【Kangaroo Care】

“Leo watoto wangapi watavunja mezani!!(今日は何人の赤ちゃんが机を壊せるかな?)”

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Kangaroo病棟の1日は看護師のこの一声から始まる。

ここは体重1500g未満の赤ちゃんがいーっぱいいる病棟。

ここで言う“mezani(机)”とは、体重計のお皿部分のこと。

その“机”は体重が1500g超えると壊れる。

壊れたら、晴れて、退院できる。やったぁ!

 

つまり、「何人の子どもが退院できるくらい大きくなったかな?」っていう比喩表現。

 

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体重1500gを越えると、

“Amevunja mezani!! Hongera!!(机を壊したね!おめでとう!)”声をかける。

ママは大喜びをして、赤ちゃんにキスをし、

病棟みんなで1人の赤ちゃんの体重の増加を喜ぶ。

 

体重1500gを越えなくても、昨日よりも増加したら、

同じように“Hongera(おめでとう)!”と声をかける。

 

一方で、昨日よりも減って落ち込むママには、

“Ataongeza kesho(明日増加するよ)!”と声をかける。

 

Kangaroo Careとは、赤ちゃんをママに抱かせる保育法で、

保育器がない途上国では、

未熟児・低出生体重児を救うために代替案。

赤ちゃんの呼吸が安定する、

赤ちゃんの体温が保たれる、

赤ちゃんの免疫が高まる、

母乳の分泌が促進される、

ママと赤ちゃんの絆が深まるといった効果がある。

 

ママはご飯の時と、トイレの時、赤ちゃんにミルクをあげる時以外は、

ひたすら赤ちゃんを抱っこして寝ていなきゃいけない。

これねー、結構辛いと思うんだよね、すごい!

 

この病棟が他の病棟と明らかに異なることは、

病棟の雰囲気、医師・看護師と患者間の信頼関係。

 

医師・看護師の患者への関心。

赤ちゃんの体重増加をママと一緒に喜び、

退院に向けてママと赤ちゃんと一緒に頑張ってる感。

 

同じ「体重測定」でも、

測定後大喜びをして赤ちゃんにキスするKangaroo病棟のママ、

測定後表情を何一つ変えず帰室する栄養失調病棟のママ。

 

その違いは何か?

もちろん体重増加が退院のゴールであるのと、

そうでないってのは理由の一つかもしれない。

Kangaroo careの効果なのかもしれない。

 

けど、この病棟の看護師のかける一言一言も、

ママの育児への自信を促し、

赤ちゃんへの愛着を増強させている理由の一つだろうなって思った。

 

「看護師の鏡」賞でもあげようかな♪

【足るを知る】

わいわーい♪

院の仲間がはるばる遊びに来てくれたー(^_^)/
大量な支援物資と共に、
エネルギーをチャージ完了。

それだけじゃなくて、
今回一番感謝したいことは、
みんなのおかげで気付けた自分の酷さ。笑

みんなの前で活動報告をする機会をもらって、
「アフリカの医療こーんなひどいんだよ!」
「それを私こうしてみましたーヽ(^o^)丿」
みたいな発表会をしてしまって、トホホ。

これ、
完全に同僚をさらし者にしちゃってるよね。
さらにね、
「タンザニア看護師の強みは?」って聞かれて、
「・・・」
何も思いつかなかった。ちーん。
ほんとひどいよ、自分!!!はぁ。

タンザニア人の強みなら、いくらでも言えるけど、タンザニア看護師の強みが出てこなかった。

なんでもあって、なんでもできちゃう
先進国のフィルターを持った人が国際協力の現場に入ると、
なんでないの?なんでできないの?って
どうしても「ないもの」「できないこと」に目がいきがちになる。
だから、怒ったり、悲しんだり、不満を持ってしまう。

そしてそこを改善しようと寄付・指導が入る。

でも、現地人からしたら、
非継続的な寄付の結果、
その在庫がなくなった時に悩まされ、
医療設備が不十分な中での指導の結果、
知識はあるのにそれができない環境にもどかしさを覚え、

足るを知っていたはずの現地人は、
あるべき理想の状態を知ってしまい、現実とのギャップに挟まれる。
ましてや、知識があるのに医療設備の不十分さで患者が亡くなったら…
そりゃぁ、無力感に苛まれるよね。諦めたくなるよね。
「ないからできない!」って先進国が生み出しているのかもしれないね。
それって、現地人の心をすごく貧しくしている気がする。
すごくいい迷惑。

