Myu Audio日記

オーディオ関連のブログです。

ラック配置の最適化(備忘録)

今回の記事は、人様の役に立つような情報ではありませんが、私の備忘録として残します。数年後に振り返ってみると、この時はこんなことをやっていたんだと思い返せます。私にとって、これがブログを続ける最大の動機になっています。

 

エルサウンドのフォノイコライザを導入しましたので、我が家のラックの配置の最適解が変わりました。

 

制約条件

  • メインシステムの仲間入りすることが決定したエルサウンドのフォノイコライザの場所の確保が最優先
  • プリアンプのボリューム調整の頻度は高いので、操作性の観点からラックの上段に置きたい
  • 微弱な信号を扱うフォノイコライザ(3種類)はカートリッジ・トーンアームからなるべく近くに置いて、ケーブル長を短くしたい
  • CDを聴く頻度は低いので、CDトランスポートの位置はそれ程重要ではない
  • fidataを導入したのでネットワークトランスポートのスフォルツアート DST-01は場所が確保できないければ、物置きに移動しても構わない

 

下記は配置換え前の写真です。

Before

 

 

下記は配置換え後の写真です。

After

 

下記の変更を行いました。

  • エソテリックのCDトランスポートを下の段に移動
  • スフォルツアートのネットワークトランスポートを左のラックに移動
  • Sutherland HubbleとDS Audio DS003(EQ)は右のラックの上段に移動

上の写真では分かりづらいですが、エルサウンドのフォノイコライザ(EMC-2)はVPIのプレーヤーの下に潜り込ませています。このスペースを見つけられたのが、今回の配置換えのキモ(其の一)でした。

 

 

 

3種類のフォノイコライザからの出力を切り替えてプリアンプ(Accuphase DC-330)のアナログ入力に入れるのに、RCAケーブル3chラインセレクタ QRB LS-R0i を使っているのですが、この機器の配置をどうするか悩ましいところです。

 

 

 

ラインセレクター QRB LS-R0i の最適な場所が見つかりました。ちょっとした木工の工作が必要ですが、ラックの裏側に配置すればフォノイコライザとの接続も最短で行えます。そして、表側から見えないのも嬉しいです。これが、今回の配置換えのキモ(其の二)でした。正しく、隙間収納の極意です。

 



上記のように我が家のアナログ再生の環境も整いつつあります。残るは、先日紹介しましたハム音の問題の対処の一環で、ノッティンガムのプレーヤーベースの側面に新たにモーター用の切り込みを入れる作業が残っているのみとなりました。最近「やる気スイッチが入り」近々決行の予定です。

 

エルサウンドのフォノイコライザ EMC-2 の試聴

今回はエルサウンドEMC-2(MCカートリッジ用イコライザーアンプ)を我が家のアナログ環境で試聴しましたので、その結果を紹介します。

 

私は「ピュア・デジタル再生派」の称号をある方から頂いているくらい、デジタル再生重視の人間なのです。私はアナログ再生の万年初心者で、私の音の好みも一般的はないかもしれませんので、この試聴記は話半分でお読みください😀

 

 

試聴に用いた機器

EMC-2はVPIのアナログプレーヤー ARIES 3 Black Knightに取り付けたaudio-technicaのMCカートリッジ AT-OC9/IIIで使う予定でしたが、今回の試聴は比較試聴の環境が整ったノッティンガム Spacedeckで行うことにしました。

 

試聴に使ったアナログ再生関係の機器は下記の通りです。

  • カートリッジ:          audio-technica AT-ART9XI、DS Audio DS003
  • トーンアーム:          グランツ MH-10B、ロクサン TABRIZ-ZI
  • ターンテーブル:     ノッティンガム Spacedeck(モーターは非純正品)
  • フォノイコライザ:  エルサウンド EMC-2、Sutherland Hubble、DS Audio DS003(EQ)
  • ​その他:      バキューム式レコードスタビライザー(ユキム CVS-1)

 

 

 

我が家のアナログ再生の場合、デジタルチャンネルデバイダーを使っていますので、A/D変換およびD/A変換が発生します。「ピュア・アナログ再生派」の方からみると、良い音がするはずがない部類のアナログ再生の環境なのです😅

 

