詳説EPUB(煉獄篇)
EPUBのテンプレートを公開します
「まともなEPUBの雛形がないでござる!」ということでこの十日間ほどをEPUBを調べたりいじったりすることに費やしました。やっとというか案外早くというか、iPadのiBooksで閲覧するという条件をつければまともに文章を表示できる程度のEPUBが出来上がったので、雛形として公開します。ダウンロードして自由に使ってください。
お約束のあれやこれや
利用に一切の制約はありません。好きに使ってください。要望とかは僕に口頭で伝えてください。「使ったよ!」とか教えてくれる人は twitter で @HowManyFIles まで教えてもらえると、小躍りします。
使い方
template.zip を展開すると、中にreadme.txtとテンプレートの入ったフォルダがありますので、適当に使ってください。
表示サンプル
傍点が入ってないですけど、テンプレートを使ってEPUBを作ると大体こんな感じに表示されます。
概説EPUB(構造解説編)
これ何
EPUBの構造と、各ファイルの役割を解説する文章です。私自身がEPUBを作ろうと思って調べました。EPUBに必要なファイルと夫々の役割が理解できることを目指しています。とりあえず、空っぽのサンプルを用意してみました。これを見つつ読めば、いくらか理解しやすいと思われます。僕はこのテンプレートをもとにEPUBを作ってますが、これ単体ではEPUBとして成立してないので、ご注意を。
EPUBを構成するよく分からないファイル達
EPUBは、乱暴に説明するならば『ZIPファイル』です。以下の解説は、冒頭で紹介したサンプルファイルの構造を基準に書いてあります。これを展開して構造を見ながら読むといいと思います。そんなわけで、夫々のファイルがどんな役割を果たしているのかを解説していきます。
mimetype
これは「オマジナイ」だと考えてください。EPUBのファイルを開いたアプリケーションは、最初にこのファイルの中身を確認します。そして内容が『zapplication/epub+zip』であることを確認します(もし内容が違っていたり、このファイルが存在しない場合には、アプリケーションはそのEPUBが正しい構造ではないと判断して、処理を中止します)。
このファイルに関しては、何も考えるべきことはありません。
META-INF/container.xml
このファイルは、内容が変わることもありますが、基本的にはほぼ固定の内容です。また、ファイル名とパスは固定です。要するに、EPUBのzipファイルの中に入っている『使われてるファイル一覧』みたいなデータがどこに書かれているかを指し示しています。この例では『OEBPS/content.opf』というファイルの場所を指し示しています。以下がcontainer.xmlの内容です。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <container xmlns="urn:oasis:names:tc:opendocument:xmlns:container" version="1.0"> <rootfiles> <rootfile full-path="OEBPS/content.opf" media-type="application/oebps-package+xml" /> </rootfiles> </container>
OEBPS/content.opf
このファイルの中には以下のような情報が格納されています。
とりあえずファイルの全貌を紹介します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <package version="2.0" xmlns="http://www.idpf.org/2007/opf" unique-identifier="BookId"> <!-- EPUBのメタ情報 --> <metadata xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:opf="http://www.idpf.org/2007/opf"> <dc:title>タイトル</dc:title> <dc:creator opf:role="aut">著者名</dc:creator> <dc:language>ja</dc:language> <dc:publisher>EPUB作った人</dc:publisher> <dc:identifier id="BookId">urn:uuid:d.hatena.ne.jp/HowManyFiles/book001</dc:identifier> </metadata> <!-- EPUBで使われるファイルの一覧 --> <manifest> <item id="ncx" href="toc.ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml" /> <item id="style" href="default.css" media-type="text/css" /> <item id="html-001" href="001.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-002" href="002.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-003" href="003.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-004" href="004.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="img_001" href="fig001.png" media-type="image/png"/> <item id="img_002" href="fig002.png" media-type="image/png"/> </manifest> <!-- ファイルの並び順 --> <spine toc="ncx"> <itemref idref="html-001" /> <itemref idref="html-002" /> <itemref idref="html-003" /> </spine> </package>
一気に構造が複雑になった気がしますが、大したことはないです。XMLなので複雑に見えるだけというか。
『EPUBのメタ情報』とコメントが書かれた下に書かれているのが、本のタイトルは何で・著者が誰で・言語は何で……みたいな情報です。これはコンテンツの内容によって変わります。あと、この情報は必ずしも全部が必要というわけではないみたいです。例えばpublisherの情報とかは無いなら無いで表示できました。
『EPUBで使われるファイルの一覧』とコメントが書かれた下にあるのが、そのまんまですがファイル一覧です。ページデータの本体であるXHTMLファイルや画像ファイル・CSSファイル・目次のためのncxファイルなどが書かれています。id属性値で夫々のファイルにIDを与え、href属性値でファイル名を明示し、media-type属性値でそれがどんな種類のファイルであるかを明示しています。当然の話ですが、IDは一つのEPUBの中では同じものを使えません。
『ファイルの並び順』とコメントが書かれた下にあるのは、順当にページをめくっていったときにどんな順番で内容を表示していくかの指定です。この時、先程ファイル一覧のところで各ファイルに与えたIDで並び順を指定しています。XHTMLのなかで使われるだけのCSSファイルや画像ファイルは当然ここには登場しません。
OEBPS/toc.ncx
このファイルの中には、本の目次情報が入っています。例えばiBooksではこのファイルをもとにちゃんと目次ページを生成してくれるので『二章三節まで読んだ』とかそういうアクセスが簡単にできます。目次項目には『~.html#foobar』のようにファイルの途中をIDで指定することも出来るので、XHTMLファイルを正しくマークアップしておけば、整然とした目次を作ることが出来ます。
とりあえず中身を見てみましょう。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <ncx xmlns="http://www.daisy.org/z3986/2005/ncx/" version="2005-1"> <head> <meta name="dtb:uid" content="d.hatena.ne.jp/HowManyFiles/book001"/> <meta name="dtb:depth" content="1"/> <meta name="dtb:totalPageCount" content="0"/> <meta name="dtb:maxPageNumber" content="0"/> </head> <docTitle> <text>タイトル</text> </docTitle> <docAuthor> <text>著者</text> </docAuthor> <navMap> <navPoint id="html-001" PlayOrder="1"> <navLabel> <text>第一章</text> </navLabel> <content src="001.html"/> <vavPoint id="html-001-001" PlayOrder="2"> <navLabel> <text>第一章一節</text> </navLabel> <content src="001.html#c001"/> </navPoint> </navPoint> </navMap> </ncx>
なんかまた複雑ですが、ここもパート別に見ていけばなんてことは無いです。
