はあちゅうさんからの発信者情報開示請求で意見照会に対応した話

こんにちは。河童の川流れと申します。

題名通りなのですが..はあちゅう(伊藤春香)さんを請求者として「発信者情報開示請求に係る意見照会書」というものが契約しているプロバイダさんから届きまして、それに対応したときのことを書いていきたいと思います。長いですがお付き合いいただけたら幸いです。

「発信者情報開示請求に係る意見照会」とは

そもそも「発信者情報開示請求に係る意見照会」とはなんぞやという方もいらっしゃるかもしれません。法律ど素人ですが私の解釈は...

あなたにインターネット上で権利を侵害されたとして法的手続きを取りたいという人からあなたの個人情報を教えるように請求がきています。その人にあなたの個人情報を教えてもいいですか?教えられたくない場合はその理由を書いてお返事ください。

というプロバイダ(softbank、au、docomo etc...)からのお手紙です。あくまで私の解釈なので正式な定義については調べていただければ幸いです。

とりあえず落ち着く努力をする

書面をみてまずやったのは深呼吸です。照会書を持つ手が震えています。まず冷静になるために深呼吸して手の震えが止まるのを待ちました。

思い出したのは以下のブログ...

note.com

1.まず,落ち着きましょう。
2.これが来たからといってあなたの投稿が違法であると確定したわけではありません。開示になると決まったわけでもありません。


落ち着いてまず冷静に書面を見ていくことにしました。

届いた書類

届いた書類一式は以下となります。

名称 説明
発信者情報開示請求に係る意見照会書 「発信者情報開示請求に係る意見照会」とはに書いたようなことが書かれている書面
意見照会事項回答書 プロバイダに返送する回答書
発信者情報開示請求書の写し 請求者からプロバイダ宛てに送られてきた発信者情報開示請求書の写し

発信者情報開示請求に係る意見照会書

「発信者情報開示請求に係る意見照会」とはに書いたようなことが書かれている書面です。内容はプロバイダによって多少異なるようです。照会書の記載から私が大事だと思ったところを要約すると以下となります。

  • プロバイダ責任法第4条第2項に基づき意見照会しています。
  • 「意見照会事項回答書」に必要事項を書いて二週間以内に指定の返送先(プロバイダ)に返送してください。
  • 開示に同意しない場合でも、同法の要件を満たしていると判断したら開示する場合があります。

意見照会事項回答書

プロバイダに返送する回答書です。以下のような回答欄があります。

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上図の回答欄の下には回答するときの注意点も記載されていました。以下一部を要約してご紹介します。

  • 開示に同意しない場合は理由は詳細に書いてください。
  • 証拠がある場合は回答書に添付してください。
  • 契約者と発信者が異なる場合は、その事情も踏まえて記載してください。

開示に同意しない場合は、次に紹介する発信者情報開示請求書の内容を受けて上記の注意事項を考慮しながら回答するようです。

発信者情報開示請求書の写し

請求者からプロバイダに送られてきた発信者情報開示請求書の写しです。請求書に記載された「掲載された情報」「侵害された権利」「権利が明らかに侵害されたとする理由」は以下の通りです。

掲載された情報 今はあちゅうさんに応援メッセージ送ってる人たちにぜひはあちゅうさんを取り巻く問題について調べてほしい。血液クレンジング、妊活詐欺と言われた経緯、童貞は病気などの発言・・・

もちろん酷い誹謗中傷には断固として反対ですよ。しかし、ご本人の今までの発信を知っても損はないでしょう。
侵害された権利 いずれも名誉権侵害
権利が明らかに侵害されたとする理由 依頼者に対して、「妊活詐欺」等と虚偽事実の摘示により名誉権を侵害している。


実際に送られてきた書類は以下となります(一部黒塗りとトリミングしてます)

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弁護士相談

発信者情報開示請求書の写しを確認したところ名誉権侵害と記載があります。これに対してどう対応するかというのは人それぞれだと思いますが私は以前からこのような法的関係の当事者になったら...

まず専門の弁護士に相談する

と決めていました。以前交通事故の示談金交渉で揉めたことがあるのですがそこで弁護士にも専門分野があるということを知りました。発信者情報開示請求にもそれを専門にされている弁護士様がいるそうです。以前から発信者情報開示請求に関してお名前を知っていた方に相談することにしました。

弁護士様への相談内容

弁護士相談にも対面、電話、メールなどなど色々あると思いますが、私はメールで相談しました。以下、弁護士様に最初に送信したメールの内容です(ブログ用に少し体裁を整えていますが概ね同じ内容です)。


〇〇様
突然の連絡失礼いたします。

11月24日にプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届きました。回答書の作成を依頼したく連絡いたしました。非開示で回答したい所存です。

対象となったのは「Twitter」へ2020年8月10日に投稿したものです。

開示請求書に記載された掲載された情報、侵害された権利、権利が明らかに侵害されたとする理由は以下の通りです。

【掲載された情報】
今はあちゅうさんに応援メッセージ送ってる人たちにぜひはあちゅうさんを取り巻く問題について調べてほしい。血液クレンジング、妊活詐欺と言われた経緯、童貞は病気などの発言・・・

もちろん酷い誹謗中傷には断固として反対ですよ。しかし、ご本人の今までの発信を知っても損はないでしょう。

【侵害された権利】
いずれも名誉権侵害

【権利が明らかに侵害されたとする理由】
依頼者に対して、「妊活詐欺」等と虚偽事実の摘示により名誉権を侵害している。

上記発言をした経緯ですが、「妊活詐欺」という言葉を含めて誹謗中傷105件が違法認定されたとはあちゅうさんが報告したいう記事をみてそれに対して「よくしらないですけど頑張ってください」というようなコメントがあったので「応援する前に経緯くらい調べたらどうだろうか」という思いで投稿しました。