でも、そうじゃなくて、
「あるもの」「できるもの」に目を向けて、
現地人も自分たちにあるもの、できるものに自信が持てるように。きっとたくさんある先進国にはマネできない強み。
ここの足るを知ってないのは私だった。

そうすることで、「ないからできない!」という諦めから、
「ないけど、あるものでやろう!」という挑戦に変わるかもって思ったり、期待したり、応援したかったり。

…その上で、
指導研修だけじゃなくて、その知識が活かせる環境整備も同時に、
寄付支援だけじゃなくて、その環境が活かせる指導研修も同時に。ね。大事。

でも実際すごいんだよ!
なんとかしちゃう精神。
出血性ショックを起こした患者さんの輸血がない時に、
「ないなら、ないで、ここにいる人全員の血液型調べて、合うやつを見つければいいだろ!」
って助けちゃったり。かっけーって思った。

今度はみんなに会った時は、
「うちの同僚看護師こーんなにすごいんだよ!」
って自慢できますように!
ってか、するからね!!!!!!!
みんなありがとー♡

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【28歳の抱負】

28歳「自分の選んだ道に責任を持つ」

 

みんなお祝いパワーをありがとうございました!

タンザニアで初めての誕生日は、

病棟で初フラハケーキをもらいましたヽ(^o^)丿

先生、同僚、患者さんがお歌を歌ってくれました♪

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協力隊のみんなが祝ってくれましたヽ(^o^)丿

感謝。あさんてさーな!

 

抱負の理由はなんでかってね、

ここ数週間、色んな事が重なって余裕がなくて、

「やりたくない」「行きたくない」「めんどくさい」

…って、グチグチしていた自分がすごく嫌だったから。

結果、全て放棄。。。

もっと、こうスマートに仕事をテキパキこなしたいっ!

 

死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう!

あと1年4ヶ月で終わってしまうのだから、全力で向かっていこう!

時間は限られているのだから、チャンスはいつも今だ!

嘆きわめくことなんか、オペラの役者に任せておけ!

ニーチェ、意志への力(改

 

忙しい時こそ、余裕がない時こそ、笑顔ヽ(^o^)丿

そしたら、脳みそが勘違いして、楽しくなるし。

ひとつ、ひとつ、着実にヽ(^o^)丿

そしたら、ラッキーな事に巡り合えるし。

 

皆さま、甘ったれたことを言っていたら、

バシッっとお願いしまーす!

【過剰寄付について考える。】

MOTTAINAI

今日、私は一体、何千万円分もの医療物品を破棄しただろうか。

理由は、使用期限切れ。

 

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…これを必要としている患者さんがいるはずなのに。

…誰かの善意で寄付されたものかもしれないのに。

…医療物品は決して安くないのに。

 

必要としている患者さんがいるものを、

人の善意を、

あんなにも高価なモノを、

この手で大量に捨てなきゃならないのは、心が痛んだ。

 

日本で働いていた時に使用していたものと同じものが多く、

患者さんに役立つものだって分かっているからこそ、

高価なモノだと分かっているからこそ、

一つ一つ、大切に扱ってきた。

自分のミスで、使用できなくしてしまった時には、

「やっちまったーーーー、ごめんなさい。」

って患者さんに対して、病院に対して、

申し訳ない気持ちにもなった。

 

けど、倉庫から大量のゴミが出たことに

爆笑するタンザニアの看護師たち。

なんか違うな。

 

期限切れに繋がる理由は3つ。

 

その1“Nipe!!(ちょうだい!!)”

もらうこと大好き、タンザニア人ヽ(^o^)丿

とりあえず、もらえるものはもらっておこー!

え、これどうやって使うの?

ん?知らねw

いつか分かるさ、倉庫にしまっておこー!

…って期限切れたぁー!

捨てちまえー!