head要素の中身は、そんなにいじることはないはずです。唯一変更すべき場所は、最初に書かれたmeta要素のidで、これはcontent.opfで指定したidと同じものを指定しておけばいい感じです。このへんなんだか冗長な感じがしますが、たぶん色々都合があるんだと思います。
同じように、docTitle要素とかdocAuthor要素とかも、content.opfで指定したものと同じにしておけばいいと思います。iBooksで試してみたところ、基本的にcontent.opfに書かれた情報が使用されるみたいですが、そこはきっと環境によりけりなので、トラブルを防ぐ意味でも同じ内容にしておいたほうがいいんじゃないでしょうか。
navMapの部分に関してはXHTMLで言うところの入れ子リストみたいなもんだと思えばいいです。目次を階層化出来るというか。基本的には目次はnavPoint要素の集合体で、navPoint要素の中にnavPoint要素が入っていることがあります。まあ、実際には精々二階層くらいまでで、そんなに派手に多層化することはないと思います。
navPoint要素には必須の属性値が二つあり、一つはidで、これは他とかぶってなきゃなんでもいいです。もう一つは PlayOrder で、これはnavPoint要素の登場順に1から数字が割り振られます。
navPoint要素の中にはnavLabel要素とcontent要素が入っています。navLabel要素の中に更にtext要素が入っていて、そこに目次として表示したい文字列が書かれています。で、content要素は空要素で、src属性値によって、コンテンツの場所を指定します。で、入れ子リストみたいな感じで、navPointのなかにはさらにnavPointを入れることが出来ます。
navMapに登場してないXHTMLファイルであっても、目次に載らないというだけで、端末のページを捲っていけば普通に読めます。基本的にはきちんと目次を作ることが望ましいと思うのですが、ゲームブックとかではあえて目次には載せないページがあってよいいんじゃないかと思います。
文章を構成するファイル達
XHTMLファイル
これがEPUBの本分を構成する主たるパーツになります。他のファイルはいわばEPUBとしての体裁を整えるためのお飾りみたいなもんです。基本的にはまともなXHTMLであればそれほど問題ないですが、貴方がまともだと思っているXHTMLが実は糞みたいなものだって可能性は捨てきれないので、一度きちんとXHTMLの仕様を勉強してみることをおすすめします。
概説EPUB(実践編)
実際にテンプレートファイルからEPUBを作ってみる
前回はひとまずEPUBを構成する基本的なファイルたちの構造と役割をサラッと解説しましたが、アレだけではEPUBは作れない。そんなわけで、適当な文章と前回のテンプレートから、実際にiBooksなどで閲覧可能なEPUBファイルを作ってみます。そんなわけで、EPUB用のテンプレートファイルを開いて作業します。
EPUBにするテキストを選ぶ
EPUBを作るからにはなにかしらコンテンツが必要なので、どこかから適当にテキストファイルを持ってきます。色々考えるのが面倒くさい人は、青空文庫とかから適当に短編を選ぶといいと思います。長編小説を選んでも別にいいのですが、テキストファイルからXHTMLファイルに変換するのもとりあず手作業でやってしまうので、面倒くさいです。
ただ、短編一つだと章立てしたりそれに基づいて目次を作ったりが出来ないので、今回は短編小説をいくつか選ぶといいんじゃないかと思います。今回サンプルで使ってみるのは、芥川龍之介の「愛読書の印象」と「秋」の二つにしようかなと思います。青空文庫から手に入るファイルはどちらもルビが入っていて鬱陶しいので、ルビとか消した物をzipで固めておいてます。サンプルとか用意するのが面倒くさい人は使えば良いと思います。
テキストファイルをXHTMLにする
ここが手作業でやるにはちょっと面倒くさいんですけど、こったマークアップをしなければ対して時間はかからないです。とりあえず、テンプレートの中に入っている『_template.html』をコピーして使うといいと思います。基本的には一つの論理行をひとつの段落としてp要素で囲んで、タイトルはh1要素に、章立ての番号なんかはh2要素あたりにすればいいと思います。
問題は『鍵括弧の直前には改行が必ず入る』とか『鍵括弧の後は展開がどうであれ必ず新しい段落になる』みたいな作文的なルールをどこまで尊守するかなのですけど、ここで厳密な正解を考え出すと面倒くさい人に絡まれて収拾がつかなくなること請け合いなので、個々の判断でやるのがいいんじゃないかと思います。要するに一つの作品の中でルールが統一されていれば作文的な作法に厳密に従っているかは大して問題ではないというのが僕の感覚です。
