離れ離れになっても ★★★★☆

 

映画『離ればなれになっても』 公式サイト (gaga.ne.jp)

2時間超えと、少々長めながらも、各所での評判良かったのと、ナポリの風景が見たかった…という理由で、仕事帰りの映画サービスデーにて鑑賞。

 

あらすじはというと、1960年代に生まれ、16歳で出会った男女4人(男3人、女1人)が、その後、別れたり出会ったりを繰り返して、40年後に再び揃う・・・というストーリー。え!?わずか2行で説明できてしまった(笑)。まあ、それだけシンプルで分かりやすい内容です。

 

キーマンは、仲間内で唯一の女性、ジェンマ(イタリア語で”宝石”ですよ、宝石!)。

「名は体を表す」で、美人の彼女はともかくモテモテ。男の一人パオロと一目で恋に落ちるのですが、家庭の事情でローマからナポリへ引っ越してしまう。ここから、4人の人生の歯車が狂っていくのです。

 

あまり詳しく書くとネタバレになってしまうので避けますが、「離れ離れになっても、大好きな人とは、どこかで縁が繋がっていて、また必ず出会うことができる」というテーマですかね。

特に仲間同士の恋愛のモツレ?は、日本だったら後を引くこともあるでしょうが、そこは恋の国イタリア。「ビバリーヒルズ青春白書」的に、彼女と彼氏がくっ付いたり離れたり・・・でも、平気で友達付き合いしているドラマもあるくらいですからね。

「時がすべてを解決する」と清々しく、水に流しましょう!

 

時を超えて、かつての確執を超えて。

今だからこそ、お互いを許し合い、受け入れられる。

おそらく50代以上の方々には、胸アツでしょう。

それにしても、大声で自分の意見をまくし立てる、喧嘩するのも、恋愛するのも大騒ぎ!?なイタリア人の熱量はすごい。

「イタリアに生まれたら、誰にも気づいてもらえなそう・・・」と思うForestでした。

さよならモリコーネ!

早速、「ニューシネマパラダイス」のOSTを聴きながら、この文章を書き綴っている。

 

ニューシネマパラダイス」で初めてトルナトーレ監督とモリコーネの音楽を知った中学三年生以来、このコンビの作品は絶対に見逃さないようにしてきたけれど、悲しいかな、これが2人の最後の作品になってしまった。

 

ニューシネマパラダイス」以降の、ドラマティックで抒情的なメロディーしか知らなかったけれど、それは彼の長いキャリアの後半戦でのこと。

映画音楽を始めた頃は、むしろ楽器以外の機材を使って現代音楽風の音を作り上げたり、一躍彼の名を有名にした「荒野の用心棒」に代表される、セルジオ・レオーネ監督のマカロニウエスタンなど、その引き出しの深さは無限大。

 

音楽学校でトランペットを専攻していたのも意外なんだけど、映画の中で彼が楽器を弾いているシーンは非常に少ない。ポロポロとピアノを奏でるくらい。

それもそのはず。モリコーネはピアノを文机にして、五線譜にサラサラと音符を描いていくのだ。それが本当にメモや手紙を書くような手軽さと速さなのだからビックリ!

彼の頭の中ではすべての楽器の音が聴こえ、オーケストラが完璧な調和で鳴り響いているわけだ。過去のクラシック音楽家は皆そうだとは言え、昨今の作曲家たちはPCで簡単に音を重ねたり・・・と試作できる分、恵まれている。

 

映画の台本を読んで仕事を引き受けることにしたり、気に入った作品については「自分一人が作曲するならばやる」と条件を出すなど、彼はただ曲を作るのではなく、本当に映画との親和性、どうやったらこのシーンが、この作品が引き立つか?を常に考えている人だった。

 

小学校の同級生だったレオーネ監督は、「Once upon a time in America」の構想段階から、ずっとモリコーネに話していたという。だから映画を撮る前から音楽作りは始まっていた。そして、この映画の撮影現場では、ずっとBCMとしてモリコーネの曲が流れていた。デ・ニーロは、音楽を聴きながらセリフを喋ってたわけである。驚きのエピソード。

約3時間という、映画としての長尺を使っても、モリコーネの偉大な功績は語りつくせないだろう。

私もできることなら、もっともっとトルナトーレ監督&モリコーネ音楽の映画を観たかった。

「音楽を作る前には、思考が必要。私の目の前にあるのは白い五線紙だけ。さてどうするか?」という老作曲家の問いかけで、映画は終わる。

作曲家のみならず、世のすべての人に問いかけられた質問に、さあ、我々はどう応えるべきか?

