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社会福祉の観点から、特に高齢者介護における現場での実情をリアルにお伝えします

川崎殺傷事件と元農水次官の事件を受けて

令和元年6月5日配信 カウンセラー 藤原秀博

※本記事は、カウンセラー藤原秀博氏の依頼にて、記事を掲載しております

 

 

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藤原秀博 著 現代のひきこもり 生活学のすゝめ


【川崎殺傷事件と元農水次官の事件を受けてのコメント】
(令和元年6月5日配信 カウンセラー 藤原秀博)

まずは被害者の方々にご冥福を御祈り申し上げます。 そして私も、加害者に対して怒りを感じていた人の 一人です。まずその気持ちが一番強いということを大前提においた上で私のコメントを目に通していただけたら幸いです。あまりに理不尽で悲しい事件の被害者の方々に対して、心を痛めております。

そして、元引きこもりの当事者でカウンセラーの活動をしている私としては、「引きこもり系=犯罪者予備軍」というレッテルが広がらないかということも危惧しております。実は、引きこもりは「動かない状態ではなく動けない状態」です。病気なのか環境なのか…何らかの原因で追い込まれていて、引きこもるしかない状態なのです。犯人と似たような境遇にある人に対してまで、排除や差別的な対応を多くの人がしてしまうと、ただ本当に社会に馴染めず動けないで苦しんでいる人々まで傷つけて追い込んでしまう危険性が高くなると思います。現実に私のもとには、今回の川崎の事件で社会的な声を聞いて、「自分も犯罪者に見られてるようで外に出るのが余計に怖くなった」と話し、自己嫌悪の毎日を送る「引きこもり系のクライアント」さんが複数います。また家族の方からも「うちの子も事件を起こすのではないか不安でならない」と言った相談が寄せられています。
しかし、引きこもりの仲間たちに共通してることは、「本来自分が一番安心できる場所(自宅)にいるのがベストなのに、外に向かって犯行に至るということは考えにくい」と、私は思っています。ただ、「引きこもり本人がやってみようと思える解決策を示せていない段階」で、外に出されてしまうかもしれないといった「不安」や「刺激」だけを与えてしまうと、本人は危機的な恐怖を抱いてしまいます。ましてや、家族や周囲が引きこもり当事者に寄り添うというよりは、無理解で無神経な結論ありきのアプローチをしてしまったら、なおのこと本人は絶望感を抱きます。それは実は、必死に浮輪につかまって生き残ろうとしている「泳げない人間」に対して、浮輪を離せ!と言っているような残酷なことなのです。引きこもりは生き方が分からない、社会に馴染めない苦しさから身を守るための一時的な対処手段でもあります。本人に生きる力がないのか、病的な要因があるのか、またはパワハラやイジメなど環境的に過酷なのか。その原因は人それぞれですが、とにもかくにも本人が生き残るためにとっているコンディション状態像なのです。よく考えてみてください。家族や周りからも承認されない引きこもりを、怠けたいという理由だけで本人が心から望んで続けるでしょうか。人間には承認欲求があるのですから、本人が望んで引きこもっているように見えても、実は引きこもる以外の生き残る手段が見つかっていないだけなのです。
ではどうしたらいいのでしょうか。いきなり就労には付けない状態の当事者にとって、今の引きこもり状態の自分を受け入れて相談にのってくれる人や場所にSOSを発信することが一番の鍵になります。そして家族の人も我が子を心配するならば、まず家族の人自身が引きこもりにならないようにどうか外部に相談をしてみてください。相談する人や場所は、同じような境遇を生き抜いている家族会や当事者団体、公的な相談機関が望ましいと思います。そういった場所で本人も家族も本音や弱音を吹き出して、「自分だけが苦しいわけじゃなかったんだ」という共感と愛を体感してほしいと思います。そして、そこから今まで蓄積されてきた様々な解決策を知って、自分に合った希望の道を見つけていってほしいと願っています。
自分に合った解決策に取り組んでいる過程で、自分の操縦方法を確立していき、共に歩める仲間を作っていく。そうすれば、苦しい引きこもり生活から、自分の人生に責任を持った『楽しいインドアライフ』を送る自分に不思議と変わっていることに気付くでしょう。私や仲間たちが生き証人です。

