【日本語訳】『ポーカーは負け組のゲーム』by mynameiskarl

トッププロの動画を日本語で

500nl zoomの勝ち組として現在も君臨するかたわら、UpSwing Pokerのコーチを務めるベルギーのポーカープロ:Fried Meulders、リングネーム"mynameiskarl"をご存じでしょうか。

彼が繰り返し口にする"simplify your strategy"(戦略をわかりやすくすること)はGTOを学ぶ上で最も重要なコンセプトかもしれません。

彼のYouTube video listには500nlzの解説、GTOの基本的な概念の説明など、たくさんのすばらしい作品が並んでいます。

今回はその中でも一風変わった動画:『ポーカーは負け組のゲーム』(Poker is a LOSER's Game)を日本語訳し、簡単な解説を加えてみたいと思います。

※以下の日本語訳・解説はすべてこのブログの筆者によるものであり、内容についてのあらゆる責任は筆者にあります。また、翻訳とブログへの転載についてはFried本人から許可を得ています。Thank you for your kindness, Fried!

 


Poker is a LOSER's Game by mynameiskarl

 

 

『ポーカーは負け組のゲーム』(Poker is a LOSER's Game)日本語訳

みんな、僕は伝えないといけないことがあるんだ。言いにくいことなんだけど・・・ポーカーは「負け組のゲーム」(LOSER's Game)なんだ。

 

(イントロ~♪ 謎のヒップホップ)

 

『ポーカーは負け組のゲーム』・・・クリックしたくなるキャッチーなタイトルだろう?

君たちもきっと「どういう話なんだろう?」と気になって続きを見ているはずだ。イントロをすっ飛ばしてね!

 

さて、僕がこの考え方を初めて耳にしたとき、それは投資にまつわる話だったんだ。

おっと、心配しないでいいよ。これから話すのは負け組のゲームだけど、そうはいっても僕たちはもちろん勝ち組になろうとしてるんだからね。

さて、Charles Ellisは投資についてのある本を書いた*1。彼はその本の中で、投資とは「負け組のゲーム」であること、そしてその「負け組のゲーム」において勝つことについて言及したんだ。

 

「負け組のゲーム」という考え方だけど、実はこれはテニスプレイヤーの研究からきてるんだ。

研究者によると、ほとんどの選手はテニスを「負け組のゲーム」としてプレイしていて、そしてトップ層のごく限られた選手だけがテニスを「勝ち組のゲーム」としてプレイしている。こう結論付けられたんだね。

では、「勝ち組のゲーム」とは何だろう?

「勝ち組のゲーム」において、トップ層は積極的に勝ちにいき、そして勝つべくして勝っているんだ。

相手の選手が全く打ち返せないような凄まじいプレイ、当然それはスコアになり、勝ちへと結びつく。

つまり、上位1%かそれ以上の層は、積極的に「良いプレイ」をすることで勝利をもぎ取っているんだ。これがトップ層にとっての「テニスのやり方」、「勝ち組のゲーム」の勝ち方というわけなんだね。

 

では、その他大勢、つまりトップ層以下の選手たちは、どうテニスをプレイしているんだろうか?

そう、彼らは「負け組のゲーム」をプレイしているんだ。

「負け組のゲーム」では、積極的に勝ちにいくことはしない。なぜなら、ほかのプレイヤーはミスをするから

そんな「負け組のゲーム」の中で、一体どうやって勝ち組になればいいんだろう?

答えは「ミスを減らすこと」。

「勝ち組のゲーム」のように、スーパープレイをして積極的に勝ちにいく必要はない。

とにかく、くだらないミス(stupid shit)をしないよう心がけることだ。

これがテニスにおける「負け組のゲーム」と「勝ち組のゲーム」の勝ち方なんだ。

 

これと同じことが投資にも言える、とCharles Ellisは本の中で主張している。

投資において、ほとんどの人は「すばらしいスーパープレイ」を目指すべきではないんだ。

それよりもまずはひどいミスを減らすべきで、例えばインデックスファンドを分散させたり、経費を削減したりすべきだろう。

ただし!僕は金融アドバイザーではないからね。投資については自分でリサーチなんかをしてやってくれよ。

あくまでもこれはサブトピックで、僕は投資のアドバイスをするような類の人間ではないからね。

 

そうはいっても「負け組のゲーム」としての投資だ。これと同じ考え方が適用されるだろう。

僕は投資についての話を聞くたびに、Charlie Mungerのある言葉を思い出すんだ。

Charlie MungerはWarren Buffett*2の右腕で、もし君たちがこれから投資について何か本を読んだりするなら、この言葉をうんざりするほど耳にすることだろう。

 

「すばらしく優れていようとするのではなく、愚か者にならないように常に心がけているからこそ、私たちはこれほどまでに長い間アドバンテージ(有利)を保っていられるーーCharlie Munger」

 

そう、これこそが投資において正しいことなんだ。

僕たちは愚かなミスをするべきではない。

 


 

さて、じゃあポーカーの話に戻ろうか。

僕の場合、今日のセッションはすごく良い結果を出せた、ということがたまにある。

そこで僕は考えるんだ。

どうやって僕は勝てたんだ?

「どうして先週の僕よりも良いプレイができたんだろうか?」

「相手のプレイヤーも勝とうとしているのに、どうして彼らより優れた結果を出せたんだ?」

ってね。

 

こういうときに僕が感じるのは、僕はただ普通に(nomal)プレイすることを心がけただけなんだ。

いつも通りの良いプレイをしよう(play a regular good game)と心がけたんだね。

そしてたまたま今回は相手のプレイヤーが僕にお金をくれた、ということなんだ。

つまり、スーパープレイを狙うわけじゃなくて、自分自身の堅実なプレイ(solid game)をものにするべきなんだね。

そうすれば相手は勝手にミスをしてくれるというわけさ。

 

もちろん、自分もミスをすることもあるだろう。でも、相手はそれよりももっとミスを犯すんだ。

君たちの中にはものすごいプレイをして勝ちまくってやる!という人もいるように思うけど、正直言って僕はあまりおすすめしないね。

 

僕が書いた最新の記事なんだけど、今回のトピックに関連した話なんだ。だから下にリンクを載せているよ。

https://mydomainiskarl.com/2019/04/in-defense-of-feel-players/

僕はこの記事の中でゾーンに入ること、そして自分自身の堅実な土台(solid base)を築くことについて書いている。

とはいえ、僕はポーカーにおける創造性(creativity)を完全に否定しているわけではないからね。

状況に適応すること、創造性の余地を残すことについても述べているから。

でも、やはり堅実な土台をしっかりと持つことが「負け組のゲーム」で勝つためには大事なんだ

凄まじい、常識はずれの、目を丸くするようなスーパープレイをしようとして、愚かなミスをすることだけは絶対にダメだ。

 


 

ところで、この考え方は他のいろんな事柄にも当てはまると思うんだ。

君たちの中には有名なブログサイトの"Wait But Why"*3をよく見る人もいるんじゃないかな。

そのブログの中で、著者のTim Arbanは人生を「何気ない日々の寄せ集め(collection of ordinary days)」と表現してる。

彼によると、幸せは何か特別な瞬間(outliers)の中にあるのではなく、何気ないいつもの水曜日にこそ幸せはあるんだ

 

また別の記事によると、彼はこう言ってる。

人生のパートナーや理想的な人間関係を求めるなら、それはタイのハネムーンにあるのではない。

いつもの何気ない、しかし忘れがたい水曜日に、共に幸せを感じることが大切なんだと。

 

こんなふうに、今回紹介したアイデアは実にいろいろなことに適用できる。

ものすごく賢い人間になろうとして愚かなことをしたりせず、どうか堅実に日々を過ごしていってほしい。

そして「負け組のゲーム」に打ち勝つんだ。

そうすれば、他のプレイヤーと大きな差をつけられるはずさ。

(了)

 

 

解説 

最近はいたるところでポーカーの情報を得ることができます。

特に英語圏ではその傾向が顕著です。

大きな掲示板だとTwo Plus Twoがありますし、Run it Once、UpSwingPokerなどのコーチングサイト、個人ブログやTwitterも入れると数えきれないほどです。

しかし『Poker is a LOSER's Game』は戦略について真正面からあれこれ語るのではなく、ポーカーの周辺領域からポーカーを語っています

初めて動画を見たとき、それがとても新鮮に感じられました。

 

ポーカーは「負け組のゲーム」であり、「負け組のゲーム」で勝つためにはミスを減らし、平常心で堅実なプレイをすべき、というのが大まかな話の筋でした。

確かに、自分の経験を振り返ってみても心当たりがあります。

大きく勝ち越すときはたいてい相手のひどいプレイと自分のビッグハンドがぶつかったときです。

逆に1日のセッションで何バイインも失うときは、何度もひどいプレイをしてしまっているように思います。

 

では、「ミスを減らす」には具体的にどうすればいいのでしょうか

Friedの動画に解説を加えるなんておこがましい気がしないでもないですが、戦略の観点からいくつかポイントを挙げてみたいと思います。

 


 

そもそも「ミス」とは何でしょうか。

あるプレイが「ミス」であるとわかるためには、基準となる何らかの「正解」が必要なはずです。

では「正解」とは?

この点についてFriedは「堅実なプレイ(solid game)」とさらっと流していますが、要するに何らかの根拠に基づいたプレイの軸を持って、そこから大きく外れないようにすべきだということなのでしょう。

プレイの軸は大きく分けて二つあります。いわゆるABCポーカーGTO(Game Theory Optimal)です。

 

ABCポーカーという言葉は状況に応じていろいろな意味で使われていますが、

「ポーカーの初級者が身につける戦略」

「相手のアクションやレンジを予想する」

「利益を最大化して、損失を最小化するアクションを選ぶ」

などの特徴が挙げられます。

相手はこんなプレイヤータイプで、こんなレンジを持っているだろうから 、自分の勝率(エクイティ)はこのぐらいだろう。じゃあ、自分の勝率に見合った分だけチップを賭けよう、と判断します。

 

ABCポーカーにおける「ミス」とは何でしょうか?

真っ先に挙げられるのは「バリューにもブラフにもなっていないベット(レイズ)」でしょう。

バリューにもブラフにもならないプレイは、利益を小さくして損失を大きくしてしまいます。

これは利益を最大化して、損失を最小化するアクションを選ぶABCポーカーのやり方から大きく外れますから、「ミス」である可能性が高いでしょう。

こんな経験はないでしょうか。

リバーで相手のレンジが強くなりすぎてて、ほとんど降ろせないのにオーバーベットでブラフをしてしまったり。

あるいは、ターンで相手のレンジにドローがたくさん残っているのに、あえてナッツでベットせずにチェックバックしてしまったり。

一度落ち着いて、自分の中のABCポーカーを思い出せば、どちらも回避できていた「ミス」だったかもしれません。

スーパープレイは一歩間違えるとファンシープレイになり、大きな負けにつながってしまいます。

※ABCポーカーについては初級編・中級編で紹介しています。

www.pokerjaws.com

www.pokerjaws.com

 


 

とはいうものの、Friedが意図している「堅実なプレイ(solid game)」は、やはりGTOのほうでしょう。

GTOはABCポーカーのように相手のレンジやアクションを主観や経験で決めつけたりはしません。

互いが相手を最大限搾取するような戦略を使っている状況(ナッシュ均衡)を基にして、相手のレンジやアクションを考えます。

また、ABCポーカーはエクイティを基準に自分のアクションを決めますが、GTOでアクションの決め手になるのは期待値(EV)です。

この点が両者の大きな違いかと思います。

 

それでは、GTOにおける「ミス」とは何でしょうか。

これについてはとてもシンプルで、「GTOが使わないアクションやベットサイズを使ってしまうこと」だと思います。

GTOの性質上、GTOが使わないアクションやベットサイズを使うと、搾取される可能性が出てくるだけでなく、レンジ全体の期待値を損なってしまう危険があります。

もちろん、相手を大胆に搾取するためにあえてGTOから外れたアクションを選ぶこともありますが、そういったシチュエーションはとても稀です。

 

また、GTOと一口に言ってもいろいろです。

3ベットポットの全レンジCBやプリフロップソリューションのような汎用性の高い簡易GTOの場合、そこから外れたアクションを選ぶことは特に大きなミスにつながるでしょう。

 

それに、実戦的にはGTOが使うアクションの範囲内で相手を搾取することも可能です。

混合戦略になっているアクションを相手のプレイスタイルに合わせて調節することで、より高い期待値を実現できます。

ですから、積極的にGTOが取らないアクションを選ぶというのは、相手を搾取するという観点から見てもやはりレアケースで、ミスにつながりやすいと思います。

 

GTOはこの状況でどんなアクションを選ぶのか?

レンジ全体でベット・チェックする頻度は?それぞれの期待値は?

ベットサイズを変えるとコールする頻度はどう変わる?

どんなハンドでディフェンスするのをGTOは好むのか?

こうした問いにできるだけたくさんの状況で答えられるようになると、GTOから大きく外れずにプレイできるようになり、ミスも少しずつ減ってくると僕は考えています。

 

※GTOについては超上級編で紹介しています。

www.pokerjaws.com

 

 

ABCポーカーとGTOの違いについては、また次回の記事で詳しくご紹介できればと思います。

皆さんも「何気ないいつもの水曜日」をお過ごしください。ではまた!

*1:訳者注:Charles Ellisはアメリカの有名な投資コンサルタント。ここでは彼の著書『Winning The Loser's Game』について言及している。

*2:訳者注:Warren Buffettはアメリカの有名な投資家。アルバイトで稼いだ200万円余りを元手に投資を続け、現在の総資産は8兆円以上。一方で生活は質素そのものであり、世界で最も慈善事業に力を入れている1人でもある。

*3:訳者注:Wait But WhyはTim Arbanの運営する超有名ブログサイト。テクノロジー、ライフスタイル、ビジネスなど、幅広いジャンルについてクオリティの高い記事をラフイラストと共に投稿。

海外カジノ遠征記 ~ロサンゼルスその4・最終日&総括~

 

さらばアメリカ

今日はロサンゼルス最終日。まずはcommerceでカジノ納め。

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commerceのフードコンプが溜まってたから、ビーフステーキとサラダで豪勢に消化。

しかし今回は長かったねえ。ロスにはどのくらいいたの?

