湾岸箋

一生オタク。

2023年楽曲10選

 

年の瀬ですね。

今年の楽曲10選を選んでいたら、なんだかんだ少しだけ文章を書きたくなりました。

 

 

 

 

1. スペースシャトル・ララバイ - UNISON SQUARE GARDEN

作詞・作曲:田淵智也 編曲:UNISON SQUARE GARDEN

どうしようもなく

どうしようもなく

生きてみたくなった

 

こんなに生きる活力をもらえる楽曲、すごい。

『フレーズボトル・バイバイ』の「忘れられない今日になった!」と並んで、アルバムの最初と最後に完全にキメとなる歌詞が置かれてるの、構成として素晴らしすぎる。

Ninth Peel next行けなかったのが本当に悔やまれる。

 

2. Aloud - ASH ver. - Orangestar

作詞・作曲・編曲:Orangestar

僕を空っぽにしたそれに

今は取り憑かれている

それでも歌っていたので、いい。

また手を伸ばせ

 

久しぶりにOrangestarのストレートなロックナンバーが出てめちゃくちゃうれしい。

ギターリフも間奏のベーススラップソロも「これでいい、これがいいんだよ」となる。

Orangestar、なんで今年はライブをやってくれなかったんだ、アルバム出したのに…。

 

3. 空想ワンダリング - tipToe.

作詞・作曲・編曲:大本悦司

今抱く想いも

鮮やかに溶けてゆく

くだらない記憶でも

繋ぐストーリー描いてゆこうよ

Starlight

 

tipToe.の中ではかなり珍しい、めちゃくちゃキュートでポップな曲。

初披露が小宵めみちゃんの生誕イベントだったのもあり思い入れが強い。

跳びポ複数あり、ラスサビ転調あり。ライブでイントロが流れると身体が飛び跳ねる。

tipToe.、まだ音源になっていない名曲が複数控えていて、今年紹介できないのが悔しいところ。

 

4. 宇宙遊泳 - 長瀬有花

作詞・作曲:mekakushe 編曲:笹川真生

いつまでも忘れないように

ひとつも失くさないように

それはブラックホールより、

はるか巨大な愛なのね!

 

↑ こんな歌詞を書ける人生を歩んでみたかった。圧倒される。

リキッドルームのワンマンで、昨年の10選で選んだ『微熱煙』からこの曲に繋がれた時は、本当に立ち尽くすしかなかった。

mekakusheのワンマンに行ったらアンコールでセルフカバーまで聴けてしまい、あまりにも幸福だった。

2023年の自分の中で特に大きかった存在は、tipToe.と長瀬有花だったように思う。

 

5. 眩耀夜行 - スリーズブーケ

作詞:ケリー 作曲:小野寺祐輔(Arte Refact) 編曲:脇 眞富(Arte Refact

ここじゃないどこかへ

まだ誰も知らない場所まで

街中が空を余所見する間に

このまま遠くへ

川沿い下って行けるとこまで

固く繋いだこの手はもう離さない

怖く…ないよ…暗闇だって

君とならこんなに眩しい

 

オタクの家で酒を飲みながら異次元フェスのアーカイブを見ていたら、いきなり耳にエゲつない強度の楽曲が流れてきた。

この曲、あまりにも名曲のエッセンスが詰め込まれ過ぎている。

全体的な『Snow Halation』感や、Dメロの『夜明けBrand New Days』と似た構成など、刺さるポイントが多すぎる。

上記で引用したサビの歌詞も美しい。「川沿い下って行けるとこまで」で急に等身大の高校生のイメージを引き出すのがすごい。

 

6. シリウスにマフラー - 開歌-かいか-

作詞:かわむら 作曲・編曲:ポップしなないで

あの星なんだか寒そうだなんて

君が言ってたの聞いたんだ

わたしも空に浮かんで君の

マフラーを奪いたい

 

ポップしなないで、最高。この曲で多動するときが開歌見るとき一番楽しい。

上記引用の歌詞 (1B)と2A'の歌詞が表現として面白くて好き。

体制変更もあり大変そうだけど、曲が好きなので開歌には頑張ってほしい。

 

7. 橋の下で会いましょう。 - situasion

作詞:ヨロコビ 作曲・編曲:磯野涼

届けに行くよ。

大事な忘れ物 約束しよう。

僕らの場所へ 必ず行くよ。

もう少し待ってて。

夢じゃないよ。

君だけを。

 

situasion、踊るために生まれてきたような楽曲群ももちろん大好きだけど、聴いてるときに一番良いと思うのはこの曲な気がしている。

聴いてると景色が目に浮かんできて、短編映画を見ている気分になる。実際にこの曲をもとに短編映画が作られているらしい。

とにかく楽曲の幅があまりにも広く、いつライブを見ても楽しいグループ。

 

8. 萌芽 - Khaki

作詞・作曲:平川直人 編曲:阿南智、bisshi

回転していない歯車をずっと

引き摺ってできた轍を

何も考えない目線がずっと

それを捉える

「何かできれば良かったね」

そう話してはいたけど

 

今年はインディーズのバンドを見る機会がとても増えた1年だった。

そんな1年を象徴するバンド、Khakiから出た新曲。

イントロのおどろおどろしいギターのアルペジオリフと、ボーカルの少し気だるげな声のマッチ、アウトロの衝動性が好き。

このバンド、ギターボーカルが2人いて、どちらも作曲できるので、同じバンドでいろいろな表情の楽曲があり面白い。

タイアップとかあればすぐ売れると思うので、2024年も注目していきたい。

 

9. US / アス - Homecomings

作詞:畳野彩加 作曲:福富優樹 編曲:Homecomings

寄るべない僕らだ

別の海を泳ぐように

その目が差すまま

新しい朝まであと少しで届くように

眠らない明かりを駆け抜けて

 

ああ 僕らはたまたま美しい

ああ あなたはたまたま美しい

 

今年Homecomingsから出た『New Neighbors』というアルバムは傑作で、これからの人生もずっと聴き続けていくと思う。そんなアルバムのリード曲。

Homecomingsは『Songbirds』から知ってちょこちょこ聴いていたが、このアルバムが出たことによって自分の中でとても大切なバンドになった。

是非このインタビュー記事を読んで聴いてほしい。

natalie.mu

 

10. 曲名 - 多次元制御機構よだか

作詞・作曲・編曲:林直大

澄み渡った空に

一筋の飛行機雲

国道沿いに綴る春色の手紙

ごらん季節を

花弁避けて歩いたら

「なあこれ、曲名どうする?」

 

俺に良い考えがあるんだ。

 

こういう楽曲に巡り合えると本当に幸せな気持ちになる。

1Aの「AメロのAはAbilityのA」という歌詞からインパクトがすごいが、ものを生み出すこと、ものを生み出す人の美しさが詰め込まれている。この曲に『曲名』という曲名がついてるのがすごすぎる。

本当に早くライブでこの曲を聴きたい。魂をぶつけられ、ぶつけ返したい。

 

まとめ

アイドルとバンドに傾倒した年でした。もう少しアニメを見たいですね。

2022年楽曲10選

こんばんは、まりんです。

今年もあっという間に終わりが近づいていますね。

私はCOVID-19に罹患し、この1週間ひたすら家で仕事・研究・睡眠・インターネットのいずれかを繰り返す生活になっています。現在は昨日の『ぼっち・ざ・ろっく』最終話の余韻を書きしめながら、この記事を書いています。

さて、年の瀬といえば楽曲10選記事。昨年は選曲だけして記事は書かなかったのですが、今年はせっかくなので記事も書きたいと思います。

2020年からはSpotifyでプレイリストも作っていて、今年はあくまで選曲を先にしたうえではありますが、プレイリストとして順番に聴いて行くと意味があるような形にしています。

それでは、どうぞ。

 

 

 

1. はじまりのセツナ - 蠟梅学園中等部1年3組

作詞・作曲・編曲:杉山勝彦

 

TVアニメ『明日ちゃんのセーラー服』OPテーマ。1年の頭からとんでもないアニソンが出てきてしまったという衝撃、この曲の10選入りは初めて聴いたときから揺るぎなかったです。まさに明日小路とクラスメイトの過ごしている青春を切り取ったかのような歌詞、アコギとピアノ伴奏のみによる軽快な歌い出し、特にAメロやサビで多用されるシンコペーションによってもたらされる心地よい疾走感。

この曲の歌詞は主体が明日小路とも取れるし、明日小路と過ごしているクラスメイトの誰かとも取れる点も素晴らしく、以下のアニメのOP映像 (0:48)においても明日ちゃんと手を取っている相手が誰だかわからないような表現になっているところが本当に大好きです。

 


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また、Dメロでは多用していたシンコペーションが急に止まり、1拍ずつきっちり刻むようなリズムに変わるのですが、個人的にはこれが「高台」へと一歩ずつ登っていき、そこから見える風景を思い起こさせて、美しい緩急の付け方だと感じています。

高台からの風景が

オレンジの宝石箱みたい

それでもお腹は空いてきて

可笑しくてひとりで吹き出し

Ah もう君に話したくなったよ

個人的な話をすると、このアニメが放映されてた1月から3月は仕事で本当に大変な案件を抱えていて、人生でほぼ初めて研究や仕事でメンタルに不調をきたしたのですが、このアニメはその頃間違いなく心の支えの一つになっていました。このアニメ、このOPを見ることが毎週のモチベーションになっていたこともあり、思い入れも強いです。

 

2. 星座になれたら - 結束バンド

作詞:樋口愛 作曲:内藤英雅 編曲:三井律郎

 

先述したTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』最終話の挿入歌。もともとこの枠には、ED2『カラカラ』が入っていたのですが、流石にこの楽曲を聴いた瞬間に入れ替えてしまいました。

まず、高校生バンドが奏でるとは到底信じられない鬼のようにグルーヴィーなイントロ。超絶キャッチーなギターリフの裏でイキり散らかしてるスラップベース。マジでテレビからこのイントロが流れた瞬間絶叫してました。

そして歌詞、後藤ひとりのあふれる結束バンドへの思いが「星座」に込められていて、ここまでアニメを見てきてるとめちゃくちゃ心を震わされます。

君と集まって星座になれたら

彗星みたい 流れるひとりごと

消えていく 残像は

真夜中のプリズム

↑天才?