世論についての話に戻りますが、犯人への排除的な発言に対して頭ごなしに反対するつもりはありません。私には「一人で死ね」や「不良品」のような発言をする人の気持ちの中に、「被害者を救済したいという強い思い」が含まれていることも十分に理解しているつもりです。実際に私は、川崎の事件のニュースを見た時に加害者をボロクソに言いました(自宅内だけですが…)。また私がかつて不良たちから集団暴行を受けたり、詐欺にあった時、仲間が「藤原さんに危害を加えた奴らをぶん殴りたい・殺したい!」とまで言ってくれて、まるで自分のことのように感情移入して味方してくれたことが凄く嬉しくて、勇気づけられました。だからそのような声を否定するつもりは私にはありません。
しかし、「一人で死ね発言」のような気持ちは、被害者に対して労りのようなメッセージになることがあったとしても、公の場で発信すべきではないと私個人は考えています。本当は加害者も死ななくて済む、つまりは加害者を生まない愛の溢れた社会作りを目指していくことが真の解決策ではないでしょうか。奇麗事のように感じる人も多いかもしれませんが、本当はああいう加害者を生み出さないためにはどうしたらいいのかを考えるべきだと思っています。確かに、「一人で死ね」発言のように排除することは、一時的な安全策・解決策にはなり得ると思います。しかしそれは、テロにあった後に戦争をしかけろ!と相手国の子供まで攻撃してしまうようなものではないでしょうか。
飛躍すぎた例えに思えるかもしれませんが、感情をのっけて意見を示す場合、「恨みや怒りといったネガティブな感情」をぶつけてしまっては、該当者へ新たな恨みや怒り、怖れを生み出してしまい、さらに争いや不幸な事件を起こさせてしまうと思います。もし感情をのっけて意見をしたい時は、その感情はなるべく愛や慈しみであってほしいと私は願っています。

たとえその排除的な意見が極めて常識的で正論であったとしても、それを果たして公式に発言するべきなのでしょうか。私は、「加害者を排除するような正論の発信は公には控えるべき」という考えです。何故ならば、「常識的なことをやりたくても出来なくて悩んでいる人」「正論が出来なくて追い詰められている人」たちに対して、正論をぶつけてしまってもさらに追い詰めてしまうだけだからです。元農水省の人の事件も、うちの息子をどうしたらいいのかという悩みを相談・共有することよりも、父自らが子供を殺めてしまう方を選択してしまいました。川崎の犯人と我が子は決して全く同じ人間ではないはずなのに…。この背景には、引きこもり=犯罪者予備軍でダメな人という偏見が、今もまだ社会に根強くあって相談しずらかったり、救済手段も明確に広まっていないからではないでしょうか。

「一人で死ね」とか「引きこもりなんてグズ」のような意見を公に発信することよりも、こういう加害者を生まないように愛・慈しみのあるアプローチをしていくことが大切だと私は思います。加害者を生み出さないようにする取り組みこそが、理不尽で悲惨な被害者を生まない「真の解決策」になると考えています。
川崎の事件や元農水省の人の事件も、原因の一つに、犯人を犯行に追い込むような無言の圧力が社会背景にあったのではないでしょうか。外に結果を出した勝ち組ばかりを称賛するのではなくて、人間の弱い所を共有しあえる多様性のある社会作りへ。つまりは、一人一人が愛・慈しみというプラスな感情の方を他者へささげていくこと。引きこもっていても生きていていいよ。弱いところがあって社会に馴染めなくても生きていていいんだよというメッセージが社会に溢れていたら、このような事件は起きなかったかもしれないと思う日々です。そのためにも、愛のある実用的な支援システム作りが重要になってきます。不充分ではありますが、現在でも適切な相談場所や解決策はあります。まずは悩んでいる当事者や家族が、同じような境遇にあっても生き抜いてきた人たちに相談をして、これまで蓄積してきた解決のノウハウをぜひ聞いてほしい、ひきこもりの人権を尊重した支援者に出会ってほしいと切に願っています。そのためにもマスメディアが事件を報道する際に、同時に一般的な支援機関をきちんと紹介することが、苦しんでいる当事者や家族の命綱の役目を果すことを再認識してもらいたいと思っています。

令和時代に入りました。権力者や上級国民が支配しやすいように「作りあげた社会常識」まで、とらわれることはないと私は思います。一人で死ねといったようなネガティブな感情をのっけた「社会的常識」だけをぶつけるよりも、社会に馴染めないで苦しんでいる人たちと共有してほしい。何らかの要因が重なって、現代社会の中で常識的な行動ができなくて苦しんでいる人たちに、常識だけをぶつけるのではなく、加害者も被害者もいなくなって、皆が幸せになるように神様に祈ってほしい…そんな想いにふける私が甘ちゃんなのでしょうか。

