PikaCycling

Raleigh CRAとDAHON routeを買ったばかりのサイクリング初心者。ポタポタとポタリングを楽しもうと思っています。

【環島】2024台湾一周 DAY5 四重渓温泉~池上(84.9km)

四重渓温泉での夜のこと、ふと目が覚めて時計を見るとまだ午前3時くらいで、さすがにまだ早すぎると目を閉じたのですが、外からごうごうという大きな音が響いてきてまったく寝付けません。
トラックが走っているにしては途切れないし、なんだろう。
そう思って窓の外を見ると猛烈な風が吹き荒れており、木の枝が折れんばかりに激しくゆさぶられていました。
これは大変なことになっているぞ、と天気予報を見て驚きました。

明日1日中、風速15m/sとは、ほとんど台風並みの強風です。
翌日の予定は山越えから台東を経由して池上を目指すことにしていたんですが、それもちょっと危うくなってきました。
この四重渓までの道路は国道1号線とは違って片側1車線の普通の道路です。
交通量は少ないとはいえ、風に煽られたら一発アウト。
外側に吹かれても谷底に真っ逆さまになりかねません。

この日以外のコースであればなんとか凌げたんですが、これはちょっと無理だな……、と転進を決めました。
風向きを考えると一旦大きな駅がある屏東まで北上し、次に宿泊する予定の池上まで電車で輪行するのが一番確実かな、と。
このルートであれば東側からの風が強くても、片側2車線+二輪車専用道の組み合わせなので安全だろうとの判断です。

ただ、これをしてしまうと「自転車台湾一周」の認定は取れなくなってしまいます。
公式ルートでは輪行が認められているのは花蓮~蘇澳新までのみとなっていて、それ以外で電車を使ってしまうとアウトになるのでした。

いちおう、予備日は1日あるから今日は一日延泊して、翌日以降の宿の予約をずらせば対応可能です。
が、この先でなにかトラブルが発生するかもしれないし、環島の認定はいま絶対に取らなければならないわけでもないので、そこは諦めることに。


そうと決まれば鉄道の予約です。
事前にネット予約をしておかないと売り切れるおそれがあるとのことなので、まずは屏東から池上までの電車を予約。
ついでに翌日の、花蓮からのサイクルトレインの予約し、もう認定は関係ないので蘇澳新ではなくもっと北にある頭城まで電車で行くことにしました。

朝6時ころ、起きてきた宿の主人に
「今日は風がめちゃ強だから屏東まで戻って電車に乗るよ」
というと、
「気をつけてね。グッドラック」
と見送ってくれました。
毎日誰もいない時間帯に出発してばかりなので、こういうやり取りも新鮮です。

さて強風の具合はと言うと、予想したとおりに荒れ狂っており、時折吹く突風で1車線ほど横に流されたりするので、やはり迂回して正解だと思いました。

荒れ狂う風の中、2時間ほど北上するとようやく風も落ち着いてきたので遅めの朝食を取ることにしました。

結構ローカルな場所なので菜単もなく、指差し注文です。

とりあえず壁にかかったホワイトボードの鱸魚湯というのを注文。
「ルーローファンはいるか?」
と聞かれたのでハオハオと返答し、さらにはガラスケースの中のおかずも選び、かなり豪華な食事になりました。

魯肉飯は美味しいけど、どこでも出てくるので食べ飽き感が出てきました。
しかも角煮も頼んでしまったので被り感まで。
でも野菜が美味しくて、とくにたけのこの炒め物は好きだなあ。

スープの方は「鱸肉」と書いてあるけれど、スズキではなく、どちらかというとサバヒーに似た感じで、脂っこいけど少しマイルドな感じ。

もしかしたらこれはバラマンディ、金目鱸と呼ばれる方の魚なのかもしれません。
面白いのが薬味としてワサビが出てきたこと。
脂くどい魚にはたしかにワサビのさっぱり感がちょうどよく、もしかしたらサバヒーもワサビが合ったほうが美味しく食べられるかもしれません。


そんなこんなで12時ころに屏東駅に到着。
わずか85km程度しかないのに、前半に風に翻弄されたせいでほぼ5時間もかかってしまい、結構ギリギリな時間になりました。
さて、台湾の鉄道はサイクルトレイン以外の場合、日本と同様に輪行袋への収納が必要になります。
自分はブルベの場合はトラブルに備えて、PEKOさん印の超軽量輪行袋を常に携帯しています。

サドルバッグの片隅に入れておける大きさと重さなので、もしものときのために常備しておいたほうがいいですね。

輪行箱への収納作業と違い、袋の場合は15分くらいで終了するのでだいぶ楽です。
自転車を担ぎ、窓口に行って切符を受け取り(自転車の分の支払いはナシでした)、駅弁を買ってホームに向かいます。
ホームにあるベンチに座ってヘルメットを脱いだ瞬間、ゾッと寒気がしました。
(左側のイヤホンがない……?)
旅行中は常にSHOKZのOPEN FITを装着していたんですが、気がつくと片方なくなっていました。

慌ててあたりを探すも見当たらず、いったんホームを出て自転車を組み立て場所まで戻ってずーっと地面を見て回ったんですが、見つからず。
3万円くらいするので紛失となるとダメージは大きいし、メルカリで
「Openfit 左側」
で検索しながら電車を待ちました。

電車に乗り込んで自転車を荷物置き場に置き、席につくためにリュックサックを下ろすと、びょーん、と黒いものが飛び出していくのが見えました。
これは左側のイヤホン!
たぶん、ホームについてヘルメットを外したときに一緒に外れて、耳に引っ掛けるフックの部分が肩紐かどこかにかかっていたんでしょう。
このときばかりは涙が出るほど安心しました。


一息ついたところで駅弁です。

ただこれはちょっと微妙かなあ。
角煮は骨と筋があるので微妙に食べづらく、ご飯の量が多すぎて食べきれない感じでした。
池上は弁当で有名なので、明日はリベンジを果たしたいところ。

のんびりと風景を眺めているうちに列車は池上駅に到着しました。

ここから町外れにあるドミトリーへと向かいます。

仮期民宿

maps.app.goo.gl
電車で来たので予定よりも数時間早く到着してしまい、宿は開けっ放しで誰もいないという状態。
ちょうどBooking.comに「何時ころチェックインしますか?」とのメッセージが入ったので、「もう建物の中にいるよ」と応えるとすぐに若い女性のオーナーがやってきました。
入口の暗証番号や、施設の説明を聞き、その後はシャワーを浴びてさっぱりします。

ここの宿の評価は、まあまあ、というところですね。
良いところは

  1. 値段が安い
  2. タオルがある

ところ。
イマイチなところは

  1. 自転車は外に置く(広い半オープンのガレージなので屋根はある)
  2. 靴も外に置く
  3. 洗濯機がない
  4. 部屋が狭い
  5. シャワーとトイレが一体なのはいいけど、床に仕切りがないのでびしゃびしゃになる

