書を読んで 書を信じるな

読んだ書籍(漫画含)の感想などをいい加減に書き連ねるブログです

Jカスの巧妙な印象操作

headlines.yahoo.co.jp

「最年少アイドル」という肩書で、幼稚園に通いながらアイドルとして活動する女の子「あいちゃん6さい」。そんな彼女の活動を取り上げたバラエティー番組「フルタチさん」(フジテレビ系)の放送内容が、インターネット上で物議を醸している。

 そのきっかけは、番組を見た「あいちゃん」の反応を、所属事務所の大隈秀徳代表がツイッターで明かしたことだった。大隈代表によれば、あいちゃんは番組の内容に強いショックを受けて号泣し、放送後に幼稚園を2日間「お休み」したのだという。

■「放送をドキドキワクワクで観ていたあいちゃんが...」

 2017年1月15日放送の「フルタチさん」では、「6歳のアイドルが大人に大人気の理由とは?」と題した特集を放送した。そこで紹介されたのが、4歳でアイドル活動をスタートさせたあいちゃんだった。

 番組では、あいちゃんのコンサート当日の様子を密着。ステージの上で童謡やアニメソングを歌ったり、ファンとの写真撮影やサイン会を行ったりする様子を伝えた。また、番組スタッフがファンに「なぜ6歳のアイドルを応援するのか」を質問する場面もあり、そこでは、

  「恋愛スキャンダルがないため、絶対に裏切られることがない」
   「親目線で応援できる」

といった意見も紹介されていた。

 こうした番組に対し、翌16日のツイッターで「放送された内容に誤りがあったようです」と訴えたのが、あいちゃんが所属する芸能事務所レインボーミュージックプロダクションの大隈代表だ。ツイートでは、

  「放送をドキドキワクワクで観ていたあいちゃんが後半でショックを受けて号泣してしまいました」

と報告。その上で、番組を見ていたあいちゃんは、涙を流しながら「なんで?...嘘を言うの?」と漏らしたとも説明していた。

 さらに、大隈代表の投稿によれば、あいちゃんは放送翌日の朝も涙が止まらず、心配した母親が幼稚園を「お休み」させたという。

いったい、何が6歳の女の子をここまで傷つけたのか。その原因は、番組後半で女性アナウンサーが伝えた「ある情報」だ。このアナウンサーは特集の終わりに、

  「ちなみに、あいちゃんに『幼稚園で好きな男の子いるの?』と聞いた所、××君が好きと答えていました」(伏字は編集部、放送では下の名前が公開された)

と読み上げた。その後、番組MCの古舘伊知郎さん(62)は「普通の女の子だということで安心したんですけど、その『××君』があの客の中の1人だったら...」と話し、スタジオの笑いを誘っていた。

 番組を見ていたあいちゃんは、このシーンの直後に「号泣」し、テレビの前で泣き崩れ、「好きな人いないって...言ったのに...」と漏らしたという。

 なお、大隈代表は投稿の中で、「(あいちゃんは)恥ずかしくて幼稚園に行けないとかではなく、お客さんが可哀想だと泣いたのです」とも説明。その上で、

  「まだ嘘をつけない純粋なあいちゃんが、本当は『いない』って答えたんだよ、とみなさんに伝えたがっているので代弁させていただきました」

としている。また、こうした誤った情報が番組で取り上げられた原因については、あいちゃんの母親がスタッフとの雑談の中で「良く遊ぶ男の子の名前」を出したことが、

  「番組制作の過程の伝達ミスか何かで間違って放送されたのだと思います」

と推測していた。

 こうした大隈代表の訴えはインターネット上で注目を集め、ツイッターネット掲示板には、

  「このぐらいの年齢のトラウマって気を付けないと一生引きずるからなぁ」
   「この歳の子にはデリケートな問題だと気づかんかね」
   「子供泣かすようなことすんな」

など、あいちゃんを心配したり、番組制作サイドを批判したりする書き込みが相次いでいる。

フジテレビ「事実関係を確認中」
 その後、あいちゃんの様子はどうなのか。J-CASTニュースの18日の電話取材に応じた大隈代表は、

  「16日に続き、17日も幼稚園はお休みしたと母親からは聞いています。ただ、17日の夜にはもともと予定されていたライブイベントに出演し、ファンの前で元気な姿を見せました。幼稚園にも、18日から行っているそうです」