今を生きる私たちは、焼野原からここまで恵まれた環境に整えてくれた先人たちには常に感謝をしなければいけません。これだけの経済発展を遂げなければ、今のような当たり前に人間らしい生活はできないのですから…。ただし忘れてはいけないことは、経済発展は人間のためにするべきです。経済のために人間が存在すべきではありません。あくまで私たち人間が主役で、経済の方に支配されてはならないと思います。時折、「義務を果たしていない連中には権利なんてない」という論理がまかり通って、どんな人にも無条件に人権があるという先進諸国では当たり前の常識が共有されていないと感じることがあります。そんな「当たり前の厳しさ」ばかりを社会に抱いてしまい、人間社会の「温かさ・美しさ」を日常生活で感じられなかったら、それは大変不幸なことです。はじめから犯罪目的のらくだけをしたい詐欺師は論外ですが、義務を果たせないくらい心も体も弱ってしまった人間には生きる価値すらないのでしょうか。金を生み出さない人はグズだとか、金をいくら稼げるかどうかで人の価値は決まるといったような、人間の幸せや目的が経済に重点を置きすぎてしまった社会では、人間そのものの生きている意味が軽視されている気がします。それに加えて、経済と人間の精神性の発展をどう繋げていくか。引きこもりが現実的にも将来的にも、どのように生活をしていくのか。より具体化した生活支援のラインプラン作りも必至です。
深刻な引きこもりは、それだけ自尊心を奪われて愛情を知らない環境で生きてきました。また愛のある有効な支援にも引っ掛からなかったからこそ、長期化して引きこもっているのだと思います。弱い所を共有しあえる多様性のある社会作りへ。人びとの心が豊かになることこそが生産性を高めて、行き詰まった経済発展にも繋がっていくことを我が国でも証明していくこと。今回の事件に対して、安易な勧善懲悪のストーリーに落とし込まれず、社会全体の課題に迫るという大事な部分を抜け落とさないで取り組みを続けてほしいと思っています。この事件の問題の複雑さを丁寧に見て『生き方や命の教育』という問題の本質を求めていく社会活動を、私も微力ながら進めていきたいです。苦しんでいる引きこもりの仲間たちが、本当の笑顔で「自分は引きこもりだよ」と、言える日まで…

 

<ひきこもりの公的相談窓口>

◎地域ひきこもり支援センター(厚労省

◎各自治体の保健所

◎各地域の社会福祉協議会

<家族会・当事者会情報>

◎KHJ全国ひきこもり家族会連合会

◎ひきこもりUX会議

◎ひきプラ(ひきこもりプラットフォーム)

◎ひきこもりアノニマス
など

夢が叶うまで② -3世代交流-

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【前回のあらすじ】
高齢者・スタッフ・家族など参加者全員が楽しめるレクを目指していた。

また、高齢者とその子ども、そして孫の3世代で会話できる話題から

世代間交流を狙い、様々な企画をしていた。


当時、企業ホームページのIR情報からCSR活動を検索し、CSR活動する企業を老人施設へ招致していたところ、オリエンタルランドから連絡があり、ミッキー・ミニーが来ることに!!イベント当日、ミッキー・ミニーを会場へアテンドアテンドするためエレベーターに一緒に乗り、待機していたのだが・・・

【会場に入るまで】

会場から死覚となるエレベーターの中で待機するミッキー・ミニーは「会場は盛り上がってるかい?」と私に問いてくる。そして、すかさず「私たちの、どっちが好き?」と聞いてくる。もちろんジェスチャーのみで。でも、伝わってくる。何を質問しているのかが、わかる。2人は会場側のスタッフから入場GOサイン待ち状態の、裏方である自分の心を満たそうと話しかけて(?)いる。プロ意識と言うのか、そういう人格(?)と言うのか・・・

【ギャップがステキ】

いよいよミッキー・ミニーが会場に入るとアンバサダー(親善大使)から挨拶があり、その後、2人は踊りを披露する。そして、握手やハグなどグリーティングを一人ひとり、全ての施設入居者に行っていく。笑顔になる人、愛想笑いの人、(怖いのか?感動なのか?)泣いている人、中には、無関心な人も。一番印象に残っているのは、江戸っ子で亭主関白、そして貫禄のあるおじいちゃんが、奥様に「俺は着ぐるみごときで喜びはしねぇしよっ!」て言っていたのに、グリーティングの順番になったら、見たことも無い笑顔で握手を交わし、見事なまでにミニーとハグ!!!笑