35日間だね。こんなに長期の遠征はこれが最後になるかも。今後は仕事が休みのときに3、4日でちょこっと遠征に行くぐらいになりそうだな。

日本のリゾートカジノに期待!

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夕暮れのコマース。ウェイティングも短いしレーキもそんなに高くないし、いいカジノだったよ。プレイするならレートは5/5か5/10だから、ある程度バンクロールがある海外プレイヤーにぴったりなんじゃないかな。

1/2とかはないの?

あるけど、テーブルに持ち込めるマックスバイインが40bbだから、あまり稼げないかもね。

レートやテーブルの豊富さ、レーキの安さならラスベガスが一番だと思うけど、どうしてもラスベガスは移動費・宿泊費が高くつくからね。airbnbで安く長期滞在するならロサンゼルスは悪くないところだと思うよ。日本人街もあるしね。

 

リトルトーキョーをぶらぶら

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リトルトーキョーには飲食店や日本食スーパーが密集してるんだ。

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中央広場でのど自慢やってたよ。みんなが交代交代でカラオケで熱唱。

へえー、楽しそう。

坂本九の『上を向いて歩こう』を歌う人も。通りすがりの人もノリがよくて「Wow!」「Great!」って声をかけてたよ。

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帰りの機内で読む用のホラー小説をゲット。

STEPHEN KING・・・スティーブン・キング?

アメリカの伝説的なホラー作家だよ。映画原作だと『ショーシャンクの空に』『スタンド・バイ・ミー』『IT』が有名かも。

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そしてコレ。どうしても食べたくなって買っちゃった。

雪の宿!これおいしいよね。かっぱえびせんワサビ味もそそるね。

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何やら和テイストの土産物屋さんが。

新京極とか浅草にこういうお店よくあるよね。

なんか七味を入れるひょうたんとか招き猫とか勧められたけど、わざわざアメリカで買うのもなあ。冷やかしてそのまま帰宅。

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ロサンゼルスは空が高くて、天気がいい日は最高に気持ちよかったよ。道行く人もみんなリラックスしてる感じで、散歩してるだけで気分がよかったなあ。

今度はポーカーとか仕事抜きで来たいね。

本当だね。ちょっといいホテルに泊まって、ゆっくりバカンスを楽しみたいな。ぜひまた来たいと思ったよ。

(ホテルにカジノがあればどうせ行っちゃうんだろうけど)

 

遠征の収支・総まとめ

今回の遠征ではCommerceとBicycleでプレイしたよ。レートは2/3、3/5、5/5、5/10だね。ほとんどが5/5と5/10だよ。

これが今回の遠征の収支。

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勝ち額が4341ドル、時給が28.26ドルかあ。これっていいの?悪いの?

正直いい成績ではないかな。今回の遠征はきつかった・・・。

あらら、そうなんだ。

ビッグポットで2、3枚のアウツを引かれるのがもう数え切れないくらいあったよ。自分が簡単に勝たせてもらえることはほとんどなし。
大きく勝てたセッションもあったけど、それもギリギリのブラフキャッチだったからね。精神的につらかったよ。

そっか、楽に勝てるスポットがなかなか来なかったんだ。

驚くべきことに150時間プレイしてAAが1回しか来なかったからね。

なんと。そりゃキツいね。

まあ、AAだから簡単にポットが取れるなんて保障もないんだけどさ・・・。1回ぐらいAA vs KKみたいなボーナスが欲しかったな。

 

バットビートの連続・・・ツイてないときの心がけとは?

今回は明らかにツイてなかったけど、それでも大きく負けなかったのはよかったなと思うよ。

1日に何千ドルも負けるとまいっちゃうもんね。ツイてないときの秘訣はなんかあるの?

秘訣ってほどじゃないけど、僕が意識してるのは次の二つかな。

  • ハンドが来ないorバットビートを引いたからといって、ひどいプレイを絶対にしないこと
  • 頻繁にテーブル移動をすること

一つ目は「ひどいプレイをしないこと」。当たり前のことだけどね。
でも、誰しもが経験があるんじゃないかな。2時間プレイして一度も参加できず、我慢できずにUTGからQToでオープンしたり。

あるあるだね。で、そんなときに限ってBTNに3ベットを打たれたりとか。

2時間もフォールドしてる超タイトなヤツのUTGオープンだよ?AAかKKが怖くないの?」って思ったりするよね。
でも、カジノのレギュラーはそんなことまで考えてないんだ。彼らは純粋にポーカーを楽しみに来てるんだからね。

むしろそういうプレイヤーがいるから私たちは安定して勝てるはずだと。

そういうこと。
いくらいいプレイをしても結果が伴わないときがあるよね。でも、そこでイライラして相手にも「いいプレイ」を求めると本末転倒になっちゃうんだ。そこは常に気をつけるようにしてるよ。

カジノでは「あ、この人はうまいな」って思う人と一緒にプレイすることもあるよね。でもね、そういう人ほどひどいプレイでスタックをすべて失って席を立つ、ってのを僕は何度も見てるんだ。

我慢できなくなっちゃうんだね。

うん。テーブルはおいしいのに、本当にもったいないなあって思うよ。

もちろん人間だし、どうしても頭に来てひどいプレイをしちゃうときもあるかもしれない。そんなときはね、「懺悔ノート」を作ることをおすすめするよ。

懺悔(ざんげ)・・・。自分の罪を告白するの?

そうそう。「主よ、私は今日、バットビートにイラついてUTGから33でリンプし、6bbのレイズにコールしました。セットはできませんでした。ここに告白します」ってね。

ふむふむ、ひどいプレイをしたらそれを文字にして残すんだね。

そしてその下に「なぜそのプレイがだめだったか」をきちんと自分で補足するんだ。

セットが11%の確率でできたとしても、このテーブルのプレイヤーはトップペアをリバーでフォールドできるので、ペイオフしにくい。しかも今回はOOPなのでポットが大きくなりにくく、さらにセットオーバーセットのカウンターオッズを考えると、明らかに採算が合わないプレイだ

って感じでね。日付も入れておけば「最近はあんまりひどいプレイをしなくなったな~」って成長を実感できるし、「自分がひどいプレイをしてるのはこういうシチュエーションが多いんだな」って自分のリークもわかるようになるんだ。

なるほど!友達とかと一緒にやるといいかもね。

そうそう、ひどいプレイの品評会をやってお互いに反省するのもいいと思うよ。

そして二つ目は「頻繁にテーブル移動すること」。これは前回のその3の記事でも言ったけど、本当に大事なことなんだ。

できるだけおいしいテーブルを求めて移動するんだよね。

そう。初めて来たカジノだとプレイヤーの顔ぶれもわからないけど、ある程度通ってるとプレイスタイルがわかってくるよね。長期滞在の地の利を生かして、少しでも時給が上がりそうなテーブルに移動するんだ。

ふーむ、ツイてないときは頭に血がのぼって、「リバーで2アウツ引いたあの野郎から取り返してやる!」って思いがちだけど、それじゃだめなんだね。

うん。落ち着いてほかのテーブルを見渡して、社長がいないか冷静に確認するほうがいいと思うよ。負けて席を立つのは恥ずかしいことでも何でもないからね。

 

さて、こんなもんかな。これから広州経由で日本までフライト。スティーブン・キングを読みながら寝落ちして、また広州であの拉麺を食べようという完璧なプランだよ。またね!

【コラム】相手を惑わせ!カジノで嘘のテル(癖)を演出してみた(後編)

★ルール★ 

  1. 嘘のテル(テル爆弾)で相手の心理をコントロールし、バリューにコールしてもらったり、ブラフにフォールドしてもらったりする。
  2. テル爆弾を投下すること以外は普通にプレイする。テル爆弾でプレイラインを変えたりはしない。
  3. 恥を捨てる。やばいヤツだと思われてもやり抜く鋼の心で取り組む。
  4. 相手に対するリスペクトを忘れない。

 前編: https://www.pokerjaws.com/entry/2019/03/26/011419

 

♤Bicycle Casinoにて

前回から10日が過ぎました。しかし一度もトリプルバレルブラフを打てませんでした

わかっていたことですが、テーブルに座って早々にトリプルバレルを打つっていっても、なかなかそんな場面は来ませんね。

しかもCommerce Casinoではレギュラーにすっかり顔を覚えられてしまいました。

なんか先日はですね、俳句が趣味だというレギュラーのおじさんにつかまって、「自慢の俳句があるんだ、見てくれないか」とのことで、おじさんの俳句(英語)をなぜか僕が読み上げる→おじさん「Umm...」(うなずく)→また僕が読み上げる→おじさん「Hmm...」(うなずく)みたいな謎イベントがありました。

なぜ俳句?って思って調べてみたら、アメリカでは俳句が流行ってるんですかね。小学校の授業で取り入れてる州もあるんだとか。

僕が日本人だと思って俳句の話題で話かけてくれたのかな、とそのときはホッコリしたんですが、おじさんはまた別のヤツに俳句を読み上げさせて「Hmm...」ってやってました。誰でもええんかい。

 

ともあれ、こんな雰囲気では今更ブラフしてFoooo!もないですよね。

やっぱり顔見知りが少ないテーブルを探す必要があるみたいです。

そのためだけにこの2日、時間帯をずらしてBicycle Casinoでプレイしました。

最近はテーブル稼働が悪いのでしばらく敬遠していたBicycleですが、この誰に頼まれたでもない実験のために行きました。何をしにアメリカまで来たのかわからなくなってきますが、とにかく行きました。

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美しいエントランス。伝統と格式のある老舗カジノです。ローレートでは地元のプレイヤーが和気あいあい、ハイレートではテーブルに1億円以上を乗せてプロがしのぎを削ります。

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まずはカジノ内のカフェで今回の作戦を再確認します。

考えてみれば当たり前のことなんですが、前回はここまでブラフのチャンスが来ない&すぐに顔を覚えられるとは思ってませんでした。

代わりに初めてポーカーやった人のふりをしてみようかとも考えてみました。(ハンドを顔の高さまで持ち上げて凝視・「ブラインドって何?」etc)

でもさすがにマナー違反かなと思い断念。

 

結局、頻繁にテーブル移動をすることで初見のテーブルを増やしていくことに。

また、少しでも作戦を成功させる確率を上げるため、ブラファーっぽい身だしなみにしてみました。

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ハリウッド帰りの観光客っぽいバットマンのTシャツ、似合いもしないグラサンに、つばを反対に向けたキャップ。音楽はエミネムを聞きます。今の若い人はエミネムとか知ってるんですかね?令和を生きる若者は何を聞いてるんでしょうか。米津玄師でしょうか。

本当はタトゥーシールを貼ったりドクロの指輪をしたりすべきなんでしょうけど、これが僕にできる精一杯です。

鏡を見るたびに苦笑いが出ます。でもこの「若作りしようとして失敗してるオッサン感」はバリューかブラフかと言われるとブラフ寄りでしょう。

 

 

♤アメリカ人はノリがいい!

さっそく作戦開始です。まずは5/5のウェイティングを入れながら2/3をプレイ。

普通に何事もなく進行します。

ブラフどころかほとんど参加できず、さっさと5/5へ移動。

そして何度かテーブル移動をしたあと、新しいテーブルの面々を見渡して、思わず「フフッ」ってなってしまいました。

グラサン+キャップにネックレス、腕にタトゥーまで入ってる僕の上位互換が座ってるんですよ。しかも同じアジア系。これじゃ親分と子分じゃないですか。

僕は割と笑いのツボが浅くて、特にこういう「状況が面白い系」に弱いんですよね。笑ってはいけないと思えば思うほど、そんな自分に笑えてきます。皆さんもそんな経験はありませんか?

 

しばらくして、リンプポットでこんなことがありました。

3人リンプインでBBの僕はQ6を持っていました。当然チェック。

フロップ:753

ガットとバックドアフラッシュができました。チェックで回ります。

ターン:7539

アウツが増えました。チェックアラウンドに今度はBTNが4bbのリードベットをしてきます。SBはコール。

ここは単にコールするのがいいでしょう。リバーでストレートを引いたときに彼らがツーペアやセットをフォールドするとは思えませんから、インプライドオッズは十分です。コールして3way、リバーを見ます。

リバー:7539A

すべりました。SBと僕はチェック。BTNはまた4bbのベット。それにSBがコール。

なになに?J9とかで薄いバリュー?いやいや、ライブキャッシュは魔境です。こういうシチュエーションでBTNから54sのワンペアとかとんでもないハンドが飛び出してくるのがライブキャッシュです。いずれにしろ自分はQハイ。フォールドするか…。

 

ここなら比較的安くブラフできるのでは?

 

そうですよ、トリプルバレルブラフにこだわる必要はありません。大事なのは派手なブラフをして叫ぶことです。

SBのレンジはキャップされてそうだし、絶好のチェックレイズブラフの状況じゃないですか。万一Aのペアがいてもコールは簡単ではないはずです。やってみる価値はあります。

31bbにポットレイズしました。BTNは即フォールド。SBは考え込みます。

2回目のチェックコールでSBにツーペアやセット、ストレートは絶対にないはずです。どうせ87oとかなんでしょ?フォールドしようよ。ほら、フォールドしてください…。

結局SBはフォールド。7を見せてくれました。ここだ!ここでハンドをショウ!よし、あとは叫んだらようやく呪縛から解放される…。

 

僕:Foo...

BTN:This is what I was talking about! I hate this game! I HATE THIS GAME!!!!!(ほらな、言ったとおりだろ!クソゲーかよ!クソゲーかよ!!!

