お疲れ令ちゃん

令ちゃんが朝散歩に帰ってきました。

大仕事を成しては並み居る見物客を取り持ち

飼い主をうきうきさせる毎日ですが

ちょっと休憩を取ってみるそうです。

お腹はすっきり。

先月は令ちゃんの身体の一部だった生命が

今頃ころんと家で眠りこけ

自分の意思を持つ一介の犬に育っていくなんて

不思議を感じずにはいられません。

見るからにずっしり重そうだった身体が

軽くなった分に比例するように

令ちゃんは得意そうです。

うんうん、それで良いですよ。

とにかく元気そうで何より。

身体を休ませながらやることやってください。

子分たち、いや子どもたちに会えるのを

楽しみにしてますよ。

雨が上がったので

嗅覚を刺激するニオイが

あちらからこちらからじんわり立ち昇ります。

冷たい雨が降りました。

街を上から下まですべからく濡らした雲が

去ったところです。

ボクの本能は水分に強化された数多の残り香を

嗅ぎたくてたまりません。

その熱意に報いてか呆れたのか

飼い主は地面を這うボクを自由にしてくれます。

そんなだから躾が中途半端になんですよ。

さて木材に水分が残っていても

石材やコンクリートはあっさり乾きました。

頭上では太陽が雲をかき分けて登場準備中。

ひとり歩きって

大きな事件は起きなくても

細かな発見がツモるんですよねえ。

あ、いや、だから

陽がさしてきたのでお腹をあたためておこう

とかしなくて良いですから。

わざわざ事件を起こさなくて結構ですから。

もうすぐみんな来ますってば。

ちょ、ちょっと離してください。

鯉とちわわずと

だから言ったでしょう

子育て令ちゃんが家を出られなくなっても

ちわわずに遊んでもらえますよ、って。

寂しがってないで外に出てみてください。

五月晴れのおおらかな青空を背景に

わっと集まれば笑顔が弾けます。

騒ぎが起きると噛んだりするテリアの隣でも

自称ハスキーのくーちゃんは動じません。

ボクもくーちゃんと一緒のときは穏やかで

良い子に見えることを発見しました。

イカしてると思うのはボクだけでしょうか。

鯉については

色で男子か女子か決めてしまったり

大きさでお父さんお母さんの役割つけると

不適切とか言われるらしいですから

まるっと家族がたくさんいることにして

ひとりっ子のボクも

賑やかに平和にGWを終わる所存です。

ところで背景は朝からたいそうな作業中です。

この丸太から椅子を作るんですって。

飼い主がやりたいやりたい言ってますけれど

もちろん子供向けですよ。

さて、どうやって諦めさせましょう？

ちくり2024

母になった幼馴染の令ちゃんは子育てに追われ

最近急に一緒に遊べなくなりました。

それぞれ大人の道を進むだけであって

永遠に会えないというわけじゃなし

また新しい事件を起こせば良いのでしょうが

今は時々たまらなく恋しくなります。

だって今日は予防接種。

去年までは診察室に令ちゃんと一緒に入って

わちゃわちゃしていれば終わったのに。

今年はボクひとりです。

先生、診察室が大きくなりました？

接種前健康診断はそんな念入りでしたっけ？

先生が目を見て耳を見て全身を撫で回す間

誰も騒がず吠えず走り回らないから

あたりに重い空気が立ちこめます。

あ、ほら、2人がかりでボクを押さえ込み

先生が取り出したのは脱脂綿。

いよいよです。

恒例の６種混合ワクチンです。

その瞬間

診察室の中でボクの耳だけが動きました。

ふう、終了。

ふたりでもひとりでも

結局あっという間なんですけどね。

ちなみに令ちゃんロスは

ボクの飼い主へのダメージも大きいようで

静かな待合室に響くため息をつきながら

つまらないねえ、とつぶやきました。

きっとちわわずやキッチーが遊んでくれますよ。

証明書もらったら連絡してみましょうね。

ったく手がかかるったらありゃしません。

令ちゃんは母になりまして

神ショットですな。

生まれたての仔犬が食事しています。

いつまでも見ていられる風景です。

長男はポロくん似で

次男が令ちゃん似でしょう。

なんとまあ、そっくりですよ。

兄弟は２日目で200グラムを超えました。

令ちゃんの小さな体格を考えれば

大きめかもしれません。

そして令ちゃんは期待どおり

厳格で世話好きな愛情たっぷりお母さんで

飼い主さんたちも手がかからないと言うほど

しっかり者です。

お母さん以外の大人の犬は

いろいろな菌を持ち込むため

残念ながらボクはしばらく会いに行けません。

令ちゃんに次いつ会えるかわからないし

会ってもこれまでのように２匹で遊ぶことはなく

ボクたちには大人の生活が始まります。

ちょっと寂しいけれど

わくわくもするじゃありませんか。

令ちゃんや仔犬たちに触れて帰ってきた

飼い主のニオイをボクは胸いっぱい吸い込んで

新しい世界が広がったことを察しました。

何か無くなったような

何か始まったような

落ち着かない季節の変わり目に

明日どんな事件が起きるか楽しみにしながら

目の前の日常もおろそかにできません。

えーと、今夜のゴハンがまだなんですけど。

早く早く

早く早く、さあ早く

転ばないよう力いっぱい

走って行かなきゃ、走らなきゃ

元気な２匹が生まれたんです。

(ボクたちはまだ会えないんですけどね)

待ち時間

待っています。

何かしら役に立つことを手際良くやってのけて

ありがとう、とか

忘れるところだったよ、とか

言われてみたい気もしますけど

ボクにしかできないことなんて

そうそうないわけで。

黙って座っています。

お尻が安定するソファの手すりと

ふわふわのクッションがあれば

長いこと動かずに座っていられますが

大して役にたつスキルではなく

短気な飼い主が羨ましがるだけでしょう。

外は時おり通る車と人の音しかありません。

極めて穏やかなありきたりの日暮れに

ボクはじっと待っています。

令ちゃんが破水しました。

本当に絶対にたまたまですけれど

ボクの鼻の方向に令ちゃんの家があります。

何もできないから

ここで待ってるよ、令ちゃん。

テレビはお気になさらず。

録画です、もうすぐ負けます。