北京で働く男

長く、とっちらかった備忘録

ガードが下がって偽札掴まされた話。

簡単に言うと、いいヤツだと思っていたタクシー運転手に、偽札掴まされて凹んだという中国あるある話。それだけ。

 

先週末 友達とご飯行ってタクシー乗って、その運転手さんがえらい気さくな人で、しかもタメで、俺も酒が入っていたもんで、めちゃくちゃ話が盛り上がった。彼のバックグラウンド、私のバックグラウンド。北京語と上海の発音の話。仕事や家族の話などなど、普段はタクシーのドライバーとはあんまり喋んないのだが、たった10数分の間に、かなり濃密に会話をした。

 

そうこうしている間にうちに到着。15元ほどのところ、「ごめん、いま100元しかないんだけどいい?」と断りを入れて支払う。

※こちらのタクシーではお釣りで小銭を出すのがかったるいので、100元を出すと舌打ち or 文句 or 受け取らないということがよく起こる。

 

「いいよー、没问题!」ってことなので100元払うと「あのさーこれ新札じゃん?新札だと偽札が多いからさ、旧札持ってない?」と彼。

 

去年から?だったか、中国では100元札のデザインが刷新され、2004年の日本でいう、夏目漱石と野口英男が新旧札が市場で入り混じっている状態。

※ま、こっちの肖像画は他でもない「あのかた」オンリーですけど。

 

おお、いいよっつって取り替えて、「あでもいいややっぱ、めんどいっしょ」つって返されて。お釣り85元もしっかりと返してもらって。

(運転手には珍しく)いいヤツだったな~って就寝。

これだけだったら、「なんだ、北京の運転手も捨てたもんじゃないじゃないか。人類みな兄弟だぜ、ビッグブラザー」という話だったのですが。

 

翌日カフェでお会計したら、やられましたよ。毛沢東のソックリさん a.k.a. ニセ札。

 

しかもトリッキーで、一回渡して返された奴もすり替えられていてニセ札。

 

つまり100元 x 2枚 現在のレートでだいたい 3500円くらい やられた。

 

戦闘機が買えるくらいのはした金ならいらない、じゃないけれど、

お金を損したってことじゃないんだよ。そこじゃないんだよ、悲しいのは…。

 

普段私相当ガード高い方なので、海外でトラブルに遭ったことがほとんど無いことが自分の秘めたる自慢なのだが、酒も入って、ガード下げちゃってたもんなぁ。てか、ガードするべきヤツじゃないって、思っちゃったんだよなぁ。

 

これはね、悪いのは俺。

ガードを下げた俺、100元から目を離した俺、トレードに応じてしまった俺、騙されるほう、つまり俺が悪いんだわ。

 

ていうか、偽札掴むなんて中国では日常茶飯事すぎるんだけどね。

 

でもねぇ、偽札を掴んだってことじゃないんだよ、悲しいのは…。

  

齢三十にしてまた大人の階段登っちゃいましたなぁ。

 

TRONの横に、Chevroletの施設ができるよ。

news.shanghaidisneyresort.com.cn

上海ディズニーのTRONの隣に”TRON Realm, Chevrolet Digital Challenge”という新しい施設がオープンするとのこと。TRONのスポンサーである上海GM,Chevroletのブース。

(中略)inviting guests to explore three exciting interactive zones – Imagine, Create and Drive.  

ということで、3つのゾーンで構成されていて、

In the Imagine zone, guests can virtually suit up in a specially designed Light Suit, driving in the world of TRON. The signature design experience, Advanced Vehicle Design, in the Create zone allows guests to create next generation vehicles. In the Drive zone, guests can drive a Light Runner from the seat of a Chevrolet-inspired Driving Pod through the compelling digital world of TRON. 

 

「Imagine」では ヴァーチャル上でTRONの世界のライトスーツに着替えられる。

https://news.shanghaidisneyresort.com.cn/uploadfile/2016/0904/thumb_640_420_20160904070126694.jpg

©Disney

これの右側がImagineかな?

Interior of TRON Realm, Chevrolet Digital Challenge - Galleries - shanghaidisneyresort

 

「Create」では次世代のVehicleをデザインできると。→これはフロリダEPCOTのTEST TRACKでも同様の体験ができる。TEST TRACKもChevroletがスポンサー。 

 

https://news.shanghaidisneyresort.com.cn/uploadfile/2016/0904/thumb_640_420_20160904070314692.jpg

©Disney

この真ん中のタッチパネル状のがCreateでしょう

Interior of TRON Realm, Chevrolet Digital Challenge - Galleries - shanghaidisneyresort

「Drive」ではTRONの世界をドライブポットに座ってドライブできるそうだ。

https://news.shanghaidisneyresort.com.cn/uploadfile/2016/0904/thumb_640_420_20160904070453533.jpg

©Disney

この左奥のがDriveでしょうなぁ

Interior of TRON Realm, Chevrolet Digital Challenge - Galleries - shanghaidisneyresort

 

いやはや、土地余ってんなぁ、いいなあ上海は。

気になるのは「Drive」部分。見た感じはゲーセンにあるようなドライビング機器だが、この時代にただそれだけで終わるとは思えない。今流行のVRを入れてくるのか?それともそこまで力は入れないのだろうか?

9/20オープンとのこと。

 

これは要するにディズニーの世界観を利用したディズニー内常設モーターショーブースだわな。

Chevroletが多額のスポンサー費用を通じてここまでして、費用対効果は如何ほどのものなのだろうか。日本では若者の車離れ*1が嘆かれているが、上海、北京といった一級都市も渋滞が慢性化しており、若年層は「車、いらなくね?」と思い始めているらしい。

news.searchina.net データ根拠の無いザックリした情報に定評のあるサーチナさんより

 

www.nikkei.com 回答サンプルはどの都市かしら?

中国の車環境として①渋滞ひどい ②ナンバープレートの北京、上海では渋滞緩和のために自動車購入制限政策として、ナンバープレートの枚数が規制されている*2 ③一級都市は公共交通機関が充実している ④いい加減メンツ*3、いいよもう

メンツを重んじる中国ではクルマもメンツを保つ道具の一つとされてきたが、53.2%が「考えを改めるべき」と答えたという。

www.nikkei.com アジアBizより

→ 渋滞ひでーし、メンツとかいう文化ダセーし、そもそも高けーし、車いらなくね?と、今の若者のマインドシフトが「ほんと一部」で起こり始めているようだ。

そういった逆風のなか、Chevroletの先進性をアピールしつつ、ディズニーの力を借りての「車って未来だ!車ってかっこいい!」というイメージ形成の早期教育の場としては、少なからず機能するんじゃないかしら?

