TABI MEMO

人は旅をしないと駄目になってしまう ~Mozart~

【米】米国最大の祭り マルディグラ

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2月末、ニューオーリンズに行ってきました。目的はマルディグラという祭りです。米国最大の祭りとも言われ、120万人もの人が集まる祭典になります。

マルディグラ(Mardi Gras)はフランス語で「肥沃な火曜日」という意味で、キリスト教の復活祭(イースター)からきているようです。イースターまでキリスト教には多くの行事があります。

 

Lent:イースターの40日前から始まります。レントの期間は肉を断食して、魚や野菜で40日過ごすようです。やっている人は稀です。

Fat Tuesday:レントが始まる前日。断食前日なので皆酒を飲んで肉を食べお祭り騒ぎです。

Ash Wednesday:前も書きましたが、レントの初日。悔い改めの印として額に灰を受ける儀式が教会で行われます。

Holy Week:イースター直前の1週間。

Good Friday:キリストが十字架にはりつけにされたとされる日。

Easter:はりつけにされたキリストが3日後のこの日に復活したとされる。キリスト教にとって1年で最も重要な1日。

 

この英語のFat Tuesdayがフランスでマルディグラです。四旬節(レント)が始まる灰の水曜日(Ash Wednesday)の前日に当たります。レントとはイースターまでの40日間(実際には日曜日を含めて46日間)祈り、断食、慈善の3点を通じた悔い改めの表明と解されます。その自粛し、粗食で過す最初の日が灰の水曜日であり、実際神聖なキリスト教徒の同僚は額に灰を塗って出社し、街中も灰を額につけている人が多いです。

 そしてその前日の肥沃な火曜日(マルディグラ)は粗食で過す前にたくさん飲んで食べて騒ごうというものです。その際たるものが皆さんご存じ世界三大カーニバルのリオデジャネイロ、ヴェネチア、トリニダード・トバゴで行われます。そしてアメリカ最大のものがニューオーリンズで開催されます。


ニューオーリンズ近辺は16世紀にフランス人により発展を遂げました。そこで自国でのマルディグラを初めて近郊のモービルで密かに催します。それが地域の伝統になり、近くのニューオーリンズでも催されるようになり、徐々に規模を大きくしていきました。現在、祭りの中心はフランス人がもたらした事もあり、French Quarterで行われます。そしてマルディグラの発祥元とされるブルボン家に因んで1番騒がしいのはBourbon Street(ブルボン通り)になります。

 ニューオーリンズの祭りは11日間続きます。パレードも毎日何かしらやっていて、結構前からお祭りモードです。(ニューオーリンズ自体いつも陽気で楽しい街です。ジャズ発祥の地で音楽もそこら中から流れています。)そしてマルディグラ当日の火曜日はニューオーリンズ有するルイジアナ州公認の祝日となり、最高潮に達します。(ちなみに世界最大のカーニバルのあるブラジルは月曜日も火曜日休みで、水曜日は午前休です。)

 また、イースターとは、春分の日後の初満月の次の日曜日とされているようで毎年日にちが変わるようです。(クリスマスは日にちで決まってるのにイースターは決まってないなんてキリスト教も適当だなと思う訳ですが。)

 

1つ疑問があったのは、イースター前日、なぜキリストがはりつけられた日がGoodなのか。調べてみると、もともとGodes Friday(God's Friday)が転じてGood Fridayになったようです。ということは神の金曜日なのです。日本語訳の聖金曜日も納得です。

 

ちなみに、このGodがGoodに変わることはよくあります。1番有名なのはGoodbye(グッドバイ)でしょうか。God be with ye(youの古語)からGoodbyeになってます。昔はGodを直接言うのは恐れ多いという風潮があったようです。ハリーポッターのヴォルデモート的ニュアンスですかね。

 

以上ジローでした。

【米】 なぜ Super Bowl と呼ぶのか

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本日、2月5日はアメリカ最大のスポーツイベント、スーパーボウルです。第51回Super Bowlです。

ちなみにSuper Bowlは常にローマ数字で表記されます。今回は第51回のため、Super Bowl LIとなります。ただ、昨年だけはSuper Bowl 50でした。50をローマ字にするとLで”Super Bowl L”はマーケティングの観点からパッとしなかったようです。”Loser”(負け犬)等あまり良い印象を持たなかったからだと言われております。(ちなみに2年前からロゴを考えていたようで、かなりマーケティングに力を入れているのが伺えます。)

