スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

Prologue:THE LAST ROCKSTARS Live Debut公演までの(俺の)40DAYS

2022年11月11日。私がこの10数年で最も大好きなロックスターことMIYAVIが"LAST ROCKSTARS"を名乗ってしまいました(名乗らせれたとも)
1回で解散したS.K.I.N(YOSHIKI,Gackt,SUGIZO,雅~miyavi~)の前例から「観られるうちに…」と面白がってチケットを買ってしまったのですが(しかも高い)よくよく考えるとバンドの成り行き次第では彼が特に独立後の10年間で得てきたプロップスが揺さぶられかねない状況です。
大好きなMIYAVIの経歴にキズが付かないだろうか…ライブをこの目で見届けるまでバンドの成り行きに一喜一憂UP&DOWNし続けた日々を備忘録として綴ります。ネガティブな内容も含みますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
振りかえると、まるでアーティストにありったけの思いをぶつける学生の頃のようだ…。

会見に突っ込みをいれていてはキリがないので、12月から…

12月16日
あのド派手な記者会見から1か月経つなか、バンドが殆ど音沙汰なしという点に疑問を抱きはじめる。そもそもフルMVも音源も公開せずにプロジェクト御披露目するとかありえないし、情報過多のこの時代に致命的だよね…。
Yよ、パリで優雅にバカラシャンパンの打ち合わせをしている場合か…
⇒DOWN
https://www.instagram.com/reel/CmN5ddrgQj0/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

私はX JAPAN&YOSHIKIはふわっと応援するスタイルなのでY氏の数々の所業やアルバムに関する諸々も笑っていられましたが、今回は本命アーティストが参加する本命バンドなのでそう笑っていられないことに気づくのでした…。

12月17日
LUNA SEA『黒服限定GIG 2022 LUNACYに参加
ライブがとても素晴らしく、ド頭に登場したSUGI様の歪んだViolinや『BRANCH ROAD』などで聞ける圧巻のギターワークに改めて痺れる。生の爆音だからというのもあるだろうが、数多のギタリストの出す音とは比べ物にならない迫力よ。
この人がいる限り大丈夫だ…と心を持ち直す。
⇒UP

12月19日
THE LAST ROCKSTARS(以後TLRS)、紅白出場の報道
まあYOSHIKI枠でやっぱりでるのねという感じ。むしろMIYAVIがLDH紅白出場タスキを繋いだことが面白かった。とりあえず年末への楽しみができた!
⇒UP

このあたりでNew Jeansの神曲『Ditto』がリリースされ、新世代アーティスト&クリエイターの矜持を見せつけられる。YOSHIKIよ、これが2022年の音楽よ。貴方はこの世界へどう立ち向かう…?
⇒STAY
https://youtu.be/V37TaRdVUQY

12月20日 
1stシングルの配信リリースが突然決定
MVの断片もアップされ、音も会見時より良くなっていた。この状態に仕上げてから会見しろやと。
リリース元がはっきりしているばかりか、Virgin Musicの系列に新しいプラットホームを立ち上げたということでその本気度にも一安心。
⇒UP
https://twitter.com/LAST_ROCKSTARS/status/1605002008909398016?t=K5C_Tu1kaqRgGyKaBJZVVw&s=19

12月23日
配信開始。仕事に集中できず、フル音源を昼休みに聴く。
直会見での披露時から頭の中で賛否両論だった例の「Bigidin Bigidin Bang Bang Bang~」が曲中で有効に機能していたことに驚き、そもそもYOSHIKIが新バンドで新しい1手を出してきたことにも驚き嬉しく感じた。一方で肝心のギターはこれ…?
⇒2UP&1DOWN

同じく12月23日
MステSUPER LIVEをTV鑑賞
MIYAVIがランペちゃんとコラボで出演。この人がいる限り~以下略
⇒UP

時期がどのあたりだったか怪しいが、このあたりで会員限定のHYDE CHANNELの配信内容が漏れ伝わってきたように記憶している
「曲数も足りないので各々のバンドの曲もやったりするかも…」という。
これが私がバンドに抱いていた期待を反転させ、一気に不安で揺さぶられた。
4人のセッションバンドならわかるが、世界の音楽シーンに打って出ると立ち上げた新バンドでなぜ基本的に国内でしか通じない内輪向けな行為をするのか…。海外へ…というのは本気じゃないのか?と勝手に失望すら感じた。
⇒4DOWN