トルナトーレ監督が、モリコーネに敬意を表した、何とも粋な演出である。


www.youtube.com

No Limitation!

ソウルに来ると仕事関係なく、いつも連絡して会う友人Sがいる。

最初の出会いは2006年。

当時SはShowboxという韓国大手の映画配給会社の敏腕セラーで、

Forestの会社はShowboxから沢山の映画を買っていた。

日本公開時のプロモーションで俳優を招聘すると、いつもアテンドで来てくれたのがS。

英語力はもちろん、頭の回転の良さ、その場を和やかにする笑顔と気配り、

トラブル対処能力、そして何より豪快な酒量(笑)と、どれをとっても一流で、「Sが来る」と聞くと「じゃあ安心だね!」と、当時の同僚たち皆がホッとしていたのを思い出す。

ともかく何か問題が起きても、Sがいるなら大丈夫!という、絶大な信頼を集めるひとだった。今公開中の映画「ベイビー・ブローカー」にも出演しているカン・ドンウォンとも一緒に来てくれたっけ。良い思い出が沢山ある。

今はShowboxを辞めて、とある有名女優の事務所役員に収まっている。

やっぱり彼女は人が好きで、見込んだ俳優や映画のために尽くすのが好きなんだな。

Forestと直接の取引はなくなってしまったけど、会うたびにその満面の笑顔とユーモアに癒される。

今回も「久しぶりに行くよ」と連絡すると、「大学路で実験的な演劇を観るんだけど、一緒にどう?」というお誘い。常にアンテナを張って、話題になっている映画や舞台を見逃さない姿勢も見習うべきところだなあ。

 

「売り切れ必須」というチケットを購入して頂き、演劇「THEヘルメット」を観た後、コロナ後にすっかり夜が早くなってしまった大学路の、Sお気に入りの居酒屋で一杯。

 

お互いに最初に出会った会社から離れて、それぞれの道を歩んでいる。

年齢はForestよりも6歳下だけど、ドラマや映画などのエンタメが大好きで、かつ仕事も好きで・・・さらには独身(笑)という共通点もあって、話は尽きない。20代だった彼女がもう40代になってしまったからね。いや~、時が経つのは・・・とか言いながら、ちびちびと韓国焼酎を飲むという、典型的な中年の行動(笑)。

 

そんな中、Sの一言で印象に残ったこと。

「今の会社は組織が大きいから、私ができるのは一部分だけ。他は別の部署に繋がなくてはいけない。全部を一人で出来ていた前職と違って大きなストレス」というForestの話を、じ~っと聞いていたSが放ったのが、「Forest。あなたは自分の仕事にLimitを設けない方がいい」という一言。

 

「え?!」って思ったけど、すぐに納得した。ほんとにその通り。

Limitを自分で設けた途端、その狭い囲いの中での発想、動きしかできなくなるし、しようとしなくなる。「これは自分の仕事じゃないから。やらなくていいや。」という意識が芽生える。Forestはもっと自由に動きまわりたい人間なのだ。会社はLimitを課していないのに、Forestが自分で作り出していた。。。

 

はっ!と気づいたらお店の人に「1時で閉店です~」と退席を促された。店に入ったのは11時前。ほんの1時間くらいで出る予定が、あっという間に午前1時を回ってた。それだけ話に夢中だったのだろう。

時に外国人であることを忘れるくらい、Forestの置かれている状況、気持ちを察してくれるS。やっぱりソウルに来るたびに会いたくなってしまう人の筆頭株だ。

 

多くの友人・知人との出会いを与えてくれた前職には本当に感謝しかない。そしてその人間関係を維持していくことが、もっと重要だと思う。

「タイムマシーン」に乗って

2年半ぶりのソウル。

約1週間の滞在で食べ残したものは何か?と考えた時に、

前職で10年前にソウル駐在した時、体重が5~6キロ増えたくらいハマった

「チメッ(チキン&メクチュ(ビール)」が無性に懐かしくなった。

 

