ananxxxのJUNK STORY

勉強していること、気になったことを書きます。ガラクタのような文章が、誰かの心に届き、共有できると嬉しいです。

僕のペルー・ボリビアの旅①

 学生最後の春休み。ボリビアとペルーを廻ることにした。目的はご存知のようにウユニ塩湖とマチュ・ピチュ遺跡を見学するためである。また社会人になってからでは、なかなか長期休みを取りづらい。何週間も休みが取れ、かつ体力のある学生のうちに行っておくべき場所として南米を廻ることにした。通常、ボリビア・ペルーを旅行代理店のパッケージツアーで廻ると50万円を必要とする。今回、僕はこの費用の半値である25万円以内を目安に約2週間、バックパッカーの旅に出ることにした。

 一番コストになるのが、航空券。HISやスカイゲート、トラベルコちゃんなどのネット代理店や航空会社のWEB予約サイトを比較しながら最も安い航空券を見つけることにした。さまざまな状況を検討した結果、トラベルコちゃんでヒットする「トラベル・スタンダード」という代理店が安価であることがわかった。担当者に勧められたチケットが3月6日成田発→アトランタ→マイアミ→ラ・パス着、3月20日リマ発→マイアミ→アトランタ→成田着というオープン・ジョーチケットだった。地球の歩き方を見ると、ペルーの首都であるリマへ入って、ボリビアの首都ラ・パスから出るルートが勧められており、最も一般的だ。しかし、ラパスin、リマoutだと安く取れるということだったので、その順路で旅をすることに決めた。航空券は186.480円。チケットは27日前に予約をしたのだが、その時期に20万円を下回る価格で取得できたことは大変お得なことだった。

 僕は現在、ペルーのチチカカ湖畔、プーノという街でこの記事を書いているのだが、暇があれば今後、僕の旅路をぼちぼち綴っていきたい。僕と同じ価値観で旅行をしている人、またはこれからしたい人の参考になればと思う。

「ゼロ・ダーク・サーティ」を見た。

 ゼロ・ダーク・サーティを見た。アカデミー賞作品賞にノミネートされ、世界でいま最も話題沸騰中の映画であるが、日本では先週の15日にようやく公開が踏み切られた。この作品は、2011年の5月に起こったオサマ・ビン・ラディン暗殺事件を題材にした映画である。CIAの女性分析官であるマヤは、9.11以降、国際手配されたビン・ラディンの消息を突き止めるためにパキスタンへ派遣される。マヤはビン・ラディンとテロ実行犯の連絡役を務めるとされる「アブ・アフメド」の正体を明らかにするため、仲間とともに情報収集に務めるが、ある日、アフガニスタンの基地で起きた自爆テロによって仲間の女性CIA諜報員を亡くしてしまう。この事件を機に、マヤのビン・ラディン拘束への執念は憎しみとともに高まっていく。その後も発生するテロや情報の錯綜、上司の対応に翻弄されながらも10年近くに及ぶ地道な諜報活動によってついに、ビン・ラディンが隠れているとされる在り処を突き止めることに成功する。そして、2011年5月2日の未明「0:30」に米軍シールズによってビンラディン暗殺に向けた「報復」作戦が行われることになる…。あらすじはこんな感じであるが、160分間、とにかく緊張の途絶えない映画であった。特に最後のビン・ラディンの隠れ家を襲撃する映像は、まるで自分が作戦に参加をしているかのような臨場感を味わうことができ、迫力満点であった。ドアの施錠を爆発させる度に、驚きのあまり家畜が叫び立てる音などの細かい設定が臨場感を増幅させたのであろう。また、テロ発生や武装集団に襲撃される映像が何度か登場したが、これらの映像も同様にスリリングだった。監督の前作である「ハート・ロッカー」の爆弾処理映像でもそうだったが、何かとんでもないことが起きる前のどんよりとした空気感や不協和音の演出は監督独特の技法であり、視聴者を映像の虜にしてしまう。

