おもちやけた

orokanaburogu

Solitude HOTEL(21.5.30)

手紙を書きます

 

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ここにある文章は私の記憶の記録であり

あなたの記憶ではありません

安心してください

 

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家を出たら影が見えるほど光が差しているのに温かくて大粒の雨が降っていた

 

今は15時過ぎ、舞浜に向かう電車

舞浜アンフィシアターで17時から行われるMaison book girlの公演、Solitude HOTELに向かっています

楽しみなはずの"好きなグループの確実に最高のライブ"を行くことがとっても不安です

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19時までの時間がこの2ヶ月弱ずっとカウントされていて、あと4時間もなくなってしまった。

ああ、早く現地についてその日のその場所の空気を感じておけばよかったなあ、と思っても、もう舞浜への到着が開場時刻なのは決定している。前回のワンマンライブSolitude HOTEL9Fの記憶を思い出そうとする時間に割いていたし、腰が重くてギリギリになってしまった。

普段しないけれど今日はたくさんのグッズを身につけて行こうと思って、できる限りは身につけたけど、手元にはあまりなく、中途半端な格好をしている。eludeツアーで買った謎の指サックみたいなシリコンの指輪とか付けている。

なんの音楽も聞きたくないなあと思って窓の開いた電車で線路の擦れるキィキィ音を聞いている。景色でも見ておけばいいのに、こうして今"観る前"の気持ちを残そうとしている。

 

数時間後にはもう"観た後の人間"になる。

 

9Fのことは、記憶の断片をうまく残すことができなかった。とても満足感のある公演だったし、心から拍手を送った公演だった。次で終わりそうだという焦燥感も相まって、詳細を書かねばと更に焦っていたけれど、ボヤボヤしていたのとどんどん次が怖くなっていたら、もうSolitude HOTEL その日になってしまった。急いで付け足したその文章は、書きたいことも忘れてしまった、曖昧な記憶のものだ。

404 not found をぶら下げているこの公演が近づくにつれて、メゾンブックガールのホームページは文字化けして崩れていってしまった。ツイッターのアカウントも、過去のツイートが消されていっている。あの日やあの日の大事なポストはもう戻ることが無い。

メゾンブックガールはいつからか(4Fからか)こういった不穏な演出が増えていっているけど、今回は、修復不可に崩れていって、こちらの気持ちもどんどん不安定になっていく。

 

メゾンブックガールは、ここ2年くらい、こんな雰囲気をまとっていた。7Fの前だって、8Fのときだって、ベストアルバムを出すタイミングだって、すごく怖かったし、この禍に入らなかったらどうなっていたのかもよくわからない。もう一年も新曲が出なかった。いつもいつも、いなくなりそうだった。

 

メンバーが欠けて活動することは無いと思う。"解散"をすることは無いと思う。でも、もう二度とライブをしないのかもしれない。新しくみんなでツアーを回ったりリリースイベントをしたりは無いのかもしれない。

ずっとずっとライブをして欲しいと思っているわけじゃない。何かで区切りを付けるということは大事なことだ。見届けたい。

 

とはいえ、また近づいて身を委ねたあとにすっぽり無くなってしまったらと思うと怖かったこともあって、少し、逃げていた。ツアーにも行かなかった。この禍を言い訳にして逃げた。行けなかったのではなくて、怖かったから行かなかった。

 

404とか言うなら4Fに戻って404号室を燃やして次元エレベーターに乗って11Fに行ってくれたらいいのに。

 

16時、舞浜駅に着いた

ディズニーランドに行く以外にこの駅に降りたのは、従兄弟の結婚式のときだけだった。たいてい愉快な気持ちだった。

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通る必要のあるイクスピアリでは、ミニーちゃんの格好をした子供とその家族や、楽しそうな中学生くらいの子達など、浮かれていそうな人たちがいた。愉快じゃない気持ちなのは自分だけか?と思ったけど、ライブハウスで見たことのある顔の人たちを見かけたら、自分だけじゃないだろう、と少し安心した。もうこの人たちをみるのも最後なのかもと思って、いろんな人をジロジロと見て歩いた。