最後のMTG相手に「夕食何か食べたいものがあれば・・・」と聞かれて、

迷うことなく「チキン!」と答えたForest。

正直、チキンは飲み会後の2次会なんかで良く行く店で、お相手(制作会社の社長2名。相当なお金持ちと思われる)は「え?そんな安いもんでいいの?」と恐縮していた様子だったけど、ここはForestのわがままにお付き合い頂くことにする。

 

「チキンだったら、ここから歩いていける所にタイムマシーンっていう、ソウルで2番目くらいに美味しい店があるけど、そこどうですか?」と。

(※「2番目」といのは、韓国人は各々が「この料理はここが一番」という店を持っているため、「一番じゃないけど、美味しいよ」というニュアンス)

え?!「タイムマシーン」!?

それ、10年前に勤めていた前職のソウル事務所があったビルの真裏だよ!

残業終わりによ~く食べに行っていたっけ。

あのお店が徒歩圏とは!

「はい!ぜひそこ行きたいっす!」と勢いよく答えるForest。

 

途中、芸能人の事務所なんかがポツポツある、ハクトン洞(日本で言うと表参道とか、青山って感じなのか?)をぶらぶら歩いてると、目の前には懐かしの「タイムマシーン」が!

 

これは「韓国の明石家さんま?」、ユ・ジェソクの事務所。

 

しばし思い出に耽るForest。

「すいません、ちょっと浸らせて下さい」って言ったら、連れて行ってくれた方々が笑ってたわ(笑)。

 

そうそう、この店。

トイレも店の外で、ペーパーもないような小汚さなんだけど、お味は確かなのだ。

何よりもこのお高いエリアにあって、この付近だけ時が止まったような昔懐かしさ。

当時一緒に働いていた仲間たちと、何度ここに通ってクダを巻いたことか。

(クダを巻くという行為は、昔から変わっていない)。

 

そんでもって店の名前が「タイムマシーン」なのだ!

正にこの日、Forestはタイムマシーンに乗って、10年前にトリップした。

その時は2022年に別の会社で働いてて、PCR検査やらビジネスビザやらが必要な出張に来るとは夢にも思ってなかった。

 

あ、肝心のチキンの味は、昔と変わらず。

特に刻み青唐辛子が練り込んである「ヤンニョム」が美味。

客の会話にいつの間にか混じってくるおばさんも健在。

 

またソウルに来たら「タイムマシーン」に乗りに来よう。

是枝監督、渾身の韓国映画「ベイビー・ブローカー」

是枝監督による初の韓国映画&今年のカンヌでソン・ガンホに主演男優賞をもたらした作品。ということで、かなりの話題作だったにもかかわらず、なかなか食指が動かずにいました。先週の韓国出張で出会った業界人ほとんどが鑑賞済だったので、こりゃいかんわ!というわけで、遅ればせながら映画館へ。

gaga.ne.jp

ソン・ガンホカン・ドンウォンペ・ドゥナ、IU・・・という、誰も見ても主演級の韓国を代表する豪華な顔ぶれ。彼らが一堂に会してだけで「ああ、これは一定のレベル以上の映画になってるだろうな」という安心感あり。

しかし!惜しまれるのは、「期待以上でも、以下でもない」ことなんです。

養子大国・韓国における捨て子問題、そして違法に赤ちゃんを取引するブローカー、子供を捨てた母親、孤児院の少年が、いとも簡単に疑似家族化し、旅を共にする過程があまりに安易というか、想定外のことが何も起きない。「こうなるだろうな~」という方向に、素直に物語は進んでゆきます。彼らを現行犯逮捕すべく追跡する2人の女性刑事も、まあ!良い人たち。誰も悪人らしい悪人が出てこないんですよね。

韓国映画お得意の血なまぐさいバイオレンスや性描写とも無縁で、万人向けというべきか?私Forestは仕事柄、古い時代の韓国映画から見つくしてしまった感があるので、正直物足りなかったんでしょうね。「え!これで終わり?」みたいな。もっと二転三転、捻りがあると思っていた。