12月31日
紅白歌合戦をTV鑑賞
H&Y(←アパレルみたいに呼んでみた)の衣装が正直ダサくSUGI様も短パンの黒限仕様でおいおいと思ったが、我らがMIYAVIのタトゥー隠しを兼ねた長身タートルネック姿のカッコよさよ。
当て振りとはいえステージングはカッコよくて一安心(ただしYOSHIKIは全然できていなかった)。
脳内にいる「90年代V系好きな自分」と「現行ミュージックシーンを追っている自分」の二人の私どちらから見ても良かったように思う。
⇒UP

1月初旬
年越し配信の切りぬきを視聴
泥酔し王様気分のYを3人が流しあしらい諌めるシーンなんかもあまり良い気はしなかったが、最大のトピックとして紅白出演後の舞台裏で早速バンドの存続に関わるようなギリギリの話し合いがあったという。
HYDESUGIZOのコメントから推測するに、どう見てもYOSHIKIとMIYAVIがケンカしたとしか思えず不安に(仲直りしたうえでの配信だったが)。
⇒DOWN
https://youtu.be/wbV9tSFbdnA

このあたりの時期に登院しない国会議員が配信でTLRSを改めてDisっていた。うるせえはよ帰国しろという感じだが、これはこれで茶の間のリアルな声でもあり心は乱れる。
⇒DOWN

1月5日
MIYAVIのオールナイトニッポン視聴
ゲストのHYDEとのTLRS裏話には概ね笑ったり呆れたりしつつ愉しく聞いた。
中でもバンド名をぶちあげたYOSHIKIに対し、深夜のテンションで(バンド名というよりアティトュードとして)MIYAVIが賛成していたというのは笑った。戦犯はアンタか。ミヤビもそゆとこあるよね~😂
「でもYOSHIKIさんのそういう無謀なところが大好き」というMIYAVIのコメントは良いなあと思った。
一方「3時間押して持ち曲4曲、その1回で解散したS.K.I.N」の話は笑えない。
事前収録だったのだが、二人とも「今頃リハやってるのかなあ」「紅白無事出てるのかなあ…」とぼやいており、ほとんど進んでない状況が垣間見える。Y氏頼むよほんとに…
⇒DOWN
https://youtu.be/whck1sXCgIk

この頃ようやくNHKプロフェッショナルを録画視聴
3年間密着とはいえさすがにToshlとこじれていく過程まではおさめられておらず、いつものYOSHIKIらしい内容。
ここで注目すべきはHYDEインタビューのバックで流れるTLRS未発表曲。これがハウス調でカッコいい。期待できそう!(後に『PSYCHO LOVE』と判明)
⇒UP

1月12日
グッズ発表。ダサすぎる。本当に全てが突貫工事なのでは…?
⇒DOWN

1月16日
SUGIZO&MIYAVI表紙のGuitar Magazineをチェック
12月初旬のインタビューであり、バンドにおける二人のギターコンビネーションは模索中という可も不可もない内容だったが(おいおい)、未発表の新曲群に期待が持てる内容だった。
俺は新曲に賭けるぞ…!
⇒UP
https://twitter.com/guitarmagazine1/status/1607209722846875648?t=lNU6kyEBrxXsfIBwS4LufA&s=19

1月20日
とっくに諦めていたが、今頃フルMV公開。
だいぶ豪華なつくりで且つ何より4人全員の魅力がしっかりフィーチャーされカッコよく映っている。これだよこれ!この状態に仕上げてから会見しろや(2回目)。
一方、この曲はもうお腹いっぱいなのでいい加減他の曲はまだかいなという気持ちにも。
⇒2UP1DOWN
https://youtu.be/rL6g7WQrTl0
YOSHIKIがまともなMVを発表するのは『I.V』以来(でもこれもとりあえず撮った感満載だしなあ)だと気付き、何事もYOSHIKIを通すと当たり前でないと再認識。


1月
SNSで突然の新曲発表
クレジットがなくてもYOSHIKI作とわかるピアノバラード。
あの~すいません、ギターは…?
歌詞は皆で歌えるように簡単なフレーズにしたのだろうけど、いつも通りだしなんだか語彙のなさを感じてしまう。メロディーも過去の名バラード群と比べるといまひとつ。新曲大丈夫か・・・?。
⇒DOWN
https://twitter.com/YoshikiOfficial/status/1617844188208566274?t=iBvdI4ZYGPFjtqJi5IvYJQ&s=19