というところ。
LINEの返事も返ってこなかったりするし、ここはイマイチでしたね〜。

洗濯機がないので、2日分のジャージを洗うために街の中のコインランドリーを目指しました。
その方が確実に乾燥させられるので、ランドリーの近くにある宿を探す、というほうが理にかなっているかもしれません。

洗濯機に汚れ物を放り込んで、時間つぶしのために街をぶらつきます。
すると、なんだか賑わっていておしゃれそうな喫茶店を見つけたので寄ってみることにしました。

コーヒーとケーキのセットがあるというので注文すると、ケーキを焼くのに時間がかかるから、とウーロン茶のサービスがありました。
飲みながら待っていると出てきたのは焼き立てのパンケーキと、鼻がやられ気味でも分かる良い匂いのコーヒーです。

女性店長に自転車で台湾を一周している話をすると「どうして池上に来たの?」と問われたので、弁当が有名なので食べてみたかったこと、YOUTUBEで日本人が紹介している動画を見たことなどを伝えました。
その動画によるとこの池上、米どころとして有名な場所なんですが近年はサブカル的な人気も高まっていて、ミュージシャンや絵描きなどが集まってイベントを開催したりするらしく、それでこういうオシャレ喫茶店もあったりするのでしょう。

帰り際に美人店長から他の商品も見ていってと言われ、彼女の母親が支援しているアーティストのCDなどを見せられて、結局この地方で作られている紅茶を買わされることになってしまいました。

まあ、お茶なら荷物にならないからいいんですが(汗


洗濯が終わって乾燥機に入れ直し、今度は夕食です。
適当にぶらぶら見ていると、牛肉麺のお店があり、たしか池上は池上牛でも有名だったので寄ってみることにしました。

ここは牛肉の出汁がしっかり効いている上に、トマトの風味も相まって絶品でした。
やはりおしゃれな街だけあって牛肉麺にも流行が取り入れられていますね。

ここは一品料理がないお店で小腹が減ったので、帰りにセブンイレブンで台湾おでんを買って帰りました。

ただ、これは日本のおでんを八角で味付けしたというだけの感じですね。
台湾飯はどこも美味しいけれど、コンビニにあまり大きな期待をしてはいけないw

そんな感じで5日目は、強風トラブルのせいでほぼ鉄道輪行となりました。
のどの具合もあまりよろしくないので、引き続き明日は輪行メインとし、池上〜花蓮もスキップする予定。
台湾の東側をまるまる飛ばしてしまったのがスキップしてしまったのは残念なので、次に来るときの課題にしようと思います。

【環島】2024台湾一周 DAY4 高雄市~四重渓温泉(167.3km)

高雄のドミトリーは居住性が最高で、この日も5時にすっきり目覚めました。
歯を磨いて顔を洗ってフロントに下り、地下の倉庫に続く謎スペースから自転車をとり出して出発です。

明け方の頃はまだ交通量が少なくていいんですが、郊外にある工場地帯に差し掛かる頃にはめちゃくちゃな通勤ラッシュで、煤やら埃やらで体中が真っ黒になりそうなほどの排気ガスに包まれます。

だいぶへこたれてきたところで、肉まん屋さんを見つけたので朝食を取ることにしました。

ここはパン屋のように、並んであるものをトングで掴んで会計するシステムなので楽勝です。

ついでにレジで「ビントージャン(冷たい豆乳)」まで注文して完璧な布陣。

ここの肉包がもう、絶品。
作り置きなので多少冷めてはいるんですが(あとで聞いたら蒸し器の中の熱々のも選んで良かったらしい)、

中の餡の生地への染み込み方が抜群で後を引く旨さだったので、食べおわったあとに今度は胡椒餅も購入しました。

これはジャージのポケットに突っ込んで、東港まで走った後にいただきました。

フランスではジャンボン・サンドイッシュを、台湾では胡椒餅をジャージのポケットに入れて走る私だw


ここから南に進んでいくと、どんどんと田舎になっていきます。
なにか食べたいなと思っても適当な店がなかったり、アップダウンやら向かい風に苦しめられているうちにお腹が空いてきました。
さらには気温はどんどん上がっているのにボトルの水は尽きそうで、ちょっとまずったかなあ、と後悔し始めてきた頃にようやくセブンイレブンを発見。

日本でも有名な海底楼の春雨スープと、鶏チャーシューの大型おにぎりで一息つくことができました。

ずっと都会を走ってきたのであんまり意識しませんでしたが、田舎になると補給の重要性がかなりあがってきます。


ゆっくり休んで体力も復活したところで、再び走り出して台湾の最南端に到着しました。

ここでは二人組のおじさんたちが仲良く話していたので、ついでに自分の写真も撮影してもらいました。

彼らがいなくなった後はしばらく誰も訪れず、風の音をBGMにここまでの旅のことを振り返りながらしばし海を眺めて贅沢な時間を過ごしました。


とはいえ、最南端までのルートは結構なアップダウンがあって大変です。
往復でへとへとになったところで、隣接する鵝鑾鼻公園を訪れると、オフシーズンなだけ合って閑散としている中、かろうじて空いているお店を発見。
ご飯ものもいけるようでしたが、メニューの中にマンゴーのスムージーがあったのでこれに決めました。

うめー!

脳に来る美味さ!
冷凍でこれだけ美味いんだから、真夏に来て生のマンゴーを一度は食べてみたいなあ(自転車では来られないけど)。


ちょうどよく体も冷えてリスタート、するも、今度は前方にゴミ収集車がいて全然先に進めません。
追い越せばすぐ越されて、その先でまた収集を始めるからすぐに詰まってしまってという感じなので、あきらめて昼食を取ることにします。
この墾丁はリゾート地なので、おしゃれなカフェで水出しコーヒーとチーズハンバーガーをいただきました。

帰り際には猫が撫でさせてくれるというサービス付きで、家の猫達と離れてしばらく経つのでかなり癒やされました。

観山民宿

maps.app.goo.gl
台湾最南端という折り返し地点を迎えて、次に目指すは台湾の東側ですが、そこへ行くにはかなりの山越えを要求されるため、この日の宿は山の麓にある四重渓という温泉地にしていました。
ここでは客室温泉付きのドミトリーがあったので、温泉でゆっくり疲れを取った後に峠を越えるという作戦です。

四重渓まで登る途中に陸軍の訓練所があるあたり、ニセコに近い雰囲気があります。

温泉街の方は、その名称からイメージできる雰囲気よりもだいぶ寂れ感があるこじんまりとしたもので、それでもセブンイレブンと食堂も2,3軒開いていたので必要十分という感じです。

宿の方はというと、もともと別荘だった建物を民泊にしているような建物で、若いお兄ちゃんが出迎えてくれました。
翌朝5時ころに出発すると言うと、自分は1階で寝ているから起こして鍵を返してくれとのこと。
宿代の2000元 = 10,000円(高い!)と支払うとBooking.comを開けと言い、言われるがままに操作をすると宿をキャンセルさせられました。
多分こうすることで手数料分をちょろかましているんだろうなあ(汗

さて、温泉は、というと客室に立派な浴槽があり、露天風呂ではないもののガラス張りになっており外の風景がよく見えます。

これはたいしたものだ、と感心していると、
「もしお湯がぬるかったらこれを調整すると良い」
と、バルコニーにある湯沸かし器を指さしました。
これ、温泉じゃなくてただのお湯なのでは……?