 

なぜか即フォールドしたBTNのおっちゃんがブチ切れ。彼のデカい声で僕の声がかき消されました。

このおっちゃん、今日はずっとついてないようで、バリューはまくられ、ブラフに降ろされまくってるらしいんですね。

それとは対照的にSBは笑顔でI knew it !(絶対そうだと思った!)を連呼。向かいの兄ちゃんはこちらに腕を伸ばしてきて、お互いの拳をちょん、と合わせるアレをやりました。テーブルが一気にワーっと活気づきます。

僕はエミネムのリズムに合わせて首を前後させ、小声でFow!とつぶやきながらポットを集めました。微妙な恥ずかしさをまだ捨てきれません。人間力の低さが露呈します。

 

しかし大幅な路線変更はあったものの、作戦の第一段階は成功と言って差し支えないでしょう。

テーブルも盛り上がりましたし、本来のターゲットではないのですがBTNをイラつかせることに成功しました。「ビッグブラフで快感を覚えるヤツ」というイメージが僕についたことは間違いないです。

 

♤ようやくテル爆弾のチャンスが

さて、ブラフは成功しました。

作戦ではその後しばらくおとなしくしておくはずですが、普通にいいハンドが来るんで、割と参加率が高くなってしまったんですよね。

QQでプリフロ3ベットを打ってヘッズアップ、ローボードでダブルバレルを打って相手はフォールド。

リンプに対してAQsでアイソレート、ショートスタックがオールイン、スナップコールにAハイボードで50bbくらい獲得。

あとは忘れましたが、ほかにも何回かポットを取って、気づいたときには300bb近いビッグスタックになっていました。

もう本来の作戦は影も形もないですが、僕がめっちゃアグレッシブなやつみたいなイメージになってますので、ここで一つビッグハンドが入ってほしいですね。

 

しばらくしてから、こんなハンドがありました。

MPが3bbオープン。CO、BTN、SBがコール。BBの僕は76。ストレートやトリップス狙いで参加します。

フロップ:J76(15bb)

ボトムツーペアができました。ターンで落ちてほしくないカードが多すぎるので、今回はドンクベットすることに。

かなりウェットなボードなので、15bbのポットに12bbのベット。MP、CO、SBはフォールド。SBだけがコールします。

 

ターン:J768(39bb)

SBはチェック。ターンの8は54とT9にストレートを完成させ、J8と87は僕よりも強いツーペアを作ります。

しかし、依然としてSBのレンジにはJX、フラッシュドロー、98・55などのペア+ドローがいますので、b/fの予定で25bbをベット。

SBは即コールします。

 

ところで、僕はオフスートであっても必ず自分のハンドのスートは覚えるようにしています。

76なら「76のCS(club, spade)」など、スートをアルファベットにしておくと覚えやすいです。

ボードにフラッシュドローができたときとか、いちいち自分のハンドをめくって確認してると、相手に変なテル読みをされて嫌ですからね。

しかし今回はあえて自分のハンドをちらちら見ることにしました。

フロップでハートのフラッシュドロー、ターンでさらにスペードのドローがつきましたから、あえて自分のスートを確認するほうが、ドローらしく見えるのではないかという狙いです。

もうこの辺から前回言ってたテルの心理に自分がどっぷりハマってるのですが、全く自覚はありません。演技することに必死です。

 

リバー:J7686(89bb)

SBはチェック。全てのドローはすべって、ストレートをまくりました。

こういうときって嬉しさよりもまずはホッとしますよね。僕が気が小さい人間だからかもしれませんけど。

しかもヘッズアップでSBに対してIn Positionを取っています。ドローすべりっぽくオーバーベットするのもよし、弱いJや98なんかにターゲットを定めてハーフポットくらいベットするもよし。やりたい放題です。

 

しかし今回はテル爆弾がテーマです。ここで嘘のテルを使わない手はないでしょう。

まずはカードシャッフル。手元で自分のハンドをしゃかしゃか動かします。

ナッツを持ってるときは絶対にしない動きだとフィル・ヘルミュースが言ってました

そしておもむろにチップの山をズイッと前に押し出します。

僕:I bet 400.

80bbの大きなベット。しかもいつもは言わないベット額の申告です。マネープレッシャーで降ろしたい!という気持ちが表れたブラフテルですね。これもネットに書いてありました

SBはじっと考え込みます。

ここでとどめの飲料補給です。水を飲むのはブラフテル。誰もが一度は聞いたことのある有名な話です。

どうだ?これでフラドロすべりのブラフに見えないか・・・?

 

どう考えても挙動不審すぎます。

いざビッグポットで嘘テルをやるとなると、混乱して焦ってしまうんですね。

前回、心理学がどうとか偉そうに能書きを垂れてましたが、もうそんなものを考える余裕はありません。必死にTwitterとかで見たテルの与太話を思い出しては一つ一つ実行していました。

しかし問題は自分の演技力のなさです。

カードをしゃかしゃかしながら上ずった声でベット額を申告、ペットボトルの水を一気飲みしてますからね。こんなに忙しいヤツは見たことがありません。

考えつく限りのテルを一通りやり抜いたあと、うっすら汗をかきながら「役者とか声優ってすごいんだな」とか考えていました。

 

さすがにこれは狙いすぎのバレバレなんじゃないでしょうか。もういっそ笑い飛ばしてくれたほうが気が楽です。

しかし、テーブルは全くそんな雰囲気ではありません。SBは真剣そのもの。じっとこちらをにらみつけてきます。

それどころか、今やテーブルのほとんどの人が僕のパントマイムをじっと見つめています。

 

嘘だろ!?こんなんでいいの!?

 

想像以上に効いてるようです。

SBはチップを数えてコールしたそうな雰囲気。しかし苦しそうな表情を浮かべています。スマホをいじっていた上位互換も顔を上げ、興味津々でこちらを凝視してきます。

しかし、純粋にポーカーを楽しんでいる人たちをだましてるようで、ちょっと心苦しくなってきました。(実際、骨の髄までだまそうとしてるんですが)

これはまともな社会人のやることなのだろうか?

いや、これは自分に与えられた使命だ。

そのために費やしてきた時間を思い出せ、もう引き返すことはできないのだ・・・。

 

そんなことを考えながら、1分近く膠着状態が続きました。

そしてついにSBは重い口を開きます。

SB:All in.

 

あ〜薄々思ってたけどやっぱりか…。

SBは「ひどいブラフやっちまったわ~」とでも言わんばかりに大きくため息をつきながら乱暴にチップの山を押し出します。そして腕を組んでしょぼくれた顔でこちらを凝視。

これって逆に嘘テル攻撃されてるんですかね。テーブルからはクスクス笑い声が起こり始めます。

オールインのサイズは約1000ドル。コールするとポットは約2400ドルになります。やってられませんが、真剣に考えます。

 

ここでの僕の76oは基本的にブラフキャッチです。フルハウスの中では最弱ですが、ドローすべりやペアをブラフに変えたプレイはキャッチできます。

しかし、86、J6、77、88、いないとは思いますがJJには負けています。

このチェックレイズオールインにどれだけブラフが含まれているんでしょうか。

こればっかりは相手のプレイスタイルに大きく依存するでしょう。しかし、初見テーブルなので彼のことをよく知りません。

僕は600ドルを追加で出して2400ドルを得るので、必要な勝率は約25%。しかしもう冷静に考える余裕がないんですね。

SBは「どう?ブラフだよ?」みたいなしょぼーんとした顔でこちらを見てきますし、テーブルからは次第に大きくなってきた笑い声と「この前こんなハンドがあってさあ…」みたいなどうでもいい話が聞こえてきます。

テーブルの情報量が多すぎて、落ち着いて考えられません

 

結局、僕はコールしました。正直もう疲れたんです。

「カジノのキャッシュではこういう場面でストレートや6のトリップスで突っ込んでくることもあるから」という曖昧な根拠でしたが、今思うといいコールではなかったかもしれません。

SBがショウしたのはJ6o。僕より強いフルハウス。負け。

テーブルは大盛り上がりです。SBはガサっと30ドルほどつかんで、ディーラーに投げてよこします。破格のチップです。

あ~あ、やっちゃったなあ…。

 

ため息をつきながらリバイ。するとSBが「Sorry about that, man. But...」となぐさめてくれました。

同情するなら金をくれ、とアラサーにしかわからないドラマ『家なき子』の名台詞を言ってやりたくなりましたが、悪いのはほかでもないコールした僕。

「ハハハ・・・」

と力なく笑い、変なヤツだと思われました。多分。

こういうときに日本人的な笑いをすると誤解されますよね。でも、もうそんなことを気にする余裕もありません。 

いつもに増して頻繁なテーブル移動、子ども騙しのテル合戦、そしてフルハウスオーバーフルハウスのバットビート。果てしなく疲れました。

 

ぐったりしながら、このあともしばらくプレイを続けました。

しかしさっきのビッグポットもあってかテーブルがルースになって、少しばかり負けを取り返すことができました。

テーブルの雰囲気もよくて、新しいプレイヤーが入ってきたら「気をつけろよ、このテーブルは何でもあり(no limit)だぜ!」とジョークを飛ばす人も。

なぜか「誰が一番イヌの鳴きまねが得意か」みたいな話になって、テーブル全体が「アオーン」「バウ!」と動物園状態になったり。

腹を抱えて笑いながら思いました。やっぱり普通に楽しくプレイするのが一番ですね。

うんざりするほど聞いたエミネムをプレイリストから削除して、この日はテーブルブレイクするまでBicycleでプレイしました。

 

 

♤結論

・素人がテルに手を出すと痛い目に遭う

・アメリカ人のノリの良さは半端じゃない

・ライブキャッシュは楽しんだもん勝ち

 

 

♤Special Thanks

Awesome Vlnela,

Mikeee,

Roger,

and EVERYONE in Bicycle Casino

海外カジノ遠征記 ~ロサンゼルスその3・リトルトーキョーとBicycle Casino~

 

日本食が恋しい!いざリトルトーキョーへ

滞在先では自炊してるけど、さすがに自分で作るものに飽きてきたよ。麺つゆでざるうどんを食べたり、ポン酢で水炊き鍋を食べたり...。

あら、海外で食べる鍋っておいしそうじゃん。

おいしいんだけど、そろそろ醤油に飽きそうで怖いんだよ。まだギリギリ大丈夫だけど。

そうだ、今日はリトルトーキョーに日本食を食べに行こうかな。

リトルトーキョー?

ロサンゼルスのダウンタウンにある日本人街だよ。寿司、ラーメン、しゃぶしゃぶ、何でもあるんだ。日本食スーパーもあるよ。

いいじゃん!行ってみよう!

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一緒に行く仲間と相談した結果、大黒屋というラーメン屋さんに行くことに。ロスではかなり有名な店みたいだよ。

uberで近くで降ろしてもらって、散歩がてら歩いて移動。

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なんか字がいっぱい書いてあるね。あの建物は?

ロサンゼルス現代美術館(The Geffen Contemporary at MOCA)だって。こっちにいるうちに一度は行ってみてもいいかな。

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もうすぐリトルトーキョー。

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この建物は?

全米日系人博物館。看板の「怪獣vsヒーロー」が気になってしょうがないよ。

一体どんな催しなんだろ。

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向かいには立派なお寺が。本願寺だって。

こんな海の向こうまで…。宗教のチカラはすごいね。

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博物館の向かいの通りを入ると、ここからリトルトーキョーだね。

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目当てのラーメン屋さんに到着。

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レトロな雰囲気だね。なんか昭和感があるというか…。

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メニューはこんな感じ。僕はDaikoku Ramen、相方はSpicy Miso Ramenを頼んだよ。

わたっし待〜つ〜わ♪

BGMはあみんの『待つわ』。とことん昭和テイストにこだわってるね。

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各テーブルにはニンニクと紅生姜のトッピングが。

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そうこうしてるうちに来たね。上がDaikoku Ramenで下がSpicy Miso Ramen。

美味しそうじゃん!

うん、いわゆる豚骨醤油だね。美味しいよ。

なんかアッサリした感想だね。

日本では平均的な味かなあ。フードコートのラーメンよりはよっぽど美味しいけど、行列ができるラーメン屋ほどではない・・・って感じ。でもニンニクと紅生姜のトッピングは嬉しいね。

なるほど。期待しすぎないほうがいいと。

うん。星四つってとこかな。でも、アメリカは外食の中ではかなり美味しいほうかな。ラーメン欲を満たすのには十分なクオリティだと思うよ。

大黒屋(Daikokuya)

★★★★☆

 

憧れのBicycle Casinoへ

海外遠征ではテーブル選びがとても大事だよ。時給が2、3倍は上がるからね。

そんなに!

普段はCommerceでプレイしてるけど、平日はあまりおいしいテーブルがないんだ。そこで新しいテーブルを求めてCommerceから車で10分、老舗カジノのBicycleに来てみたよ!

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きれいなエントランスだね!

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テーブルの数は100近く。Commerceに負けず劣らずの広さだね。平日の昼過ぎだったけど、ほとんどのテーブルが埋まってたよ。

ゲームの種類はNLHEがメインだけど、PLOやLHE、Mixもちらほら立ってるね。Bicycleのアプリ稼働状況とウェイティングを確認できるんだ。

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そしてBicycleと言えばコレ。キャッシュゲーム配信のLive at the bike!だよ。カジノの一角に撮影ブースを設けて、Youtubeでキャッシュゲームの様子をライブ配信しているんだ。
プロのMatt Berkey、Run it Onceでもコーチング動画を上げてるGarret Adelsteinなんかの白熱のバトルが見れるよ。

www.youtube.com

へえー。一見さんでもカメラに映れるの?

もちろんOKだよ。Liveに出たい!とサービスさんに伝えれば、ウェイティングに入れてくれるよ。基本はNLHEでたまにPLO、レートは5/5/10~100/200のハイレートまでまちまちだね。

実はね、Live at the bikeは僕が海外遠征をするようになった最初のきっかけなんだ。まだポーカーを始めて1年かそこらの頃にLATBの動画を見て、「ハイレートのテーブルはすごくうまい人もいるけど、明らかにフィッシュもいる・・・。どんなレートに行っても一緒なんだな」と実感してね。それからいつか自分も、と思うようになったんだ。

そうなんだ。じゃあ、実際にLATBの現場を見れて嬉しかったんじゃない?

感無量だったね。嬉しさのあまり撮影ブースの前で記念撮影しようとしたけど、さすがに警備員に止められちゃった。

あらら。

でも、LATBによく映ってるプレイヤーと一緒にテーブルを囲むこともできたし、大満足だよ。エントランスの前でuberを待ってたら、動画でよく見るプロとちょうどすれ違って、ついついジロジロ見ちゃったりね。

ミーハー丸出しじゃん。

いいんだよ、実際そうなんだから。この日は2/3を軽くプレイして終了。テーブルもおいしかったし雰囲気も良かったよ。また来たいな。

 

今日までの収支

序盤は苦しい展開が多かったけど、ようやく大きな勝ちを何度か拾えたよ。レートは2/3(Bicycle)3/5(Commerce)5/5(Commerce・Bicycle)5/10(Commerce)の4種類。ほとんどが5/5だよ。

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うん、悪くないんじゃない?