ということでDOWNのまま、ライブへ。
1月27日にライブ参加でしたがさすがにセトリは同じだとにらみ、26日はSNSをシャットアウトして過ごしましたが正解でした。SNS実況を見てたら相変わらずの遅延にこれ以上なく失望していたと思います。

そして迎えたライブも、気持ちUP&DOWNしながら参加しました。
⇒ 

diaryshinikana.hatenablog.com

 

THE LAST ROCKSTARS Live Debut 2023 Tokyo - New York - Los Angeles 2023/1/27 有明アリーナ公演に行ってきました

diaryshinikana.hatenablog.com

↑ドキドキしながら待っていた1か月の備忘録

いよいよLIVE当日!2日目にして開演間際に開場という体たらくで相変わらずクソだな~と思いつつ、ギリギリの到着だったのでありがたくもあり。。。有明アリーナは初めてでしたが、周囲にコンビニ等もなく孤島のようなエリアです(チケットを豊洲で発券しておいてよかった…)。その分夜景が綺麗でした。

ではほぼ全曲の感想です。
ネガティブなことも多少書いていますので、苦手な方は回れ右でお願いします。
また本公演は撮影可の海外スタイルで、早速YouTubeに早速動画をあげておられる神々がおられたので引用させていただいております。



1.『THE LAST ROCKSTARS』
ホログラムが喋るオープニングムービーからピアノなしでビギディンに雪崩れ込むカッコいいオープニング。
YOSHIKIのクリスタルドラムはズシンとくるので、気合い入れて叩いている分音源よりカッコ良かったです。間奏でもSUGIZOのノイジーなギターフレーズが増えており、"Paris mix"からまだまだ良くなる予感。
https://youtu.be/KddE_jiwhxo

2~4.未音源化曲×3
MCを特に挟むこともなく新しい曲が次々と披露されるこのパートがいちばんアガりましたね。しっかり完成度の高い曲を用意していたことも嬉しかった。勝手に不安になったりしてごめんなさい。。。
後に『6or9』がHYDEソロ未音源化曲からの、『MESSIAH』がSUGIZOソロ(インスト曲)からの転用だと判明するのですが…前者はMIYAVIがソロver.にない特徴的な良いリフを弾いていましたし、後者はセクシーな歌メロを乗っけただけでなくMIYAVIのラップ風煽りシャウトパートやアコギが入るなど全くの別物に生まれ変わっており、バンドとしてしっかり化学反応が生まれているように思いました。MIYAVIはこのバンドで煽り番長としての役割もこなしていてカッコいいなあ。
ソロ転用でない純正な新曲『HERE'S THAT LOVE』もそれこそマネスキンのようなグラマラスなミドルテンポのロックでありつつサビではSUGIZOのノイズギターが存分に炸裂する、彼らならではの名曲です。
https://youtu.be/frgC3OqtC-s
https://youtu.be/gEip-FPtLZ4

5.『Beneath the Skin』
X JAPANでもやっていた曲ですが、元々はS.K.I.Nの曲。あるべきところに帰ってきたようにも思いますね。
今度こそ音源化されますように。
(ほんとはS.K.I.Nで音源出してほしかった…。あの頃のガックンの歌がめちゃ良かったので。)
https://youtu.be/QWm8ZjrbrUE

6.SUGIZO×MIYAVI Session
来ました、待望の。
掴みかかるようにギターをしばくMIYAVIと様々なフレーズで応戦するSUGIZO。そこからリズムが入り、ときに渋いフレーズも飛び出すファンク調のセッションに。ずっと聴いていたかった。
https://youtu.be/Ucr5BZn-hko

7~9. SUGIZO Violin Solo~未音源化曲×2
『Folly』がトラップ調のビートに杉様のViolinがたゆたう浮遊曲(ソロからの転用ながら全くアレンジ違うので全くそうとは気づかず)で、続く新曲Hallelujah』もMIYAVIの高速アコギタッピングから幕開けるSUGIみの強い宇宙曲。どちらも良かった。https://youtu.be/9PFyXJsmnts


