忘れ物を探すために

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ゆったり、まったり、日々をふりかえる

登場人物別に振り返る 劇場版 のんのんびより 感想

超久しぶりのブログ更新。たまにはブログで文章を書いてみたくなるものです。

 

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本日、のんのんびよりを見てきました。一言でいえば「最高」。劇場版にありがちな肩肘張った演出・脚本もなく、それでいて単なるアニメの続編ではなくきっちりと特別編感を出した素晴らしい塩梅の作品になっていました。

日常系の作品は多々ありますが、のんのんびよりほど変化に乏しい作品はあまりないのではないでしょうか。時間は動かない、場所も移動しない、登場人物も変わらない。作品全体が静に包まれている中で析出してくるのが登場人物のキャラクター性です。そしてそのキャラ性がどの登場人物も立っていてかつ不快感を与えないものになっている。これは奇跡といっても差し支えないかと思います。

 

のんのんびより好きなら分かっている作品の良さを今さら説明しても仕方ないと思うので映画の感想といきましょう。あらすじに沿って書いてもいいのですが、今回は登場人物単位で振り返ってみようと思います。勿論ネタバレは気にせず行きますので、気になる人はブラウザバックを。

 

 

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宮内れんげ

本編と同じく高い感性を遺憾なく発揮していましたね。「沖縄って田舎なん?」には笑いました。そういえば田舎から田舎に旅行しているんですよね笑。

今回は夏海がフィーチャーされていましたが、そのきっかけにはいつもれんげがいたように思います。あおいへの別れの挨拶を夏海に促したのも、ラストに絵をプレゼントしたのもれんげなんです。感動シーン、って書くと陳腐になりますがそういった場面を作るキーマンになっていましたね。てか絵上手すぎ、嫉妬してしまいます笑

 

 

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一条蛍

小学生とは思えない精神年齢の高さの持ち主。今回もシオマネキやらマングローブやら大人顔負けの博識ぶりを見せておりました。こまちゃんとダブルベッドで寝るシーンでは、蛍が興奮して眠れない展開になると思いきや子供っぽさがバレるのを気にしていたのが意外でした。まあやりすぎると引く人出ますからね、そういう尖った性格描写はのんのんではあまり必要ないのかもしれません。

 

 

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越谷夏海

もう今回の主人公と言っても差し支えないのでは。新キャラのあおいと一番打ち解けて皆とは少し違うバケーションを経験した子です。なんか、あおいとの出会いと別れが青春って感じがしておじさんにはうるっときちゃうんですけど、僕だけですかね。映画冒頭でお母さんに部屋の片づけをしろと言われているのに、沖縄ではあおいと遊ぶ時間を作るために率先して部屋の掃除に励むのとか、健気すぎませんか。このまま真っすぐ育ってほしいです(誰目線)

 

 

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越谷小鞠

主要4人組の中で最年長かつ精神年齢最年少。たまにこの子が何年生なのかよくわからなくなる(かわいいからいいんだけども)。カヤックの際に小鞠が一番頼りにするのが蛍っていうのが面白いですよね笑。「わたしにはばっちり計画があるから!」と言った時には失敗フラグを感じましたが、しっかりとした(?) 計画でよかったです。

 

 

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新里あおい

沖縄に行けばこの子に会えるんですか???

新キャラであり既存メンバーとは異なる方言を使う子であり夏海と近しいキャラ。夏海と同い年でありながら実家の仕事を手伝うしっかり者。しかし遊ぶことが好きでこっそりバトミントンの練習をして怒られる(子供にとっては)うるさい母親がいる辺りは夏海と一緒。夏海は沖縄を離れる寂しさで泣いていましたが、あおいは皆が帰ったあとに泣いたのでしょうか。そこらへんは描写せずに流すあたりが憎いですよね。

 

 

こんな感じでさらっと登場人物を軸に映画の感想を述べてみました。

書いていて思ったのは、「もう1回見ないとな」ってことです笑。数時間前に見たのにちょっと曖昧なところがあるので。記しておくべき印象的なシーンがもっとあったような気がしてなりません。あと劇伴とか文字で保存できないところもあるので、そこを焼き付けたいです。

ただ一つ思うのは、彼女らの夏は特別なものであったこと。僕らも特別な日を作っていけるように、そして忘れないようにしないといけないですね。

ゆるキャン△ 紹介と第5話感想 ~距離があるのもいいもんだ~

冬アニメ、一押しはゆるキャンですわ。1・2話を見て一目惚れし、原作を全巻揃えてしまいました。(ブログ上では漫画の話題が多いですが)実際はあまり読まない身なのでこうして衝動買いするのはかなり稀な現象です。まあそれはどうでもいいとして。

