ありふれる
紅葉の写真を撮るために比較的近くの山へ車で向かった。
その道中くだらないことを考えていて、
なんで赤いりんごは「りんご」としか言わないのに、青りんごは「青」と付けるのだろうか
とかそんなことを思いながら運転していると、到着する1、2分前に突然雨が降りだした。
赤いりんごこそが普通だと、私も含めて多くの人に認識されているから、いつまでも青りんごに辿り着けない。
傘は持っていないし、気温6℃の雨に打たれる勇気もない。
ひとりごと
伝えたいことがあるのに
伝わらないし
分かりたいのに
分からせてもらえない
見えること
聞こえること
感じること
単純なことなのに複雑に思える
春の憂鬱
春になると、浅紅色をした羽毛が道路脇に溢れて
果てには褐色に変わりますが、君のものですか
雨の音 ぽつ ぽつ。球体の、包み紙にくるまれているのは 思い出 ですか
これ以上進もうにも進めません
とびきり寒い夜に纏っていたセーターの
心臓にいちばん近いボタンに睨まれていて、進めません
あれは無感情で悪意すら篭っていない目だ
冷たい うるさい なのに耳は音を運ばず
そうですか
もう春ですか
何度目の春ですか
花粉が降る降る季節です
植物の終わりは枯れた時なのか
ヒトが泪を流した時なのか どっちだったか
残り何度の春ですか
君はいますか
ざーざー降りませんか
ざーざー、降りませんか
無題
何年かぶりに風邪を引いて分かったのは、想像していたよりもずっと、自分はひとりだったってこと。
なるべく哀しむのはやめようと思ってたのに、風邪のこと 忘れるくらい哀しくなった
さす
死んだら何が残るのか
死んだら何から解放されるのか
死ぬことにいったい何の意味があるのか
死ぬことはすべてを終わらすことなのか
死ぬことで新しい生命は生まれないのか
感情が死ぬってことは、他者の、或いは自らの手で自分を刺し殺すってことだ
実体があるならいいじゃないか、と誰かは言う
そんな台詞はどうでもよかった
街に鐘の音が響かなかったから、人は朝の存在を漸進的に忘れていく。閑散というよりは個々の分離に近く、それはもう救いようがないよ
そうね、だからこそ刺したのだ
私の身体に刺さったのが 君の爪の一部だったなら、きっと楽だったのにね
死
君は 死 を直接つぶやく事で
私は 生 を語ることで死を最大級に意識している
共通してるのは 死に対する恐怖であり、憧れであり、手の届かない大切な人がいるということでもあると思う。
私のなかで星が死んで、世界は君だけのものになった
こうなると、生きてくことは難かしい
なんかもう無理がある気がするよ。