この曲と、文化祭で演ったもう片方の曲である『忘れてやらない』は、歌詞の観点でも楽曲の観点でも「文化祭で演ること」を意識して作られている気がします。後藤ひとりにとって最初は怖かった場所である「ライブハウス」で演る楽曲は、どうしても歌詞もトガらせる必要があったのに対して、「文化祭」で演る楽曲は彼女なりに伝わりやすく書いたのではないか、という気がします。これは、意図せずギターボーカルである喜多郁代に対する伝わりやすさにも直結しており、恐らく文化祭でのステージは、喜多郁代にとっても詞・歌を心を込めて届けられる、そんなステージになったのではないでしょうか。急なアクシデントに対してもお互い(+泥酔女の残骸)でカバーし合って、見事な「後藤ひとりと喜多郁代の文化祭ステージ」になっていたように思います。

さらに完全な余談ですが、私がたまたま文化祭でこのステージを見ていたら、確実に結束バンドのライブがあるたびにこっそり下北沢のライブハウスに通い、できるだけ彼女たちに気づかれないような場所で毎回彼女たちのステージを見ては、心の中で「この子たちは売れる…」と古参ぶるバケモノになっていたと思います。このステージでおとなしくペンライト振るの、不可能だろ…。


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3. ハルシオン - nuance

作詞・作曲:オレノグラフィティ 編曲:佐藤嘉風

 

横浜発のアイドル『nuance』のミニアルバム『i-k-i 「a」』収録曲。ハルシオンとは睡眠薬の一種で、不眠症の一夜を歌った楽曲です。Aメロもほぼサビのように扱われている美しい旋律で、実質二重サビとなっているのが特徴的。ラスサビでこのAメロとサビをオーバーラップさせてるのがとても心地よい。眠れない状況をこのような歌詞に落とし込めるのはすごいですし、その中でも「眠りたい」と連呼するインパクトも癖になります。

明けない夜のハルシオン

ポケットの中で燻って

言い訳ばかり飲み込んで 羊数え

眠らない夢とメトロポリス

緩やかな毒に侵されて

ブリキの街の面影も とうに消えた

nuanceは僕が2018年頃までアイドルオタクをやっていた時に何度か見ており、そこからメンバーの脱退と加入と脱退を経て、現在は4人体制となっています。後述するtipToe.にハマった影響によって、8月に約4年ぶりにnuanceを生で見たのですが、その時(当時は5人体制)に最も衝撃を受けたのがこの楽曲でした。音源も全然追っていなくてこの楽曲はその時初めて聴いたのですが、特に先述のオーバーラップ部分がライブでも綺麗にキマっていたのもあり、5人に増えたことによるパワーを最も感じました。残念ながら先日1人脱退してしまったのですが、なんとか頑張ってほしいです。

 

4. ペトリコール - tipToe.

作詞・作曲・編曲:彼方あおい

 

「みんなで青春しませんか?」をコンセプトに掲げるアイドルグループ『tipToe.』のLimited Single『fifthRuler.』収録曲。このシングル(5曲・24分収録なのでEPと言った方が正しいかもしれない)は「雨」をコンセプトとして、すれ違いや孤独、そしてそこから一歩踏み出していくような、「青春」の中でも影の部分に強く焦点を当てています。その中でもこの『ペトリコール』は雨の降る学校の屋上を舞台として展開される二人の少女のすれ違いを、7分の長尺に渡って表現しています。歌割も「2人の物語」を強く意識しており、2ABが以下のようにセリフの掛け合いになっているところや、サビ以外はメンバー6人のうち2人ずつにスポットを当てるように割り振られているところが特徴的です。

「どうして君が泣いてるの?」

「私は泣きたくて泣けずにいるのに」

「わからない」

僕がそう言うと、

君は困ったように笑って、遠くを見た

 

「雨の日なら、泣けるような気がして」

「いつも屋上にいるの」

僕は君に会いたくて、ドアを開ける

この楽曲を含む『fifthRuler.』収録の5曲は、すべて11/30に行われた2nd CONCEPT ONEMAN『blue moon rising,my shoes are wet.』にて初披露されました。

このライブは名前の通り極めてコンセプチュアルで、特に1期(現在の活動体制は2期です)の「夜」をコンセプトとしたLimited Single『thirdShoes.』収録曲を披露してからの怒涛の「雨編」の初出しは衝撃的で、金縛りに遭ったような状態で立ち尽くしていました。その中でもトップバッターを務めたこの楽曲は、これからどのような世界観が表現されるかをそのまま物語っており、さらに最も重要となるDメロおよび落ちサビを推しである小宵めみさんが歌い上げたことによる衝撃と感動で頭が完全に機能停止していました。もともと彼女の歌唱力は突出していましたが、この楽曲を武器にしたことによって更なる歌唱表現・感情表現の幅を広げており、日々楽しくライブを見て狂うことができています。tipToe.に興味が出た方、ぜひ気軽に声をかけてください。

 

5. 微熱煙 - 長瀬有花

作詞・作曲・編曲:瀬名航

バーチャルアーティスト『長瀬有花』のシングル『微熱煙/みずいろのきみ』収録曲。6月上演のコンセプトライブ"SEEK"において初披露された楽曲です。この楽曲は東京の孤独と雑踏、そしてその中で歩み方を美しく表現しています。1番はアコースティックギターを中心とした、"隙間"の多いアレンジとなっていますが、そこから2番にかけて、メロは変えずにアレンジのみでドラマティックさを演出し、2サビ後の激情的なギターソロに繋げています。そこからDメロでふっと音が消え視界が開け、人と人との繋がりを感じさせるシンガロング。ただしここで終わらず、最後はAメロで、再び静かに、独りで終わる、という1曲だけで起承転結が完璧に表現されており、初めて聴いたときは衝撃のあまり画面の前で固まっていました。

大げさな街の明かりが

生き急ぐ夜を浮かべる

さざめく雑踏の中で

ろうそくは灯る

↑この歌い出しはヤバいでしょ……

 

この曲の物語性にさらに拍車をかけていたのが、初披露された"SEEK"においてこの曲は本編最後に配置されていたのですが、その1曲前に演ったのがサカナクションの『ユリイカ』だったことです。『ユリイカ』は、故郷から東京から出てきて、その閉塞感や雑踏、無機質さに対する「生き急いでいる」感覚、そしてそれに付随する苦しさや寂しさを表現しています。

いつも夕方の色

髪に馴染ませてた君を思い出した

ここは東京

空を食うようにびっしりビルが湧く街

いつ終わるかな 風が吹く度 生き急ぐ 生き急ぐ

いつ終わるかな 意味もないのに 生き急ぐ 生き急ぐ

いつ終わるかな 壁が立つ度 生き急ぐ 生き急ぐ

いつ終わるかな 意味もないのに 生き急ぐ 生き急ぐ

 

『微熱煙』では、東京に対して似たような表現をしながら、それでも人と人とのつながりや、光が差すまで笑い続ける・歌い続けることを歌っているという、対照的なメッセージ性を持っており、このメッセージ性が『ユリイカ』によって完全に際立たされていました。

素人がこの楽曲について語るのもいいのですが、長瀬有花のプロデューサーによる解説記事があるので、はっきり言ってこちらを読んだ方が良いです。長瀬有花さん、素晴らしいアーティストですので知らない方はぜひ聴いてみてください。

 

note.com

 

6. 出町柳パラレルユニバース - ASIAN KUNG-FU GENERATION

作詞・作曲:後藤正文 編曲:ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

劇場版アニメ『四畳半タイムマシンブルース』主題歌。古き良きアジカンの香りが強く、どこか懐かしい気持ちになる楽曲です。メロは全く同じで、一部の歌詞やアレンジ、そしてアウトロの構成が異なる『柳小路パラレルユニバース』の同時リリースによって、「パラレルユニバース」を表現するというギミックや、アジカンのメンバーが『四畳半タイムマシンブルース』の登場人物になりきったMVもとても愉快です。


www.youtube.com

思った通り誰もいない

特別な恋の予感もしない

苦虫ひとつ噛み締めて

細い路地の先に君

上の歌い出しだけでも『四畳半タイムマシンブルース』をシンプルにまとめていて、『四畳半』シリーズのアジカンによるタイアップとして、最高の楽曲に仕上がっていると思います。以下の後藤正文のインタビューも必見。

kansai.pia.co.jp

 

7. スポットライト・ミラーランド - 望月杏奈 (CV: 夏川椎菜)

作詞:児玉雨子 作曲・編曲:平田祥一郎

 

アイドルマスターミリオンライブの楽曲が12/17についにサブスク解禁され、懐古厨ばっかりやってるのも良くないと思い最初に聴いたM@STER SPARKLE2の望月杏奈のキャラソンがあまりにも刺さってしまい、急遽10選に入り込んできました。どこか耳馴染みのあるイントロのシンセリフから掴まれ、Aメロの落ち着いたメロはどこかOFFの望月杏奈を想起させます。Bメロで少しずつスイッチが入っていく中で、「ビビビッとCome on!」からの転調→サビ入りで一気に開ける感覚がめちゃくちゃ望月杏奈で最高。サビの最後の「不思議 for you」で元のキーに戻るのもどこか「不思議」な感覚を残していって、癖になる楽曲です。

何よりもすごいのが歌詞。児玉雨子さんはミリオンライブへの歌詞提供が2曲とのことですが、あまりにも望月杏奈への理解が深くてひっくり返りました。1A「マボロシウサギは誰」1B「かけた鍵開けて」「ビビビビッとCome on!」あたりの要素的な押さえ方も素晴らしいですが、ON/OFFの両面性を持つ望月杏奈と、それを見ているファン・プロデューサーの間の関係性、そしてこの両者を繋げる「スポットライト・ミラーランド」という表現があまりにも絶妙です。

 

