東大理系院生の宇宙解説

宇宙について分かりやすく解説します。

世界初の惑星観測専用の宇宙望遠鏡「SPRINT-A」

以下の記事はISASのメールマガジン第443号から引用しました。

 

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★01:世界初の惑星観測専用の宇宙望遠鏡が内之浦から打ち上げられます

 世界で初めての惑星観測専用の宇宙望遠鏡を搭載した惑星分光観測衛星
(コード名:SPRINT-A)が、鹿児島県の内之浦から今年打ち上げら
れます。この衛星はJAXAが新たに開発した個体燃料ロケット“イプシロ
ン”によって、地球の上空約1000kmの軌道に投入され、大気層(高度
約100km)のはるか上空から、宇宙空間からでしか見えない特殊な光
(極端紫外光)を使って金星・火星・木星などを観測します。


 極端紫外光は私たちの目には見えませんが、実は多くの天体から発せられ
ています。この波長で金星や火星を観測すれば、これらの惑星から逃げ出し
ている大気の様子が解ります。

地球と同じように固い岩石の地表をもつこれらの惑星ですが、実は大気の様
子はそれぞれに大きく異なります。また、地球の生命の源となった海も、
今の火星や金星にはありません。なぜこのような違いが生み出されたのでし
ょうか。その謎を解く鍵が、現在の大気流出率を知ることにあるのです。

つまり、今現在惑星から逃げ出している大気の量を知り、過去数10億年分
さかのぼって積算すれば、太陽系が形成されて間もない時代の金星や火星の
姿を想像できるのです。惑星分光観測衛星は地球周回軌道から金星や火星を
観測し、日々変動する太陽活動と照らし合わせながら大気流出率を測定しま
す。


 極端紫外光は他にも興味深い科学的知見をもたらします。ターゲットは
木星です。

実は木星はドーナッツ状のリング(トーラス構造)で囲まれています。
このリングの源はイオとよばれる木星の衛星です。イオには活火山がたくさ
んあり、地球と同様に大量の硫黄酸化物を噴出しています。その勢いは凄ま
じく、イオの重力圏を振り切って宇宙空間にまで達します。

さらにこれらの物質は様々な反応を経てイオンとよばれる状態になり、
強い磁場を持つ木星の周りを回り続けます。こうしてできた木星周辺の酸素
イオンや硫黄イオンのリングは、イオプラズマトーラスと呼ばれています。


 イオプラズマトーラスはいろいろな波長の光を発しています。もちろん我
々の目でも見られる波長域(可視光)でも光っています。実際1970年代
から多くの科学者が地上の大型望遠鏡を使ってイオプラズマトーラスを観察
してきました。しかし実は、イオプラズマトーラスが発している光の8割以
上は極端紫外光なのです。惑星分光観測衛星はこの極端紫外光を専門とする
衛星なので、イオプラズマトーラスを観測するには最適です。


 極端紫外光は地球大気に吸収されるので地上からは観測できず、またそも
そも極端紫外光を効率よく観測するための装置が世の中に存在しないため、
これまでイオプラズマトーラスの極端紫外光観測は非常に困難でした。

そこで開発チームは観測器に使う鏡の最適化を図り、様々な表面処理を試し
ました。その結果、炭化ケイ素という物質を特殊な手法で鏡の表面に蒸着し、
さらに表面の凸凹を1ミリの1000万分の5以内に抑えることで、従来の
数倍の反射率をもつ鏡の開発に成功しました。

また、打ち上げまでの間、検出器を真空状態で保管し、感度を高く保ったま
まで宇宙空間まで運ぶことにしました。そのため、衛星組立後に行う様々な
環境試験や輸送中に、万が一にも空気が漏れてしまわないように、開発チー
ムは気の抜けない日々を送っています。


 このような地道な努力の結果、惑星分光観測衛星に搭載される観測器は、
世界でも類を見ない高性能なものになりました。

従来よりも格段に高い感度と分解能をもつこの装置でイオプラズマトーラス
を観測すれば、これまでは何年間もかけて木星まで行き、その場で観測しな
ければ解らなかったイオプラズマトーラスの温度や組成を、地球からの遠隔
観測だけで導けます。

さらにこれらの情報から、磁場の強さや太陽との距離など、地球とは大きく
異なる環境にある木星近傍でのプラズマの振る舞いが解ります。これは、
大きな視点で考えると、太陽系惑星がそれぞれどのような条件のもとで物理
的に支配されているのかを紐解く研究といえます。