お腹が減っては具合が悪くなるため、東京駅のあんぱん屋で買った、いちごクリームパンを座ってぱくついた。これはこれで血糖値が上がって頭痛と眠気が起こってしまいそうだ。味のことはぜんぜん覚えていない。

 

雨は降っていなくすごくよい気候の夕方だった。キネマ倶楽部でやったSH4.9Fを思い出した。

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中でずっと座っているのも居心地が悪そうだから、とぼやぼやしてから会場に来たら、物販の列がそこそこ長かった。9Fではほとんど列ばなかったからなめていた。

今までのグッズが売り飛ばされていた。最後だと思って、安売りされていたメガロックを同時に買ったら、ランチェキが2枚とも和田輪だった。ブクガを好きになって、和田輪に会ってみたくて初めてリリイベに足を運んだから、あなたが原点だ。

物販購入後にすぐ席に着くはずだったのに、開場が遅くなって直射日光が当たる中で15分くらい待った。日に当たると具合が悪くなるので、くらくらしてきた。尿意最大。助けてくれ。

 

16時48分、着席

立ったまま日光に当たっていたので頭が熱くなり具合が悪く、気持ち悪い。絶対に退場したくないので最悪だ。会場にはサクライケンタのインスト集が流れている。

開場が遅れたことで開演が17:10に変更されたらしい。あの9Fの日から今日の19時に向かってカウントダウンしているんだし、開演が遅れることはないと思っていたのに。見越してもともと17:10開演だということだな、と思う。

弧をえがく座席のKブロックの席は、正面から45度ほど上手。それなりにどこでもよかった。

 

緊張感のある客席だ。

友達同士で隣の席にできないため、みんなお喋りをせずに静かに座っていた。集団でたむろされるとなんかちょっとむかつくこともあったけど、一人一人おとなしく座っているとみんなが愛おしい。

 

「メゾンガールブック…ガール」

 

そろそろだろうからスマホを閉じる

ばいばい観る前の私

 

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ここからは観た後の人が書きます

  

 

__

 

インスト曲people of soft feelsが突然切れて

暗闇で、大きな音でlast sceneの曲だけが長らく鳴っていた。

 

その音を聞いて確信した

 

「 最終公演だ 」

 

嗚咽した。ふわふわのタオルで顔を抑えた。自分の中に、1%くらい、まだ続く道を見つけようとしていたけれど、これからの2時間が、私が見られる最後の舞台だ。全部見ないといけない、もう見れないから。わかっていて見届けるために来たから。

これまでもたくさん、最期みたいなライブをしてきたよね。その度に本当の最期が来るいつかのことを思って泣いた。その時は大きなステージで、強い光に照らされていてほしいのに、叶わないと歌うから少しでも叶うようにしたかった。

 

ブルーのスクリーンと鳥の姿

https www maisonbookgirl com

 

開演のブザー

Solitude HOTEL 4F

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あの音、あの映像

ホテルの4Fに居た

 

 

やっぱりここに戻ってきた。404号室に招かれて来たのだろうか。それとも、もがいて、どうにか別の道を探そうと思って、自分から選んで、4階のボタンを押したのだろうか。それともここは、別の171228なのだろうか?

もちろん曲は分かっていた。何度ここに戻ってきたというのだろう。いつもこの階に呼び戻される。衣装も、あのcotoeri衣装だ。

必ず新しい朝がくる。

 

sin mornig

せっかく大きな舞台があるのに、1番奥の方で異様に薄暗い照明とVJの前で姿が小さく見えていた。やっぱり171228よりも歌が上手くなったよね、とか思ったりしたけど、歌声が曲の音に埋もれ気味だった。低音があまりにもでかかった。心臓の中みたいだった。ちょっとバランスが変だった。 

 

rooms__

続いてrooms…と続くが、このroomsが『rooms__』で、すでに世界はあのときから分岐していた。今回の結末のroomsはこっちのroomsね〜とかぼんやり思って観ていた。ちゃんと、無音の足音がそこにあって、暗闇と静寂の中でも離れ離れにならずに一緒の空間にいると思った。迷子にならないように今日も帰りには地図が落ちていたりしたらいいな、なんて思った。