いろいろ疑念が残る宿でしたが、湯船に使ってサッポロ黒ラベルを飲めるというのは至福のひとときです。


ここは当然洗濯機などはないので、素直に着替えて街へと繰り出しました。
途中で一軒、地元の食材を使っているというお店があったのでそこに決めました。
maps.app.goo.gl
注文したのは地鶏と漬物の鍋、イノシシの黒こしょう炒め、あとは白飯とビールです。

この鍋のスープがいかにも滋味!という感じに味わい深く、ご飯といっしょに相当量飲んじゃいました。

イノシシも脂のコクがすごくてビールが進みます。

という感じで本日は160kmほどを走破。

距離的にはたいしたことはないんですが、高雄郊外の排気ガスにだいぶ気管支をやられて、鼻水はとまらないし鼻をかむとすぐに鼻血が出るという有り様。
さらには北回帰線を越えて太陽光の厳しさが増したせいでちょっと夏バテ気味になっていました。
なにせ最高気温10℃、最低気温はマイナスの世界から来てまだ一週間もたっていないので、暑熱順化もなにもあったもんじゃありません。
それでもまだ、最南端までたどりついたのであとは太陽を背中に背負って走ればいいというのは安心材料ではあります。

折り返しを迎えて、明日は山越えを経て池上へ。
その次の日は花蓮でサイクルトレインに乗って頭城。
そして最終日は最東端、最北端を経由して台北に戻ってゴール、という予定。
ここまで順調に来れたけど、なかなかそうは問屋が卸してくれないわけでした(続く

【環島】2024台湾一周 DAY3 嘉義市~高雄市(167.3km)

ここまで2日で300km程度しか走っていないのでまだまだ元気。
朝5時にすっきりと目覚め、干してあった洗濯物を取り込んでリスタートします。
ここの洗濯機は冷風乾燥だったので多少まだ湿っている感はありましたが、着ればすぐ乾く感じだったのでどうにかなりました。
ただ、湿ったまま梱包することになる予備ジャージは雑菌が繁殖しそうなので、高雄のホテルについたらまた洗濯しなければならなさそうです。

この日はセブンイレブンの肉そぼろおにぎりで手早く朝食を取りました。

中心市街地を出て暫く走ると、北回帰線を示すモニュメントの下を通過しました。

ここから先は太陽が南中するときに完全に鉛直方向になる熱帯地域です。
とはいえ、初日からずっと花曇りくらいの天気なので気温もそれほど上がらず、快適そのものでした。

その後は一旦東に進んで、海岸線を目指します。
8時前ころに布袋という名の港町に到着。
ここでちゃんとした朝ご飯を食べようかとも思ったんですが、田舎に入ってどこもかなりローカル度が強そうで二の足を踏みました。
ある程度観光客が来そうな地域だったり、大通りに面していていろんなお客さんが来そうな店なら一見さんの外国人が来ても大丈夫そうですが、あからさまに地元民しか使わなそう(しかも壁にメニューが出ていない)な店に入るのは度胸がいります。

それでも、商店街をずっと端のほうまで来ると、ちょっと小洒落た感じのチェーン店っぽい店構えの朝食屋さんを発見したので入ってみることにしました。

案の定、店主は比較的若い男性だったのでコミュニケーションを取りやすく、メニューもきれいに印刷されたものだったの助かりました。

品数が多くて目移りしてから、まだ食べていなかった蛋餅と豆乳を注文することにしました。

蛋餅は薄焼きクレープと卵焼きで具材を巻いたもので、台湾の定番の朝食メニューで、もちもちとした食感が癖になります。


お腹が一杯になったところで台湾の最西端を目指してリスタート。
徐々に人家が少なくなり、道の両サイドが人口の池で挟まれるようになります。
田んぼのようだけど作物は生えておらず、水面に浮かんだ水車が水をかき混ぜているのが見えます。
これはもしや、台南名物のサバヒーの養殖池かも。

サバヒー(虱目魚)は台湾の国民魚と呼ばれるほど広く食べられている、というのはポータルZで読んで知っていましたが、
dailyportalz.jp
地平線までずっと養殖池が広がるほどの規模だとは思いも寄りませんでした。
人も車もまったくおらず、ただ養殖池だけが延々と並んでいる風景は、ブレードランナー2049の世界観を彷彿とさせます。

そんな荒涼とした世界をひたすらに漕ぎ続けて、ようやく最西端に到着しました。

入口の前にはコンクリートブロックで自動車が入れないようにとうせんぼがされており、向こう側には巨大な砂山がそびえ立っています。
ブロックの隙間を越えて中に入ろうとすると、砂山を越えてくる2人の人影が見えました。

ひとりは映像クリエイターを名乗る背の高い白人男性、もうひとりはその恋人とおぼしき黒いビキニのアジア系美少女でした。
「ここは台湾で一番好きな場所なんだよ」
とのことで、確かにまず誰も立ち寄らないであろうマル秘スポットだもんなあ、と思いました。

台湾一周について聞かれたので、「普段は日本の北海道で走っている」とか「去年はフランスのPBPを走ったよ」など答えると、ホッカイドウもPBPもよく知られているようでなんとか伝わりました。
昨日会ったアメリカ系台湾人の彼もPBPを知っていたし、やっぱり日本人よりは欧米人のほうが認知度が高いイベントなのかな。


これはその時にベニントン氏に撮影してもらった動画。

砂丘が続く風景をひとしきり眺めた後で彼らに別れを告げてリスタートしました。
そろそろ腹が減ってきており、せっかくだからサバヒーでも食べていきたいな、と思い始めていた頃に偶然サバヒー専門店を発見したので、さっそく寄ってみることにしました。

店名に虱目魚とある割にサバヒーを使ったメニューは少なく、とりあえずサバヒーのお粥と、肉操飯を注文しました。

サバヒーは別名ミルクフィッシュと呼ばれるほどに脂分が多い魚で、特に腹身の部分は濃厚すぎてかなり破壊力があります。

生姜の千切りも入っているけど中和するには程遠く、これは焼いたりして多少油を落としたほうが良いんじゃないかなあ、という感想でした。


このあとはサイクリングロードに合流し、休憩を挟みながらまったりと走ります。

花の咲き具合が日本とはまったく違いますね。


そんな感じで15時ころに高雄市に到着。

そろそろ台湾スイーツが食べたいぞ、と検索して、マンゴーかき氷で有名なお店に行ってみることにしました。

さすがにシーズン外のためマンゴーはありませんでしたが、冬の果物としてイチゴが激推されていたのでイチゴの雪花氷を注文しました。

これがもう、うなるぐらいに美味しい。
そもそもイチゴが別格に甘いうえに大きくてみずみずしいのに驚きました。
日本のイチゴ、お家芸みたいに騒いでるけど、関税に守られているだけなんだなあ、と思ってしまいます。
これだけ量があって160元 = 800円というのも最高です。

