あなたの目の前にはいくつかの扉がある
それぞれ別の場所に繋がっている様だ
あなたはこの場を離れてもいいし
扉に近寄ってみてもいい
(ユーチューブチャンネル)
(X)
(創作・遊び系まとめ)
(別ブログ)
大体終活とボケ防止
代わりがいくらでもいるロボットに囲まれ、生涯大きな病気も大きな怪我もせず、死ぬ時は全身麻酔に掛かったように苦しまず、瞬で死ぬ事
(」・ω・)」腰曲がり予防と
(/・ω・)/ ピンピンポックリの為にー!
いつから始めたか忘れたが今やってる軌跡に乗せる絵(6枚予定)の手なおしは
2023/05/31に1枚目のPSDファイルが作られている
今やってる5枚目は2023/08/10にPSDファイルが作られてる
10月30日に終了
6枚目・ドットお店絵11月6日スタート
王ケモ二次が終わってから2023/08/16再スタート
11月1日に設定のワード見直し&書き直しが一応終了。次回ブログに反映予定
11月12日・13日
登場人物・世界観紹介投稿
11月17日
EVE1話に2話を合体させて修正しつつ更新
2024年2月20日
日記でお休み中だったが久々に手を付け、合体記事を完成させ新#006をUP
2024年3月13日
投稿済みの記事の合体や修正が終わる
2024/04/03スタート
最初は理想のお家とか環境を手に入れる為の『引き寄せ』として、お掃除したりゴミを片付けてた
2023/07くらいから始めたと思う
途中で『本来の引き寄せとは違くね? 野望でよくね?』と名目を変えた
生涯大きな病気も大きな怪我もをしない
死ぬ時は痛みや苦しみなど一切なく、瞬で死ぬ
生きやすく暮らしやすい環境
私が住む家の半径100m以内に人は住んでいない
家の間には畑・田んぼ・樹海がある
樹海が多い
畜産も農業も地元や周辺地域で必要な分稼働してて安心
家の近くの畑等は臭いの少ない肥料を使って安心
家は掃除がしやすい1LDK
虫や爬虫類や動物などが家の周辺に入って来れないバリアー
家の庭で焚火ができる
家庭菜園もできるし、肥料も作れる小さめな庭
ごみ出しは各家庭の前に出す
自動運転の車で免許がなくても都市部から離れていても楽々買い物
ロボットが農作業とかやってくれる
ロボットが警備とかもやってくれる
町内会の付き合いは特になく、防災確認・有事の際にする事の確認など最低限のみ。お祭りとか催し物はイベント会社に頼む
配布物は郵送かネット上で確認する
酪農をしている場所は住宅地からやや離れてるが、僕夏体験ツアーがある
スーパーは図書館とか道の駅みたいな感じの役目もあり、人恋しくなったらここに行くと良い
★★★★
春休みが明け、サチが学校に行く様になり……。
「行ってきます」
「いってら~」
レンは学校に向かう制服姿のサチを目で追う。少し物欲しげに。
「レンちゃん、もしかして学校気になる?」
「うん」
そう返事をしながら『ジロジロ見すぎたかな? それともエスパー』とレンはシンを見つめる。
「じゃぁ、通ってみる?」
シンがホワホワそう言い、レンは「え?」とびっくりした後しばらく考え。
首を横に振った。
「そこまでじゃない。ただ……」
「ただ?」
「制服とか学校の中が気になる」
「ふ~ん、そっか」
シンはこの時、レンが本当は学校に通ってみたい気持ちも多少はあって、でも自分が一般的なEVEとは違うからその事が気になって通いたいとまでは言わなかったのかな?