時給は5/5が$32.22で6bbちょっと。5/10で少し上振れてくれたから、全体の時給は$57くらい。バットビートはもうウンザリなんだけど、恐れずにプレイするしかないね。

さっきテーブル選びが大事って話をしたけど、これは本当に大切なことなんだ。もしこれを読んでる人でこれから海外にポーカーをしに行くって人がいるなら、絶対に覚えておいて欲しいよ。

カジノはレーキも高いし、大して稼げないテーブルだと、滞在費とかですぐ赤字になっちゃうもんね。

そのとおりだね。あと、レートを下げると時給も下がると思いがちだけど、ルールや座ってるプレイヤーによってはむしろ得することもあるんだ。レートにこだわらず、柔軟にテーブルを選ぶのが大事だよ。

ルールって?

例えばストラドルだね。ストラドルはハンドが配られる前にUTGが2bbをポストすることで、プリフロップのアクションを最後(BBのあと)にできるシステムだよ。強制ストラドルのテーブルもあれば、やりたい人だけやるテーブルもあるんだ。

ふーん。ブラインド額が上がるんだね。

カジノによってできたりできなかったりするけど、Bicycleの2/3では自由にストラドルできるんだね。
ってことは、自分はストラドルせずにほかの人がストラドルをするとどうなるかな。自分の支払うブラインドは一周$5(2/3)のままで、強いハンドが入ったときはほかの人が2/3/6にしているから、ポットが大きくなりやすいんだ。

ほほう、なるほどね。実質レートは3/6みたいなもんだけど、自分が支払うブラインドは安いままと。

そうなんだ。だから、かなりタイトにプレイすることで利益が出せるようなテーブルだと、このルールは相性がイイよね。いつもより安くハンドを選べて、ポットは簡単に大きくなるからさ。

 

今回はこんなもんかな。今週からは稼働時間を増やして一気に稼いでいきたいね。またね!

【コラム】相手を惑わせ!カジノで嘘のテル(癖)を演出してみた(前編)

 

♤ゼペットおじさんのブラフキャッチ

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「オールイン」

ディーラーにそう告げると、相手は力いっぱい前へチップを押し出しました。

あなたは怪訝そうな表情でじっと彼を見つめます。

 

ほんの些細なものでもいい、何かヒントはないかーー。

彼の発声はいつもより小さかった気がする。それにせわしなく貧乏ゆすりをしている。ひょっとして自信がないのでは?

・・・水を飲んだぞ!水を飲むのはブラフを表す典型的なテル(癖)だ。オールインブラフの緊張は耐えがたい。喉も渇くことだろう。

 

いや、待てよ。

そうだ、「水を飲むのはブラフテル」というのは、そもそも彼が私にした話じゃないか。

もしかすると、彼は自分が吹聴したテルの話を逆手に取ろうとしているのでは?

「ほら、水を飲むのはブラフの証拠だよ」と嘘のメッセージを送っているのでは?

私がこの話を思い出すことを計算に入れて。

 

それとも、テルの話などすっかり頭から抜け落ちていて、たまたま水を手に取ってしまったのか?

それなら彼の胸中は穏やかではないだろう。

なにせ自分の与太話がブラフを見破られる決め手になるのだから・・・。

彼の表情からは何も窺えない。

何か重いものでも背負っているかのように、じっと一点を見つめている。

 

ああ、もう私には何もわからない。

彼はブラフテルをうっかり使ってしまったのか、それとも彼自身の意思で使っているのか、見当もつかない。

どうせ今日はこれで最後にするつもりだった。せっかくだ、コールしてしまおう。

ラストハンドだからと参加してみたら、こんなことに巻き込まれるなんて・・・。

 

あなたはほとんど泣きそうになりながらコールします。

するとテーブルの面々は一斉にため息をつき、「やっとかよ、全く」「こんなの即コールでしょ」「次はクロックするから」と心からあなたを祝福しました。

相手は大きくため息をついてマック。ああ、何という幸運!勇気のコールが実ったのです!

 

「みんな、一体どうして彼がブラフだとわかったんだい?」

ビッグポットをかき集めながら、あなたは訊ねました。

「どうしてだって?」

コオロギのジミニーは知らなかったのか、と言いたげな表情で私をじっと見つめました。

「ヤツの鼻を見なよ。嘘をつくと伸びるんだ。あんたがコールするまでの間、3フィートは伸びっぱなしだったぜ」

あなたは驚いて相手のほうへ顔を向けました。

「ナイスコール、ナイスハンド」

ピノキオがそう苦々しくつぶやくと、彼の鼻はさらに高く伸びていきました。

~Fin~

 

♤これがテルの心理だ!

皆さんはテル(癖)を信じますか?相手のテルを見てアクションを決めたことがありますか?

僕はあまりテルを信じるタイプではないです。だって、ブラフは緊張して喉が渇くといったって、ナッツを持ってるときも水ぐらい飲むでしょう?

僕は最近までそう考えていました。

しかし、色々なプレイヤーと話をしたり、テーブルでの会話を盗み聞きしている中で、面白い発見があったんですね。

  • 自分だけは相手の癖を見抜けると信じている人は意外と多い
  • 大切なのは、よくあるテルのパターンを「知っている」ことではなく、自分が相手の癖を「見抜いてやった」という感覚

この2つです。皆さんも何となく心当たりがあるんじゃないでしょうか。

テル好きな人は必ず「自分が体験したテル話」を一つか二つは持ってます。

昨日、KJoでオープンしたらBTNに大きな3ベットを打たれてさあ

ビッグポットでテーブルが盛り上がったあと、自分から嬉しそうに語ってくれます。

コールしたらフロップがQJ5。相手は少し考えてポットサイズのCB。この微妙な間でピンと来たね。相手はAKだと。オールインを返したらスナップフォールドだったよ

プリフロップでフォールドすべきでは?という疑問は置いといて、たまにこういうプレイヤーいますよね。

僕は今、アメリカでポーカーをしてますけど、みんなほんっとにこういう話が好きです。お国柄なんでしょうか。

それはそうとですね、大事なのは彼の「ピンと来た」という発言なんです。

そう、テルは「ピンと来る」ものなんですね。

間違っても「インターネットにそう書いてあったから」とか「即コールはドローってフィル・ヘルムースが言ってたから」なんて言いません。

あくまでも観察と経験を総動員させて、その場で見抜くものなんですね。

自分だけが見抜いた相手の癖、そして相手はそのことをまだ悟っていない・・・。これをどうして使わずにいられましょうか。だって、相手を手玉に取る絶好のチャンスなんですから。

人は他人から受け取った情報よりも、自分だけが密かに得た情報のほうを信じやすい傾向にあります。

「即コールはドロー」ってネットに書いてあったけど、今回の相手はトップペアでコールしてるのかもしれない・・・ネットの情報を鵜呑みにして損したくない。普通にプレイしよう。

これがまともな人間の心理です。しかし、

この相手は強いハンドなら即ベットしてくるはず。さっきもそうだった。しかし、今の一瞬の間は何だ・・・?ブラフを打つか悩んだのでは?

こういうのはいつまでも頭の片隅に残ります。気になって気になってしょうがないです。背中を押すきっかけになるのは圧倒的に後者のほうでしょう。

ましてやポーカーは心理戦の代名詞(と一般には言われている)ですからね。テルを見抜いた!と思ったら最後、その誘惑に抗うことは難しいでしょう。

これがテルの心理なんじゃないでしょうか。

テルは経験と観察眼、そして一瞬のひらめきによる芸術なのです。 

※と言いつつあまり上手くないプレイヤーのベットサイズテルはしっかり参考にします。

 

♤テルの心理を逆手に取れ!まずは計画を立てよう

このテルの心理をどうにかしてうまく利用することはできないのでしょうか。

嘘のテルを演出し、相手にそれを見抜かせることで、相手に思い通りのアクションをさせることはできないのでしょうか。

今回はここ、アメリカはカリフォルニアの大都市・ロサンゼルスにて実際に実験してみたいと思います。

★ルール★ 

  1. 嘘のテル(テル爆弾)で相手の心理をコントロールし、バリューにコールしてもらったり、ブラフにフォールドしてもらったりする。
  2. テル爆弾を投下すること以外は普通にプレイする。テル爆弾でプレイラインを変えたりはしない。
  3. 恥を捨てる。やばいヤツだと思われてもやり抜く鋼の心で取り組む。
  4. 相手に対するリスペクトを忘れない。

こんなところですかね。

さて、じゃあ実際のところ、どんなテル爆弾にすべきでしょうか。

ここで「あ、相手のあの表情はブラフ読みだな、じゃあ大きめにバリューを打とう」とか考えてたんじゃあ、テル勢と何も変わりません。

今回は心理学の見地に立った合理的なテル爆弾というものをお見せしたいと思います。

 

♤人は第一印象が9割!ハロー効果とは

皆さんはハロー効果(halo effect)をご存じですか?

心理学の用語で、簡単に言えば「相手の第一印象に引っ張られて新しい情報をうまく評価できない状態」を指します。

例えば、初対面でいきなりタメ口で、その場で作ったあだ名で自分のことを呼び、ピノとか雪見だいふくを「1個ちょうだい!」って勝手に食べるヤツがいたとしましょう。

なんやこいつ・・・って思いますよね?僕は思います。

でも実は彼は悪いヤツではなく、仕事はマジメそのもの、高校から付き合ってる彼女との結婚資金を貯めながら、月に一度は地元に帰って親孝行をする好青年なんですね。

なんか理想的すぎて嫌味な感じがしませんか?

あるいは「悪い人じゃないのはわかったけど、自分とは合わないかな~」なんて思ったりしませんか?

これこそがハロー効果なんですね。初対面の印象が強烈すぎて、あとから与えられた情報を正しく評価できないわけです。

 

こんなのはどうでしょう。

小中高は転校が多くてあまり学校に馴染めず、大学でも苦学生で日々バイトばかり。でもご両親と彼女の支えもあって何とか卒業。恩返しにとマジメに働いて実家に仕送りし、さらに結婚資金を貯めてる人がいたとしましょう。

こちらは全く嫌味な感じはしません。立派な人がいたもんだな、幸せに結婚してほしいな、となりますよね。

つまり、ハロー効果は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」なんですね。

実直に仕事をこなし親孝行をすることは、単純に考えれば良いことに決まってます。誰もができることではありません。

でも、第一印象に引っ張られてその良いことが歪んで見えてくるんですね。人間が持つ強力なバイアスの一つです。

 

さて、このハロー効果を何とかしてテル爆弾に使えないもんでしょうか?使えそうですよね。

初対面のテーブルでいきなりビッグブラフを打ち、それをショウしてFooooo!と叫ぶのはどうでしょうか。

テーブルの面々は「うわ、なんだこのブラフ・・・」という第一印象を持つことでしょう。

そしてポットを集めながらイヤホン+音楽で体をリズミカルに揺らすんです。鼻歌も効果的ですね。

つまり、「ビッグブラフが決まったぜ!気持ちいい!」と全身でアピールするんですね。こんなヤツがテーブルにいたら「次はブラフキャッチしてやるぞ、覚悟しろ」ってなもんでしょう。

そのあと、しばらくはおとなしくしておきます。ここが大事です。

そしてしばらく経ったらまたトリプルバレルを打つんですね。もちろん今度はバリューです。

彼らは序盤のブラフイメージに引きずられて、勝手に怪しんでくれるのではないでしょうか。

「こいつはビッグブラフがあるからな。周期的に考えてそろそろブラフだろう。我慢してたみたいだが、そろそろブラフがうずいてきたんだろう?俺にはバレバレだぜ」などと解釈してくれるのではないでしょうか。

冷静に考えればトリプルバレルのブラフなんてライブキャッシュでポンポン打てるわけがないんですが、強烈な第一印象にしておけば、「自分だけが見抜いたヤツのブラフ周期」を脳内で作り出してくれるんじゃないでしょうか。

そうすれば、テル爆弾を投下しないときと比べて、トリプルバレルのバリューにコールしてくれそうですよね!

なんならリブラフでチェックレイズオールインをしてくれるかもしれません!

 

 

それにしても、人をだます計画を立てるのはどうしてこんなに楽しいんでしょうか。

きっと詐欺師もこのワクワクとスリルが仕事のやりがいなんでしょう。『DEATH NOTE』のアイバーもそんなことを言っていました。

ぶっちゃけGTOの座学をしたりRun it Onceの動画を見たりするよりも、テル爆弾のほうがよっぽど楽しいんですよね。困ったことに。

こうなったらこう!相手から見た自分の印象はこう!で、そこでリバーでナッツを引いて・・・とシミュレーションするだけでニヤニヤが止まりません。

しかもGTOなんかよりもダイレクトに時給を上げてくれる可能性がありますから、実利面での期待も高まっています。

 

 

ここまで書いて、1日置いて考え直してみたんですが、結局やってることはひらめきテル星人と一緒なのでは?という気がしてきました。

やれハロー効果だ、やれ合理的だなんだと言いながら、相手の思考パターンを勝手に想像して作り上げて、それに合わせてアクションをしようとしているのでは・・・?

 

 

 

 

よくわからないけどテル爆弾を考えるのは楽しいし実際にやってみたい!

謎理論が完成した!いざ実戦へ!

 (続く)

 

海外カジノ遠征記ロサンゼルス編もよろしくね。

【超上級編】GTO part5 〜実戦で使うGTO ノードロック~

 

ノードロック(Node Locking)とは

前回はGTOをベースにした戦略のうち、混合戦略の調整を取り上げたよ。今回はノードロックについて説明しようかな。

そもそもノードってなんなの?

