図書館暮らし D_X

特別読書好きではないが読みたい本を見つけたい、残りの人生のほとんどを図書館で過ごそうと思ったひとが書き始めました

言葉の表面と『ハンサムな大悟』

ハンサムな大悟は舞台です

ハンサムな大悟

たまには図書館から外に出て劇をみることにしました。『ハンサムな大悟』という作品です。

表面に触れるという話

(役者名は敬称略です。。。偉そうでごめんなさい。)

パワーというか、圧力を感じる舞台でした。本当に良かった。私の意識は劇の冒頭に配置された「言葉の表面に触れる」というセリフにからめ捕られたままでした。眼前に迫るオスの尻には当惑しましたが、隣の席の名前も知らぬ美女が喜んでいたに違い無いから良しとしましょう。

わたしは、ライブ感が好き。映像作品のように完璧を目指して調整され作り上げられた作品にも魅力を感じますが、そこにある役者の緊張感と圧力を感じられる舞台は本当に好きです。

森本華の中に詰まったもの

森本華の演技を素晴らしく感じました。『ハンサムな大悟』では劇中、主役以外は複数の役をこなします。森本華は役ごとにまとう空気が違ってみえました。内側に何かがたくさん詰まっていそうな演技でした。そして、ロロの文芸部を初めて読みました。とても納得しました。

表面

表面が腐った女と愛し合う大悟にひきこまれながら、最後に大悟にとって名前の無い旧友にかけられる残酷な言葉「愉快なひとですね」。わたしたちは、表面的な付き合いばかりをするだけでなく、残酷なことに「誰か」を「誰か」と区別する大事なコードであるはずの名前すら忘れていくのです。

こんな感じ方をしていたら、表面という言葉の迷宮にとらわれすぎ、最後の大悟のシーンを思い出せなくなりました。気づいたらハンサムな大悟は終わり、闇の中で覚醒していました。もう一度、観なければならない。でも、観ることができないのです。

とにもかくにも、森本華の次の演技が楽しみです。

次回作は何でしょう?

いつでしょうか?

次に読む本はどのように選びますか?

ブルデュー本田由紀ハンナ・アーレント、等、書くだけでまるで賢くなったような気がしますね。自分を賢く偽る誘惑には抗えません。コミックを紹介すれば逃れられるのでしょうか?マンガ大賞を受賞した東村アキコのかくかくしかじか、海月姫信長のシェフのだめカンタービレを読みました。最近のことです。

特殊能力と見える世界

絵画、料理、楽器等の能力があれば日々の生活で感じることが違ってくるのでしょうが、そんな特殊能力はありませんので図書館で本を読みながら日々過ごしております。美術史、音楽史にも興味があります。料理史というのははたしてあるのでしょうか?

前置きが長くなりました。さて、あまり詳しくない分野で次に読む本はどのように探すべきでしょうか?ということを考えたのでそれについて書いてみたいと思います。

納得できる範囲でフェアでありたい

本田由紀著の教育の職業的意義を読んでおります。

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)

本書は教育社会学という分野の本で、データをよく参照・吟味しています。次に読む本に同じ著者の著作で理解を深めたり、扱われているデータに対する理解を深めるために統計学を手に取るのも良さそうです。

今回、本書で心に残ったのは、第5章の『「教育の職業的意義」の構築に向けて』において本田由紀が名指しで批判した小玉重夫が提唱する「シティズンシップ教育」でした。

例えば次のように批判しています。

「教育の政治的意義」と「教育の職業的意義」の、いずれがより重要であり優先されるべきか、といった議論が、一般社会から見れば馬鹿馬鹿しいことは言うまでもない。

と断定した上で、

にもかかわらず、ここで「シティズンシップ教育」論にこだわるのは、それを掲げる教育学において、暗黙裡に「政治的意義」の方に価値が置かれ、「職業的意義」を全否定しないながらも低く見、議論の埒外に置く傾向が看取されるからである。

と論じています。ここではこの議論の詳細には触れません。

本田由紀は職業的意義のある教育体系の重要さを説き、若干ながら具体的な教育カリキュラムにも触れています。本書は社会学者として「いま」の不十分さを暴くことに重点を置かれた本書ですが、では、いざ「裁く(問題の解決をする)」段になれば教育学の観点からの支援・協力は不可欠であるように思います。

将来的には協力することが想像されますが、敢えて批判しているように見えとても興味深いです。こうなると、やはり、小玉重夫の著書を読まないわけにはいかないと思うのです。

社会学はどこまで暴けるか?