などと思いながらとある計画を企て。
夕食後。
「見て見て~。これ、アイちゃんが高校に通ってた時の制服だよ~。さっちゃんと同じね」
そう言ってシンは制服をレンに差し出す。
「レンちゃんにあげるって。サイズはちょっと違うかもしれないけど……」
「おー、ジャパニーズ・セイフク!」
レンは喜び早速部屋に持ち込み着てみる。
が……。
「これ、上着がちょっとゆるい」
着かえて出てきたレンは外に待機してたシンにそう報告し。
『アイちゃんは胸が大きいからなぁ……』
などとシンに思われていた。
「これ、学校で教わる事だよ~」
制服を着てみた後。レンはそのままシンに連れられサチの部屋に行き、教科書を見せてもらう。
ちなみにこの時代は紙の本の代わりにタブレットが活躍中だ。
「サチのですが、宿題も終わったのでどうぞ使ってください」
そう言って手渡されたタブレットとペンで、早速レンは問題を解いていく。
「できた」
「早いですね」
「どれどれ~」
サチとシンが覗き込むと……。
「満点です!」
「レンちゃん、すご~い!」
そう言いながらシンは『勉強は教わってたのかな?』と思う。
サチの方は「じゃぁ、これはどうですか? ちょっと難しい問題です」と興味津々でレンに色々な問題を解かせていた。
*
レンがアイの制服を着てから数日後。
「レンちゃん、今度の日曜日に学校の見学許可が下りたよ」
「おー」
レンが驚きと喜びの声を上げる。
「僕とさっちゃんの三人で行こうね」
「分かった」
ちなみに。
ホーの入場許可は下りず、彼は一緒に行けない事となってしまっていた。
「ごめんね、ホー。ペットは駄目だって……」
「う、うむ。わしはペットではないが……仕方がないな」
ホーは残念そうにしつつも
「レンや、楽しんで来るんだぞ」
と声をかけ、れんは「うん」と頷いた。
*
「おー、ここが学校……」
日曜日のお昼過ぎ、一行は学校にやって来た。
休みの日だから校内に人気はほぼない。
そしてレンは、ちゃっかり制服を着て来ている。
更に自前の手足が生えた謎のリュックを背負っていた。
「ここが校庭です。サチは体育の時間に使ってます。
休み時間はここで遊んだり、主に運動系の部活に入っている人が使っていますね」
「ふーん。広いね」
「グラウンドを走ったりもしますからね」
「私も走っていい?」
「良いですよ」
こうしてレンは
「おー! 広い」
と校庭をぐるっと一走りし、その後一行は校舎の中へと入って行った。
まずは事務所に行って事務員に挨拶をした後、サチは1階から順番にレンを案内する。
職員室、校長室、トイレ、体育館、保健室、図書館、各教室などなど案内し、理科室にやってきた頃。
「ねえ、サチー。ここにも『学校の怪談』とか『学園七不思議』とかある?」
レンは人体模型を見ながらそう聞く。
「そうですねぇ……。小学校と中学校の時ほどじゃないですが、ありますよ。
サチは怖いのが苦手なのであまり良くは知りませんが、屋上でいつも一人で佇んでる女生徒の幽霊の話は聞いた事があります」
その話にレンは顔を輝かせ、シンとサチはレンがそういう話が好きなのだなと感じつつ、次の部屋に向かった。
「ではここを……。御影レンさん、やってみてください」
「はい」
サチの教室にて、事務員の許可を得てサチとレンは学校ごっこをしていた。
レンがサチのタブレットで答えを書くと黒板という名の大きなディスプレイにレンの書いた物が映し出され、正解か否かを即座に判断する。
「はい、正解です」
シンはそんな光景を後ろで立ちながらニコニコ見て過ごし、あっという間に学校の見学は終わった。
*
帰り道。
「サチって髪の毛長いね」
「はい。髪型が色々出来て楽しいので」
「そういえばレンちゃんは髪の毛伸ばさないの?」
何気なくシンが聞いてみると、レンは「長いと邪魔だから」と答える。
「シンは髪の毛長めだよね。イツはもっと長いけど」
「あぁ、これはね、こうしておくと便利だからだよ」
「便利……」
レンは、時々シンの束ねた髪がセンサーの様に動いているのを思い出す。
こうして。何気なく始まった髪の長さを話をしている内に、今日の最後の目的地に辿り着いた。
「んー、おいしい」
そう言ってレンは、アイス入りイチゴバナナチョコクレープをほお張る。
その横でサチは桃とクリームチーズ、シンは抹茶クリームと小豆のクレープを食べていた。
学校といえばで、シンは帰り道に買い食いが出来る様、店舗に好みのクレープを予約していたのだ。
「サチのもおいしそうだね」
「はい。一口食べますか?」
「うん」