10. YOSHIKI Drum Solo
満を持して出ましたぁ、この男のドラムソロ!
これでもかというくらい派手な演出に、悲壮感たっぷりに鳴り響くチャイコフスキー『弦楽セレナード』。それをバックにクリスタルドラムを叩きまくる。90年代から不変のメニューですけれど、YOSHIKIでしかありえないスタイルですよね。
Xのワンマンは行ったことないので(イベントと中継ばかり)生で見るのは初めて。いいものを見た。

ここまでは文句のつけどころのない完璧なショー。ここからが… 

11. YOSHIKIピアノメドレー
YOSHIKIのピアノをバックにファンが『紅』を合唱 笑。
「皆心に溜まったものを歌って吐き出しましょう!(YOSHIKI談)」ということなので単に皆知ってる曲を選んだのでしょうが、なぜここでXを持ち出しちゃうのかなとちょっとガッカリ。

12.『Born to be free
ピアノソロから雪崩れ込むまさかの曲。
意外とHYDEの声とあっているので仕上がり自体に違和感はないのですが、MIYAVIがいることでアレンジがビルドアップされているかというとそうでもなく、単にMIYAVIがPATAと化しただけという 笑。
先ほどまで感じられていた各人の個性や花開いていた1×1×1の可能性が一気にスポイルされてしまったように感じました。。。
そしてこの選曲。
元々は、トラブル続きだったX JAPAN制作運営管理委員体制やToshlを洗脳した某団体との決別などを経てバンドが新たな一歩を踏み出す決意を込めて作られた曲です。

ja.wikipedia.org

それをこのバンドで演るんだ~っていう、、、
KEIKOが歌う『I'm proud』(07年TBS系列 細木数子MC『新春もズバリ言うわよ!SP』にて)のような、いや別にダメじゃないのだけどなんだかイヤ~な感じはしましたね。先ほどの『Beneath~』と併せるとYOSHIKIは再結成Xでのレコーディングをなかったことにしたいのかなとまで思ってしまいました。
(一方のToshlもToshlで先日TVでYOSHIKIを痛烈に批判するような楽曲を披露していました…。ほんと二人ともさあ…)

13.『HONEY
セルフカヴァーの流れ。
こちらはHYDEがソロでもフェスとかでよくやってるしそのアレンジで音源化までされているので、自然な選曲だとさえ。結局そこを頼るんかいとは思いますが…。編曲は近年のHYDEソロにおける重要人物であるhico氏によるものだとのこと。
ベースレスでシンセ多めというこのバンドの一つの方向性が垣間見えるアレンジでしたが…普通にいまいち。ドラムも全然叩けていない印象。そもそもの原曲のアレンジがまさにバンドマジックの極みのような神がかったものなので、どうこねくりまわしてもダメ。
しかしメンバーは気に入っているようで、「今後はこのアレンジでやっていきたい(HYDE談)」。海外でもこの曲やるの…?

ここでまとまったMC。
YOSHIKIが「HYDEカッコいいなあ!MIYAVIカッコいいなあ!」と叫び、「SUGIZOはパンツが凄いな」と笑いで落としていた。よっちゃん様、こゆとこかわいいですよね。
しかもXはしょっちゅうダラダラしたMCを挟んでいた印象なので、冒頭から13曲サクサク進んだのが素晴らしい。

14.新曲
すごいぞ、まだ新曲がくる!
『UP and DOWN』というタイトル通りのフレーズがサビで出てくるダンスロック。これも盛り上がる。
https://youtu.be/VlpslA-CRhI

15.『Bang!』
これはMIYAVIソロから。意外だけど一応彼の中ではCMを通していちばんお茶の間に流れた曲だから、かしら。楽天·三木谷氏つながりの選曲?SUGIZOが入って何かが変わったという感じはなし。

16.『Red swan』
このバンド結成のきっかけのようなものなので、そりゃ演るよねという。こちらも音源より遥かにカッコ良かったです。
(先ほどとは逆に今度はMIYAVIが置物に。やはりYOSHIKIの完成された世界にあとから入る余地はないのか。)

17.『PSYCHO LOVE』
ようやく御披露目。ハウス調ながら、サビでHYDEらしいセクシーなメロディーへと開ける名曲。両ギタリストの個性もしっかり出ており、二人のギターソロまである。EDMのドロップに当たる部分をMIYAVIが歪んだギターでなぞり、その後にSUGIZOが透明感のある音でソロを奏でる。所謂1stリリースとしてアナウンスされただけあります(いつリリースされるんだ…?)。
https://youtu.be/2ZlI0YHZWb4
 

