シルバニア 森のキッチンに行きました
シルバニア 森のキッチンへ行ってきました。誰にも頼まれてませんが、日記がてらレポートしようと思います。
ちなみに、わたしひとりで行きました。
越谷イオンレイクタウンのアウトレット内にある「シルバニア 森のキッチン」。入る前からでかい赤ちゃん(?)がお迎えしてくれます。
入り口から入ると、手前がショップ、奥に森のキッチンがあるつくりになっています。レジに並ぶ家族連れの間を縫うように陳列棚を見つつ、シルバニアの赤ちゃんを3人と、クリアシール、そして店舗で行われているシルバニアくじを一回引きました。
一番良い賞はデッカいお家なので『当たったらどうしよ、持って帰れないし困るな…』と内心ドキドキしながら引きましたが、E賞の「赤ちゃんキャンプシリーズ」が当たりました。おまけにシールもくれて嬉しかったです。
買い物を済ませると15時過ぎでちょうどランチタイムが終わり、ティータイムが始まったところでした。
そしていざ「森のキッチン」へ!
ひとりだと伝えたのに4人掛けのテーブルに案内されてしまいました。
わたしの席から見えた光景です。
普通にお腹空いていたので、ラルフのエビカツバーガーと、くだもの畑のおすすめドリンク ぶどう味を注文しました。ドリンクのほうは「赤ちゃんといっしょセット」という好きな赤ちゃんをひとりもらえるセットです。わたしは事前に調べておいたので、即決でヒツジの赤ちゃんを選びました。
ギンガムチェックのお洋服がかわいい。
食事は注文してからすぐ運ばれてきました。エビカツがサクサクで美味しかったです。
ポストカード(実写)ももらえました。せっかくなので、エビカツバーガーに刻印されていたくるみリスのラルフを選びました。
16時から撮影会があるとのことで、それまで店内の展示を見たり、写真を撮ったりして過ごしました。
ショップ利用者と異なり、森のキッチンのほうの利用者は夫婦ふたり連れや、男性ひとりの方もいました。同じおひとり様仲間として心強かったです。
そして16時。スタッフのお姉さんの案内で、みんなでトイプードルの女の子 メリンダちゃんを呼びます。
一同「「「メリンダちゃん でておいで〜!」」」
わたしはもういい大人なので、撮影会が始まるまでは『いや、着ぐるみじゃん?』と内心思っていたんです。ごめんなさい。
でも、みんなに呼ばれて出てきてくれたのは間違いなく、メリンダちゃんでした。トイプードルの女の子 メリンダちゃんでした。
メリンダちゃん。
ここでスタッフのお姉さんから衝撃のアナウンスが。
「メリンダちゃんはなんと、今日がお誕生日なんです!メリンダちゃん、おめでとう〜!」
………えぇ…?…そんなことある……?……言ってよ〜〜〜〜!!と思いました。
お姉さん「お誕生日のメリンダちゃんにケーキがあります!」という案内で出てきたケーキが思ったより小さい。
勝手にホールケーキだと思ってしまったのもあるけど、それにしても小さい。身体に対して…小さい……。
でも、とっても嬉しそうなメリンダちゃん。良かったね。
そして、撮影会が始まりました。順番に呼ばれて、一緒に写真を撮ったり、メリンダちゃんのソロ写真が撮れるようです。
メリンダガチ勢の方々は、一眼レフ持参だったり、小さな花束や、シルバニアサイズのメリンダちゃんを持ってきている方もいました。もちろん、わたしは何も持ってきていません。お誕生日なの知らなかったので…。
わたしの順番が来ました。
過去にアイドルのオタクをやっていた頃があるので、チェキ会や握手会に参加したこともありますが、まさにその緊張感でした。ただそれと違うことがあるとするなら、相手が話せるかどうかです。
アイドルなら「ライブよかった!」とか「CD買ったよ!」などと掛ける言葉があります。そして「ありがとう!」「また来てね!」と返事をしてもらえます。