 ところで、地球から惑星を観測する際には、それぞれの惑星の公転運動を
考慮する必要があります。なぜなら、せっかく打ち上げても、惑星が太陽の
裏側にいる時期では効率のよい観測ができないからです。また、科学的に興
味深い観測を実現するためには、11年の周期で変動している太陽の活動度
が活発な時期に打ち上げる必要があります。

開発メンバーはこれらの条件を考慮し検討を重ね、2013年の夏に打ち上
げれば最も効率よく多くの惑星を観測できると結論しました。


 このスケジュールを実現するために、時には休日返上で開発に取り組み、
ついに2013年春現在 衛星のフライトモデルの完成が見えてきました。
開発メンバーを始め関係の業者さん達は、素晴らしい性能の望遠鏡を最高の
状態で最高の時期に打ち上げられるように、残る開発作業に全力で取り組ん
でいます。

世界でまだ誰も見たことのない惑星の姿をみなさんにお届けする日が近づい
ています。

(吉岡和夫、よしおか・かずお)

SPRINT-Aについて 詳しくは
⇒ http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/sprint-a/index.shtml

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お恥ずかしいことに、今年からISASで研究するというのにこの衛星のことを初めて知りました^^; 木星の周りのリングはイオから噴出される硫黄酸化物が元となってできているんですね!まだまだ宇宙には知らないことがたくさんあるんだな~。ワクワクします。

先輩方の就職先

アクセンチュアテクノロジーソリューションズ 1, SMBC日興證券 1, NTT 1, NTTドコモ 1, 学校法人玉川学園 1, グーグル 1, 高校教員(千葉県) 1, JibeMobile K.K. 1, テキサスインスツルメント 1, デンソー 1, 日産 1, 日本生命 1, 日立ソリューションズ 1, 富士通 2, 北海道銀行 1, 三井物産 1, メリルリンチ日本証券 1

 

これは私の専攻の先輩方の2011年の就職先です。名前を聞いたことのあるところもあれば、全然知らないところもあります。この中で興味があるのはグーグルとデンソー、富士通、三井物産。というか、知ってる会社が少なすぎて何も言えねーって感じですけどね^^; 今年から就活生なのでしっかり調べていかなきゃな。

 

話は変わりますが、私の研究科の中でJAXAに内定した方がいらっしゃったので早速facebookで友達申請してしまいました。(せっかち) 関東に引っ越したら連絡を取って何とか就活のお話を伺いたいものです。就活が不安で不安でたまりません。何とか宇宙開発の仕事に携わりたいものです。

オセロについて語るときに僕の語ること。

オセロって意外と奥が深いんですよ。

私は今のところ2500戦1400勝950敗くらいです。

これだけ試合重ねても、結構負けるときは負けるので油断はできません。

大体の試合はオンラインで行ってます。スマホアプリの「ポケットベガス」がやりやすくてオススメです。パソコンだと、このページがオススメです。レートはやっと1150くらいになりました。なかなか上がらないものですね~汗 毎日のようにやってるので、時間がある方はぜひ勝負しましょう(笑)

久々にオセロ大会に参戦したい今日この頃。

 

国家としての宇宙戦略論①

今回は書評というか、読んだ内容をわかりやすくまとめる形でブログを書いていこうと思っています。

本は「国家としての宇宙戦略論」

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なんか画像でけえええええwww

すいません^^;

 

この本は実にわくわくする本でした。

宇宙開発というと、「技術者だけ」が行っているものだというイメージが大きいと思います。JAXAとかNASAの存在は確かに大きいですよね。しかし、この本は政治家の視点から宇宙開発を語っているので、とても新鮮でした。政治家にとって、宇宙開発というのは外交や安全保障に資するものという認識があるようです。具体的に言うと、外交面では、日本はさまざまな人工衛星を持っているので、「もし世界のどこかで津波が起こっても、日本の人工衛星で場所を突き止めて津波到達前にお知らせします!」と日本の世界での役割をアピールして、世界でのプレゼンスを高めることができます。また、安全保障面では、北朝鮮がミサイルを発射した場合(もしくは発射する前の準備段階)に、日本製の情報収集衛星があればアメリカに頼らずとも、ずっと北朝鮮の動きを把握することができます。世界も、「日本が常に上空から監視している」という意識を持ち、下手なことはできなくなりますよね。これは「小さな抑止力」と言われているそうです。また、情報を持つということは交渉の際に有利に働きます。交渉は基本ギブ&テイクなので、日本が大事な情報を持っていると、アメリカやロシアから大事な情報をもらいやすくなると思います。