ホントも嘘も 裏返しの反対

君が連れてゆくの

君を連れてゆくよ

ここは スポットライト・ミラーランド

↑ すごすぎる。

「スポットライト・ミラーランド」はファン・プロデューサーにとっては望月杏奈のONの一面を見られることや、どのような化学反応が起こるかわからない「不思議 for you」な場所ですし、望月杏奈にとってはあらゆる可能性を秘めている「無限 for me」な場所なんですよね。

 

どちらかでも

どちらでもないmy mind

どちらかでも

どちらでもあるから miracle

↑ 望月杏奈です。

 

8. はじまりの鐘が鳴り響く空 - AiRBLUE

作詞・作曲・編曲:伊藤賢

TVアニメ『CUE!』1クール目ED。アニメの出来については深く踏み込みませんが、この楽曲は本当に素晴らしいと思います。Dメロの畳みかけるような早口のメロでCUE!でメッセージをしっかり詰め込み、完全無音からの落ちサビ→大サビの転調で大トゥルーエンドという、もう"全て"を詰め込んだ楽曲です。ライブでのDメロの隊列 → 落ちサビの「その続きを見せて」でリーダーズが対角線上に立ち上がる構成や、3rdライブで大サビのところで紙吹雪が飛んだ光景など、ライブによってさらに良さが際立った楽曲だと思います。CUE!というコンテンツが亡くなったこと、本当に惜しいです。

ここからはじまる

殻の中でもがく声は

光とともに開かれてく

 

9. フィルムリールを回して - airattic

作詞・作曲・編曲:管梓(For Tracy Hyde/エイプリルブルー)

 

『tipToe.』と同じ事務所・同じプロデューサーのアイドル『airattic』のデジタルシングル収録曲。シューゲイザーテイストのギターに青春の面影を振り返る詞を乗せたエモーショナルなナンバー。tipToe.と比べるとよりバンドサウンドテイストを強くしたairatticですが、コンセプトとして「平熱」というのがあります。「平熱」というのは、興奮や激情と言った「熱さ」と、孤独や冷静と言った「寒さ」の両面性を合わせ持つ概念、という解釈ができるのですが、この楽曲は10曲程度あるairatticの楽曲の中でも、この両面性を特に体現した楽曲であると個人的には感じています。この楽曲含め、バンドが好きな人には確実にairatticは刺さると思うので、ぜひ聴いてみてください。

 

10. CHAINSAW BLOOD - Vaundy

作詞・作曲・編曲:Vaundy

 

TVアニメ『チェンソーマン』ED1。チェンソーマン1話の後に流れてきたこの楽曲で、なんでこの楽曲をずっと使わないんだと思ったくらい、すごい楽曲です。ABメロ・サビとゴリッゴリのギターやシンプルなコードと、Vaundyにしては珍しい雰囲気を出しながら、Dメロでいきなり自己主張してくるところが死ぬほど好き。ただただシンプルにカッコいいので、そんなにコメントすることがないです。ちなみに、チェンソーマンは結局3話までしか見れてない。南無。

 

おわりに

2022年はコロナ禍が多少落ち着いてきたことや、自分が声を出せなくてもライブを楽しめること、そして何より再度アイドルにハマってしまったことによって、今までで一番参加したライブの本数が多くなった年でした。それに伴って、アイドルを中心として色々と新しいアーティストも知れた年だったと思います。また、素晴らしい楽曲をひっさげた名アニメを複数あり、これらの要素を中心とした10選に今年はなりました。選出から漏れてしまった名曲もたくさんあり、良い1年だったように思います。来年も色々な作品を楽しみながら過ごしていきたいですね。

それでは。

 

 

nano.RIPE 12th Anniversary LIVE「そらとぶベッド」

  • nano.RIPEのライブに3年ぶりに参加したら、色々と感情がこみあげてきたので、備忘録として残しておきたいと思った。
  • この箇条書きスタイルは、最近好きなバーチャルアーティストのプロデューサーのnoteのスタイルを模倣している。
    • 長瀬有花さんは、素晴らしいです。
    • 普段ブログを投稿する時はかなり文章構成だとかに気を払って書いているので、このスタイルはかなり楽。
    • 会社でもよくmarkdownとかを使うので、この形式に対する慣れも最近割とある。 
    • なお、昔1回だけTrySailのライブの感想を書く時に、このブログでも箇条書きスタイルをやったことがある。
  • nano.RIPEのライブの前には、安齋由香里さんのお渡し会に参加していた。
    • 顔が好きなので、顔が好きだと伝えておいた。
  • 今回のnano.RIPEのライブは、なんと今までのシングル表題曲24曲を全てやるという異色の事前セトリ公表ライブだった。
  • 流石に確実に行きたいので、わざわざファンクラブに入って最速抽選でチケットを握った。
    • 整理番号が50番だったにもかかわらず、一緒に行ったオタクが全員開演ギリギリに来たので全く意味をなさなかった。
  • 端的に言えば、本当に素晴らしいライブだった。
  • ここからが本題だが、nano.RIPEのライブでは、きみコのMCは本当に力強い。
    • 影踏みの前では、楽しかった時間も色あせてしまう、それでも楽しい瞬間をできるだけ色あせないように、積み重ねていきたいというような話をしていた(気がする)(記憶はかなり曖昧)。
    • ツマビクヒトリからリアルワールドに行く前、コロナ禍によってしばらくライブができていなかったが、久々にライブハウスでライブをやることができた、今は制約があるがもうすぐ昔のライブハウスを取り戻せるはず、それが僕らの"リアル"だ、というような話をしていた(こちらの方が記憶が確か)。
  • 特にリアルワールド前のMCで、無意識のうちに泣いてしまっていた。
    • コロナ前の当たり前にあったリアルが、鮮明な記憶として呼び起こされた。
    • 2014年、18歳の時ほぼ初めてライブハウスに踏みいれたワンマンツアー「有色透明」。たまたま上手側最前で、人の波に揉まれながらオルスタのライブの楽しさを学んだ。
    • 2015年、47都道府県ツアーのうちの千葉公演に、初めて知り合いのオタクと参加した。前回よりも狭いキャパの会場で、知り合いと行くオルスタの楽しさを知った。まだ当時は未成年で、打上の時の飲酒を断ったらしい(私は覚えてなかったが、相手が覚えていた)。
    • 2015年、赤坂BLITZで行われた5周年記念ライブVol 3「しあわせのくつ」。当時アイドルマスターミリオンライブにハマっていた中で、きみこ・nano.RIPEが関わっていた『流星群』『プラリネ』のカバーを聴いた。
    • 2015年、この年の総決算として渋谷チェルシーホテルで行われた5周年記念ライブVol 4「世界線」。このライブタイトルは『世界点』という楽曲になぞらえていて、最後にやった『世界点』でのMCが未だに記憶に残っている。この年は5周年なこともあり、かなりnano.RIPE現場に行っていた。
    • 時は経って2018年、「きせきのつるぎ」ツアーの東京公演。この頃はnano.RIPEから少し離れていた中で久々に行ったライブだったが、変わらない力強いライブをやってくれる中で、特にアンコールの最後の『ステム』を歌うきみコに物凄い衝撃を受けた。
    • 2019年、キミメロ・ジュンメロと称し、更に豪華なゲストも呼ばれた「せかいじゅのはな」東京公演。伊藤かな恵さんが歌う『ハナノイロ』でオタク全員で大マサイをした。
  • オルスタでもみくちゃにされながら、リアルワールドやツマビクヒトリで全力で声を上げて跳んで、ハナノイロ面影ワープを全力で歌って、そういう体験が鮮明に呼び起こされた。
    • 早くこの頃のライブを取り戻したいと切に願う。あの一体感は他で成しえない。
    • 「夢のような今を 少しも色あせずに 心にしまっておけたらいいな」という歌詞がものすごく刺さる。少しも色あせずに、はどうしても難しいが、こういうきっかけがあったときにふと脳裏に情景が浮かぶだけでも、十分かもしれないとも思った。
    • コロナ禍以降で初めてワンマンに来た人は、『リアルワールド』のコーラスをファンがみんなで歌うことや、『ハナノイロ』の一番最後のフレーズもファンがみんなで歌うことなどを(当たり前ではあるが)知らないらしい。
    • これらのnano.RIPE現場でかつてあった楽しさは、ちゃんと引き継がなければならない。本当に楽しいので。
  • 花咲くいろは』でnano.RIPEを知り、初めてライブに足を運んでから8年、そういう時の流れを感じずにはいられなかった。
    • せかいじゅのはな」から3年というのもかなり信じがたい。コロナ禍はこの数年の時の進みの体感をかなり加速させてしまった。
    • 人にもみくちゃになったわけではないのに、ライブ後の疲労感がものすごく強い。加齢だ。
  • nano.RIPEは、私の根幹をなす要素の一つであるということを、改めて実感した。そういうことに気づけた、良いライブだったと思う。
  • それでは。

CUE! 3rd Party「Start a new line」

みなさん、こんにちは。

 

先日5/1に、CUE! 3rd Party「Start a new line」が開催されました。本日はこのライブの感想を忘れないうちに(かついつものように鶴野と野島にzoomでネタバレをされる前に)書いていきたいと思います。

 

まず、このライブはCUE!のファンにとってかなり大きな意味を持つライブでした。ご存知の方も多いと思いますが、アプリゲームCUE!はほぼぴったり1年前、2021/4/30にそのサービスを一時的に停止しました。そこからアニメが始まった中で開催されるこのライブは、コンテンツの存続においてかなり重要な意味を持つものであり、あわよくばアプリゲームの再開の発表がなされないかと、どうしても期待して参加することになりました。

一方で、前回の2nd Party「Sing about everything」は個人的にはコンテンツライブの一つの到達点だと思っており、未だに深く記憶に刻まれています。その2nd Party以降、コンテンツとしてのリリースはアニメ1クール目のOP/EDに収録されている3曲のみであり、後はYouTubeでフルのMVが公開されているアニメ2クール目のOP、Tomorrow's Diaryと、アニメの挿入歌数曲しか新しい楽曲がありませんでした。その中で、2nd Partyを超えるライブが来ることは自分のちっぽけな想像力では期待できず、ライブ自体へのモチベーションは高いとは言えませんでした。