Single Inn Station 単人房高雄站前館

maps.app.goo.gl

今回の宿は高雄の中心街にあるドミトリーだったんですが、あらゆる意味でドミトリーとはレベルが違うすごい宿でした。
まず、1階には夜はバーにもなるフロントがあり、バックヤードに自転車を置かせてもらうことができます。
2階には広大な食堂スペースと、洗濯機と乾燥機、さらに男女別の大浴場が完備!
部屋は完全個室で窓もあり、アメニティも充実。

部屋着もあるので洗濯をしている間にこれをきてコンビニに行けたので助かりました。
夜市やコンビニまでもすぐ近く、高雄に泊まるなら絶対またここに来たいと確信するほどのレベルです。

ジャージを洗濯機にかけている間に、さて大浴場でのんびりするか、と風呂に入ったところでショッキングな出来事がありました。
というのも、熱帯を走ってきたせいで太ももからスネにかけて真っ黒に日焼けしており、それがヒリヒリするため浴槽に浸かることができないのです。
ずっと気温が30℃くらいでたいした暑さでもなかったため甘く見ていたんですが、熱帯の太陽光線の破壊力は想像を絶するものがありました。

仕方ないのでシャワーを浴びて、着替えて夜市に出かけることにしました。
さすが大都市高雄というだけのことはあり、夜市ではよそでは見ないタイプのお店があって面白かったです。
まずは大腸包小腸。

これはもち米のソーセージ(大腸)でソーセージ(小腸)を挟んだ台湾式ホットドッグという雰囲気の食べ物。

さらにヒゲの料理人の勢いがいいチャーハンと、

独国香腸(本場ドイツ式ソーセージ・ザワークラフト付き)も買って、宿の食堂でいただきました。

夜市ではビールを売っていないので持ち帰ることになるんですけど、そうなると熱々感がなくてちょっと残念ですね。
やはり冷たいビールと熱々の料理、この組み合わせでいただきたいなあ。


という感じで台湾3日目は終了。

サバヒーも雪花氷も食べられたし、最西端の世界の果てみたいな風景も見られて良かったです。
それとこの日は最西端を離れて寄り道したので、国道1号線から離れられたのが良かったです。
というのも、連日交通量が多い道を走らされて、排気ガスで喉がやられ気味になっていたから。
日焼け止め以外にも、排気ガスを吸わない工夫(ネックゲーターをつけるなど)が台湾サイクリングの必需品かもしれません。

【環島】2024台湾一周 DAY2 新竹市~嘉義市(190.5km)

台湾2日目の朝は、この日200km近く走る予定なので5時に起床。
もさもさと着替えていると向かいのベッドの白人のお姉さんも出発準備をしています。
昨日、食堂に置いてあったもう一台のMTBは彼女のもので、「アラウンドタイワン?」と聞くとそうだと答えました。
彼女はオーストラリアから来たそうで、この日は100km南の台中を目指すとのこと。
まあ、そのぐらいの距離感が普通なんですが、休みの都合上自分は一つ飛ばして嘉義を目指さなければならないのでした。

MTBで長距離走るのは大変だろうなあ、など思いながら出発の準備をしていると、次に食堂にやってきたのは老夫婦で、ふたりとも背中に「環島」と書かれた巨大なバックパックを背負っています。
彼らはこのあと何ヶ月かかけて歩いて台湾を一周するとのこと。
徒歩で1000kmとか相当ヤバいんですが、地元民が何度かに分けて挑戦しているかもしれないですね。
自分の観測範囲ではこの他に3,4人明らかに徒歩環島な人を見かけているので、思った以上にポピュラーなのかもしれません。


この日は新竹市を出て、まずは海岸線を目指します。

海沿いのサイクリングロードをまったりと流していくのは楽しいし、早い時間だし田舎だし、利用者も少ないので快適でした。

そんな感じで苗里に到着して、

ここからはまた国道1号線に復帰。

内陸に入ったせいか結構いい感じの坂があって、ローディたちからバンバン抜かされます。
上りで抜かされたり下りで抜き返したりしているうちに、コンビニがあったので立ち寄ってみると、そこには大勢のサイクリストが集まってワイワイ賑やかにしていて、ブルベのときの雰囲気に似ていました。

ここではジーローハンおにぎりを食べて朝食とします。

その後お昼前くらいに台中市に入ったので、ここは通過するだけではなもったいないと、かねてから目星をつけていた老士官擀麺に向かいました。
maps.app.goo.gl
ここはミシュランのピブグルマンに掲載されてあるので期待が高まります。
jp.taiwantoday.tw
中ではまさに老士官(退役軍人)っぽい入れ墨のお父さんが家族と一緒に料理を作っています。

店の中はすでにほぼ満員で、入口にも軽く列ができていましたが、持ち帰りの注文の人も多いらしくすぐに席につくことができました。

台湾でなにか食べるときの簡単会話講座

さて、外国旅でハードルが高いのは、ふらっと店に立ち寄るときです。
でも基本的に聞かれること、答えることは定型なので、ある程度パターンを覚えておけば対処できます。

まず店に入ったら

とりあえず「ニーハオ」と挨拶しながら入店し、最初に言うべきことは
内用(ネイヨン)か外帯(ワイダイ)のどちらか。
イートインかテイクアウトです。

この店は左側がテイクアウト、右側がイートインになっていました。

ネイヨンの場合は相手が「ジーガレン(何人?)」とかなんとか言ってくるので、一本指を立てて「1名(イーウェイ)」もしくは「一个人(イーガレン)」と言います。
そうすると席に案内されるか、もしくはこんな感じの紙を渡されます。

だいたいのお店はこのような菜単という紙に注文したいメニューと自分の卓番号を記入して注文するので、中国語ができなくても意外と大丈夫なのでした。
今回は幹麺の小と、野菜を取っておきたいので湯青菜も注文しました。

幹麺は手もみでうねりを出した麺ということですが、肉ダレがよく絡んで絶妙な美味しさ。
台湾は野菜が美味しくて、さらにここに自家製のラー油をかけてやると箸が止まりません。
これで90元 = 450円だから台湾グルメはやめられないですね。

食べ終えたらレジのところにいる店員さんに「买单(マイダン)」と告げて支払いをすれば完了。
毎食コンビニだとさみしすぎるし、一回やってみるとすぐに慣れるので、勇気を出して挑戦してみることをおすすめします。


その後さらに南下して彰化市に入るとくら寿司を発見。

1皿40元 = 200円は日本と比べて強気な値段。

途中では黒糖タピオカミルクティーを飲んだり、

(これは日本で飲むのと一緒な味)

異常にデカいドラゴンのオブジェを眺めたり、

(辰年だから?)