 

スーパーボウルは規格外な数字が並びます。

『ブランド価値は600億円で夏季五輪やサッカーのワールドカップをも上回る』 『ハーフタイムの30秒CMが約6億円』 『当日は感謝祭に次いで食料が消費され、全米でチキンが2億羽殺される』 『テレビ視聴率は26年連続40%突破しており、全米の歴代視聴率ランキングTOP10中9つがスーパーボウル』 『昨年チケットの平均67万円、最低15万円 最高202万円』 『この試合で全米5000億円の賭博が行われる、そのうち97%は違法である』

 

第1回スーパーボウルたるものは1967年1月15日だったのですが、当時は人気があまりなかったようです。名前もAFL–NFL (World) Championship Gameという味気ないもので、チケットも容易にとれて3分の2しか席が埋まらない状態でした。そもそもこのゲームは、NFL(1920年設立)とAFL(1960年設立)という2つの独立リーグのシーズン王者決定後の試合であり、エキシビションゲーム的な色合いを残していた事が大きかったと言われています。そして、昔からあるNFLが強く、どうせNFL優勝チームが勝つんだろうという雰囲気が蔓延していたようです。

 

しかし転機が第3回スーパーボウルのニューヨーク・ジェッツ対ボルチモア・コルツ戦でした。2つの理由があると言われています。

①この試合からチーフスのオーナーでAFLの創設者だったラマー・ハント氏が初めて『スーパーボウル』という名称をつけた事。

②AFLのジェッツが16-7で大番狂わせを起こし、NFLのチームを下したことで、AFL旋風を巻き起こした事。

 

もともと長い名称をどうにか短くしようと経営陣が考えており、The FINAL Game等が候補にあがったそうです。そんな時、ハント氏が、遊んでいた自分の娘から「これってスーパーボールって言うの」ということを聞かされたようです。ハント氏は、この発言で閃いてこのチャンピオン決定戦を「スーパーボウル」と言う名称にしてはどうだろうと考えたようです。(アメフトのゲームは「ローズボウル」や「オレンジボウル」のように、「○○ボウル」(スタジアムがすり鉢のように見えるから)と呼ばれている)それをNFLの当時のコミッショナー、ピート・ロゼール氏に伝え、『威厳のない名前』と言われましたが、結局マスコミで広がって正式名称となりました。

 

これで第4回から視聴率40%が定着し、さらにブランディングで国民的イベントと化していきます。(1989年は唯一40%割る)

 

ちなみに、スーパーボウルは他にもこのような伝説が多数あります。

『1973年、全勝していたドルフィンズに当時の大統領のニクソンが戦術アドバイスを電話で直接ヘッドコーチにした』

『FBIや警察は「スーパーボウルのチケットが当たった」等の知らせを、指名手配犯をおびき寄せるための罠として使い、有名な罠なのに実際引っかかる』

『スーパーボウルを観戦するためなら、成人の15%が子供の出産に立ち会わない、21%が重要な仕事でもすっぽかす、19%が近しい人の葬式に行かない』等

 

アメフトのスポーツマーケティングは良く出来ており、アメリカでは圧倒的人気を誇っています。特に良いと言われているのは、そのドラフト制度で、「完全ウェーバー方式」が採用されています。前シーズンの成績下位チームから順番に指名をできる制度で、これによって毎回優勝チームが変わり、リーグが面白くなると言われております。面白いもので自分の応援するチームが毎回勝つよりも、勝ったり負けたりした方が、ファンが付くようです。サッカーでもドイツのブンデスリーガが世界で一番観客動員数が多いと言われておりますが、選手の給与に上限を付ける等して、リーグを接戦にしようとしています。

 

さて、本日の試合はNew England Patriots vs Atlanta Falconsです。Patriotsの監督Bill BelichickとクオーターバックのTom Bradyは2人で4度もスーパーボウルを制しており、今回5度目かどうかが注目されています。Falonsが勝てば初の優勝となります。どちらにしろ楽しみです。

 

以上ジローでした。

【玖】 難民からエリートへ

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大統領令:『シリア難民の受け入れを120日凍結。その他、テロ・リスクが高い7か国の入国を90日間凍結。』