結論から言ってしまえば、最も期待していた良い報せは訪れることはありませんでした。自分の参加した昼の部のライブでは一切の発表はなく、夜の部では次のライブの決定の発表のみでした。さらに、この次のライブのタイトルがCUE!のファンとしてはあまり希望を持てるものではなかったのも、追い討ちをかけてきました。一方で、期待していなかったライブの内容自体は、非常に良い構成で極めて満足度の高いライブでした。今までの4人ずつのユニットのパートを入れていたライブ構成から、16人の全体曲のみの構成とし、AiRBLUEとしての再スタートを物語り、また新しくアニメから入ってきたファン層にも満足させようという気概を感じました。

そこで今回の記事では、今後のコンテンツの行き先などのことには触れず、少しでもCUE!に興味を持ってくれる人が増えることを願って、あくまでもライブ自体で自分が感じたことを主に書いていきます。

 

空合ぼくらは追った

「おはよう」

 

彼女たちの日常が続いていることを、開幕の各キャラ一言ずつのMCと1曲目の1フレーズ目だけでこんなに単純明快に描けるものでしょうか。このコンテンツに求める"実在性"をこのライブでも強く表現しようとする意志を受け止めて、一瞬でこのライブに対する期待値が跳ね上がりました。この「おはよう」で始めることも鶴野有紗さんの提案だったらしい、本当にこの女に勝てません。

この曲が初披露された当初(Reading Live Vol.5)、あまりCUE!っぽくない楽曲だと思っていました。今まで自分のCUE!のイメージは「白い」だったのですが、この曲は割と「青い」んですよね。そこから時間が経ちアニメを経て、今回聴いたこの曲にはもう違和感をあまり感じなかったのが不思議でした。その理由として、自分がこの曲に「白さ」を見出せるようになってきたのか、それともCUE!というコンテンツの色が変わり始めているのか、どちらなのかそれともどちらともなのか、正直はっきりとはわかりません。

 

白い沿線

「夢を線路に沿って並べた」

 

この曲って、実ははじまりの曲なんですよね。そのことにこのライブでやっと気づくことができました。今回のライブのテーマとして、"夢"が大きな比重を占めていました。それを「線路に沿って並べ、咲かないかなって眺める」のは、夢を描いたものの、まだそれを自分の力で叶えていくという段階ではなく、本当にはじまりの段階であるということを表していると思います。この曲をこのライブの2曲目に置いていることは大きな意味を持っているでしょう。

さらに、この曲の最後には「電車が停車する音」の演出がありました。この演出は2ndでは「電車が出発する音」と対になるものであると考えられます。自分は2ndでのこの演出は「アプリゲームから声優主体へとバトンを渡した」と解釈した*1ので、今回の電車が停車する演出は、この声優主体で繋いでいくフェーズの終了を意味することになります。この時、後ろの映像が2ndと同じでアプリの絵を使用していたので、あわよくばここでアプリの復活が発表され、「列車の走行」によって繋がれたバトンが再度アプリへと渡されることを期待しました。しかし最後までセトリを見ると、バトンが繋がれた先はアニメ主体でのコンテンツの展開になったのかなと思います。

 

ミライキャンバス→雫の結晶→マイサスティナー→Radio is a Friend

「過ごした時間と交わした約束、覚えていますか」

 

前回ライブのセットアッパー、ミライキャンバスをかなり序盤に持ってくる構成にはかなり驚きました。ただ、このライブはアニメからCUE!に入った人も楽しめることが重要だったと思うので、ここから先Talk about everythingの新規収録曲を連続でやることは、フォーメーションダンスの構成なども追うことができる、良いセトリだったと思います。同時に、元からCUE!が好きだったファンに対しては、このアルバムの帯に書かれていたメッセージを改めて問いかけるようにも受け取ることができるのではないでしょうか。

 

Tomorrow's Diary

 

「その声が その夢が 輝くように」

六石陽菜のオーディションの自己紹介から、ソロ歌唱へと繋がったこの曲。ついにアニメ映像をばっくに歌う16人を見ることができて、今まであまり好きでなかったこの曲もとても綺麗に見えました。ここからbeautiful tomorrowに繋がる流れも美しかったです。

 

スタートライン

「ここから今始まる 君の声が聴こえる」

 

リーダーズの朗読パートから、後半を勢いよく開始するにはこの曲でしょう。ここから先、本編終了まではアニメとシンクロさせることを意識した構成になっていたと思います。アニメは構成上、16人全員がナチュラルに仲が良くなっていますが、個人的にはそこはアプリストーリーで補完し、Forever Friendsへと繋がった上でこの曲やTomorrow's Diaryで始まりを踏み出していると解釈しています。

 

Colorful→カレイドスコープ

「No.1 声優!!!!」

 

コメントすることがない。AiRBLUEの32人には"それぞれの夢"を叶えて欲しい。

 


www.youtube.com

 

はじまりの鐘の音が鳴り響く空

「夢のはじまりの合図が鳴る」

 

本編最後にこの曲を持ってくるのは、一貫したメッセージ性を伝えていたと思います。アニメのEDであるが故に本編最後にふさわしく、かつここがはじまりであることを主張する楽曲でもありました。

サビのダンスは、最初は各グループごとで離れていたのが1グループずつ真ん中に集まって来て16人・32人のAiRBLUEを表現していて、やっぱり16人・32人でこれからもCUE!は歩みを続けて行って欲しいと強く願いました。

 

CUTE♡CUTE♡CUTE

「きゅんっ×4」

 

CUE!のライブでの初めてのアンコールの1曲目がこの曲なのはとても良かったですね。個人的には、なんだかんだアンコールは余興であるという考え方をベースで持っていて、CUE!もそういう考え方を持ってライブを構成しているコンテンツだと思っています。なので、本編で十分完結している上でのアンコールの1曲目としてはとしてはこの上ないと思いました。

最後安齋由香里稗田寧々がど真ん中でツーショットで抜かれててマジで爆笑しました。

 

さよならレディーメイド

「迷うことはない そう ここから始めるの」

 

1クール目がこの曲で終わったことを思い起こさせる、アンコールの最後の曲での起用でしたね。こちらも本編で十分完結した上で、アンコールでさらにアニメとのリンクを強める良いラストだったのではないでしょうか。

また、Start a new lineと銘打ったライブの一番最後の曲でも「ここから始めるの」と宣言するのは、一貫したメッセージを持っていたと思います。『スタートライン』や『はじまりの鐘の音が鳴り響く空』の「始まる」のではなく、さよならレディーメイドの「始める」。

 

おわりに

今回の3rd Partyはライブとしては非常に満足の行く、楽しいライブでした。このライブが「楽しい」だけで終わらないことがとても残念なくらいです。

ライブとしては、タイトル通りに「ここが新しいはじまりである」ということと、16人・32人の"それぞれの夢"を改めて強く印象付けて走り出すことがよく伝わったと思います。ただ、その「はじまり」が結局何のことなのかわからないこと、またそれの次の行き先が「Forever Friends」であることには首を捻らざるを得ません。本当に自分はこのコンテンツが大好きになったので、ずっと続いて行って欲しいですが、そのために自分ができることは新しくCUE!のファンになった方や、気になっているような方に向けてポジティブなメッセージを発信することだと思います(後はBlu-rayを買うことですね)。なので、これ以上は書かないでおいて、次回ライブを楽しみにして過ごしていこうと思います。(一応)アニメもまだ続いてますしね。

 

それでは。

夏川椎菜『コンポジット』に関するアンケート 集計結果

皆様、ブログではお久しぶりです。

唐突ですが、2月にあったこんなアンケートを覚えてますでしょうか。

 

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これは私が『コンポジット』を聴いた結果発作が起き、色々な夏川椎菜さんのファンの『コンポジット』に対する感想を収集したくて行ったアンケートでした。

皆様のおかげで、合計86件の回答を頂くことができました。本当にご協力ありがとうございました。

さて、アンケートを取って結果を見て満足していた私ですが、このアンケート、よくよく見るとこんなことを書いていました。

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はい、集計結果の公開をサボっていて申し訳ございませんでした。言い訳させて頂くと1月~3月は仕事に追われすぎていて手を付けることができませんでした。

ちょうど良いタイミングですので、417の日当日に合わせて、集計結果を公開させて頂きます。それではどうぞ。

 

 

 

設問1:今現在、あなたの夏川椎菜さんの活動に対するスタンスは以下のうちどれが最も当てはまりますか?

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この設問は、夏川椎菜のアーティスト活動についてどんなスタンスの人が『コンポジット』を聴いてるかを知りたかったために作りました。最近はTrySailを全然追っていないような夏川椎菜のアーティスト活動単体のファンも増えていたりとか、夏川椎菜本人は特に興味ないけど楽曲や参加している作家陣に惹かれている人も多い印象でしたので、そういう方々の『コンポジット』に対する感想も知りたかった、というところです。個人的に最も興味があったのは、雨宮天麻倉もものファンのこのアルバムに対する感想でしたが、私の交友範囲の問題でなかなかそういった方々へアウトリーチするのは難しかったです。

 

設問2:あなたが夏川椎菜さんもしくは彼女のソロ活動のことを好きになった・知ったのはいつ頃ですか?

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この設問は、ファン歴によって『コンポジット』に対する印象が変わるのではないか、と思い作りました。ここまで綺麗にいろんなファン歴の人に回答を頂けたのは非常に嬉しかったです。2014年以前が異常に多いのはこれもまた私の交友範囲の問題でしょうね(笑)。

 

設問3:あなたの『コンポジット』というアルバム全体に対する印象は以下のうちどれが最も当てはまりますか?

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この設問は単純にこのアルバムが好きか、そうでないかを聞いたものになります。『コンポジット』というアルバムはなかなかエッジのある作品ですので、思いのほか好き嫌いが分かれるのではないかと思いました。実際に、約2割の方は「あまり好きではない」「好きではない」との回答でした。ちなみに私は初聴では「あまり好きではない」、このアンケートもあって沢山聴いてるうちに「わりと好き」になって行きました。

 

設問4・5・6:『コンポジット』の新収録曲9曲のうち、あなたが最も・2番目に・3番目に好きな楽曲はどれですか?

