マーケティングテクノロジーを考えるブログ

アプリ開発・アドネットワーク運営を経てWebマーケティング関連サービスの事業化を推進しています。

AMPとMFIに見るGoogleの野望

※以下の文章は私の個人的な意見ですので話半分くらいでお願いします。
 

最近、AMP(Accelareted Mobile Pages)とか、MFI(モバイルファーストインデックス)というワードを見聞きすることが増えましたね。

去年、地味に始まったAMPも今では単独のカンファレンスが開催されるまでになりました。 ネットで調べ物をすればほぼ毎日くらいの確率でAMPのページに遭遇しています。

そしてMFI。Webページをインデックスする際にモバイルページを優先するようになります、という取り組みです。2年前のモバイルフレンドリーに続き、さらにモバイル側に寄せてきたという感じですよね。ネット上での取り上げられ方は今のところAMPに比べるとちょっと地味で、よく見るのは大半がSEO的な観点で、自分のサイトはどうしたらいいか?tipsを紹介するような内容が多いですね。MFIは現在はまだ反映されていないので、今後実際に反映されたらまた話題になりそうです。


似たようで非なるこの2つですが共通点があります。それは「画一化」です。
 

AMPによる画一化
AMP対応ページを作るには、AMPの仕様に準拠したHTMLやJavaScriptの記述、URL構造が必要です。そうすることで、GoogleのCDNにキャッシュされ、表示が高速になったり検索結果でカルーセル表示されるなどのメリットが得られます。AMP以前からGoogleは検索結果に表示するページをキャッシュしているので追加でAMPページをキャッシュするくらいは余裕だと思います。そして、AMPに準拠するURL構造が曲者。自サイトのURLにちょっと付け足すだけでいいのです。なんというか、ホスティングされてる感があまりないですが、実態はGoogleのサーバに検索エンジン経由で来訪してほしいページをせっせとアップロードしているようなものなのです。

MFIによる画一化
モバイル(スマホ)の画面は表示領域の大きいPCに比べるとサイトごとの見た目の差が出にくいです。デザインするスペースが小さかったり1カラム構成ですし、ほとんどのモバイルページはHTMLソース全体に対する正味コンテンツの占める割合はPCより多く構造もシンプルで、コンテンツ部分を効率よくインデックスできます。

日本だとモバイル普及以前からある良質なサイトもありますが、グローバルで見るとモバイル時代になってから作成されたコンテンツが大多数なので、モバイルファーストのほうが全体として効率がよいのでしょう。

そして今後もGoogleが強い影響力を持つ限り、モバイル向けページがどんどんGoogleのサーバに蓄積されていきます。

するとどんなことが起こるか?

そうです。

モバイルでのWeb体験のうち検索経由のものはほとんどGoogle内で完結してしまうのです。今はメディア系サイトが先行していますが、いずれはECサイトなども対象になってきます。利便性が浸透すれば検索以外のチャネルでも使われるかもしれません。(すでにはてなブックマークなど一部アプリでは採用されています)

どのページも構成が似ているのでわかりやすく、すぐコンテンツにたどり着けて表示は爆速。

ユーザー的にはありがたいですが、そのときに元のサイトの存在がどうなっちゃうのか非常に気になるところです。もはや公開されるページは全部AMPでいいや、となってCMS的な存在に成り下がってしまうのか、よりリッチな機能にしてそこでしかできないことを増やしていくのか。

近い未来、Webのトラフィックの◯%がGoogleになってしまい、残りを抵抗軍ぽい組織が細々と維持する、そんな日が来るのかもしれません。。

そしてビジネス的には、ampの抵抗勢力を立ち上げるとか、amp前提のCMS、制作サービスなどが出てきそうですね。

新年のご挨拶と、2017年Webマーケティングにおける3つの予測

新年あけましておめでとうございます。
 
弊社は本日から営業開始で、管理職は朝に日枝神社で初詣と祈祷をしてからのスタートとなります。皆様も本日から開始という方は多いのでないでしょうか?
 