この他にも、宇宙開発は産業の振興や国威発揚にもなると筆者は書いています。本当にその通りだと思います。日本の科学技術で世界に貢献したり、世界初のことを成し遂げたりするのはうれしいことです。これから、私も宇宙開発に携わる一員であるという自覚を持って勉強に励んでいきたいです。

 

意見や質問などあればコメントください!

ではでは

隕石の分類

まず最初の記事は何にしよう。と考えたところ、やはり自分がやってる研究に近いことを書いた方が良いと思った。私は隕石について研究している。隕石と言っても、いろいろある。隕石はまず3つに分類される。石質隕石、鉄隕石、そして石鉄隕石だ。石質隕石や鉄隕石は名前の通り、それぞれ石が多く含まれている隕石と鉄が多く含まれている隕石だ。そして石鉄隕石は石も鉄も含んでいる。この中でも最も多く発見されてるのが石質隕石である。石質隕石は発見された隕石の中の約80%を占める。石質隕石もコンドライトとエコンドライトに分類される。コンドライトとは、コンドリュールという太陽系初期にできたと考えられている球粒状の物質を含む隕石である。分離していないため太陽系初期の状態を保存しており、当時の環境を知るためには欠かせない隕石である。エコンドライトとは、逆にコンドリュールを含まず、分離しているため、地球の石に似ている。他にも様々な隕石があるが、続きはまた今度にしようと思う。
分からないところなどがあれば、どんどん質問してくださいね。

私は宇宙が好きだ

私は宇宙が好きだ。宇宙に興味を持っている方は多いと思う。

私が本格的に宇宙に興味を持ったのは、大学受験に失敗して、浪人している時であった。

当時私は化学科を目指していた。なぜ化学科を目指していたかというと、ナノテクノロジーに興味があったからだ。高校の時に英語の長文の宿題が出されたのだが、その長文の中の1つにナノテクについて取り上げているものがあった。当時の私は「こんなにミクロな世界を人間は操ることができるのか!ナノマシンとか作ってみたい!」とわくわくしたものだ。しかし、高校の化学を勉強する中で、ナノテクへの興味がだんだんと薄れてきてしまった。原因は、ナノテク以外の化学分野に興味がわかなかったこと、そして何より化学が苦手だったことだ!(笑)地学の勉強もしていたのだが、明らかに地学の方が得意だった。地学の図表の中の、地球や他の惑星や太陽との大きさ比較が載ってるページが大好きだった。勉強に飽きたときはそのページを眺めて、地球や人間の小ささに思いを馳せていた。そのページを見ていると、何だか興奮してきて股間がムズムズしたことを今でも覚えている(笑)そのような経緯を経て、そんな変態チックな宇宙好きは、当たり前のように地球惑星科学科に進学したのだ。

その宇宙好きなところは今でも変わらない。私は今年から院生として日本の宇宙開発の最先端であるJAXAで研究する。夢のような話で、すごく楽しみにしている。

頭で選ぶのではなく、体が「これやりたい!」と言った進路を選んだことは今でも良い選択だったと思っている(笑)

 

前置きが長くなってしまったが、私がこのブログでやろうと思うことは、「宇宙についてわかりやすく解説する」「宇宙開発や宇宙旅行についての記事(アメリカのものを含む)をもっと多くの人に読んでもらいたい」ということだ。私はまだ自分の専門分野があるわけでも、何かを成し遂げたわけでもないただの院生だ。しかし、宇宙についてもっと多くの人にわくわくして欲しい、宇宙についてもっと理解して欲しいという気持ちは誰よりも大きいと自負している。昨今は世界各地で宇宙開発が進み、宇宙旅行会社も出てきている。この激動の宇宙開発時代において、日本は世界をひっぱていける存在だと思う。しかし、莫大なお金が必要な宇宙開発において、そのメリット・デメリットをきちんと考えていくことは非常に大事だ。私の記事を読んで、宇宙開発に興味を持ってくれる方が少しでも増え、宇宙開発について議論していけるとうれしい。