【素晴らしいCSR活動】
イメージ通り、オリエンタルランドは規律が厳しいと言いますか、整備がなされており、会場となる施設の入口からバックヤードまで機材搬入をするだけも、全てがシャットアウトされます。通路は通行不可、全てカーテン・パーテーションなどで覆われます。ちなみに、社会貢献としてCSR(企業の社会的責任)を実施しているため、実施する際のコストは0円です。素晴らしいのは、このような社会貢献活動を、実施側企業が宣伝として使用しないという部分です。

【実際の様子】
会場は施設内のリビング&ダイニング(食事やレクを行う広いスペース)を使用し、常設の机は撤去し椅子を用意しました。ご家族や官公庁からの査察や報道関係者など外部の方々も沢山来て下さいました。当時の状況はニュースにもなり、その状況は下記からご覧頂けます。

youtu.be



【余談:ブレイク】
ニュースになった後、誰かが上記の動画をUPしている事が分かりました。当時は、なぜニュースを動画投稿したのか理解出来なかったのですが、他者が、なぜ、投稿を、と突き詰めて考えてみると・・・なるほど。と。実際、本当の意図や目的は闇のベールに包まれていますし、思うものもあるけれど、自分の企画した内容のニュースが投稿されるという事は『おめでたい』こと、と捕らえてますv そして、そこにあったコメントも何件か拝見したけど、何も知らないという事は、ある意味、『めでたいなぁ』と思ってますw

【会場からバックヤードまで】
全てのプログラムが終了し、記念撮影を終え、二人は惜しまれつつも会場を退場となります。会場を去り、エレベーターへ一緒に乗り込み、1Fのバックヤードまでご案内。バックヤードは1つの部屋を貸し出しているため、出入口に扉もあるのですが、厳重にするため扉の前にもホワイトボードがパーテーション代わりに設置されています。自らも余韻となる興奮を抑えつつ、大人な対応で「ありがとうございました」と挨拶をすると、彼らは部屋の中へ。私も後ろを振返り、後を去ろうとした時、何か違和感を感じました。後ろを振返ると、そこにはホワイトボード。気のせいか・・・と思ったその時、移動用ホワイトボードの足の隙間の部分から、ミッキーとミニーがしゃがみ込んで、顔を出して手を振ってる!! なんてオチャメなネズミ達!! 凄すぎる!!!!

【介護に例えると】
表現方法に困りますが、サービス精神であったり、プロ意識であったり、介護に求められることや
追求する部分は、同じサービス業としてリンクしていると考えます。メインで実施するグリーティング以外の場面、例えば今回体験した会場外での出来事は、介護で例えるのであればルーティン業務(入浴・排泄など)以外の場面だと考えます。そこで求められるのはサービス精神(単なる声かけでは無く、相手を幸せにしようとするコミュニケーション)であると思います。これが、仕事としてのプロ意識であったり、求められていることであると考えます。

【全工程が終了】
建物から機材搬出も終わり、あっという間に終わりの挨拶の場面に。玄関前でお見送りをしていると、帰り際にアンバサダーが「ホワイトボードはバックヤードに入れておきました。あと、バックヤードとしてお借りした部屋には魔法をかけておきました」と。。。バックヤードへ向かうとホワイトボードにはミッキー・ミニーそしてアンバサダーのサインが!そして、気持ちが沢山詰まったメッセージとともに、ななんと宝箱がっ!!そして、宝箱からあふれる宝物の山!!!!!
(宝箱と表現している現物と、その中身については先様への配慮として書きません。ごめんなさい)後に、ディズニー好きの方にホワイトボードのサインを見せたところ、ミニーのサインにとても驚いてました。サインを良く見ると、ミニーのサインには"xoxo"の記載があり、これは、本当に楽しかったり嬉しかったりした時にだけ、書いてくれる超レアサインとのことです。この場を借りて、本件に携わった皆様に感謝申し上げます。

 




夢が叶うまで① -3世代交流-

 