エルサウンド EMC-2の出力はAccuphaseのデジタルプリ(DC-330)でA/D変換され、デジタルチャンネルデバイダー(DF-55)にデジタルデータで送られ、4ウェイに分割された後D/A変換されAccpuhaseのパワーアンプにアナログ信号で送られます。使用したスピーカーシステムはウーファーソニー製(エンクロージャーは密閉型)、それ以外はScan-Speak製の楕円三兄弟です。

 



試聴結果

試聴の結果は私の好みが大きく反映されますので、私の嗜好を箇条書き(順不同)にしました。大した音も出していないのに大口を叩いていますが、志だけは高いということで、お許しください😅

  • スピーカーシステムが消えるのは最低条件で、できれば部屋が消えるくらいの3次元的な空間表現能力を求める
  • 最弱音域の音数(情報量)を重視、ホールの暗騒音未満の音も聴きたい
  • 鮮度感を重視、必要なら原音に含まれているであろう嫌な音も聴きたい
  • ハーモニーの中にもそれぞれの楽器・人が見えるような緻密な音が好み
  • 美音と称される「見えそうで見えない音」にはもどかしさを感じる
  • 音像が迫ってくるデフォルメされたような表現は苦手

 

試聴用音源

私はシステムの調整にはデジタル音源(マイ定点観測用音源)を用いますので、アナログ再生では試聴用の音源は決めていないのです。そこで、「新プロジェクトX~挑戦者たち~」の放映に伴い、中島みゆきの特集をやっていましたので、最初の音源として中島みゆきのレコードから「みんな去ってしまった」を楽曲や録音など無関係に手に取りました。中島みゆきのCD音源は私的には鳴らしづらい音源なのですが、久しぶりに聴くレコードの音源、なかなか良いのです。

 

比較試聴 

試聴は下記の組み合わせで行いました。 

 組み合わせ① audio-technica AT-ART9XI + グランツ MH-10B + Sutherland Hubble

 組み合わせ② DS Audio DS003 + ロクサン TABRIZ-ZI + DS003専用イコライザー

 組み合わせ③ audio-technica AT-ART9XI + グランツ MH-10B + エルサウンド EMC-2

 

1.中島みゆき「みんな去ってしまった」を聴いての印象

 audio-technica のカートリッジと Sutherland のフォノイコライザの組み合わせの音をリファレンスにして、私の試聴の感想を述べます。

 

 

audio-technica のカートリッジと エルサウンドのフォノイコライザの組み合わせの音は、他の2つの組み合わせより、頭一つ抜きんでたアナログ再生が私の印象です。立体的なボーカルと演奏が心地良い。ドラムス、ベース、ボーカル、キーボード、ギターの定位が明確に聴こえます。アコースティックギターの弱音が暗騒音の域まで聴こえ音楽に浸れます。バックコーラスが明瞭で空間に溶け込む感じも素晴らしい。Sutherlandの場合、ボーカルが少し平面的、演奏の低音域が少し薄く聴こえますが、音場感はエルサウンドと同様に素晴らしい。それから、エルサウンドのフォノイコライザは、カートリッジのカンチレバーの材料の違い(DS003はアルミニウム、AT-ART9XIはボロン)をしっかり表現できている印象です。

 

光カートリッジの組み合わせは、ドラムスの音に芯があり明瞭、密閉型のウーファーで聴いているからよりその良さが分かります。中高音はリファレンスに比べて音色が豊か、音場感より音像感が優って聴こえます。光カートリッジの出力レベルが高く、光用フォノイコライザのゲインは低く設定できるので、プリアンプのボリュームをほぼ全開にしても残留ノイズが気にならないのは嬉しいです。ジャズやロックの再生では、光カートリッジの良さが発揮されそう。

 

 

2.ブルガリア国立合唱団「Bulgarian Polyphony Vol.1」を聴いての印象

次に選んだのが私のお気に入りのレコードブルガリア国立合唱団「Bulgarian Polyphony Vol.1」です。

 

 

Bulgarian Polyphony Vol.1はスチューダーA-820をハーフ・インチテープ76cm/secでまわして録音された音源です。ブルガリアン・ボイスは2-4kHz 付近のエネルギー感が高く、その上倍音が多く40kHzに達し、この高調波は総勢29名による合唱でなければ出せないそうです。

 