 

*1:維持費も税金も駐車場代もクソ高いんだから、買えって言うほうが無理あるっつの。買ってもらいたきゃそれらをもっと下げろ。因みに日本だって地方はアメリカ並みに車社会だから、クルマ離れというのは完全に都市部目線の話だと思う。

*2:良い番号はオークションで高値で取引されている

*3:面子という文化が個人的には本当に嫌い。他人との比較でモノゴトをはかり優越感にひたる、面子のために本質を見誤る。ハッキリ言って超浅はか

上海ディズニーでは一人あたり20元(約300円)しか消費していない...? その2

入園券を含む1人当たりの平均消費金額は、515元(約7,828円)。約500元(約7,600円)の入園券を差し引くと、ゲストがパーク内で消費する金額は20元(約300円)にも達しない

というニュース記事を受けて、

 ディズニーパークの売上を構成する下記の4要素

① チケット

② 飲食物

③ パークホテル

④ ショッピング(グッズ)

このうち②〜④が上海のゲストにはあまり響いていないという推察を行い、①、②について前回の記事で検証を行った。今回はその続き、③、④について

 

③パークホテル

パークホテル事業の成長には、「1日で回りきれない」くらいパーク内外の施設の成長が必要

正直稼働率のデータがないので、ホテル事業がうまくいっているかどうかは不明。ただ、上海ディズニーランドは1泊するほどの規模ではないため、基本的には地方・海外から来た高所得層のゲスト向けなのが現状だと推測される。

東京ディズニーリゾートだと、ランド、シー2つのパークを2日がけで回る人の需要があったり、「記念日にシーに一泊」なんてヤラシイ需要があるのだが(別にやらしくないか)、上海ディズニーリゾートは、現時点ではまだ滞在型のリゾートになるまでパーク内外の設備が成長していない。日帰りで十分。

敷地面積や作り方を見ても、これから第2、ヘタしたら第3のパークができ、上海ディズニーランドはそれこそフロリダWDWのように、複数のパークを持つ滞在型の上海ディズニーリゾートへと変貌するだろう。その成長に合わせて、周辺のオフィシャルホテルの需要も増えるだろうし、ホテル事業の収益も増加するだろう。

④ショッピング(グッズ)

原因のひとつは、お土産文化がないこと

日本の場合:日本にはお土産を友人、同僚、家族に買っていく文化が根付いている。東京ディズニーリゾートでは、いわゆるバラマキ用の御菓子類が飛ぶように売れている。定番だとチョコクランチ、あれはうまい!※ちなみに香港ディズニーランドでも、日本製のチョコクランチが販売されている。他の観光地同様、このようなお土産用のグッズ、お菓子が東京ディズニーリゾートには様々用意されており、これが一人あたりの消費金額を押し上げている要因の一つとなっている。

 

一方中国は:中国の友人にもいろいろと聞いてみたが、「日本と違い、基本的にどこかに行ったときに同僚にお土産を買う習慣はない。家族には買っていく場合もあるが、基本的には自分たちが欲しいものを買うのが一般的な考え方」とのこと。これは私の肌感とも合う。もっとも北京の日系企業に勤めている中国の同僚たちは、海外旅行などの際には律義に小さなお土産を買ってきてくれている。これはとても嬉しい。

 

脱線:爆買いは「お土産」ではなく、「代購」

話は脱線するが、日本でよく報道される「爆買い」、電化製品から白い恋人から、大量の日本製品を購入する様は既に見慣れたものだが、あれは「お土産」というよりも、「○○買ってきて」と、友人から頼まれたものを代理購入しているケースが多いようだ。しかもこの「○○」は、例えば「KOSEの雪肌精のCCクリームのSPF 50+」とか、日本人も知らないような詳細な商品ラインナップの指名買い。日本商品のレビューブログ、レビューサイトが中国には星の数ほど存在しており、それらを参考に、商品のスクリーンキャプチャをWechat(中国版LINE)で訪日する友人に送るという。昨年、社員旅行で大阪のドラッグストアへの買い物に同行したが、商品の詳細から値段の比較まで、中国にいる友人とリアルタイムに情報交換している様には脱帽したものだ。どう考えても友人に渡すレベルじゃないな、という量を買う人たちもいるが、これはTaobao(中国最大手のCtoCのECサイト)で売りさばくように業者買いしている人たち。日本商品を個人輸入販売している人は、一般人の知り合いにもけっこう多い。

 

超脱線:中国の同僚に喜ばれるお土産 

⇒扇子とか風呂敷とか、いわゆる 「THE 日本」のものは、現実的な中国の方々に喜ばれない。私個人の経験上喜ばれるのはズバリ

① 龍角散のど飴

② フェイスパック

③ 目薬

④ くまもんグッズ    ここら辺は鉄板。

 

かさばるけど

⑤ フルーツグラノーラ も喜ばれる。

 

日本のお土産お菓子の3大巨塔「東京ばな奈」「白い恋人」「キットカット抹茶味」は、あまりにみんなが買ってくるので、2016年現在北京、上海の方々は食べ飽きてますw

 

閑散休題。

 

マーチャンダイズ解決案:小皇帝を狙ったグッズ、サービスの拡大

 → 男児に刺さる商品の開発、販売を拡大せよ

わざわざデータ引っ張ってくるほどでもないが、中国の人口構成比は、一人っ子政策の影響で若年層が少なく、若年層は男性の比率が高い。要は中国には男の子のちびっ子が多いのだ。一人っ子政策の影響で、たった一人の我が子は跡継ぎとなる男児が好まれたためだ。*1

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 参照:中国国家統計局 2014 から独自作成

 

人口でいう男女比率と、上海ディズニーランドのゲストの男女比率は別物だけどね。現状上海ディズニーランド自体のゲストの男女比率がないので何とも言えないが、事実Treasure Coveという、カリブの海賊をメインテーマに据えたテーマランドを個別に作ったのは、上海ディズニーランドだけ。背景には、男児のゲストにより魅力的なエリア開発の必要性があった(=男児のゲスト比率が高いだろう)と推測される。因みに香港ディズニーランドも、2016年末のアイアンマンのアトラクションや、現在進行中のStar Wars; tommorow land take overなど、同じく男児寄りのコンテンツを充実させようとしている。