パクリとサチのクレープを食べて「おいひい」とモグモグしていたレンだが、ハッとなって「サチも一口食べていいよ」と自分の食べ掛けクレープを差し出す。
「あ、嫌ならいいけど」
「嫌じゃないですよ。自分のをあげているくらいですから。じゃあ」
と、サチもパクっと一口食べる。
それを見届けて「シンのも一口ちょうだい」と、油断しきったレンは返事も聞かずにシンのクレープを齧って「うまうま」と言い、その横でシンは顔をみるみる真っ赤に染めた。
「あ、ごめん。嫌だった?」
「嫌じゃない! 嫌じゃないよ!!!」
シンは首を横に振りながら全力で否定して、そんな様子を見たサチは
『う……羨ましいです……。サチもイツさんと……』
と、ほげーとするのだった。
サチの誕生日から数日後。
御影荘は世間が春休み中な為、少しだけ忙しい。
その上、イツやフタ達は時々警察の仕事を手伝っているから御影荘からいなくなる事もある。
レンも何度も謎の車に乗り、(特にイツが)疲れた顔をして帰って来るのを目にしていた。
そんな中、桜が満開である。
皆で朝食を食べている時。
「レンちゃん。明日のお昼、僕と一緒に近くの公園でお花見しない?」
時間が空く日を見逃さずに、シンはレンをデートに誘う。
それは、今は友達だけどいつかは恋人に……という下心もほんのちょびっとあるのだが、単純にレンの事を知りたいとか、どうやらあまり世間を知らないレンに色々見せてやりたいという気持ちでだ。
「する!」
レンは目を光らせてすぐさま返事をし、朝食をついばむホーを見る。
「ホーも行く?」
ホーは食事いったん止め、シンを見る。
シンは『一緒に行こう?』と言いたげな顔をホワホワと向けていた。
「ワシはいい。桜は何度も見ているしな」
そう素っ気なく言うとホーは食事を再開し、シンはちょっとだけ残念そうにした。
「じゃぁ、あたしがお弁当を作ろうか?」
アイの提案に「わーい! お願い~」とシンは嬉しそうに返事をし、入れてほしい物を告げていく。
そんな光景をボクは黙って見ていた。
朝食後。
「アイ、お願いがある」
ホーと離れたレンがコソコソしながらアイに話しかけていた。
「何だ?」
アイもつられて小声だ。
「明日のお弁当、唐揚げも入れて? ホーがいる前だと言いづらくって」
唐揚げ。
ホー達と暮らしている時は、その料理の存在は知っていても食卓に並ぶ事はなかった。
それは仕方がないと思っているのだが……。
御影家に来てから食べた唐揚げは、とてもおいしかった。
だからレンは、ぜひともお弁当に入れてほしいと思ったのだ。
「うん、分かった。ちょっと多めに入れておくな」
笑顔でそう言うアイに「ありがとう」とレンも嬉しそうな顔を向けた。
「そう言えば、ボクは一緒に行かないの? お花見」
各々仕事に向かう中。
フタはボクにそう聞いてみる。
「わたくしは誘われていませんから」
そうボクは涼し気な顔をしながら『本来ならばシン様を陰ながら見守る所だが……、今はあの鳥がいるからな』と、ホーを横目で見やる。
ホーは何だか呑気気に日向ぼっこをしていた。
***
翌日。
仕事を一旦切り上げたシンと、この間の買い物で手に入れた矛盾塊Tを着たレンはお弁当を持ち。
「行ってきま~す」
「行ってきます」
と二人で出かけていく。
そしてその跡を、二体の影が追った。
公園に着き、レンは周囲をぐるっと見渡しながらスマホで写真を撮る。
自分のスマホが届き、レンにとっては物珍しい物ばかりだから余計に色々撮っていた。
「親子が多いね」
「公園だからね」
レンは親子連れをボケーと見た後、再び写真を撮りだし。
「レンちゃ~ん! こっちが良さそうだよ」
気が付けば、シンが少し離れた所で手を振っている。
「んー」
レンはのんびり歩いてシンの後を追った。
お弁当を食べる場所に向かう途中、池に差し掛かり。
「魚がいる」
写真を取りながらレンが呟くと「鯉だね」とシンが答える。
「鳥もいる」
「カモだね」
「おいしそうだね」
「え?」
そんなやり取りをしている二人に、木の陰から熱い視線を向けている者達がいた。
「一見すると恋人同士に見えるが、まだ何事もないな」
ホーが木の枝からレン達を見てそう呟く。
すると「そうだな」と相づちされて、ビックリして声の方を向くと……。
「ボク!?」
ボクは木の枝に止まるホーの真下、レン達からは見えづらい位置に立って彼女らを見ていた。
「お主も来ておったのか」
そう言ってホーは呆れたような視線を向ける。
「別に。散歩をしていたらシン様達のストーカーをするお前を見つけただけだ」
「ストーカーではない!