最近、本田由紀twitterで次のようなつぶやきをしていました。「暴かなければ対処できない」のは間違い無いと思いますし、対処できるか?もわかりませんよね。

社会学者の知見が未来の社会が良くなる方に活かされると良いと思います。

どんな本でも、読んだ後にゆっくり考える時間を取るようにしています。ただ、取り扱っている問題が大きすぎかつ複雑すぎると手に負えないような、個人が無力であるようにも思えます。

小玉重夫

小玉重夫 - Wikipedia

1960年、秋田県飯田川町(現・潟上市)生まれ。東京大学法学部政治学科卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。慶應義塾大学教職課程センター助教授、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科助教授などを経て、現在、東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は、現代アメリカにおける教育思想、戦後日本における教育思想史。学部時代は佐々木毅、大学院時代は堀尾輝久、汐見稔幸らに師事。 現在は、公教育の公共性問題を中心に、政治性を把捉可能なパラダイムとしての教育学を構想している。

小玉重夫は現役の東京大学大学院の教授、ということは、本田由紀東京大学の教授ですからお隣さんのようです。

コロプラ、クックパッド、サイバーエージェント等、ウェブ系IT企業における非正社員の割合

教育の職業的意義

いま、教育社会学のつながりで本田由紀著、教育の職業的意義を読んでおります。

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)

本書では非正社員の苦境として

  • 低賃金
  • 脱出の困難さ

を取り上げ、

大半が有期契約で雇用が不安定なのはいうまでもなく

と、さらっとその苦しさを評しています(主に第一章)。この部分を読みながらウェブ系IT企業の非正社員の割合が気になりました。

はてなブログの記事をめぐっていると、ウェブ系IT企業の転職報告の記事や職場環境の記事を見かけることが少なくありません。記憶に残るいくつかのウェブ系IT企業の非正社員について調べてみました。

上場企業のみで、最新の有価証券報告書にある数字に基づいています。類似の調査結果として、東洋経済が以下の記事を掲載していましたのでリンクをはっておきます。

toyokeizai.net

ウェブ系IT企業の非正社員の割合

対象企業の選定基準は特に無く、ウェブ系IT企業として思いついた企業のみのデータを掲載しました。

企業名 正社員(人) 非 正社員(人) 割合(%)
サイバーエージェント 3,059 1,704 35.8
クックパッド 193 54 21.9
コロプラ 450 22 4.7
DeNA 2,197 833 27.5
GMO 3,119 500 13.8
GREE 1,758 486 21.7
mixi 364 68 15.7
ガンホー 971 88 8.3
ドワンゴ(合併前) 1,165 266 18.6
カカクコム 575 89 13.4

日本では非正社員の賃金は正社員に比較して低いため、企業は人件費を抑える目的で非正社員を雇用する傾向があります。非正社員でなければ担えない仕事というのも想像しにくいので、非正社員の割合が多い企業ほど利益を出すために人件費を抑える傾向があると考えられます。その企業の人事部門または経営の方針と考えて差支え無いでしょう。

結果を見た感想

コロプラ

非正社員の割合の低さが目を引きます。積極的に正社員雇用する方針を打ち出しているのかと思いましたが、ウェブサイトの社長メッセージやミッションにはそのような記載はありませんでした。

クックパッド

はてなでブログをめぐっていると良くクックパッドの記事を見かけます。従業員には良い職場のようなイメージを持っていましたが、意外と非正社員の割合が高く驚きました。ずっと超ホワイト企業のイメージを持っておりましたのでこの結果は意外です。

サイバーエージェント

割合が高く、人数も多く、先ほど紹介した東洋経済の上位500社にも入っています。様々な事業を展開しているようなので、非正社員率が高い飲食・小売り業もやっているのかもしれません。