アンコール1.『SHINE』
事前にサビのみ公開されるも、そのときは往年の名バラードと比べると今一つという感想でした。
しかしセットリストを組むなかでバラードが必要だと急遽書き上げ、5日前ぐらいにあがってきたと。YOSHIKIのその心意気は嬉しい!。合唱もなんだかんだ素敵な時間でした。
一方ギターに関して、一応MIYAVIはアコギを弾いていてそれが少しアクセントになってはいたもののSUGIZOは置物でした。弾いていたかすら怪しい…。まあこの曲ももっとアレンジがなされていくことでしょう。

あとはグラマラススカイとビギディン(reprise)なので感想は省略。エンドロールで4人がピョンピョンしながら抱き合って互いを称えあっていたのにグッときました。

ということで一部思うところはあれど、予想を遥かに上回る充実度の楽しいライブでした。不安要素であるYOSHIKIも譜面ガン見だったけれど気合充分なドラミングだったし。
ただ、世界を目指すという共通の目標と友人関係でのみ4人のベクトルがひとつにまとまっている印象で、音楽的には現状3(もしくは2)か1か…になってしまっているようには思います。結局YOSHIKI次第というか。
何はともあれ、この仕上がりなら充分外に出ていける。このまま2023年は4人で大暴れしていただきしっかり音源をリリースいただければ言うことなしです(そこがいちばんハードル高いのだけど)。ラストロックスターズ名乗って少しでも爪痕残せたらめっちゃおもろいよなあ。
YOSHIKIさん、HYDEさん、SUGIZOさん、MIYAVIさんありがとうございました。応援してます! 

THE LAST ROCKSTARS『THE LAST ROCKSTARS (Paris Mix)』レビュー

 

YOSHIKI (X JAPAN) 、HYDE (L'Arc-en-Ciel) 、SUGIZO (LUNA SEA/X JAPAN/JUNO REACTOR) 、MIYAVI によるグループのデビュー曲。

YOSHIKI作詞作曲で、まずはバンド名を冠した曲がないとねっていう彼の流儀なのでしょうか。 その時点で面白いですが。

The Last Rockstars (Paris Mix)

The Last Rockstars (Paris Mix)

  • THE LAST ROCKSTARS
  • ロック
  • ¥255

 

そもそもYOSHIKI命名したというこのバンド名…既に後進のバンドマンたちからは動揺·悔しさ·失笑·怒り…様々な反応が見られるわけですが、どういうひらめきなのでしょうね。

「後進にケンカを売って皆でロックを盛り上げたい」か「俺たち以降(日本に)ロックスターっていないよね?」なのか…なんとなく素で後者のように思ってそうな気がするのですが。。。

バンド名がダサいという反応が多々SNSでバズってましたが、それを言ったらX JAPANだってダs……とにかくYOSHIKIにしかできないビッグマウスとして私は肯定的に捉えています。 

https://twitter.com/official_aoi/status/1592034305374834689?s=20&t=xIeCUCuXrolgTsTnStacVQ

↑M氏の元直系の後輩からの小声

 

そしてロックスターとぶちあげておきながら楽曲がダンス調なのが2つめの突っ込みどころなのですが、私はここにきてYOSHIKIが新しい扉を開けてきたことを前向きに捉えたいです。

YOSHIKI18番である流麗なメロディーが4つ打ちビートを泳ぎ、毎度のことながら息づかいからヴォーカル重ねまで突き詰めたであろう歌へのこだわり。

そして例の「Bigidin Bigidin Ban Ban Ban」。ティザーで聴いたときはどうしたものかと思いましたが、フルで聴くとEDMのドロップのように楽曲のなかで必要なファクターとして機能していることに驚きました。ってかここにきて造語って…!!