 

lostAGE

end of Summer dream

veranda

bed

この後はいつもこう続く。曲順はいつもと同じだった。これらは大好きな曲群なので4Fループが大好きな理由の1つなのかもしれないと思う。それにしても目をこらしてもあまり見えないくらいに暗かった。もう見れないなら、その踊りをよく見たかった。後ろのほうに座っていたミキティ本物にこれまでの感謝の念を送りながら、じっと見た。

 

MCが入る。

「メゾンブックガールですよろしくお願いします」

いつもの挨拶。井上唯がちょっと笑えることを言ったりする。

この公演ももっと早くにやるはずだったのですが〜という言葉があった。

9Fの告知が遅れていたのは色々あったのだろう。邪推する。9Fのタイミングで最終公演とするか、否か、の協議で"????F"と発表されていたのではないか。そもそも、Fictionツアーのときにはもう、最後のSolitudeHOTELが構想されていたかもしれない。急に削除ではなくて全曲公演を見せてくれて、全部の曲を生かしてくれて、わかる人には覚悟する時間も機会も与えてくれたとしか思えない。それが十分な期間だったか、また、期間があれば十分になるのかは別として。でもそれは優しさとしては十分だと思う。

涙を流したりして目が霞んでいるからか、四人の姿が一瞬ぼやけた。もう一度ぼやける。もう一度ノイズ。入力デバイスが外される音。・・・ノイズ。やっと気づいた。

 

四人はそこにはいなかった。

 

やたら姿が小さいのもそのせい、暗くて気づかなかったけれど幕に映った平面の映像だった。imageだ。全然気づかなかった。一緒の空間にいるねと思っていたのに、そこにはいなかったのだ。近くのひとは気づいていたのだろうか?またやられた。6irthdayを忘れたのか。

イメージは虚構なのだろうか?実在を表すイメージはそれが本質なのだろうか?そこにあるイメージが真実とされるならば、それは虚構・フィクションではないのだろうか?メゾンブックガールの実在とは?

 

「きいてください cloudy irony」

 

karma 

モザイクノイズだらけのkarmaが始まる。karmaはcloudy ironyを飲み込んで、自分のことをcloudy ironyだと思い込んでしまっていた。彼女たちも、karmaのことは、cloudy ironyだと思っていた。karmaはいつからか、起点になって、いろんなところに連れていく役目になっていたね。riverに変化し、ほとんど姿がみえなくて、完全に姿が見えなくなると同時に歌声が消えてカラオケのガイドメロディみたいな音が鳴る。 

画面に釘付けで気づかなかったけれど、いつの間にか手前の丸いステージになにが4つあった。カメラ?ライト?

そこにいると思っていたその幕が上がる

・・・その4つは、4人が膝を抱えてうずくまっていた。ここにいたんだね。白い煙の中から白い服をきたメゾンブックガールが今ここに実在していた。

 

サイレンの音

倒壊寸前のSolitudeHOTELのロゴ

 

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君を見ていた

(見たくなかった)

 

海辺にて

膝を抱えた白い姿。海の底は、雲の上のようだった。ああ、メゾンブックガールは本当に美しい存在になっていたんだ、海辺にてが見れる世界になっていて、よかった。あそこで終わらなくて、あっちに行かなくて、そうしたことで見ることができていたんだと思うから。白いもやの中に佇む姿が本当にきれいだなと思った。本当に、それだけ思って眺めていた。

 

レインコートと首の無い鳥

足元の光の円盤が回転していた。回転する円に乗っておこなう神聖な儀式だった。青色と赤色、紫色。これまでも首を締め、首を狩り、自分もしくは自分でない何者かと戦ってきた。白い鳥を追いかけていたこともあったでしょう。ここには鳥はおらず、4人でおこなう儀式だった。曲の終わりに穴を囲む四人は動かない。ずっと穴を囲んでいた。何かを待っていた。穴からなにかが上がってきた。cotoeri衣装をきた4人だった。