とちゅうのOKマートで黒松PLUS強炭酸を飲んだり、

(台湾の夏にはこのサロンパス味が効く)

のんびり走っているうちに西螺大橋に到着。
jp.taiwan.net.tw
全長は約2kmもあって、完成当時は世界で2番目に長かったとのこと。
橋の写真を取ろうと手前の公園に停めると田んぼアートを発見。

こういうのは日本から輸入した文化なのかな。

橋をわたってさらに進んでいくうちに、16時を回っておなかがすいてきたので適当なお店に入りました。

大通り沿いだけあってメニューが豊富で目移りしたので、雑にルーローハンとマーボードーフを注文。

魯肉飯にはパクチーが入っていて万事休すか!? と思ったけれど味が濃ゆいせいか意外と気にならず。

麻婆豆腐は花椒がビリビリと効いていてマーピー的で美味しかったです。

これは丸美屋かどこかで出して欲しい味。


日が暮れてきた頃に嘉義市に入り、本日泊まる予定の宿まで向かうも、全然それらしい建物が見当たらず困っていたところ、一人の若者が歩いてきたので
「你知道这家飯店吗?(ニーチーダオジェイジャンファンディエンマ?)」
とスマホの画面を見せてみたところ、
「あ、日本人ですか? 宿はここですよ」
と返事が返ってきたので激しく赤面しましたw
ドミトリーは一般の家と変わらない見た目をしていることが多いのでなかなか注意が必要です。

KM Hostel 距離背包客桟

maps.app.goo.gl
この宿はかなりの好評価でした。
良かったポイントは、

  1. 自転車を屋内に入れられる(しかも複数台)
  2. 建物や設備、シャワーがきれい
  3. 屋上に無料の洗濯機アリ

というところ。
悪いところはなかったけど微妙なところは、オーナーはいっさい顔を見せず、LINEでのやり取りのみ。
お金も現金を秘密の隠し場所に置いて、そのスクショを送ると深夜に確認に来るという謎システムなところくらいでしたw


部屋の中に自転車を停めていると、もう1台置いてあった自転車の持ち主であるアメリカ系台湾人が中国語と英語で話しかけてきました。

しかし、自分の語学力では全然ついていけず……。
こっちから一方的に話しかける場合はどんな返事が戻ってくるか想定できているから反応できますが、相手からの自由質問に対応できるだけの語学レベルに達していないという悲劇でした。
とりあえずなんとか頑張って、昨日新竹に泊まって嘉義に着いたこと(彼は前日台中に泊まっていたので「すごく走るね!」と褒められた)を話したり、さっき自分を追い越していったのに後から着いたね、と言われて夕飯を食べていたからだと答えたりと、英語中国語混じりでギリギリのコミュニケーションをとりました。

ベッドを確保して早速シャワーを浴びて、屋上の洗濯機で今日着たジャージと、昨日洗ったけどビショビショのままのジャージを洗濯し、さらに洗濯機の冷風乾燥もかけて準備は万端です。

荷物の整理を終えたらホテルから徒歩2分の夜市へ。

賑わっていて楽しいんですが、わりとどこもテンプレート的と言うか、夜市は台湾滞在中に1,2回行けば十分では感がありますね。

「人生っていいお茶みたいなぁ」

夕食はすでに済ませていたので、イカのつみれ入りボールと、

北京風羊肉串を購入。

宿に戻ってコンビニで買ったビールと一緒にいただきました。


という感じで台湾2日目は終了。

この日は200kmほど走ったのですが、このくらいなら疲労度はそれほどない感じですね。
夜にちゃんとベッドで寝るというのが大事だと実感しました。

明日はさらに南下して、北回帰線を越えて熱帯に突入。
その後は台湾最東端を経由して高雄を目指す予定です。

【環島】2024台湾一周 DAY1 台北~新竹市(104.5km)

初日はのんびりめに起きて宿をチェックアウトし、まずは松山にある環島のスタート地点を目指します。

市内の大通りを走ることになるんですが、基本的に車道が片道3車線あり、さらに外側にバイク・自転車専用レーンがあるので思った以上に走りやすいです。
バイクが群れでやってくるときは緊張感がありますが、あくまで「遅い二輪車」くらいの気持ちでいれば向こうが勝手に追い越してくれるので楽です。
急な進路変更や急停止しないように、のんびりまったり走る感じですね。

台湾の交通ルールで感心したのは、交差点では二輪車は車をすり抜けて列の一番前に出ていいこと。
日本だと「あとから来て横から追い抜くとはけしからん!」となると思うのですが、交通弱者であるバイクが前にいれば巻き込み事故も避けられるし、右直事故も減ります。
モラルや良心といった言葉で曖昧にせず、理にかなっている方法をルール化できるのが素晴らしいと感じました。

その他には、信号にカウントダウンの数字が出ているのが良かったです。
日本だったらこれも「レースのスタートのようでけしからん」とか「フライングするやつが出てくる」みたいに非難されるところですが、特にそういうこともなく、台湾ではみんなきちんと数字が0になってから普通に発信していました。

松山駅に到着して、記念撮影。

ここからいよいよ環島がはじまるわけなんですが、方向感覚がわからなくて適当に走っているうちに、饒河街夜市のあたりに紛れ込んでしまいました。
自転車を止めて行き先を確認していると謎の儀式が始まり、爆竹を鳴らしたり矛を持ったおじさんが舞い踊っていたり、異国に飛び込んできた感じが増しました。


しばらく見ていたんですが、すぐ近くに飯糰の屋台を見つけたので、ここで朝食を仕入れることにしました。

飯糰(ファントン)はポータルZで見て気になっていました。
dailyportalz.jp

何を注文するかしばらく迷って、とりあえず字面からわかりやすい「猪排飯糰」にしました。
鶏排が鶏の唐揚げなので、たぶん猪排はトンカツ的なものだろうと予想。
するとおばちゃんは後ろにあった発泡スチロールの保冷箱から豚肉を2枚取り出し、鉄板で焼き始めました。

白米と黒米をミックスしたものを広げ、そこに高菜のような漬物、肉髭という肉のパリパリしたそぼろをかけ、焼いた肉の上にさらに油条の砕いたのをばらまき、一気に包んで完成です。

リュックサックに入れてサイクリングロードまで走ってから食べたんですが、まずボリュームがおにぎり2~3個分くらいあって食べごたえがある上に、具だくさんなので最後まで美味しく食べられました。
炭水化物主体でロードバイクにはうってつけの昼食かも。
これで55元 = 275円というのはお買い得です。


