オファーをもらったとはいえ、アメリカで合法に働くためにはUSCIS(アメリカ移民局)の許可が必要で、おそらく今回のタイミングが本当に一番転職、大学を移るのに適してない時期だったと思う。H1Bはすでに一度更新済みで、今年2024年の夏に6年が終わる。本来H1Bは6年が限度で、それ以上は更新できない。それ以上更新したかったら、アメリカ国外で一年間過ごして、再度申請しないといけないらしい。
ただ通常、大学にいたら大学側がH1Bの6年目が終わる前に永住権獲得へのプロセスをサポートしてくれることがほとんどで、現在の大学でも学部長(Dean)を含め話しあってきた。金額も一万ドル以上かかるので、それを大学側が負担してくれるのはありがたい話だった。ただ、なんといってもうちの大学の業務の遅いこと!!(数ある中の一つの不満)。そしてそれに加え、ある事情によりうちの学科が数年前に異なる学部に移ったこともあり(つまり学部長もかわる)、すべてのプロセスをやり直さないといけないと言わた。。。単なる言い訳かもしれないと思ったけど、もうどうしようもできない。そして2023年の秋ごろに、大学側からH1Bが切れる2024年8月までには永住権の申請はもう間に合わないから、O visaを進めると言われた。まさか、また非移民visaを申請しないといけないかと落胆する。
ただ、こちらも100%大学にビザのサポートを丸投げしていたわけではなく、2023年の夏(H1B6年目突入の年)に入った時点で大学側の永住権取得のプロセスに進展がなければ、これ以上大学を頼っていたらアメリカで働けなくなる可能性が高くなると思い、もう自腹で、2023年の9月に弁護士を雇い永住権取得に向けて動き始めた。アカデミア/研究者界隈では有名な弁護士事務所で、他のInternationalの先生に紹介してもらった。そして、永住権と言っても様々なカテゴリーがあり、EB2のNational Interest Waiver (NIW)というカテゴリーで申請することを勧められた。カテゴリーによっては、雇用主に書類を用意してもらう必要がある。ただ、ビザの更新に関して、もうすでにうちの大学への信頼は地に落ちかけていたので(業務も遅いし)、NIWという雇用主の有無とは無関係で進められるカテゴリーでいくと聞き、少しホッとする。大雑把に言うと、NIWは、私/私の研究はアメリカにとって有益ですよ!みたいなことをアピールするカテゴリーで、これから行う予定の研究の説明(もちろんどのようにアメリカに有益になるかに絡めて)や、これまでに出版した論文、引用回数、どのように論文が引用されたか、そして4通の推薦状を準備した。
ここの法律事務所はすべてオンライン上で書類の作成や準備が行われて、2023年10月から準備をはじめて、2024年の1月末ぐらいに全ての書類が完成した。なので丸々4ヶ月かかった。2月2日にUSCISが書類を受理し、2月14日にapproveされた!当時2500ドル(2024年2月26日から2805ドルに値上がりした)のpremium processingも使用したけど、本来は45営業日かかるはずだったので、かなり早くapproveされた。法律事務所の力なのかは分からないけど、書類の完成度にはかなり満足していたので、高いお金を払ってでも頼んだ甲斐はあったと思う。そして時期的に、丁度新しい大学からのオファーレターにサインをしようと思っていた時期で、少し気持ち的にも楽になった。ただ、正直なところ、この時点では私の楽観的な頭の中では、永住権を申請中だったらEADを申請可能で、それを使ってアメリカで働けるものと思い込んでおり、H1Bの更新が必要とは思っていなかった。。。(もしかすると、I140とI485を同時に提出していたらEADの申請も可能だったかも??)
今回approvedされたI140という書類は永住権獲得のための第一歩でしかなく、まだI485という永住権所得のためのステータスの変更書類を提出しないといけなかった。ただ、I140のカテゴリーや出身国にもよるけど、USCISのバックログ(過去に提出された未審査の書類の山)が激しく、中国・インド出身者以外のEB2 NIWのカテゴリーだと、1年以上前にI140を提出した人たちのI485をようやく審査し始めた。ちなみにインド出身者だと10年以上のバックログがある(EB2 NIWだと)。なので、今の時点ではI485の書類はまだ出せないと言われた(バックログの日付がI140を提出した2024年2月になるまで待たないといけない)。この知らせを聞いて、青ざめる。そして、無料弁護士相談を行い、H1Bの6年以降の更新には例外も用意されていることを知る。その中に、I140がapproveされていたら、それを使ってH1Bを6年目以降も半永久的に更新できるみたいで、オファーをもらった大学にすぐに連絡をして、H1Bの更新のサポートをしてもらうことになった(この項目は直前にオファーレターに追加で入れてもらった)。
本当に綱渡り状態(I140が結果的に役に立ってやり過ごせた)で、2月はヒヤヒヤの連続だった。ただ、approveされたI-140を使ってH1Bを延長し、これで全て解決!というわけにはならず、、、今度はI-140を使ってどのようにH1Bを延長、そしてH1Bの雇用主をtransfer/変更するかの話し合いになりました。
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今更ながら、もし永住権を目指す方がいたら、大学院生の時からでも始めてもいいと思います(最低でも弁護士に相談するか)。特に論文をすでにだしたり、引用回数もあったら意外といけるかも知れません。