昨年は、事業売却や子会社の解散から始まり新たにWebマーケティング事業を担当するという大きな変化がありました。
 
何が大きいかって、それまでの数年は新規事業担当として、トレンドから様々な機会にチャレンジし、結果としてスマホアプリ周りの事業を推進するという役割を担っていました。そこからWebマーケティング領域に身を移し、今度はテーマがある中で深掘りしていくという役割に変わりました。当初は自分が得意だと思っていたこととは逆のことをやる感覚でしたが、徐々に新しい自分が発見できたような収穫もありました。事業はまだまだ課題ばかりですがいくつかの手応えもあり、今年も引き続きこの領域にフォーカスしてまいります。
 
と、私の話はこのくらいにし、いい機会ですので今年Webマーケティング領域で起こりそうなことを考えてみました。
 
まず前提として、この数年ネット領域で起きた様々な変化を集めてみます
  • 企業や個人のネット活用増加、EC率や広告費増加
  • サブスクリプション、シェアリングなどオンデマンドのサービス利用の増加
  • クラウド型サービスの利用増加
  • モバイル利用率
  • スマホにおける動画視聴の普及
  • ユーザートラッキングの強化
  • AI、データの活用
  • 自動化の促進(MAから始まり自動運転なども含め)
  • 主要ITプラットフォームの接触増加、(特にスマホにおける)利用サービスの固定化
  • 社会変化(人口動態や働き方の見直しなど)
  • 金融機関とFintechの関係促進
  • 格安スマホやSIMの普及
 まぁそうだよなというものもあれば、ちょっと前であれば成立しなさそうなこともあります。それは技術的な理由によるのはもちろんですが、今まではその領域で強大な企業がいたり制度上はとてもそんな風に考えられなかったこともあると思います。ただ、いろんなことがまるで川の流れのように本来あるべき姿になろうとしているようです。「あるべき姿」というと高尚に感じますが、もうちょっと惰性的なイメージです。
 
今後はより一層「本来あるべき」になっていくのだと思いますが、その中でもWebマーケティングに関わる部分で3つほど、今年こうなりそうだというものを考えてみました。
 

①自動化の進行

すでにマーケティングオートメーションという言葉がポピュラーですが、どちらかというとサイトに来訪したユーザーとのインタラクションを自動化する面が強いです。今後は作業をする側の自動化がテーマになる気がします。単純に大変な作業ですし、昨今の働き方や労働時間に関する世論的にも強く求められるように思います。
 

②レスポンシブの先のスマホ対応

レスポンシブデザインの導入でユーザー体験向上やSEO強化ができるようになり、サイトごとのPC/スマホの比率がより明確になってきました。閲覧デバイス比率(特にスマホが多い場合)によっては今のレスポンシブ以上の表現が求められたり、見た目以外でも個別に進化するニーズが増すかもしれません。そういえばGoogleの検索順位決定もスマホとPCページが別になるという報道もありました。 
 

③アプリ/Webの断絶による予算配分変化

前回のブログでも書きましたが、スマホのホーム画面という一等地を取れなかったサービスの話です。通常、サービスにおけるユーザー数は上位からなだらかなグラフを描きますがここに入れるかどうかを境にガクンと変わります。そして今後さらに利用サービスの固定化が進みホーム画面を占拠するGAFAやLINEなどのアプリに依存した顧客獲得が進んだ結果、Web/アプリにおける予算配分の見直しが入るかもしれません。ビジネスモデル的にも、トップアプリはそのアテンション力を活かす方向に、そこで集客するサービスはCPA勝負に陥らない差別化が求められるのではないでしょうか。
 
というわけで若干、今私がやっていることもベースにしながら考えてみました。実際のところはなんともいえませんが、こういうこと考えるのも楽しいですよね。
 
それでは、本年もよろしくお願いいたします。

Google検索がBtoB向けツールになってしまうかもしれない話

ちょっと前ですが、ガートナーのリサーチで、2019年までに、ブランドを持つ企業の2割がアプリの浸透をあきらめるという見通しがありました。スマホ1台あたりのアプリインストール数が30個台からなかなか伸びない中、そこには選ばれないという結果を受け入れ始めるということなのでしょうか。
そして最近、ブラウザアプリで食べログなどグルメ系アプリやYahoo知恵袋、Yahooニュースを利用していると、けっこうな頻度で「◯◯をアプリで見る」「もっとレビューをアプリで読む」「アプリ限定記事を読む」みたいなリンクが増えている事に気づきます。
 