一人っ子で両親、祖父母の愛情を一心に受けて育った男児、いわゆる「小皇帝」達が喜ぶようなグッズ開発が肝となるだろう。小皇帝は中国の保護者はなんせ甘いので、この子たちが「欲しい!」といえば買ってあげるしかないだろう。

 

Treasure Coveで海賊グッズはけっこうあったけど、ディズニーの世界観を崩さないレベルでもっとやれって感じ。剣とか、銃とか、光り物で武器っぽいのはこっちの子どもたちは結構好きなようだ。日本でもそうか。どうやら親の世代は武器モノのおもちゃにはあまり抵抗がなく、けっこう街でも見かけるのが以前からずっと印象に残っていた。

街角でも、なかなかエグい戦いごっこをやっているをよく目にする。

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自動小銃を抱えた子どもと両手にトマホークのおじいちゃんが戦いごっこ、ほのぼのとした町の風景。 

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乳幼児がライフルのおもちゃを抱える光景

 

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一緒に行った大きいお友達(30歳)も、思わず武器を手に取りパシャリ。

 

武器関連に限らず、いわゆるロボット物、光り物、乗り物など、男児に刺さるアイテムにはもっと需要があると思うし、ディズニーが保有するMARVEL、STAR WARSといった男児により親和性のあるコンテンツをフルに活用したマーチャンダイズの開発は、まだまだこれから必要になるだろう。

 

男児に親和性が高いという意味では、TOY STORYは非常に優秀なコンテンツだ。

http://vignette2.wikia.nocookie.net/pixar/images/6/68/Toystory_severalcharacterfrom12ad3.jpg/revision/latest?cb=20111125175414

http://vignette2.wikia.nocookie.net/pixar/images/6/68/Toystory_severalcharacterfrom12ad3.jpg/revision/latest?cb=20111125175414

TOY STORYは、これらおもちゃを所有するキャラがそもそもANDYという男の子なので、男この琴線に触れるキャラクターデザインがなされている。車もいれば、宇宙飛行士もいれば、カウボーイもいるので、上記のような男児に刺さるマーチャンダイズを開発しやすいとも言える。男児が多い市場特性を知っているはずなのに、なぜ、上海ディズニーランドはトイストーリーをテーマにしたエリアを作らなかったのだ!香港ディズニーランドと戦略がかぶるからかなぁ。

私が開発に携わっていたら、汎用性の高いPIXARコンテンツに関連するエリアは絶対に入れるけどな。因みに本国アメリカでも、フロリダのDisney's Hollywood StudioにTOY STORYのエリアを開発中。STAR WARSエリア開発と同じく、男性ゲストの取り込みを狙っているのだろう。

https://secure.parksandresorts.wdpromedia.com/media/disneyparks/blog/wp-content/uploads/2015/08/TSL181008.jpg

参照:DisneyParks blog

www.youtube.com

 

参考までに東京ディズニーリゾートの入園者の男女比率は、女性が7割で圧倒的。

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株式会社オリエンタルランド ファクトブック2016より

http://www.olc.co.jp/ir/pdf/factbook2016.pdf

 

本題からずれるが、アナハイム、フロリダ、そして香港、パリまでもがスターウォーズ関連のエリア・イベント開発に力を入れ始めているなか、東京ディズニーリゾートが次の大規模投資を新ファンタジーランド開発に投じるのは、女性ゲストの圧倒的比率によるものだろうと推測される。 逆に言うと、まだまだ取れていない男性ゲストは東京ディズニーリゾートにとってOpportunityだろう。男性ゲストまでカバーできるキャパが立地としてあんのかって話だけどね。

 

*1:そのため女児の妊娠が発覚した場合は堕胎する家族も多かったらしい。女児を堕胎する家族が多かったため、中国では産婦人科で男か女かを事前に通知することを禁止。今でも産婦人科では性別を聞いても、笑顔で応えるだけで、Yes,Noと明確には答えないとのこと

上海ディズニーでは一人あたり20元(約300円)しか消費していない...?

FBのタイムライン上に上海ディズニーランドに関わる興味深い記事が流れてきた。

繁体字で恐縮だが、元リンクは下記。苹果日报(Apple daily)という香港発の新聞の台湾版の記事。

www.appledaily.com.tw

※元リンクをVPNかまさないで中国で開こうとしたら開けなくて、久々に「ヒエッ」ッて思った。まぁApple dailyけっこう過激に反大陸だからな。

 

私の拙い中国語力で意訳すると、

浦東新区商務委員会 副主任の馬學傑氏曰く、「6月の開園以来、上海ディズニーランドは1日平均約2.7万人のゲストを迎えており、1日の平均営業収入は約1,500万元(約2.3億円)に上る。しかし、入園券を含む1人当たりの平均消費金額は、515元(約7,828円)。約500元(約7,600円)の入園券を差し引くと、ゲストがパーク内で消費する金額は20元(約300円)にも達しない。

とのこと。20元で購入できるものはせいぜいペットボトル一本(パーク内だと15元くらいかな?)なので、パーク内で1人当たりが消費する金額は、実質0に等しいというのだ。流石に嘘でしょ??と思ったが、無くはないとも考えさせられた。記事の説明によると、(意訳)

 ローカルのゲストは基本的に園内での消費を避ける。ドライフード(即席麺やビーフジャーキー、真空パックの食べ物など)や飲み物を自分で持ってくる、いわゆる「低價遊園」の習慣は、他のディズニーリゾートとは異なる環境だ。因みに他国のディズニーリゾートの収入は、①約30%がチケット、②約15%が飲食物、③約13%がパークホテル、④約25%がショッピングで構成されている。

ううむ、なるほど。

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平均とはいえ、流石に極端じゃないかなぁ、とも思う。データソースが疑わしいが、「中国あるある*1」なので、こうであるという仮定のもと話を進めよう。

因みに東京ディズニーリゾートの、ゲスト1人当たりの売上高構成は以下の通り。

f:id:bananaslugs:20160815173420p:plain

参照:http://www.olc.co.jp/ir/pdf/factbook2016.pdf

このデータにはホテル滞在の金額が含まれていないため、同一線上での比較はできないが、世界のディズニーリゾートの売上高の約25%がショッピングと考えると、東京ディズニーリゾートのグッズ売り上げは、他国と比べて高いことになる。四季折々のグッズ展開、ダッフィーの成功等を考えると頷ける結果だし、この売上構成はかなり理想的な比率になっていると思う。

 

ディズニーパークの売上を構成する下記の4要素

① チケット

② 飲食物

③ パークホテル

④ ショッピング(グッズ)

このうち②〜④が上海のゲストにはあまり響いていないということになる。

 

売上構成要素別に検証する、上海ディズニーのゲスト1人当たり売上高が低い原因

 ①チケット

 →上海のチケットは安い。東京ディズニーリゾートと同じく、段階的な値上げは必ず行われるであろう。東京ディズニーリゾートの値上げに日本では非難轟々だったが、円高の昨今においても、世界のディズニーリゾートの中では低めの値段設定であることも併せて伝えておきたい。単体パークとして世界一の来園者を誇る東京ディズニーランドだが、その割には控えめな値段設定だと(多少ひいき目だが)私は思う。

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(2016/08/15参考 JPY換算レート:RMB=15.2, HKD=13.1, USD=101.3, EUR=113.0)

 

②飲食物持ち込みOK(?)