ノード(Node)ゲームツリー(Game Tree)を描いたときの一つ一つの点のことだよ。ゲームツリーっていうのは下の画像みたいな、ゲームで起こり得る可能性を図にしたものなんだ。

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あ、なんか数学の授業で見た気がする。樹形図だね。

ノードはアクション・ベットサイズなどに応じて無数に分岐していくんだ*1。ポーカーのすべての状態は有限個のノードで表現することができるよ。莫大な数になるけどね。
一方で、あるノードの始点から終点までを辿れば、それはある一つのハンドヒストリーになってるってことだね。

ふむふむ。GTOになってるノードもあれば、めちゃくちゃなプレイになってるノードもあると。どんなプレイをしてもみんなゲームツリーのどれかの1本を辿るんだね。
それでそれで?ノードロックってどういうことなの?

この無数にあるノードの中から、ある特定のアクションやベットサイズのノードにだけに注目してみるんだ。例えば「相手は必ずフロップでCBを打ってくる」とかね。そのノード群(部分ゲーム)の中でのGTOを考えてみよう、というのが今回紹介するノードロックだよ。

例えば、下の画像はベットを100%取るようにノードロックしたものなんだ。上の画像と見比べてごらん。左上のノードのBet頻度が100%になってるでしょ?

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ほんとだ。最初の画像だと7.09%だったのにね。

うん。実は最初の画像はあるスポットでのGTOになってて、最適なベット頻度は7.09%と書いてあったよね。でも、そこであえて100%ベットするようなノードに分岐させてみると、そこから本来のGTOにはない新たなゲームツリーが拓けてくるんだ。
つまり、GTOから逸脱したノードに注目して、その部分ゲームでのGTOを改めて見てみよう!というのがノードロックなんだ。

うーむ?GTOじゃないプレイのノードに注目して、そこでまたGTOを・・・。よくわかんないなあ。それをやると何がうれしいのか、いまいちピンと来ないや。

OK、じゃあ次の章でGTO+を使って実際にノードロックをやってみようか*2。そうすればノードロックのメリットもすぐわかると思うよ。

はーい。

 

ノードロックで合理的なエクスプロイト戦略を探る

さて、今回はこういうシチュエーションのノードロックを考えてみようかな。

  • HJ vs BB, 3bet Pot
  • Starting Pot=205, Effective Stack=900
  • Rake 5%
  • フロップ:986
  • ベット・レイズサイズは50%に固定

HJがオープンしてBBが3ベット。HJはそれにコール。HJのコールレンジはこんなのを今回は想定してるよ(8%)。

 

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BBの3ベットレンジはコレ(7%)。

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さて、まずはフロップ(986)でのお互いのGTOを見てみようか。
BBはレンジの大部分でチェック。

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思ったよりたくさんチェックするんだね。オーバーペアとか強そうなハンドを持ってるのに。

お互いのレンジのエクイティを見てみよう。BBが47.38%に対してHJは52.62%。つまり、このフロップはBBにとって不利なボードで、反対にHJにとっては有利なボードってことなんだ。こういう場合、エクイティの低いBBは高頻度でチェックしがちだよ。

BBのチェックに対して、HJはやはり高頻度でベットするみたいだね。

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低頻度だけどBBがベットしときは、HJはセット、ツーペアなんかの強いハンドと、バックドアストレートつきのフラッシュドローやOESDつきのワンペアなんかをブラフとしてレイズに回してるよ。もちろん混合戦略だけどね。

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ここまでがお互いのGTOだね。
BBは純粋戦略でチェックするハンドが多いってことを覚えておいてね。

キーワードなんかな、了解。

さてさて、ここからがノードロックだよ。
BBのプリフロップの3ベットレンジ・アクションはGTOから大きく外れていないけど、彼はフロップでCBを打ちすぎなんだ。特に「不利なボードでも高頻度でCBを打ちがち」というリークがあることがわかってると。つまり、GTOから外れてしまってるんだね。

うーん。私も「フロップでオーバーペアだ!強い!」ってベットしちゃうかな。

※注:【中級編】ポストフロップの戦い方シリーズとGTOの違い*3

本当はレンジの90%以上でチェックすべきところを、BBはすべてのペア、ドローでベットするんだ。今回はそう仮定してみるね。GTO+のノードロック機能を使って、チェックすべきハンドを強制的にベットに変えてと。*4

さて、これでGTOにはないアクションのゲームツリーができたよ。この状態でさらにGTOを計算してみよう。いざノードロック!

GTOにはない世界線へ・・・!

解析完了。改めて出てきたこの結果が「BBが常にペアとドローでCBを打つような場合のGTO」だよ。まずはBBのGTO(ノードロック済)から。

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特筆すべきはEVだね。左下の欄を見てみて。ノードロックする前のGTOと比べて、EVが大幅に下がってるよ。

ほんとだね。どうしてなの?

本来のGTOでは純粋戦略でチェックすべきところをベットしてしまっているからだよ。純粋戦略になっているハンドは、そのアクションの期待値がほかのアクションと比べて高いんだったよね。つまり、そもそもベットするよりもチェックのほうが期待値が高かったはずなのに、無理にベットしてるから、そのぶん損しているんだ。

なーるほど。純粋戦略をミスしたら損するって前々回も言ってたもんね。そういうことなんだ。

さて、お次はHJのGTO(ノードロック済)。BBがベットしてきたとき、こんな戦略を使うみたいだよ。

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めっちゃレイズするんだね!31.7%も!

セット、ツーペアのような強いハンドと、JTs、65s、ダイヤのフラッシュドローなんかの当たるとデカいセミブラフを使ってレイズをしているね。高頻度なのはレンジ全体のエクイティがBBと比べて高いことが関係してるよ。

次はBBがチェックしたときのHJのGTO(ノードロック済)。全レンジでベットだよ。

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ベット100%!どうしてこんなにアグレッシブにプレイするの?6のペアとか、マージナルなハンドもあるのに・・・。

BBはすべてのペアやドローでベットするんだ。ってことは、チェックしたBBのレンジにはペアもドローもないんだよ。もともとエクイティが低いBBのレンジが、チェックすることでさらに弱くなっているんだね。だからHJは全レンジでベットすることができると考えられるよ。

そっか・・・ペアかドローがあればベットする人がチェックしたんだもんね。弱いレンジしか持ってないぞ!ってHJにバレちゃうんだ。

そういうこと。逆に言えば、ノードロックする前のGTOのベット頻度が低いのは、オーバーペアなんかをベットレンジに入れてしまうとチェックレンジが弱くなりすぎてしまって、チェックしたときに簡単にHJから攻撃されてしまうから、とも言えるね。

ふーむ。なんとなくノードロックのイメージはつかめたよ。でも、まだなんかフワフワしてるなあ。結局私たちは今、何をしたんだろ?

OK、じゃあノードロックについて一旦まとめをしようかな。

 

ノードロックって結局どういうこと?:GTOの特徴(6)

  1. ノードロックとは、純粋戦略でないアクションを取ったり、混合戦略の頻度を無視したり、あるいはベットサイズを1種類にするなどして、プリフロップから計算したGTO(ゲーム全体のGTO)ではないゲームツリーに注目し、そうした部分的な状況(部分ゲーム)でのGTOを改めて計算すること。
  2. ノードロック機能によって得られたGTOは、「相手はノードロックで指定したようなアクションを常に取る」と仮定した場合の、お互いがそれ以上エクスプロイトされないような戦略の組み合わせになっている。
  3. ゲーム全体のGTOと比べて、ノードロックのGTOはレンジ全体のEVが下がる。
  4. ノードロックのGTOは相手のリークを突き、EVを上げるようなカウンター戦略として参考にすることができる。ただし、これはあくまでも相手のリークを固定した場合の自分のGTOであるので、相手を最大限エクスプロイトする(EVが最大になる)ような戦略であるとは限らない。

ふーん。ノードロックは「相手はこういうプレイをするはず!」って仮定したときのGTOを計算してるんだね。

簡単に言うとそういうことだね。相手のプレイはGTOからどのくらい乖離しているか(リーク)を特定して、そのリークをエクスプロイトする戦略を探ることができるんだ。

 

改めてGTOとエクスプロイトについて

ところで「相手のミスを突くことで自分の期待値を上げること」をエクスプロイトというけど、それと似た言葉で「アジャスト」という言葉もあるよね。

あったあった!中級編でやったやつね。相手のプレイスタイルに対応して、より有利なプレイスタイルで戦うことでしょ?

そう。中級編のこの記事で紹介したのは「簡易的アジャスト」と「GTO的アジャスト」だったね。そして「GTO的アジャスト」というのが、まさに今回と前回で紹介した「混合戦略の調節」「ノードロック」だったんだ。GTOには適正な頻度・アクション・ベットサイズがあって、相手のプレイがそれからどのくらいズレているかをまずは観察(リークの特定)。そしてそれに対する混合戦略の調整やノードロックのGTOを使ってみるんだね。

なーるほど。ねえ、じゃあ「簡易的アジャスト」のほうはGTO的にはどうなの?

それはケースバイケースだと思うよ。簡易的アジャストはGTOをベースにした戦略(混合戦略の調節やノードロックなど)になってる場合もあれば、GTOから大幅に外れた戦略になってることもあるだろうね。

例えば、ベット頻度が適正よりも高いLAGに対してレイズするアジャストがあるよね。それこそ今回のBB vs HJみたいな場合だけど、それはノードロックのGTOにそのままなってることも大いにあると思うよ。

でも、一方で例えばコーリングステーションに対してシンバリューベットを打ったり、彼のレイズに対してナッツブロッカーつきのツーペアでフォールドすることもあるよね。そういう読みに基づいたアジャストはGTOから大幅に外れてるだろうから、やっぱり簡易的アジャストとGTOが重なることもあれば、大幅にズレてることもあって、結局時と場合によるんじゃないかな。

ふーむ。ケースバイケースで柔軟に戦略を選ぶことが大事なんだね。

そのとおりだね。時にGTO的なプレイをしつつ、時にGTOから外れて相手から大きなEVを稼ぐ。場況を読みつつそういうプレイができれば理想だと思うよ。

 

GTOマップ

これまでにたくさんのGTOに関連した戦略が出てきたね。part3ではプリフロップから計算したGTOを実戦で使う意味について触れたし、part4では混合戦略の頻度をあえて無視した戦略を紹介したよ。そして今回はノードロックだったね。

いっぱいすぎて頭の整理が追いつかないよ。

最後に、GTOに関連した戦略の簡単なマップを紹介しておこうかな。

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縦軸の「精度」はその戦略の搾取可能性、つまりエクスプロイトされにくい戦略ほど上部に位置するよ。横軸の「有効範囲」は戦略の対象となるゲームの範囲のことで、例えばプリフロップからターンまではGTOから外れた戦略を使って、リバーだけGTOを使うような場合は「有効範囲」が狭いというわけだね。あと、ノードロックは限られたアクション・ベットサイズに注目してGTOを再計算したものだから、これもそういう意味で「有効範囲」が狭いということなんだ。

ふーむ。一番上の「完全なGTO解」ってのは?

これは数学的な理論値のこと。SOLVERなんかのGTO計算機ではどうしても誤差が出るからね。ま、あまり気にしなくていいよ。

混合戦略の調節が「なんちゃってGTO」だって。これはどういうことなのさ?

前回も説明したとおり、混合戦略の頻度を無視した戦略は厳密にはGTOではないんだ。混合戦略でベットになってるからといって常にベットしてたら、すぐにCB率が80%とかになって、相手からカウンター戦略を食らっちゃうよ。だから、そういう注意の意味も込めて「GTOとは似て非なるもの」という名前にしたのさ。

ふむ、なるほどね。

ちなみに、GTOに関連した戦略を「エクスプロイトのされやすさ」で並べると、こんな感じになるよ。

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さて、今回でGTOの概論シリーズはおしまい。できるだけ数式を使わず、身近な例を挙げながらGTOを説明してみたけど、どうだったかな。このシリーズがGTO学習のきっかけになることを願ってるよ。じゃあまた別の記事で!

 

*1:それぞれのアクション・ベットサイズを一般的にStrategy(戦略)と呼びます。ゲームツリーはノード(Strategy)をエッジで結ぶことで一定の範囲のゲームを可視化したものです。

*2:ゲームツリーを実際に見ながらノードロックができるので、記事のテーマに合わせて今回はPioSOLVERではなくGTO+を採用しました。もちろんノードロック機能はSOLVERにも備わっています。

*3:中級編のこのシリーズで紹介した自分のハンドの強さを測る方法だと、BBはフロップのオーバーペアでベットできそうです。しかし、そうしたエクイティをもとにしてアクションを決めるやり方は非常に上手いプレイヤーに対してはあまり機能せず、何らかのカウンター戦略によってBBはエクスプロイトされてしまいます。なぜなら、BBのGTOはほとんどのハンドでチェックを推奨しており、オーバーペアのベットはGTOから逸脱しているからです。では、具体的にどのようなカウンター戦略でBBをエクスプロイトすべきか?というのがこの章の内容です。もちろん相手がGTOから大きく逸脱しているような場合、つまり非常に上手いとは言えない場合は、BBはオーバーペアでベットしても問題ありません。例えばライブキャッシュなどでは十分機能します。

*4:画面左下のLock+edit decisionのボタンを押したあと、画面中央のレンジ表のハンドを直接クリックすることでアクションを上書きできます。アクションの上書きが完了したら改めてRUN SOLVERを押すと完了。

海外カジノ遠征記 ~ロサンゼルスその2・快晴のLA~

 

Beautiful Sunny Day

ロサンゼルスはここのところ雨模様だったけど、ようやくきれいな快晴になったよ。

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徒歩圏内に大きなスーパーマーケットがあるんだ。天気が良いから買い出しにいこうか。

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一本道をずっと歩いていく。何となく木の電信柱にノスタルジーを感じるなあ。

Country Road~♪ Take me home~♪ 空が広く見えるね。気持ちいい。

ほんとだよね。日本よりも建物が低いからかな。

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広いッ!それにお肉やサーモンの塊がキロ売り!

アメリカは何もかもがデカイよね。あ、ケーキとドーナツがあるよ。

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Oh my God...すごい色してる。しかもメチャクチャ甘いんだろうな。

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こっちはヨーグルト。健康のために無糖ヨーグルトと果物を毎朝食べることにしたよ。

野菜と果物、たまご、パスタ、肉を少々買って終了。さて、カジノに向かおうか。

 

今日のCommerce飯(1)

commerceでプレイすると、1時間に1ドルのフードコンプ・ポイントが貯まるんだ(レートが5/5の場合)。カジノ内での食事に使えるよ。

食事ってどんなものがあるの?

