12歳の思い出

小学生のとき、脚本を書いたことがある。
内容はコメディだったと思う。
クラスの男子全員でお楽しみ会に吉本喜劇のパロディをする…という計画だった。

結果から言うとスベった。

あれから6年生きてきたが、未だにあれ
を越えるほどスベったことはない。
とにかくスベった。

計画を打ち明けたときに、「楽しみやなーw」と言ってくれた担任の先生でさえ苦笑いを浮かべるだけだった。
僕は北極や南極の氷に触れたことはないが、きっとあんな感じの冷たさなんだと思う。

僕は脚本を担当した(かっこよく言えば脚本家)だったので、客席で、しかも担任の先生の隣でいっちょうまえに腕なんか組んで見ていたと思う。
無論、途中でその腕は両足の上に小さく乗せられた。

個人的に反省点をあげると、役者がズブの素人だったということだ。

もちろん台詞は棒読みだったし、動きもどこかぎこちなかった。
さらに12歳の役者たちはひどく緊張していた。
特にOくんなどは緊張のあまり自分のセリフにウケてしまい、劇が終わるまでの間、ひたすら「ブフッw フフフッw」となっていた。
O君は僕に野球のバッティングを教えてくれたりして、とても思いやりのある好青年だったが、僕はそのとき『あのでくのぼうめ、なにがそんなにおもしろいんだ』と思っていたはずだ。

悪夢のような時間が終わり、最後に僕は脚本家として簡単なあいさつをする手はずだった。
僕は前日の夜、肉まんのようにホカホカに盛り上がった会場で拍手を浴びながらあいさつをする自分を妄想していた。
実際はそう、北極や南極の氷のようだった。

後悔はしていない。