一緒に行った友人の前情報で、「パーク内のペットボトルは高い。15元(約230円)くらいする。未開封の飲み物であれば持っていけるらしいので、水を何本かもって行こう」と教えてもらっていた。市場価格ではミネラルウォーターは3-5元(約80円)だし、そりゃあ自分で持っていくよねと。フードに関しても同様。先日のブログで金額の比較をしたが、市場感覚でいうと、上海ディズニーの食べ物は高いので、自分で食べ物を持ち込んで食べている人をけっこう見た。記事に書いてあるとおり、レジャー施設では飲食物を持ち込んで安く済ませる習慣がある。干し肉、パンに始まり、カップ焼きそばもいたな(お湯は?!お湯はよ?!)。中国の高速鉄道に乗るとよく遭遇するのだが、特におばちゃん達は、旅先の道中用に、まぁ~色んな食べ物を持ち込む。この飲食物の持ち込みがレストランでの消費額を下げていることが間違いない。

 

日本も飲食物の持ち込みは問題となっていた

実はこの飲食物の持ち込み、東京ディズニーリゾートでも議論があった問題だ。日本はもともと、遊園地や動物園にはお弁当を持っていく文化があったが、東京ディズニーランドは、開園時これを禁止にし、入園ゲート外にある「ピクニックエリア」に限り、持ってきた飲食物OKというルールにした。

【公式】ピクニックエリア | 東京ディズニーシー | 東京ディズニーリゾート

※因みに、ピクニックエリアはランド、シーどちらにもあるよ

これはオリエンタルランド会長兼CEO加賀見氏だったか、オリエンタルランドの田丸(元?)取締役たったが、「ディズニーパークの世界観を阻害する」という理由で取り決めた*2ものだ。開園当時のことはわからないが、行楽地にはお弁当文化の日本では、きっと反発の声があったと思う。中国で同じような措置を取った場合、ただでさえ「上海ディズニーの食べ物は高い」という報道が目立つ中、さらなる反発を招くのは間違いないので、上海ディズニーとしては頭の痛いところだろう。

 

もうひとつ、USJでも飲食に関わる問題が起こった。

USJ園内のフードは割高かつ選択肢が少なかったため、一度パークを出て、隣接する商業施設「ユニバーサル・シティウォーク大阪」で食事をする来園客が大量にいたことから、USJは2008年の12月より、園内に基本的に再入場を禁止する措置をとった。こちらもゲスト、周辺の飲食店双方からの反発があったようだ。

www.asahi.com

2005年の古いデータだが、朝日新聞による全国の行楽施設の飲食物持ち込み可否のデータ見っけた。

asahi.com: 弁当、持ち込めますか? 行楽施設、対応さまざま - この記事を手がかりに

 

このように日本のテーマパークでも、パーク内での飲食の売上を守るために、様々な努力があるようだ。テーマパークにおける飲食の売上はそれほど重要であり、持ち込みによって売上機会損失をしているぶん、上海ディズニーにとっては大きな問題であろう。飲食物の持ち込み禁止は段階的に進めていくと推測されるが、やはり反発は免れないだろう。じゃあどうすればいいか?

フード解決案

 A. 高所得者層向けのレストラン施設を充実し、売り上げをそちらで建てる

 B. わざわざお金を払ってでも買いたくなるフードを充実させる

 C. 安価なストリートフードを更に充実させる

 

 A→こちらは前回話した通り。高所得層は金額よりも、クオリティとサービスを求めるので、それを満たすレストランを増やすことで、高所得層の売上を確保する。因みに最初の記事の中にはこんな記載も(意訳)。

上海ディズニーリゾートの2つのホテルに滞在するゲストの、ホテル代を除くホテル内での消費金額(ショップ、レストランなど)は、平均で1人当たり1,000元(約15,200円)

 これは、東京ディズニーリゾートの飲食物+グッズ=6,250円を上回る消費額。高所得者層の消費には、これだけのポテンシャルがあるので、ここを狙ったレストランの充実は、パーク内消費の底上げにもきっと寄与するはずだ。

 

 B→東京ディズニーリゾートが得意とするところで、

  ・季節制に富んだスペシャルメニュー

  ・スーベニア付きフードメニュー

  ・キャラクターを活用したフォトジェニックなフード

など、フード自体に付加価値をつけることで、「これなら払ってもいいな」というメニューで売上を確保する。例えばこんなやつ ↓

http://info.tokyodisneyresort.jp/images2/menu/restaurant/food/7046_1_20160629104831.jpg?mod=20160629104831

パン・ギャラクティック・ピザ・ポート 【公式】店舗別レストランメニュー | 東京ディズニーランド | 東京ディズニーリゾート

東京ディズニーランドはこういったスーベニアカップ(食べたあとおみやげに持って帰れるコップやお皿、ポップコーンのバケツなど)と、シーズンイベントごとのスペシャルメニューの開発力が世界のディズニーリゾートの中でも群を抜いて高い。一応上海にもスーベニアカップのドリンクはあったのだが、売れていないしあんまりかわいくもなかった。「人よりも良い経験・生活をしていることを自慢したい」というインサイトのもと、大量の写真をSNSに投稿する人が多い中国では、写真に撮ってカワイイ、自慢できるという要素は大変重要写真映えするカワイイ、キレイ、おもしろいフードをもっと提供できれば、フードにわざわざお金を払うゲストも増えるはず。また持っていて羨ましいスーベニアカップにもポテンシャルがある。ポップコーンのバケツがそうだが、あれを首から下げて歩いてるゲストを見て、子供が羨ましがって親に「あれ欲しい!」とせがむ光景が目に浮かぶ。(中国の保護者の多くは大切な一人っ子に激甘なので、そりゃあ買ってあげるでしょう)