さて、松山からずっと西に進んで淡水側沿いのサイクリングロードまで出てきました。

市内と比べてさすがにこのあたりにはローディが多く、それぞれ仲間同士の待ち合わせ場所として賑わっていました。
台湾のサイクリストの特徴は、日本と比べて女性比率が多いところ。
日本だと体感で5%未満かなあ、という感じですが、台湾は3割から5割近くは女性なんじゃないかな、という印象です。

ここで見かけた面白いものが、自転車ごと入ることができるトイレです。

要は多目的トイレなんですが、そこに自転車と一緒に入っていいと明記されているところが台湾的合理性だなあ、と感心しました。


しかし自転車先進国の台湾とは言え、サイクリングロードは日本と同様にカオスでした(汗
5,6人で道路を塞ぐように歩いているおばちゃん軍団もいるし(ニーハオニーハオと声かけて譲ってもらう)、見通しの悪いカーブを猛スピードで逆走してくるチャリンコはいるし、無駄に曲がりくねっていてスピードも出しにくいし、なかなか厳しかったです。
でもまあ都心部は信号の切り替わりが早く、自転車のスピードだと信号で毎回捕まったりして効率が悪いので、どちらがいいかは難しいところです。

この日は台湾の道に慣れるという目的もあって100kmしか走らない予定だったので、あまり急がずのんびりと、風景を眺めながら進んでいきます。
そうしているうちにサイクリングロードを離れ、三峡老街に到着しました。
www.taipeinavi.com
老街とは、昔ながらのレンガ作りの町並みが残っている通りのことで、台湾各地にあって昼間から出店が出ていたりと賑わっています。

さっそく中に入ってみると、けんたさんの動画で紹介されていたクロワッサン屋さんがあったので買ってみることにしました。

味はまあ、日本で食べるクロワッサンと変わらないかなw

ついでに喉も乾いたので、パパイヤミルクをゲット。

このあとは軽いヒルクライムがあって、時刻はお昼近くになり、徐々にお腹が空いてきました。
そういやここらへんでけんたさんが魚料理を食べていたな、と思い出したのですが、そういう系のお店は家族など大人数でやってきて取り分けて食べる系らしい雰囲気を出しており、なかなか一人では入れそうにありません。

山を下って空腹も限界に近づいた頃、「農民市場」と書かれた看板を発見!
maps.app.goo.gl
ここなら何かしらのものが食べられるだろう、と立ち寄ってみることにしました。

ここは客家料理が名物とのことで、客家湯麺と客家小炒を注文しました。

湯麺は豚骨スープのように濃厚で、うどんのように太くモチモチした麺との相性が抜群。

小炒は豆腐やイカ、葱、豚肉などを炒め合わせたものなんですが、「どうやったらこの味が出せるんだ」と愕然とするほど美味くて震えました。
いきなり飛び込んだ店でここまで感動するとは、台湾料理、おそるべしです。

2日目の宿に到着

お腹もいっぱいになったので走行を再開し、しばらくして新竹市に到着しました。
今回の宿は巷仔内 The Lane Backpackersというところだったんですが、ここは微妙にイマイチでした。
maps.app.goo.gl

良かったところ
  1. 値段が安い(2,600円)
だめなところ
  1. 場所が致命的にわかりにくい
  2. 窓から虫が入ってくる(何箇所か刺された)
  3. タオルがない
  4. ベッドにコンセントがない

ものすごい住宅地のど真ん中の路地をぐるぐる進んだ先にあって、たどりつくまで相当迷いました。
なんとか到着すると元気なおばちゃんが「あんた自転車で一周してるの? すごいね! わたしは苗里まで行ったことあるわよ! 自転車は家の中に入れていいわ」とゴリゴリと話しかけてくるんですが、食堂まで自転車を運びいれるとすでに1台置いてあるためスペースが少なく、壁に立てかけようとすると「そこにビールが置いてあるからダメ! あんたは外に置きなさい!」と怒り出すと、今度はその人の母親らしきおばあちゃんから「そのビールをどかせばいいじゃない」と怒られるなど、いきなりいろいろ大変な感じでした。

とりあえずベッドに案内され、シャワーを浴びたり着替えたり、洗濯バッグを使ってその日着ていたジャージの洗濯を試みるなどしてみました。
ですが、洗濯袋はただでさえ脱水がちゃんとできない(絞るだけでは足りない)うえに、寝室にはエアコンがなく、網戸から夜の熱気と湿気が入り込んでくるため翌朝までまったく乾かず、濡れて重くなったジャージを次の街まで運ぶ結果となってしまいました。
台湾で手洗いはやめておいたほうが無難かもしれません。
自分の向かいのベッドでは女性もののパンツとタンクトップが干されていたので、下着ぐらいなら大丈夫なのかな。

とりあえず一息ついたので、夕食を食べにGoogleマップで評判が良かったパイコーメンのお店に行きました。

太字のメニューが人気だろうと見込んで注文したんですが、今回は失敗。

スープは牛の出汁が薄く香るさっぱり系なんですが、麺の上にパクチーが山盛りのため、全部がパクチー味になっていてこれは辛かった……。

さらには麺の形も独特で、

手でこねて丸くしているんですが、そもそもスープが薄味なのでまったく味が絡まず、無味の白玉を食べているような感じ。
餃子は美味しかったけど、ここは合わなかったなあ。


あまり食べられなかったし、お酒も飲めなかった(台湾はお酒が飲める店が少ない)ので、ファミマで食べ物を仕入れることにしました。

肉まんは日本のとそんなに差がない感じです。

台湾の全ファミマで売られているほどに人気の茶葉蛋は、本当にただの「お茶の風味の煮玉子」で、しょっぱい味がついているわけでもなく、なぜこれほど人気なのか謎でした。

本日の走行距離

というわけで、この日は慣らし運転で100kmだけの走行で終了。

台湾の道は予想以上に走りやすく、交通量は多いけれど東京や大阪のカオスっぷりに比べたら全然マシですね。
二輪車専用道のさらに外側に路上駐車用のスペースがあったりするので、日本に比べてだいぶ環境がいいです。

ご飯屋さんにフラッと入ってテキトーに注文することも覚えたし、もう台湾旅行者初段と言ってもいいでしょう。
台湾の風にも慣れてきたので、翌日はこの旅で最長となる200kmを走って一気に嘉義市を目指します。

【環島】2024台湾一周 DAY0 出発編

台湾行きの飛行機は夕方発なので、出発の日になってから輪行の準備をしました。

輪行箱はPBPで経験済みですが、やっぱり初回は梱包材の用意などがあるので2時間くらいかかりますね。
(旅先に着いてからは1時間くらいで完了するのですが)

