とことん異なる三世代をつなぐ家族という“絆”
成功を夢見る父親に連れられてアメリカの片田舎に越してきた韓国系移民一家を描いたドラマで、一見地味だが、アカデミー賞助演女優賞、サンダンス映画祭グランプリと観客賞を受賞した話題作。
少年のような夫と現実的な妻、英語も話せない祖母、アメリカナイズされていく姉弟。さまざまな困難に翻弄される一家だが、喧嘩しながら、しぶとく、たくましく生きている。
とことん異なる三世代をつなぐ家族という“絆”が静かな感動を呼ぶ。
構成がとても巧妙、私的海外ドラマ最高作
私が初めてハマった海外のドラマ・シリーズで、86年~94年の長きにわたってシリーズ化された(日本でも深夜放送されていた)。
内容は『L.A.ロー 七人の弁護士』というタイトルのとおりだが、構成がとても巧妙で、1話ごとの起承転結の上に5~6話にわたる中型のテーマが乗り、さらにシリーズ全体を貫く大きなテーマが設定されていて飽きない。ロス暴動やLGBTへの課題など、当時のアメリカ社会の映し鏡でもあった。
(一応は)一話完結なので、途中から見てもOKなのがよい。
金持ちと貧乏人の行ける「デジタルのあの世」の差がおもしろい
ネット・ドラマ全盛の中、アマプラでは本作『アップロード』が私的に最高。
死に際して記憶や人格をデジタル世界にアップロードする話だが、お金持ちには優雅で豪華な世界が用意され、貧乏人は出来損ないのマインクラフトのような世界にしか行けない。楽しいはずのSFで、彼我の現実を思い出してシュンとなる。
地上(?)のリアル世界と、デジタル世界の境を乗り越えた恋愛話もデジタルでありつつアナログ。よい。
ただし、ネットドラマって、人気が出たらどんどんシリーズが増えて、なかなか途中参入できないのがつらい。“シーズン10”って、『名探偵コナン』か!(もうすぐ100巻でまだ途中)
本作はまだシーズン1。見始めるなら今です。
女性誌『CREA』の特集“ゲイ・ルネッサンス'91”と双璧をなし、90年代ゲイを救った
まだ「LGBT」という言葉すらなかった'93年の日テレ系ドラマ『同窓会』。
クローゼットの中に隠れていた日本の少年ゲイたちにとっては革命だった
。 バイで男にも女にも体を売る少年山口達也(ハダカが本当にキレイだった……再起を願う)、そして自分が好かれていることにも無頓着でノンキなノンケの髙嶋兄。彼にずっと恋し、横に寝ている彼の身体に手を伸ばそうとしてグッと拳を噛んで堪える主人公、西村和彦。全ゲイが枕に顔を押し付けて泣く。
と、ここにもってきて視聴率が上がったのか、同時期の他局のドラマでも突然ゲイの人物がわらわらと登場。電博よ、ありがとう、恥を知れ。
そして少年たちは、だんだんとクローゼットから出てきた(come out)。
ドラマ『同窓会』自体は、最後は脚本の井沢満が大暴走、LGBTのイロハも無視して国分太一が女性化し、ウェディングドレスを着て終わる。なんじゃそら。だがその功績は大きかった('91の女性誌『CREA』の特集“ゲイ・ルネッサンス'91”と双璧)。