 

 C→まだ開園間もないということもあり、フードワゴンが結構少なかった。ターキーレッグとかポップコーンとか、レストランよりも安く気軽に購入できるフードワゴンは、ポテンシャルを秘めていると思う。余談だが、この前中国の友人と話していて、曰く「中国には塩味のポップコーンがなかなか見つからない」らしい。キャラメル味など甘いポップコーンが主流で、「ディズニーシーで食べた塩味のポップコーンがとてもおいしかった」と話していた。これは私も気づかなかったが、上海ディズニーにこれが登場したら面白いかもしれない。

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上海ディズニーのフードワゴンのデザイン。中国の切り絵をモチーフにしていてとてもかっこいい。このデザインのスマホケースあったら欲しい。

 

長くなった(疲れた)ので、③ホテル、④グッズの検証は次の機会に。

 

*1:中国では、良い結果のデータは実態の4割増し、悪い結果のデータは実態の4割減らしと言われているとかいないとか

*2:世界ふしぎ発見!の東京ディズニーリゾートの回で話していた気がする

上海ディズニーが中国で高いクオリティのサービスを提供できた秘密 & 上海ディズニーランドの改善点

初めに改めて強調しておきたいが、上海ディズニーのサービスは想像以上のクオリティ。中国ではかなりハイレベル。

タクシー乗りゃ話しかけてもシカト、舌打ち。モノ買えばお釣りを放られる。いくら呼んでも来ない店員。スタバには8人も店員がいるのに実働3人位で超並ぶ etc....中国のサービスについて語ると、ていうかサービスではないという日常なのだが、上海ディズニーランドは別格。東京ディズニーリゾートとまでは言わないが、日本人が行っても不快に感じることはほとんどないようなクオリティのサービスを提供している。これには驚いた。

上海ディズニーが中国で高いクオリティのサービスを提供できた秘密

私は2015年の10月にフロリダのWDWに行ったのだが、マジックキングダムを中心に、かなり多くの中国国籍のキャストと遭遇した(WDWのキャストのネームタグには出身地、話せる言語が書かれている)。そのなかのひとり、上海出身のキャストに話を聞いてみたところ、彼女は本来の所属は上海ディズニーリゾートで、2016年のオープンにあたり、キャスト統括の一人としてフロリダでOJTを受けている、とのこと

つまり上海ディズニーリゾートとWDWが提携し、グランドオープニングのキャストを本国で教育していたのだ。サービス、ホスピタリティ部分では正直なところ後進国の中国で、果たして世界最高と誉れ高いディズニーのクオリティを提供できるのだろうかと心配していたが、統括キャスト本国直伝のサービスが、確実に全体を底上げしていた印象。

これは本国ウォルト・ディズニー・カンパニーと合弁で設立した上海ディズニーが、その本国との連携を上手に活用し、中国のウイークポイントを本国のノウハウを用いてカバーした好例で、フランチャイズ形式の東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)には難しい試みだろう。まぁ、東京も幹部スタッフは本国に派遣されていたかな?でもあれだけ多くのキャスト要員が送られたというわけではなかったと推測できる。

そんな大健闘の上海ディズニーランドにも、やはり改善ポイントはある

そんなこんなでいい意味で期待を裏切られた筆者だったが、数えきれないほど東京ディズニーリゾートに行き、各国のパークを回った身としては、生意気にもチョコチョコと「あーここはもうちょっとだなぁ」と目についたポイントがいくつかあった。上海ディズニーランドの今後の成長を期待する意味でも、備忘録として記しておきたいと思う。

 

アトラクションの乗り降りの効率化

バズライトイヤーが特に顕著だったが、あのアトラクションは実は回転率の非常に良いライド(他国では夕方には5-10分待ち)にも拘らず、とにかくキューラインの進みが悪かった。

原因は乗り降り

ホーンテッドマンションと同様に、ライドと並走する動く歩道からゲストはライドに乗る方式なのだが、中国のゲストは、この動く歩道からスムーズに乗り降りするのにまだ慣れていないようだ。結構な頻度でライドを一時停止させていた。

このライド方式は全てのライドを同時に動かしているので、乗り降りのタイミングでライドを停止させると、全てのライドに影響が及ぶ。結果、音や演出が連動しなくなり、「夢から覚める」瞬間を迎えるのだ。

東京、アメリカでは動く歩道には最低一人のキャストが動く歩道の上で乗り降りのサポートを行っているのだが、上海ではそのキャストが配置されていなかった。

前回の記事で、急流下り型のアトラクションRoaring Rapidが平均120分待ちでスキップしたという話をしたが、あの混雑の原因も乗り降りのスムーズさが原因だと推測する。実際に見ていないので分からないが、Roaring Rapidは、アナハイムのGrizzly River Runのライドシステムを基としていると思う。であれば、あのライドシステムは半円型の乗り場から浮き輪状のゴムボートに乗って行くシステムだ。アナハイムではその半円状の乗り場に添って動く歩道が設置されていたが、ブログ等で見た写真には、上海はその動く歩道が導入されていなかった。そのため都度ゴムボートの動きを止めなければならず、その結果があの混雑なのだろう。

これは慣れとキャストの円滑な誘導がモノを言うので、今後キャスト教育によって改善の余地あり。

回転率が落ちスタンバイ(待ち時間)が長くなると、

①パーク全体のキャパシティが低下する(一日の来場者数が減る)

②ゲストの回遊性も下がり顧客満足度にも影響する

③顧客満足度が下がるとリピート率が低下する

④また回遊性が下がるとその分ゲストがレストランやショップに費やす時間が減り客単価が下がる

アトラクションの回転率は、テーマパークにとってまさに死活問題なのだ(一方、東京ディズニーリゾートのキャストのゲストコントロールは間違いなく世界一と言える。昨今の混雑の原因についての考察はまた今度)  。

笑顔を定着させられるか

オペレーションキャストはまだ慣れておらずテンパっていたからかわからないが、一部のキャストは笑顔がまだまだ足りないなと。

今回気づいたことだが、平和的なディズニーの雰囲気が、より対極の表情の印象を強めるからかもしれないが、たった一人でもムスッとしたキャストに遭遇すると、その印象は笑顔のキャストよりも強く残る。これはサービス業全てにおいて共通して起こりうることかもしれないので、注意したい。もともと接客で笑顔が少ないお国柄だからだが、徹底するには時間がかかりそう。 