先週末のトランプ移民政策が話題になりました。もともと公約に含まれていたので、何を今更と思うところもあるのですが、皆まさか本当にやるとは思っていなかったのかもしれません。移民政策が正解なのか、間違っているのか、分かりません。移民の制限をつけているという面では、もともと日本の方がつけていますし、そのお陰で世界有数の安全な国になっているという側面もあると思います。一方でアメリカの成長は移民なくして有り得なかったというのも事実だと思いますし、その人口増が爆発的にアメリカの経済を押し上げてきたのも事実だと思います。

実際、今回の移民政策には多数の米国企業が反発を示しており、特にテクノロジー企業の反発が目立ちます。反移民政策はシリコンバレーを滅ぼすとも言われ、グーグル、アマゾン、フェイスブック、ネットフリックス等トップ企業のCEOも反発を顕にしています。なぜなら多くのテクノロジー企業がエリート移民や難民の社員がいて、会社の根幹を成しているからです。アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏もシリア出身の移民の子で、グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリン氏も旧ソ連から両親と共に逃れて6歳の時にアメリカに来ました。

それで今回のニュースで思い出したのが、グーグルで働くキューバ人の知り合いの話です。当時聞いた時は驚愕したのを覚えています。

カルロス(仮名)はキューバの難民でした。2012年にアメリカで難民申請をします。たったの5年前です。

カルロスは母親1人と兄が1人いました。父親は小さい時に離婚したようです。母親は医者だったようで、良く海外に出張していたようです。ある日、母親が「これからメキシコに出張してくる」と言い残し、家を出ました。その日の夜、母親から電話があり、「もう帰らない、メキシコに亡命する」と言われます。小さかったカルロスは困惑して、「なんで家を出る前に言ってくれなかったの?」と泣きます。万一、実行前に誰かに話してそれがバレたら亡命が頓挫するからだそうです、「ごめんね」と母親も泣きます。それからカルロスと兄は自分達も亡命できるよう、パソコンのスキルを磨きます。勉強が奏功し、成人すると彼らはIT系の会社に雇ってもらい、メキシコ出張への切符を手に入れることが出来ました。そこで彼らも無事メキシコに亡命でき、母親と合流します。

ここからも冒険は続きます。3人は最終的にはアメリカの難民になりたいのです。キューバ市民はアメリカの土地に触った瞬間難民として申請出来ます。米国はキューバから脱出した難民に対し、「ウエット・フット・ドライ・フット」と呼ばれる政策を取ってきました。難民を海上で保護した場合はウエット・フット(濡れた足)として送還するが、米陸地にたどり着けばドライ・フット(乾いた足)として滞在を認めるという優遇策です。この政策によって何が良く行われるかというと、キューバからゴムボートでカリブ海を渡り、アメリカのフロリダに上陸しようとする作戦です。しかし、もちろんアメリカの海上警備隊がいて、リアル鬼ごっこが始まります。海上警備隊は陸に上がる前に捕獲してキューバに帰すことが目的、キューバ人は陸にタッチすることが目的。タッチした時点で警備隊は何も出来ず、キューバ人は難民として扱われます。カルロスの叔母がこの作戦を実行して成功したようですが、途中であまりに海に浮かぶ死人を見たためにマイアミで精神病に陥ってしまったようです。

さて、カルロス率いる3人は別の方法を取ります。メキシコとアメリカの国境を陸で渡る決断をします。(普通キューバ人はメキシコへの旅行ができないため、この手段は仕事の出張で来れた親子3人の特権です。良くあるのは同じ共産主義国のエクアドルへ飛んでからのメキシコ国境を目指す手段ですが、そもそも飛行機で9時間の道程をアマゾンを渡ったりして走らないといけないので達成困難です。)しかし、この3人の手段にもリスクがあり、検問所に行ってキューバのパスポートを見せれば難民になれるのですが、メキシコ側国境付近にはそのパスポート狙いのマフィアが存在します。メキシコ人はアメリカの陸を踏んでも難民になれないため、キューバ人だとバレるとその場で殺され、パスポートが闇市場で取引される事になる訳です。なのでカルロス一家は細心の注意で服を選び、見た目はメキシコ人の格好で、死ぬ覚悟で国境検問所に行きます。そこでドキドキ検問所を無事通過した親子はアメリカの難民申請をして1年で永住権を得る事になります。申請している間、仕事を探す訳ですが、やはり兄弟はパソコンの技術を生かし、テクノロジー関連企業を受けます。ご存知の方も多いかもしれませんが、グーグルはその場でコーディングをさせて人材を選びます。多くのテック企業もその方法を使っていますが、要は技術があれば、国籍、学歴問わず入れる訳です。コーディングの世界大会の入賞者にグーグルの人事が声をかけるのは有名な話です。兄の方も証券会社のシステムエンジニアとして職をもらったようで、絵に描いたようなアメリカン・ドリーム実現です。ただ、詳細を聞くと、母親との別れ、死ぬ覚悟等、日本では考えられない辛い経験をしております。