フードサービスさんに頼めばメニューを渡してくれるよ。こんな感じ。

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まあ色々あるけど、基本はステーキかアジアン系だね。今回はBeef Bulgogiを注文したよ。

牛肉のプルコギ?美味しそうじゃん!

Beef Bulgogi(11ドル)

★★★☆☆

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甘辛いタレの牛肉炒めとライスのセットだよ。お味はそこそこいけるかな。見た目ほど味付けは濃くないけど、とにかく肉の量がハンパじゃないんだ。ご飯はお茶碗一杯分くらいだけど、肉は牛丼チェーンの特盛より多いよ。

ガッツリ系なんだね。サイドについてる赤いやつは何なの?

上の小鉢はキムチ。左のは激辛タレだよ。味に飽きてきたときにあると嬉しいヤツだね。ちなみに上に乗ってるのはパクチー。僕はパクチーが苦手だからキツかった・・・。

香草系は好みが分かれるよね。

何とか完食。お腹がすいてて、ご飯ものが食べたいときにはちょうどいいメニューかもね。

 

今日までの収支・ハンドレビュー

序盤はバッドビートが続いてキツかったけど、少しずつ盛り返してきたよ。

 

今日までの収支:$497.00

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まあ、ぼちぼちだね。

いくつかハンドレビューしてみようかな。まずはコレ。BTNのAcQsが僕だよ。

 

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※タップorクリックでgifが再生されます

プリフロップ

相手は超ルースなプレイヤーばかり。彼らのリンプインや2betに対してAQoは強力で、しかもIPが確定してるからね。3ベットを打つのにいいスポットだと判断したよ。

彼らのレンジはタイプやシチュエーションごとに、あらかじめ仮想レンジをいくつか作ってあるんだ。

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コレ↑が僕の3ベットにブラインドからコールするレンジ。

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コレ↑が2ベットしたあとに僕の3ベットにコールするレンジ。

めっちゃ広いなあ・・・。ブラインドから3ベットにコールするなんてやめてほしいね。

彼らはそのときの気分で参加したりしなかったりするから、実際はさらに広いこともあると思うよ。まあ、平均するとこんなもんじゃないかな。

フロップ

フロップでTPTKを手に入れたけど、すごくウェットなボードだから、相手はツーペア・ストレート・セットなんかのAQoよりも強いハンドを持っている可能性はあるね。

うう~怖いなあ。

でも、相手のレンジの大半はハイカード・ワンペア・ドロー系なんだ。フロップでの僕のAQoの勝率はこんな感じだよ。

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38%かあ。50%を下回っちゃうんだね。

でも、3wayだから十分なエクイティだよ。ベットサイズは大きめがいいかな。相手にはドローが多いし、ターンで落ちてほしくないカードがすごく多いからね。
こういうときは1/3potではなくて、相手のエクイティを実現させないために大きくCBを打つべきだと思うよ。特に適切よりも広いレンジを持ってるコーリングステーションに対してはね。

ふむ、それで相手は2人ともコールしましたと。

両方がコールするのは予想外だったけど、でもチェックレイズされなかったのは朗報だよ。彼らのプレイスタイル的に、この状況でツーペアよりも強いハンドを持ってたらほぼ間違いなくチェックレイズかドンクベットを打つだろうからね。どちらもなかったってことは、僕がベストハンドを持ってる可能性が高くなったよ。

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コレ↑がBBがフロップCBにコールするレンジ。緑のハンドはダイヤのスーテッドだけのコンボだよ。

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コレ↑がCOがフロップCBにコールするレンジ。どちらもレンジもワンペア、ダイヤのフラッシュドロー、OESDなんかがボリューム層になってるよ。

ターン

ターンの6は相手のレンジの87sにストレートを与えるけど、ほかのハンドについてはほとんど改善されないよ。つまり、フロップで僕のAQoがベストハンドなら、ターンでもベストハンドの可能性が高いんじゃないかな。

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コレがターンでのエクイティ。

オールインの額がポットに対して小さいから緊張したけど、フォールドしてくれてほっとしたよ。大きなポットでバットビートは引きたくないからね。

ふむふむ。ちなみにさあ、ターンでJとかダイヤが落ちたらどうするの?

K、J、ダイヤなんかは相手のレンジを強くし過ぎるから、ドンクオールインに対してはフォールド、チェックで回ったら僕もチェックすると思うよ。

 

もう一つハンドレビューをしてみようか。レビューっていうか、ただのバットビートなんだけどね。SBのKKが僕だよ。

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うわあ・・・。何じゃこりゃ。

これがライブキャッシュの実態だよ。現代社会の闇だね。
あ、そうそう。相手はターンでコールされて意気消沈してたけど、リバーがQで"I knew it, huh!(だと思ったぜ!)"といきなり豹変して面白かったなあ。ははは・・・。

もう苦笑いしか出ないね。

本当だよ。まあ愚痴は置いといて、僕のプレイが正しいかどうかだけど、相手のプレイスタイルによって大きく左右されるのは間違いないだろうね。

だって、意味がわかんないもん。一体どうしてトップヒットでレイズするの?どうしてミニマムレイズなの?そもそも、どうしてQ3oで3ベットにコールするの?

うん、正直それは本人にしかわからないだろうね。でも、こういう超アグレッシブなプレイヤーに対してはフロップCBのサイズ、x/cのアクションラインは特に問題ないんじゃないかな。

相手が超アグレッシブじゃないときはどうなの?

どうなんだろうね。例えばポストフロップのアグレッション(ベット・レイズの頻度)が低いプレイヤーならどうだろう。彼のフロップミニマムレイズはかなり怪しいオーラを放ってるよね。

うん・・・。普段はおとなしい人がいきなりテーブルをキツめに叩いたぐらいの緊張感があるね。

アグレッションが低いプレイヤーは例えばQのペアやJJなんかで滅多にレイズしないはずだからね。例えば7のトリップスやもしかしたらQQのフルハウスで、僕のAAやKKをスタックしてしまおうとしてるんじゃないか・・・とか考えちゃうよ。

ミニマムだから、相手をフォールドさせようとしてないのが逆に怖いよね。

そうそう。でもね、そうはいってもよっぽどの読みがないと、基本的にフロップでこれをフォールドすることはないかな。ターンのオールイン要求はともかくとしてね。

 

さて、今回はこんなもんかな。次回はcommerceから少し足を伸ばして、別のカジノにも行ってみようと思うよ。

【超上級編】GTO part4 〜実戦で使うGTO 混合戦略の調節〜

 

実戦でのGTOのバリエーション

前回は「相手がGTOでないときに自分がGTOを使う」の概論を話してみたよ。今回はさらに実戦的な話をしようかな。

ほほう、というと?

前回の話はね、「プリフロップから計算したGTO(ゲーム全体のGTO)をあらゆる状況で使う」というのが前提だったんだ。でも、実戦ではそういう汎用性の高いGTOをずーっと使うわけでもないんだ。

例えばね、相手のフロップでのベット頻度がGTOよりも高いのなら、自分のコール・フォールドの混合戦略になっているハンドの一部を、常にコールに回したほうが利益が出るかもしれないよ(混合戦略の調節)。

ふむふむ。

こういうケースはどうかな。プリフロップ、フロップ、ターンでの相手のリークがわかっていて、そこをエクスプロイトするためにGTOから外れたレンジ・戦略を使いましたと。でも、リバーでの相手のリークがよくわからない=リバーでのエクスプロイト戦略がわからなくなってしまったんだ。そんなときはお互いのレンジを想定した上で、リバーだけのGTOを考えてみれば、最低限保証された期待値が確保できるよね(部分ゲームのGTO*1

ふーん。GTOからちょっと外れてみたり、やばいわからん!ってなったら襟を正してGTOに戻ったり・・・柔軟さが大事ってことなんかな。

そういうことだね。相手のスタッツ人口平均が取る戦略のデータを見たり、あるいはブロッカーを考慮したりして、「じゃあ今回は混合戦略のうち、このアクションを選択しよう」「この人はもっとエクスプロイトできそうだ、GTOから大きく外れてみよう」と判断するわけだね。そうして期待値を高くしていくのさ。

ふーむ。GTOっつってもいろいろあるんだね。ねえ、いつ、どんな戦略を使えばいいのか教えてよ。

そうだね、GTOをベースにした戦略をすべて網羅するのはさすがに無理だけど、いくつかピックアップすることはできるかな。

紹介するGTOのバリエーションは上の二つだよ。

  • 混合戦略の調節
  • ノードロック
  • 汎用性の高いGTOをそのまま使う(前回解説)

今回は最初の「混合戦略の調節」を説明していくね。

 

混合戦略の調節とは?

特にお互いのレンジが広い場合(2ベットポットなど)、GTOはレンジの大部分で混合戦略を採用するんだ。これまでに説明したように、混合戦略はアクションの期待値が一緒だったよね。

うん。期待値が一緒だから、どっちを選んでもいいんでしょ?

そう、基本的にはそれで問題はないんだ。でも、相手のスタッツやブロッカーなど、いろんな要素を考慮することで、混合戦略になっているアクションをあえて一つに常に固定することが可能だよ。

具体例があったほうがわかりやすいよね。例えば、こんなケースはどうかな。

  • HJ vs BB 2betPot(HJ 2.25bb open, BB call)
  • フロップ:QhJd4s
  • 簡単のため、ベットサイズ&レイズサイズは50%Potに統一(ターン以降のAll inはあり)
  • スタックはお互い100bbでスタート、レーキは無視
  • BBはプリフロップでは適切にディフェンスするが、ポストフロップではターンCBにフォールドしすぎというリークがある

HJのオープンレンジ(20%)はこれ。

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BBのディフェンスレンジ(30%)はこれを今回は設定してみたよ。

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さっそくフロップのGTOを見てみようか。
BBがチェックして、HJの戦略がこれ。

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確かに、ほとんどが混合戦略になってるね。

今回はHJのレンジのうちの特定のハンド、KToに注目してみようか。HJはKToでフロップCBを打ったんだ。そのベットに対するBBの戦略がこれ。

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ふむふむ。BBのハンドはどうするの?

今回はHJ視点で考えてるからBBのハンドは不明。このレンジのままだね。それでBBはCBにコールしましたと。

ターンはQだったよ。ターンでのBBは全レンジでチェック。

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BBチェックに対するHJの戦略はこうなってるよ。

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ふむ、KToはベット優勢ではあるけど、混合戦略のままだね。ベット・チェックのどちらでもいいのか。

でもね、BBはターンCBにフォールドしすぎというリークがあるんだ。だから、ここでは混合戦略のうち、ベットを選ぶことでより高い期待値が得られると考えられるよ。

あれ?でも、混合戦略だからチェック・ベットの期待値は一緒なんじゃない?

前回も説明したけど、このHJのGTOは「超うまい相手がGTOに基づいてプレイしているとき」のものだからね。つまり、相手にリークは存在しなくて、逆に相手は自分を最大限搾取しようとしてくるというのが前提にあるんだ。

あ、そっか。前回そんな話をしてたね。超うまい相手に立ち向かうために混合戦略があるんだっけ。

そうそう。混合戦略ってのは相手が超うまいプレイヤーのときだけの話で、絶妙なバランスで成立してるんだ。だから、相手がそこから少しでも外れてしまうと、混合戦略になってるアクションは期待値に差が生まれてしまうんだね。

でも、このBBは「GTOを基準に考えるとターンCBに降りすぎ」、つまりリークを抱えてるんだね。BBはGTOが想定している相手と違うんだね。そんなとき、自分はどうプレイすればいいのかな?前回紹介した方法は「こちらは戦略を変えず、GTOをプレイする」だったね。そうすると何がうれしいんだっけ?

えっと、相手がGTOじゃないときに自分がGTOをプレイするんだよね・・・。相手が純粋戦略を間違えたら期待値が上がるし、自分は搾取される心配がないって話だったっけか。

そのとおり!そういう「守りのGTO」が前回の内容だったんだ。今回はそこから一歩進んで、相手のリークを突くために攻めに転じる戦略を紹介してるんだ。

その「攻めのGTO」がターンでベットするってこと?

混合戦略の頻度を100%にしてしまってるから、厳密にはGTOじゃないんだけどね。BBはターンCBに対してEVを失いがちだから、自らGTOから外れて常にベットを選択しようってことなんだ。これが混合戦略の調節さ。

 

混合戦略とブロッカー

ふーむ、なるほど。相手のスタッツやプレイスタイルを観察して、GTOの混合戦略をどれか一つに固定してみるんだね。

混合戦略の決め手はほかにもブロッカーがあるよ。これはターンのHJのGTO。右下の欄を見てごらん。

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12パターンのKToがあるね。あれ?オフスートなのに頻度や期待値がちょっとずつ違う・・・。一体どうしてなの?

これはKTブロッカーとして機能しているからだよ。ターンCBにBBがコールやレイズをするレンジにはダイヤのフラッシュドローがあるはずだよね。でも、例えばKTKTはBBのコール・レイズレンジに必要なKTを自分で消費しているから、そのぶんBBはターンCBに対してコール・レイズをするコンボ数が減ってるはずなんだ。

ほえー、そんなことまで考えるんだね。

ということは、KTを持つKToは、持たないKToと比べて高頻度でターンブラフCBを打つことになるし、期待値も高くなってるんだね。これがブロッカーによる混合戦略の調節の一例だよ。

 

神はサイコロを振らない

私、混合戦略のベット○○%とかってサイコロを振って決めるのかな?って思ってたけど、そうじゃないんだね。

うん、乱数表を使ったり時計の秒針を見たり、いろんな方法で頻度を再現しようとする人もいるけど、それはあまり必要ないと僕は考えてるよ。それよりも相手のスタッツやブロッカーを考慮した混合戦略のアクションの決め方を研究するほうが大事なんじゃないかな。

ところでさあ、混合戦略の頻度を無視したせいで相手からエクスプロイトされることってあるの?

