かつて西新宿に溢れていた洋楽の海賊盤
いろいろあってだいぶ間が空いてしまったけれど前回の続き。書き終えていたのだがアップする時間がなかった。まだ覚えてくれてる人がいたら幸いです。
まだ都庁は有楽町の頃
古い洋楽をこよなく愛する上京仕立ての田舎者が向かったのは西新宿だった。都庁がまだ有楽町にあった頃、この辺りには中古レコード店が集まっていた。探し歩けば今でも数軒あるかもしれない。
定期購読していた音楽雑誌の巻末にあった海賊盤、自主制作盤、廃盤、輸入盤専門のあやしげなレコード店。通信販売で偽物をつかまされたりするのが怖くても、直接足を運ぶのはまったく平気だった。
モノクロ写真でしか見たことのないあのレコードの実物が見られるかもしれないのだ。むしろ飛ぶような軽やかな足取りでウキウキワクワクしていた。
CDよりも遥かに大きなサイズのLPジャケットは、自分にとってそれだけで作品として成り立つアート作品。とくに好んで聴いていたプレグレッシブ・ロックは凝ったものが多かった。
マンション一室に店員は?
マンションの一室のような造りで、雑然とした狭苦しい店内。それまで田舎で見たきたレコード店とはまったく趣が違う。店員はエプロンなり制服を着けているものと相場が決まっていたが、店にはジーンズにTシャツ姿の長髪男がいるだけ。カウンターに入っていなければ客と見分けがつかない。
分けられたアーティスト名、「German progressive Rock」などジャンルの細分化がスゴい。恐る恐るLP棚から一枚ずつ取り出してジャケットを眺めていく。楽しいことこの上ない。
しばらくして気になったのが、奥まった一角。販売されている一般のビデオソフト以外に大量のビデオテープが並んでいる。例えは悪いがレンタルビデオ店のアダルトコーナーのようないかがわしい香りが漂ってくる。
裏ビデオだ!
そう、これこそがかつて裏ビデオと呼ばれた違法物と同様に正規ルートでは流通できない海賊盤ビデオのコーナーだ。ただし抵触するのは前者が猥褻物陳列罪であるのに対し、後者は著作権法だが。
各ビデオの背表紙にはワープロ打ちや手書きやアーティスト名と○○Liveなどとあるのみ。内容は棚に置かれている小型モニター付きの業務用ビデオデッキで再生して確かめるしかない。
もちろんサンプルなどなく売り物のテープをそれで再生していく。マスターの状態が悪いのか、ダビングを繰り返したのか、テープの劣化が進んだのか原因は分からないがクリアな映像は皆無だったことを覚えている。
意外と安いがボロ儲けか
以来、店に通っては遠慮がちに"立ち見"させてもらっていた。価格は意外と良心的で2000円から5000円の間。もっとも画質も音もノイズだらけで品質は酷いものばかりだったし、売り上げのほとんどが店の収入になるわけだからボロ儲けだったか。
タダ見だけでは申し訳ないのでたまに買うこともあったが、しばらくして正規版が出たときには画質が良いものが見られてうれしい半面、手元の海賊版ビデオの価値はゼロになってしまったわけで複雑な気持ちになったものだ。
◇
というわけで、かつて苦労して入手してきた貴重な映像や音源がYouTubeで簡単に視聴できる世の中が来るなんて思ってもみなかった、としみじみと回顧した。
これだけ情報があふれてしまうと自分だけのお気に入りを見つけるのもかえって大変かもしれないね。まとまりのないまま、また長くなってしまったので今回はこの辺で失礼をば。
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