この録音の凄いのは情報量と広大なサウンドステージです。そして、29名一人一人の声が広大なパノラマとして展開してくれたのがMCカートリッジの組み合わせでした。光カートリッジの組み合わせでは、合唱団が幾分中央よりでした。この音源には低音域はあまり含まれていませんので、Sutherland とエルサウンドのフォノイコライザの違いは私には聴き取れませんでした。両フォノイコライザとも、過度特性が良いようで29名による不協和音が濁ることなく美しく、そのレコード再生に我ながら惚れ惚れします。

 

 

3.グリモー「Credo」を聴いての印象

グリモーのクレドのレコードを購入したのが昨年10月でしたが、今回初めて盤に針を落とします。

 

この試聴に限ってはCDの音源と聴き比べてみました。CDの再生にはエソテリックのP0s(外部クロックも使用)を使いました。この音源の音数の多さからでしょうか、私の脳が処理に追いついていないようで、CDとアナログ再生の3つの組み合わせの違いが聴きとれない結果となりました。「ピュア・デジタル再生派」を名乗っている私としては、これはアナログ再生への最大の褒め言葉なのです。それなりの音量で再生しましたので、我が家のリスニングルームに音が溢れていました。

 

 

まとめ

エルサウンドのEMC-2の設計理念の一つ

  • のっぺりとした只綺麗なだけの音ではなく本来在る情報を極限まで再現したいが信条です。

私が求めている「鮮度感を重視、必要なら原音に含まれているであろう嫌な音も聴きたい」と相通じるものがあるような気がします。

 

エルサウンドのEMC-2の設計理念のもう一つ

  • 価格と音質は比例いたしません。

私が評価する項目の範囲内という条件は付きますが、有言実行されています。外装のデザインは大事な要素でしょうが、私はオーディオ機器はできれば隠したいタイプなのです。我が家ではデジタルチャンネルデバイダーとパワーアンプ7台は床下に配置しているくらいですから。私はセンスの良いデザインは大好きですので、自分でも一貫性がないことは認識しています。はい、見た目ももちろん大事です😅 

 

数百万のオーディオ機器が珍しくなくなった昨今、エルサウンドのようなコストパフォーマンスの高い製品がもっと認知され、ユーザーとして選択肢が増えれば、オーディオ愛好家のすそ野が広がるかもしれません。それから、audio-technicaのMCカートリッジ AT-ART9XI の音の良さ(+コストパフォーマンスの高さ)にも改めて気づかされました。私が昨年12月に5種類のカートリッジを聴き比べて選択しただけのことはあります。

 

今回の試聴の結果、エルサウンドのフォノイコライザ EMC-2はメインのシステムで使用することに決定です😀

 

オフ会の直前のスピーカーシステムの調整

当初の予定では、今回はエルサウンドのフォノイコライザの試聴記を予定していましたが、急遽、スピーカーシステムの測定の話に変更しました。

 

3月にお邪魔させて頂いたFさんと近隣にお住まいのWさんが、近々我が家に遊びに来られる予定です。先日夜遅く、リスニングポイントで音響測定をしながら音圧レベルとタイムアライメントの調整をやっていたら何が何だか分からなくなってしまいました。スピーカーシステムの位置を変えたのもいけなかった。オフ会の直前にシステムを弄るのはやってはいけない「あるある」なのですが、やってしまいました。反省😅

 

今回のオフ会、延期した方が良さそうとも思いましたが、翌日基本に立ち返ってスピーカーから1mの所で特性を再確認しました。

 

 

 

繰り返し測定しながら、それぞれのユニットの音圧レベル、クロスオーバー周波数、減衰特性、遅延時間の数値を微調整しました。ミッドローにバッフルステップ補正を施せば、周波数特性はフラット化できるのですが、私には聴感上音が抑圧されたように感じるときがあるので行っていません。私は最小限のバッフルから得られる広大なサウンドステージの方が重要(好み)なのです。それはともかく、左右の特性が良く揃っているのと、タイムアライメントもそれなりにできているのが確認でき、精神的余裕が少しでてきました。

 

各ユニットの特性(注:低域の調整前)

 

 

半日ほどの時間的余裕しかありませんが、後は定点観測用音源を使ってデジタルチャンネルデバイダーのパラメータの微調整に励みます。FさんとWさんには、我が家のシステムの出来ていないところには目をつぶり、良いところを見つけてオフ会を楽しんで貰えれば嬉しいです。オフ会は優劣を決める品評会ではないですからね😀

 