おそらくWebとアプリのユーザー動向を比較するとリピート利用などの指標で差があり、アプリで使ってもらう方が得策ということなのだと思います。
 
以前よりアプリとWebの利用時間と接触頻度には特徴的な差があり、上の話はどれも理解できる話です。そしてこの差を活かして検索やSNS、キュレーションアプリ内の露出で接触機会を増やし、アプリに誘導するのがエンゲージメントを高める常套手段になりつつあります。
スマホ1台の平均インストールアプリ数は30個台(先日Googleのイベントでも38個と触れられていました)といわれており、多少の入れ替えはあれどほとんどの単一のブランドはアプリとしての浸透は難しい。そして上で例示したYahooなどのアプリはその38個に入っているもしくは当落線上にいるんじゃないかという気がします。
 
インストールするアプリ全体の数が決まっていてその場所を取り合うというのはなんとなくテレビのチャンネルを思い出します。かつてネットは既存のメディアなどに対してオルタナティブな存在でしたが、スマホ時代になり既存メディア以上にメインになってしまった結果、かつてのテレビっぽい場になってしまうというのは興味深いです。
 
そしてメインになるにつれ、ネットサービスやアプリのCMが増え、普通に暮らしていてもこれらサービスと接触する機会が増えてきました。「昔ほど検索しなくなった」とよく言われますが、デバイスの特性やユーザートラッキングの強化以外にもこれら背景が遠因になっているかもしれません。
 
と、前置きが長くなりましたが、要は以前と比べてサービスの出会い方や関係を深める過程で検索の登場が減ってきているんじゃないかということです。
 
じゃあ従来の普通の検索は誰がやるのか?
 
今でもそうですが、今後は今まで以上に仕事や研究、勉強のために情報を必要としている人向けのツールになっていくのかもしれません。今はまだまだ検索されていると思いますが、コンシューマ向けアプリ市場が拡大し38個のアプリそれぞれがAbemaTV級のメガトンアプリになってしまったらちょっとやそっとのことはいちいち検索しなくなっちゃうのではないかと。したとしてもYouTube内の検索とか、アプリのUXとしての検索くらい。
 
10年くらいしたら冗談じゃなく「検索?お父さんが仕事で使ってるやつかー」ってことになるかもしれないですね。そして、そのときに求められるアテンション獲得方法は何か?を考えてみるのもおもしろいですね。何か思いついたらまた紹介したいと思います。

ferret Oneのリード獲得の変遷で気づいた、マーケティングオートメーション導入3つの心得

大変ご無沙汰しております。
 
前回投稿が3月なので半年以上経っていますが、ちょうどその頃に開始したferret OneにおけるSFA/MA環境のリニューアルを、先日行いました。いい機会ですのでこの8ヶ月ほどの取り組みでferret Oneにおける見込み客獲得がどんな変遷を辿ってきたか、とそこから感じた心得のようなものを紹介したいと思います。弊社も3月の時点では全く知見がなかった状態でしたので、これからMAやSFAを導入してみたいという方はご参考いただければ幸いです。

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※こちらは、今回シナリオを設計するときに使ったシートです。サイト来訪ユーザーの段階に合わせてリードポイントを設けるような考え方で作りました。いずれこのブログで紹介したいと思います。

ferret OneにおけるSFA/MA環境の変遷

2016年1月
ferret One(当時はHomeup!という名称)の部署内にマーケティングチームができました。
昨年までは営業チームがマーケ機能も担う構成でしたが、あらためて担当するチームを作りました。とはいえ最初は社員1名+アルバイト1名という布陣で、営業チームがやっていたセミナー集客の作業を引き継ぐところからのスタートでした。
 
2016年2月
マーケティングチームを新設した理由の一つでもあったMAツール導入の検討を開始。価格や機能はもちろんですが、前年の12月から導入していたSalesforceとの連携や導入サイト(ferretやferret One)との相性、使うことで我々が得られる知見も含め検討しました。
 
2016年3月
ツールを決定、導入しました。最初はメール配信やアンケートフォームへの対応から開始し、徐々にセミナー告知メールへのドリップ機能などを試したりしました。今振り返ると、つかえそうな機能をつまんでいる感じで、全体の設計はまだない状態でした。
 
2016年4月
ferretで無料配布しているホワイトペーパーが好調だったこともありMAツールでのデータ連携を開始しました。今振り返るとただ単にお客様の情報を取得する程度のものでしたが、リードが増えていく感覚のようなものがつかめてきました。合わせて資料ダウンロードを目的とした広告配信も開始しました。
 