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この結果を見た時、私は素直にすごいなと思いました。というのも、ここまで好きな楽曲がバラけるようなアルバムってなかなかないと思うんですよね。実際、アルバムのテーマの一つが「喜怒哀楽」であることもあって、色々な表情の楽曲が収録されているので、個々人の音楽の好み方によって刺さる楽曲が異なるのだろうなという気がします。そういう意味では、様々な人に対してアウトリーチができている、いいアルバムなんだなと感じたところです。

以下は、「一番好き」:2pt、「2番目に好き」「3番目に好き」:1ptと重み付けをして楽曲ごとにpt集計をした結果です。

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この重み付けをベースにした人気ランキングは以下のようになりました。

1位:すーぱーだーりー(60pt)

2位:ミザントロープ(54pt)

3位:ハレノバテイクオーバー(53pt)

 

すーぱーだーりーがトップになるのは個人的にはかなり意外で、てっきりハレノバテイクオーバーになるものだと思っていました。ただ、夏川椎菜の歌声が一番合うのはミザントロープやすーぱーだーりーのような「哀」よりの楽曲だと個人的には思っていて、この考えは夏川椎菜のファンの皆さんも割と同じだったということなのかなと解釈しています。私はミザントロープ、すーぱーだーりー、サメルマデの順に好きです。

 

設問7:『コンポジット』収録曲のうち夏川椎菜さんが作詞した楽曲で、特に好きな歌詞・フレーズが含まれる楽曲はどれですか?

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この設問は作詞家・夏川椎菜に対する評価を知るために作りました。やはりと言いますか、クラクトリトルプライドが圧倒的に票を集めていて、この楽曲の詞に背中を押されている人が多いことを感じました。

 

設問8・9:好きな歌詞・フレーズと、それが好きな理由を記述してください。

ラクトリトルプライド

「どんなに道が選べたって 遠回りする癖だもん」「悔しいのは 悔しいのは 全部、多分、自分 性分のせい」
  • 自分に当てはまる部分があるから。
  • 人生の分岐点で辛い方を選んでしまうタイプでとても共感したので
  • 自分を振り返った時にぶっささる
  • 夏川さんの好きな部分であるように感じ、自分のこととしても共感できるから
  • 夏川椎菜という人間がこのフレーズで見える。そこからさらに掘り進める事で彼女の沼にハマる一種の麻薬。知れば知るほどこのフレーズにゾクっとする。
  • 夏川さんと自分が重なるところだと感じたから
「ここにだけ居たいからさ ここにしか居れんからさ」
  • 生き方(スタンス?)を剥き出しにしている感
  • 今の自分が選んだ道に弱気になって気持ちが折れそうになったけど、諦めたくないなって思ってた時にこの曲がリリースされて踏ん張れたから
  • 他1票
「「どこに行っても僕は裸一貫」キラリ そんな真っ直ぐな奴に、勝てるわけないだろ」
  • ナン…わかるなぁ、と思うから
  • この部分に限らずtrysailの他メンバーを意識してそうなとことそのうえで自分のやり方を示すような等身大っぽい歌詞が全体的に好み
  • 他3票
「どんな無茶振りも「最高」って 飛び込んじゃえば、過程です!」「悔しいのも 楽しいのも ほら目を見て話すように それじゃ、受け取って」
  • 私は夏川椎菜のストーリー性が好きなので、夏川椎菜の過程を一番表現しているファーストプロットと繋げるのにこのフレーズを持ってくるのはやはり天才だなと感じたからです。
  • この曲がラストだったPre-2ndが最高だったから
  • 最初から終わりまで全体の歌詞の感情表現の流れ?ストレートに伝わってきて好きで、特にこのフレーズはAメロでは『どんな無茶振りもさぁ行こうって飛び込んじゃえば課題です』となっているのがラスサビでは『どんな無茶振りも「最高」って飛び込んじゃえば、過程です!』と移り変わった歌詞には語呂の良さも相まって強い思いが伝わってきたので大好きです。(日本語下手くそですみません...)
  • 生き方(スタンス?)を剥き出しにしている感
  • 私自身が目標のために無茶振りだらけ日々を生きているので、無茶振りへの前向きな姿勢が勇気をくれるから
「次はわかんないし またねとか言えんからさ」「繊細なところも 臆病なところも 感じられるところまで 投げといて」
  • 今の時勢にあっている
  • 他1票
「なんでもかんでもできるって 信じるだけは得意です」「派手なのと 飛び道具は 目立ちそうだし採用」
  • 夏川しか歌わなそうな歌詞だなぁってのが一番
  • 他1票
「空ぶった答えも 背伸びした答えも 反発だらけのプライドで 刻まれてくんだ」
  • 1票
「繊細なところも 臆病なところも 隠せないから投げるね 受けてみて」
  • 良いところだけではなく、自分の悪いところも曝け出す姿勢が好きです。
  • 他1票
「顔が赤くても 汗だくになっても 停まれないまらない それが"らしい"探して」
  • 格好をつけるのではなく、どんなに恥ずかしくても周囲から見れば恥ずかしいような格好であっても、自分"らしさ"を大事にする事が大事なんだと思える歌詞だから。
  • 他1票

 

ラクトリトルプライド、流石の票数でした。この曲は歌詞全体が今の夏川椎菜の想いを全てぶつけているので、色々な部分が好きというお声を頂くことができました。彼女の今の生き様に励まされているファンが多いことを改めて実感しました。私個人は「「どこに行っても僕は裸一貫」キラリ そんな真っ直ぐな奴に、勝てるわけないだろ」の部分がいいなぁと思いながら普段聴いています。

 

すーぱーだーりー

「ちゃちゃは イヤ」
  • 歌い方と相まってイイ
「この彩度に この明度に」「このさい どの角度からも」
  • 2サビ含め韻を踏んでいる気持ちよさ。
    「彩度」「明度」といった単語及び実際のサウンドからもキラキラした印象を受けますが、ヴォーカルは気だるく、また歌詞全体も俯瞰でみると"陰"の印象がありそのギャップがたまらなく好きです。
    今回のアルバムは全体的に攻撃的な曲が多いように思いますが、こんなかわいい曲で弱さを見せてくるのずるすぎませんか?
  • 歌詞と韻の遊びが好きだから
  • あんまり声優でしっかり韻ふめる人いないから
「言葉だけで わかろうとしてないよね?」「だからね?全部 説明してちゃキリないでしょ?」
  • 「めんどくさい女」の系統が思ったよりもしっかり”女”だったから。

    夏川は言葉選びがとにかく上手いし、トークやブログで自分の想いや考えていることを言語化する時、特に光るものがあると思っています。(自分が彼女を推している一番の理由は『夏川椎菜』という作品の物語性に惹かれてだと思います)

    本人もそうやって言葉で自分を表現することが好きだと思うし、夏川椎菜がめんどくさくてダルい女であることは普段から追ってる人間にしてみれば明白な事実なのですが、ただ、夏川の”だりぃ”ところは、物事をハッキリさせたいオタク気質な細かさだと勝手に思っていたので、すーぱーだーりーの歌詞は「え、お前が言葉で分からせてくるようなタイプの演者なのに、「そういうのってめんどくさいじゃん?」と言わんばかりの、こんな”The 女の子”みたいなこと書くの?」という意外性がありました。

    それでも何故か夏川が書いたんだなって分かりやすい詞でもあり、歌詞カードなんかは普段言わないことを言ってしまったが故の照れ隠し感があってそれも好きです。長文失礼しました。

  • 前述の部分の歌詞をこの後のサビの「どの角度からもほんのちょっと揺らいでいたいかも」で繋ぎ纏めるところが良い
「にあうから だけじゃないんだよ わかってよ それじゃあきいて、ねえ……」
  • 夏川椎菜作詞曲にしては珍しく「女」感が全開のフレーズなので
  • 髪を染める動機が似合う似合わないだけじゃなく自己表現・他メンバーとの差別化の要素もあるという妄想ができて楽しかったから
「はぁ……ダメか こんな 私じゃ それとも、このままでいいかなぁ?」
  • 昔は裏でこんな事裏で考えてたのかな〜とか考えてたらちょっとエモくなりました
    後、最後の言い方が可愛い

 

夏川椎菜作詞にしては女らしいフレーズが多いことと、サビ頭の韻の踏み方に注目したコメントを多くいただきました。曲調と詞の親和性も高く、楽曲人気で1位だったのも納得です。「髪を染める」ことに関連付けたご回答もいただきましたが、これは実は私も考えていたことなので、同じようなことを思う人がいてちょっとだけ嬉しかったです(笑)。

 

トオボエ

「唯一の勇気が 弱虫な遠吠えなら どこかで 指をさされていても 構わないから」
  • かっこいいタイトルや疾走感のある格好良いロックから、大サビで弱さを見せつけているギャップ
  • 他1票
「全身全霊の助走 見せながら 隠した 歩みの意味を 叫んでたいよ」
  • パレイド、ステテクレバー、ファーストプロット、キミトグライド、HIRAETHなどこれまでの楽曲との繋がりから今後の夏川さんを予期させるものだったから
「縋ったもん 手放したのは 嘘じゃないから」
  • このフレーズでは一途に夢を追うアニメの主題歌のような旋律に乗せ、あえて主人公が一度夢を捨てたことを示唆している。ここに、夏川さん自身の葛藤と決意が読み取れるから。
  • 他1票
「大胆に転んで つくアザは 歪でも 証だってわかんだろ」「自ら歩んだ 結果なら 歪でも 証だってわかんだろ」
  • 全力出してうまくいかなかったときにかっこ悪いな…と無意識にセーブしてしまう自分を奮い立たせてくれるから
    夏川椎菜さんの今後のアーティスト活動への抱負も含まれている気がして好きです
  • 「どういう結果で周囲にどう取り繕っても、自分がどうなったか、本質みたいな所は変えられない。」というのをこの歌詞から感じています。
    自分には耳が痛くなるような言葉ですが、曲として流れてくると丁度良い具合で捉えられるので気に入っています。
「正しさや 努力じゃ頼りないけどそれでもいい」
  • 1票