 

先進国の人たちが、途上国の現状に同情し、

「途上国支援をしたい!でもどうやって?」って思うことは素敵なことだと思う。

そんな中、自国にいながら割と簡単な支援方法と思われがちなものに、「寄付」がある。

 

でも、先進国側の情報収集不足から、途上国の人々のニーズに合わない、使用しないもの、使用方法の分からないものを寄付してしまうことが多い。実際、とある研究では、寄付された医療物品の40%は未使用のまま破棄されるとかなんとか。

 

「寄付」は「プレゼント」とは違う。

「プレゼント」は、相手の喜びそうなものを考えて、選んで、あげるもの。

もらった側は、例えそのプレゼントがあまり欲しくないものだったとしても、相手が選んでくれたっていう事実が嬉しいし、大切にしたいって思うハズ。

「寄付」は、相手の情報収集を行った上で、必要なものを考えて、選んで、あげるもの。

もらった側は、例えその寄付品があまり欲しくないものだったとしたら、誰からもらったかも分からないし、使用方法も分からないし、御倉行き。大切になんてできない。

 

その2“Wanachukua!!(彼らが盗むから!!)”

捕られることを恐れる、タンザニア人(+_+)

…とりあえず、捕られないように鍵付き倉庫にしまっておこー!

「今」必要としている病棟があるのに、

自分の病棟で壊れた時の代替用にとっておく。

そして、気付いたら期限が切れるっていうオチ。

はぁ。

 

例えばストーマパウチ5800円/1個。

使用期限切れで100個は捨てた。

私「なんでこれ小児外科にあげなかったの?」

師長「…たまに必要な患者が来るから、取っておいた。」

本当にあること覚えてた?

期限切れる1ヶ月前くらいに譲渡できたんじゃない?

なーんて思ったりもしたけど、

「寄付」は定期的、継続的なものではない。

定期的、継続的に手に入るものであれば、鍵付き倉庫にはしまわれないだろう。

だからこそ、こういう行動をとってしまうのも分からないでもない。

私だって、今日本食をもらったら、誰にも捕られないように、冷蔵庫の奥の方に隠して、気付いたら賞味期限が切れてたなんて話があってもおかしくない。

それならば、定期的、継続的に医療物品が入る流通網の確立の方が大切なのかなって思ったり。

 

その3“何も悪くないタンザニア人!!”

そもそも、援助でもらった時点で期限が切れていた。

師長が「ワズング(白人)は、アフリカ人なら使用期限が切れたやつを使ってもいいと思って持ってくるんだ。これだって一昨日もらったやつなのに、期限が切れている。大問題だ!いらなくなったものを持ってくる!」と話す。

でも事実、期限切れの医療物品が寄付されていた。ありえない。

海外支援しているっていう肩書が欲しいだけ?

ムッキー。

 

もらうだけ、もらう。

これが所謂「援助慣れ」かぁ、とひしひし実感。

 

これらの結果、

モノが壊れたら、修理しないで捨てる

モノがないなら、医療行為はできない、しない

モノはねだり、貰えるまで、待つもの

モノを大切に扱えない

という考え方が根付く。

おぅのー。

 

人の善意に文句は付けたくないけど、

人の善意がゴミになっているのはもっと嫌。

 

だから、言いたい。

「寄付」は、簡単にできるようで、

最も難しい援助方法の一つだと思う。

それを理解した上で、援助方法を考えて欲しい。

 

MOTTAINAI!!

ワンガリ・マータイさんが提唱した世界共通言語をタンザニアでも広めたい。

 

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【私の夢】

 小さい頃の夢が叶いつつある今、

新たな夢について考える今日この頃。

 

“「栄養失調病棟」と「下痢病棟」の閉鎖”

 

この2つの病棟が閉鎖するくらい、

栄養失調の子ども、下痢する子どもが減って欲しい。

 

栄養失調病棟を終え、

先週から「下痢病棟」にいる。

 

発展途上国における5歳未満の子どもの死亡原因、

 

1位 新生児期の問題

2位 肺炎

3位 下痢

 

…なんで下痢で人が死ぬの?

 

日本にいる時から疑問に思っていたことの一つ。

 

目の前で惜しくも亡くなった子どもたちは、

下痢による極度の脱水に耐えられなかった。

下痢による電解質異常に耐えられなかった。

下痢による全身へ蔓延した敗血症に耐えられなかった。

その他にも、HIV、肺炎、マラリアなどの合併症が関与。

 

とある看護師に聞いてみた。

 

…なんでそんなに下痢になるの?

