PECHEDENFERのブログ

Le rayon d'action illimité. D'une véritable ruche bourdonnante.

ウィーンの時計博物館

 

「ウィーンで風変わりな場所」で検索して見つかったので、行ってみました。結論からすると全く風変りではなく、真面目で貴重な展示でした。

 

地下鉄で Stephansplatz 下車。ここまで来たならついでに St. Stephans をぐるりと回って全容を見ます。ここに立つのはほぼ16年ぶり。

もちろん完工していたなんてことはありません。

 

博物館は Graben の突き当りを少し北へ行ったところ。地味な場所にあるので、入口が見つけにくいかもしれません。

 

ウィーン中心部の古い建物を使っているようでした。



ウィーン市の「時の鐘」も入ってすぐの場所に移設されていました。

 

上階に展示が続きます。最初の部屋は大掛かりな時計など。先ほど見てきたばかりの聖堂 St. Stephans の時計台でかつて使われていた機械部分がそのまま展示されています。1699年に設置された 4代目ということです。19世紀に外され、それ以降聖堂の南塔には時計は無くなっています。

この時計の説明で思い出したのですが、St. Stephans は建造物の方位が変で、いつもあの辺りに来ると方向に迷ってしまいます。

 

同じようなカテゴリーになる旧市庁舎の時計の機械部分。1715頃の製造。

 

かつてウィーン市には日時計も多かったようです。

 

比較的金のかかっていそうな時計が収集されています。

古いものは動いていません。針すら除かれています。

 

機械部分に特徴がある場合、フロントパネルを外しています。

 

天体時計というカテゴリーがあり、コレクションも大変充実していました。月の満ち欠け、黄道12宮の位置などを告げる時計。複雑機構への飽くなき情熱は古くから存在しています。

時計は富と知性の証になり、宝飾品としても、科学としても、最新式機械としても高度なものが求められてきたことがよく分かります。王族貴族が独占していた物品は、国富を増やすために大衆化せざる得ず、時計もまた大衆化の道を突き進みます。腕時計業界では、今だに古い考え方が生きている点は天晴だとしか言いようがありません。ただ Breguet や Patek philippe などの宝飾系時計を腕にはめるのは、自宅リビングにこのようなギラギラした時計を置くようなもので、仰々しさは避けられないなと納得できます。

 

連続作動時間への挑戦も、歴史的に一大潮流です。Gangdauer 5年なんて時計も展示されていました。日本の江戸期の時計も「異なる時の概念や特殊な機械工学」の紹介という位置付けなのか2点ほどありました。

 

時間に追われる人も暇人もウィーンに来たら必見の博物館です。

 

お帰りは Graben 周辺でお買い物でも。2008年に比べると、Louis Vuitton、Rolex、Starbucks などグローバル大衆ブランドの路面店が増えた気がします。