しかし今回はどうでしょう。お誕生日なのも知らずに来てしまい、相手は話してくれない…ど、どうしよう。完全にどうしようになってしまいました。
そして出た一言目は、「お、お誕生日…おめでとうございます……」
キモオタの動きで言ってしまいました。メリンダちゃんの目が見られませんでした。足元を見てました。
ツーショット撮影のハードルが高すぎると思い、「ケーキとメリンダちゃん撮っていいですか」と自分が写ることをそれとなく避けてみました。
ちっこいケーキを前にかわいいポーズをとってくれるメリンダちゃん。かわいくて「グフッ」とかなんとか言いながら写真を撮りました。
ツーショットは回避できたかと思われましたが、スタッフのお姉さんに流れるようにスマホを回収され、結局ツーショット撮影をしました。
お姉さん、めちゃくちゃ写真撮ってくれました。ポーズどうしよう?ってメリンダちゃんを見たら、両手をあごに添えるTHE ぶりっ子ポーズをキメてくれていて、ちょっとそれは単身女性に対して厳しくない!?と思いながら、同じポーズをとりました。
ちなみに、この一連の撮影会は他のお客さんからめちゃくちゃ見えるところで行われています。
一通り終わったら各々のテーブルに戻り、写真撮影の最後のチャンスです。全身カットも撮らせてくれました。
ちっこいケーキを自慢してくれるメリンダちゃん。かわいすぎてひとりなのに笑いが止まらなくなってしまって大変でした。
思いがけず、すごい経験ができた一日でした。
すべてのキャラにオタク、そしてガチ勢がいるんだなと思いました。
来月はモグラの男の子 マディくんと写真が撮れるそうです。今度は絶対に友達と行きます。
おしまい
静かに過ぎる日々には色は無い
なんでもない日のちょっとした日記がたまってきたので、まとめてブログにする。これらは全部同じ日ではなくそれぞれ違う日の出来事。
朝起きて、燃えるゴミを捨てに行く。ゴミ袋はふたつ、両手に持って徒歩一分。
高校生の時に友達とお揃いで買った古着のトレーナーは、大きくディズニーのキャラクターがプリントされている。着替えるのも面倒でそのまま出てきてしまったけど、誰ともすれ違わずに済んでよかった。
久しぶりに買い物に出かける。出かけると言っても徒歩5分、日用品の買い物だ。
ついでにブックオフに寄った。店内を見てまわってるうちに「ここにあるもの全部、一度は手に入れたのに手放した人たちのものなんだ」と思ったら、なんか果てしない気持ちになって、ちょっと気持ち悪くなった。自分でもよくわからない。
文庫本を2冊と、やってみたいなと思っていたボールペン字の教則本を1冊購入。ボールペン字の練習用にcampusのノートも買った。中学生のとき、このノートに日記を書いてたっけ。今も捨てられずに取ってあるけど、読む気にはならない。
雨が降り始めた。外に干してきた洗濯物のことを思いながら、早歩きで帰る。家に着くころには雨は少し強くなっていた。慌てて窓を開けると、どの家からかわからないが強烈なごま油の匂いがする。不思議に思いながら、急いで洗濯物を取り込む。
すると、あっという間に小雨になった。空は明るく、遠くには青空も見えているのに、微妙に降り続ける雨。それをベッドの中から眺めながら横になる。
無職生活も一週間が経ち、すっかり慣れてしまった。朝から活動的に掃除洗濯する日もあれば、一日中なにもせずに過ごす日もある。
この数日間、断捨離をコツコツと進めたおかげで、部屋がかなりスッキリしてきた。今も寝室の隅には、空っぽになったカラーボックスがふたつ、捨てられる日を待って並んでいる。
最近は、日本地図のパズルとクイズのゲームアプリを落として、勉強をしてる。