分解は特に難しいところはなく、前輪後輪、ハンドル、リアディレイラー、クランク、チェーンを外して「きれいに」詰めていくだけ。

RDはR250の保護ケースに入れます。

Di2にしてからは値段も高いので、輪行袋を使うときも保護ケースに入れてしまっています。
紐引きと違って調整がいらないので外すにも抵抗がなくなりました。

クランクはLサイズのジップロックに新聞紙と一緒に突っ込んで、テキトーにガムテープで縛って終了。
ペダルを外す人も多いけど、ペダル外し工具は大きいので好きじゃないんですよね。
クランク外しは小さいからツールボトルに常に入れています。

DHバーやクイックリリースなどの金属製の小物や工具はAmazonの高さが低い段ボールに詰めて、チェーンステーの間に挟んでいます。

工具はミッシングリンクプライヤーのほかに、常に携帯しているミニトルクレンチを持っていきます。

ハンドルやシートポストがカーボンなので、精度的には目安かもしれませんが便利。

あとは隙間にジャージや着替えをいれて、緩衝材かわりにしたら完了。

輪行の時はこの圧縮袋が便利でした。


それと、飛行機輪行時のDi2のバッテリーですが、最近はシートポストに差したまま預けています。
というのも、Di2のシステム全体で「電子機器」としての取り扱いをされるため、ジャンクションケーブルを外して動作しない状態にする(電子機器の電源をオフにするのと同様の状態にする)ことで預け入れが可能になるんですね。
まあ、これも保安検査員の裁量一つなので、なにか言われるようなら秒で外しちゃうだけなんですけどね。

今回は補給食もないしサドルバッグスタビライザーもないし、着替えも少ないのでPBPのときより2kgも軽い18kgで済みました。

預け入れ後は最後の晩餐とばかりに、国内線の建物に戻って海鮮丼をいただきました。

函館から台湾の便は利用客の99%が台湾人で、余った隙間を日本人が使わせてもらうという感じです。
しかも機内は完全に満員。
インバウンドばかりでこちらから出かけていこうという人が少ないのは、日本の景気の悪さを感じさせますね。

スターラックス航空はその社名のイメージにあわせて、出発時の注意喚起が宇宙旅行仕立てになっているのが面白くてつい見てしまいました。

飛び立って、まずは機内食。
鶏肉麺と魯肉飯の二択だったので、ルーローハンの方を選びました。

八角が効いていかにも本格的な風味。
台湾ビールと合わせて気分も盛り上がります。

台湾までは4時間半で着いてしまうので(電車で札幌に行くのとほとんどかわらない)、名探偵ポケモンと実写版ピーターラビット2を見て過ごしました。
ロードバイクに乗るときに使うイヤホンは開放型で、飛行機の中で聞くと騒音のせいで何も聞こえなくなるため、最近は映画を見ることが多いです。
字幕が中国語なので、ちょっとした予習にもなりました。


そんなこんなで現地には夜の21時ころに到着。

エアコンが効いていた機内から出ると南国の暑さに出迎えられ、防寒着かわりのモンベルのジャケットを脱いで、さらにシャツも脱いでTシャツ1枚になっても汗が出るくらいでした。

空港内には両替所があるので、とりあえず手持ちの日本円4万円を換金します。

しかしこれ、レートが結構悪くて1NWD = 4.9円もとられていました。
公式レートが1NWD = 4.7円ほどだったので、差額の0.2円×8,128NTD = 1,600円ほどが手数料相当額になります。

コンビニATMでキャッシングをするとレートは正確な上に手数料も無料だったり100元 = 500円くらいだったりなのでだいぶお得です。
ただし、返済まで金利がかかるので(1万円あたり147円/月)、得と言っても1,000円未満の差ですね。
まめに海外旅行をする人なら、翌日に繰り上げ返済できるクレジットカードを持って方がいいかもしれません。

どちらにしてもロードバイクで旅行中にあんまり大きい現金を持ち歩くのは危ないので、こまめに使う分だけおろしたほうが良いと思います。


桃園空港から台北駅まではMRTを利用します。
ここは普通にApple payのクレジットカードが使えるので楽でした。
台北駅からゴロゴロと輪行箱を引っ張って、本日の宿であるインキューブ台北駅店に到着。
www.booking.com

ここはアクセスの良さを重視して選んだんですが、結果としてとても良い宿でした。
利点としては、

  1. 駅から近い
  2. 価格が安い(一泊3,500円ほど)
  3. 宿泊しない間も1日50元 = 250円で荷物を預かってくれる
  4. ロビーまで自転車を持っていっても良い
  5. 窓がないけど完全個室
  6. お湯と冷水のサーバーがある
  7. Wi-Fiが使いやすい
  8. 洗濯機と温風の乾燥機がある
  9. 屋上テラスでまったりできる

ところ。

一方で、だめな点としては

  1. 空調が一括操作なので細かい調整が効かず、死ぬほど寒かったりする
  2. 利用客が多い人気の宿なので、夜中まで声がうるさいときがある

くらいですかね。

輪行箱を持っていくので荷物を預けられるのは必須事項。
自転車旅にはうってつけの宿だったと思います。


宿に到着してまずは1時間ほどかけてロードバイクを組み立て、荷物の整理をして、ようやく床についたのは午前0時を回ったところでした。
余裕があれば夜市でも覗きに行きたかったんですが、さすがに疲れていたから断念し、この日は機内食から持ち帰ったパンを食べて眠りにつくことになりました。

【環島】2024台湾一周 準備編

3月下旬に台湾に行って、ロードバイクと鉄道で一周してきました!

この時期の台湾は最高気温が35℃程度、最低でも20℃前後と過ごしやすい季節で、大変走りやすかったです。
道路はいいし風景もきれいでご飯も美味しく、しかも日本から近いといいとこづくめの台湾サイクリングなんですが、いかんせん情報が少なく、実際に走ってみてから「こんな準備をしておけばよかった」と思うことも多かったので、感想などをこれからブログの方にしっかりまとめていく予定です。

旅費

飛行機は直行便が出ているスターラックス航空を利用し、台北桃園空港までの直行便を往復で86,000円程度でした。
www.starlux-airlines.com
函館から出ているのはタイガーエアかスターラックスの2択になるんですが、タイガーはLCCなので料金が安い分、サービスが見劣りします。
たとえば自転車を持ち込むにもアップグレードが必要だし、そのうえ機内食までつけるとスターラックスとほぼ変わらない金額になってしまうため、今回は最初からフルサービスのスターラックス航空を選びました。
逆に、手荷物を全部機内に持ち込んでしまい、自転車も現地でレンタルするのであればタイガーエアのほうが楽だしお得感が出るだろうと思います。


問題は食費と宿代で、昨今の円安のせいでかなり割高になっていると聞いていたので警戒していました。
ただ、宿はすべてBooking.com経由でドミトリーを使ったため、8泊9日の旅程で30,000円程度。
食費についても基本的に台湾は外食文化なこともあってかなり安く、100元(=500円)も出すとお腹いっぱいになれるので助かりました。
いまは円安で海外旅行に行くのは厳しい時代ですが、それでも台湾だと比較的格安に旅ができるので良かったです。

