声優ラジオが生み出した天才パーソナリティ三人について
上坂すみれの新ラジオ番組が四月から始まるとアナウンスされましたね。それも二本!
かねてから上坂すみれは文化系芸能人枠(この呼称が正しいかどうかはわかりかねますが、山田五郎氏やいとうせいこう氏のようなコメンテーター的ポジション)に移るだろうと思っていたので『上坂すみれの 文化部は夜歩く』(『ジェーン・スー相談は踊る』みたいなタイトルですね……)の開始は街中で快哉を叫んでしまうくらい喜ばしいものでした……いや本当、ようやく動き出したかと嬉しくて仕方ないんですよ……!
僕の理想の死に際は、どうにも首が回らなくなって自殺するほかなくなり練炭自殺をする。薄れゆく意識の中で、つけっぱなしにしていたテレビに高齢になってもなお活躍し続けるすみれさんが登場するのを見てゆっくりと頷き息をひきとる、というものです。
— フォレスト眼福 (@0ta9w) 2015年12月9日
上坂すみれに演技鍛えないと今後仕事が云々言う奴はバカ。上坂すみれは三十路半ばで文化人枠コメンテーターに転身する。
— フォレスト眼福 (@0ta9w) 2016年3月18日
閑話休題。そんなわけで『声優ラジオの面白い回』という記事を半分くらい書いて下書き入れて一月近く放置してたんですけど、それとは別に現在声優としてだけでなくラジオの現場でも第一線で活躍しており、文化放送(声優・アニラジは文化放送の寡占状態)の未来を担うであろうラジオパーソナリティについて書いていきたいと思います。
彼女は現在もA&G(文化放送が運営するアニメコンテンツ中心のインターネットラジオ)だけではなく文化放送『リッスン?2-3』などでも活躍しており、現在既に文化放送で一つのポジションを掴んでいる声優の一人です。
昨年惜しまれつつもその五年の歴史に幕を下ろした『Lady Go!!』という曜日替わりの「次世代の声優界を引っ張っていく各事務所を代表する若手女性声優」がパーソナリティを担当する生放送ラジオ番組出身で、そこで培った技量を余すことなく披露している。Lady Go!!出世頭の一人です。
彼女の魅力はほのかに漂うFM感。テンポのいい喋りと初対面の相手も解きほぐしてしまい、汚れ役も率先してこなすような屈託のない人柄で非アニメファンのリスナーも掴んでいます。
元アイドルで歌手志望、ヒラタオフィス所属という経歴からか性格としても声優よりラジオパーソナリティに近いような印象を受け、声優特有のノリの痛さみたいなものを一切感じさせません。
今後、ラジオでは朝番組と深夜番組で活躍の場を広げていくであろう有望パーソナリティの一人です。
この人を語らずして今の声優ラジオは語れない。実力派声優でありラジオパーソナリティとしても「天才」と評してなんら過言でない洲崎綾さんです。
彼女の出世作はなんといっても『洲崎西』。洲崎西はリスナーに星野源などの芸能・業界人も多数抱えるラジオで、声優ラジオでは考えられない面白さで人気を博しています。そのラジオの特徴は番組パーソナリティである超ハイテンション声優・西明日香とハイテンション声優・洲崎綾のノーガードの殴り合い。下ネタ、スタッフ・リスナーディスは当たり前。先々週の第141回放送では洲崎さんが全身脱毛しており、デリケートゾーンの脱毛されてる最中に「暗殺教室のカエデちゃんですか?」と聞かれたというエピソードを披露しており「仮にも人気声優だろ……そんなんアリかよ……」とこっちがストップをかけたくなるフリーダムさ。
そんな彼女は人付き合いの天才。舐められるのが上手く、人気声優にも関わらず後輩にもタメ口きかれてしまうような空気感。そしてバランス感覚が異常に優れており、触れられないラインのギリギリを攻め、相手の緊張をいつの間にか解き、番組を盛り上げます。
また、東京学芸大学出身で元OLと学歴や一般常識もしっかりしており、相手の長所を引き出すのも上手くラジオMCに必要な資質を全て兼ね備えていると言っていいと思います。マツコデラックスのファンらしいですが、いずれそのポジションに就く……かも。