わたしは昔から社会や地理の勉強が苦手で、それは大人になっても変わらず、恥ずかしながら仕事を辞める前のわたしは日本地図が半分も分からなかった。
でも、仕事を辞めて時間が有り余っている今、苦手なことをなくそう!とアプリを落としたわけだけど、よくよく考えればアプリを落としてパズルやクイズのゲームをするなんて、働いている時だって出来たわけで。結局、気の持ちようなんだな、と思う。わたしは仕事を辞めるまで、その気になれなかったというだけのことだ。
アプリを落としたての頃は、47都道府県すべて答えきるのに4分ほどかかっていたけど、今では1分半までタイムが縮んだ。
都道府県の名前を聞いても、「上の方」「下の方」くらいにしか分からなかったわたしが、今では「島根の隣」「鹿児島の上」とか具体的な場所が分かる。「ハンマーヘッドシャークみたいな形」とか「金魚みたいな形」とか「千葉みたいな形」とか変な覚え方だけど、「ちゃんと覚えられている」ということが自分で嬉しい。
逆に、地震のニュースで「岐阜が」「鹿児島が」と報道されるたび場所が分かるようになったぶん、想像できてしまって苦しくなるようになった。今日は特に地震が多くて気が滅入る。わたしの住む街も5回ほど揺れを感じた。こないだ詰めた防災バッグ、使う日が来ないことを願う。
生理痛が酷い。一日をほとんどベッドの上で過ごした。寝室の換気のために少しだけ開いている窓から、雨音が聞こえる。雨脚は強くなったり弱くなったりを繰り返している。
綿矢りさの「私をくいとめて」を読みはじめた。中古で買ったから古い作品なのかと思ったら、今年の2月に発売されたものと知って驚いた。まだ読みはじめて最初のほうだけど、文章が好きだなぁと改めて思う。
わたしも文章を書くのは好きだけど、物語を書くことは到底出来ない。尊敬する。
会社を辞めて一週間。実際には有給消化中なので、今も在籍していることになっている。本当の退職日は来月20日。残り約一ヶ月。
毎日なんとなく過ぎていく毎日に、危機感をあまり感じないのは「まだ有給消化中だから」とどこかで安心しているからなんだと思う。あと一ヶ月したら、わたしはどこにも属さないなんでもないただの無職になる。再就職のこともバイトやフリーターになることも考えていない。一ヶ月なんてあっという間なんだろうな、と思うと恐ろしくなる。
両親には当たり前のように家業を継ぐと思われている。それでもいいと思っていたわたしも確かにいた。だけど、今更「それでいいのか」と思う自分も現れた。
親の言う通りに動けば、それが一番簡単だ。だけど、それはわたしのしたいことではないような気がする。だからといって、本当に自分のしたいこと?わからない。わからない。
見えない何かに急かされているような、背中を蹴飛ばされてるような、そんな気持ち。その気持ちを押し込めながら、またベッドに吸い込まれて今日も一日が終わる。
歪んだ青い空
わたしには弟と妹がいる。弟は8歳、妹は10歳、年が離れていて、わたしがあげるお下がりを喜んでくれるような可愛い兄妹だ。
弟に使わなくなったiPodをあげたのは、もう何年前のことだろう。
確か、弟は当時中学生くらいで、わたしは「わたしの好きな歌を、弟にも好きになってもらえるチャンスだ!」とかなり意気込んでいた。でも「とりあえず知ってそうな曲を入れよう」と思い、aikoの「花火」や「ボーイフレンド」、Perfumeの「ポリリズム」など有名どころを選び抜いて弟に渡した。
その何日後かに、弟の部屋から「あ〜テトラポッドのぼって〜♪」と口ずさむのが聞こえてきた時はどれほど嬉しかったことか。
それから時は過ぎ、弟は高校生になり、バイトを始めた。ある日「aikoとPerfumeのファンクラブに入ったんだ」と教えてくれた。それくらい好きになってくれていた。きっかけ作ったわたしのほうが入ってないファンクラブ。なんかすみません。