我が家のリスニングルームは、一年の内半分は「ただ今工事中」の看板を入り口のドアに掛けた状態なのですが、久しぶりに部屋が片付きました。妻の厳しい監査にも合格しました(うふふ)。私のスピーカシステムの調整力はともかく、お客様をお迎えする準備は整いました。

 

お出掛け用写真の更新



 

今年の3月のFさん宅の訪問記はこちら ↓

myuaudio.hatenablog.com

 

 

フォノイコライザの試聴の前にちょっと寄り道(失敗は成長の種)

エルサウンドのフォノイコライザの試聴の前にちょっと寄り道です。予期せぬ問題に遭遇しています😅

 

フォノイコライザの比較試聴時にプリアンプのボリュームを午後1時の位置(@1mで100dB弱)まで上げたらハム音が出ているのに気付いたのです。この問題に気付いてしまった以上、本格的なフォノイコライザの試聴には移れません。オーディオ愛好家にとって比較試聴は、好き嫌いの世界だけに環境を整えた上で真剣に行うことを心がけるのが、機器を開発・設計した方々への最低限の配慮だと思っています。

 

DS Audio DS003導入前(写真左) 導入後(写真右)

 

ちなみに、我が家のアナログプレーヤーは事情があってターンテーブル部のみノッティンガム Spacedeck です。モーターは工業用のシンクロナスモーター、そして、アームベースは人工大理石を加工した自作品です。従って、今回のハム音の問題もすべて私の責任の範疇になります。


DS Audio DS003 を導入する前は、グランツのトーンアームに DS Audio DS001、ロクサンのトーンアームに TABRIZ-ZI に audio-technica AT-ART9XI を付けていました。この時には、ハム音が気になったことはありませんでしたので、何が起きたのでしょう?

 

現在のカートリッジとトーンアームの組み合わせ

組み合わせ① DS Audio DS003 + ロクサン TABRIZ-ZI + DS003専用イコライザー

組み合わせ② audio-technica AT-ART9XI + グランツ MH-10B +SUTHERLAND HUBBLE

 

現象の把握

組み合わせ①では、どんな条件でもハム音はでない。

 

組み合わせ②の場合

  • トーンアームがトーンアーム受けに載っている時はハム音がでる。
  • トーンアームをターンテーブル上に移動するとハム音はでない。
  • プレーヤーの回転を止めるとどんな条件でもハム音はでない。
  • DS Audio DS001 を audio-technica AT-ART9XI に替えるまでは 、トーンアームがトーンアーム受けに載っている時でもハム音はでなかった(気付かなかった)。

 

上記の現象から、 グランツ のトーンアームの近くに配置したACモーターがMC型のカートリッジ(AT-ART9XI)に干渉している可能性が高いです。下記の写真はちょっと前のもので、グランツ のトーンアームには DS Audio DS001 を取り付けていた時のものです。

 

 

 

下記は、2022年の写真(グランツ のトーンアーム導入前)です。この時点では、ACモーターの位置は視覚的のもとても納まりが良かったのです。もちろん、ハム音はでていませんでした。

 



この2年の間に、下記の変更が重なり合って今回のハム音の問題が発生したようです。

  • ダブルアーム化(グランツ のトーンアームの導入)
  • 光カートリッジとMCカートリッジの入替え



原因

グランツ のトーンアームにMCカートリッジを取り付けて、トーンアーム受けに載っている時のみ、ハム音がでることが分かりました。従って、MCカートリッジがプレーヤー駆動用のACモーターの近くにある時のみ、電磁誘導を受けていることが原因でほぼ確実です。トーンアームがトーンアーム受けに載っている時にプリアンプのボリュームを我が家の最大音量時の午後1時の位置に合わせることはめったにしませんので、この問題に気付くのが遅くなってしまいました。

 

グランツ のトーンアームに光カートリッジを取り付けていた時に、ハム音がでなかったのは、光カートリッジは原理的に電磁誘導は受けないからなのでしょうね。

 

解決策

暫定的な対策として、下記の様にプレーヤーベース(50mm厚の集成材)を90度反時計回りに回転させ、MCカートリッジをACモーターから遠ざけることにしました。その結果、トーンアームがどの位置でも、ハム音が発生することはなくなりました。心理的な効果とは思いますが、何となく弱音域の表現がより明瞭になったような気がします。「病は気から」と同様、「良い音は気から」ですよね。

 

 