と話す。

 また、あいちゃんの反応や本人の思いをツイッターで公開した理由については、

  「放送後のレッスンで元気が無く、番組について『なんであれ嘘を言ったの』などと気にしていた様子だったので、運営として対応すべき問題だと考えました。基本的には、応援して頂いているファンへ向けたメッセージになります」

と説明。今後については、「家族と一緒に、本人へのフォローを続けていければと思います」としていた。

 なお、大隈代表には18日昼頃に番組のプロデューサーから連絡があり、現在は「今後の対応について話し合っている最中」だという。

 J-CASTニュースはフジテレビ広報部に対し、(1)放送の内容が間違っていたという事務所側の主張は事実か(2)あいちゃん本人・家族への謝罪や、放送内容の訂正は考えているか――などを質問したが、18日18時時点では、

  「事実関係を確認中ですので、現段階では回答を差し控えさせて頂きます」

との回答だった。

「あいちゃん6さい」というアイドルをフジテレビの「フルタチさん」で紹介した際、些細な行き違いからあいちゃんが言ってもいないことを番組内で披露され、その事であいちゃんが酷く傷ついたという顛末。事実であればフジテレビ及び「フルタチさん」制作スタッフへの非難は当然であろう。


しかしながら、「あいちゃん6さい」が所属するプロダクション代表の大隈秀徳氏の公開文を読むと、Jキャスト(以下Jカス)の記事とは些か異なる印象を受ける。



前半~中盤部分は概ねJカスが報じている通りであるが、何故か後段のフジテレビ及び「フルタチさん」制作スタッフへの謝意を述べた部分

これは番組批判ではありません。
フジテレビ様、フルタチさん番組スタッフの方々には大変良くして頂き感謝しています。
放送も長々と尺をとって頂き本当に感謝しています。


この辺りがごっそりと省略されているのである。


ひねくれた見方をするに、恐らくネットユーザーを煽ってアクセス数を稼ぎたいJカスとしては、大隈代表が感謝の意を表した部分をも紹介しては都合が悪かったのではないかと思う。Jカスの記事だけを読むのと大隈代表が公表した文章も併せて読むのでは印象が大分違うと感じた人も多いだろう。

この手の記事というものは対象がより悪質で読者に嫌悪感や不快感を抱かせる内容のもののほうが注目されやすい。それがマスコミであれば尚更である。ところが、被害者サイドの大隈氏が「これは番組批判ではありません」と明言した事がバレてはネットユーザーのヘイトは半減するし、注目も薄れる。その時点でこの問題は円満に終わってしまうからだ。
ネットユーザーの中には元記事を読まない人などは珍しくもないからこうした意図的な省略は有効だし、引用元を明記しているからその事を咎められても言い逃れができる。巧妙と言うより狡猾と言っていい。


アクセスビューを稼ぐために大隈氏の本意とは異なる印象操作記事を仕立て上げたとするなら、Jカスは本当にクソだなと思わずにはいられない。

「ネトウヨ怒りの国歌斉唱」とステキな負け惜しみ 日之丸街宣女子2巻感想

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「日之丸街宣女子」(以下日之丸)の2巻が発売された。


日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおとめ)2

日之丸街宣女子(ひのまるがいせんおとめ)2





前巻ではヘイトスピーチを巡る差別主義者と反差別主義者の攻防をメインに描かれていたが、差別主義者を(自称)「日本が好きなだけの普通の日本人」的に美化して描く一方、反差別を「北斗の拳」のモヒカンもかくやといわんばかりの暴徒に仕立て上げるなど、現実を捻じ曲げてヘイトスピーカーに都合よく仕立て上げられた世界観には(悪すぎる意味で)目を見張るものがあった。
あまりの素晴らしさに感想も書いてしまった。


d.hatena.ne.jp




さて、本巻では所謂「グレンデール市に置ける慰安婦像設置に伴う米国在住の日本人、ないし日系人イジメ」がメインテーマとなっている。
そう、右派の間で大々的に喧伝されてはいるものの、何故か被害者が名乗り出なければ海外の人権団体や弁護士も一切のリアクションを見せず(日本よりも遥かに人種・民族差別問題に鋭敏な米国ではまず有り得ない反応である)、現時点では都市伝説の域を出ないグレンデール市のアレである。
実際、「日之丸」の作画を担当している富田安紀子氏もエミコヤマ氏とのやりとりで「日本人イジメ」の具体的な証拠を何一つ提示できず、渋々ながら事実上それをデマであると認めざるを得なかった。