本当であればゆるキャンの魅力を早く紹介しておけば良かったんですけど、結局書き始めたのがこのタイミングだったので第5話の感想と両方書くことにしました。目次を入れたので読みたい部分をどうぞ。

ゆるキャン△の魅力とは

物理的距離感を否定しない

ゆるキャンは所謂「きらら系」、つまり「女子だけで仲良くするのを描いた日常作品」の一つですけど、他の作品とは大きく異なる部分があるのです。それが「距離感の表し方」です。

普通キャラの距離感を表す際に用いられるのは「物理的距離」です。そりゃそうでしょう、いつも近くにいる人同士は仲いいに決まっています。毎日おしゃべりする関係にすればハートフルなシーンが自然に生まれます(きらら系で百合展開が発生するのはこういった物理的距離感を強調した結果というわけです)。

しかしゆるキャンは敢えて物理的距離を残しながら展開します。それが主人公の一人であるリンの「ソロキャン(一人でキャンプすること)」です。

 

なでしこと主人公格を二分しているとはいえ、主人公がずっとソロ活動をするきらら系作品ってかなり珍しくないですか?勿論、最初は他の人と関わろうとしない主人公は沢山います。でも大抵は話が進むにつれて「(一人でいるより)一緒にいる方が楽しい!!」って流れになりますよね。でもリンは「みんなと一緒にいるのも楽しいな(ソロもグループと違う良さがあるけど)」という結論に至る。そこは大きな違いだし、だからこそ共感する人も多いんじゃないかなと思います。気の置ける人と一緒にいる時間も楽しいけど生活の中で一人になる時間は残しておきたいな、と思うこともあるじゃないですか。

 

さらに、そんなリンの態度を周りは尊重するのがゆるキャンの偉大なところです。結構グイグイ引っ張る系のなでしこもリンとの距離感を否定しません。ここで「もっと一緒にいようよ!」とか言っちゃうと途端に強引なキャラに見えてしまうのですが、それがない。リンの無理にならない範囲で一緒にいようとする「空気の読めるなでしこ」が、「お互いの信条を認め合い尊敬する美しい関係」を形作っています。

それでも心理的距離感は縮める

しかし物理的距離感を維持しながらキャラ同士の仲を演出するのは至難の業です。特にリンはソロキャンばかりするので他のキャラと直接話す機会を作るのが難しい。笑 そこを解決しているのが「スマホでの会話」です。5話では一番のシーンで使われることになりますが、遠くにいてもリアルタイムでやり取りができるのアイテムの力を感じます。現代に生まれて良かったなあ。

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↑2話より。斉藤さんはこの時点ではリンの唯一の友達だが、斉藤さんはキャンプをしないので物理的な接点をもった描写はかなり少ない。それでもなでしこ以上に気の置けない仲であることを表現しているのがこのスマホ上での会話。

キャラがかわいい

ここまで散々長く書いたのでここから短めに行きますよっと。

キャラがかわいい、これは本当に大事ですよね。それは作画の綺麗さってのもありますけど、表情がいい。特に食べている時が最高ですわ。

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↑1話より。これを見てカップラーメンを食べたくなった人は多いはず。でもあまり深夜に食べないようにね。

さらに小さな幸せを見つけてくれる性格と言えばいいんでしょうか、どんなことにも表情豊かに動いてくれるので見てて飽きることなく引き込まれます。いやーいいですね(語彙消滅)。

キャンプ先は実在するしキャンプ知識も付く

タイトルは「ゆるキャン」ですが、やっていることは普通のキャンプと変わらない。キャンプ先はちょっと名前をもじっていますが全て実在する場所です。 だからストーリーを抜いてもキャンプの魅力を紹介する入門作品として非常に有効ですね。ゆるキャンが終わり春になる頃には影響された方が富士山の前でテントを立てることでしょう。

だがしかし、本当にキャンプするのならもっとしっかり調べて行くように。ゆるキャンが好きでキャンプ始めたのに「アニメでキャンプが紹介されたせいでマナーの悪い人が増えた」とゆるキャン批判が起きたらファンとして最悪ですもの。

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↑キャンプのメインはあくまで夏。冬キャンプは寒さとの闘いであることを忘れないように。そしてキャンプは雰囲気を楽しむものなので他のキャンパーに迷惑を掛けて雰囲気をぶち壊さないよう細心の注意を払ってください!