上記の暫定的な配置でも悪くはないのですが、プレーヤーベースの左側の側面に新たにモーター用の切り込みを入れる予定です。プレーヤーベースの板厚は50㎜ありますので、心の準備ができたらルーターを使っての加工に取り掛かります。

 

 

 

先日の、スピーカーシステムの配置換えの時に、以前より音が良くなったと妻に言いましたら、「何で最初から、そうしないの?」と素朴な疑問で逆襲されました。「それを言っちゃあ、おしまいよ」と思いましたが、怖くて言い返せませんでした(フィクションです)😅


どんな問題でも、後から考えるとダメなのは明白ですので、失敗例は自分の胸の内に収めておきたい気持ちになりますが、備忘録として残すことにしました。失敗は成長の種と思っているポジティブ思考の私です😀

 

エルサウンドのイコライザーアンプがやって来る

ノッティンガムのアナログプレーヤーのモーターなし、トーンアームなしの中古品を導入したのが2021年1月、それ以来、VPIのアナログプレーヤー ARIES 3 Black Knigh の出番が無くなってしまいました。VPIのプレーヤーも縁あって我が家に来た機器ですので、たまには鳴らしてあげないといけないと思っていましたが、優先度が低くなかなか手が回りません。

 

VPI(左)のノッティンガム(右)アナログプレーヤー

 

 

VPI ARIES 3 Black Knigh にはオーディオテクニカのMCカートリッジ AT-OC9/III を取り付けています。AT-OC9/III は2009年発売された製品です。デザインおよび仕上げは私が昨年購入した AT-ART9XI より洗練されているように私には思えます。

 

 

 

ノッティンガムのプレーヤーは下記2種類の組み合わせで鳴らせるようにしてあります。

 

しかし、VPIのプレーヤー用にはフォノイコライザが無いのです。AT-ART9XI に接続している SUTHERLAND HUBBLE を使うのもありなのですが、聴くたびに接続を変えるのは面倒くさがりの私には無理です。セレクターを使う案もありますが、ミリボルトレベルの信号経路での使用には躊躇します。

  • audio-technica AT-OC9/III  + VPI JMW-9 + フォノイコライザが無い

 

そこで、audio-technica AT-OC9/III 用にフォノイコライザを導入することにしました。VPIのプレーヤーに接続された audio-technica AT-OC9/III  はスタメン扱いではありませんので、お値段以上の高音質のフォノイコライザが市場にないか調べたところ、

にたどり着きました。

 

このフォノイコライザは 2007年発売された製品のようですが、なんと現在でも製造されていまして、納期一週間で入手できました。

 

下記はメーカーのホームページに記載されたメッセージです。そのメッセージから誠実さを感じましたので、自分の直感を信じて試聴機を借りることなく購入を決めました。

  • 見かけのデザインに敢えて費用をかけずに極力低予算で音そのものを楽しんで頂ける製品を目指しました。 のっぺりとした只綺麗なだけの音ではなく本来在る情報を極限まで再現したいが信条です。 CDを否定は致しませんがレコードの方が良いと認識出来る装置を目標にしたいものです。 価格と音質は比例いたしません。 音決めは光悦のカートリッジ、昇圧トランス、マークレビンソンのプリアンプで構成したシステムを手許に置いて比較しながら決定しております。

 

EMC-2 の仕様は光悦のカートリッジの使用を基準にされているようですので、AT-OC9/III  用に仕様を一部変更して貰いました。このような細かい対応をして貰えるのはガレージメーカーの良さですよね。

  • 入力インピーダンス: 4.7Ω から 100Ω に変更
  • ゲイン: 72dB から 66dB に変更

 



サブシステム用のフォノイコライザとは言え、どんなオーディオ再生と出会えるか楽しみです。もし、エルサウンド EMC-2 が SUTHERLAND HUBBLE より私好みの音を出してくれたら前者を audio-technica AT-ART9XI と組み合わせてメインのノッティンガムのプレーヤーで使用するのも一案です。EMC-2 は「価格と音質は比例いたしません」と言うほどエルサウンドの自信作のようですので、下剋上があるかもしれません。

 

音楽との結びつき:オーディオ愛好家の心象風景

今回の配置換えでScan-Speakのシステムを傾斜天井の高い側に移動しましたので、音響測定をしながらシステムの確認(微調整も含めて)を行っています。

 