そんなわけで、実際に僕が書いたXHTMLを一部載せておきます。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.1//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml11/DTD/xhtml11.dtd"> <html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml"> <head> <title>秋</title> <link rel="stylesheet" href="default.css" type="text/css"/> </head> <body> <h1>秋</h1> <h2>一</h2> <p>信子は女子大学にゐた時から、才媛の名声を担つてゐた。彼女が早晩作家として文壇に打つて出る事は、殆誰も疑はなかつた。中には彼女が在学中、既に三百何枚かの自叙伝体小説を書き上げたなどと吹聴して歩くものもあつた。が、学校を卒業して見ると、まだ女学校も出てゐない妹の照子と彼女とを抱へて、後家を立て通して来た母の手前も、さうは我儘を云はれない、複雑な事情もないではなかつた。そこで彼女は創作を始める前に、まづ世間の習慣通り、縁談からきめてかかるべく余儀なくされた。</p>
以下もこんな感じで延々と続きます。基本的にはテンプレートに入っているhtmlファイルにテキストをペーストして、titleおよびh1要素に作品名を入れて、複数の章に分かれている場合は各章をh2でマークアップする漢字です。あとは段落ごとにp要素で囲ってあげる。ついでに、鍵括弧周辺に関しては、作文のルールを厳密に守ろうとすると鍵括弧ごとに段落が切り替わらなきゃいけないんですけど、あまり体裁がよくない気がするので、明らかに場面が変わっている箇所以外はbr要素で改行するにとどめています。
こんなかんじで、一冊にまとめたいコンテンツを作品ごとに独立したhtmlファイルにして、分かりやすく連番で名前をつけてください。
前回説明したファイルの帳尻を合わせる
ここらへんが凄く面倒くさいんですけど、やらないとちゃんとしたEPUBにならないのでやります。出来るだけ丁寧に説明します。
このへんは前提を共有しとかないと分かりづらいので、以下のような前提でお話を進めます。
- 芥川龍之介の短編二つを単一のEPUBに収録する
- 収録する作品は『愛読書の印象』と『秋』の二編
- 夫々を001.html, 002.htmlというファイル名で保存している
- 『秋』(002.html)は四章構成になっているので、各章の冒頭の漢数字をh2要素としてマークアップし、『c001』から『c004』までのIDを割り振っている
EPUB/content.opf
まずはcontent.opfを編集します。とはいえ大して難しいことはありません。まずは前回のテンプレートから、content.opfファイルをエディタで開きます。で、以下の箇所を編集します
<metadata xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:opf="http://www.idpf.org/2007/opf"> <dc:title>タイトル</dc:title> <dc:creator opf:role="aut">著者名</dc:creator> <dc:language>ja</dc:language> <dc:publisher>EPUB作った人</dc:publisher> <dc:identifier id="BookId">urn:uuid:d.hatena.ne.jp/HowManyFiles/book001</dc:identifier> </metadata>
ここを、以下のように書き換えます。
<metadata xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:opf="http://www.idpf.org/2007/opf"> <dc:title>芥川龍之介・私撰集</dc:title> <dc:creator opf:role="aut">芥川龍之介</dc:creator> <dc:language>ja</dc:language> <dc:publisher>*貴方のお名前*</dc:publisher> <dc:identifier id="BookId">urn:uuid:このEPUBのID(他のものと被らなさそうなものなら何でもいい)</dc:identifier> </metadata>
これで今から作るEPUBが、『芥川龍之介・私撰集』というタイトルの本で、文章の作者は『芥川龍之介』で、EPUBという形に編纂したのが『あなた』であることが明確になります。ここに書かれた情報は、EPUBを閲覧するソフトウェアによって分かりやすい形でユーザに表示されます。
次に、以下の箇所を編集します。