ただ、レンがシンとやらと実際どの程度親密なのかをしっかり調べてやろうと、こういったイベントを利用して陰で見ていただけで……」
口答えをするホーにボクは何も言わず
『コイツの監視をしていたらこの現場に来た訳だが……都合がいい。一石二鳥とはこの事だな』
と思う。
そして「ほら、二人が離れる。後を追うぞ」
と言い歩き出し、ホーは
『このボクとかいうヤツの事は気に食わんが、今はそんな事を気にしている時ではないか』
と思い「ふむ。そうだな」と言うとボクの頭の上に乗り。
「せめて肩にしろ」
ボクはホーを肩に移動させ、足音も立てずにシンとレンを付けて行った。
***
シンとレンの二人は、近くに大きな桜の木がある場所にレジャーシートを広げ、早速お弁当を食べ始めた。
お弁当の中身は、三食だんごの様にふりかけで色が付けられた三色おにぎりと、卵焼き、タコさんウインナー、煮物、ほうれん草の胡麻和え、そして唐揚げだ。
デザートに苺も入っている。
「おー」
レンは感動して早速唐揚げに箸を伸ばし、シンもおにぎりを食べ始めた。
『レン、唐揚げを食べておるな……』
ホーは気絶はしていないが、複雑な気持ちになっていた。
その隣でボクはカロリーメイト・フルーツ味を食べている。
「な、お主いつの間に!」
「お前も食うか?」
ボクはそう言って少し割って差し出し。
「う……うむ。いただこう……」
とホーが受け取ると「肩で食べると私が汚れるからな、下で食えよ」と添える。
「分かっておるわい!」
ホーはピョコンとボクの肩から降り、カロリーメイトを細かく砕きながらついばんだ。
「お弁当、おいしいね」
「うん」
レンは黙々と食べている。特に唐揚げ大目で。
『レンちゃん、唐揚げ好きなのかな? おいしいもんね。でもホーがいる前じゃ食べられないからなぁ』
シンがホワホワそんな事を考えていると、強めの風が吹いた。
「わわわ! 花弁がお弁当に付く~!」
シンは慌ててお弁当を守る。
すると
「お、シンに花弁が付いたー」
と、レンはスッと手を伸ばしてシンの髪に付いた花弁を取ってやった。
「ん。取れた」
「レ……、レンちゃん、ありがとう……」
シンは顔を赤らめて少女漫画ヒロインの様にトゥンクしているが、レンは気が付かずにお弁当の残りを食べる。
そして
「「あ~~~~~~!!!!!!」」
と、声を潜めて一人と一匹は叫び声を上げた。
***
レン達が帰り道を歩いている頃。
一足先にホーと共に帰って来たボクは、ほげーと庭の桜を見つめるサチを見つけた。
「レンちゃんとシンさんが羨ましいです……。サチもイツさんと……」
そう独り言を言って頬を赤らめる少し間抜けな顔のサチを見て、ボクは特に声を掛けずに通り過ぎ……。
「イツ様。サチはイツ様と一緒に花見がしたいみたいですよ」
と告げ、驚いた顔のイツを置いて去って行ったのだった……。
こうして夜。
一仕事終えてイツは一人、桜が見える旅館の広間で酒を飲んでいた。
庭は照明があり比較的明るいので、室内の電気は消して外が良く見えるようにしてある。
この日、泊り客がいないからこそできる事だ。
そこにジュースと柿ピー、そしてスルメイカを持ったサチがやって来る。
「あの……、一緒に良いですか?」
「ああ……」イツは断る理由もないので座るように促す。
ちなみに、サチがここに来たのは。
イツが酒を飲み始めた頃。
ちょうどその姿を見たボクが流れるような動作で自販機でミルクセーキを買い、自室からスルメイカと柿ピーを取って来てサチに差し出し
「イツ様が一人広間で花見酒を楽しんでいるから、これを持って行け」
と言ったからだ。
こうして一応サチの念願は叶って、イツと二人並んで夜桜を眺める事には成功したワケだが……。
『そう言えば、サチが俺と一緒に花見に行きたいと言っていたとか、ボクが言っていたな……』
そう思ってサチをちらりと見る。
サチは何か言いたげな顔をしてミルクセーキを両手で抱えていた。