パーク外の交通整理、案内

交通整理担当のキャストがすごく少なかった。その上なにせ敷地が広いものだから、車で向かった時にドライバーがどこへ向かえばよいかかなり迷っていた。

オフィシャルホテルからのアクセス

トイストーリーホテルから徒歩でパークへ向かう動線がわかりにくい。セキュリティは多かったので治安は問題ないと思うが、夜間は暗く、足元などの安全面が少し心配。(因みにホテルからシャトルバスは運行している)

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こちらがトイストーリーホテルの看板。おわかりだろうか?(世界まる見え風)周りがかなり暗いのだ。因みに「トイストーリーホテル」は中国語で’’玩具総動員酒店”。字面の圧が強すぎて草生える。

浦东空港とのシャトルバスの運行時間

8:00~19:30運行で、1日24往復。開園が8:00-22:00.…使えるか!!空港からのアクセスはタクシーが一番いいが、中国初めての方はぼったくられる確率が高いだろう。道路状況にもよるが、大体80元位あれば30−40分でいけるはず。 

デイタイムショーの城周辺の動線確保

デイタイムのキャッスルショー中、閉鎖区域が多くて、城付近から各エリアへ移動する際に少し遠回りだった。デイタイムショーは城の前で行われるため、城の正面(下図黄色線)とサイドにかけての動線(下図赤線)がブロックされる。ココを閉じなければサイドからショーを鑑賞する人で混雑するから仕方ないか、、、でもここが閉じられて、かなり遠回りをしなければいけないのはちょっと考えモノ。

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予約番号→チケット発券は別の場所でよいのでは?

①荷物検査

②入園ゲートで本人確認&発券

③入園券認証→入園

 

入園ゲートで②、③の手続きを行っていたのだが、ゲートで発券するゲストと、既に発券しているゲストが同じ場所に並ぶのは非効率。それこそファストパス発券形式で、専用機器にキャストをつけて発券と本人確認は別の場所で行うべき。

 

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後ろの既に発券しているおばちゃんから、「なんでこの列だけこんな遅いのよ、あんたたち早くしなさいよ」と文句を言われたのはいい教訓。

(あ?怒 って言っちゃいましたけどw)

 

高価格、高品質のレストランの拡充、高所得者層向けのパッケージブランの導入

中国の方々は食事を非常に大事にする。中国にはとんでもない金持ちが結構な数おり、美味しいものと高品質のサービスには金を惜しまないので、そういった高所得層に向けてのレストランやパッケージプランを提供していくべきUSJのエクスプレスパス(アトラクションを優先体験できるチケットが、何枚か綴りで販売されている。入園パスポートと合わせると、入園パスポートの倍の金額になるプランもある)なんてのは、中国の市場にはとても合った戦略だと思う。日本の市場は、平等を重んじ、お客様は(どなたでも)神様文化が根強いので、価格によってサービスや食事の品質に極端に差をつけるのは良しとされず批判もあったが、こちらでは「金はあんだからもっといい思いさせろ」という層は少なくない。価格によってサービスの質に差が出るのは世界では結構当然の認識。飛行機のビジネスクラス、エコノミークラスがいい例だ。フロリダのWDWでも、滞在ホテルに価格によるクオリティの差が如実に出ている*1

disneyworld.disney.go.com

 これは決して拝金主義というわけではなく、消費者の所得格差が幅広いアメリカ、中国といった市場では、その幅広さに合わせた幅広い価格設定が必要となるということ。昨今インバウンド対応を騒いでいる日本は、基本的に国民総中流社会に合わせたサービス提供をしてきたと思うが、今後中国を含む外国人旅行客の取り込みを目指すならば、幅広い所得格差、とりわけ世界中の「超」高所得者層向けのサービスを整備する必要があるだろう。

 

上海ディズニーでレストラン予約導入はリスキー

プライオリティシーティング(レストラン事前予約サービス)も導入したほういいかも、と考えたがナシですね。中国は高級レストランでさえ予約ブッチ、当日取り消し、時間に遅れるが頻発しますから。デポジット制にすればちょっとは改善するけど、トラブルの方が多そうだからナシでしょう。城内にロイヤルバンケットホールってキャラダイ*2では一応予約できるけどね。電話で事前予約か現地で予約とのこと。(英語or中国語)

 

その他にも、スナック類を増やした方がいいだとか、グッズはどうした方がいいだとか、結構いろいろと考えることがあったが、どうしても書きたいことがあったら記事をアップデートすることにする。

総評としては、上海ディズニーランド、グッジョブ。マジでグッジョブ。もっと頑張ろう。

 

 

*1:20以上のホテルが価格帯に合わせて4つにランク分けされている。一泊あたりの料金はValue:US$ 89~, Moderate: US$ 166~  ,Deluxe Resort: US$ 289~ , Deluxe Villas: US$ 318~  もちろん一泊6万円超の超高級ホテルも有り。オススメは朝起きたらベランダからキリンが見えるDisney's Animal Kingdom Lodge.ホテル自体がアトラクションみたい、らしい。とにかく安く泊まりたいならばPop Century Resort.各パークからのアクセスもいいしね。金のない私はもちろんValueタイプのArt of Animation Resortに滞在。モーテルをちょっとキレイにしてキャラクターをあしらったイメージ。とても良かった。

*2:キャラクター・ダイニングの略。ご飯を食べているとディズニーキャラクターが挨拶をしに来てくれるキャラクター好きにはたまらないレストラン方式。基本高い。

上海ディズニーランドはカオスなのかどうか、実際に行ってみた。その4:いろいろアトラクションあるけれど、どれ乗ればいいの?

前回二つの記事で、とりあえず「これは乗っておけ2大アトラクション」について書いたので、個人的には満足だったりする。(飽きた)他のアトラクションもチョコチョコと書くことはあるのだけれど、それはヒマがあったら随時追加していこうかと。というか公式ガイドとかが出ると思うし、わざわざ私が書く必要もないだろう.

 

とりあえず、私個人の超独断と偏見によるセレクトとして、上海ディズニーのアトラクションの番付を下記にて。

 

結論:TRONとカリブとSOARIN'に乗れば、十分元は取れる。

★ →上海にしかないアトラクション 未 →筆者未体験

※ライド・ショー系のみ。ウォークスルー(歩いて見て回る)系とグリーティング(キャラクターと会う)系は除外 

マイベスト3選

 ★① 上海版カリブ (世界最高峰)

 ★② TRON    (世界ランカー)

  ③ Soarin'    (世界ランカーだが各国にある)

 

因みに③Soarin'は、2019年にディズニーシーにもできる。そのうち詳細を書く予定だが、上海版Soarinをベースにしたものとなるので、先取りで体験可能。アナハイムとフロリダで体験していたのでものすごい感動は無かったが、初めて乗ったときはすごく感動したので、初体験ならば乗っておくべき。

正直、待ち時間と満足感が合っていない 

  ④七人の小人のマイントレイン→ 100分待ちもあり。~50分待ち位なら乗ってもいいのでは

未★⑤Roaring Rapid(未体験) →120分待ち以上がザラ。いわゆる急流下りよ?濡れるよ?