<manifest> <item id="ncx" href="toc.ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml" /> <item id="style" href="default.css" media-type="text/css" /> <item id="html-001" href="001.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-002" href="002.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-003" href="003.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-004" href="004.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="img_001" href="fig001.png" media-type="image/png"/> <item id="img_002" href="fig002.png" media-type="image/png"/> </manifest>
ここにはEPUBのなかで使用されるファイルを列挙するので、以下のような感じになります。
<manifest> <item id="ncx" href="toc.ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml" /> <item id="html-001" href="001.html" media-type="application/xhtml+xml" /> <item id="html-002" href="002.html" media-type="application/xhtml+xml" /> </manifest>
なんだかずいぶん目減りしました。というのも、テンプレートそのままだと『htmlファイル四個』『スタイルシート一個』『画像二個』を使うことになっているのに対して、今回はスタイルシートも画像も一切使わないからです。これで、このEPUBには(必要不可欠な雑多なファイルを除けば)htmlファイルが二つだけ入ってる構造だと定義できたことになります。
さらに、その下の部分も編集します。こんかいは元の部分は省略して、編集後の形のみを掲載します。
<spine toc="ncx"> <itemref idref="html-001" /> <itemref idref="html-002" /> </spine>
説明の必要はないと思われますが、htmlファイル二つをファイル名と同じ順番で並べただけです。ここではidで指定を行う点だけを注意すれば大丈夫です。これで、content.opfファイルの編集は終了です。
OEBPS/toc.ncx
続いて、toc.ncxを編集します。ちゃっちゃと行きましょう。
まずは以下の部分を編集します。
<head> <meta name="dtb:uid" content="d.hatena.ne.jp/HowManyFiles/book001"/> <meta name="dtb:depth" content="1"/> <meta name="dtb:totalPageCount" content="0"/> <meta name="dtb:maxPageNumber" content="0"/> </head> <docTitle> <text>タイトル</text> </docTitle> <docAuthor> <text>著者</text> </docAuthor>
編集後は以下のような感じです。ここは先程のcontent.opfと内容が被り気味なので、流します。
<head> <meta name="dtb:uid" content="*content.opfで指定したのと同じID*"/> <meta name="dtb:depth" content="1"/> <meta name="dtb:totalPageCount" content="0"/> <meta name="dtb:maxPageNumber" content="0"/> </head> <docTitle> <text>*content.opfで指定したのと同じタイトル*</text> </docTitle> <docAuthor> <text>*content.opfで指定したのと同じ著者名*</text> </docAuthor>
この下が目次の情報になります。ちょっとややこしいのですが、慣れればどうということはないです。テンプレートのnavMap要素の中を、以下のように編集します(オリジナルは省略)。