PERFECT HUMANや江南スタイルと重ねて酷評する向きもありますが、ダサいけど嫌でも耳に残るしそれって一転してカッコよくないですか?。真のヒット曲はダサくてなんぼ。

YOSHIKIってよくも悪くも80年代·90年代式の自身の音楽性を頑なに守る/それしかできない人だと思っていましたが、2020年代に向けてそのスタイルをしっかりアップデートさせてきたのが意外です。もしかしてヒット曲を分析していたりするのかな…。 

あと良かったのが1:45あたりのノイズ。YOSHIKIってノイズの使い方上手いですよね。

 

 

散々褒めておきつつ、いまいちなのがギター。

SUGIZO/MIYAVIというスーパーギタリスト2人を擁しておいてこれはない。ダンスミュージックにはありがちな簡素なギターリフで流石にずっこけます。これなら打ち込みで充分。紅白のステージでもMIYAVIの手が暇そうでしたね…。ブレイクからのピロピロ(ここはSUGIZO)も氏にしては随分しょっぱい。

YOSHIKIは譜面でガチガチにコントロールするタイプなのでその時点で特にMIYAVIと相性が悪そうなのですが、VIOLET UKさらには『Red swan』『Imitation Rain』あたりの近作に顕著なように彼はもう良いギターフレーズを書けないのでしょう。

であれば両ギタリストが勝手に弾いてガンガン突き上げればよさそうなものですが、それは許されなそう。YOSHIKIは音楽面で2人に何を望んで誘ったんだ…?

 

 

ということで自分にとってはまだ「期待以上、だけどYOSHIKI feat.HYDE以上のものにはなっていない」という印象でした。

このグループに想像以上の爆発をもたらすキーマンはMIYAVIだと思っています。それが今後の楽曲や1月のライブで見られるのか、楽しみです。

サムライギタリストというMIYAVIの肩書きにTHE LAST ROCKSTARSという文字列が加わってだいぶ香ばしくなってしまったので、ほんと充実した活動を頼みますよ…!

 

heath『GANG AGE CUBIST』レビュー

いつの日かX JAPANが再び動くことを祈念して、、、

GANG AGE CUBIST

GANG AGE CUBIST

  • アーティスト:heath
  • ユニバーサル ミュージック
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 98年6月リリースの X JAPANのベーシストheathの2ndアルバム。
バンドスタイル曲を収録したDisc1とリミックス集のDisc2の2枚組です。

 今作の先行シングルは3rd『Crack yourself』のみで1st·2ndシングルが未収録となっています。レコード会社の移籍等の所謂"大人の事情"があったわけではありませんので、明確な意志をもって外されたと推測できるでしょう。
(しかも1st『迷宮のラヴァーズ』名探偵コナンEDタイアップでオリコン10位のヒット曲なのに!)
※厳密には『Traitor』が一応Disc2に原型をとどめないリミックス音源として収録

 その理由は時系列とシングル曲の音楽性から容易に推測できます。96年10月の1stと97年2月の2ndの表題曲はインダストリアル由来の性急なマシンビートを軸とした作風でまとめていましたが(共同編曲は杉山勇司)、一方で98年4月の3rdは生ドラムを含むバンドのダイナミズムをパッケージした楽曲です。
 この1年強の間におきた出来事といえば所属バンドX JAPANの解散。
インタビューを読めておらず制作時期が不明なので推測でしかありませんが、帰るべき場所をなくすなかで"自分のバンドを持ち曲を作り上げたい"といった心持ちにシフトチェンジしたであろうことは想像に難くありません。一方で打ち込みも好む人ですので、それについてはリミックスというかたちで表現することにしたのではないかと。
 前置きが長くなりましたが、そんな背景でリリースされた当作をみてまいります。

<Disc 1>
 先行シングルの流れを汲み、プロデュースにCOSA NOSTRA桜井鉄太郎を迎えバンドで作り上げた一枚。ドラムはBY-SEXUALのNAO、ベースはまさかのheathではなくJu-kenが弾いています。(ライブを想定しているとはいえ、ベーシストなのだから音源は自分で弾いてほしい。。。)意外なところでキーボードは河野伸を招聘。

 全体的になかなかキャッチーですし、95年の1stミニアルバム『heath』に残っていた80年代感(ギターの音色や歌謡曲のような歌メロ)も漂白されていますが…やはり本人の歌が足枷に。
しっかり自分で歌える範囲の音域でメロディーメイクしているのですが、そうなるとメロディーの動きが少なくなりますし元々の歌声の線が細いので、煮え切らない印象の方が残ります。
『Solution』に関してはハードなギターリフが先導するダークめなロックなので上記もあまり気にならないのですが、『Believe』『Crack yourself』といった爽快なポップロックはあと一歩·二歩で『ROCKET DIVE』になり切れていないような感覚です。
 歌唱力に関しては、SUGIZO>heath>>INORAN>>yukihiroといった感じでしょうか。