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【夢が叶うまで】

6年前、スターバックス高齢者施設でテイスティングパーティーを実施して欲しいとプレゼンし、実際に施設に来てくれたことをきっかけに、多くの企業ホームページを見ていました。企業ホームページによってはIR情報という項目があり、その中でCSR(企業の社会的責任)活動を掲載している企業があります。具体的には、ゴミ拾いや子どもにお菓子を配ったり・・・。ビジョンや理念がマッチする活動を見つけては、「その活動を高齢者施設で行って下さい」って電話してました。つてやパイプも無いままに…。星の数ほどある企業の中で、今思えば自分は『自分がプライベートで純粋に楽しいって思えることは、きっと高齢の方にも届くはず!』という想いで企業選定をしてたんだなって。

 

【イメージしていたこと】

フィルターをかけることなく自分が純粋に『楽しい!』って思えるものに対し、それを高齢者施設で実現するには①スタッフが一緒に楽しめるもの②実施して高齢者の子どもや孫の代まで3世代交流になる話題が生まれるイメージが出来るものを選定しました。実施出来る/出来ないは別としても家族が面会に来た時に、子どもや孫に対して「今日ね、スタバがやってきてフラペチーノ飲んだの」とか言って、世代を超えた交流のきっかけになったらステキだなぁと。

 

【夢の国に連絡した時のこと】

高齢の方々と、家族と、スタッフが『楽しいっっ!!』って、みんなが幸せになる夢を叶えて欲しいんです!!!って想いを伝えました。担当者の方は丁寧に話を聞いて下さり、事務的な確認事項が何点かあり・・・「では、行くことが決まった際に連絡しますね」と。「いつ頃ですかね?」との問いに「行けるかどうかは未定です。行くことが決まりましたら連絡します」と。。。その後のやりとりも叶わず、自分の異動が決まり他の施設へ…

 

【魔法でやってくる】

ある日、異動前の施設から連絡があり「オリエンタルランドから連絡が来てますけど」

と。ミッキー・ミニー、アテンドしてくれる親善大使のアンバサダーが来ることになりました。打合せ時、詳細を詰めていくなかで疑問が…「当日、ミッキー、ミニーはどうやって来るのですか?」との問いに「魔法でやってきます!」と笑顔で。さ、さすがオリエンタルランド。他企業との打ち合わせでは、笑顔でも言えません。

 

【準備から当日まで】

スタッフも一丸となって準備してくれて、訪問理美容でお世話になっているun.の湯浅さんも会場づくりを手伝って頂き・・・委託の厨房さんもオリジナルの昼食を考えてくれて。感謝、感謝。

 

【何だろうか】

当日の会場までのアテンドは自分の仕事。エレベーターにミッキーとミニーとアンバサダーの4人で乗り込む。会場はMCが場を盛り上げいよいよピーク。エレベーターの中に待機しているミッキー・ミニーは会場から死角で見えない。見えているのは自分だけ。しかし、彼らは自分に問いかけてくる。いや、本当に。「ねぇねぇ、会場は盛り上がってる?」って。しゃべらず、表情変えず、ジェスチャーのみで。スゴイことだ。そして、目の前にいる自分を楽しませている・・・

 

福祉って、こういう事じゃない??

続く・・・

 

 

JALを呼ぼう!後編 -CSRによる社会交流-


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 イベント当日、本物のパイロットが自ら運転する飛行機で老人ホームにやってきました!…んなわけない。「貯めてたマイル使って参りました…」とかスマイルで?途中でカード使おうとしたら、タヌキが出てきて「DCが良いよ〜」…なんて訳がない。

イベント開催】 
応接室へ御案内する。とても紳士な方で「本日は、このような機会をつくってお招き頂き大変感謝しております。」…こちらこそm(_ _)m今までJALCSR活動の一環として行なう《そらエコ教室》を主として小学校で実施しており、老人ホームは初めてとのこと。ありがとうございますm(_ _)m。さっそく、持ち込まれたPCを会場にセットして、パイロットの方の話が始まりました。内容は、なぜ重量がある飛行機は飛ぶのか?という話や、機体の仕組みから構造まで。また、二酸化炭素をなるべく出さないようにするエコに対する取り組みや、フライト時に見るアラスカの漂流や森林の景色をスライド付きで説明して頂きました。

パイロットと介護職の共通点】
介護職と共通した仕事の認識として、『人の命をお預かりしている』という意識がとても強いということ。私たちも、配薬介助などにおける意識付けは、よりプロ意識を持って対応しなければならないと感じました。そして入居者の方の反応は…真剣そのもの!