<navMap> <navPoint id="html-001" PlayOrder="1"> <navLabel> <text>愛読書の印象</text> </navLabel> <content src="001.html"/> </navPoint> <navPoint id="html-002" PlayOrder="2"> <navLabel> <text>秋</text> </navLabel> <content src="002.html"/> <vavPoint id="html-002-001" PlayOrder="3"> <navLabel> <text>一</text> </navLabel> <content src="002.html#c001"/> </navPoint> <vavPoint id="html-002-002" PlayOrder="4"> <navLabel> <text>二</text> </navLabel> <content src="002.html#c002"/> </navPoint> <vavPoint id="html-002-003" PlayOrder="5"> <navLabel> <text>三</text> </navLabel> <content src="002.html#c003"/> </navPoint> <vavPoint id="html-002-004" PlayOrder="6"> <navLabel> <text>四</text> </navLabel> <content src="002.html#c004"/> </navPoint> </navPoint> </navMap>
これでファイルの編集作業は終了です。あとはEPUBの仕様が要求しているとおりに圧縮するだけなのですが、それを厳密にやろうとするとちょっと面倒だったりするので、その辺に関して少し書いておきます。
正しいEPUBにするための圧縮方法
前回の記事では『EPUBは必要な情報を必要な形で格納した単なるzipファイルだ』みたいなことを書きました。それは嘘ではないのですが、実際にEPUBを作るとなると、すこしだけ配慮すべきことがあります。実は、EPUBとして正しいフォーマットである為には、以下の要件を満たしていることが必要です。
- zipの内容の先頭に『mimetype』ファイルが配置されていること
- 『mimetype』ファイルは非圧縮の状態で格納されていること
以上です。地味に面倒くさいですね。不可解な仕様ですが、おそらくは貧弱なハードウェアでも利用出来るようにとかそういう配慮だと思います。電子書籍専用のハードウェアを想定すると、汎用計算機であるパソコンと比べて処理能力が低いことや搭載されたメモリの容量が少ないことは想定しなければならないですし。
つまり、正しいEPUBを作るには、ファイルごとの圧縮/無圧縮やアーカイブ内でのファイルの並び順を指定できるアーカイバを使う必要があるということです。GUIを搭載したいまどきのアーカイバはそこまでの機能がないことが多いので、コマンドラインからの作業になるでしょう。ただ、実際には大抵の場合は単にzipで圧縮しただけでも大丈夫なようです。
圧縮してzipファイルにしたら、あとはファイルの拡張子をepubに変更すれば晴れてEPUBファイルの感性です。iBooksなどにファイルを転送して、きちんと表示されるかを確認しましょう。
iPadにシェル的な物をつけるべきなのだろうか
ちょっと悩ましいのが、iPadの背面保護用シェルを付けるべきか否かという事。iPod touch にはラバーコーティングのシェルを付けているのだけれど、それは背面の鏡面加工があまり好み出ないからという理由。基本的に、テカテカな質感が苦手なのだ。それと比べると、iPadの背面はいいかんじのしつかんで、あまり覆い隠したくない。ケースとか付けると側面のスイッチが触りづらくなるだろうし、なにより厚みがましてしまう。
あと、これだけ大きな物になると、万が一落下させてしまった時に、ケースがついていても被害が軽減出来ないんじゃないかなというのもある。安いケースにその手の対衝撃性能を期待するのは間違っているし、外見も含めて好きだから購入したのに、モッサリした外見にしたくない。
そんなわけで今のところ、剥き身のまま使用している。早速小さな傷が背面についているけれど、まあ味が出たってことで。
iPad用のアンチグレアフィルムとかケースとか
安いアンチグレアフィルムを買って、店のスタッフの人に付けてもらった。嘘みたいに綺麗に張り付けられていて感動的だったのだけれど、残念なことにギラつきがつよく、僕の好みではない感じ。勿体ないけれど、早晩剥がすことになりそう。
iPadを買って満足する人とガッカリする人
数日間使用してみて何となく機器の特性を把握出来てきたと思うので、少しまとめてみようと思う。
iPadに限った話ではないのだが、そもそも物の購入おいて失敗を避けるには、買いたいという欲求が単なる好奇心からの物なのか、それとももっと具体的な目的を実現する物なのかを切り分ける必要がある。特にApple製品は宣伝のやりかたが巧妙なので、うっかりすると、勢いだけで買ってしまいかねない。対して高額な物ではないとはいえ最低五万円近い値段の物で、自分のニーズに合うかどうかをゆっくりと考えてから購入しても遅くないだろうと思う。