あの円盤と儀式が、召喚するためのものだったといえばすべて合致した。

 

townscape

別の世界線の自分との共演、時空の交差、これができるのがSolitudeHOTELだった。4Fから、SolitudeHOTELはいつも特別なことができる場所だった。

-4Fのこと。

白いドアに吸い込まれていった彼女たちは時間のないノイズの中で彷徨っていた。苦しみ、悩みながら一人で歩いていた。光の雨と無音の空間のその先で、たどり着いた時間で影を感じ、時間を歩ませてtownscapeを踊るのだ。今日一緒に踊っていたのは、この、171228でみていた、この人たちが、210530に辿りついた姿なんだと思ってみていた。別の自分と手をつないでおこなうそれは、ずっとやっていたら一人一人増えていってtownscapeをやったらどれほど大きい円になるんだろう

 

言選り

言選りの衣装をきた人たちは、一緒に踊らず、膝を抱えてその様子を眺めていた。言選りはいつも、すこし時間のずれた自分たちと共に踊っている。一瞬一瞬で分裂する存在。言選りを介することで意思だけが乗った会話をしていたようにみえていた。自分たちにも手を振って別れを告げていた。

 

 闇色の朝

言選りの衣装をきた人たちは、言選りを見たら帰っていった。このホテルに閉じ込められた人だけの暗闇と静寂 このまま消えてしまうんじゃないかという気持ちで時を過ごす この、ホテルにいるときの、何もないけれどしっかりメゾンブックガールがどこかにいる時間が尊くて耐えられなかった。

  

ポエトリーリーディング

眠れる森のお話

少年が、眠れる森の中で、あおいうさぎと、とてもとても大きな木と、二月の月と話をする。コショージメグミはその場で歩いていて、歩いているのに進んでいないのが自然で、そのことが不思議だった。

 

「よし なぞかけをしよう。

 目を閉じれば現れて、目を開けたら消えるもの、なーんだ」

 

「「「「物語は巻き戻った」」」」

 

 

長い夜が明けて

狭い物語

この巻き戻ったあとに世界に色はなくなった。白と黒の世界。光と影の世界。

長い夜が明けて も、今のメゾンブックガールの道をこちらに誘導してきた曲のように思う。いつかのSHでは、びしょ濡れになって、抱き合っていたよね。白がどんどん黒に汚されていって黒くなる最後には砂嵐になっていて、朝がきたとは思えなかった。赤くない、黒い世界での狭い物語。

それは夢じゃないの 今もここにあった部屋で抱き合っているの影と。体を重ねている

影に重なって白い世界に反転する。

メゾンブックガールは影のような存在で、みんなの影を集めて召喚しされて光になれたらいいなと、コショージメグミは言っていたよね。いつも人の影になって一緒にいたよね。でもそうして自分自身の光と影とで重なったら消えて行っちゃいそうで、そんなことを言われるのは少しこわかったんだ。でもその時間が近づいていて、もう少ししか一緒にいられないんだなって無色彩で迫られた気がした。

 

起き上がってうたう美しい歌声が、もっともっと広くて、誰も声をあげない静寂の中で、もっとずっと響いて欲しかった。

入眠脳波のクラップと、歌声 それだけだった。

それが一番美しかった。白い光を浴びて、4人で歌って踊っていた。その通りの夢の中みたいだった。

曲は要らなくなっていた。メゾンブックガールであるに十分だった。曲だけがあって歌がないことがあったけれど、4人の声だけがメゾンブックガールであることを示していた。白と黒の世界で、夢のイメージもいっそうあやふやなものだったけれど、ただはっきりと、歌声だけが響いていて光そのものみたいだった

 

「消えたゆめ 本当のことは いつも ゆめに そっとしまってる」

 

 

ここからの最終ステージは、何か思うことを書くようなことがなく、ただ起きたことだけが全てだった その歌が全てのことだった

 

 blue light

白い光だった

白が積もる部屋は空が映る窓で

美しい嘘は許せない嘘だった

 

十六歳

00000100101010100000000000000

 

 

 

snow irony_

 

見たくない見たくない見たくない見たくないこれ以上知りたくなかった 

美しい記憶を笑って

終わりをわかってた 汚れた結末、気づいてた

許さない許さない許さない許さない許さない

 