2016年6月
ホワイトペーパーをシリーズ化したり、ferretとの連携を強化。この頃、セミナー、資料ダウンロード、お問い合わせ、などの合計が月間1000を超えてきました。8月にはさらに増えて数千規模になってきました。
 
2016年9月
短期間でリードの数が増えたことで、特にSalesforce側でのチャネルやリードソースといった情報管理の不備が顕在化、営業側でもリードから商談に至るステータス管理にかかる手間が増えてきました。
 
2016年10〜11月
CRMとMAの設定見直しに着手。今まで対症療法的に設定してきたのを、全体像から必要な構造に設計しなおし。加えて、リード獲得時にWeb上のアクションだけでなく、決裁権や検討時期などのBANT情報を追加。
 
今後の予定
リリースはこれからですが、商談から離脱してしまったリードの復活ロジックや、何らかの興味を示した人へのナーチャリングを予定しています。やっとここまで来たという感じです。
 
以上、ざっと時系列にあげてみました。時期を3つに分類すると、
  • とにかく導入してみて、その時点でベストと思う範囲で使いだした
  • リード数が増えることで様々な問題が顕在化してきた
  • 顕在化した新しい問題を解決するため、新しい取り組みを開始した
というところでしょうか。さらにここから心得的なものを抽出してみます。

①マーケティング〜営業の業務をある程度理解した担当をつける

概念としてはMAやSFAを理解している方は多いと思いますが、実際にやると思い通りにいかないことが多いです。概念を理解することも大切ですが、それ以上に業務にマッチしたやり方は何か?使うツールを理解し実務に落とし込めるか、が重要でそのためには実際に取り組むしかないなと痛感しました。外部のコンサル会社の支援を受けつつも自社で専任をつけて半年くらいガッツリやる気持ちでいければ自社にとって大きな資産になってくると思います。
 
とはいえ実は弊社もまだ完全に専任にはできていないので、今後の課題です。 

②組織が立ち上がるタイミングで始める

マーケ〜営業と広い範囲の業務に影響があるのと、特にSFAはツールの特性上みんなが均等に徹底して取り組まないと効果が発揮できません。全員がちゃんと使っている状態を作るためには、組織が立ち上がるときなどゼロベースで考えられるタイミングが向いています。 

③とにかくリードが入ってくる状態をつくる

精神論ぽいですが、リードがとにかく入ってくる状況を早く作ることが重要です。何もない状態で四苦八苦するより、リードがある状態のほうが視点が変わり、やることが具体的になりますし、何よりも「早くやらないと」という追い込み効果があります。
 
と、私も知ったようなことを書いていますが、要は弊社も今になってやっとマーケティングオートメーションができる体制になったという感じです。今後もこのあたりの話を紹介していこうと思いますので、興味ある方、同じようなことされている方いらっしゃいましたら感想ぜひお願いします。

「次世代のモバイルアドテク・ソリューション」から考える5つのサービス

ご無沙汰しております!
すでにお知らせさせていただきましたが、本年の1月1日をもって株式会社フルセイルは親会社の株式会社ベーシックと吸収合併、そして2月1日をもって、スマートフォン向けアフィリエイト広告事業「GAMEFEAT(ゲームフィート)」を株式会社レントラックス様に事業譲渡いたしました。
 
ブログタイトルも心機一転しまして、再スタートです。今後ともよろしくお願いいたします。
 
さて、先日BRIDGEでこちらの記事を読んでいたところふと気になる箇所が出てきました。

thebridge.jp

 記事タイトルだけ見ると「これからのゲームはHTML5でしょ」という感じなのかな?と想像しましたが、実際はWebとネイティブそれぞれのメリットを生かしてハイブリッド的に使いましょうという内容でした。
HTML5版とネイティヴ版の双方を組み合わせることで、リーチとリテンションが相互補完できるのに加え、ここから HTML5 は新世代のモバイルアドテク・ソリューションを生み出せないだろうか?