 この映画のレビューを見てみると、アメリカ礼賛やプロバガンダ映画だという意見が散見されるが、僕はむしろバランスのとれた映画であると実感した。冒頭は9.11のボイス・レコーダーに残された犠牲者の悲惨な声から始まり、テロとの戦いに翻弄される哀れなCIAの姿や正義のためにリスクを覚悟して突き進む勇敢な女性分析官など、確かにそうした意見を持つに及ぶシーンは何度も見受けられた。また、この映画は暗殺事件後、1年数ヶ月での公開と非常に短期で制作された映画であり、このことからCIAや軍、政府からの緊密な協力無しには生まれなかった作品であることに違いない。これらのことから、アメリカ礼賛的要素が垣間みられたのはおそらく正しい。しかし、ストーリー全体をみてみると、CIAや軍の問題点を浮き彫りにさせる点が非常に多いことが分かる。常態化していたCIAや軍の拷問による取り調べやCIAの失態によるアフガン基地での自爆テロ事件だ。他にも、CIA幹部による「大量破壊兵器の時でも写真による証拠が十分にあった。(要するに、あの失敗したイラクの大量破壊兵器問題でさえ証拠の写真は持っていた。それなのにどうして証拠の無い奇襲計画を実行することができようか。)」という発言や、最新鋭の技術を誇るブラックホークをビン・ラディンの隠れ家の家畜小屋へ墜落させてしまう失笑映像などが挙げられる。こうしたことから、この作品は国家機密に関わるお固いテーマでありながらも視聴者へ作品評価の自由をある程度委ねた、バランスのとれた作品だと言えるではなかろうか。

 おわりに、映画の最後は帰路に立つ飛行機の中で、任務を終えたマヤがひとり涙を流しているシーンで終わる。この涙は10年来の職務上の念願だった、または仲間の報復のためだった、あるいは祖国の正義のためだった、ビン・ラディンの暗殺成功に安堵した涙ではなく、「報復」によって得た成功とは虚無であり、そして新たな「報復」を生む種となりうることを、今はじめて自覚した涙であったと考える。

 久しぶりに感性と理性を揺さぶられる映画を楽しむことができた。ぜひとも、多くの人に劇場で見てもらいたい。

 

マスクを買ったらアイリスオーヤマ。

 インフルエンザが例年に増して猛威を振るっている今年の冬。風邪を引きたくないから最近は予防でマスクをして出かけることにしている。そこで、とあるドラッグストアでマスクを購入したのだが、製造メーカーの名前を確認すると「アイリスオーヤマ」の文字が…。僕は疑問に思った。「アイリスオーヤマって確か電球や収納ケースを作ってた気がしたけど、どうしてマスク??」。そこでこの不思議な会社について色々調べてみることにした。すると革新的な経営者のもと、他に例を見ない独特の商流で成功を収めている会社であることがわかった。

 アイリスオーヤマの前進は、大山森佑が創業した大山ブロー工業社という町工場であった。大阪府東大阪市でプラスチック製品を手掛けるメーカーだったが、森佑の急死に伴い、大山健太郎(現社長)が跡継ぎとなる。その後、本社を宮城県仙台市へ移し、社名を(株)アイリスオーヤマに変え創業を続けるうちに、家庭用の半透明プラスチック収納器具が爆発的なヒットを遂げることとなる。健太郎氏の革新的な経営手腕によって、現在では収納器具をはじめペット用具、ガーデニング用具など幅広い商品を手掛ける総合家庭用品メーカーにまで成長したのだ。僕が気になった、この会社の特徴的な商流は下記の3つである。

①メーカーベンダーとしてのSCM

通常、メーカーはメーカー→卸売業→小売業→消費者という順で最終的に製品を消費者へ届ける仕組みとなっている。ところがアイリスオーヤマの場合、メーカー+卸売業→小売業→消費者というサプライチェーンを構築しており、自らをメーカー+卸売業者(メーカーベンダー)としてSCMを行なっている。卸売業を内在化することで、コストの削減につながるそうだ。さらに、小売業者や消費者との距離が近くなることで、情報のアクセスが早く、深くなり、お客様目線の製品開発、販売ができるようになるるそうだ。こうした独自の商流を作ったことが、競争力の高い製品をつくることに貢献している。

②SRGの製品開発

SRGとは①S=Simple(シンプル)②R=Reasonable(リーズナブル)③Good(グッド)の略である。アイリスオーヤマの製品は多品種であるため、製品は取り扱い説明書を必要としないシンプルな製品設計が求められる。また製品開発を行う際、まずはお客様に買ってもらえる価格を決定したうえで、製品の機能やデザインなどを設計し、利益を見込むのだそうだ(引き算の方式)。お客様に商品をカジュアルに購入してもらうためにはリーズナブルな価格設定でなければならない。そして、製品は価格に一致した、ベストでもベターでもないグッドな製品をつくりだすことを意識して日々、製品開発を続けているとのことだ。