 

カッコイイ曲調と詞のギャップや、今までの活動を踏まえた今後への抱負としてとらえられるところが良い、というようなご回答をいただきました。この曲は私自身は当初歌詞にあまり注目せずに聴いていたので、このアンケートの結果を受けて聴きなおし、受け取り方が変わりました。そういう意味では、このアンケートを実施した意味の一つだったと思っています。

 

ボクはゾンビ

「どーせなら、噛み付いて理解者(なかま) 増やすか?」
  • 読みは同じだが歌詞が進むにつれて当て字が変わってく様。ちゃんと歌詞カードを読んだ人だけに伝われば良い、みたいな気持ちを受け取りました。
  • 「どーせなら」の少し投げやりな感じと「噛み付いて」のゾンビとかけた尖った在り方、当てる漢字はいろいろですが「なかま」を増やしたいという滲み出る欲求がワンフレーズで垣間見えるから。
  • 毎回違う漢字を当てていたり、夏川さんのスレ具合が伝わってくるので
「生きてるうちから ゾンビだ」
  • シンプルなフレーズだけど、この視点を思いつくのはすごいと思った
「何を 抱きしめたって 誰が 寄り添ったって 嫌んなんだな こんなボクが」
  • ゾンビ というテーマの中に夏川さん自身の感情、性格などを投影していて、ボカロチックな曲調の中で自分の弱さを吐き出している新鮮さにグッときたから
「溜まるもんが 揺らして 見えていた 景色がブレていく ピント合わないけど キレイだなぁ……」
  • 『ボクはゾンビ』のラスサビの頭のフレーズですが、涙で滲んだ景色がビジュアル的に想像できるのが良いという点と、「景色がブレていく ピント 合わないけど」は、なんかゾンビっぽく体がおかしくなっていく雰囲気もあって、涙とゾンビというこの曲の特徴が凝縮されているところが好きです。
  • 直後の巻き戻しSEからラスサビに戻っていくギミックも含め、シーンをすごくよく想起できる。曲の中で個人的に一番「ゾンビ」を感じられる部分だから。
「立ち上がって、転んで、顔上げて たまに一歩進むよ」
  • どんなに無様でも自分の意思で進むと宣言されているようで、そんな背中を追いかけたい気持ちにさせられるから
  • 他1票
「滑稽だろうな、笑えよ」「ダッセェだろうが、笑うよ」
  • ボクはゾンビを聴いて一番最初に耳に残った歌詞。曲のリズムと合わせて聴いていて気持ち良い
  • 反骨精神
「過ぎたことばかり 思い出して キツくなったって なんも得になんないね」
  • 曲の頭からとても共感してハッとさせられた

 

この曲の歌詞は夏川椎菜独特の表現が満載で、票が多く集まったのも納得です。ゾンビをテーマとしながら、夏川椎菜の中にある反骨精神が上手く表現された詞になっていると思います。楽曲としても面白いギミックが散りばめられていますが、歌詞の点でも「なかま」の歌詞カードでの表現の違いというような点も、細かいですがファンには刺さるところだと思います。

 

烏合讃歌

「烏合になったのだ!」(Cメロ全体)
  • 「どうせ俺ら個人は弱い」ということを、いかにも夏川さんらしい言い回し(怪文書的な表現)で表現してくれてると感じたから。
  • カワイイ
  • 他1票
「反旗翻し、いざ進め! 負け損ないの挑戦者」
  • かっけー
  • 他1票
「「だよな」って空気に染められた その定石を砕いて」
「我ら天下一ヤワな羽毛な群 高らかに宣誓しよう」
  • 「どうせ俺ら個人は弱い」ということを、いかにも夏川さんらしい言い回し(怪文書的な表現)で表現してくれてると感じたから。
  • 夏川さん自身もインタビューで仰っていたのですが、夏川さんの性格と、それに着いていくヒヨコ群のことをすごく良く表現していると思います。
  • ヒヨコ群の意識を高める感じがあっていい
  • ファンの総称(夏川さんの場合はヒヨコ群)はファンにキャラクター性を付与するという意味でコミュニティ形成の重要な要素である。一方で、それは本人のイメージや活動にも度々還元されることがあるが、今回の烏合讃歌はまさにファンのための曲であり、夏川さんから見たファン像もこの曲の歌詞に反映されていると言えるだろう。夏川さんはラジオなどで時折自身のことをクソザコだと言っていたり、リアルが充実している人間に対して荒んだ態度を取ったりと自身が世間的なマイノリティに属していることを強調している。大きく括ってしまうが、オタクにはマイノリティに属したがる(所謂「逆張り」な)人種が多く、当然ヒヨコ群にもそのような夏川さんの態度に共感してファンになった人は多いだろう。そのようなマイノリティ性や社会一般から見れば弱い立場にいることを加味すると、上の質問で挙げたフレーズはそういったヒヨコ群の側面を一言で表現している。また、ここから先は私の完全な私見である。この曲のモチーフとなっている「烏合の衆」は群れるだけで統率の取れていない騒がしいだけの存在という本来ネガティブな言葉だが、推しに対するモチベや求めているものがバラバラなオタク集団とも重なるところがあり、自分が好きなように推すことが一番大事だと思っている私にはポジティブにも取れるオタクの習性なので、自分たちヒヨコ群のことを烏合の衆をもじって羽毛の群と例えられることを非常に気に入っている。

 

烏合讃歌はヒヨコ群に対して直接的なメッセージを込めた楽曲で、実際にそれを受け止めた方々からの票を頂きました。個々人の弱さを表現しながらも、コミュニティとしての統一感を高められる楽曲であるところが良いという意見が多かったです。

 

総評

改めまして、ご回答頂いた86名の皆様、本当にありがとうございました。様々なご意見を頂いたことで、私自身の『コンポジット』に対する見方も深めることができたと感じています。

夏川椎菜本人も言っていたと思いますが、このアルバムは色々な表情を詰め込んだもので、そのためファンの好きな楽曲も個々人によってかなりバラバラであるということが今回のアンケートで可視化することができ、とても面白い結果となりました。また、作詞家・夏川椎菜の評価の高さや、彼女の詞や表現を受け止めて自分を奮い立たせるファンの想いも強く感じることができました。

私自身はなんだかんだ夏川椎菜のことを好きになってから7年程経ちましたが、新旧様々なスタンスのファンを抱えながらも自分のやりたいことを見つけて、それを真っ直ぐに突き進めて行く今の彼女のことも好きだなと感じている次第です。これからも夏川椎菜の活動がどんどん進化していくことに期待したいですね。

 

ばいなーんす。

 

CUE! 2nd Party「Sing about everything」

こんにちは、1週間ぶりです。

この短期間で連続して記事を書くのはこのブログ開設当初のミリオンライブ3rdツアー以来5年ぶりです(ミリオンライブ3rdツアーからもう5年!?!???!?)。

 

さて、皆さんご存知の通り、先日8月15日にCUE! 2nd Party「Sing about everything」が開催されました。私は昼公演は現地で、夜公演は配信で見ました。

本記事はこのライブの感想記事になりますが、当初この記事はもう少し後に書くか、もしくは全く書かないかのどちらかになると思っていました。ブログ記事を書くのは大変なので。

ところが昨日、こんなお知らせが入ってきました。

 

 

島鉄平、鶴野有紗め……憎い、憎すぎる。流石にこの放送の後に感想ブログを書くのは野暮にも程があるので、重い腰を上げて必死にこの記事を書いています。

 

それでは、記事の方に進みたいと思います。

 

総評

このライブの総評としては、キャラクターの「実在性」に強くフォーカスした構成や演出によって完全に感情を破壊された、という感じです。

CUE!のアプリサービス停止以降、我々は本当にキャラクター達の実在性を感じることができなくなっていたと思います。CUE!&AではPick up CUE!のコーナーがキャラクターの紹介コーナーと化したりしていましたが、概要だけでは実在性は感じられません。その分、停止から4ヶ月の空白を全て埋めた上で溢れさせると言わんばかりの朗読脚本・セトリ構成・演出・振り付けの完成度だったと感じます。

今まで色々な二次元コンテンツのライブに行きましたが、この4ヶ月の空白による補正もかかって最も「キャラクターがそこにいる」ことを感じたライブだった気がします。「実在性」に触れて涙が止まらなくなったのはそれこそ冒頭で触れたミリオンライブ3rdツアー仙台公演以来な気がします。それほど私も、周りのCUE!を追っていた人たちもキャラクターたちに触れることを渇望していたんだと思います。ライブが終わってしまった今、CUE!の楽曲を聴こうとしてもライブのことが一瞬でフラッシュバックして感情を乱されることが分かりきってるので、未だに音源を一度も聴けていないです。それどころか、自分で口ずさんだマイサスティナーの歌詞を噛み締めて涙ぐんでしまうレベルで、魂に刻まれるライブになりました。

また、同じライブに参加していたフォロワーがツイートしていた「まだコンテンツに狂うことができて安心した」というのにも共感しました。日々見るアニメの本数も減っていき、昔ハマったコンテンツからも離れていき、コロナ禍でたまに行くライブ(それも基本UNISON SQUARE GARDENかDIALOGUE+)で音楽を浴びて気持ち良くなるくらいしかできなくなっていた中、CUE!は本当に久しぶりに楽曲、キャラクター、ストーリーの全てにのめり込めるコンテンツでした。そんなコンテンツの初めてのライブ参加で大きかった期待を遥かに超えたものを見せられ、心が動かされたということ自体も嬉しかったし、これからも追っていきたい気持ちを改めて強くすることができました。

以下、現地で見た昼公演の話を主体に、特に私の心に大きく響いた箇所について書いて行きたいと思います。

 

さよならレディーメイド→私たちはまだその春を知らない→マイサスティナー

陽菜が手紙を書くところから、さよならレディーメイドのイントロをバックに、演者の入場からライブは始まりました。CUE!の始まりの2つの楽曲のうち、Forever Friendsは夢への道を進んでいった後の話をする未来の話をする一方、さよならレディーメイドはこれから夢への道を進んでいく今の話をする楽曲だと感じています。そんな今の話をする楽曲からライブを始めるのは納得だなと思います。

2曲目は僕たちはまだその春を知らない。この曲は僕がCUE!楽曲を初めて一通り聴いた後特に耳に残っていた曲なのですが、セトリ落ちする可能性も少しあるなと思っていたので、いきなり来てくれてとても嬉しかったです。さよならレディーメイドからのハイテンポな流れも心地良かった。

そして次に何が来るかと思った瞬間、MCが始まりました。そこにいたのは2番手組でした。

舞花 やっとここまで来た。やっと会えた!今、みんなどんな景色を見てる?