非開示で回答したい所存ですが、もし、開示して示談すべきなどあればご助言いただければ幸いです。

長くなり申し訳ありません。
何卒、ご回答のほど宜しくお願い申し上げます。

私は、今回は初めから回答の作成を依頼するつもりでメールを出したので相談兼依頼メールになっていますが、最初に送るメールとしては以下のように不安になっている点、わからない点を添えて対応方法をお伺いするものでも良いと思います。


〇〇様
突然の連絡失礼いたします。

mm月dd日にプロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」が届きました。対応方法についてご相談したくメールいたしました。

対象となったのは「××」へ20XX年mm月dd日に投稿したものです。

開示請求書に記載された掲載された情報、侵害された権利、権利が明らかに侵害されたとする理由は以下の通りです。

【掲載された情報】
※発信者情報開示請求書に記載されている「掲載された情報」を記載

【侵害された権利】
※発信者情報開示請求書に記載されている「侵害された権利」を記載

【権利が明らかに侵害されたとする理由】
※発信者情報開示請求書に記載されている「権利が明らかに侵害されたとする理由」を記載

上記の投稿をした経緯は~中略~です。

開示すべきかどうかについてできればご見解をお聞きした上で判断したいと考えております。またその後の対応方法についてもご助言いただければ幸いです。

長くなり申し訳ありません。
何卒、ご回答のほど宜しくお願い申し上げます。

※これはあくまで「私が」このようなメールを送った方が良いと思うと考えているだけなので、もしこのブログを見られている方でもっとテンプレート的なメールの送り方があるという場合はご指摘いただければ嬉しいです。

弁護士様からの回答

弁護士様から次の日の朝には回答があり、非開示で回答する方向で依頼を受けていただけることになりました。本人視点の資料も必要だということで、私が発信した経緯の説明と個人情報の取り扱いについて不安に感じている点を資料にして弁護士様にメールで添付して送付することにしました。

以下の二つの本人視点の資料を作成して弁護士様に送付しました。

「妊活詐欺」という言葉を使用した経緯について説明した資料

今回の問題となった投稿をした経緯と私が認識している「妊活詐欺と言われた経緯」について記載しました。記載にあたり事実関係を説明する参考資料も付けました。下記の画像内ではURLしか記載していませんが、下記画像資料と合わせて【参考資料一覧】に記載されたURL先をPDF化したものを添付しています。

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個人情報の取り扱いについて考慮していただきたいことを説明した資料

請求者および代理人のTwitter上の投稿などで私が個人的に個人情報の取り扱いについて不安に感じた点を説明するための資料を作成しました。個人情報が開示された場合、発信者情報開示請求書に記載されている「発信者情報の開示を受けるべき正当理由」以外の使われ方をするのではないかと不安に感じた投稿を記載しました。こちらも下記の画像内ではURLしか記載していませんが、下記画像資料と合わせて【参考資料一覧】に記載されたURL先をPDF化したものを添付しています。

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アーカイブデータ(魚拓)の作成と取得

資料には添付しませんでしたが何かの手違いで発信の経緯について書いてある記事や投稿などが消えてはいけないので、以下のブログを参考にしてアーカイブデータ(魚拓)もとっておくことにしました。

note.com

また、すでに消えてしまっている投稿は、消えてしまっているURLとともに消える前にアーカイブ化されたデータのURLを載せました(「https://archive.vn/VpyfJ」や「https://archive.vn/RBUuJ」など...)

アーカイブデータは元のURLがわかれば「Internet Archive: Wayback Machine」から検索できます。

回答書完成

数日後に弁護士様から回答書の作成が完了したと連絡をいただきました。内容に問題なければそのままプロバイダに返送するということでしたので返送をお願いいたしました。これで今回の発信者情報開示請求書に係る意見照会の対応は完了です。

今後について

今後は以下のような流れになるようです。

  1. プロバイダが発信者からの回答を元に開示するか非開示にするか判断します。
  2. プロバイダが請求者に開示結果を通知します。*1
  3. プロバイダが発信者の個人情報を開示した場合は、請求者が発信者に対して恐らく損害賠償請求訴訟を提起します。プロバイダが非開示と判断した場合は、請求者がプロバイダに対して恐らく発信者情報開示請求訴訟を提起します。
  4. 請求者がプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起した場合、訴訟用にプロバイダが二回目の発信者情報開示請求に係る意見照会を発信者に対して行います。*2
  5. 請求者とプロバイダの発信者情報開示請求訴訟で請求者側が勝訴したときは、プロバイダは請求者に発信者の個人情報を開示します。その後は請求者が発信者に対して恐らく損害賠償請求訴訟を提起します。

最後に

以上が今回の発信者情報開示請求に係る意見照会で私が経験した内容となります。今後どのような結果になるかはわかりませんが、まず冷静になることは大切だなと思いました。冷静になった上で開示するかどうか、弁護士様に回答作成を依頼するかどうかも含めて素人判断せずになるべく早く、専門家の弁護士様に相談するのが一番だなと改めて強く思いました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

*1:発信者には開示した場合のみ連絡がいくようです。非開示の場合に発信者に通知するかどうかはプロバイダによるそうです。

*2:二回目の意見照会をするかどうかはプロバイダの判断によるそうなので、照会書が送られてこない場合もあるそうです。