というのも、iPadがもたらす便利はPCがもたらすそれとはかなり質が違う物だからだ。少なからぬ人にとって、iPadで満たされる部分は既にiPhoneによって満たされているのではないかとも感じる。その点を考えずに購入してしまうと、おそらく「思ったほど良い製品ではなかった」とガッカリしてしまうことになる。
まず、iPadは片手で持って使う物ではない。基本的には膝やテーブルの上に置いて、両手で使う物だ。つまり、通勤電車の中で電子書籍を読むためには使えない。それに、多くの人にとってiPadで長文を入力することは苦痛だろう。僕はこのソフトウェアキーボードに一日で慣れてしまって、不自由なく高速に日本語入力をこなせるようになったけれども、きっとかなりレアなケースだと思われる。すくなくとも、ネット上では「ソフトウェアキーボードが使いづらい」みたいな意見が溢れている。IMEをカスタマイズすることも出来ないので、本格的に文章を作り上げて行く作業は困難だと思われる。さらにいえば、iPad単体で絵をかくことも難しい。もちろん絵をかくためのアプリケーションは多数公開されているが、ペンタブレットのようには行かないし、紙に手でかくのとも勝手が違う。
つまり、iPadに対して緻密なアウトプットを行うことそのものが困難なのだ。何となく購入を検討している人は、この辺りを基準に選べば良いと思う。
rapeme.org ビフォーアフターオフ会
はじめに
二〇一〇年六月一九日〜二一日の三日間にわたり開催された、rapeme.org ビフォーアフターオフ会に彼女と一緒に参加してきました。僕は絵を描き、彼女は写真を撮影したり UST で視聴者に状況を説明したりしてくれました。僕の仕事の都合があり、一日中参加できたのは二〇日だけで、前後の日は途中で退出したのですが、とても充実した稀有な三日間でした。絵を描いたり絵描きさんと話をしたりして沢山アウトプットをしたし、同じように人の絵を見たり人から自分の知らないことを聞いたりして、山ほどインプットした感じです。やや濃密すぎて、日常生活に復帰するのに数日必要でした。
絵を描いていた時間帯は皆、黙々と絵を描き、たまに小休止を取るときに周囲の人と話たりする感じで、絵描きにとってすごく心地良い空間が広がってました。まるで皆が真面目に参加している美術の授業みたいな。
僕は三日かけて洗面台の女性の絵と、トイレ付近の壁に怨霊のような絵を描きました。洗面台の絵はシャーペンで下書きをしてマッキーで筆入れ、トイレ付近の絵は木炭でゴリゴリやって一発で描いた。絵を描く人で互いに見たり見られたりしながら作った作品なので、やや普段の絵と違うニュアンスが出た。あと、普段は紙に作品を描くのだけど、人の家の一部として作品を描くんだなあなどと考えながら絵を描いたので、場所と作品のテーマにつながりを持たせてみたりもしました。そんなわけでこの数日間、脳味噌の疲れが全く取れなかった。
作業風景など
@lovalotta, @toumorokoshi, @suga_public が撮影してくれた写真を勝手に使いつつ、僕自身の作成風景を振り返ってみる。
ビフォー★アフター初日が開始してまもなく撮影された一枚。何を描くか全くノープランでやってきた僕はマッキーを片手に悩んでる最中。この時、柱に落書きをしてたんだけど、これは結局作品にならなかった。なんてこった!
それからしばらくして、やっと何を描くか漠然と決まってきた頃。飲み物を調達したり喫煙したりしている間に人が増えてきて、部屋の奥の壁が段々手狭になってきたので、洗面所の壁に進出してます。この時点で決めてたのは『女性を描こう』って事と『細かいテーマは水場から着想しよう』って事くらい。
いつまでも鉛筆で描いていても存在感が出ない(壁に鉛筆で描いても、ビックリするくらい薄く見える!)ので、腹をくくって色々な事が決定しないままマッキーで線を引き出した。まだ肝が座ってなくて、ところどころ線がブレてたり迷いが見られる。でもこのあたりから、線を引きながらどんどん次が決まっていって気持よかった。このへんが写真に残ってないのは、きっと僕が犯罪者チックな笑顔だったからだと思う。
マッキーで線を引いている最中に、初日の作業は終了。皆が酒を飲み始めたところで、僕は国分寺に戻ってお仕事。
翌日も一三時ちょうどくらいから作業を開始して、ほぼ完成。ちょっと時間を置くと不満なところが出てきたりして、細かい修正を入れたりしてるところ。結局この後、髪の毛の先端部分とか唇とかにちょっとだけ色をつけて完成。
やや時間に余裕があったので、ハデカンさんの木炭を借りて二枚目の絵を描き始める。トイレから出てきたときに一番に見える場所なので、ちょっと薄ら怖い感じの絵を描こうという魂胆。勢いだけでどんどん描き進めていく。
感想など
一言で言えば『楽しかった』に尽きる感じです。沢山の人と仲良くなれた感じがするし、あんなゲラゲラ笑った酒盛りは久しぶりだった。芸術の話をしたりされたり、ヒューマンビートボックスが上手い二人のセッションを見たり、未体験ゾーンな事が多くて濃厚でした。
こういう機会に知り合った人との縁は大切にしたいなあ。なかなか作品を作る人同士ってつながらなかったりもするし。