絢 俯きがちな私に「さよなら」をしたら、言葉にできないくらい素敵な景色が今広がっている。

聡里 そうね。景色は進む、季節が変われば景色も心も変わる。私も今最高の景色を見てると思うわ。

千紗 ふふっ。季節も、それから期待だって越えて、私達は歌を繋いでいくの!

 

(ライブパンフレットより)

このMCを経てマイサスティナーのイントロが流れてから曲が終わるまで、もう涙が止まりませんでした。このライブで一番泣くのがこの楽曲になるとは開演前は思っていませんでした。「空白」を経たこの楽曲は、私たちが見ることができない場所でも彼女たちが確実に夢への道を進み、戦っていることを示していました。さよならレディーメイドとマイサスティナーの2曲を手掛ける奈須野新平氏、最もCUE!の本質を捉えている人間なのではと思ってしまいます。そして更に、曲に入る前のMCによってその「実在性」は圧倒的に強化されていました。彼女たちが歩みを止めていなかったという事実が本当に嬉しかったです。

また、サビの「君から君へと」繋げている振り付けで更に涙腺が決壊しました。FUNBARE☆RUNNERの振り付けを初見で号泣した人間なので、こういうのにめちゃくちゃ弱いです。そしてラスサビでは一列に並び向けられる手は観客席の方になり、本当にそこにはマネージャーと話したいことが沢山ある16人が立っていました。今すぐ立川ステージガーデンに沢口かなみ先生の銅像を建てましょう。

 

ぐっばいおぶじぇくしょん

ありがとうNAZO-NAZE Jumping!衣装。

ありがとう安齋由香里さんの顔とケツ。

 

Land"e"scape

開演前、冗談半分で来るかもとか言ってたやつが本当に来てしまった。

バックスクリーンに「オーバーライド・レジェンダリ」ではなく「空繰戯曲グレイゼファー」の文字が出てきた瞬間、脳が飛びました。

「空繰戯曲グレイゼファー」は前回記事で書いたオーディションモードで、キャラクターたちがオーディションに挑戦するアニメなのです。また、音源化されておらず、ゲーム内ですらフル音源は未公開でした。昼の部はアーカイブがないので(なんで?)今やこの楽曲の一部ですら聴く手段は2つしかありません。


www.youtube.com

 

 

ゲームのオーディションの思い出に浸りながら、「この曲は下手すると二度とフルで聴けない」という気持ちでじっくりと聴いていました(3階1列で立ち禁だったので)。Birdの4人が中央に手を集めた後外に飛び出していくような振り付け、ラスサビの飛び立つような転調、私も一緒に飛びたてるような気持ちでした(本当に飛び立ったらそのまま1階に転落して死ぬところでした)。

 

雫の結晶~Forever Friends

この項で最後まで行っちゃいます。それほどここは一括で語らないといけないものでした。

アニメの詳細時期発表とPVが発表され、会場が大きな拍手で包まれた後、雫の結晶が始まりました。もうこの曲は本当に言うことがないです。この曲が終わる直前、僕の脳は「次にカレイドスコープが来る」と警鐘がなりまくっていました。

本当警鐘の通り続いたカレイドスコープは、前回記事でも述べた通りCUE!で一番好きな楽曲の一つで、この日聴くのがとても楽しみかつ怖かったです。日名倉莉子さん/鶴野有紗さんが笑顔で歌っていたことも印象的でしたが、個人的には鷹取舞花さん/稗田寧々さんの歌声の力強さを改めて感じました。1stライブで日名倉莉子さん/鶴野有紗さんがカレイドスコープ落ちサビを歌えなかった時でもブレなかったですし、特にマイサスティナーやカレイドスコープなど前に進む意志が強い楽曲において、彼女はいつでも信念を持って前を進む歌声を響かせてくれ、それは本当に鷹取舞花その人なのです。私はFlowerのストーリーを読んだ時点ではあまり鷹取舞花さんが好きではなかったのですが、カレイドスコープのストーリーを経て大好きになり、稗田寧々さんはこの「好き」を更に加速させるようなパフォーマンスを毎回してくれます。

このゾーン最後は初披露の白い沿線でした。この曲もとても好きな曲です(作曲渡辺翔・編曲倉内達矢、本当にありがとう)。このブロックの3曲ではバックスクリーンでずっとゲームのカードの映像が流れていたのですが、「走馬灯のよう」とはまさにこのことなのだな…と思いながら眺めていました。白い沿線のアウトロが終わると、列車の汽笛の音が鳴り、次のブロックへと進んでいきます。これを聞いていた当時は「汽笛鳴ってんなー」というくらいにしか感じていなかったのですが、よくよく考えるとこの演出に意味がないわけがないんですよね。という訳でこじつけ考察をしていきますが、このブロックでは背景映像がずっとゲームのカードだったのが、次のブロックでは一貫して実写MVが使われています(アニメMVもあるbeautiful tomorrow・ミライキャンバス含めて)。この汽笛は、ゲームへの別れを示しているという解釈ができると思います。そして、白い沿線→最高の魔法で季節のバトンをキャラクターから声優へと渡し、beautiful tomorrow→Colorfulと季節を重ね、今と未来を見るミライキャンバス→Forever Friendsという流れに繋がっていきます。私はミライキャンバスのアニメMVが大好きで、このMVだけでCUE!の魅力が大きく詰まっていると感じています。特に落ちサビでの実写MVとの共通構図やリップシンクで毎回鳥肌が立ち、今回のライブのミライキャンバスで後ろでこの映像を流されたら割と大袈裟ではなく死ぬと思っていました。ただ、今回のライブでは最後のブロックはあくまでバトンを受け取った声優の皆さんが繋げていく構成だったので、これは実現しませんでした。是非とも次のライブではゲームが復活した上で、この演出を実現してほしいなと思っています。

 


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以上、今回のライブの感想でした。ここ数ヶ月、このライブのために生きてきたと言っても過言ではなかったので、その期待をはるかに上回るものを見せてもらえて感無量です。2022年1月のアニメ化までこの火を絶やさずに、そしてゲームの早期復活を願いながら、このコンテンツを追い続けたいと強く感じています。まだCUE!のことをあまり知らない皆さまは、是非とも2022年1月からのアニメCUE!をよろしくお願いします。

 


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ライブを見てない方はまだアーカイブありますので、是非。

zaiko.io

 

ライブ前に書いた私のCUE!への想いは以下の記事です。

s-mar31.hatenablog.com

 

「それぞれの星たち」と「紡いだ星座」

ブログではお久しぶりです。

いよいよ、CUE! 2nd Party「Sing about everything」が明日に迫ってまいりました。

3か月半前、4月30日にCUE!のゲームがサービス停止してから、アルバムで新規曲の追加があったとはいえ、コンテンツを享受する手段が楽曲を聴くか、ラジオ「超!CUE!&A」を聴くの2つにほぼ絞られてしまっていました。そんな中、生楽曲披露に加えて、久々にキャラクターやストーリーの直接的な供給があるSing about everythingは、本当に楽しみで待ち遠しいです。

今回は、Sing about everythingを迎える前に、自分がCUE!というコンテンツに触れるきっかけから、このコンテンツの個人的に感じる魅力について、一区切りとして書いていきます。あまりCUE!のことを知らない私のフォロワーから見ると、「こいついきなりCUE!にハマったけど、何が起こったんだ…?」と数か月前に思われていてもおかしくないと思っているので、この記事を読んでその経緯を知ってもらい、同時にこのコンテンツに少しでも魅力を感じてもらえると嬉しいなと思っています。

それでは、記事本編の方に入っていきます。

CUE!との出会い

私がCUE!というコンテンツに触れるきっかけとして、最も源流をたどるのであれば、それは安齋由香里さん(の顔)になります。安齋由香里さん(の顔)に興味を持って、「超!CUE!&A」火曜日を聴くことがなければちゃんとCUE!に興味を持つことはなかったと思います(ちなみにこの記事の前半はまさに「超!CUE!&A」火曜日を聴きながら書いています)。本当に安齋由香里さん(の顔)には感謝しているので、次安齋由香里さんとお話する機会があればちゃんと「安齋由香里さんの顔のおかげで、CUE!という素晴らしいコンテンツに出会うことができました、ありがとうございます」とお礼を言いたいと思っています。前回お話する機会では「顔が好きである」ということしか伝えられなかったので。

話が脱線しましたが、そこからラジオ内で流れたCUE!の楽曲を聴き、自分でSpotifyでコンテンツの全楽曲を漁りハマって行ったことを覚えています。

そして、ちょうどやってるソーシャルゲームがなかったこともあり(私は同時に1つまでしかソーシャルゲームをできません)、2月6日にアプリゲームのCUE!を始めました。

はじめてすぐ、「声優にとって大事な可愛いは顔のことじゃない」やら「女優は優れた女じゃなきゃダメ。声優はさらに、声が優れなきゃダメ」などと、声優を追うキモオタクとしては反応せざるを得ないセリフがバンバン出てきて面白かったです。

ゲームのシステムについて踏み込むと、リズムゲームが主体となっている近年の美少女系のアプリゲームの中で、CUE!はリズムゲーム要素はなく、基本的に引いた声優のカードを育てて、配役やコンボを考えながら収録というポイントを稼ぐモードをプレイしていく、いわゆるポチポチゲーでした。