特定の一つのハンドでの頻度無視はまず相手にバレないと思うよ。「あ!この人はQJ6rのボードでKToのときにベット率が高すぎる!」って、わかるわけがないからね。

なるほど、そりゃそうか。

ただし、混合戦略になってるハンドの大部分で頻度を無視ちゃうと、全体のスタッツが大幅に偏ってしまって、エクスプロイトされるきっかけになることはあるかもね。例えば、混合戦略のベット・チェックのすべてをベットにしちゃって、それをずーっと繰り返してると、相手にHUDに表示されるCB率が95%とかになっちゃうからね。

なるほど、「あ!この人はGTOじゃないぞ!CB率が適正と比べて高すぎる!」ってバレちゃうんだね。

そういうことだね。相手のHUDに自分のスタッツがどう表示されてるのか、わかればこちらもエクスプロイトし返せるんだけど、もちろんそうはいかないからね。GTOから外れるときは多少のリスクはあるってことさ。

 

今回のまとめ:GTOの特徴(5)

さて、今回は実戦で使うGTOのうち、「混合戦略の調節」について話したよ。最後にまとめておくね。

  1. 実戦では、汎用性の高いGTOを常にそのまま使うだけでなく、状況によってはよりEVの高い戦略を選ぶことができる(GTOからの逸脱
  2. GTOから逸脱する動機はさまざまだが、主には相手のスタッツブロッカー(Removal Effect)・人口平均のリーク抽出などがある
  3. GTOから逸脱した戦略はさまざまだが、ここでは主に混合戦略の調節ノードロックについて取り上げる

 

次回はノードロックについて取り上げてみるよ。海外カジノ遠征記・ロサンゼルス編もよろしくね。おつかれさまでした!

 

 

 

*1:そもそもSOLVER等のアルゴリズムによって得られたGTOは、ベットサイズの選択肢が理論上のものよりも少なく、また数学的に完全なGTOではありません。そのため、われわれが手にすることができるGTOというもの(SOLVERの計算結果・プリフロップソリューションなど)は、ある意味ではすべて「部分ゲーム」であるとも言えます。この記事では、プリフロップから計算したGTO、つまりプリフロップソリューションやそれに従って計算したプリフロップからリバーまでのGTOを「ゲーム全体のGTO」と呼び、それに対して特定のストリートに限定したり、ノードロックによって得られたGTOを「部分ゲームのGTO」と呼ぶことにします。GTOの対象となるストリートやゲームツリーに注目し、その適用範囲に応じて「部分」「全体」を使い分けているということでご了承ください。どこまでが「部分」あるいは「全体」なのかといった厳密な定義はしていませんが、あくまでも「部分」は「全体」に比べて少ないゲームツリーを対象範囲としている、といった相対的な話として理解していただければと思います。

海外カジノ遠征記 ~ロサンゼルスその1・渡航&カジノ視察~

3月上旬からカリフォルニア州・ロサンゼルスに来ています。今回はCommerce Casinoでキャッシュゲーム(ホールデム)をプレイするよ。

U!S!A!

まずは今回の遠征を渡航から振り返ってみるね。

 

渡航の準備~航空券・ビザ~

アメリカは今回が初めて。渡航、宿泊、移動、治安…未知の世界だったから念入りに調べたよ。

まず航空券だけど、渡航の1ヶ月間半前に往復で7万円の格安チケットを押さえたんだ。

安ッ!JALとかだと片道10万はするのに。

バカンスならビジネスクラスで行きたいところだけどね。今回はポーカーで稼ぎに行ってるもんだから、ストイックに節約したよ。

お次はビザ関係だね。アメリカはビザ免除対象者に対してESTAの審査を義務づけてるんだ。インターネットで事前に申請しておく必要があるよ。じゃないと入国できないからね。

※申請費用(14ドル)の支払いにはクレジットカードかデビットカードが必要です

esta.cbp.dhs.gov

 

渡航の準備~持ち込み制限・免税~

入国先によっては持ち込みに制限があるものや、持ち込めるけど税金がかかるものがあるよね。アメリカの場合はこうなってるよ。

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※引用元:https://www.jal.co.jp/tabi/info/toshi/ame/us/index.html

食料品は特に要注意だと思うな。肉製品や肉エキスを含むものは一切持ち込み禁止なんだ。だからインスタント食品はほとんどダメ。

魚系なら大丈夫なの?

うん。僕は麺つゆとか醤油とかタラコソースとか大量に持ち込んで、入国審査で申告したけど問題なかったんだ。入国審査のおばちゃんに「寿司を作るつもり?」って笑われたよ。

あ、本場のカリフォルニア・ロール食べたいかも。

リトル・トーキョーには美味しいお寿司屋さんがあるみたいだね。でも、あのあたりはダウンタウンで治安が良くないんだよね…。僕は小心者だから今回はやめとくつもり。

 

渡航の準備~宿泊先・uber~

宿泊先は前回のマニラに引き続きAirbnb。同行者が安くてスーパーマーケットが近いところを押さえてくれたんだ。

www.airbnb.jp

一泊おいくらなの?

人数で割って、さらに長期滞在の割引を利かせて、衝撃の一泊12ドル!

安ッ!

やっぱり海外は仲間と一緒にAirbnb。これで決まりだよ。一泊100ドルのホテルでも、そこまでクオリティは変わらないんじゃないかな。日本みたいにキレイな部屋でちゃんとお湯が出るとも限らないし。

カジノまではどうやって行くの?

宿からcommerceまで徒歩で1時間ちょっとだけど、基本はuberPOOLだね。これも乗り合いだから人数で割って、片道5ドルくらいだよ。

https://www.uber.com/jp/ja/ride/

徹底的に経費を抑えていくんだね。

今回プレイするレートは5/5か5/10だからね。もっと上のレートでプレイする人はちょっと良いホテルに泊まったり、バカンスを楽しみながらカジノに通うのかも。庶民の僕は身の丈に合った幸せで十分なのさ。

よーし、私はいつかファーストクラスで50/100を打ちにいくぞ~!

 

Commerceは世界最大級のポーカールーム!

commerceには世界最大級のポーカールームがあるんだ。テーブル数はなんと120以上!

すごい!ポーカープレイヤーのメッカだね!

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いつ行っても大体テーブルが立ってるし、ウェイティングもそんなに待たされないからスムーズにプレイできるよ。あと、commerceのページからはテーブル稼働状況が確認できるから、目当てのゲームが立ってるのを確認してから向かうこともできるんだ。

スマホからテーブル状況が確認できるのか。こりゃ便利だね。

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ハイレートテーブルには有名なプレイヤーもちらほらいるよ。よく動画で見る面々を生で見ることができるのも魅力だね。

誰か有名な人はいた?

ハイレートキャッシュ配信 "Live at the bike!"のレギュラーのAndyがいたよ。とんでもない高さまでチップを積み上げててカッコよかったなあ。

www.youtube.com

(カラーアップしないのかな...)

あとはプロのフィル・ラークもいたね。同行者の一人はbrust up(負けて怒り出す)でおなじみのフィル・ヘルムースを見たとか。

へえー、有名どころが集まってるんだね。

commerceはアメリカのポーカールームの老舗なんだ。トッププレイヤーも駆け出しの頃はここでバンクロールを作ったのかもしれないね。みんなに愛されてるカジノなんだなと感じたよ。

 

Commerceでメンバーシップカードを作ろう

commerceでポーカーをプレイするためにはメンバーシップカードが必要だよ。カードを作るためにはパスポートが必要だから、忘れずに持っていこう。

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なんかポイントが貯まるとかはあるのかな?

うん、1時間プレイするごとにポイントがたまって、ポイントを使えばカジノ内での飲食に充てられるよ。ポイントの貯まり方はテーブルのレートによって違うけど、僕がプレイする5/5だと、1時間に1ドル貯まるんだ。

じゃあ、1日7時間くらいプレイするとちょうど1食は食べられるね。

そうだね。新しいテーブルに着席したらメンバーシップカードをディーラーさんに渡そう。そうしないとポイントがつかないから注意してね。

ちなみにこれはcommerceにあるスタバで頼んだAll Beef Hotdog(5ドル)。大量のポテトがついてくるところがアメリカらしいね。

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そういえば、commerceはデポジット(預金)ってできるの?

できるよ。カジノに預けておけば、そこからチップにしてプレイして、勝ち分をまた預けて・・・ってことが可能だね。いちいち大金を持ち歩くのはリスクがあるからね。メンバーシップカードを作ったついでにバンクロールをデポジットしておくのをおすすめするよ。

どこに行けばデポジットできるの?

キャッシャーに行ってその旨を伝えればいいよ。デポジットの申し込み用紙に必要事項を記入して提出するだけ。これもパスポートが必要だから気をつけてね。それと、デポジットしたら必ずレシートをもらえるから、それを見れば自分の預金額を確認できんだ。

 

さて、今回は渡航からcommerceの紹介まで。次回は5/5をプレイしてみようと思うよ。またね!

 

おまけ~中国でのトランジットの話~

今回は航空券をケチったせいで中国経由・片道22時間の長旅だったよ。いや~しんどかった。次回は絶対に国内からの直通便に乗ろうと決心したね。

22時間って確かに長いけど、そんなにキツかったの?寝てりゃいいじゃん。

ついつい機内映画を2本も見ちゃって、あんまり熟睡できなかったんだ。乱気流で揺れる機内で見る『インターステラー』は格別だったよ。ワームホールに突入するシーンはまるで4D映画だったなあ。

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夜更かしした自分のせいかよ!

まあまあ。でもね、イイこともあったんだ。今回の中継地点・広州白雲国際空港なんだけどね、空港はキレイでサービスもよかったし、お店の人も優しかったよ。

へえー。中国は初めてだったの?

うん。トランジットだから入国はしなかったけどね。ラウンジで休もうとしたら「空港のメンバーシップじゃないとラウンジは使えない」って言われてさ、しかも中国だからGoogleもSNSも使えないでしょ?4時間もどこで何して過ごそう…って呆然としてたんだ。

そっか、Wi-FiはあってもGoogleやTwitterが使えないんじゃ、意味ないもんね。

そしたらコーヒーショップのお姉さんが「空いてるからコーヒー1杯でずっといていいよ」って声をかけてくれてね。しばらくそこでゆっくりさせてもらったんだ。

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へえー。いいお話。

僕みたいなラウンジ難民を見慣れてるのかもしれないけどね。でもそれからも頻繁に声をかけてくれたり、なんか豆菓子みたいなのをくれたりしたよ。

それでね、だんだんお腹が空いてきて、せっかくだから中国らしいものでも食べようかということで、飲食店を探し始めたんだ。それでたどり着いたのがココ。名前は何て読むんだろう?1階のFlight Informationから向かって右に進んだところにあるこのお店だよ。

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あ、「拉麺」って書いてある気がする!

うん、ここで食べた本場の拉麺が美味しかったんだ。こんな感じ。

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おおー!なんかわからんけど本格的!

鶏ガラベースの白湯スープで、上の乗ってるのは青ネギと香草。麺は日本のラーメンほどコシはなくて、太いそうめんか稲庭うどんって感じだったな。でも、むしろこのぐらいのほうがスープに合ってたよ。中国の拉麺は軽食って聞いてたけど、納得したね。

へえー、おいしそうだね。日本の立ち食いそば的な位置づけなのかもね。

そうそう、まさにそんな感じだったよ。スープも麺も優しい味で、すっと胃に落ちていくあの感じ。あ、ちなみに上に乗ってる肉は羊と牛が選べるよ。これは牛だね。

周りの小皿は何なの?

これは拉麺に必ずついてくる小鉢みたいなもんなんだ。手前からアヒルのゆで卵の醤油漬け、キャベツのナムル、ミミガー、昆布と冬瓜のごま油和え・・・って感じかな?どれも初めて食べたけどおいしかったよ。

アヒルの卵にミミガーに冬瓜…さすが中国、深い!

本当に食が多様だよね。食後は中国茶を頼んでしばし一服。大満足だったよ。

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さて、そんなこんなで広州白雲国際空港では有意義な時間を過ごしたよ。みんなも機会があれば拉麺とミミガーを食べてみてね。

※値段は拉麺と中国茶で合わせて18ドルぐらいだったと思います。空港だけあって少々お高いですが、温かい料理やスープが欲しくなったときはぜひ。写真では分かりにくいですが、ボリュームは結構ありました。

【超上級編】GTO part3 〜実戦で使うGTO 概論〜

 

相手がGTOじゃないとき、GTOを使うとどうなるの?

前回はGTOの混合戦略と純粋戦略について説明したよ。
混合戦略のハンドはアクションの期待値が同じなんだったね。純粋戦略のハンドは期待値が最も高いアクションが一つだけだよ。

ねえ、GTOは相手もGTOを使ってるときに成り立つんだよね?

うん、そうだよ。ナッシュ均衡はお互いがそれ以上エクスプロイトできないような戦略を使うような状況だからね。

うーん・・・?ねえ、相手がGTOじゃないプレイをしてるとき、自分がGTOを使ったらどうなるの?

それはイイ質問だね。実戦でのGTOを理解する上で避けて通れない話題だよ。少し長くなるけど、次の章から説明していくね。

 

まずはここまでのおさらい

さて、チンアナゴちゃんの質問に答える前に、まずは改めてGTOについておさらいしておこうかな。

part1でも言ったけど、GTO(ナッシュ均衡)は互いのプレイヤーが相手をエクスプロイトし続けたときのその終点だったよね。

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ということは、GTOは「相手は自分を最大限エクスプロイトするような戦略を取ってくる」っていう前提に基づいているんだ。相手はどんな小さなリーク(弱点)も見逃さず、的確に戦略を変えてエクスプロイトしてくるんだね。

怖ッ!そんな人と戦いたくないなあ。

そうだよね。そんな超上手い相手に対してどう戦えばいいんだろう?そこで登場するのが混合戦略なんだ。混合戦略は相手の戦略の期待値をすべて一緒にしてしまうんだったね。そうすればどんなに上手い人でも、戦略を変えることでそれ以上期待値を上げることができないはずだよ。つまり、自分はエクスプロイトされる心配がなくなるんだね。

ふむふむ。GTOはそもそも「相手は超上手いプレイヤーだ!少しのミスも許されないぞ!」って想定なのか。

それで、その超上手い相手に対して混合戦略を使えばエクスプロイトされなくなって、相手も混合戦略を使えば2人はナッシュ均衡!ってことなんかな?