昼のラジオパーソナリティやTOKYO MXの『五時に夢中!』のような番組での活躍を期待してしまう程の超有望パーソナリティの一人です。
本丸の登場。「声優界一の飛び道具」(僕が勝手に考えました)上坂すみれです。
彼女もLady Go!!チルドレンであり、その恩恵を最も受けた声優です。上記の動画を見てもわかるようにデビュー当初の彼女は古典的オタクっぽいヤバいタイプのコミュ障でした。
上智大学出身で学業優秀賞を授与されたり、筋金入りのサブカル少女だったりしたので話題・知識は豊富でしたが強すぎる力を使いこなせない連載初期のジャンプ主人公みたいな感じで「この娘、こんな社会性で生き残れるのか……?」と思ったのが正直なところです。
それが四年間、生放送番組(『Lady Go!!』や『夜中メイクが気になったから』)を受け持つことで徐々に矯正され、今の声優界一の飛び道具としてのポジションを確立するに至りました。
そんな彼女の魅力は知識量と爆発力です。ロシア、三国志、音楽、プロレス、昭和アニメ、昭和漫画、昭和映画……と数え上げたらキリがないほど多趣味でその知識量も半端ではなく、あまりの博識ぶりに年齢詐称を疑われることもしばしば。その知識量と独特な感性から生み出されるボケは0か100といった感じでスベることもありますが、ハマった時の爆発力は声優随一です。
また、上智出身とあってサブカル知識だけが売りではなく、新聞に論評を寄稿したり荻上チキと対等に渡り合ったりと一般知識や思考力でも優れている一面も。
上記の二人と異なり、彼女に期待されるのはMCとしての力ではなく、「ここぞの一発」やコメンテーターなどの文化人枠でしょうか。FMやニッポン放送、TBSラジオとは違う、正に『文化放送』といった個性ですので夜番組パーソナリティとして文化放送の宇多丸になれる……かも。
昨年終了した『乙女*ムジカ』や、新番組『上坂すみれの文化部は夜歩く』などでコネクションも作れ、既に文化人としてある程度完成してるので一般の番組で活躍する姿を見るのはそう遠くないでしょう。
***
この三人はノリの若さみたいなものがなく、頭の回転も速いので恐らくアニメ・声優ラジオに限らず広く活躍出来るかと思いますが、いかがでしたでしょうか。この記事を機にラジオを聞く方が少しでも増えてくれたら幸いです。
『上坂すみれの♡をつければかわいかろう』は4月2日土曜日、『上坂すみれの文化部は夜歩く』は4月7日木曜日スタートなのでお聞き逃しなく!
無料で読めるWEB漫画トップ20
出版不況が続いて久しい今日この頃。それは漫画業界もご多分に漏れず。漫画雑誌もめっきり売れなくなりWEB漫画の時代が到来しています。
判で押したように皆同じ作風、それも毒にも薬にもならないような内容の作品が溢れていたのも過去のことです。今ではどれも質が高く漫画雑誌より豪華な連載陣を抱えているサイトも少なくありません。
ですが、無料で読めるのにイマイチ漫画ファン以外に広がりを見せていない印象のWEB漫画。浅学菲才の身なれど、何らかの形で貢献したいと考え、知名度の上昇を目的にオススメWEB漫画のランキングを作成しました。興味を持って頂けたら幸いです。また、敬語・敬称は割愛させていただいています。
■20位~11位
超名作少女マンガ『フルーツバスケット』待望の続編。白泉社運営の『花LaLa online』連載。
前作で結ばれたキャラクターの子供やサブキャラクターが大人として登場したりと、何かと前作の繋がりが見られる。しかし恐らく既存のファンではなく新規層、現在の小中学生、に向けて描かれているので現在までのストーリー展開も前作と似通っている。今後の展開に期待。
・19位 野武士のグルメ / 原作:久住昌之・作画:土山しげる
『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の久住昌之原作で『極道めし』の土山しげるが作画を担当。定年退職を迎えた自称野武士の主人公・香住武が、昼間から日本酒とおでんで一杯引っかけたり、麦とろ飯を食べたり、トースト定食を食べたりする作品。