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機体の構造などかなり深い説明までして頂いたのですが、そこに質問が飛び交いました。さらに、終盤入居者の方にシールやステッカーを頂くサプライズ!喜んでステッカーを片手に持ち記念撮影をされていました。今回は、プロ意識の他にも考えさせられる事がありました。フライト時の素敵なスライドを見てて思ったのですが、介護施設において見れる景色や風景は、このままで良いのか?と。毎日勤務していると慣れが生じてしまう『施設病』になりがちです。最近の施設環境は、かなり充実してます。昔あった無機質な天井に、真っ白な壁、刑務所、病院では無く、生活の場である訳で。その点についてはハード面しかり、運用する私たちの意識も高くなければなりません。暖かみのある家の雰囲気は出すべきですが、冷蔵庫の上に物を置いたり、手すりにコップやリネン置くなど、「その手すりはどのような意味合いがあって設置されているのか?」という所から1つひとつ考えていく必要があります。

【今後の課題】
JALのそらエコ教室については、内容がとても充実していたため生涯学習講座という形式でも開催できると考えます。また、JALの知名度はとても高く、高齢者の認識もあるので今後は知名度も最大限に活かす形をとりたいと考えてます。そして最終的に、ニーズがあれば利用者の方と飛行機に搭乗し、社会交流を兼ねて夢をかなえたいと考えています。

JALを呼ぼう!前編 -CSR による社会交流-


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【業界のスタンス】
 介護施設では、社会資源を活用する場合に社会福祉協議会などを活用しボランティアの方にお越し頂く事が一般的だと思います。施設側から発信するにしてもネット以外では≪ボランティア募集≫などの張り紙を地域の掲示板に掲載するものが主流と認識しています。そもそもは過去に言われていた3K(汚い、臭い、給与少ない、結婚できない・・・ect.)を払拭したいという考えを強く持っています。社会資源の活用1つをとっても、業界のスタンスは良し悪しでは無く保守的のように感じます。そこには今までの経緯や高齢者を対象としている業界の特色がある訳で、保守的要素を持つ業界あることを加えておきます。しかし、時に物事を絶対に実施したいと考える際には「その社会貢献活動を、この施設内で実施して下さい!」というアクションも必要です。

【レクリエーションNo1 ≠ 目立ちたい
業務の中で本能的な欲求ではなく、入居者の方を笑顔に出来る時間のひとつに、レクリエーションがあります。入居者の方を笑顔にするにはまず、スタッフが笑顔でなければなりません。入居者の方の笑顔(≒レク)でNo1になるには、どこでも実施しているレクではなくて、オリジナリティある企画でなければなりません。しかし、目立ちたいという発想ではありません。別途記事にしたいと考えておりますが、この業界は社会において本来は、目立たない状態が望ましいと考えているからです。誤解が無いよう記載しておきますが、現在業界を盛り上げようと活躍している個人及び団体については応援しておりますし、これからも積極的に人にお会いしたり、参加をしていきたいと考えています。

【企画の背景】
今回、記事にするJAPAN AIR LINES(日本航空株式会社)を呼ぶ経緯は次のような観点からでした。日本人の平均寿命の男女比からみてもわかるように、介護施設に於いては概ね2:8もしくは3:7程度の比率で女性が多い状況です。無意識に、レクも女性に親しまれる内容を選定する傾向があります。日常のレクに加え、このようなイベントを定期的に実施しておりますが、以前男性の参加率が低くなった時もあり、そこから男性にも楽しんで頂けるようにと企画を立てました。

CSRの傾向】
各企業HPからIR情報を確認し、鉄道会社や航空会社など男性向けの企業選定をしていましたが、それに問わずCSR活動で一番多いのが地域貢献(地域のゴミ拾いなど)次に、子どもを対象とした活動(園児から学生まで)が多く見受けられます。会社が存在する地域への貢献や未来ある若い世代に教育活動は素晴らしいものばかりです。これからは、企業でも介護や高齢者に対する問題提起がなされ、高齢者向けの活動が増えるようになって欲しいとも考えています。

【企画をJALに定めた理由】
JALでは≪そらエコ教室≫という社会貢献を小学生に向けて活動している事を知りました。そこで、JALの担当者へ連絡をし交渉します。「内容を高齢者の方でも学べる内容にして、施設で実施して頂けませんか?」結局、とても柔軟な対応をして下さり実施の運びとなります。当日まで、利用者の方にイベントを楽しみにして頂けるよう、JALのロゴ使用許可を得てチラシに反映させ、その日を待ちました。