多品種少量生産

アイリスオーヤマは年間、1000種類もの新商品を発売している。ジャンルもさまざまだ。LED照明、ホームエレクトロニクス、ヘルスケア、収納・インテリア、ペット用具、ガーデニングなどがジャンルとして挙げられる。もともと、プラスチック用品を製造する会社からスタートしたのだが、オーヤマの強みは素材を加工し、製品化する開発力にあるという。小ロット化に対応した工場でその強みを生かし、プラスチックや木材、繊維など多くの素材を組み合わせることで多品種少量生産を可能にしているのだ。素材の加工段階から内製化することが、フレキシブルな製品づくりに大きく貢献している。

 

 ペット用品から家電までジャンルが違うにもかかわらず、多品種少量生産で売れる商品を作り続けられるのは、常にお客様目線で経営を行なってきたからに他ならない。現に新事業であるLED電球の売上はホームセンターを中心に伸ばしており、パナソニックや東芝製の古参を脅かす存在となっている。ほしい製品は何でも作れるその姿は「デパート」のような工場と言えるだろう。今回、マスクをきっかけにこの会社のことをよく理解することになったのだが、今後もしホームセンターに行く機会がああれば、どれくらいの存在感を放っているのかを実際に確認してみたいところである。

        

厨房のホシザキ!

 厨房機器メーカーのホシザキ。おなじみのペンギンマークはチェーン飲食店の冷水機などでよく目にする。もともとは製氷機の生産・販売を手掛ける会社としてスタートしたのだが、そこで開拓した顧客に対して御用聞きとなることで数々の製品を手掛けることとなる。今では4500種類もの厨房器具を販売するゼネラル・メーカーにまで成長した。国内のみならず、60ヶ国への海外展開も行なっているそうだ。厨房機器メーカー市場では世界でもシェアトップを争える実力を持つ。私達が飲食店で食べる料理が、新鮮で安く、美味しく食べられる理由は、ホシザキの揺るぎない製品開発力にあるのかもしれない。日本の家電メーカーが国際競争で苦戦を強いられる中、こうした私達の食の楽しみを陰ながらに支えてくれている業者向け機器メーカーに大きな期待を寄せることにしたい。

 

          ホシザキ HOSHIZAKI 全自動製氷機 IM-35M キューブアイスメーカー

         ・全自動製氷機。国内シェア70%の実力を持つ。

置き薬屋さんと再会した。

 先日、中学以来数年ぶりに置き薬のおじさんと再開を果たした。僕がまだ小学生ぐらいのときの担当として、よく自宅へ訪問しにきていたのだ。ところが、僕が中学生になった頃からおじさんは担当を外れ、新しい担当が我が家へ訪問するようになった。僕自身も大きくなるにつれ、自宅にいる機会がなかなか無く、定期的に薬屋が訪問しにきていることさえ忘れかけてしまっていた。そんな矢先に先日、偶然の再開を果たしたのだ。今まで担当だった方の転勤が決まり、おじさんは急遽代理で訪問することになったそうなのだ。僕自身も日中自宅にいることは少なく普段は祖母が面会していたのだが、不在だったため僕が急遽対応することになり、偶然が重なった。おじさんには双子の子供がおりまた、僕も双子であるため、昔から互いに親身な付き合いだった。おじさんの息子は高3になったそうだが、めでたく就職が決まったとのこと。僕も今年から社会人になるところだ。そして久しぶりの対面に驚きを隠せぬまま、薬の購入を行った。大きなアタッシュケースに詰められたたくさんの薬の中から不足分を選び、追加してくれる姿に懐かしさを感じてしまった。どうやら風邪薬が一箱不足していたらしい。そこで一個千円で追加してもらうことにした。購入後、「インフルエンザが流行っているから、気をつけて下さいね。」という注意をもらい、お別れをした。

 今の時代、一個千円で風邪薬を買うなんてバカじゃないの?なんて思うひとは多いかもしれない。確かにドラッグストアに行けば風邪薬なんて500円以下で買うことができ、半値以下だ。また、最近ではインターネットで風邪薬を購入できるように規制緩和をするべきだとする動きさえ見られる。ますます価格は低下して便利になるだろう。だが、少々値段が高くても、「置き薬」という人肌を感じる訪問販売によって薬を購入するのもなんだか良い気がしたのだ。専門家から定期的にアドバイスをいただくことや雑談を交えながら薬を買うというところにエンターテイメントが有り、付加価値と言えるからだ。僕自身、おじさんと再開したことが懐かしくて、薬を安く購入すること以上に嬉しい体験をした。これから高齢者世帯が増加していく中、こうした訪問型のサービスは需要を増していくことになるだろう。