ここで思うのは、こういうまさに死に物狂いでアメリカに来て仕事をしている人達の気概には私は勝てないんじゃないかと。スタンフォード大のティナ・シーリグ氏の著書『Clash of Creativity』でも書いていますが、クリエイティビティの起爆剤は姿勢です。何かを成し遂げるためにはその姿勢・やる気・気概がやはり重要で、こういうカルロスのような人達に勝てるのだろうかと考えさせられます。

話はそれましたが、結論、優秀なやる気を持った人材を集めるためにも、アメリカには移民・難民も必要だと思います。ただ、確かにトランプ大統領の言い分も一理あり、不法入国等の対策はした方が良いのだと思います。

 

以上、ジローでした。

【米】 自由の女神はニューヨークにいない!?

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はじめまして、旅好きジローです。

 

2017年からブログを始めようと思っていたら、1月が終わりそうです。ということで、一発目。

 

週末、ずっと避けてきた自由の女神に行ってきました。(東京に住んでいると東京タワーに行かないようなものです。)日本からの旅行者がどうしても行きたいというので、寒いのも我慢して行きました。しかし行ったら行ったで発見も多い訳です。

 

まず、自由の女神はニューヨーク(NY)州内ではなく、隣の州ニュージャージー(NJ)州内にありました。

。。。え!?

NYのシンボルとしての自由の女神がまさかのNJ???(千葉県の東京ディズニーランドみたいなものなのか?)

と思い、詳しく調べてみると、境界線ではNJの領海に入っているが、自由の女神があるLiberty島はNYの飛び地でした。これには色々歴史もあるようですが、NYとNJの裁判で1834年にNYと決定したようです。

 

また、隣にEllis島という島があります。自由の女神クルーズに乗ると、もれなくついてくるLiberty島に近い島です。この島はアメリカ合衆国移民局が置かれていた事で有名で、1892年から1954年に約1200万人の移民を受け入れました。欧州からの移民は必ずこの島からアメリカに入国し、現在、アメリカ人の40%がEllis島を通ってきた先祖を持つと言うから凄まじいです。そしてこちらの島もNYの飛び地です。

。。。ん? ただ、Google Mapを見るとNJとも書いてあります。

将又調べると、元々の土地はNYでしたが、その後NYが埋め立てした土地は元々NJの海の上につくったようです。これに怒ったNJは1998年の最高裁判決でEllis島の90%を勝ち取ります。なので小さな島なのに2つの州が持っているということになります。

 

さて、欧州からの移民は皆船の上から自由の女神を見て、その隣のEllis島で入国審査を受けた訳です。自由の女神は南東を向いており、NYの港から海を見渡している形になります。NYの港に入ると、自由の女神が移民の乗っている船の方を見ている事になります。当時の移民はそれが本当の意味で『自由の女神』として見えたことでしょう。

 

ちなみに、Ellis島を通過した初めての移民はアイルランド人のアニー・ムーアという人です。(伝記もあります)アイルランド系移民の先祖はアメリカに4000万人いると言われていて、ドイツ系、アフリカ系の次に多いです。同国の大きさの割にアメリカへの移民がかなり多く、有名どころはケネディ家、ジョージ・クルーニー、トム・クルーズ、等多数著名人もいらっしゃいます。

 

アメリカの歴史、浅いですが、調べるとなかなか面白いものです。今回題名は少し語弊がありますが、『自由の女神が飛び地』であることもあまり知られていないと思います。

 

話は変わりますが、今週末移民政策で物議を醸しているトランプ大統領ですが、アメリカは元々ほぼ移民であり、コロンブスも移民だというデモ・反論が多いです。移民で人口が増えてこそアメリカの成長があると思う訳ですが。

 

以上ジロー初投稿でした。