アニメ第5話感想

お風呂会やで

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さあお待ちかね(?)のお風呂会。まあ原作的にはあと1回はお風呂シーンがあると思われます。

個人的には日常系のお風呂回は所謂お色気シーンとして見たくない人なんですが、皆さんはいかがでしょうか。しかし寒い日が続く中で温かいシーンが多いのは嬉しいですね。東京では今日も雪が降っているみたいですし…。

しかし部長さんメガネ取ったらかなり印象変わるなあ。美人さんかよ。

内心盛り上がりながらも文字上は冷静なリン

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さて野クルが温まっている最中、ソロキャンガールはというと温泉に入ることも叶わずに長野の高地で震えていた。

バイクは実際の気温よりも体感温度が下がると言われているので、リンは何時間も氷点下にさらされていたわけですね。…いやしんどいでしょ。これみたいな予約不要な旅行だったら私は中止しますね。寒いの苦手です。

それでもリンは高原で初めてのキャンプ料理を始めます。作ったのはスープパスタ。なるほどこれなら処理に困る茹で汁が無くていいですね。

ただでさえ寒いのに頼りの温泉からはお預けを食らった身にスープパスタは旨すぎます。リンも心の中で大はしゃぎ。しかしなでしこへの連絡は冷静という。笑  喜びをオープンにせずに一人噛み締めるリン、最高です。

夜景が見たくて/見せたくて怖いのを我慢するなでしこ

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夜中にリンとやり取りをするなでしこは、夜景を送ることを思い付きます。しかし部長とイヌ子は既におやすみ中。仕方がないので一人で向かいます。

これ、アニメだからあまり暗く感じないけれど、実際はめちゃくちゃ暗いのでしょうね。加えて林道って時々微妙な物音が聞こえちゃうと。そこを一人で歩くなんて慣れてない人だったら誰でも恐い気がします。しかもなでしこは人よりも暗い道が苦手という設定。ますます辛いです。

それを考えた上でなでしこの行動を振り返ってみると…なんて健気でいい子なんだ。絶景と言われている夜景を見に行きたい。夜景と共にリンと想いを共有したい。そんな気持ちが暗闇への恐怖に打ち勝ったわけですよ。尊いですね…。

場所は違っても心は一緒

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そして最後のクライマックス。

ここは是非原作もチェックしてほしいところです。2ページ見開きでそれぞれの景色を表現していて情感の高ぶりがすごい。

このアニメの一枚絵、見ている場所は違っても空は同じなんですよね。この作品、物理的距離を感じさせないのが上手すぎる。いやあ癒されました。

 

今回の感想はこんなところで。ブログ始めたばかりということもあり言いたいことがまとまらない文章で申し訳ない…。

今後はリンの旅行が続くわけですけど、その間の野クルはどのように写されるのか、アニメオリジナルストーリーへの期待を含め楽しみです。ここからも最高なシーンが続々出てくるので、ワクワクしながら毎週過ごしていきましょう~。

 

少女終末旅行 最終回 ~絶望と仲良く~

少女終末旅行原作最終回、読みました。

アニメで気に入り原作を全巻購入、熟読しながらこの日を待った。

ネタばれ感想なのでご注意くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最上階に何もないという展開は想像通りでした。

なぜならこれが2人にとっての「絶望」だから。

 

この世界では登場する人間が持つ希望を奪い等しく絶望を与えます。

地図を書くことを生き甲斐にしていたカナザワからは地図を奪い、

飛行機で隣街へ飛ぶことを夢見たイシイにはその翼をもぎ取る。

だから、チトとユーリの希望であった最上階は「無」でなければいけないのだ。

ここで「実は最上階には人間が沢山住んでいてチトとユーリは幸せに過ごしましたとさ」ということは絶対に許されない。そういう世界だから。

 

 

生きる原動力を「希望」と呼ぶなら、「絶望」はその対極。本来絶望など無い方がいいに決まっている。

 

 

でも、登場人物は皆「絶望と仲良く」なる。

希望がなくなったって、「希望が無くなった今」そのものを否定しない。

「あーあ、残念だけどしょうがないや」と前を向く。

 

 

そして希望がなくなって初めて、自分の本当の想いが分かるのだ。

地図をなくしたことで、地図を書いていた時間、連れといた時間そのものが尊いものだったと気付くのだ。

飛行機を失ったことで、夢に向かっていた日々そのものが幸せだったと気付くのだ。

生きる道も進む道も全て閉ざされたことで、2人で旅して生きてきたことがただただ最高だったと気付くのだ。

 

だから、2人の旅はここで終わりであっても決して不幸じゃない。絶望と仲良くなったんだから。

切ないけど、この物語はハッピーエンドだったんだって自分の心に刻みつけたい。

 

・・・本当に切ないけどね。

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特にこのカットがね。

あのユーリが「生きるのは最高だっ『た』よね・・・」と自分の行く末を確信しての一言。

なんて切なく、なんて幸せな一言なんだろう。

 

 

少女終末旅行

絶望的な話なのに、明るい。

明るさで満ちているのに、影がつきまとう。

そんな入れ子のような作品でした。

 

こんな作品に出会えたことが、ただただ幸せです。

 

少女終末旅行 6 【限定版 】 (BUNCH COMICS)

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