 

 

 

アーミテージ&ナイ白熱討論に行ってきた。

 10月27日(土)に早稲田大学の大隈講堂で開催された、「新アジア戦略・アーミテージ&ナイ白熱討論」へ参加してきました。日本経済新聞社と早稲田大学ビジネススクールとの共催で開かれ、約2時間、日中・日韓・日米関係について、両氏との間でパネルディスカッションや学生との討論が行われました。私は初めて、生で両氏をお目にかかったのですが、何よりもまずアーミテージ氏の貫禄に驚かされました(上半身の大きさが人並みを超えていてハンパないww)。さすが、ベトナム戦争へ従軍した経験を持つ、元海兵。モデレーターは春原剛氏(CSIS客員研究員、日経編集委員)が務め、最近の東アジア情勢について議論が交わされました。ここでは、私が記した当日のメモ(100%事実に基づいた内容でないことは、ご容赦いただきたい)をもとに、討論会の内容に触れ、その後、私のささやかな意見を述べたいと思います。

【メモ】

・ナイが日本に興味を持つようになった経緯。

→ナイ「1970年頃まで日本にほとんど関心が無かった。あるとき、日本の外務省か らの招待で日本を2週間訪問する機会を得た。外務省の人は無料で好きなところへ招いてくれた。そのとき、私は、京都などに訪れたのだが、日本の文化や自然に感銘を受けた。まさにこれが、ソフトパワーであると。それ以来、世界における日本の役割や日本とアメリカが連携して、世界の諸問題へ対応していくことの必要性を実感した。」

・両氏が今回、訪日・訪中した経緯。

→ナイ「ヒラリー・クリントンの要請で北京と東京へ訪問した。目的は3つことを伝えるためだ。一つは、領土を廻る歴史認識と米国の立場を伝えるためだ。1890年に関しては、中立だった(メモから察するに、1890年とは魚釣島が沖縄県の管轄へ移行した年を示しているのでは)。しかし、現在のクリントン・パネッタは中立でない。要するに、尖閣日米安保の対象である。二つ目は、コミュニケーションの改善だ。タテ(国内)とヨコ(日中間)のコミュニケーションを明確にせよ。(つまり、問題が発生したときの、ガイドラインをしっかり決めておきなさい、という指摘)。そして三つ目が、ナショナリズムの危険性だ。政治家は国内基盤の獲得のために、しばしば外交政策を利用する。こうした行為は、世界の利益を損なうことになる。」

 アーミテージ「政府の人間ではないが、日中関係の改善に少しは役に立つのではないか、と思い訪問した。中国からみたら、日本が右傾化しているように写っているそうだ。第二次世界大戦後の日本の体制を少しずつ壊しているのではないか、という疑いを持っているようだ。しかし、一方で中国は、領土を廻る対日強硬姿勢から見られるように、日米同盟にくさびをいれようとしている。日本は、一級国家で在り続けるのか。それとも成長を脱するのか。これからよく考えていただきたい。」

・米国は本当に尖閣を守ってくれるのか。

アーミテージ「米国は守る。しかし、質問の仕方がおかしい。日米が共同で対処し、日本が何をすべきかを考えるべきだ。日本が戦う覚悟を持たなければ、不平等だ。戦争を無くすためには、戦う準備をしておくべきだ。」

尖閣をどう管理していくべきか。

→ナイ「英国のエコノミスト誌の記者が言っていたが、尖閣は日本の領土ではありながら、海洋保護区として開発をすすめることも名案だ。6キロ平方メートルの岩礁から よりグローバルな価値ある財にすることができる。こうした取り組みは、日本をより広い大義のために使え、まさにソフトパワーである。」

アーミテージ「中国に対し、間違った行動であることを教えるべきだ。」

・日韓関係について。

アーミテージ「心配。歴史を克服できていない。」

 ナイ「韓国からすると一世紀以上にも及んだ植民地支配の被害意識が根強い。日本は活力ある民主主義国家であり、ソフトパワー国家であるべきだ。だから、河野談話を歪めることや靖国参拝は、韓国に対して植民地支配を想起させることにつながる。私はこれらの行為を支持しない。友人として忠告する。」