togetter.com


そのわりには著者の挨拶でこんな開き直りをしているのだから意味がわからない。

(中略)2巻ではグレンデール慰安婦像を扱っていますが、今度は「デマ」だそうです。
隠さなきゃいけない事でもきっと描かれているのでしょう。

「今度は」ではなく「今度も」の誤りであると思うが、2巻を通読してもやはりデマ批判を覆すだけの根拠は提示されていない。




書籍に於ける帯の役割は重要である。
限られた文字数でその本がどのような内容であるか、いかに手に取りレジに持って行きたくなるようなコピーを用意できるか。
編集者の腕の見せどころではあるが、流石は(自称)「日本が好きなだけの普通の日本人」向けに特化した青林堂だけあり、「日之丸」の帯も他社のそれとは一味も二味も違う。

帯(表)からして

「私達は二度と韓国に謝らない だって私達は何一つ悪くない」

である。既に慰安婦問題日韓合意が結ばれた現在において、この居直りは開き直りを超えて現実逃避である。

裏は裏で

新章の舞台は米国グレンデール

慰安婦像の設置から始まった日本人差別(ヘイトクライム)!!

と、これまた随分と扇情的な文言が並べ立てられている。
一応補足しておくと、本巻で展開されている「慰安婦像の設置に端を発する日本人イジメ」なる物語自体は確かにヘイトクライムとしか言いようのないものである。デマだけどね。





本巻の大まかなストーリーをまとめるとこのような感じだろうか。




・主人公の友人でアメリカに引っ越した「須藤桜良」が、慰安婦像の設置に伴うヘイトクライムの被害者になる(加害者は勿論韓国系)。
                         ↓
・主人公とその仲間たちで夏休みの研究課題に従軍慰安婦問題を取り上げることを提案。反撃の狼煙があがる
                         ↓
・加熱する執拗なジャパン・バッシングに耐える(自称)「日本が好きなだけの普通の日本人」。
                         ↓
・研究成果をネットで国内外に配信。従軍慰安婦問題の肯定派と否定派で激しいバトル。 
                         ↓
・結果は主人公たちの圧勝。研究成果を発表した後に何故かネトウヨ怒りの国歌斉唱


d.hatena.ne.jp

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最後の国歌斉唱が意味不明だって?大丈夫、私も読んでいて軽い目眩をおぼえた。この部分に関しては後日続きを書こうと思う。

いわゆるナコルル騒動に関する雑感

くたびれはてこ(id:kutabirehateko)氏の記事を読ませて頂き、懐かしさと同時にネットに蔓延るヘイトスピーチについて色々と考えさせられた。



kutabirehateko.hateblo.jp


ストリートファイターⅡの歴史的大ヒットに端を発する対戦格闘ブーム。その当時の女性キャラクターなどというものはストⅡの春麗餓狼伝説2の不知火舞らに代表されるように、多少の例外はあれども概ね性格は勝気で高飛車、コスチュームは露出度が高いかボディラインを強調した性的アピールの強いものが一般的だった。最近の格ゲーは詳しくないけれども、今でもそんなに変わらないのかな。

そんな当時において高飛車ナイスバディの女王様キャラとは正反対のナコルルという個性を生み出し、4半世紀を経た今日に至ってなお対戦格闘ゲームの世界で現役を務めているというのだから、当時のSNKのキャラクターメイキングに於けるセンスの凄まじさや恐るべし。
まあ、ナコルルの初出作品「サムライスピリッツ」のもう一人の女性キャラ「シャルロット」は典型的な金髪おフランス美人の女王様キャラだったけれども。

その「ナコルル」がキャラクター性能から一部のユーザーの反感を買い、中には「アイヌ死ね」なる侮辱を公言する心無い者まで現れる事態に発展しているという。「真サムライスピリッツ」の頃の最弱ぶりを知る者としては隔世の感があるが、今はそれはどうでも良い。

看過し得ぬほどの悪意に満ち満ちたナコルルさんへのヘイトスピーチに対し、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の理念に基づき、メーカーに然るべき周知と対応を求めたはてこ氏の公開嘆願書であるが、残念ながらはてブ界隈での反応は否定的なものが多数を占めている。そして、はてこ氏にとっては頗る不快ではあろうが、私もその否定的なブックマークに大体は肯定的である。