 

韓国の誇る名優ソン・ガンホ氏にとっては、これくらいの役なら朝飯前でしょうし。まあ、敢えて言うなら、IUは歌だけじゃなくて演技もうまいなと!歌手は数分間の歌で観客を魅了する演技者なので、当然と言えば当然なのでしょうけど、改めて韓国芸能界は人材の宝庫だなという思いを強くしました。俳優もプロ並みに歌が上手い人多いしねえ。なんでしょう、この芸事に長けた国民性は。やっぱり遺伝的なものですかね。

世間にも高レビューが溢れているようなので、「期待外れ」的なことを書くのは気が引けたのですが、Forestのブログは忖度なしが基本ですので!

 

ただ、多少なりとも韓国の映画やドラマ制作の現場を垣間見たことのあるForestとしては、一人韓国に乗り込んで、韓国の俳優&スタッフを相手に映画を撮った、日本人の是枝監督の苦労は想像は想像するに余りあります。日本とは全く勝手の違う世界ですから。「ベイビー・ブローカー」で是枝氏は、韓国社会と文化、仕事の進め方を熟知した日本人監督になっているはず。一度きりで懲りてしまうのか?それとも、韓国映画の魅力にハマって2作目に行くのか?Forestとしては後者に期待です。

 

90分一本勝負!「ボイリング・ポイント~沸騰」

シネフィルの上司が薦めてくれた本作。

90分ワンショットが話題の英国映画。まさに映画館で観るのにピッタリの一本です。

www.cetera.co.jp

同じく90分の長回し映画として有名なのは、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督による「エルミタージュ幻想」(2002)。ちょうど英国留学中だった私、Forestはこの映画をロンドンのアートハウスで一人鑑賞し、あまりの素晴らしさに涙を流したのでした。幻想と現実の区別がつかないまま、監督自身が19世紀のエルミタージュ美術館の中をさまよう。。。ロシア王朝240年の歴史を目の当たりにする、その90分はまさに幻想そのものでした。「いつか必ずエルミタージュに行く!」と決意してから20年。まさかロシアがこんな状況になろうとは、当時想像すらできなかったな~。

 

・・・といつものごとく、話は横にそれましたが、再びこのワンショットという手法を使った映画を観ることになりました。しかし、そのテーマは全く異なったもの。

 

クリスマス前の金曜日=レストランが最も込み合う日。ロンドンの高級レストランを舞台に、オーナーシェフのアンディに次から次へと降りかかる災難と、そこで働く様々な立場のスタッフたちの人間模様が、臨場感たっぷり&スリリングに描かれます。

 

アンディ自身も妻子と別居し、仕事しながらも絶えずステンレスボトルに入れ替えた酒を飲まずにはいられないアル中状態。材料の発注は忘れるわ、衛生管理者に書類の空欄(記入漏れ)を指摘されるわ、アーモンドアレルギーの客に胡桃オイルの入ったドレッシングかけサラダを出してしまうわ、正直、かなりヘタレな感じのダメダメシェフ。嫌だな~、こんなシェフの下で働くの(笑)。

 

他のスタッフも問題ありありで、このレストランの厨房や洗い場など、バックヤードでは耐えず誰かが怒鳴ったり、叫んだり・・・まさに阿鼻叫喚。こんなメタメタなレストランが果たして高級なのだろうか(汗)。さすが英国クオリティ?行きたくないなあ~、この店。

 

ともかく、これが一夜の出来事とは思えないくらいの、濃~い人間関係とトラブルが、次から次へと起きていく。しかし、私Forestがちょっと羨ましかったのは、誰もが思ったことをハッキリと口にする潔さというか、それが許されるカルチャーですね。

特に副料理長(スー・シェフ)のカーリーという女性が、店のオーナー(支配人)である女性にめっちゃくちゃ、悪口言うところは、いや~スッキリ!

