りりこのぶろぐ

ただただ思ったことを綴るブログ

恋の終わりは意外と静かに

年末に7年付き合った彼と別れた。

付き合ってる時から、ずっとお互いに小さなズレは感じてたと思う。

いわゆる価値観のズレ。

だけど、お互い仕事も忙しく趣味も多くて恋愛のことばかり考えてるわけでもなかったし、人間同士なんだからそんな小さなズレなんて当たり前だと思って気にしてなかった。

いや、気にしてなかったのではなく、目を背けていた。

お互いに自分が我慢すればいいと思ってた。

受け入れていたわけではない、見なかったことにしていただけだった。

 

付き合いも長くなり、お互い30に近づいていくと、周りから結婚は?と聞かれることも多くなった。

その度に周りにはまぁいつか、と曖昧に返事して、当人同士で結婚の話を出すことはなかった。

30代になるとさらに周りの声は大きくなったけど、相変わらずにあいまいにしていた。

幸い、お互いの親も結婚を急かすこともしなかったから、うまい具合にそのことから逃げることができていた。

 

結婚願望はある。子供も欲しい。

だけどこの人と結婚したいという気持ちにはならなかった。

だからといって別れる理由も見つからないし、それなりに好きだったから別れたくもなかった。

きっと彼もそうだったと思う。

 

だけど、去年の夏頃から彼に対しての気持ちに変化があった。

触れられたくないのだ。

それまでは割とセックスをする機会は多いほうだった。むしろ、セックスの相性は最高だった。

なのに突然したくない、触らないで欲しいという感情が芽生え始めた。

 

嫌いになったわけじゃない。だけど、異性として彼を見ることができなくなった。

もう終わりだ、と思った。

彼も、セックスを拒絶されたことで何かを感じているようだった。

 

それまで微妙なバランスで付き合いを続けていた私たちの関係が崩れ始めた。

お互いに一人暮らしだけど、週の半分はどちらかの家に泊まりに行っていた。

それが、週に1日になり、2週間に1日になり、秋には会わなくなった。

連絡もほとんど取っていなかった。

どうしようかと考えていたころ、彼から連絡が来た。

「ちゃんと話し合おう」

 

翌日、仕事帰りに彼の家に行った。

彼が好きだったテイクアウトのカレーをもって。

久しぶりに会った彼は、少しだけ精気がない気がしたけど、いつもの彼だった。

いつもの彼。いつもの家。たまに食べるカレー。

テレビを見ながらカレーを食べ、いつものようにどうでもいい話をした。

食べたものを片付けたあと、いつもなら彼のいるソファの隣に座るところだったが、

私は少し迷って床に座った。

彼はそんな私を無言で見つめ、何と言い出せばいいのかわからずにいるようだった。

だから私から言った。

「別れよっか」

 

私はてっきり、彼は「そうだね」というのだと思っていた。

でも、予想とは全然違う返事が返ってきた。

「おかしくなってからずっと考えてたけど、なんで?理由がわからない・・・」

「俺はりりと結婚すると思ってたのに、、、なんで?」

 

驚いた。私は彼も同じ気持ちでいると思ってたから。

それまでずっと、いつも何かを言いたそうにして我慢している彼の姿を見てたから。

7年も一緒にいるのに、心を開いてくれている感じがしなかった。

一番近くにいるはずなのに、いつも遠くに感じてた。

7年も一緒にいたのに、知らないことがたくさんある。

彼は、私から拒絶された時も何も言わなかった。

会う頻度が落ちても、会わなくなっても、連絡が少なくなっても何も言わなかった。

だから、彼も私と同じように、ただ別れるまでもないから一緒にいるだけなんだと思っていた。

 

だけど、違った。

7年も一緒にいたのに、初めて彼と腹を割って話すことができたのは別れ話の時だった。

私はずっとお互いにずれを感じていると思っていた。

だけど彼は、ズレなんか感じたことがなかった。

言葉を交わさずとも分かり合える関係だと思っていたらしい。

結婚の話を出さなかったのは、私の仕事の関係で、2018年度末までは難しいと思っていたから。

そろそろ落ち着く頃だからとプロポーズをしようと計画していたらしい。

確かに私は2018年度末まで大きな仕事を抱えている。

だけど結婚しない理由にはならないくらいの仕事だった。

これだって、お互いにきちんと話をしなかったから生まれたズレだと思う。

 

私は彼のことを何も知らない、と思っていたけど、

彼はもっと私のことを知らなかった。

私はお互いにズレがあることも、何も知らないことも知っていたけど、

彼はそれを知らなかった。

私は、彼が知らなかったことを知らなかった。

 

微妙なバランスで付き合っていたと思った私たちの関係は、

大きなズレと温度差がありながらも、うまいこと繋がっていただけだったのだ。

 

その日に別れ話の決着をつけることはできなかったけど、

数日後、一人で冷静になって色々考えたであろう彼から連絡が来て、

私たちの7年は静かに幕を閉じた。

 

別れた後は、お互いの家に置いていた荷物をどうするかの連絡を少ししただけで、

会うこともなくなった。

連絡先を消すまでもないけれど、連絡をすることもないと思う。

職種も出身も違うから、これからかかわりあうこともないのだと思う。

 

未練はないけれど、懐かしい思い出に胸が震える時はある。

彼の優しさを思い出して、もっときちんと話せばよかったと少しの後悔はあるけれど、

別れたことへの後悔はない。

付き合っていた時間は大切な思い出だし、無駄だとも思わないけれど、

31歳で一人になってしまった現実はなかなか厳しい。

 

今思うのは、嘘偽りなく、彼には幸せになってほしいということ。

伝えたいことはきちんと口にするべきだと肝に銘じながら。