例えば、SNKプレイモアナコルルアイヌへの偏見や先入観を強めるようなキャラクターに改悪したとしたら、それは当然メーカーへの苦情や意見という形で尊重されて良いし私も支持する。しかしながら、文脈からしてナコルルを指している事が明らかな「アイヌ死ね」にまでメーカーが一定の見解を示せ、実際にそのツイートを目にして傷つくアイヌがいるはずだからメーカーの方でも反応せよ、と主張するのはやはり行き過ぎに思える。
その理屈で言うならば(マジョリティたる一般的な日本人男性の氏名と、「アイヌ死ね」以外にもこれまで様々な偏見や差別に苦しめられてきたマイノリティたるアイヌとの差異を敢えて無視して喩えるならば)「誠死ね」によって幾度となく不快な気分を余儀なくされた全国の伊藤誠さんにも私達は想いを馳せるべきであろう。

そうしたメーカーへのヘイトへの対応を求める声が大きくなり、面倒事を嫌うメーカーが火種のもとになりそうなキャラクターを予め排除、ないし予め作らないという、消極的な姿勢を助長させる結果に繋がりかねない事を危惧する。美形だが没個性的な二枚目キャラ、テンプレ通りの美少女キャラ、どこかで見たことのあるような悪役キャラ…そんな無難なキャラばかりが再生産され、ゲームから人物の多様性が喪失することを私は憂える。出来れば杞憂であってほしい。

今回はたまたまアイヌナコルルが槍玉にあがったけれども、今後他のキャラクター達がナコルルと同じような事態に陥らない保証などどこにもない。
嫌韓主義が蔓延している昨今においては、ふとしたきっかけで不特定多数の憎悪が韓国チームのメンバーに向けられるかもしれない。
どーでもいーけど、昔は「キム・カッファン」だったのが今は「キム」なんだね。「カッファン」という名前は朝鮮語的に不自然だからというのがその理由だったっけ(うろ覚え)。

game.snkplaymore.co.jp

それはさておき韓国だけじゃない。ブラジルだって、メキシコだって、中国だって、日本のキャラだって、ほんの些細なきっかけからヘイトが燎原の火のごとくに広がる可能性は常にある。はてこ氏やそのフォロワーは、その都度メーカーや声優に呼びかけを求めるのだろうか。アイヌのみを特別扱いするのでない限りはそういうことになる。声優さんも大変だ。

反差別の末席に勝手に座っているつもりの者としては、SNKプレイモアや声優が件の嘆願に対しノーリアクションだったとしても、理性あるはてこ氏やそのフォロワー諸姉諸兄にはSNKヘイトスピーチを黙殺する企業だだの、あの声優はヘイトに加担しているのかなどと過度の反応を示される事は控えていただきたいと思う。
時間と体力を消費して書き上げた嘆願書を無視されて愉快な人などいるはずもないが、流石にそれで攻撃対象が企業や声優に移ろうものなら、言葉は悪いが「反差別の中の過激派」でしかない。



翌日には嘆願書への反応と、それに対するはてこ氏の反論をまとめたエントリーが公開されたが、幾つかの反論には「ん?」と思わざるを得ないところがあった。


kutabirehateko.hateblo.jp


・声優さん関係ないだろ

「ルールを守って楽しくゲーム」をアナウンスしていただくのに声優さん以上の適役があろうか。キャラクターを問わずKOF14に出演された声優さんたち、なかでも長年ナコルルを担当された生駒治美さんとKOF14を担当された中原麻衣さんはとくにナコルルが火種になることを望まないと思うよ。

声優は仕事としてキャラクターの声を充てるのであり、それ以上の要求はやはり「お願い」ではあっても、受け取る側からすれば「過度な要求」とうつっても仕方がない。声優の本分からはだいぶ逸脱した要求にも思える。

仮に声優さんがはてこ氏の嘆願を聞き入れたとして、その後無責任なバッシングに晒される可能性は決して低くないと思う。
ネットの世論では「アイヌ殺す」をヘイトスピーチと看做すのは無理筋ではないかという声の方が多数派を形成しているようだし、「アイヌ殺す」=ヘイトが論理的に証明されたとしても、それはそれでヘイトスピーチが大好きなネット右翼や差別主義者から執拗な誹謗中傷を受けることだろう。その様子が悪質なアフィサイトで面白おかしく消費され、最悪の場合本業にまで影響する可能性もある。
勿論悪いのはバッシングする方に決まっているが、そこまで考えた場合、自分であればたとえお願いであっても軽々に声優さんに申し出ることは出来ない。責任も取れない。

