[FP] 継続学習(相続・事業承継設計)

相続・事業承継設計

エンディングに関する諸問題

  • 家族の意思表示だけで臓器提供が可能に

臓器移植法(「臓器の移植に関する法律)の改正により、本人の意思表示がない、または不明の場合でも、家族の承諾さえあれば臓器提供が可能になった。臓器提供の意思表示ができない15歳未満の子供についても、親の同意により臓器提供できるようになったため、これまで海外で移植を受けるしかなかった幼い子供が国内で臓器提供を受ける道が開かれた。

  • 提供したくない場合も意思表示が必要

臓器提供についての考え方は人それぞれではあるが、従来とは異なり、現在では臓器提供を希望しない人が積極的に意思表示をする必要が出てきた。

  • 献体の登録者数は増加傾向

死後、自分の身体を社会に役立ててもらいたいと希望する場合は、臓器提供のほかに「献体」という方法もある。献体は、医学や歯学の大学での教育・研究に役立てるために、遺体を解剖用の教材として無償で提供すること。最近は登録者数が急増している。

事故や病気により脳死状態など回復の見込みがない状態になったときに、尊厳死(延命のための過剰な措置をほどこさず自然な死を迎えること)を望む人は少なくない。しかし、この問題については特別な法律が制定されていないため、本人の意思表示があっても必ず実行されるという保証はないが、希望するのであれば最低限、本人の意思を「書面」という形で残す必要がある。

書面の作成方法は自由ではあるが、公正証書による「尊厳死宣言書」の作成手順は以下のとおりとなる(費用は用紙代を含めて1万1000円+α程度)。

    1. 宣言書の内容を決める
    2. 公証人に文案を作成してもらう
    3. 文章を校正する
    4. 予約日に公証役場で公証人とともに尊厳死宣言書を作成する

[FP] 継続学習(タックスプランニング)

タックスプランニング

企業価値評価について

  • 事業と企業と株主資本(純資産)の関係

事業は、経済的な投資リターンの集積システムをいう。事業に対して企業というときは、事業よりも大きな概念で、他の事業や遊休資産なども含めた「器」を指す。企業価値は、資金の拠出者による担保引当財産となるから、優先債権者である金融機関等の貸出残高(有利子負債)を除外した残額がオーナーの元手部分となり、純資産と呼ばれる。

  • 価格形成要因
    • 外部要因と内部要因

企業価値は、多数の要因によって形成される。外部要因としては、社会経済政治や法的規制・景気動向などの環境的なものから、競合企業・新規参入などの動向などが挙げられ、内部要因としては、定量的な財政状態と経営成績のほか、企業自体の戦略や計画の実行状況、特異な研究開発・特殊技術の有無といった物的側面に加え、株主の動向や株式の種類、経営組織の状況などの人的側面などがある。

    • 評価目的や評価対象による影響

評価を必要とする場面はいろいろ考えられるが、評価目的によって価格形成要因の取込範囲が異なることが指摘される。

  • 評価のアプローチ方法

価値を決定する方法として、一般に次の3つの方法が使用される。

    1. インカムアプローチ
      そのモノからの獲得が見積もられるキャッシュフローを根拠とする。
    2. マーケットアプローチ
      市場から類似する売買事例を探し出し、特殊事情などを勘案して算定する。
    3. コストアプローチ
      仕入れ値などの内部コストを積算し、適当な利益を加算して売価算定する。

いずれの方法にもそれぞれメリットとデメリットがあるが、実務的に確立されているといってよく、裁判例ではデメリットの補完目的で前記の2つあるいは3つを併用して加重平均することが通常である。

[FP] 継続学習(リスクと保険)

リスクと保険

学資保険(こども保険)

  • 子の教育費

消費支出に占める子の教育費の割合の平均は4.3%であるが、世帯主の年齢別に見ると、45-49歳が11.4%と最も高く、ついで40-44歳の8.2%、50-54歳の7.8%と続く(総務省の平成20年「家計調査年報」による。教育費は授業料等、学習教材費、補習教育費の合計)。

  • 学資保険の仕組みと特徴

学資保険は、親に万一のことがあっても、子が十分な教育が受けられるよう経済的な支援を目的とした生命保険である。一般的には親を契約者、子を被保険者として加入し、保険料払込期間中は所定の保険料を支払い満期になると満期保険金が支給される。契約者が死亡したり重度障害になった場合には、以後の保険料が免除になる。つまり、万一の保障を確保しつつ、元気に満期を迎えられたときにも保険金が受け取れる欲張りな保険と言える。子の病気やけがの保障を重視するタイプと教育資金の確保を重視するタイプの2つがある。