弟が取ってくれたチケットで、ライブにも行った。それが2月7日、aikoのZepp Tokyo公演だ。
チケットが届いたとき、弟からチケットの画像と「結構前の方行けちゃうかも〜」と呑気なラインが送られてきた。
画像を見ると、整理番号はAの11と12。
結構前の方どころか、最前列確定である。弟はライブに行き慣れていないので、その番号が意味することを分からなかったらしい。
一方、ライブに行き慣れ果てたわたしは大歓喜。「これ最前列だよ!」と伝えると、そこでやっと事の重大さが分かったのか「え!どうしよう!初めてのライブハウス!」と言っていた。
そう、弟にとって初めてのライブハウスがaikoのZepp Tokyo最前列だったのだ。そんなことある?弟の引きの強さたるや。
ライブ当日。わたしは万全の体制で最前列を陣取るため、すべてを円滑に済ませることに命がけだった。
狙うはステージと花道の最前列角。そのために、日も暮れた寒空の下、コートをコインロッカーに預けてロンT一枚で開場を待った。
開場後、番号順に並ばされて、そのまま二列で中まで進む。チケットもぎられたあとダッシュする気だったわたしたちは、あれ?と思ったけど、まぁそりゃそうだよね、全員ダッシュしたら怪我人でるわ。無事に狙っていた場所を取れて、開演まで1時間待つ。長いようで短い1時間だった。
幕が下りて、aikoが目の前に現れたとき、もう号泣だった。三曲目の間奏でわざわざかがんで、わたしと目を合わせてくれた。MCは相変わらずの下ネタだったけど、新曲は最高だった。アンコールにさらにダブルアンコールまであって、そのダブルアンコール一曲目の間奏で奇跡がおきた。
最前列とはいえ、精一杯手を伸ばしてもステージには触れられない距離。右隣に作られた花道は、わたしの目線の高さほどあり、これもまた手を伸ばしても届かない。ステージにはちょうど目の前に照明器具があり、aikoもその前には来ないため、手を触れることはできないと諦めていた。「手届かないね〜」と左隣にいる弟に話しかけたその時。
弟が「そっち!!そっち!!」と指をさす。花道側を振り返ると、aikoが花道に腰掛けて、近づいてくれていた。
手を伸ばすと、aikoの手に触れられた。もう夢中で「大好き!」と叫んだ。するとマイクを通さず「ありがとう」と返してくれた。そのあとずっと涙が止まらなかった。
本当に、夢かと思った。ライブ終わり、aikoが繋いでくれた自分の右手を嗅ぐと、バニラのような甘く優しい香りがした。夢ではなかった。現実に起きたことだった。
みんな各々好きなアーティストがいると思うので、その人で思い浮かべて欲しい。ポルノグラフィティが好きなマブダチにこの話をしたら「それってポルノの岡野昭仁と手を握ったみたいなことだよね、死んでしまう」と言ってた。そう、そういうこと。そういうことです。
そんなことがあったので、もう余韻とか言ってられる場合ではないほど、ライブ終わってから毎日、頭の中がaikoだらけで困った。ファンクラブにも入った。待ち受け画面もaikoに変えた。
そして昨日。お布団の中でaikoの曲を流し、口ずさみながらツイッターみたりインスタ見たりしていた24時過ぎ。弟からラインが来た。「aikoサブスク解禁だって!」と。
Apple Music派のわたし大歓喜。興奮のあまり、そこから2時間眠れなかった。嬉しくてちょっと泣いた。
解禁してくれたことももちろん嬉しいけど、それよりツイッターでの盛り上がり方が嬉しかった。みんなが喜んでいるところを見て「うれしいね、うれしいね」と一人一人抱き合いたい気持ちになった。
それでは、聴いてください。本日発売「青空」です。どうぞ!
