久しぶりに、感動する小説を見つけました。吉村昭著の「虹の翼」です。もともと吉村昭の本は好きだったのですが、この小説は名作中の名作といってもいいのではないかと思いました。主人公は二宮忠八という裕福な商家に生まれました。

 

江戸時代が終わり、世の中が大きく動き始めていた時代です。物語は彼の実家である商家が、兄の不手際により没落してしまうことから始まります。

 

忠八は子供ながらにして働かざるを得ない環境に置かれてしまうわけです。始めは子守りの仕事をするのですが、その仕事の将来性に疑問を感じ、職を転々とします。そのうちに凧に興味を持ち、自作するようになりました。

 

その凧のアイデアが奇抜でしかもよく飛んだため、周辺の人は忠八が新しい凧を作るたびに見物に行き、その凧を買い求めるのでした。

 

忠八はいくつも同じ凧を作り、それを販売することで収入を得ることができるのでした。彼は凧揚げを行うなかで、空に浮かぶものに対する興味が次第に強くなっていくのです。長じた彼は、軍隊に入りました。当時、まずしい家庭出身の男子は、現金を得るために軍隊で入るものも多数いたとのことです。

 

忠八もそんな中の一人でした。彼は軍の演習の帰りに「籾の木峠」というところで休憩を取っていたとき、飛翔するカラスを眺めていました。そこで今後の彼の人生を決定づける発見をするのです。「鳥が飛ぶとき、常に羽ばたいているわけではない。翼を広げるだけで滑空しているときもある。」この発見で忠八ははばたく機構がなくてもそらを飛ぶ機械を作れるのではないかという発見をしました。

 

私はプーアール茶と一緒に本をしている時が一番最高の瞬間です。 そして、軍隊での仕事の合間に飛行理論の研究と模型飛行機の設計・製作に取り掛かるのです。

 

興味のある方は是非読んでみてください。この本を読んで主人公に感情移入すると、そこらへにある恋愛小説などが取るに足りないものに思えてしまいます。 どうぞ参考にしてください。

参考記事 プーアール茶.jp