システムの確認をしながら改めて気づいたのが、私は高音域が明瞭に鳴るリスニングルームが好き、そして、緻密なオーディオ再生をしてくれるAccutonとScan-Speakのシステムが大好きだということです。これは、たまたま手に入ったリスニングルームとスピーカーシステムが私の好みに合ったのか、私の好みが現状に寄り添うようになったのかは分かりませんが、人生は人やモノとの出会いは「運」も大きく作用していると思います。

 

私にとって居心地の良い空間

 

 

システムの確認を兼ねて音楽を聴いていたら、これが「自分が好きな音だ、そして長年求めてきた音だ」と脳の一番奥の方から囁きが聞こえてきたのです。もし、オーディオ誌でグランプリを受賞した機器を好きなように組み合わせてお持ち帰りくださいとオファーを貰っても、間に合っていますので好意だけ頂きますと、今の私は辞退すると思います。完璧からは程遠い我が家のオーディオ再生ですが、伸びしろの部分も含めて今の出音が好きなのです。

 

私が枯れてきたのか、悟りの境地に達したのかは分かりませんが、今のオーディオの規模(もちろん音も)が私にとって心地良いです。音楽を聴き始めて数分で寝落ちできるのは、正しく極楽浄土の世界です。このまま、三途の川を渡ったとしても、我が人生に悔いはなしですが、今はまだ音楽が終わると目が覚めますので、神様・仏様から「音楽をたくさん聴きなさい」と言われているようです。

 

私の最近の心情を綴ったこのブログのタイトルがなかなか浮かびませんでしたので、AIの助けを借り「音楽との結びつき:オーディオ愛好家の心象風景」としました。

 

 

ヒツジの皮を被ったオオカミ的な音源(録音)との遭遇

リスニングルームの配置換えがほぼ完了して、ようやく音楽を聴くモードになっています。そして、嬉しいことに、この新配置がSonyウーファーと組み合わせたScan-Speakのスピーカシステムのファイナルアンサーとなりそうです。

 

Accutonのシステムを使う時の配置は、今のところ良いアイデアが浮かんでいません。当面はScan-Speakを鳴らす予定ですのでゆっくり考えます。

 

たまたまレコード棚から取り出したメータ/ロス・フィル演奏のリヒャルト・シュトラウス家庭交響曲の録音が素晴らしい(私好み)のです。録音が素晴らしいと感じるので、きっと演奏も素晴らしいのでしょう。1969年の録音です。

 



この家庭交響曲は現代風に表現するとインスタ映えする交響曲ではないようですが、メータ/ロス・フィル演奏の録音を聴くと、クラシックの初心者の私にもこのオーケストレーションの緻密さが伝わってきます。

 

録音・演奏が評判の名盤は多数ありますが、この盤の録音の最大の特徴は、ステレオ録音(2ch)という制約があるにもかかわらず、高さ方向の定位が自然で、まるで我が家のリスニングルームにオーケストラの団員が水平および奥行方向に加えて高さ方向(ひな壇)に配置されて演奏している感じが得らるのです。弦、木管金管、打楽器奏者の水平方向の配置だけではなく、垂直方向の配置も明瞭に聴きとれるのです。ハイレゾ音源でもこのようなオーディオ再生を経験したことはありません。

 

カートリッジは audio-technica AT-ART9XI でも十分にこの録音の良さは味わえますが、DS Audio DS003ではひな壇の上に配置された打楽器類の低音部がより明瞭に聴こえますので、より3次元的なオーディオ再生が体験できます。

 

このメータ/ロス・フィル演奏のリヒャルト・シュトラウス家庭交響曲で「マイベスト・アナログサウンド」更新はもちろんですが、「マイベスト・オーディオサウンド」を更新できました。

 

他の方々と比べられるようなレベルではないですが、まさか自分のリスニングルームでこのようなオーディオ再生に遭遇するとは思いませんでした。筋肉痛になりながらも配置換えに頑張った私に、神様が微笑んでくれたのかもしれません。

 

私のお気に入りのハイレゾ音源が、アナログレコードに追い越されてしまったのです。しかし、メータ/ロス・フィル演奏のリヒャルト・シュトラウス家庭交響曲での経験が、これらのハイレゾ音源を改めて聴くと、今までとは違った聴き方ができるかもしれません。一度聴きとれるようになると、その些細な違いも聴こえるようになるようです。

 

 

 

演奏、録音、そしてオーディオ再生は三位一体だと改めて実感した一日でした。