピーダンスの低い負荷を接続し、電流をたくさん流すほど特性が悪くなっていく。
 

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まとめ

変圧器の無負荷時と負荷時は分けて考えよう

 

続く

変圧器の基本動作を理解する④

変圧器の基本動作を理解するため、次の順で電圧変換が行われているとイメージします。(実際は違うかもしれない)

  1. 1次電圧を加える

  2. 1次コイルに電流が流れる

  3. 電流がコアに磁束を作る

  4. 磁束が2次コイルに電圧を発生させる

  5. 2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる

  6. 2次に電圧が得られる

今回は「磁束が2次コイルに電圧を発生させる」について

 

4.磁束が2次コイルに電圧を発生させる

変圧器をただのコイルとして扱ってきたが、ここからただのコイルから変圧器へと変化させる。
と言っても、コイルを増やすだけである。磁性体コアに巻線がしてあった「ただのコイル」に、もう一つ別の巻線を追加すれば、変圧器の完成である。
 

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3項で説明したように1次に電圧を印加したことにより、コアには磁束が発生している。交流電圧なので、その磁束も行ったり来たりしている(交番磁束という)。
新たに追加したコイルにはこの交番磁束が交差する。コイルに磁束が交差すると電磁誘導により電圧が発生するのである。
その発生する電圧こそ2次電圧。ほしい電圧値が巻数比によって得られる。
 

まとめ

1次電圧→磁束→2次電圧 と変換される。

変圧器の基本動作を理解する③

変圧器の基本動作を理解するため、次の順で電圧変換が行われているとイメージします。(実際は違うかもしれない)

  1. 1次電圧を加える

  2. 1次コイルに電流が流れる

  3. 電流がコアに磁束を作る

  4. 磁束が2次コイルに電圧を発生させる

  5. 2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる

  6. 2次に電圧が得られる

今回は「電流がコアに磁束を作る」について

 

3.電流がコアに磁束を作る

突然だが、電流が流れてる場所の周囲には磁束が発生する。

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今、一本の銅線に直流電流が流れているとすれば、その電流の周囲を囲うような形で磁束が発生する。
磁束には方向があり、👍を右手でするときに、親指が電流の向き、残りの丸めた指の向きが磁束の向きになっている。
これを右ねじの法則という。
ではコイルに電流を流すとどのような磁束が発生するだろうか。
結論を言うと、コイルの中を貫通するように磁束が発生する。再び右ねじの法則を使用し、コイルの電流の方向を人差し指から小指で表現したときに親指の方向に磁束が発生する。

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これが変圧器で電圧を変換する仕組みのミソとも言える。
一次に加えた電圧から電流が流れ、そのエネルギーを磁束というものに変換することができた。
 

まとめ

電圧を磁束に変換することができた。
 
続く

変圧器の基本動作を理解する②

変圧器の基本動作を理解するため、次の順で電圧変換が行われているとイメージします。(実際は違うかもしれない)

  1. 1次電圧を加える
  2. 1次コイルに電流が流れる

  3. 電流がコアに磁束を作る
  4. 磁束が2次コイルに電圧を発生させる
  5. 2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる
  6. 2次に電圧が得られる

今回は「1次電流が流れる」について。

 

 

2.1次コイルに電流が流れる

図のように2次コイルに負荷が接続されておらず、2次コイルに電流が流れていないとき、1次コイルに流れる電流は励磁電流と呼ばれている。無負荷電流とも言われる。
コアの品質を確認できる値であったり、誤差の原因となる値だったりする。
コアの品質が悪いと励磁電流が増える。
コイルにコアを通すのはどういう理由があっただろうか?前回説明したが、コイルの性能を上げるため→インダクタンスLを増加させるためである。
コアの品質が悪いとLの増加量が少なくなる。そうなるとZ=jωLから結果的にインピーダンスが小さくなるので励磁電流が増える。
 
励磁電流はまだ深く掘り下げることができるが、基本動作の理解から話が逸れてしまうため説明をここまでで留めておく。
 

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まとめ

励磁電流は奥が深い。

変圧器の基本動作を理解する①

変圧器を理解するために、動作を順を追って解説してみる。

実際にこの順番で動作している訳ではないと思うが、理解しやすいと思う。

 

普通の電源用変圧器を使用する場面を想定する。

目的は電圧を変換するためであり、それが次の順で行われていると考える。

  1. 1次電圧を加える
  2. 1次コイルに電流が流れる
  3. 電流がコアに磁束を作る
  4. 磁束が2次コイルに電圧を発生させる
  5. 2次が回路的に閉じている場合、2次電流が流れる
  6. 2次に電圧が得られる

順番に解説していきます。

 

1.1次電圧を加える

 