集団的自衛権を憲法で認めるべきか。

アーミテージ「改憲するのは難しいから、憲法解釈を変えることで認めるべきだ。ジプチでの自衛隊の活動は16ヶ国と共同で海賊対策を行なっているのが現状だ。これのどこが、集団的自衛権の対象でないと言えるだろうか。」

ナイ「認めるために、憲法を再解釈するべきだ。」

・日本の核武装について。

ナイ「支持しない。日米同盟への影響や配備への時間的・金銭的コストを考えるべきだ。陸上配備は固より、海上配備(潜水艦配備)などを考えるとコストがかかる。また、地域の安全保障環境に脆弱性が生じてしまう。」

原発問題について。

アーミテージ「日本の原子力技術は高い。インド・中国・トルコでの建設をサポートしてほしい。」

・ワシントンを犠牲にしてまでアメリカは日本を守ってくれるのか。

ナイ「冷戦時代、ベルリンを守った実績がある。」

・米国にとり、日本を守ることにどんなメリットがあるのか。

ナイ「日本は寛容な国家だ。また、グローバル国家だ。さらに、国際貢献の度合いが高い。こうした国際社会における日本の役割を守っていくことは米国に意味がある。」

                                以上。

 ここに載っていな内容も当日はたくさん話し合われましたが、要点をまとめると以上のような内容でした。書き起こしてみて気づいたのですが、幾分、ナイ教授の話へ偏重しすぎた気がしますね。「ジャパン・ハンドラー」として異名を持つお二方でしたが、当初、僕は彼らに対し、好意的なイメージを持っていませんでした。何かにつけて日本の外交政策へ干渉してくる(時には内政まで干渉してくる)姿が見られ、日本の自主外交を支持する僕にとって退治すべき存在だと考えていたからです。しかし、実際に彼らの討論を聞いてみると、意外に納得できる点が多くありました。国際政治に対する緻密な分析や、日中双方の間に立った平和的で現実的な解決策の提案などには関心しました。また、日本のことを本当に良く研究されていらっしゃるなあ、と思いました。ナイ氏が日本に興味を持つようになったきっかけも心に染み入るエピソードだと感じましたし、アーミテージ氏が憲法解釈の話になったとき、内閣法制局の役割などにも言及されていて、日本のことを本当に好きでなければ、ここまで日本通にはなれないであろうと実感しました。今回の両氏の訪問で提言された内容をもとに、日本政府には尖閣問題解決に向けて、主導的な立場を発揮してもらいたいと思います。

 

        

お金をかけない読書の仕方

 

 先日、EC大手のアマゾン・ストアが国内での電子書籍の販売を解禁した。キンドル端末の発売とキンドル・ストアがオープン。電子書籍端末はすでに、シャープやソニー等の国内メーカーが先手を打って発売をさせてきたが、今年に入って、楽天のKobo、アップルのiPad Miniといった電子書籍端末の発売が相次ぎ、このキンドルの発売によって、いよいよ電子書籍元年の幕開けとなった。読みたい時に、読みたい本をいつでも、どこでも、持ち歩いていたい願望が強い私にとり、キンドルは革命的な商品の登場であり、お金に余裕ができたらぜひとも購入を検討したい。

 それから、ちょうど今週は、毎年恒例の神保町の古本祭りが開催された。私はあてもなくぶらぶらと、ときには気になった本を手にとりながら、出店(でみせ)を回っていた。古本の持つ独特の味わいに高揚しつつも、電子書籍の登場によって確実に衰退の一途を辿るであろう、この古本市場の趨勢に哀愁を帯び、なんだか複雑な思いに耽ってしまった。そんなこんなで今週はとにかく、本と自分についてさまざまな思いを巡らせた。今回は、僕が日ごろ実践している「お金をあまりかけない読書の仕方」を紹介する。 