 微妙な感想が続きましたが、出色なのがモロにNine Inch Nailsあたりを想起させるインダストリアルなミドルチューン『Mind』です。
無機質なスネアの響きを中心に据え、ザクザクした攻撃性の高いギターとラップ風のヴォーカルが乗る。どうしても歌に迫力がないのが玉に瑕ですが、NINフォロワーとして上位に位置する完成度ではないでしょうか。
日本のインダストリアル伝道師に同じX JAPANのhideがいるわけですが、もしこの路線で氏が別途1枚作っていれば…と夢想してしまいます。

 他にも冒頭1曲目『Daydream #006 (LP Version)』が原曲『Daydream』の絶叫シャウト部分を抽出した短尺のリアレンジとなっており、痺れそうにカッコいいオープニングです。
ただ"#006"は3rdシングルのc/wに収録されたドラムン調のアレンジであり、別にそこから抽出した感じもないので繋がりはよくわからず。ナンバリングは"#007"ではないのか…?

<Disc 2>
 福富幸宏COSA NOSTRA長田定男に加え自身によるリミックスやデモを収録。
(ヴォーカルやメロが全面に出過ぎない分)Disc1以上にどれも聞き応えがありますが、中でもDisc1でプロデュースを勤めた桜井鉄太郎によるリミックス2曲が素晴らしいです。
 緻密な打ち込みによるダークなインダストリアル/トリップホップリミックスになっており、桜井氏の渋谷系的なイメージとかけ離れた攻撃性に驚きます。クラブジャズというリズムを突き詰める音楽ジャンルを志向するグループの方ですので、同じくリズムが肝なインダストリアルなども音楽オタクとして聴いていたのでしょうか。あと、絶妙な音程の歌声素材がところどころで用いられ、なんだホラー感があるのも面白いです 笑。
意外な人選のようでプロデューサーとしてheathとかなり相性が良かったようですね。

 リミックスが作り手の自己満足や予算消化にとどまっているというケースは多々見受けられますが、今作はそうではなくリミックスDiscの質の高さがアルバムトータルの完成度を引き上げ、さらにはバンド楽曲との相乗効果で互いの意義を引き出しあっているとさえ言えるでしょう。
どちらのサイドが欠けてもならない、2枚組として揃う必要のある作品です。

 ステージでのキャラクターも含めてhideほどキャッチーでない分、heathという人はいまひとつ音楽面で理解されていない印象ですが、彼の指向する「バンド」「打ち込み」の二面性はこのアルバムに詰まっています。

X JAPAN『WRIGGLE』で気になった人は是非中古屋で今作と次作にあたるDope HEADz『PRIMITIVE IMPULSE』を手にとってくだせえ!

年間ベストトラック 2020

最高の1年になるはずだった2020年、すっかり暗転してしまいました・・・。

それでも音楽と共に(できる限り)楽しく生き抜いた、その証を残すためにもベストトラックをまとめてみました。

 

1.Tohji「Oreo」

www.youtube.com

語感重視のラップが行き着いた先がまさかのアンビエント

一応はキラキラしていたのに幻のように何も残らず過ぎ去っていった2020の夏の空気がパッケージされているように感じました。
MVはお尻のインパクトが強いですが、なぜか切ねえ・・・。


2.The 1975「Me & You Together Song」

The 1975 - Me & You Together Song (Official Video) - YouTube

90年代のパワーポップ(Fountains of wayneとか)のような甘酸っぱい1曲。
2020年、この曲を生で聴いて最高の夏になるはずだった…


3.藤井風「青春病」

藤井 風(Fujii Kaze) - "青春病(Seishun Sick)" Official Video - YouTube

突如現れた新星。アルバムもよかったけど、この曲は2020年Bメロ大賞です。


4.NiziU「Make you happy」

NiziU 『Make you happy』 M/V - YouTube

虹プロ自体は全部は見れてないですが、JYP印のこのスタイリッシュなアイドルポップにはドハマり。
氏のディレクションによるものなのかは不明ですが、日本人なのに若干の片言感がある歌いまわしなのもグッとくるポイントです。