変圧器の1次コイルに交流電圧を与える現象について考える。
2次コイルは開放状態で。
 
変圧器とは磁性体のコアにコイルを巻きつけたものである。
コイルとはインダクタンスLという値を持ち、Z=jωLのインピーダンスになる。
コイルが磁性体のコアに巻かれるのはコイルの内側を通る磁束を大幅に増やすためである。
コイルを通る磁束数ΦとLとの間にはΦ=L(インダクタンス)×I(電流)という関係がある。
つまり、コイルにコアを通すとLが増えて、磁束が増える。
変圧器に電圧の変換などを求めず、ただ電圧をかけるというだけの部品と見れば、それは単なるコイルである。
 
変圧器をただのコイルとして見れば、1次電圧を加えるということがどういうことか、容易に想像がつく。
コイルに電圧をかけているだけである。
そのコイルのインピーダンスに応じた電流が流れる。
変圧器を理解する上での、初っ端の大基本はこれである。
 

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まとめ

変圧器なんて、ただのコイルだ。
 
続く

変圧器と変流器は同じか?2

  • 変流器の二次を開放するとどうなるか

知っている人も多いと思うが、変流器の2次開放は禁止されている。
理由は高電圧が2次コイル間に発生し、コイルの絶縁破壊、焼損の恐れがあるためだ。
ではなぜ高電圧が発生するのか。
 
 
変流器の電流変換の式
 

 \displaystyle{ \frac{I_{1}}{I_{2}}=\frac{N_{2}}{N_{1}}} 

 

一次と二次の電流比は巻線の逆比になっているという式である。
以前にも述べてあるが変圧器と変流器は基本的に同じ構造であるので、この電流が変換されている裏で電圧も変換されている。
 
 \displaystyle{ \frac{I_{1}}{I_{2}}=\frac{N_{2}}{N_{1}}=\frac{V_{2}}{V_{1}}} 
 
まずこの式だけで高電圧が二次に発生することについて考える。
変流器は大電流を小さく変換するために使われる事が多く、この場合一次が貫通型の構造になっており、2次巻線が数百~数千ターン巻かれている。このときの巻数比は(一次:二次)=(1:数百~数千)となるわけである。上の式のN2/N1=V2/V1の部分を見ればわかるが、一次電流が数百~数千分の1に変換されている裏で、一次電圧が数百~数千倍されるということである。
 
しかし、これだけでCTの二次に高電圧が発生すると言ってしまうのはまだ早い。
一次が貫通型と言っているので一次は1ターンであり、ほぼ短絡されている状態。つまり一次電圧は極めて低い。数百~数千倍しようが、絶縁破壊を起こすような高電圧にはならないのではないか?という疑問がある。
これを説明するには、さらにインピーダンスの関係を導く。
 
 \displaystyle{\left(\frac{N_{1}}{N_{2}}\right)^{2}=\frac{Z_{1}}{Z_{2}}} 
 
巻数比を2乗したものがインピーダンスの比になっているという関係である。
今、都合よくこの式を解釈すれば、
2次コイルに接続されているインピーダンスがすごく縮小されて1次側に現れる、
ということになる。
今考えている変流器の2次は開放されており、インピーダンスは数百MΩと言える。これが巻数比により何分の1かになる。一次側にはそのインピーダンスが現れ、そこに大電流が流れる。そこには短絡状態と言えど、ある程度電圧が生じるのである。
結果としてこの電圧が巻線により昇圧され、2次コイルに高電圧が生じることとなる。
 
  • まとめ

変流器も変圧器も基本的には、

 \displaystyle{ \frac{I_{1}}{I_{2}}=\frac{N_{2}}{N_{1}}=\frac{V_{2}}{V_{1}}} 
の関係式を成立させているはずである。
ただし漏れインダクタンスや巻線抵抗の影響で、完全にこの式通りにはならない。
 
変流器の2次を開放したときに高電圧が生じるのは2次巻線の巻数がとても多いからである。

変圧器と変流器は同じか?

変圧器について勉強し始めたときによく思ったのが、「結局変圧器と変流器って同じなの?」ということ。
未だ勉強中の身であるが、恐れながら変圧器と変流器が同じかどうかという点をここ私なりに説明してみたいと思う。
 
 まず結論から、
変圧器と変流器は構造としては同じである。
しかし、用途、使用条件が異なるものである。
 
材料や構造としては全く同じである。ただ、使い方が違うというだけである。
  
変圧器というのはある電圧である特性が得られるように設計されている。同じように変流器はある電流である特性が得られるように設計されている。
違う使い方をすると、まず精度は保証されない。加えてコアが飽和してしまえば接続した回路や機器が壊れてしまう可能性がある。ついでに変流器、変圧器自身も壊れる可能性もある。
 
  • 変流器は開放厳禁で変圧器は短絡厳禁なのは?

 
この点に関しては、はっきりと変流器と変圧器では違いが出ているようだが、実は同じである。
同じように動作原理が働いた結果そうなるのである。
なので変流器と変圧器をはっきり違うとは言い切れない。結果が表面的に違って見えるだけで、中では同じように動作しているはずである。
なんせ同じ物で構成されているのだから。
 
続く