 これを読んだとき、この方とは気が合いそうだと思いました。なぜならこれはゲームだけに限らず、様々なネットサービスにおいて今後集客のベースになる考え方だと以前から思っていたからです。きっかけは去年読んだ、スマホとアプリの利用の比較において利用時間は圧倒的にアプリだけど接触数はWebが多い、という話でした。

 
ゲームの場合リッチな表現が必要になるのでHTML5ですが、要はWebとアプリの組み合わせ利用でどうやってユーザー拡大していくか?ということです。人気のあるソーシャル系サービスではWebとアプリ両方で使っているじゃん、と思いそうですが、これらはすでに多数のユーザーにリーチしていてどうやって接触面を増やすかというフェーズですので今回の趣旨とはちょっと異なります。アテンション獲得にまだ大きな比重や課題があるようなサービスにおける話です。
 
このように考えたいくつかの背景があります。
 
・検索、ソーシャル、広告などのチャネルからアプリストアに送客できてもアクセス解析的な情報が取りづらく、チャネルごとの効果測定や流入の改善をしたりといったことがやりづらい
 
・Webに比べてアプリは、サイト内の行動を目標設定したり、効果検証や改善がやりづらい。特にiOSの場合、アップデートに時間がかかる。
 
・アプリのプッシュ通知は強力。ダウンロードというハードルを越え、プッシュ通知を許可してもらえば最も強力なリテンション施策が可能になる
 
・いつまでたってもアプリストアの検索がしょぼい(特にApp Store)
 
要は、アプリとWebの断絶、仕様の違いにより、マーケティング上の係数管理と一貫した施策がやりづらいという問題 です。
 
このあたりをふまえると、サービス初期の接触において接触回数をあげたり初期のエンゲージメント構築においてはPDCAしやすいWeb、晴れてアプリをダウンロードしてもらえたらプッシュ通知やディープリンクによるリテンション向上(そして何よりもホーム画面にアプリアイコンがある!)というのが効率的な流れなのではないかと考えていました。
 
図にするとこんな感じでしょうか。

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 例えば、アプリインストールの直前にWebを配置することで、アプリをインストールしていないユーザーにもWebプッシュで低コストのアプローチができる、とかそんな風に考えます。すでに世にあるいくつかのサービスはこれに近い流れになっていますよね。グルメとかレシピ系のサービスなど。
 
「次世代のモバイルアドテク・ソリューション」はこんなサイクルと特性を前提として生まれてくるのかもしれません。というかもう出てきています。Webを活用しながらユーザーと浅めの関係を作り、そこから一定の割合でダウンロードにつなげ利用頻度を上げていく、というフローをサポートできるソリューション。
 
そんなことをふまえつつ、このサイクルの中で活かせそうな、実際にあったらいいなというサービスをいくつか考えてみました。(本当にできるかどうかは不明です。すいません。)
 
①流入経路に応じてコンテンツを一つのアプリで切り替えられるアプリベースのプラットフォーム。特にアプリを自前で開発するのが難しいECサイトなどがターゲット。ホーム画面にアイコン増えるのが嫌な人は多いですし。Appleの審査が通るかは謎ですが。
 
②接触初期の流入経路やユーザー行動をもとにしたWebプッシュ通知を配信できるサービス。Webサイト再来訪だけでなくアプリインストールなど柔軟に訴求できる(iOSは非対応)
 
③アプリのデータを利用して、集客用のWebサイトの各種データを自動で作ってくれるサービス。
 
④コンテンツマーケティング的な手法で集客し、アプリダウンロードまでつなげられるマーケティングオートメーション(MA)ツール
 
⑤ディープリンクを活用した、インストール済みアプリ内のトランザクションに対するアフィリエイト広告(もうあったような気もする・・)
 
これらはWebと親和性の高いメディア系サービスよりも、特定用途向けのサービスの方がが向いていると思います。
 
なんだかんだでまだアプリとWebが断絶されている感がありますが、どちらかだけではなくそれぞれが役割があって全体でUXを形成するという流れが強くなってくるのかもしれないですね。
 

Googleの逆襲がいよいよ始まるのかもしれない

先日のブログでNow on TapでGoogleがSNSに逆襲してきているんじゃないか、というようなことを書いたのですがちょうどこんな記事がありました。
Googleの親会社アルファベット社のスポークスマンは、「ウォールストリート・ジャーナル」に対して「Google検索エンジンによる、Facebookモバイルアプリ内の情報クロール、およびインデックス化ができ始めている」と、明かした。
 