投資信託等である程度代替が可能であるが、親に万一のときがあれば、通常それ以降は積立を継続することができない。貯蓄には保険のような保障部分がないという欠点があり、保障部分は別に準備する必要がある。

養老保険の場合は、親が被保険者になると、保険料が高くなる、満期時を自由に選べる商品が少ない、などのデメリットがある。

低解約返戻金型終身保険は、保障期間が終身で、保険料払込期間中は解約返戻金の返戻率が一般の終身保険よりも低い代わりに払込期間満了後は、通常、解約返戻率が100%を超えるといった特長がある。


保険プランニングでは、子の学資保険加入よりも親自身の死亡保障の確保を優先させるのが一般的と考えられる。親に万一があったときの学資については、親の死亡保障がしっかりしていればそれほど神経質になる必要はないかもしれない。

[FP] 継続学習(ライフプランニング・リタイアメントプランニング)

ライフプランニング・リタイアメントプランニング

退職金の減額と不支給

  • 退職金とは

退職金とは、原則として各事業所が定めた就業規則に基づいて、退職その他の要件を満たしたときに支給されるものをいう。支給形態として、退職一時金、退職年金またはこれらを併用する場合がある。

  • 労働契約と退職金

退職金の具体的な支給要件や支給額等は、原則として就業規則の規定が労働契約の内容になる。労働契約も「契約」の一形態であり、契約事項は、契約当事者を拘束する。

  • 規定による減額、不支給

退職金の減額または不支給について就業規則に規定されている事項に該当したときは、原則として退職金は減額または不支給となる。但し、就業規則で減額または不支給と規定している事項に該当したとしても、個別具体的な事案ごとに、その規定の合理性について検討を要することになる。単に退職金を減額または不支給とする規定に形式的に該当するかどうかのみをもって結論とすることができない問題なのである。

  • 合意による減額、不支給

事業者と労働者の合意による退職金の減額または不支給は、原則としてその合意した内容となる。しかし、その「合意」が自由意思に基づく合意かどうかが問題となる。

就業規則の変更による退職金の減額または不支給が認められるケースとは、変更の必要性があり、変更後の就業規則の内容に相当性が認められ、労働者が受ける不利益の程度が状況に応じて低く設定され、労使協議が十分に行われたようなケースである。

  • プランニングと退職金

退職金が減額または不支給となる場合があるが、実際に法律上の争いとなったときは、必ずしも減額または不支給が認められるとは限らない。また、事業所が突然破綻し、事実上退職金の受給が不可能となるケースもありうる。これらのことを考慮してお必要がある。

[FP] 継続学習(不動産運用設計)

不動産運用設計

土地の価値に影響を与える道路

  • 道路の種類

建築物の敷地は、原則として道路に2m以上接しなければならない(建築基準法第43条に定める接道義務)。道路の定義については、建築基準法第42条で定められている。

    • 前面道路が2項道路の場合

道路幅員が4m未満の場合には、建築基準法第42条第2項で定める道路、いわゆる2項道路であることが多い。この場合には、原則として道路中心線から2m後退した線が道路との境界線とみなされる。後退した部分(セットバック部分)には、建築物を建築することはできず、建ぺい率や容積率の計算においても参入できない。

    • 前面道路が位置指定道路の場合

位置指定道路とは、都市計画法土地区画整理法等によらず築造された幅員4m以上の道路(建築基準法第42条第1項第5号道路)であり、ミニ開発等により造られることが多い。

    • 告示建築線がある場合

告示建築線は、建築基準法第42条で定められた道路ではなく、旧市街地建築物法により指定された建築線である。この建築線の幅員が4m以上のものは、この建築線の位置に建築基準法第42条第1項第5号の規定による道路の位置指定があったものとみなされる(建築基準法附則第5項)。

  • 道路の幅員

前面道路が2項道路(建築基準法第42条第2項道路)の場合、現況の道路幅員は4m未満である。今後の土地の価値の影響を考えると車両の通行が可能かどうかを確認する必要がある。

  • 道路の所有者

建築基準法では、接道義務を満たしていれば原則として建物を建てることができる。ただし、建物を使用できる状態とするためには、上下水道管等のライフラインを道路より引き込む必要があり、また、駐車場を設置するためには、前面道路が車両通行可能でなければならない。

ここで問題となるのが前面道路の所有者である。都道府県や市区町村が所有している公道であれば通常は問題とならないが、私道の場合にはその所有者が問われることになる。建築基準法上の道路であっても、上下水道管等を埋設したり、車両通行したりすることは当然に認められるわけではなく、原則として私道所有者の承諾が求められる。