https://music.apple.com/jp/album/%E9%9D%92%E7%A9%BA/1498904468?i=1498904469
どこまでも行けるような気がしたの
12月はわたしの生まれ月。11月から12月になると、「ああ、わたしのターンが来たな」と毎年思う。
とはいえ、何か変わったことをしたり、決まった予定があるわけではない。ただ何となく、そして根拠もなく、いつもよりちょっと無敵な気持ちになれる。それが12月。
仕事は死ぬほど忙しいし、寒いのも嫌いだけど、それでもなんか特別。不思議。
去年は、自分への誕生日プレゼントに2万円もする良いマフラーを買った。ヌートリアという名前のグレーに似た色のマフラー。今年ももちろん使っている。
今年は良い靴を買おうと決めて、事前に色々と調べて、名古屋旅行のついでにデパートの婦人靴売り場に寄った。
広い売り場の中から、お目当てのブランドのコーナーにたどり着くのにも一苦労。バーガンディとキャメルとブラックの三種類の色から、たくさん悩んでバーガンディに決めた。
お会計するときに、彼氏が「誕生日プレゼントに買ってあげようか?」と聞いてきたのには驚いた。でも、丁重にお断りした。わたしはわたしへの誕生日プレゼントを買いたかったから。それと、彼氏にはわたしへの誕生日プレゼント何にしよう?って悩んで欲しかったから。どっちかというと後者の方が強い。
デパートの婦人靴売り場なんて普段の生活でそうそう行くことないし、ずっと自分が浮いてる気がして、そわそわして落ち着かなかった。だけど、最後に売り場のお姉さんから「粗品です〜」って渡されたのが、なぜかジップロックだったのでちょっとウケちゃった。
その靴は、買ってからもう一週間経つけど、まだ履いてない。せっかくなので、誕生日当日におろそうと思ってる。
良い靴を買ったら、それに見合うような良い服や良い鞄が欲しくなった。ピカピカの靴に合わせるのが2000円で買った服だったら靴が可哀想かなと思って。
「良い靴は良い場所に連れて行ってくれる」とか言うけど、本当なのかも。この靴はどんなところに連れてってくれるのかな。
わからないことだらけ
一昨日の日記。
仕事終わりに最寄りのスーパーで買い物をする。塩ラーメンの素を買うか迷いながら何気なく顔をあげると、さっきまで一緒に働いてた会社の先輩が、隣の魚コーナーで魚を選んでいた。その先輩のことは苦手なので声はかけず、見なかったことにしてたまご売り場へ進む。
そのあとパンコーナーで結局出くわしてしまい、「あ、お疲れ様です…」「お疲れ〜」「…」「…」みたいなやりとりをして、地獄だった。
家に帰って、買ってきた野菜やら何やらをしまう。シンクにペヤングの一番でかいバカみたいなサイズの空容器があって、「彼氏がお昼に食べたんだな〜」と思ったけど、その残りがお皿に移し替えられて冷蔵庫に入っていて、「食べきってないやんけ」と思った。
彼氏はバイトで帰ってくるのが9時ころだというので、ひとりで夜ご飯を作る。なんか寒いし、シチューを作ることにした。
出来心でにんじんの真ん中をハートの型で抜いたら、あまりに可愛いのでなんか笑えた。恥ずかしいので全部はやらなかった。
具材を炒めながら「これカレールー入れたらカレーになるな」と頭によぎる。「わたし次第でこの具材たちがカレーになるかシチューになるか決まる…」と思いつつ炒めた。でもカレールー切らしてたので、おとなしくシチュー作ることにした。
具材を煮込む間、暇なので明日のお弁当を作る。にんじんサラダと炒り卵とやみつきピーマンと肉味噌で四色弁当。