 

汚染された環境。

汚染された水。

不衛生な手で子どものご飯を準備。

沸騰させていない汚染水を子どもに与える。

フルーツをちゃんと洗わずに食べさせる(特に果物の収穫の多い3月と12月は下痢患者が増えるらしい。)。

など。

 

…じゃぁ、そこら中で水を売っている都市部でも下痢になるのはなんで?

 

タンザニアの都市部でも、共働きが増え、House girlという家事や子どもの世話をしてくれる少女を雇う家庭が多い(月5000円くらい)。しかし、そのHouse girlは15歳~20代前半と若く、学歴は小学校卒業止まりの子達。教育が行き届いておらず、家事でやることが多いHouse girlは、子どもの食事だけ準備して、勝手に食べさせることが多い。そうすると、子どもは汚い手で食べたり、床に落ちたものを食べたり…。結果、下痢になる。

 

今度は、下痢病棟の専門医に聞いてみた。

 

…何が死亡の一番の原因だと思う?

 

“They come to the hospital too late.(病院に来るのが遅すぎる)”

“They won’t die if they start the treatment more early(早期に治療が開始できれば、死なない。)”

 

タンザニアのママたちは若い。

夜熱があっても、朝方下がれば、治ったと思う。

農業仕事があるから、子どもを放置してしまう。

病院までの交通費を考えると行かない選択肢を取ってしまう。

医者が言うことよりも、自分の両親や夫の意見を優先してしまう。

 

…なるほど。

確かに、日本のママたちは子どもが病気になったら、すぐに病院にかかる。

それは、すぐ近くに診療所があるってのもあるけど、

ママたちが早期発見・早期治療がどれだけ大事かを教育されているから。

 

1週間でまた、3人もの子どもが下痢で亡くなった。

 

泣きじゃくるママ。

放置される子ども。

その横を素通りする医者と看護師。

 

いつもの光景。

 

床に崩れ倒れるママ。

その横を素通りする医者と看護師。

 

やっぱり違和感。

やっぱりおかしいよ!!!!

 

気付いたらママの横にいた自分。

少し側に寄ると、抱きついてきた。

“Pole(お気の毒に)”と言うことしかできない。

力強い目で、何かを訴えているように泣き叫ぶ。

 

そしたら、看護師ではなく、他のママたちがやってきた。

背中を撫でて、何か声をかけている。優しいな。

 

“Mungu(神)”とか

“Utapatanyingine(他の子に恵まれるから)”とか

“jikase(辛抱、我慢)”って言葉だけ拾えた。

 

…んんん?他の子?!

…えええ?辛抱?!我慢?!

いやいやいや、今そんなこと言うの?!?!

 

不思議な感覚だった。異文化。

 

子どもを亡くしたママの気持ちは分からないけど、

きっと自分を責めたり、

孤独を感じているんじゃないかと思う。

 

だから、スワヒリ語で何言っているか分からないけど、

ママの側で、ママの叫びに耳を傾けたい。

 

自分の看護ってここには必要ないんじゃないかって前回の日記に書いたけど、

そうじゃない。

 

日本が、タンザニア流の看護で見習わなければいけない部分も多くあると思うし、

郷に従うところは従うべき。視野も広く持っておくべき。

だけど、自分が大切にしている看護の姿勢を変える必要はないし、必要性の有無を検討する必要もないなと思うようになった。

 

それは日本にいようが、アフリカにいようが、

世界のどこにいようが、一緒だもん。

私が今まで出会った患者さんに教わったことだもん。

 

……でも、コレラ怖いし、早く下痢病棟から逃げたいんだ。笑

【Uzembe(怠惰)】

“ Si taki!! Si taki!!(ヤダ!ヤダ!)”

 

泣きじゃくる罪なき子どもたち。

 

ドレッシングルーム(火傷の消毒、包帯交換を行う部屋)。

火傷を負った子どもにとっての恐怖の部屋。

訳も分からず、痛いことをされる部屋。

2日に1回強制的に連行される部屋。

必死に抵抗しても、全力で押さえつけられる部屋。

 

それも痛み止めや鎮静なしで行われる。

……トラウマだわ。

 

入院患者の火傷の程度は激しい。

火傷の面積は、全体表面積に占める割合(%TBSA)で算出される。

火傷の深度にもよるが、40%以上は、死のリスクに晒される。

もちろん20~30%台でも助からない子は助からない。

もともとの皮膚が黒いせいか、火傷が目立ち、痛々しい。

 

火傷のリスク因子は何か?