持っていったお金は最初は財布に入っていた40,000円を換金して8,000元にして、途中で心もとなくなってきたので5,000元(25,000円)ほどATMでおろしました。

その他にクレジットカードで買い物をした分が25,000円ほどあったので、今回かかったお金はトータルで20万円くらい。
8泊9日で海外旅行をしたことを考えると、かなりお得だと思います。

台湾のお金事情

以前台湾に旅行に行ったときは結構な頻度で悠遊卡(easy card)を利用できたおぼえがあるんですが、ちょっと台北を離れるとほとんど使えなくなります。
(一昔前のSuicaのイメージに近い)
また、コンビニなどではスマホのApple pay経由でクレジット払いできるんですが、ドミトリーや食堂はほぼ使えないので、現金払いの機会が多かったです。

今回は楽天カードのキャッシング枠を利用して、ファミマの中にあるATMで引き出していました。
レートは4.719円=1NTDでそれほど悪くなく、そのほかに手数料が495円とられましたが、ずっと現金を持っておくよりも途中で下ろすほうが安心だと思います。

台湾での衣類

結構長い期間滞在することになるので、ジャージは2式持っていきました。

ちなみにこれは豆知識ですが、海外を走るときはAudaxJapanジャージを着ていくと「こいつ、台湾人じゃないな」というのが相手にわかりやすくなるのでオススメ。

日差しが強いので2着とも長袖にしましたが、それでもグローブとの隙間がこんなふうに水ぶくれになるほど焼けるのでヤバいです。

日焼け止めはマストで、汗で流れたり服と擦れてはがれそうな部分はマメに塗り直すよう気をつけておいたほうがいいですね。

アンダーは、ビブではなく、普段国内で旅行するときと同じようにパールイズミのフリージーを2枚持っていきました。

外観がハーフパンツっぽいのと、ポケットがあって小物が入れやすいこと、そして何より、肩紐がない分省スペースで持ち運びしやすいところが気に入っています。

衣類に関してはこの他に、軽量のズボンと無縫製パンツ、Tシャツを1式持っていきました。
ただ、下着に関しては一式しかないと洗濯中に着るものがないので、もう一式あったほうがいいと思います(途中で買い足すことになりました)。

洗濯といえば、宿に洗濯機がないケースに備えてこんなものを持っていきました。

が、正直微妙……。
というのも台湾は湿気が高く、夜に洗濯してから干したのでは、朝までに乾かないんですよね。
でかい防水バッグがあるというのは便利ではあったんですが、結構重くてかさばるので、スーパーの大きなビニール袋1枚あれば十分だったかもしれません。
宿に洗濯機があっても温風の乾燥機がないとあんまり意味がないため、2日に一回コインランドリーを使う予定で考えていたほうが楽だったんじゃないかと思っています。

自転車関係のグッズ

ロードバイクの装備は、普段ブルベを走るときとまったく同じでした。
前後にライト2灯、ヘルメット尾灯、ベル、違うのは反射ベストを着ないことくらいかな?

自転車旅行に必須だと思ったのはCYCPLUSの電動ポンプ。

一週間で2回ほど空気を補充しましたが、朝の出発前に気軽にできるのが良かったです。
(それでもパンクするときはする)
空気圧計がないモデルですが、機械の限界が7気圧ぐらいなので入れられるだけ入れてちょうどいい感じでした。

あとは飛行機に持ち込めるタイプのルブ。

危険等級3なので問題なく飛行機に預け入れできて助かりました。

荷物が多いのでアピデュラの17リットルサドルバッグのほかに、パスポートなどの貴重品を持ち運びしやすくするため、リュックサックも使うことにしました。
サイクリング用のリュックサックは持っているんですが、

これは本体重量が1kgもあるのでかなり辛い。

そこで、トレイルラン用の軽量リュックサックを使うことにしました。

これだと300gしかないので肩への負担が段違いです。

入れておくのは貴重品のほか、脱いだジャケットをとりあえず入れておいたり、予備のペットボトルを刺してみたり。
宿に着いてから街を散策するときにも小物入れとして役に立ってくれました。

自転車に乗るときにリュックサックは不向きだといいますが、重いものを入れず、また、ベルトを腹の上で締めて、肩ではなく背中全体で重さを負担するように走ると肩こりから開放されるのでオススメです。
背中の蒸れ問題も、気温が30℃以上あっても走っている間は比較的涼しいため、気になるほどではありませんでした。

旅行中の通信手段

iPhone15はeSIMが使えるので、Amazonから台湾で使えるデータSIMを購入しました。
出発する日に公式LINEからアクティベートしておくと、現地に行ってすぐに使えたので便利でした。
現地についてからでも、空港内では無料のWi-Fiが使えるので簡単に開通できるはず。

1日1GBの高速通信枠を使い切ってしまっても、低速で通信してくれるので助かりました。

持っていったほうが良かったもの

足りないものはなんでも現地で買えるので、困ることはあまりなかったんですが、初日を走り終えてコンビニにダッシュして買ったものがあります。
それは、日焼け止め。

(普通に日本のニベアが買えるのも台湾のいいところ)
太陽がほぼ真上から差してくるため、肌で感じる暑さ以上に日光の破壊力がヤバいため、絶対忘れないように塗る必要があります。
鼻の頭にも水ぶくれができてしまったので、日焼け対策は超大事です。

それともう一つ、必須だと思ったのが排気ガス対策。
台湾一周は基本的に国道1号線を走ることになります。
道幅は片側4車線(自動車×2+バイク専用+自転車専用)くらいあるので走りやすいんですが、交通量が多いので1日中排気ガスを吸わされることになります。
その結果、後半戦は鼻の粘膜を完全にやられてしまい、大変な目にあいました。
そういう意味では、日焼け止め対策を含めてネックゲーターをつけて走るなど、排気を直接吸わない工夫をしていたほうがいいかもしれません。

また、あとからは宿に入ってまずシャワーで鼻の中を洗うようにしたらだいぶ楽になったので、鼻うがい用品などあったほうがいいかも。次に台湾を一周するときは絶対用意しようと思っています。

準備編 まとめ

台湾一周は行く前に予想していた以上にサイクリストの天国みたいな土地で、日本からも近く、費用もそれほどかからなくて最高でした。
ご飯も美味しいし、日本人にも優しいし、欠点の付け所がないレベル。
ただその割に、日本からサイクリングに行く人はまだまだ少なそうな印象があります。
(多分PBPの方がずっと多そう)
日本は台湾からのインバウンドでかなり潤っているんですが、逆に台湾に行こうという人が少ないのはちょっと残念です。
やっぱりまだまだ情報が少ないせいで、しり込みしている人も多いかもしれないですね。

次回から台湾実走編が始まりますが、台湾を走りたい!と思う人が増えるよう、お役立ち情報もたくさん発信していきたいと思います。
みんなも行こうぜ環島!