にんじん苦手だったけど、白ごはん.comのレシピ見てつくったにんじんサラダは、苦労してピーラーかけたからかすごく美味しく感じた。お酢と砂糖とサラダ油とたっぷりの黒胡椒、たぶん彼氏が好きな味だなと思った。
彼氏がバイトから帰ってきて、キッチンの様子を見に来る。わたしが「シチュー見ないで!まだ見ないで!」と言いすぎて、ハート型に抜いたにんじんは食べる前にバレてしまった。「言わなきゃいいのに」と言われたけど、静かにできない性格。
お弁当の残りを小さなお皿に盛ったものとシチューとトーストと彼が昨日食べきれなかったペヤングが夜ご飯。シチューは4皿分つくって「残りは明日の朝食べよう」と言ったのに、結局全部食べ切ってしまった。美味しかった。
ずぶ濡れになった洗濯物
怖い夢を見て目が覚める。深夜2時半、隣で彼氏が寝息を立てている。
もう一度眠りにつこうと目を閉じて、彼氏の寝息に合わせて呼吸してみるけど、タイミングが合わずうまく眠れない。
彼氏がわたしの家に棲みつき始めて何ヶ月になるだろう。この共同生活を未だに「同棲」と呼べないことを、わたしはずっと小さく気にしながら毎日過ごしている。
わたしのアパートの家賃は4万円。2人で割れば2万円。決して高くはないそれを一度も払わない彼氏は「水道光熱費は俺がいることで2倍になってると思うから、その分は払う」と言った。毎晩この家でご飯を食べ、同じベッドで眠り、毎朝この家で目が覚めることを「住んでいる」とは言わないらしい。
クローゼットは九割がわたしの服で、隅のほうに彼氏の服が数着だけ、肩身が狭そうに掛けられている。冷蔵庫は一人暮らし用のまま、わたしの飲まない缶ビールが場所を取る。シングルベッドは二人で眠るのには狭く、壁際で眠るわたしはいつも肩が壁に触れている。
これが「同棲」だったら。ベッドはシングルからダブルに買い替えられて、冷蔵庫ももっと大きいものに出来るのに。クローゼットは、仕方ないけど断捨離でもしてわたしのものを減らす。そうすれば彼の服も増やせるだろう。
彼氏が出来たと打ち明けたわたしに母親が言ったことを思い出す。「あんたがきっちりしないと、ぐだぐだになりかねないよ…甘やかさないようにね」
きっちりってなんだ。家賃を毎月徴収すれば、ぐだぐだにはならずに済むのか。もうよく分からない。まだ眠れそうにない。
どうでもよくなる
朝、彼氏と並んで眠るベッドからひとり這い出し、洗濯機を回す。
昨日は腹痛が酷く、初めて会社を休んでしまった。社会人6年目になっても、会社へ電話をかけるのは緊張する。半日以上ベッドの中で過ごし、薬を二回飲み、単行本を二冊読み切った。
洗濯機が回っている間、部屋の隅で山積みになったプラスチックのゴミを、ペットボトルとそれ以外に分けて口を縛る。
燃えるゴミとプラスチックゴミを両手に持って、財布と携帯をポケットに突っ込み家を出る。家から徒歩1分のゴミ捨て場には、いつも先に捨てられている他の人のゴミが今日は無くて、心細い気持ちになった。
そのまま家には帰らず、最寄りのコンビニへ。生理ナプキンが無くなってしまったので買い足す。それだけではなんとなく気まずいような気がして、チョコレートと駄菓子もレジに持っていった。店員さんが50代くらいのおばさんでなぜか安心した。
さらに少し寄り道をして、穴場の自販機に寄った。ペットボトルが120円で売られているこの自販機が好きだった。
小さい缶のキリンレモンが飲みたくて、80円出してボタンを押すと、出てきたのは生茶。『生茶のボタンを押せばキリンレモンが出てくるのか?』と、もう80円出してみたが、生茶が一本から二本に増えただけ。おかしくてひとりで笑った。
知らない人の家から、卵をかき混ぜる音が聞こえる。朝ごはんは何にしよう。