意外と面白い

 ★⑥Tarzan: Call of the Jungle

未★⑦Voyage to the Crystal Grotto

定番どころ。別の国でも体験できる

※上海版は多少アップデートはされている

  ⑧ピーターパン

  ⑨バスライトイヤー 

中国語わからないと辛い

未 ⑩スティッチエンカウンター

未★⑪Eye of the Storm:Captain Jack's Stunt Spectacular

未 ⑫Frozen:A Sing-Along Celebration

東京の方がすごい

  ⑬プーさん

 

ということで、

体験必須    → ①上海版カリブ ②TRON

楽しめる    → ③Soarin’ ⑥ターザンショー ⑦Voyage to the Crystal Grotto

空いてたらどうぞ→ ④小人マイントレイン ⑤Roaring Rapid

東京にもあるよ → ⑧ピーターパン ⑨バズ ⑬プーさん

飛ばしていい  → ⑩スティッチ ⑪ジャック・スパロウショー ⑫アナ雪ショー

 

④七人の小人のマイントレインは、フロリダWDWでもかなり話題&混んでいるアトラクションで期待していたが、WDWで乗って、「あーまぁ、空いているならOKかな」レベルの満足度だった。

走りながら座席自体がゆりかごのように揺れるジェットコースターなのだが、とはいえファンタジーランドのアトラクなので、ローラーコースターとしては甘口。期待値を上げ過ぎていたのかも。WDWのキューラインはインタラクティブキューと呼ばれる、並んでいても楽しめる設計だったのだが、これが上海版ではなんとカットされている。キューラインに人が滞留しないようにという配慮だと思うが、これは残念。

 

⑤Roaring Rapidは、いろんなテーマパークにある、いわゆる急流下り。グレズリーリバーランカリリバーラピッドの上級版といったところか。途中洞窟に入って、他にはない仕掛けがあるみたいだが、なにせ朝から60分待ち。一日平均120分待ちなので、アナハイムのグレズリーリバーランの経験もあるし、そこまでの価値は無いだろうと思い、今回は行かず。あの混雑は、恐らく乗り降りのスムーズさがまだまだなだけかと。

⑥ターザンのショーはいわゆる雑技団ショーのターザン版。中国雑技団は未体験だったので、普通にすごいと思った。直前でも入場できるし、ゆったり見れるので、中国要素を味わうという意味でも行っても損は無いと思う。

Voyage to the Crystal Grottoは、これは体験できなくて悔しかったもののひとつ。ディズニーの色んなプリンセスの物語をボートに乗って見て行く、すごくショボく言ってしまうとプリンセス版東武ワールドスクエア、ボートで見るよ版、らしい。ただそこは勿論しっかりとサプライズが用意されているようで、なぜ上海ディズニーランドのお城が、特定の作品のテーマでできていないのか(上海ディズニーランドのお城は、シンデレラ城でも眠れる森の美女の城でもない)の謎が解けるらしい。今回はタイミングが合わず未体験だが、次は絶対に体験しようと思う。

ファストパスの優先度

発券停止が早い順でいうと、

⑤Roaring Rapid→③Soarin’→②TRON→④小人マイントレイン

 ⑧ピーターパンと⑬プーさんは割とずっとある。私たちは⑤は切っていたので、③のファストパスを取って、まぁ時間合いそうならという感じで、⑧も取った。

下調べ、正しい取捨選択、早起きをすれば、混雑は回避できる。

ディズニーパークを毛嫌いする方々の理由で最大のものは、「ずっと並ぶの嫌だ、疲れる」だと思う。私もこれには同意。基本体力ないので、私はどんなに並んだとしてもMAX60分までと決めている。90分とか、120分とか、150分とかありえない。今回も開園1か月後の土曜日という混雑期に行ったが、私たちが並んだMaxは40分※しかもなぜかバズで。これは完全読みミスで、30分待ちなので並んだら、乗り降りに時間を要していたようで予想以上に待つことになったから。バズは40分も並ぶ必要はない。

 

ファストパス取れなければあきらめる。どうしても体験したい、でも並びたくない、だから朝早く行って、夕方に帰るのが一番。夜クタクタの中延々と帰りの列に流されなくてもいいし、タクシーだってつかまりやすいし、せっかく上海行くんだから、夕方に出て美味しい上海料理を食べて帰るのもいいし。花火が見たいのならば、20:30から出口付近で見て、すぐ出ましょう。

 

モデルコース

ご参考までに私たちの回った一日を下記にて。主要どころは全部抑えられたかと。

●7:45AM 入園と同時にAdventure isleへ。Soarinのファストパスをゲット

→②TRON直行(5分待ち)

→④マイントレイン(30分待ち)

→軽食

→③Soarin’ (FP、5分待ちくらい)

→⑬プーさん(5分待ち)

→⑥ターザン(5分待ち)

→ピーターパンのFP一応取る

→遅めの昼食

→パレード見る

→⑨バズ(30分待ち、実際は40分かかった)

→①上海版カリブ(30分待ち)

→ピーターパン(FP、5分待ちくらい)

→①上海版カリブ2回目

8:00PM EXIT

その後上海の中心部に行ってご飯を食べて、ホテル着と。

 

上海ディズニーランドはカオスなのかどうか、実際に行ってみた。その3:どんなに期待値を上げても、それを軽々飛び越える世界最高傑作、上海版カリブの海賊

世界最高傑作のPirates of the Caribbean,いや世界最高のアトラクションと言ってもいいかもしれない。

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はじめに断っておくが、今回のアトラクションの記事は、解説として成立していない。このアトラクションに関しては、全く筆が進まなかった。私の描写力が稚拙であることもあるが、このアトラクションをどう解説すれば、私が味わった感動が伝わるのか、みなさんが体験したいと思ってもらえるのか。どう考えても答えが出なかった。もはや言語化できない、いや、言語化してはいけない。そう思ったので、詳しいストーリーやポイントは本記事には記載していない。30歳のおじさんが小並感(小学生並みの感想)でもって酒の力を借りてバコバコ打った、という認識の上でスクロールしていただければ幸いだ。