・お金をあまりかけない読書の仕方

 情報には価値がある。価値があるから、その質や量によって価値が異なってくる。一般的に価値の高い情報であるほど、値段は高くなる。当たり前のことだ。一方で、学生は貧乏である。貧乏であるが、知識に貪欲だ。僕もそんな人間の一人だ。そこで、いかにして、安く、質の高い情報を獲得できるのかを常に考えている。そういう意味で、読書は僕に質の高い情報を与えてくれる。読書とは、書き手と読み手の間での対話であり、読み手がそこへ費やした思考力から得る情報量は、質が高いからだ。その質の高い情報を提供してくれる書籍を、いかにして安く手にいれられるかが貧乏学生にとって死活的に重要なことだ。安ければ、安いほど費用帯効果が高い。そういう意味で本を無料で読めることほど、幸せなことは無いのだ。私が無料で本を読む方法は三つある。そして、この三つのプロセスを経て、有料で本を読む方法にたどり着く。ここでは、その詳細を説明する。

①無料の読書

(1)大学図書館を利用する。

大学図書館の蔵書は専門書から、ビジネス書までさまざまなジャンルだ。特に専門書の類が多いので、そうした本を読みたい人にはオススメ。ちなみに私の場合、経済や政治、外交、脳科学といったジャンルの専門書や新書を借りるケースが多い。図書館で本を借りるメリットは単に、コストのメリットだけでなく、自分の部屋に荷物を増やさないというメリットもある。まるで自分の家の本棚であるかのように、借りたい時に、いつでもアクセスできるところが、僕にとって利便性に富んでいるのだ。また、もし図書館に蔵書が無かった場合、購入依頼を申請することもできる。僕は自分の大学でこの制度をしばしば利用するが、ほぼ100パーセント申請が通っている。せっかく高い学費を払っている(払って貰っている)のだから、こうした制度を存分に使っておくとよいのかもしれない。

(2)インターネットを利用する。

気になった本は、まず書評をチェックする。アマゾンやグーグル検索を使った、個人ブログの書評、またアゴラのようなブログまとめサイトを利用してもよいだろう。こうした書評を読めば、だいたいその本に書かれているエッセンスをつかむことができる。それで満足すれば、本をわざわざ購入する必要は無いし、費用対高価抜群だ。私が特にオススメするのが、ダイヤモンド・オンラインや東洋経済オンライン、現代ビジネス・オンラインといった雑誌系のWEBサイトである。これらの媒体は、雑誌だけではなく、ビジネス書を中心とした書籍を販売していることが多い。そのため、しばしばオンライン上で販売促進として、話題本の特集が組まれることがある。最近だと、「市場主義3.0」や「リバース・イノベーション」などがそうだ。こうした特集は連載で公表されるため、ボリュームが多く、なんだか得した気分になれる。私にとりビジネス書は流行り本だと考えるので、こうしたジャンルでは、要点を得られればそれで良いと考える。ビジネス書や政治や経済の軽い読み物程度の本であれば、こうしたサイトを利用されることをオススメする。

(3)本屋で立ち読みをする。

インターネットで気になった本について調べていき、要点は得たものの、やっぱり現物を手にとって確かめたい。図書館で蔵書を探したけど、見つからなかった。そんなとき、オススメなのが本屋で立ち読みすることだ。僕の場合、長いときだと2時間以上、本屋で立ち読みを続けるときがある。(本屋の方には迷惑を掛けているかもしれない。ごめんなさい。しかし、だいたいそういう時は、その書店で本をどっさり購入することを予め計画したうえで、その常識の範囲内で行なっている。決して、ドヤ顔するつもりはない。)特に、ビジネス書や啓発書、話題書は内容が薄いので、パラパラとめくっていれば、だいたい要点はつかめてしまう。装丁が綺麗な、話題本に迂闊にダマされないよう、内容を精査したうえで、購入を検討することが大切だ。(最近のビジネス書はなんと、この手の本が多いことやら…。)

②有料の読書

 無料の読書を検討した結果、「所有したい」という思いに結びついたとき、有料の読書は成立する。私の場合、多くが政治や経済の専門書や哲学、脳科学、量子論の啓蒙書といったジャンルに集中する。この本とは長くお付き合いすることになりそうだと思った本には、惜しみなくお金を使いましょう。

 

 いかがでしたでしょうか。僕はこの文章で、無料の読書の仕方を中心に論を広げてきた。金欠学生である自分の些細な実践を、同じ状況にある人々へ向けて、小さな武器を配ったつもりだ。この文章を読んで、費用対効果の高い読書の仕方を習得し、良書へお金を投資できる好循環ができれば、結果として書籍市場は活性化し、豊かな人間を創りだすことができる。そんな拡大妄想に笑みを浮かべつつ、この拙い文章を締めたいと思う。

 

 キンドル:電子出版マーケティング