何も知らないままで失った

君は変わってしまった

 

Fiction

 

 

サクライケンタが与えた、最後の曲だった

 

 

non Finction

  

手紙を書きます。

僕は、君になりたいと思っていました。

君がもう一人の僕だったらいいと、思っていました。

あてもなくふらふらと透ける景色に殺されたのはいつですか。

誰かと同じと気づいたときに、簡単に手放してしまいたくなる感情が、僕の周りにはたくさん落ちていて、また誰かが拾ってくれるのを待ってる。

君は笑うでしょう。君は泣いたりするでしょう。

君の匂いがなくなって、僕の匂いに変わっていくのをただ抱きしめて。抱きしめた分だけ、君がいなくなる それすら忘れて 別人のような僕になるのはもっとこわくて みえなくて聞こえなくて。何も持ってなくて。どこにもいなくても

平気だった。

 

 

 

そんなふりをした。

あの森で。夢の中で。水の底で。雨の街で。教室で。

「ぼくをみつけて」「本を燃やして?」

 

 

ーーーうるさい蝉の声

 

目が狂いそうな大きな光の点滅と、工場で金属が衝突するような大きな音が鳴り響いていた。頭が殴られたときはこんな音がするのだろうか。あの光が脳裏に焼き付いている。2つの光がそれぞれ別のタイミングで点滅していて、強い光を浴びたときに脳に焼けてみえる黒いもやみたいなものが、黒い人たちってこういう感じかなとぼんやり思った。終わりの鐘だった。死刑台みたいだった。

 

大きな破裂音

 

銀色のテープがひらひらと宙を舞っていた

雨のようでもあったし、夢のようでもあった

蝉の声と爽やかにうたうピアノの音ときらきらひかる光りの線が優しかった

 

bathroom?

 

 

知らないダンスだった

知らないうただった

 

ガラスの空に 光がさす 声が聞こえた 孤独な部屋

少女の顔は 眠ったまま 息を吸い込み 去って逃した

見たくなかった汚い言葉を 忘れてくから許せないんでしょ

僕たちはいくつもの夢をみる その先でまた君と出会えたね

ゆっくりと影たちの悲しみが 消えていく運命を繰り返す

少女の目には血が流れて 炎はやがて燃え広がる

聞こえなかった優しい声をまだ 覚えてるから泣いているんでしょう

僕たちはいくつもの嘘をつく その愛でまた誰か傷つけて

吐き出した空っぽの言葉には 消えていく運命を救えない

 

もう君は、変わってしまったんだ

そう思っていたらfalling girlの声が聞こえた

その声もかき消されて

 

last scene

あまりにも薄暗くて目を凝らして捉えていた姿が探したい姿だったのかわからない。

 

夢の最後の瞬間を、今も震えて思い出す

それは明け方5時過ぎで、そこに光はもう無かったの?

水は流れ続けていて、指を柔らかく繋いだ

狭いその場所は優しく、戻らない匂いを感じてた

深夜の煙が揺らいでいた

その顔をに匂いを染みつけたよ

それも全て忘れてしまったの?

僕らの夢はいつも叶わない きっと 

 

ここで、その曲は、突然停止した

 

 

_______

終演

 

 

道を示した紙は落ちていなかった

別のところに行ってしまったから、どこに行ったかは教えてもらえなかった

その代わりに何も知らない女の人から青い紙が配られた。

 

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https://www.maisonbookgirl.com/

 

 

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外にでたらすぐ、雨が降ってきた。土の匂いがした。すこし肌寒かった。時間のわからないような真っ青な空だった。さっきもらった青い紙はもう、用はなく、傘代わりにした。

雨にあたりながら、泣いている人たちがいた。私は一人でいたから、泣かなかった。でも、話したことのある女の子と顔を合わせたら一気に涙が溢れてきた。何に泣いているのか、よくわからなかった。今も全然わからない。悲しくないから。悲しくないなら泣き続ける理由は何ですか。

 

