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はてなブログのテーマ「Silence」を投稿しました

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あなたの書いた文章を、静かに読み手へと届けるためのテーマです。
タイトルはヘッダ(左上)にあるため非表示、サイドバーは煩わしいため下部に配置しています。

文章が書きたいと思った。でも、心地よく読んでもらえそうなテーマが見つからなかったから作った。Windowsのフォントレンダリングが残念なせいで、`font-family`の指定が切ないことになっていて悲しい。あと、自分で作っておいてなんだけど、まだまだ微妙なところがある。

  • 十分な横幅のない画像を貼ると美しく見えない → 文章メインで。。
  • タイトルが長いとすぐ折り返してしまう → 簡潔にして収めて!


ちなみに、テーマのカスタマイズで背景画像にグラデーションのものを指定すると擦りガラスっぽくていい感じ。

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Silence

五月のしまいの日曜でした。わたくしは賑にぎやかな市の教会の鐘の音で眼をさましました。もう日はよほど登って、まわりはみんなきらきらしていました。時計を見るとちょうど六時でした。わたくしはすぐチョッキだけ着て山羊を見に行きました。すると小屋のなかはしんとして藁わらが凹んでいるだけで、あのみじかい角も白い髯も見えませんでした。

「あんまりいい天気なもんだから大将ひとりででかけたな。」

わたくしは半分わらうように半分つぶやくようにしながら、向うの信号所からいつも放して遊ばせる輪道の内側の野原、ポプラの中から顔をだしている市はずれの白い教会の塔までぐるっと見まわしました。けれどもどこにもあの白い頭もせなかも見えていませんでした。うまやを一まわりしてみましたがやっぱりどこにも居ませんでした。

「いったい山羊は馬だの犬のように前居たところや来る道をおぼえていて、そこへ戻っているということがあるのかなあ。」

わたくしはひとりで考えました。さあ、そう思うと早くそれを知りたくてたまらなくなりました。けれども役所のなかとちがって競馬場には物知りの年とった書記も居なければ、そんなことを書いた辞書もそこらにありませんでしたから、わたくしは何ということなしに輪道を半分通って、それからこの前山羊が村の人に連れられて来た路をそのまま野原の方へあるきだしました。

そこらの畑では燕麦えんばくもライ麦ももう芽をだしていましたし、これから何か蒔まくとこらしくあたらしく掘り起こされているところもありました。

そしていつかわたくしは町から西南の方の村へ行くみちへはいってしまっていました。