私道に関しては、どれだけ所有しているかよりも、少しでも所有しているかどうかという点が非常に重要となる。万一、所有者から道路掘削や車両通行の承諾を取得できない場合には、土地利用が制限され、結果として土地の価値は下がってしまう。


住宅の密集した都市部において土地の価値を検討するうえでは、前面道路の「種類」「幅員」「所有者」等を確認することは欠かせないことである。

[FP] 継続学習(金融資産運用設計)

金融資産運用設計

株価で見る投資家心理

個人投資家は、知識の錯覚やコントロールの錯覚などにより、自信過剰に陥り、リスクを高くとってしまう傾向がある。

      • 知識の錯覚

知識の錯覚(illusion of knowledge)とは、多くの情報を得れば得るほど、それを基にした判断は正しいと思い込むことである。これにより、本来まったく関係のない過去のデータという情報でさえ、正しい判断の根拠となるように考えてしまうのである。

コントロールの錯覚(illusion of control)とは、自分がコントロールできない結果でさえ、コントロールできると思ってしまうことである。自分が今後の株価の行く末をコントロールできる気がするという自信過剰(overconfidence)に陥り、リスクを高くとってしまう傾向がある。

株価などの上昇が続くと市場参加者の多くに利益が出る。その結果リスクをとれる投資家が増える。それがバブル相場を作り出す一因になる。

購入時および売却時にはアンカリング(anchoring)と言われる投資家心理が働く。合理的な行動としてはファンダメンタルから現在の株価水準を判断すべきであるのに、自分の取得価格や直近の高値が碇となって投資判断が引っ張られてしまうことである。

また、カリフォルニア大学のテランス・オディーン教授の気質効果(diposition effect)の実証研究によると、含み損の利益確定割合は全損失の15.5%であるが、含み損の利益確定割合は全利益の23.3%あった。損失確定を行動に移すことの難しさの表れである。

株式投資美人投票に例えられるとおり、自分がどう思うかよりも多くの方がどう思うかが大切になる。

[FP] 継続学習(相続・事業承継設計)

相続・事業承継設計

非上場株式等の納税猶予制度を中心とする事業承継税制

  • 納税猶予制度

納税猶予制度は、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式をその会社の後継者となる親族が先代経営者から相続もしくは遺贈または贈与により取得した場合に、その後継者が事業を継続することを前提として一定額の相続税贈与税の納税を猶予するという制度である。さらに、一定の事由が生じた場合にはその猶予税額が免除される。

この制度の適用を受けるにためには、相続発生前(先代経営者が60歳未満で死亡した場合を除く)または贈与前に計画的な事業承継の取り組みが行われていることについて経済産業大臣の確認を、そして相続発生後または贈与後には経済産業大臣の認定を受ける必要があり、適用対象となる会社、先代経営者(被相続人または贈与者)、後継者(相続人等または受贈者)について各種要件を満たすことが必要となる。

  • 納税猶予制度のメリットとデメリット

相続税の納税猶予の利用により、先代経営者の相続が発生した際に、後継者が取得した株式(発行済完全議決権株式総数の3分の2が限度)の80%に対応する相続税の納税が猶予される。しかし、適用要件のハードルの高さや手続きの煩雑さ等から、利用に否定的な専門家も多い制度である。

贈与税の納税猶予の利用により、先代経営者の存命中に自社の株式(発行済株式総数の3分の2が限度)を後継者にまとめて贈与することができる。また、贈与者の死亡時には猶予された贈与税が免除され新たに相続税が課税されることになるが、課税対象となる株式の評価額は贈与時の価額であるため、贈与後に株価が上昇した場合はその分の税額が軽減されることになる。

デメリットとしては、納税猶予が確定した場合、贈与後に株価が下落した場合などが考えられる。

  • 相続時精算課税制度

納税猶予制度の適用要件を満たすことが難しく、納税猶予期限の確定事由に該当してしまう可能性が高い場合などは、納税猶予制度を使わない事業承継制度も検討する必要がある。

自社の株価が下がったタイミングに多くの株式を後継者に渡しておくことが基本となるが、先代経営者が65歳以上で、後継者(先代経営者の推定相続人)20歳以上(いずれも贈与年の1月1日現在の年齢)であれば、相続時精算課税制度が利用できる。特別控除額(2500万円)は非上場株式の贈与を考えると少額だが、贈与者の死亡の際の相続税額の計算において贈与時の株価で相続財産に加算されるため、贈与後に株価の上昇が予想される場合には税額が軽減できることになる。また、贈与税の納税猶予の対象となる株式数(発行済株式総数の3分の2)を超える部分の株式の贈与について、相続時精算課税制度を併用して贈与することも可能である。