 

早速の小並感だが、とにかくすごい。

 2006年だったかな?アナハイムのディズニーランドのカリブに乗ったときに、大型帆船と要塞の海軍が撃ち合うシーンの空間の広さがとんでもなくて、TDLとのスケールの違いに驚愕したが、それどころじゃない。

上海ディズニーランドのカリブの海賊は、とんでもない。

ポイントは新しいボートライドシステム、だと思っていた

"Floating omniover ride"というボートライドの新たなシステムをディズニーが2013年に特許を取得してから、マニアの間ではいつ、どこで、どのアトラクションに導入されるのかという議論があったのだが、これが世界発導入されたのが、そう、上海ディズニーランドなのだ。

個人的には、いろいろと調べていたこのライドシステムについてと、事前公開されていた画像(下のもの)が実際どんな感じなんだろう、という2点の検証のためにカリブに乗ろうと考えていた。

https://secure.parksandresorts.wdpromedia.com/media/disneyparks/blog/wp-content/uploads/2015/02/SHDPOTCCon123287.jpg

https://secure.parksandresorts.wdpromedia.com/media/disneyparks/blog/wp-content/uploads/2015/02/SHDPOTCCon123287.jpg

 

この新システムがどういうものか、実は記事公開前に詳しく書いたのだが、敢えて消去した。上海版カリブの売りは、この新システムだと思っていた。上の写真も、「あぁあのシーンの帆船が2隻になって、スケールが大きくなるってことでしょ?」くらいにしか思っていなかった。ところが実際は、この革新的なシステムですら、その後体験する驚きのたった一つの要素に過ぎなかったのだ。

もう、書けない。

本音を言うと、一万字以上かけて詳しく解説したい。でも、どんなささやかな要素ですら、ネタバレしたくないのだ。あまりに緻密で、あまりに壮大で、あまりに予想外。その全てを楽しんで欲しい、身を以て体験して頂きたい。だからこそ、書きたいけど書けない。

 

ここまで煽ってしまうと、「一体どんなもんや?」と気になってしまうのが人間の常。でも間違っても、Youtubeやリークサイトで自分でネタバレしないでほしい。この記事を書くにあたって、再度Youtube等でじっくりレビューしたが、まっっっっっっっっったく伝わらない。逆に動画で見てしまうと、「こんなもんか、もっとすごいのに」とすら思ってしまう。収まってないんだもん、全然。

※因みに酒が入っているのもあるが、その動画を見てあの感動が蘇って、一人部屋で「やっぱやべぇ、なんだこれwww」と一人つぶやき、ちょっとジワッときている。

今回の記事を書きながら、「あーこれからあのカリブを初体験する人たちが、まだ一杯いるんだなぁ。羨ましいなぁ」という気持ち。

辛気臭い話になってしまうが、年齢を重ねれば重ねるほど、心の底から感動する経験はどんどん減っていく。私も久しくその感覚を忘れていた。全身鳥肌が立ち、頭から脊髄の芯にかけて、ツーンと幸福感が染み渡っていくあの感じ。

 この体験を、なるべく多くの方々に経験してもらいたい。

この経験を、Youtubeやサイトでチェックして、自ら半減させないでほしい。

 

 

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その代わり、

自分の中での期待値を「死ぬほど」上げておいて欲しい。保証する。あなたが上げまくった期待値を、想像を、このアトラクションは軽々飛び越え、あなたを覆い尽くしてくれる。 

VRなんか目じゃないな、と。

仕事柄、今話題のVRも体験したことがある。VR、すごいよ?あれこそエンタテインメントの未来だ、と言われても否定しない。でも、あんなもんじゃない。よりPhysicalな没入感。あぁ、これはVRでも当分出せない、というかVRじゃもう感動しなくなったと思う。それくらい圧倒的な体験。

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中国にいてよかった、上海ディズニーランドに日本が近くてよかった

この上海版カリブを体験できただけで、私は中国にいて良かったと思う。そして、日本からたった3時間ちょいで上海に、上海ディズニーランドに行ける立地にいてよかったと思う。繰り返すが、間違いなくこの上海版カリブの海賊は、世界一のアトラクション。USJのスパイダーマン、ハリーポッターを体験したときは、ディズニーフリークの私ですら正直、「あぁディズニーやられちゃったわ」と思った。それくらいUSJのあの2つのアトラクションは、とんでもない完成度だった。今でもあの2つのアトラクションは、世界ランカーだと思っている。

フロリダで体験したWDWのアトラクションの数々も、「さすが本国は違う」と感動した。キリマンジャロ・サファリなんて、すごいよ?Expedition Everestも、すごいよ?僭越ながら、一般的な成人男性よりも世界各国のアトラクションを体験してきた自負はあるが、それらのアトラクションと上海ディズニーランドのカリブは、全くの別次元。ディズニーイマジニアの本気を見た。人間の想像力と最新技術が最高レベルで結実したものは、ここまでのものになるかと。

乗ったらどうなるの?

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私はちょっと泣いた。「すげーーーー!!」と叫びすぎて声枯れた。乗り終わった後は呆然。前回紹介したメンバーの反応としては、ただただ感動。「他はいいから、これはもう一回乗ろう」と。全会一致でその日2巡目したという。どう考えてもピークタイムで、カリブの割に混んでいる時間帯だったが、それでもいいと。それくらいの感動。

何時乗ったらいいの?

嬉しいことにこのアトラクションはボートライドなので、一度に乗船できるゲストのカズが多く、回転率がかなりいい。どんなに混雑しても、待つのは無理というほど混雑することはないだろう。約半月の観測で言うと、

午前中:5−30分待ち

昼過ぎ:平均40分、ピークで70分待ちくらい

夕方:混雑が落ち着き平均30分、遅めのタイミングだと15分くらいかな

オススメは夕方。あまりに出来が良いため、一発目に乗ると後がダレるかも。

 

もうね、これ乗って帰っても全然元取れる。

もうね、とにかく行って、カリブ乗って、感想を語りましょうよ!

 

最後に、散々言っておいて、これだけは書いておきたいネタバレw 以下で解説するシーンは、アトラクションの本編には関係ないため、知っていても体験の感動には支障がないので、厳密にはネタバレではない。これは解説がないと、わからない人にはわからないポイントだが、実はとても深いメッセージが込められているところ。ディズニーフリークおよびどんな些細なネタバレも嫌な人は、以降は読まないようにお願いしたい。

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