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自分勝手な映画紹介

グランド・ブダペスト・ホテル


「グランド・ブダペスト・ホテル」予告編 - YouTube

 

 日本でも「ダージリン急行」や「ムーンライズ・キングダム」で有名な、あのウェス・アンダーソンの最新作です。

 

 東欧の今は亡き(という設定の架空の国家)ズブロフスカ共和国の高級温泉リゾート「グランド・ブダペスト・ホテル」を中心として、展開されます。

 旧ズブロフスカ共和国の国民的作家が、かつて映画を極めたグランド・ブダペスト・ホテルの元ロビーボーイ・ゼロが語る、伝説のコンシェルジュ・グスタヴとの冒険譚を聞き取った小説、という設定です。

 パンフレットのインタビューにもある通り、この映画は決して史実にはもとづいていません。しかし、深みのあるキャラクターたちに裏打ちされたあるときはコミカルな、あるときはロマンチックな、またあるときはセンチメンタルなストーリーは、ファンタスティックでありながらも終始非情なまでに現実味にあふれています。「御都合主義」に飽き飽きした方にこそ、おすすめしたい映画です。

 

 また、さりげなく花を添えつつ、後々に強く印象を残す脇役俳優や小物も魅力のひとつです。セリフもほとんどないようなほんの端役のメイドを近頃大人気のレア・セドゥが演じています。ほんのすこし映るだけのスーツケースはPRADA、ファーのミリタリーコートはFENDIという(ファンにはおなじみの)豪華さ!  大混乱のストーリーに集中しがちですが、ぜひファッションや美術も注目していただきたい点です。

 そして、この映画はストーリー中の時代により、アスペクトレシオンが変化することも特徴であり魅力のひとつです。しかし、「オズ はじまりの戦い」('13)ほど顕著には変わらないので、小さな劇場では字幕に気を取られて気づかない方もいらっしゃるかもしれません。恐らく私も、事前に聞いていなければ気づかなかったでしょう。技術的な問題で、1作目をアカデミー比で撮ることが叶わなかったというウェス・アンダーソンの強いこだわりを感じました。

 もう多くは語らないことにしますが、エンドロールもとてもかわいらしく、ついつい笑ってしまいました。ちょっとしたご褒美をいただいたような幸せな気分に浸ることができるのですが、あまりに長いためか途中で席を立つ方が多く、残念に感じました。せめてこのブログをお読みの数少ない方々は、どうか最後までご覧いただけたらと思います。

 

 この映画で美しく多彩な音楽を手がけていたアレクサンドル・デスプラは、7月25日公開の「Godzilla」の劇中音楽も手がけているそうです。観に行こうかしら……

(ゴジラと言えば

TOHOシネマズの売店ではゴジラの特製ドリンクセットが販売されていました。

キャップがフィギュアになっていて、飲み終わった後も置物として楽しむことができるそうです。

とてもよくできていたので、お好きな方はぜひ!)

エコール

 

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 ヴェデキントの小説『ミネハハ』を元にして作られた映画です。

原作とのもっとも大きなちがいは、ひとりの少女を追うのではなく、さまざまな少女に視点を切り替わるところ。

森の中の寄宿学校とおぼわしき場所に住まう少女たちの日々の生活や心の動きを描いています。

 ストーリーは、特典映像の劇場予告の「少女たちはどこからきて、どこへゆくのか」に集約されています。

原題のも素敵ですが、ほんとうに学校のことしか描かれていないので、邦題の「École」もとても的確で素敵だと思います。

 

 はじめの印象は、「たくさんの似たお顔の子役、女優さんを用意する予算がなかったのかしら?」というものでした。

しかし、視点の移り変わりにも違和感がなく、また様々な視点が組合わさることで、原作よりも物語を理解しやすく感じました。

少なくとも、お話についていけなくなることはありません。

きれいな、まとまりのある素敵な作品だと思います。

 途中、少し不気味であったり、悲しかったりするシーンもありますが、全体としてはそれほど暗い映画ではありません。

むしろ幻想的というのがぴったりなさわやかさです。

しかし、少量ですが血の出るシーンがあるので、苦手な方はご注意を。

 

 「この映画は悪質な児童ポルノである」という意見をよく聞きましたが、全くそのような印象はありません。

少女の体があらわになるカットもありましたが、あまりに淡々と撮られており、嫌らしさは感じませんでした。

女性の方でも安心してご覧になれる映画、というよりも、女性の方にこそ見ていただきたい映画です。