ただ力が入らないのもあるし、移動してしまったらもう最後が最後な気がして、名残惜しさもあったし、電車に乗れず、舞浜に1時間半ほど座り込んだ。ライブのあとの余韻で風にあたりながらセットリストを反芻するのも好きだったなあとか、思っていた。

ぼんやりとキラキラした作られた夢の国のほうを眺めていた。

「僕らの夢はいつも叶わない。」

こうしていつか消えちゃうと思っていたからずっと追いかけてきたんだよ。夢の国って、夢の中にいるけれど、それは叶っているということなのかな。叶うってなんなのかな。夢の中にずっといることが夢だったら叶ってきたのかな。

 

海と宇宙の子供たちを発表する頃、もういっそ終わって欲しいと思った。美しく完璧な状態で、今が結末を迎えるときなんだと思えた。でもおばあちゃんになってもkarmaをやってほしいよとも思った。でもそんなことはできないから、ここですぐに終わってほしいと思うことがあった。でもずっとずっと続いて欲しかった。きれいに終わって欲しかった。かなしく終わって欲しかった。笑って終わって欲しかった。終わって欲しくなかった。自らを傷つけて首をしめて再生するそれで擦り切れてしまわないで欲しかった。私が死ぬ前にちゃんと見届けたかっただけなんだ。

 

このライブを見た人が、「解散した」と解するならもう一度見直してほしい。

メゾンブックガールは、ずっと、世界も時間も交差してきた。

私たちの前から消えたあの後、別の世界線でラストシーンを歌い終えた。活動も続けている。これからも続ける。そしてまた別の世界線では、とっくに終わっている。始まりは、必ず訪れる。私たちのいるここでこういう結末だったということ。ここからは削除されてしまったということ。 

昔住んでいた街がなくなってしまったような気分も持っているんだ。ふと行きたいときにもう行けない。SolitudeHOTELに行くときの泣きそうな緊張感が味わえない。禍が明ける楽しみもなくなった。でも残されたわたしたちはまだ続いていく。消えないし、ここの時代の人間として生きる。

Maison book girlでは無くなった彼女たちもまたどこかで生きていく。

 

悔しいことがある。メゾンブックガールがここにいる間に、知るべき人たちが知れなかっただろうことだ。メゾンブックガールはいつだって、見つけてほしいと、もがいて叫んでいた。こんなにも人に衝撃を与える存在を、知った方がいい人たちがいた。私のように、メゾンブックガールの存在に運命を感じる人たちが、絶対に、もっといるはずだった。見つけるべきだった。その人たちが、これから気づくのはもう遅くて、かわいそうだ。心残りは、それだ。

 

ここは私に書く手紙でした。メゾンブックガールを見て感じた何かを少しでも書き残して、あとの自分に伝えるための日記でした。ふと忘れそうになってもここにきてそのときの感情を思い出すためのものでした。いつか宝になると思って、書いていたものでした。

あなたに対して「出会ってしまった」と一生で初めて運命を感じたこと、忘れない。

私のために作られたグループがあるんだなって思ったこと、忘れる必要がない。

生きて同じ時代にいて、同じ時間を過ごし、見届けられたこと。あの日々が楽しかった。あの物語もこの物語もよかった。少しの時間でもあの世界に浸かりたいと思って見てきたものだった。

もうこれから書くことはないのだろう。

あなたが世界から削除されたのに、私の中の物語は自動削除されない。

 

 

ちょっと話したことがある人も、顔だけ知っているあの人もあの人も、これからもお元気で。もう顔を合わせることもないのでしょう。もし何かで見かけたときは、話したこともなかったクラスメートにばったり再会したとき思わず話しかけて互いに困ってしまうみたいに、間違って声をかけてしまうのかな。

元気でいてねってその場の知らない全員に声をかけて回りたかったけど、当然できなかったからこの場で代わりに言います。みなさん、お元気で。

 

 

 メゾンブックガールをやってくれた

コショーメグミ、矢川葵、和田輪、井上唯

本当にありがとう

くれたものを受け取れたのかな

 

 

見つけに行きます

 

 

 

 

  

始まりの日はいつでも美しい雨が降り注ぐの