うん、そういうことだね。でも、中には混合戦略だけでなく、純粋戦略が生じるような場合もあるんだ。純粋戦略は、超上手い相手からは100%そのアクションを取ることを読まれちゃうんだけど、読まれちゃうデメリットよりも100%そのアクションを取ることのメリットのほうが大きいような場合だね。

ふむ、相手に戦略を読まれても気にせず、常にそのアクションを取るほうがお得だと。

そのとおりだよ。ここまでがpart1part2のおさらいだね。

 

GTOが最低限保証する期待値とは?

さて、これは前回も見せたけど、BUがオープンしたときのBBのGTOだよ。

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くどいようだけど、これは「超上手いBUがGTOに基づいたオープンレンジでオープンしてきたときのBBのGTO」だからね。一応確認しておくよ。

おっけー。わかってるって。

さて、ここで知っておいてほしいのはね、それぞれのGTOの期待値のことなんだ。

期待値って?

例えば、最初のBUvsBBのGTOだけど、そもそもBUがオープンすることの期待値がXだとするよね*1。これはGTOによって保証されている最低限の期待値なんだ。

最低限の期待値?どういうこと?

まずBUがオープンするよね。ブラインドの2人はそれに対してコールすることもあれば3ベットを打つこともあるだろうし、もちろんフォールドすることも多いだろうね。でも、彼らがどんな戦略を取ったとしても、BUのオープンの期待値をXより下げることはできないんだ。なぜなら、BUはGTOを使っているからね。

ポーカーはゼロサムゲームだから、自分だけが有利な戦略を使って期待値を上げる、つまりエクスプロイトしようとすると、必然的に相手の期待値はその分だけ下がるんだ。

ふむ、そりゃそうだ。

でも、混合戦略を使うGTOはエクスプロイトされることがないんだよね。ってことは、GTOを使っているBUはエクスプロイトされて期待値が下がることはなくて、そのときのXはいわば保証されてるってことなんだ。

 

相手がGTOではないとき:GTOを使う意味

ふーむ、GTOは鉄壁の要塞なんだね。自分から相手の弱点を攻めることは苦手だけど、宝物庫にあるお宝だけは絶対に守る!って感じなのかな。

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うん、そういうイメージでいいと思うよ。でもね、その要塞の周りにスキだらけの敵兵がウロウロしてたらどうする?

ほほう?よーし、ヤツを捕虜にしちゃおう!

ははっ。エクスプロイト騎士団を出します。門衛、開城せよ。

野郎ども、やっちまえッ!

王!新たな敵兵が正門から侵入!

なにぃ!

敵はフォールドにフォールドを重ねて潜伏していたと見られます。敵のカウンター戦略は鋭く、対応が間に合いません。・・・宝物庫へ向かっています!

なんだってー!?あの部屋は私と母上の思い出が詰まった・・・

はい。ってなわけでね、寸劇終わり。

えー、もうちょっとやってたかったなあ。

GTOとエクスプロイト、そして最低限保証された期待値の関係が改めてわかったんじゃないかな。

あ、ごめん。役に入り過ぎてて全然考えてなかった。どういうことなの?

この小芝居が冒頭のチンアナゴちゃんの疑問に対する、一つの答えだったのさ。
鉄壁の要塞・GTOは相手をエクスプロイトすることはできないけど、逆にエクスプロイトされることもないんだったね。
だから、相手がGTOじゃないプレイを仕掛けてきたとしても、自分は自分のGTOをプレイしていれば、宝物庫にある期待値は少なくとも得られるってわけだ。もちろん、「最低限」保証される期待値だからね。相手の戦略によってはそれ以上の期待値を得ることになるよ。

ふむふむ。

でも、欲を出して相手をエクスプロイトしようとしちゃうと、自分はGTOから外れたプレイをすることになるから、今度はそこをうまく突いてエクスプロイトされる危険性が出てくるんだ。

鉄壁の正門を開いてエクスプロイト騎士団を出したから、カウンター攻撃を食らっちゃったんだね。

そういうこと。そうすると、GTOが本来保証してくれてた期待値まで奪われて、最悪の場合、期待値がマイナスになっちゃうこともあるんだね。

つまり、相手がGTOではないときに自分がGTOを使うと、こうなるんだ。

  • 個々のスポットのGTOには最低限保証された期待値というものがある
  • 相手がどんな戦略を使おうとも(GTO含む)、その保証された期待値は失われない
  • 相手がGTOではないからといって相手をエクスプロイトしようとすると、逆に相手のカウンター戦略によって自分がエクスプロイトされてしまう危険性が出てくる

 

ひとまずはこういうことが言えるんじゃないかな。

 

ポーカーテーブルにパトロンはいない

どう?納得した?

うーん、なんかまだモヤモヤするなあ。
ねえ、もしもみんながGTOを使ってたら、みんなに保証された期待値があるってことでしょ?そうしたら、どんどんみんなのお金が増えていくことにならない?誰がそのお金を出してるの?

実際にはそうはならないんだ。テーブルの全員がGTOを使った場合、長期的に見ると、全員の期待値は0に収束していくはずだよ。

例えばね、BUのオープンで保証されてる期待値はXだったけど、それに対するBBの保証された期待値はYとしようか。ほかにも、HJがオープン、BUがそれに3ベットを打ったときのSBの保証された期待値はZ。こんなふうに、スポットが変わればGTOの戦略も変わって、保証される期待値もそれぞれ違うはずだよね。

うんうん。

X、Y、Z・・・あらゆるスポットにはそれぞれGTOで保証された期待値があって、長期的に見れば、すべてのプレイヤーが平等にあらゆるスポットを経験するはずだよね。でも、実際にはその期待値の合計からブラインドを引かなくちゃいけないんだ。

あ、そっか。1周するごとにBBは1bb、SBは0.5bbを支払うのか。

そうだね。そして多くの場合、SB・BBはフォールドを選択するんだ。既にブラインドを支払った時点でのフォールドの期待値は0なんだけど、もちろん1.5bbは自分が支払うわけだから、少しずつ持ち金が減っていくよね。

そうすると、長期的に見て、GTOが保証する期待値はX、Y、Z・・・をすべて足し合わせたものからブラインド分を引くことになって、その合計は0になるはずだよ*2。もちろん、すべてのプレイヤーがGTOをプレイしている場合の話だからね。

 

相手がGTOではないとき:GTOで利益を出す

ふーん。GTOは鉄壁の要塞で、しかもみんながGTOを使ったら期待値は0。とことんGTOはガードが固いんだね。

だね。そもそも「混合戦略で相手の戦略を無差別化する(期待値を同じにする)」という発想からしてディフェンス的だからね。

ねえ、じゃあさ、GTOを使って利益って出るの?要塞で宝物庫をずっと守ってるだけで、ポーカーって勝てるもんなの?

なるほど、そういうところに違和感を感じてたんだね。うん、もっともな疑問だと思うよ。

でしょー?ずっと不思議に思ってたんだよね。
「GTOは搾取できないけど搾取されない!ポーカーは搾取して初めて利益が出る!」
あれ?じゃあGTOって利益出るの?って。

そうだよね。実は、その疑問のヒントは純粋戦略にあるんだ。GTOを実戦で使うときに最も大事なのは、実は混合戦略ではなくて純粋戦略なんだよ。

あ、そうなの?

例えばね、これもジャンケンを使って説明しようかな。前回、ジャンケンには第4の手「ピン」があって、純粋戦略はピンを出さないことだって話をしたよね。

出た!グーには勝つけどチョキとパーには負ける、あの弱いピンね。

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そうそう。もし相手がグー・チョキ・パー・ピンの四つの手を出して、こちらはGTO通りグー・チョキ・パーを1/3ずつ出すとしたら、どっちが勝つかな?

えっと、まず、相手がグー・チョキ・パーを出すと、こちらのグー・チョキ・パーと互角(期待値が一緒)になるよね。
でも、相手がピンを出すと、こちらのグーには勝てるけどチョキとパーには負けるんだから・・・うん。相手はピンを出せば出すほど損しちゃうね。

そうなんだよ。こちらはランダムにグー・チョキ・パーを出してるだけなんだけど、相手は純粋戦略でフォールドすべきピンを出しちゃってる。自分はGTOを使ってるだけで、相手が純粋戦略をミスするたびに利益が出るってことなんだね。

これはポーカーも同じだよ。BU vs BBのときの、BBのGTOをもう一度見てみようか。

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赤が3ベット、緑がコール、青がフォールドなんだよね。

そう。それでね、例えばA7oは純粋戦略でフォールドになってるでしょ?
コールと3ベットの期待値がマイナスで、それならフォールド(期待値=0)を選んだほうがまだマシなんだ。だから純粋戦略になってるんだったよね。

うんうん。

でもね、ここで相手(BB)はA7oでコールや3ベットしてしまったんだ。つまりピンを出しちゃったんだね。

あらら。そしたらどうなるの?

相手(BB)は期待値を失ってしまうんだ。だから自分はGTOを使ってるだけでその分の利益が出るんだよ。まとめると、「相手がGTOの純粋戦略をミスしたとき、相手はその分の期待値を失うため、GTOは保証された期待値以上の利益を出すことができる*3ということになるんだ。

ふむふむ。GTOは相手をエクスプロイトできないけど、相手が純粋戦略で自滅してくれたらその分お得なんだね。

 

混合戦略の頻度を間違えるとどうなる?

ねえ、じゃあ相手が混合戦略を間違えたときはどうなの?ほら、例えば、レイズが30%・コールが70%みたいな頻度を間違えちゃったときは?

前回も話したとおり、GTOで混合戦略になっているなら、それはどちらのアクションを選んでも期待値は変わらないんだ。
さっきのBBのGTOで言えば、例えばAJoはコールと3ベットの期待値が同じになってて、頻度は大体半々ぐらいになってるよね。期待値が同じってことは、頻度を無視してAJoで常に3ベットを打ったりしても、GTOを使うBUはそれに対して保証された期待値以上の利益を出すことができないんだ。

でも、BBはGTOの頻度のバランスを崩してしまってるから、GTOじゃない戦略によってエクスプロイトされる危険性はあるよ。
混合戦略を間違えたときについて、ひとまずはこういう説明になるかな。

うーん、難しいなあ。なんかたとえ話でお願い!

OK。例えばジャンケンならどうかな。「相手が混合戦略の頻度を間違える」っていうのは、本来はグー・チョキ・パーを1/3ずつ出すべきところを「チョキ多め」「グーだけ」とかにしちゃうってことだよね。

うんうん。

GTOの「グー・チョキ・パーが1/3ずつ」と、混合戦略をミスった「グーだけ」が戦うとどうなるか。答えは「どちらの期待値も同じ」だよ*4
でも、純粋戦略でフォールドすべきピンを出しちゃうと、GTOの期待値が上がっちゃうんだ。そこが混合戦略と純粋戦略の違いなんだね。

ふむ、ここまではわかるよ。

でもね、「グーだけ」の戦略はGTOに対してイーブンといえども、また別のリスクがあるんだ。つまり、相手にパーを多く出されるとエクスプロイトされてしまうってことだね。
GTOに対しては混合戦略の頻度を間違えても問題ないけれど、GTOじゃない戦略からエクスプロイトされてしまう危険性が伴うんだ。それが混合戦略の頻度についてのポイントだよ。

なーるほど。GTO要塞の城門が閉じてるときはどんな頻度でもいいけど、城門が開いてエクスプロイトしてくるとヤバイってことなのか。

そういうことだね。ちなみに、さっきのBBのAJoが頻度を無視して100%3ベットを打つのなら、それに対してBUはGTOよりも少し高い頻度で4ベットを打つことができるよ。そうすればBBをエクスプロイトできるからね。

ふーん。ジャンケンだけじゃなくて、ポーカー的にもそうなってるんだね。

今回の話で納得してもらえると思うけど、GTOを実戦で使うとき、真っ先に気をつけるべきなのは純粋戦略なんだ。これを間違えると相手がGTOだったときに期待値を下げちゃうし、GTOじゃなかったとしてもミスになることが多いだろうからね。

 

今回のまとめ:GTOの特徴(4)

さて、今回は「実戦で使うGTO」をテーマに、いろいろな話をしたよ。新たに判明したGTOの特徴もいっぱい出てきたね。最後にまとめておくよ。

  1. GTOが保証する期待値について
    ・個々のスポットのGTOには最低限保証された期待値というものがある
    ・相手がどんな戦略を使おうとも(GTO含む)、その保証された期待値は失われない
    ・テーブルの全員がGTOを使うと、長期的に見て、全員の期待値は0になる(レーキ除く)
    ・GTOから外れたエクスプロイト戦略を使うと、相手をエクスプロイトすることができ、GTOが保証するものよりも高い期待値を得ることができるが、カウンター戦略によって逆に自分がエクスプロイトされ、本来GTOによって保証されていた期待値を失うリスクが出てくる
  2. GTOを実戦で使う意味について
    ・相手がどんな戦略を使ったとしても、自分はGTOが保証する期待値を失うことはない
    ・相手が相手のGTOにおける純粋戦略をミスしたとき、自分はGTOが保証するものよりも高い期待値を得ることができる
    ・相手が相手のGTOにおける混合戦略の頻度をミスしたとき、GTOを使う自分は保証されたもの以上の期待値を得ることはできないが、自分もあえてGTOから外れることで、相手をエクスプロイトする戦略を選択することができるようになる

こんなところかな。次回はGTOに基づいたエクスプロイトの仕方など、さらに実践的な話をするつもりだよ。おつかれさま!

今年もよろしくお願いしますm(_ _)m

*1:この例ではマルチウェイになる可能性があるため、理論上の厳密なXの値はわかりません(マルチウェイのGTOは解析不可能)。

*2:理論上の値です。また、レーキは除いています。

*3:ゲーム理論の観点から言えば、ナッシュ均衡(GTO)ではないプレイをする場合、その目的はプレイヤーの特定のリークを突く、つまりエクスプロイトするためであるはずです。GTOの純粋戦略から外れたプレイをGTOに対して行うことは、相手に対するエクスプロイトでもなくGTOでもない、いわば自分で自分をエクスプロイトしてしまっている状態であるとも言えます。

*4:前回説明したとおり、どちらの期待値も0です。

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