0316

不安定な空模様、雨水と沈丁花のまじった青いにおい、春が近づいている。寒さにかまけて自宅に引きこもるのはもうやめて、今日なんか電車に乗って、好きな作家の講演会に赴き、新書も買って、柄にもなくサインをもらった。その時まったく嘘の名前を名乗ってみたら「ほんとうのなまえですか」と聞かれ我に返ってそそくさ帰る。春の魔法、春は魔法。


来月の予定が埋まりつつあってこわい。桜が散ったらワシ死ぬんかなあってくらい、行きたいところに行き、会いたいひとに会う。

 

0227

書けない。

労働という拘束時間ができたからといって、書く時間が全く無いわけじゃないけど、いかんせん体力がないので、家に帰るとすぐ眠ってしまう。……逃げるように布団にもぐり、外界から身を隠すように息をひそめ、目をつぶり、明日こそ何も起こらないようにと願いながら、やがて眠る。これを毎日繰り返していたら、時間は無下に融けて、気がつけばもう3月、最後にブログを更新してから2カ月経っていた。いま、慌ててパソコンを開いたところ。

書くことが何もないわけじゃないはずだ。何もない2カ月を過ごしてきたわけじゃないから。むしろ、書きたいこと、伝えたいこと、語りたいこと、残しておきたいこと、いっぱいある。それでも、やっぱり、その日のうちに書き切ってしまう体力がない。それは、身体を鍛えたり、栄養のあるものを食べることで身につく体力とは違う。たくさん眠れば自ずと蓄えられるものでもない。じゃあなんだと言われても自分のことながら困ってしまうが、こころの体力、としておけばいい。……こころ。ひとつこれをうそぶけば、すべてが説明つくような気分になる。そのくせ手元には何の結論も残らない。ふしぎなふしぎな魔法のことば。……そういう魔法に縋るようになってきたのも、書くことをしなくなったことのあらわれ。

何らかの結論を導き出すための文章なんて書けなくていいから、量も質もどうでもいいから、今日あったことを感じたままにただ書き連ねられるまでになりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つたないわたしのはなしをきいて

1221

どうも眠れず夜を徘徊しようとマンションのエレベーターに乗り込んだらば、足元から人肌のぬくもりとその色を感じて、人面、かと思えば持主の知れないはぐれゲロだった。それと関係あるかどうかは知ったことではないが、思えば、世は、忘年会シーズンである。

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1207

ひさしぶりに声を聞けてよかった、と言われて、は、とした。そうだわたしは、ここにいていいんだ。じぶんのきもちをこえにだしていいんだ。至極当然のことなのに、わたしはしょっちゅうそれを忘れる。こんや、思い出せたのは、かつてお世話になったあなたたちといつぶりかの再会を果たせたからだ。
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