もちろん言いたい事は『来年はイツと一緒に花見に出かけたい』という事である。
しばらく二人は無言で過ごし。
「サチ、今年は時間がもう取れないが……。来年は、弁当を持って一緒に花見に行くか?」
イツは勇気を振り絞っているが、あまり表情が変わらない上、部屋が暗いのでいつもと変わらない様子に見える状態でそう誘う。
「平日なら、人も少ないしな」
人が多い所が苦手な彼はそう付け加えた。
「良いんですか?」
「ああ。来年は早めに予定を開けておこう」
サチは嬉しくて、お酒を飲んでる訳でもないのに火照った顔でイツに笑顔を向けた。
その頃。アイもベランダで桜を見ていた。
「前は、あたしもフタとお花見に出かけたな……。あの頃はフタがお弁当を作ってくれたっけ」
と少し寂しそうな顔をし、部屋に戻った。
それと同じくらいの時。
フタも、お風呂から上がってベッドに横になりながらあの頃を思い出す。
『前はアイと一緒に出掛けたな。僕がお弁当を作って……』
しばらく物思いに耽っていた彼だが、ムクリと起き上がると考えていた事を忘れるようにゲームを始めた。
***
ボクは深夜、一人出掛けた。
いつもの黒いスーツで。
でもいつもは白いシャツが、黒かった。
そして一人の女性と会う。
彼女はボクより年上で、真っ黒なロングスカートのワンピースを着ていた。
ボクはそんな彼女に軽く手を上げ挨拶すると、柔らかく微笑む。
しかしすぐに顔を引き締めると、彼女と一緒にぼんやりと街灯に照らされた桜並木を歩く。
「ボクはどうして普通に戻らないの? いつだって戻れるのに」
特に感情を感じさせない喋り方、そして無表情の彼女はそう呟く。
そんな彼女は少しレンと似ていた。だが隣に立つボクにそう言う者がいたとて、彼はきっぱり否定するだろう。
「別に。必要が無い」
「そう? 御影家にいるあなた、楽しそうだけど」
前方にトラックと数名の人影が見えて来る。
「確かにあそこは楽しい。だが、あそこは俺の居場所じゃない」
「そんな事ない」
そう言う彼女の手から、刀が伸びて来る。
まるで植物が生えるように。
「毬華は優しいな」
そう答えたボクの手からも、毬華と同じ刀が伸びて来る。
そして、音もなく人影に歩み寄り背後に回った彼らは、トラックの周辺にいた人々に刀を振り上げ……。
次の日の朝。
EVEの不法な売買をしていたグループが何者かにより殺害されたと、ニュースが流れた。
「警察では、この事件に『死神』が関わっていると見て調査を進めています」
ボクは、誰もいないリビングで付けっぱなしのテレビが流すこのニュースを見て、消した。
朝。
サチは庭の掃き掃除をしていた。
ふと視線を上げ、近くに佇む大きな桜の木に付いた膨らんだつぼみを見て微笑む。
『今日はサチの17歳の誕生日です。
なにか、楽しい事が起きるといいな』
そんな事を考えていると、レンがやって来た。
「サチー、お誕生日おめでとー」
特に用事で通りかかった風でもないレンの姿に、わざわざお祝いの言葉を掛ける為だけに来たのだろうとサチは嬉しくなる。
「ありがとうございます!」
サチがとびっきりの笑顔でそう答えると、レンの方はワクワクしながら「今夜はケーキが出るって」と言う。
『レンさんは早くケーキが食べたいんでしょうね……』とサチは思いながら「はい、楽しみです」と答えた。
*
この日は御影荘定休日だが、やる事はまぁまぁある。
ただ、各々早めに仕事を済ませてサチの誕生日を祝う準備を進めていた。
こうして夕方。
レンが部屋の飾りつけに食事の下ごしらえを手伝い終わった後。
「そういえば、ホーは食べられない物はある?」
アイがキッチンで料理の仕上げをする中、レンと一緒にテーブルに食器を並べていたフタがテーブルに座るホーにそう聞く。
ホーはこの家に来てから自分達と同じ食事を普通に食べていたのだが、こういうのはちゃんと把握しておいた方がいいと思ったのだ。
『一応、鳥っぽいしな』
すると、ホーは偉そうな顔をする。