「こんな人数の予約を受け付けるなんて、あんたの頭が悪いからよ!あんたがSNSに費やしている時間の半分でも、店せ料理の勉強に費やしてたら、こんなことにはならなかった(みたいなこと)」を、すごい勢いでまくしたてるんですが、あれだけ本心を吐き出せたら、もう気分は爽快、ストレスフリーです。

 

いや~、私Forestも「お前の頭が悪いからこうなるんだよ!ば~か、ば~か」と言いたい人がどれだけいることか。ちょっとした代理満足を得られました。

 

これはレストランという場を借りた、社会と人間模様の縮図を描いた映画なのですよね。どの会社、団体でも、複数の人が集まると何かしらの衝突が起きる。ましてや人種の坩堝、ロンドンでは、人種や宗教、出身までが絡んでくるので、よりその問題は複雑化するのです。

 

アンディにとっては悪夢のような一夜だったわけですが、正直これをワンショットで撮らなくても、それなりの映画になったかと思います。ともあれ、現場を縦横無尽に動き回るカメラ、俳優たちの即興芝居による圧倒的な熱気と臨場感は、やはりワンショットの緊張感がもたらしたものか?

 

90分、自分もこのレストランの客またはスタッフとして、そのにいるような気持にさせてくれる。映画館で観てよかった!そう思える作品です。それにしても、疲れたわ~。

 

 

さよなら、Another World鎌倉

2021年4月から始めた、鎌倉(故郷)&大井町(現在の住処)の二拠点生活

15年ぶりに住む鎌倉は、お洒落なカフェやレストラン、移住者が溢れる見慣れない街に変貌していて、戸惑うことも多かった。それでも鎌倉にいる時間が増えた理由は、他ならぬ、ヨガスタジオ「Another World鎌倉」の存在だった。

 

2006年から週一程度は続けていたヨガ。鎌倉でもやりたいなと思っていたところ、これ以上ないベストな環境のスタジオに出会い、月曜日の出社日以外は毎日ヨガ!という日々が始まった。仕事前、あるいは仕事終わりのヨガを毎日続けることで、どれだけ生活が潤ったことか!

 

ヨガスタジオでは、先生も生徒さんも私をファーストネームで呼んだ。苗字も会社も肩書も関係ない。ただ「直子さん!」と呼ばれることで、素の自分に戻れる気がした。

生徒さんのほとんどは、ご近所の由比ガ浜始めとする、鎌倉住人のマダムたち。中には小学校の先輩に当たる方もいた。仕事で、プライベートで、嫌なことがあった時も、ヨガスタジオに来て「こんにちは!」という挨拶を交わし、ちょっとした雑談をすることで、気持ちはスッキリと晴れた。

 

家でも職場でもない、私の大事な3rdプレイスだった「Another World鎌倉」が6月末で閉館する・・・というメールが届いたのは4月1日。中には「エイプリルフールの冗談かしら?」と思ったマダムたちもいたみたい。でも、悲しいかな、それは本当のお知らせだった。

閉館まで残り数日を控えて、連日、各先生たちのラストレッスンが続く。

今日火曜日の夜「ジヴァムクティヨガ」のクラスも最後だった。生徒の中でも大宮から毎週通って一日中レッスンを受けていたTさんは誰もが知る有名人。今日は彼女とお会いするのもラスト・・・ということで、長年のお付き合いの生徒さんたちも集まり、スタジオが入っているホテルの共有ラウンジで、先生を囲んでのプチ慰労会となった。

コロナがなかったら、私はずっと東京に住んでいて、鎌倉に戻ろうという気も起こさなかったに違いない。ましてや、鎌倉でヨガなんて、今までの人生に選択肢としてなかた。共にヨガをした仲間たちの横顔を見ながら、「この一年は夢だったのかな?」という思いが去来した。

コロナが引き合わせた人々と、積み重ねたヨガの時間。彼らは私が今のタイミングで、出会うべくして出会った人々なのだろう。人生に偶然はない。

国外に出られない閉塞感に苦しんだが、自分を育んでくれたこの街での新たな出会いが、なんとか私を生かしてくれた。やっとコロナ渦を乗り切ったこのタイミングで、ここがなくなるというのも神様の思し召しなのかな?そろそろ現実に戻るべき時だという。。。

 

夢は永遠に続かない。ひと時のものだからこそ、より輝いて見えるのだ。私の2拠点生活を彩ってくれた、寛容で純粋なヨガ仲間に感謝を込めて、新しい一歩を踏み出そう。そこには別の「Another World」が待っていると信じて。