この両社の協力により、Googleはより大きな検索トラフィックを、Facebookは新しいオーディエンスの獲得機会を、それぞれ得られることになる。

これを読んで、逆襲は本当にあるのかも・・と思いました。

 
記事ではこの取り組みから広告ビジネスモデルをどうやって両立させるかが課題、といううニュアンスを感じますが、Googleの成り立ちを考えると今すぐどうこうしようって感じではない気がしました。それよりもFacebookがディープリンク対応して外部からのトラフィックを得ようとしているということが重要だと思います。この取り組みがうまくいけば(想定通りFacebookのトラフィックと広告収益が増えれば)それはそのままGoogleの価値になるわけです。加えて前述のNow on Tapで、よりFacebookを便利に使える機能が提供できれば、ディープリンクは止めづらくなる・・という状況を狙っているのかもしれません。
 
まるで昔のインドの世界観で出てくる象とか亀の絵、あれの一番下のポジションを奪い合っているイメージですね。

NTO(Now on Tap Optimization)の時代が来るかもしれないという話

ついに日本でもAndroidでNow on Tapが使えるようになりました。全Androidユーザーが使えるようになるまでは時間がかかりそうですが、個人的にはひさしぶりにスマホでイノベーションを感じた体験でした。

何ができるかについてはすでにいろいろなところで紹介されていますが、要は今使っているアプリや見ているブラウザ画面の内容から、利用者が次に何を探すのか、どんな行動をとるのかを予測し、それに合わせた機能を提示してくれるというものです。

たとえば、食べログで「ラーメン二郎神田神保町店」にアクセスしてNow on Tapしてみると、検索や地図、ストリートビューといった選択肢が出てきますね。ブラウザでもアプリでも同じのが出ます。食べログでお店をみつけたら次は行き方を調べるというのは自然な流れですしこれは確かに便利です。

ただ、よく考えてみるとここでNow on Tap経由でGoogle Mapアプリを使うのは食べログからすると望んでいない利用方法である可能性があります。PVに影響したり、食べログ内の地図から使う機能を使ってもらえなくなるかもしれないからです。

では次はクックパッドを使ってみます。私の好きな「うまうま中華風焼きうどん」を開いて、Now on Tapすると・・今度は「料理名で検索」しか出てきません。この時点で検索して来ているので余計なお世話って感じです。

クックパッドでレシピを見た後の行動として考えられるのは材料を買いに行ったり、実際に作り始めるというリアルな行動が多いです。レシピに必要な食材が買えるサイトを提示する、というのもなくはないですが、ちょっと無理がある気がします。Googleもここまではついてこれないかというか。(作り方の動画とかならおおいにアリだと思います)

この2つのケースから決めつけるのは尚早だとは思いますが、ふと感じたのは「サイト上で提供しているサービスや機能の一部を持っていかれてしまうんじゃないか」ということ。確かにユーザーの利便性を考えるとそのほうがいいケースもありますし、これを機に本当に役立つコンテンツを提供しようというきっかけになるかもしれません。長期的に見ればいいことなんだとは思います。

今後もネット上で調べられることはどんどんNow on Tapがショートカットしてつなげていくという流れは加速しそうです。特にクリックで他サイトに送客しているサービスは大きな影響を受けるかもしれません。であればサービスを提供する側もそういう利用を前提として、変な流れになってしまってないか、そこで容易に代替されない価値のあるサービスを提供できているかなどを意識する必要が出てくるのではないでしょうか。

今や(とっくに)SEOが無視できない存在になったように、今後はサービスを作ったら、Now on Tapをしまくり、意図した遷移になっているか、サイト内の機能とカニバっていないかという作業が冗談ではなく必要になってくるかもしれないと思いました。いわばNTO(Now on Tap Optimization)というわけです。

Googleはこれまで検索ワードを中心にユーザーのインテントを把握してきました。それが2次元だとすると、今回のNow on Tapは3次元になっちゃったくらいのインパクトを感じます(現状はまだ2次元的ですが)。Androidを提供している立場を利用して検索ワードだけではできなかった意図をつかみ始めているようなイメージです。しかも始まったばかりで今後はもっと精度が高くなるという話ですし。

ここ数年のGoogleはSNS領域ではパッとしませんでしたが、さらに上のレイヤーで逆襲してきている気がして、あらためてGoogle恐るべしと思った次第です・・・