「人間が食す物も鳥が食す物も、ワシは食べられるぞ」
「じゃぁ、唐揚げとかも大丈夫だな」
アイがちょうど揚げあがったばかりの唐揚げを持ってキッチンからやって来た。
実はちょっと不安だったのだが、ホーの言葉をうのみにした彼女は笑顔だ。
が。
「ひぃぃぃいいぃいいいいいい!!!!」
ホーは恐怖に顔を引きつらせ悲鳴を上げ、後ろにひっくり返った。
「ホーっ?!」
「ほーおー様?!」
「ホーは昔、何度も唐揚げにされたから、唐揚げは怖いんだって。
でもチキン南蛮とかは平気だよ」
レンがそう説明すると、アイとフタはそろって『何度も唐揚げに……?』と脳裏をよぎるがそんな事は口にも出さず。
「あはは、じゃあ唐揚げは隠しておこうな」
と、アイは唐揚げを持ってキッチンに引っ込んだ。
そしてホーは、まるで何事もなかったかのように姿勢を正し毛繕いをする。
やや気まずそうにしながら。
*
夕食の時間。
皆でサチを祝い、ご馳走とケーキを食べ、誕生日のプレゼントあげようとなった時。
「はい、これ」
レンは用意しておいたプレゼントを渡す。
ちなみにシンからサチの好きな色はピンクと聞いて、お店の人にその色でラッピングを頼んだ。
だから今、レンの選んだプレゼントは綺麗な袋とリボンでカモフラージュされている。
「ありがとうございます!」
そう言って早速サチはリボンを解く。
「好みとか分からなかったから、無難に食べ物にした」
レンのその言葉を聞きながら、中の物を取り出すサチは出てきたゾンビスナックをまじまじと見つめ……。
『レンさんは、こういう好みなんですね』
と思いつつ、お礼を言ったのだった。
ちなみに最後にイツから
「どうだろうか……」
と、淡いピンクの花がモチーフのキーホルダーをもらって、喜んで早速学校に持って行く鞄に付けていた。
*
次の日。
サチは春休みなので朝から御影荘を手伝っていた。
そしてほげーと考え事をする。
『レンさんから誕生日プレゼントも貰いましたし……そろそろ「レンちゃん」と呼んでもいいのではないでしょうか?』
と……。
こうして彼女はしばらく『なれなれしいでしょうか? でもさん付けは固い気がします。友達なのに……』と考え。
「アイちゃん。サチ、レンさんの事をレンちゃんと呼びたいと思うんですけど、どう思いますか?」
と、仕事の合間にアイに相談する始末。
アイはそんなサチに「ちゃん付け、いいんじゃないか?」と苦笑いで答えた。
そうこうしながら時はお昼。
休憩に入ると、ちょうどレンの休憩時間も同じだったので一緒に食事を取る。
今日のメニューは切り開いたロールパンに何種類かある具を自分で選んで挟んで作る、手作りサンドだ。
「そうだ、ちょっと待っててください!」
食事中、サチはとある事を思い付いてダイニングを離れると、ゾンビスナックを持って帰って来た。
そして軽めに深呼吸して勇気を出すと、こう言ったのだ。
「あの、これ一緒に食べませんか? レンしゃん!」
『あ……、噛んでしまいました! しかもこれだとちゃん付けで呼んだ事にも気が付かれません!!!』
そう心の中で慌てるサチをよそに「ん、食べる」とレンは早速嬉しそうに袋を手に取り、開け、作ったハム卵サンドにゾンビスナックをデコる。
「サチも食べよ?」
何故か落ち込んでいるサチに、サンドをサクサクほお張りながらレンは声を掛けた。
というワケであるが、その日の夜。
「レンちゃん、一緒にお風呂に行きませんか?」
「行く」
サチは無事レンをちゃん付けで呼べるようになって、胸をなでおろした。
ゾンビスナックは、実在する。
色は凄いが味は美味しい。
ただ、過去。
青いゾンビスナックを食べた後の排泄物が青……。
いや、この話はやめておこう……。
地球の皆さんこんちくわ
色々設定を付けたり名前を考えたりして謎生物を名乗っていたけど
中の人が途中で面倒臭くなって
最近は地球外生命体とか名乗ってる
彩乃だよ☆
今日は近所のスーパーで売ってたプリンを買って食べたから
その紹介をするね