→後編に続く

精神的負担(感情労働)について -人にしかできないこと-

 

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 一昨日の夜、東京ではがほんの少しだけ舞いました。また昨日は、天気の良い比較的暖かい1日でした。そして本日2月27日早朝は、少し風を冷たく感じます。

感情労働とその価値
緩やかな気候の変化でも、私たちの身体には負担がかかるものです。また身体的負担の他にも、少なからず無意識精神的な負担を抱えることがあるかと思います。仕事においても同様で、感情労働と言われる介護職もまた、精神的な浮き沈みを強いられる場面があります。介護業界の精神的負担は、一般的に考えるところの想像以上に、私たちのメンタルを左右する『振り幅』が大きいと言えます。ここにフォーカスし辛さを訴えるのも良いのですが、実際には介護業界の価値を、私たちがこの感情労働に見出していると考えています。

【もしも・・・】
くだらない例えですが、もし仮に、出勤前の忙しい時間に部屋の引き出しからドラえもんが出てきて、「やぁ、やぁ、ボクは今日からココに住むことになったから、困った事があったらいつでも相談してね。何でも出すから…」とポケットをゴソゴソしてたらどうしますか?この事を楽しみにしながら仕事に向かい、とりあえずどら焼きでも買って帰ろう!と考える人も多いはずです。

【介護現場で起こっている実例】
ドラえもんは実例ではありませんが、朝から晴天で心地良い気分で爽快に出勤したとします。朝、職場に到着すると更衣室で同僚が落ち込んでいます。声をかけると「実は、昨晩から担当する入居者の方が心臓の痛みを訴えていて・・・」と話しています。そんな同僚を励まし、仕事がはじまるとすぐに介護職がバタバタと「大変です!〇〇さんのバイタルが!!」と。看護師が慌てて片手にAEDを持ち駆けつけます。その後、連絡したDrが到着し・・・急変した入居者が居るなか、玄関からは何やら見知らぬ来客が。今後利用を検討している方が見学に来る。「こんにちわ、いらっしゃいませ!」と笑顔を見せる。見学者が応接室に入ると救急車が到着。

【激しい感情の高低差】
上司から「午後のレクリエーションを行う予定スタッフが、救急者に同乗する事になったので悪いけどやっておいて」と。午後のレクを見てみると、月に1度の誕生日会。笑顔で「おめでとうございます!」と祝福。その後、救急車に同乗したスタッフと共にご家族が帰ってくる。家族は泣きながら「実は・・・」と。。。この仕事では、日々入居者の生活に関わっているだけに、その方に対する情は厚くなります。また、同様に家族の感情を汲むこと、周囲の人への配慮を同時に行わなければなりません。また、サービス提供をする対象となる高齢者の中には、精神疾患を持つ方も多くいます。

【私たち人間にしか出来ないこと】
私たちが精神的負担を抱えている理由は、『高齢者や御家族の精神的負担を緩和さようとしている』からです。現場で働く私も含め、日々感情労働の現場で働いていると、どうしても理由を見失いがちになります。しかし、高齢者や御家族の精神的負担を緩和させようと考えているからこそ、直接介護における現場においてはAI導入が難しいと考える人もいるでしょうし、人にしか出来ないことだからこそ、この職に価値があると考えている人も多いのではないでしょうか?

人にしか出来ない仕事であるからこそ、私たちもある程度のストレスコーピング感情コントロールができるようにならなければいけません。その上で、介護に関心が少ない人に対して、介護現場で今、何が起こっているかを明確に伝える必要性があります。そして、AIなどを駆使して少しでも現場で働く介護職の負担軽減となる環境をつくり、人が人にしか解決できない問題を社会全体包括的に支えていく必要があると考えています。

スターバックスコーヒーを呼ぼう!- CSR活用の原点No3-


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【転職したのち】 

現在の会社へ管理者として転職し、やっとスターバックスを施設に招くことが叶いました。過去、入居者であった、たった1人のニーズでしたがそれを実現できる事がとても魅力です。

【コンセプトへのこだわり】
この企画を実施した時、家や施設で味わうことの出来ない非日常の雰囲気を味わって頂くため、ロゴの入った紙コップを持参頂きました。また、トレードマークである緑のエプロンや店舗で流すBGMまで、準備は整っております。そもそも、スターバックスサードプレイスとしてのポジショニングを設定しています。健常者は原則家に住み(ファーストプレイス)学校や仕事場(セカンドプレイス)で大半を過ごします。そして、余暇の中でひと時を過ごす・・そんな場所がサードプレイスです。一時的にではありますが、施設内の食堂がこれからそれに変わります。