*年齢:多くが1-3歳または6-10歳。

認知発達よりも行動発達が著しく、行動範囲が広くなる頃。

または、調理のお手伝いをし始める頃。

*場所:約90%が住宅環境で生じる。

*場面:約90%が調理中の事故。

その他、てんかん、虐待、就寝時…

*住宅環境:日本の都会と似ているダルエスサラームでは、一部屋一家族の世帯が多く、一部屋で食べる、遊ぶ、調理する、寝る、勉強する、などが行われる。当然、遊び場と調理する場が混在すると事故のリスクが高まる。

*調理器具:3つ石かまど、七輪みたいなやつ、ガスコンロ

*電気:停電すれば、灯油ランプまたはろうそくを使用する。

*不注意:両親の不注意。

 

実際カルテで原因を見てみると…

水を煮沸中の鍋にあたって、熱湯をかぶって熱傷。

地面に置いてあったママが飲むためのチャイ(熱湯)に触れて熱傷。

マハラゲ(豆)の入った鍋が誤って三つ石かまどから落ちて熱傷。

ろうそくを付けたまま寝たら蚊帳に炎が移って熱傷。

調理を手伝っていたら足元にある七輪の炎がカンガ(伝統服)に移って熱傷。

 

…日本だとどーだろう?

 

わざわざ煮沸しなくても、きれいな水が手に入るし、

家に子どもが届かない高さのテーブルはあるし、

鍋が安定して置けるガスコンロがあるし、

子どもが届かない高さの電気コンロがあるし、

家に電気があるから、ろうそくを付けることもあまりないし、

火災報知器もあるし?

 

不平等じゃんかー。子どもに罪はない。

生まれてくる子どもは国を選べない。

 

でも、何が一番悔しいかって、

火傷をしてしまった子どもに対する親の受け止め方。

 

“Bahatimbaya(運が悪かった)”

“神が決めたことだから仕方がない”

 

…え、

うっそぉおおおおおーーーー?!?!

嘘って言って、お願い。涙

 

もうちょっとだけ考えてみよーよ!

自分がもし〇〇をしなかったら、

子どもは火傷しなかったかもしれない。

 

It’s PREVENTABLE!!!

神はわざわざ子どもを火傷に負わせたりしない。

 

日本のママやパパだったら、

まず自責の念には駆られるところ…

でも、そういう責任感はあまり見受けられない。

(だめだめ、日本の価値観押し付けまい;)

 

私「どうしたら火傷の子どもを減らせると思う?」

看護師「親がUzembe(怠惰)だから無理~!」

 

出た、“Uzembe(怠惰)”。

 

私が看護ケアについて質問すると、頻繁に帰ってくる言葉。

私「~しないの?」

看護師「やった方がいいけど、私たちUzembeだから♪」

語尾が踊っている、てへぺろ的な。

 

完全に開き直ってる。ちーん。

 

…みんながみんなそうじゃないけど、

どこか人に対する関心が薄い国民性な気がする。

 

そういう考え方だから、

看護師が患者に対して、親が自分の子どもに対して、

Uzembe(怠惰)になってしまうのかなって。。。

 

そういうタンザニア人の楽観的な所も好きだけど、

愛の反対は無関心らしいよー!!!

そして、愛には責任が伴うと思うよー!!!

 

だからと言って、今まで関心がなかったことに、関心を持つなんて…至難の業。

私だって無関心なことにはとことん無関心。

行動変容に頼るActive Preventionには限界がある。

 

だからこそ、行動変容なしで予防できるPassive Preventionが同時に必要。

車で言う、シートベルト(行動変容)とエアバッグ(受動的な予防)的な。

 

強制的に火傷のリスク因子を取り除く環境整備。

例えば、子ども福は不燃布にする。

例えば、鍋が安定して置けるかまどの開発。

例えば、短時間でお水を沸騰できる商品の開発。

 

私は、安全対策講習会的なものをママたちに開きます。

商品を大量生産する〇国企業様、安さだけを求めて商品の大量生産をしないで下さい。

国際機関、企業のみなさん、Passive Preventionの整備、お力を貸して下さい。

 

以上、現場の声でした。

【環境を整える。】

青年海外協力隊の面接で聞かれた質問。

 

面接官「5Sについてどう思いますか?」 

(…えっ?!なんで私の病棟のこと知ってるの?)