5.beabadoobee「Worth it」

beabadoobee - Worth It - YouTube

ブリグリの苛立ちとやくしまるえつこの息づかいが混ざったような歌がキュートすぎる。
ちょっとマシーナリーなビートも癖になります。


6.BLACKPINK「Ice Cream with Selena Gomez」

BLACKPINK - 'Ice Cream (with Selena Gomez)' M/V - YouTube

4人のパフォーマンスが凄すぎて(特にリサ)、正直Selena Gomezがいなくても成立してしまっているというまさかの事態。
トラックに関しては低音が凄いです。


7.赤い公園「yumeutsutsu」

赤い公園 「yumeutsutsu」Music Video - YouTube

芸能人の訃報も多かった2020年を象徴してしまう1曲。
トリッキーなイントロに痺れつつ、曲そのものはポジティブな光に満ちたストレートなロック。
MVも直視できないくらい眩しい。明るい未来しか見えなかったのにな。合掌。

8.BBHF「君はさせてくれる」

BBHF『君はさせてくれる』Session - YouTube

ここんとこThe 1975の影響を受けまくりの彼らですが、ガリレオ時代からの音楽の変遷を考えればこうした音に行き着いてしまうのは必然。
この曲はガリレオ時代からのお得意、北国らしいぬくもりを感じるミドルチューン。女性コーラスも素敵です。
どこかセクシャルな匂いを感じさせてしまうタイトルも◎

9.Surfaces「Learn to Fly (with Elton John)」

サーフェシズ&エルトン・ジョン(Surfaces&Elton John)「Learn To Fly」(英語・日本語字幕付きMV) - YouTube

この曲にはプライベートでの思い入れがありまして、2020年の印象的な曲となりました。ローファイヒップホップにも通じるビートに乗せた優しい曲です。

10.Bring Me The Horizon「Kingslayer feat. BABYMETAL」

Bring Me The Horizon - Kingslayer (Lyric Video) ft. BABYMETAL - YouTube

今年は諸々疲れの影響かアンビエントとか穏やかなインストものをよく聴きまして、ロックから遠ざかり、ましてやへヴィーロックなどこのまま一生聞かなくなるかと思いきや…反動で男の血が騒いでしまいました。
イマっぽい音使いと陽キャなキャッチーさにスカッとしますね。すうちゃんさんの歌も良いアクセントです。


11.Dua Lipa「COOL」

Dua Lipa - Cool (Official Lyrics Video) - YouTube

チャーチズとかにも通じるまさに"Future Nostalgia"なシンセ音がツボ。
そしてハスキーな歌声×言葉を詰め込んだ譜割りもまたツボでした。

12.KREVA「Fall in Love Again feat. 三浦大知

KREVA 「Fall in Love Again feat. 三浦大知」MUSIC VIDEO - YouTube

お得意のメロウものですがリリックに感動。2020年を生きぬく勇気をもらいました。
さすが王者の風格を見せる韻の踏みっぷりも凄い。

13.MIYAVI「Perfect Storm (feat. Amber Liu)」 

Perfect Storm - song by MIYAVI, Amber Liu | Spotify

滑らかな疾走感が心地よい。Amber(ex. f(x))のクールな歌声も素敵で、すっと入ってくる歌いだしに痺れました。
最後に語りが入るのはさすがV系出身者とか思ったり。

14.kygo「Don’t Give Up On Love (feat. Sam Tinnesz)

Kygo - Don't Give Up On Love w/ Sam Tinnesz (Official Audio) - YouTube

在宅勤務・外出自粛が続く中、せめて室内だけでも南国のトロピカルな空気にしたくてアルバムごと購入しました。
1番よかったのは故ホイットニーとのコラボですが、2020年初出の曲の中ではこれを選びました。
ちょっぴりマッチョで夕暮れ的な切なさを感じる以外は特に真新しさのないトロピカルハウスですが、とても気持ちいい。

 

アルバムは↓が良かったです。

1.Taylor Swift「folklore」
2.香取慎吾「20200101」
3.MIYAVI「Holy Nights」
4.The Lemon Twigs「songs for the general public」
5.Dalai Lama「Inner World」
6. DIMLIM「MISC.」
7.HAIM「Women In Music Pt. III」
8.THE KEBABS「THE KEBABS」
9. -真天地開闢集団-ジグザグ「慈愚挫愚 弐 〜真天地〜」
10.早見沙織「シスターシティーズ」

 

皆様よいお年をお迎えください。