【準備段階から】
実際に会場となる施設の食堂で、提供するコーヒーを仕込んでいる準備段階から反応がありました。遠くからやってくる入居者の方々。「これはなぁに?とても良い匂いがするわ!」まずは嗅覚から反応を示します。スタート前に会場へ来た方が、次に反応したのはエプロン。店員さんに向かって「このカワイイ色のエプロン、どこの?すたぁ・・・ばっくすぅ?」(はい、そうです!オートバッ〇スではございません!!)平均年齢80代をキープする施設の方は、ほとんどスターバックスの存在を知りません。でも、コレこそが最大のキーポイントです(詳細は後程記載します)。レクリエーションの時間も近づき、もはや業界用語化している『誘導』も済み、いよいよスタートです!!

【イベント実施!!】
前職で猛反発を喰らった事も参考にし、カフェインレスコーヒーがあるか事前に相談したところ、さすがスターバックス!ディカフェというカフェインレスの豆(当時、この名前だったのかは定かでは無いのですが)もご用意。そしてコーヒー豆の説明がはじまります。大きなカラーボードを両手で掲げて、聞いている方が視覚でも理解でき、楽しめます。コーヒーの香りと聴き心地良いBGMで雰囲気は店舗さながら。そして、いよいよ試飲。打ち合わせ時に、無償で実施して頂く事ですし、高齢の方も通常1回の提供につき約250CC程度なので、コーヒーの量は少なめで良いのですが、雰囲気や演出を大切にしたいのでテイスティング用ではなく通常のカップを用意して欲しいと依頼してました。が・・・しかし、飲むわ飲むわ!驚く程に!!

【なぜ、美味しいと感じるのか】
当然「おかわり!!」の声もv スタバの店員さんも看護師も笑顔でOK!入居者の方に、なぜ美味しく感じるのですか?と問うと「香りが良い。温度が熱いのが良い」と。今回のイベントを実施するにあたりスタッフやNsには事前に、なぜこのイベントを実施したいかという意図を伝えてました。施設内という制限ある生活の中、せめて非日常のイベント時は、いつも以上に利用者の気持ちを尊重して欲しいこと。自分たちの身を守るという考え方で、高齢者の自由を制限して欲しくないこと。私たちがコーヒーを飲むとき、どこに楽しみを感じているか考えて、それを提供して欲しいこと・・・。この想いと共に、スターバックスの「職員の方も是非どうぞ☆」という計らいが、利用者へのコーヒー提供ではなく、スタッフも一緒の席に座りながら笑顔でコーヒーを飲み、会話を生みました。

【世代間交流について】
そして、今回のイベントをスターバックス側に実施して欲しいとプレゼンした時、一番大切にしたいと考えていた事が後日叶いました。イベント実施数日後、ある利用者の方が面会に来た娘と孫に「あたし、この前スターバックスラテ飲んだのよ」と言ったようです。それを聞いた娘と孫が、驚いて事務所へやってきました。母は認知症になったのか?という笑い話になっていたようです。高齢者と、その母とその孫に共通するキーワード「スターバックス」。その世代間を越えて共有できる話題に、花が咲きました。

CSRについて】
企業の社会的責任と言われるCSRは社会貢献性がとても高いためコストはかかりません。しかし、実際にはコーヒーや紙コップなどの材料費、人件費、交通費、他にも時間軸で捉えればサンク・コスト(機会損失)といったものが挙げられます。一般的には企業が、利益追求以外にも社会に貢献する活動をしている旨を株主に対してみせる意味合いがあります。ですので、企業ホームページ上でIR(Investor Relations)情報の中にCSR活動内容が多く掲載されております。この、スターバックスのイベントがキッカケで、今までCSRを活用した多くのレクリエーションを実施してきました。その内容はまたブログにアップします。そして最後に、今回の出来事をささやかですが、ホームページ上にアップして少しでもスターバックスの宣伝になれば・・・と先方に伝えたところ、「それでは社会貢献の意義が無くなってしまうので、お気持ちだけで十分です」との話。この心地よい、言葉に表せない人と人との気持ちの交流が、この業界にとって大切なものではないのでしょうか。