 

私「はい、4年間新生児から大人まで、急性期から慢性期、様々な疾患を看れて…」

 

(…ん?なんか面接官の顔が曇ってる…)

 

面接官「知らないならいいです。」

 

呆れた顔。

…正直協力隊は落ちたと思った。

 

私は慶應病院の5S病棟に勤めていた。

5S、つまり5階のSouth(南)病棟。

だから5Sって言われたら5Sなんだもん。

 

でも面接官が言っていた5Sは、

職場の管理の基盤づくりの活動で、

「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」

頭文字の5つの「S」をとったものだった。

効果として、職場環境の美化、従業員のモラル向上、業務の効率化、安全性向上など。これは、整理整頓により職場をよく見るようになり、問題点などの顕在化が進むためであるとされる。

 

そして5Sが出来たら、現状の「改善(KAIZEN)」を行う。

 

…ナンデスカソレ、カタヅケ、キライ。

 

でも、実は日本人ってすごいんです。

わざわざそんなスローガンみたいにしなくても、

5Sを意識しなくても、5S-KAIZENが出来てしまうように教育されてるん。

もはや日本文化として紹介するべきやと思う。

 

事例。

患者:看護師=20:1 

いつも60人近く患者さんがいる病棟では、

「〇〇のカルテどこ~?」

「〇〇の薬がないー!」

との声が飛び交っている。

 

あまりにも患者数が多く、

患者さんがなかなか薬をもらえない。

それによって治療が遅れ、死ぬ。

よくあるケース。

 

その時間の無駄を省けば…

患者さんの命は助かる?助けてくれる?

 

そんな希望を抱き、図工を始めた。

 

病室ごとに患者カルテを収納できる箱を作成。

これで、朝来た看護師は自分の担当の病室の箱だけを持って、

病室に行けば良くなった。

 

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各患者用の薬Boxを作った。

これで、患者さんが薬を投与されるまでの時間がだいぶ早まった。

 

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…でもそんなことをやっていると、ふと思う。

私図工しに来たんじゃないよう!!

看護がしたいんだよう!っと本音が出る。

 

けど、その考えが一転。

協力隊員にはボランティア調整員というメンターがつく。

私が尊敬している元メンターの方が、

「俺らの仕事は現場に入って直接国際協力をすることはできない。けど、現場に入っている隊員が“この国に来てよかった!”って思えるように、“働きやすい環境を整え(職場、住宅環境、人間関係など全て)、サポートし、背中を押すこと”はできる。そうすることで、隊員のモチベーションが上がって、活動が上手くいけば、それは間接的に国際協力ができたことになると思っている。だから、隊員の要望は、どんな要望でも頭ごなしにNOと言うのではなく、その人に話を真摯に聞いて、寄り添ったつもり。」

 

なるほど。。。

直接医療行為ができないなら、

間接的に「子どもへの看護の質の向上」に繋がるような環境を整えれば良い。

看護師隊員が行っている5S活動もそのうちの一つ。

私の図工もそのうちの一つか。

 

私が作った箱は、段ボール製。

いづれは壊れて、また元通りになるんだろうな。

意味ないよなー…

って思ってた矢先。

2週間後、その病棟に訪れると、

私が作った患者カルテを収納する箱が使用されておらず、

部屋の隅っこに置かれているのを見つけてしまった。

あ~あ、やっぱそうなるよな。。。

今は、どうしてるのかな?と患者ファイルの行方を探すと、

 

なーんと、私が段ボールで作った形そのまんまを大工さんに頼んで薄紅板で作り変えてくれてるじゃないですかー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

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しかも師長の自腹で。

涙が出そうになったよね。出てないけど。

 

「これで壊れないから、フラハが2年後日本に帰っても続けられるね!」

 

と師長さんが言ってくれた。

すごく嬉しかった。

 

環境を整えるというのは非常に難しいことではあるけれど、

こういう人と一緒に、現地の看護師が“看護師になって良かった!”

と思えるような環境を整えたいなって思った。