社会学について感じていること

世の中が複雑化して問題を認識するだけでもますます大変になっていると感じております。簡単な問題はすぐ解決され、より難解な問題が残されるときに社会学者が問題を暴く役割を担うことが市民社会をより平等なもの、不公平感の無いものにするきっかけになるでしょう。「暴くもの」としての役割を期待しつつ、有能な「裁くもの」が現れることを望んでやみません。

いま頼りにしている書評ブログと見つけた一冊の本

ブログを開設してから一週間、はてなの書評ブログを眺めておりました。そもそも、書評ブログ巡りは図書館にいる時間を楽しく過ごせる本の発見を目的としていましたが、皆さんの書評から感じる思考・思索、背景や世界等、書評自体にワクワクしながら、空腹も忘れクリックしては読むを繰り返しておりました。

書評ブログの探し方

面白いブログほど見つけにくいものでした。使い慣れていないのでなおさらですが、ブログシステムの仕組上、投稿頻度の低い程遭遇できる機会が少なくなります。より練りこまれた文章の投稿には時間も体力も必要でしょうからこれは仕方がありません。しばらく古本屋めぐりの感覚で散策を続けようと思っています。

見つけた本

娘の学校―性差の社会的再生産 (ブルデューライブラリー)

娘の学校―性差の社会的再生産 (ブルデューライブラリー)

経緯

いくつかの読み応えのある書評ブログで見つけた刈谷剛彦本田由紀ブルデュー、ハンナアーレントの本を読み、「学校」と「再生産」をキーワードにしながら、ふと思いついた疑問「性差はどのようにして再生産されているのだろう?」からこの本にたどり着きました。社会学・教育学に関する学術書です。Amazonでは画像も登録されていないレアな本のようです。

頼りにしている書評ブログ

読み応えのある書評ブログを紹介します。

学者たちを駁して

rodori.hatenablog.com

近代の哲学書を読ませるような暴力的な傲慢さを感じることもありますが、唐突に引用される事例に文学的な様式美を感じました

発達障害の「生き方」研究所 | Hライフラボ

self.hatenablog.com

発達障害を抱えた方が考えるものの一つとして読んでいます

東京大学を卒業しましたが、

reflecting-on-myself.hatenablog.com

教育や就職といった一般的な社会の仕組みに関する問題に対する考えを書評を通して論じています。評価、関心、感想としてまとまっていてとても分かりやすく、親しみやすいブログです

読書は追いかけっこ

書評があればその向こう側に

書評があればその向こう側にひとがいる

はてなブロガー探し

1800冊越え

hachiro86.hatenablog.com

id:hachiro86 さん

  • 図書館系の本がたくさんあることを知った
  • 科学系は少なかった
  • 追いつかないと思った
  • 自治体職員ということは地方なのかなと思った
  • 「せつなさ・いとおしさ・なつかしさ」は「愛しさと切なさと心強さ」を思い出した

もっと書いて欲しい、科学系の書評もお願いします

書評ブログ探し

今日は土曜日

書評も多め、ボリュームも大きめ、土曜日だから?

それなら日曜も楽しめそう

一週間はみてみたい

書評ブログ多い、読者になるボタンをぽちぽち

多読のひと、ラノベのひと、自己啓発のひと

ピックアップ

ichigomonogatari.hatenablog.com

潤君のキャラクターはなんだか現実味がなく、今ひとつ私には理解できなかった。

織田さんも、冷たいのだか温かいのだか、よくわからない人だった。

小説やエッセイの登場人物を理解しようとするほどには、日々、周りの人を理解しようとしていないことにはっと気づいた

読者が増えた

ありがとう

スターもありがとう

はじめに

別に読書好きではない

読書好きではないが図書館が好きなので、読みたい本を見つけたい、そのためにブログを始めてみた。

購読してみる

読書関連のブログを購読して面白そうな本をさがしてみることにした

読書グループの中のブログを開いては「読者になる」をポチポチした

図書館の暮らし

ほとんど図書館にいる

空腹になっても席を立つのが億劫なのでそのまま

はてなの読書クラスターからピックアップ

reflecting-on-myself.hatenablog.com

とてもわかりやすい読書評だった

その本を読むに至った経緯が「関心」としてまとめられているのがいい

読書メーター」というサービスの存在を知った

もっと難しそうな本も紹介してください

はてなスター

初めてホシをもらった

うれしかった、ありがとう