違和感の連続
前回の歯の陥没から10年ぐらいたったでしょうか。今まではなんの前触れというか自覚もなく虫歯になったり陥没したりしましたが、今回は何かちょっと違和感を感じたところからスタートしました。
普段とは何かが違う予感はしていました。それは少なからず「痛み」のカテゴリーに入る違和感だったからです。
ー 数ヶ月前
何かを食べていると、急に右上の犬歯のあたりの歯茎の奥に鈍痛がしました。
ちょっと硬いもの(砂利のようなもの)を噛んだことで、歯が押し込まれて痛い。そんな感じでした。
普段は、もしも、硬いものや箸などを噛んでしまったときは、ガツン!と衝撃を受けるだけですが、今回は、衝撃に加え、神経に触っているような痛みを若干感じたわけです。
そんくらいじゃ重い腰は上がりません!
まあ、歯医者にいかずに10年も過ごしていると、正直なところたまには検査をした方がいいのかなという年齢になってきましたので、その痛み方に少し不安を感じ、検査をしに行く意識をし始めました
ただ、ぼくは虫歯の痛みとか、歯周病の痛みとかを知りません。
しかもその頃は、違和感すらありません。指で押すような、圧力を加えたぐらいでも何も感じません。
歯を食いしばっても感じません。
忘れた頃に何かを食べているときに鈍痛を感じたのです。
そういう事もあって、いつもよりも歯磨きを入念にして、悪化するようなら、まあ歯医者に行こうかなと考えたりしていました。
それにしてもこの痛みは何なんだろう?
前回のように、見えないところから虫歯が歯の内側を侵食して、今回は神経まで到達しているのだろうか?
それなら早く処置しないといけない。
ただ、慣れないことをするめんどくささがどうしても勝ってしまうんですね。
しかし、そんなことも言ってられないくらい、違和感から完全な痛みに変わって来ました。
とはいえ、まだ特定の歯で噛まなければ普段は何の問題もないのです。
いろいろな理由を考えては歯医者に行きませんでした。
重い腰が一気に上がった!
そんなある日、ついにいつもと違う感覚に襲われました。
サラダを食べていたときだったと思います。問題の歯で何かを噛んで、「イテッ」と感じると同時に、「ジャリ」というジャリを噛んだときとは違う、もっと細かい「ジャリ」を感じたのです。
そこからです。その後は、その歯がまるで腑抜けになったかのような感覚が残りました。
痛みはないのですが、まるで乳歯がぐらついてきて、抜ける前のような感覚です。
完全に「異常」事態を感じたために、やっと歯医者に行くことを決断しました。
その後は、いつものように何もしていなければ痛くないのですが、歯磨きをするだけでも響いたので、この歯はもう抜かざるを得ないのだろうと思っていましたが、うまく固定すれば骨折した骨がくっつくようにまたもどるのだろうかなど、まったく知識のない頭で想像していました。
影もなく忍び寄る亀裂
とにかく歯医者に行くまでは、この歯でものを噛まないことだけに気を配っていました。
近所の歯医者の定休日があったりして即日行けなかったのですが、なんとか最後の状態を維持したまま歯医者に到着することができたのでした。
顔の周りをグルっと周るレントゲンを撮り、施術台に横たわると、先生が、どこが痛むか訊くのです。
「この歯のこの辺で、舌で内側から押したたけでも響くようになったんです…」
「ああ、これですか…」
「イタっ!そうです。それです」
「どおりでレントゲンに何も映ってないわけです。割れてますね」
「え…?」
「ほら、もうペラペラしてるでしょ。もう取っちゃいますね」
「え?それはくっつける訳にはいかないんですか?」
と、いうか言わないかのうちに、
「もう、取れました」
と、欠けた歯を見せてもらうと、2つに盛り上がった歯の内側の山が歯茎の辺までの範囲で欠けていました。
神経に近づく前になんとかせい!(自戒…)
で、院長はどのような処置をするか、助手と相談しつつ、ぼくに、歯を残したいか訊くのです。
え?当然でしょ?
まだ半分以上残ってるのに何を言うか?
その思いを察してか
「やっぱ、残したいよね。土台を付けて銀歯でカバーすると、笑ったらこの歯は、ちょっと見えるからね…。でも耐えられるかな。歯が割れるぐらい噛みしめるんだからね。」
なるほど、強度の問題か。
とはいえ、健康なとこまで削られたくないし、セラミックは高そうだし…。
すると、また、そこまで察してか否か
「残してやってみようか。多分大丈夫でしょう。」
と言ってくれて、そうすることにしたのですが、半分以上残っているのにそんなに心配なのか?
まあ、分からないことばかりです。
とりあえず、処置の方向性が定まったようで、ここからは相談ではなく断定的な説明をされました。
その中でぼくが心配したのは神経の処理でした。
今回の歯は奥歯と前歯の中間部分の歯で小臼歯というんですかね、前述のとおり「山」が2つの歯です。
根っこが2本あってそのうちの1本の近くまで折れているので神経を抜くというのでした。
歯の知識の薄いぼくが結構恐れていたことが、虫歯にせよ何にせよ、神経に触れたら痛いということでした。
もちろんそれがどの程度正しいのかは調べてませんでした。
とにかく神経に近づく前に処置しないとひどい目に遭うぞ、とは薄々感じてました。
とはいえ、虫歯のように徐々に近づくケースだけを想定していたので、こんなに一気に神経に迫ることなど考えていませんでした。
そして今回この段階まで来たところでは、怖くて調べることもしませんでした。
ただ、神経を抜くことになるなんて想像だにしておらず、思いのほか大工事になり、比例した痛みも受けるだろうことをその場で覚悟しました。
これからの処置の準備を待っている間のいやなこと。
その間、もちろん麻酔はするだろう、とはいえ、その麻酔の注射もいたくないだろうか?
いや、そういえば20代のころ親知らずを抜いたことがあるのですが、まったく痛くなかったですね。
麻酔の注射も歯の周りに水膨れのようになるぐらい打っていたことを思い出しました。
うん、痛くなかった。
歯を抜くのと神経を抜くのとではどっちが痛い?
まったくいい年になっても経験をしたことがない痛みには恐怖なんですよね。
そうこうしているうちに麻酔を打たれましたがやはり痛みはなく、無事神経の抜き取りも終了。
そして仮の詰め物をして、その日の処置は終了しました。