声優のカードを育てるのにはレッスンという周回作業をこなすことになります。リリース当時はこの周回作業を行っている間はずっとアプリを起動している必要があったらしいのですが、私が始めた時点ではオートレッスン機能があったので、たまにアプリを起動するだけでゲームを進めることができました。また、レッスンの演出の中で明らかにパチンコを意識させるものがあり、脳みそが疲れ切っている時にぼーっと眺めていると不思議と気分が良くなるものでした。

また、いつ実装されたのかは分からないのですが、私が始めた頃には既にオーディションという新しいモードが実装されていました。このモードは、いわゆるパワプロシャニマス的な育成モードで、一人の声優(キャラ)がオーディションを受けるまでのレッスンの指示をしながら、他のキャラとの交流を楽しむモードでした。ゲームを始めたての頃は、このオーディションモードが各キャラの人となりを知っていくのに素晴らしかったです。また、シャニマスのTrue Endのようなクリア条件(Sランククリア)があり、この条件でクリアすると特別なストーリーを読むことができ、サービス終了直前にはできるだけ多くのSランククリアを開放することに躍起になっていました。

 このように、いわゆるポチポチゲー要素と育成ゲー要素を併せ持っていたCUE!は、リズムゲームをプレイするのがしんどくなってきたうえに、シャニマスにも飽きていた自分にとって、ちょうどやりやすいゲームでした。ただし、CUE!の最大の魅力はそのゲーム性よりも、非常に力の入ったストーリー群であると言えるでしょう。

CUE!のストーリーは、レッスンを進めてレベルを上げていくことで開放できるメインストーリーと、キャラのカードをガチャで引いて親愛度を上げることで開放できるキャラエピソード、そしてイベントを進めることで開放できるイベントストーリーの3つが主になっています(一応レッスントークとリンクストーリーという短いのもあります)。今回は、特にメインエピソードに注目して、このゲームのストーリーについて自分の感じるところを語っていきたいと思います。

それぞれの夢と繋ぐ絆

まずCUE!の設定について知らない人のために説明すると、CUE!には16人の声優のタマゴがキャラクターとして登場し、この16人はAiRBLUEという同じ事務所に所属しています。そして、16人は4人ずつの4グループ(Flower, Bird, Wind, Moon)に分けられ、各グループとして売り出されていきます。また、メインエピソードの最序盤で16人は一つ屋根の下、同じ寮に住むことになります。序盤の4つのストーリーで各グループを掘り下げ、それぞれが最初のアニメ出演に至るまでの軌跡を描いています。各グループのストーリーがひと段落すると、そこからリリースされた『beautiful tomorrow』、『カレイドスコープ』、『最高の魔法』の各楽曲の名前を冠したストーリーが展開されていきます。


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CUE!がアイマスラブライブ!ナナシス等の二次元アイドルコンテンツと異なるのは、あくまで登場するキャラクターは「声優である」ということで、CUE!は彼女たちが「声優である」ことをとても大事にして展開されています。声優という職業は、基本的に孤独であると僕は思います。あるオーディションを受けるとして、それに合格できる人数は多くても数人。声優として売れるには、自分が選ばれるような自分にしかない表現・魅力を身に付ける必要があり、それを磨くことは孤独な過程になるでしょう。また、声優という職業に就くにあたってのスタンス・目標・夢も個々人で異なるため、全員で同じ未来を夢見るということにもなりません。実際に、高校生のキャラクター2人が「声優という職に就くにあたって、大学に進んでちゃんとした教育を受ける必要性」に対する意見の相違で喧嘩する、というような描写もあります。

CUE!はストーリーの最序盤こそ、各グループごとに練習を重ねていき、その結果グループ4人全員が同じアニメのオーディションに合格するという、割と都合の良い話になっています。しかし、シングル表題曲のストーリーに進んでいくにつれ、各々のキャラクターがそれぞれで仕事を取るようになりはじめ、差がつくようになります。そして、『カレイドスコープ』ではついにAiRBLUEの事務所内部で同じパイを争う展開になります。


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上の予告映像でも流れる「お前が夢を語らなくなったら、その時はもうライバルなんかじゃないからな」「舞花の次の数と、あたしの次の数。多分、違うんだよね」と言ったセリフからも読み取れますが、このストーリーは終わり方を含めて綺麗事がなく、私含めてこのストーリーでこのコンテンツにさらに深くハマるようになった人は多いのではないかと思います。また、CUE! 1st Anniversary Party「See you everyday」においても、先ほどの予告映像で使われたセリフが演出として大事に使われており、製作陣のこのストーリーへの想いが強く感じられます。

一方で、各キャラクター間の繋がりや絆に関しても非常に豊富に説得力をもって描かれています。これらの表現がちゃんとした説得力を持てている要因は何なのかを考えます。まずは、全員が同じ事務所に所属していることが挙げられますが、現実において同じ事務所に所属しているというだけで全ての声優さんが仲良くなるということには全くなりません、せいぜい良い友達になる可能性がある、くらいでしょう。2つ目として、(4人ずつは)グループとしての活動をしているということもありますが、これも現実でグループ活動をしている声優やアイドルを思い浮かべても、あまり当てはまらないのではと思います。設定上、CUE!のキャラクター達が一緒に活動をしている時間はせいぜい1年程度なので、この期間でグループ活動だけで絆を深める、というのは説得力を持たせにくいと思います。

ではどこがポイントなのかと言いますと、「16人が一つ屋根の下、同じ寮に住んでいる」という点ではないかと思います。実際、ストーリー内では寮での会話描写がとても多く、仕事のみならず私生活も共に過ごすことによって、絆を結んでいく描写はとても素晴らしいです。また、4人ずつのグループを超えたコミュニケーションも、全員が同じ寮に住んでいることによってすんなりと受け入れることができます。実際に、各シングル表題曲のストーリーは4つのグループから1人ずつが中心的人物として選ばれており、このメンバーが楽曲の落ちサビを歌うという構成になっています。絆に説得力を持たせるために声優が寮生活をしているという設定に至るのは、非常に面白いです。

以上より、CUE!のストーリーのバックボーンとして、「声優という個々人でしか描けない夢」「同じ屋根の下で暮らしながら育んだ絆」という2つを特に大きく私は感じています。

楽曲との繋がり

この2つのテーマは、CUE!全体楽曲の歌詞にも散りばめられています。以下、何曲かピックアップして個人的に好きなポイントを紹介していきたいと思います。

Forever Friends

 一人じゃ生きてゆけない僕らは

それぞれの道 歩きながら

ねえいつだって 違う場所で

思い出して笑っていて

まず、最初のシングルの表題曲『Forever Friends』の1サビから見ていきます。私はCUE!のゲームを始める前、まだキャラクターやストーリーのことを知る前にこの楽曲の特にこの1サビ部分を聴いた時、少し違和感を感じました。というのも、「それぞれの道」「違う場所で」と、「一人」であることをとても強調するように感じたためです。この違和感は、私が最初は「二次元アイドルコンテンツ」としてこの楽曲に触れたため生じたと思っていて、先ほど述べた「個々人の道・夢」と「16人の絆」という観点に照らし合わせると答え合わせができます。

私たちはまだその春を知らない

笑って笑って 大切なものはあるかい

歌って 風に舞う花びらのように

いつか一人一人になる時に

どんな色が(ねぇ)見えるのだろう

君が空に 聞いた 

走って走って この空の隙間に

歌って 飛び立つ鳥たちのように

いつか一人一人になる時に

どんな月を(ねぇ)見上げるとしても

いつも心 繋いで

続いて、2ndシングルのc/w『私たちはまだその春を知らない』のサビです。この楽曲は最初から最後まで、一人一人の道に進んだ未来の視点から見た(ストーリーで現在進行で進んでいる)今のかけがえのなさを歌っています。1サビと2サビの歌詞で花鳥風月がそれぞれ含まれているのがとても好きです。

マイサスティナー

ここに立つボクら 選んだのはそうボクら

奮い立てよ Believe in Mine

かけがえない絆を伏せたら(伏せたら ah)

前を向けよ キミは

もう飛んでいけるんだ(もっと高く)

どこへ向かうボクら 待つのはとうに慣れた

狂い咲けよ Free your Mind

躊躇わない 夢すら踏みしめて(夢すら ah)

前を向けよ キミは

もう走り出した(どこより高く)

3曲目は、アルバム『Talk about everything』に収録されている『マイサスティナー』です。この楽曲は自分の夢へ次を踏み出す意志を強く感じさせます。その中でもサビではなく、Bメロの部分を抽出しました。1Bと2Bのそれぞれで「絆」と「夢」が出てきますが、それぞれ「絆を伏せたら」「夢を踏みしめて」という、なかなか出てこない単語の組み合わせとして現れます。大事な絆や夢を抱えながらも、いったん目の前の一歩を進むために覚悟を決める、というようなニュアンスという風に取れて、私はこの2つの表現がとても好きです。

カレイドスコープ

 10年後の君は今何を見てるの

 この空の下で きっと思い出して

それぞれの星たちを一つ一つ繋いでいた

君と描いてた カレイドスコープの空

紡いだ星座は消えない

CUE!で最も好きな楽曲の一つです。サビ部分の歌詞だけではなく、楽曲全体として個々の夢とそれを繋ぐ絆について歌っています。この楽曲で出てくる「星座」は、人と人を繋げるという意味と、刻と刻を繋げるという2つの意味を持っていることも、素晴らしいです。

まとめ

このように、CUE!というコンテンツは声優という職業を題材として、「それぞれの星たち」と「紡いだ星座」を、ゲームのストーリーや楽曲の詞を通じてとても丁寧に描いているコンテンツだと私は考えています。明日の「Sing about everything」において、自分にとって初めてのCUE!の生歌唱や生朗読を体験できると思うと、本当に楽しみで仕方がありません。今回はこの「Sing about everything」を体験する前と後では、またコンテンツに対して感じる考えや想いが変わると思い、このタイミングで筆を執らさせていただきました。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

早くゲーム帰ってきてほしいしアニメ化の話も進んでほしいな……。

 

 

※引用されているツイート内にて用いたゲームの画像は全てLiber Entertainment Inc.の著作物です。