・仲間内の「民族名+殺す」発言は民族の排除や暴力を目的としたものとはいえない

大阪市の条例はそれらを「目的としたもの」としているが、本来は意図的、故意であることは必ずしもヘイトスピーチの条件ではなく、それがマイノリティへの差別を扇動するものであるかどうか。*2民族+殺す発言が民族排除を意味することは明らかで、実際朝鮮人学校襲撃などのプラカードで非常に多かったのは「死ね」「殺す」などだった。同様の表現を公の場でおこなうことがマイノリティにとって脅威であることはあきらか。

「保育園落ちた日本死ね」もアウト?(民族名ではないけれど)
アイヌ死ね」の前後の文脈を読む限りでは、発言者が差別の扇動も排除も目的にしていないことは明らかなのだが。



あと、これははてこ氏の記事ではなく匿名記事だけれども

anond.hatelabo.jp

ドイツ人/ユダヤ人に置き換えた場合、当該の発言がいかにヤバい発言になるか分からないはずはないと思うが、どうだろう?

どうだろう?と言われても実際に類似の例を提示して頂かないことにはどうしようもない。
ドイツ人が実在ではなく架空のユダヤ人キャラクターに「死ね」「殺す」と公言し、サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)のような反ユダヤ主義を監視する団体から警告を受け、社会的信用を失ったという事例があるのであれば後学の為に是非ともご提示いただきたい。

というか、もしも日本よりも遥かに差別問題に鋭敏なドイツで類似の例があり、しかし発言者が社会的信用を失うほどではないという社会的合意が既に形成されていたとしたら、「アイヌ死ね」はセーフになるのだろうか。ドイツを引き合いに出すということはそう解釈せざるを得ないが…。




ただ、「非実在」の人物に対するヘイトがヘイターによって工夫され、悪用され、ヘイトスピーチを正当化するための隠れ蓑にされる可能性は決して皆無ではないとも考えさせられた。つまり、例えば差別主義者が特定の属性を有するキャラクターのグッズなり、手書きのプラカードなりを持参して「○○(属性ではなく固有名詞)は死ね!」「○○を殺せ!」などと街中で連呼したとする。咎められても「いや、これは特定の属性を有する架空のキャラに対する悪口であって、実在の人間を対象にしたものではない」などと陳腐な言い訳を用意されると、現行法では対処が難しいし、警察も介入をためらうかも知れない。本来のヘイト法はそのようなケースまでは想定していないからだ。
今後、このナコルル騒動を奇貨として、ヘイトスピーチ対策法の目をくぐり抜けることに特化した「より洗練されたヘイトスピーチ」(変な言葉)が編み出されない可能性はどこにもない。そうした懸念に備えることは決して杞憂ではないし、その意味ではくたびれはてこ氏には貴重な問題提起をして頂いたと感謝している。

産経、半日も経たずに遁走す

b.hatena.ne.jp



足場の悪い被災地を背負われて移動した務台俊介内閣府政務官の醜態を受けて、民進党安住淳国対委員長が発したコメントに対し、産経新聞はブーメランであると指摘する。
岡田克也元代表や枝野幸男幹事長も革靴で被災地に赴いていたではないか、というのがその理由であるという。
一応確認してみた。


www.minshin.or.jp


今年の4月27日に枝野幹事長他数名が熊本入りし、地元の村長さんから説明を受けている様子。確かに革靴を履いている。





www.katsuya.net

同じく岡田元代表が熊本地震の被災地に現地入りし、被災者の話を聞く様子。一枚目の画像では確認しづらいが、二枚目の画像ではやはり革靴を履いているのが確認できる。



しかしこれ、ブーメランと呼ぶほどのものなのだろうか。
枝野氏の場合は雨は降っているけれども長靴が必要なほどに地面がぬかるんでいるわけではない。
岡田氏に至っては避難所、及び雨すら降っていないアスファルトの上である。
このような場所で長靴を履いたところで、かえって歩きにくいだけで不便であろう。



そもそも安住国対委員長の発言の主旨からして、議員は必ず被災地に長靴を履いていけというような意味合いのものではなく、人におぶさって貰わなければ移動もままならなかった政務官の不用意・不手際を皮肉ったものと受け止める方が自然であろう。


同様の指摘が多数あったのかは分からないが、13日9時21分に配信された同記事は、同日17時現在Yahoo!ニュースからは削除されてしまっている。

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ブーメランでもないものをブーメランと騒いだ挙句、一人で自爆しこっそりと記事を削除して遁走する、まことに見苦しいとしか表現しようのない産経の駄記事であった。