老人が飯を食うなんでもない漫画なのに何故か面白い。読後は少し背伸びをして和食を食いに街に出たくなります。
・18位 働かないふたり / 吉田覚
新潮社が運営する『くらげバンチ』連載。同サイトではこの他『山と食欲と私』も面白い。
吉田覚はこれが初連載。 ニート兄妹の日常を描いた作品。WEB漫画の典型「下らなくて読後何も残らないけどゆるくて面白い」の純度を極限まで高めたらこれになる。単行本化してるにも関わらず40話以上公開されており良心的。
『ライチ☆光クラブ』で有名な古屋兎丸がスーパーバイザーを務める『ぽこぽこ』連載。『ぽこぽこ』はサブカル系に強い太田出版が運営しているサイトだけあり他に押切蓮介や山本直樹、駕籠真太郎、志村貴子などサブカル界で著名な作家を抱え、今や国内一二を争う面白さのWEB漫画サイト。
『変ゼミ』や『宇宙賃貸サルガッ荘』のTAGROの、地球が生まれた時から生きている「生き神様」が生活する海辺の田舎町が舞台の日常モノ。
いい意味で驚いた。「変わった設定で色々詰め込んでるのにつまらない」という印象があったTAGROが「ありきたりな設定で面白く」仕上げている。TAGROに抵抗がある人も試みに読んでみると驚くかもしれない。
・16位 お前ら全員めんどくさい! / TOBI
『COMICメテオ』連載作品。こちらのサイトは男性向け作品が連載されており、この作品も高校教師ハーレムものと男性向け。
ありがちな設定であるもののとにかく登場キャラクターが可愛く、冗長になりがちなハーレムものらしからぬ話のテンポ感。多分あと一年前後でアニメ化されると思うので多く語るのは止めておきます。
・15位 亭主元気でマゾがいい! / 六反りょう
以前、第37回MANGA OPENで東村賞・編集部賞のダブル受賞を果たしネットでも大きく話題になった『僕の変な彼女』の作者の作品
……の陰でひっそり大賞に輝いた『幽霊社員』の作者六反りょうの作品。大賞に輝いたにも関わらず一切話題にならない悲哀を描いた『かませ犬狂想曲』で一躍話題をさらい今や連載も二作抱える漫画家へ。
かませ犬狂想録/六反りょう - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ
講談社が運営する『モアイ』連載作品。
元SMバーのS嬢である自分とその常連であるM男との結婚生活を描いたエッセイ漫画であけっぴろげな作風は『かませ犬狂想曲』から引き継がれており、結婚式で一悶着あったり姑にS嬢バレしたりとエッセイ漫画か疑わしいほどのネタ量。前述の賞レースで東村賞の受賞はならなかったものの、現役漫画家で東村アキコのDNAを最も色濃く継いでいるのは六反りょうで間違いない。
・14位 トモちゃんは女の子! / 柳田史太
『第二回次にくるマンガ大賞』WEB漫画部門第一位作品。毎日更新の四コマWEB漫画サイト『ツイ4』連載作品。柳田史太は今作が初連載。
「ボーイッシュな女子高生・トモちゃんは、幼なじみの久保田淳一郎に想いを寄せるが、どうしても「女」であることが伝わらない……。好きな男(ひと)に「女の子」として見られたい!」というあらすじなのですが登場する女の子がとにかくカワイイ。
ジュンの家に泊まりに行くことになったのに友達モードで素直にノっちゃうトモちゃんカワイイ
体重聞かれてキレる女の子な一面持ってるトモちゃんカワイイ
クール腹黒親友枠のみすずちゃん
クール設定なのに交際とはどういうものか気になってジュンと極短期間付き合ってたという年相応な行動もカワイイ
友人のシャルルと仲良くしている理由をその母に問われたみすずちゃん。隙あらば人の上に立とうとするカワイイ
とにかくキャラが超カワイイ。『ツイ4』の公式アカウントで毎日最新話をアップしてくれて一々サイトにアクセスせずとも読めるのもありがたい。ちなみにみすずちゃんは僕のアイコンに使用しています。みすずちゃん超クールカワイイ。
・13位 飛行文学 / しゃんおずん
さいとうプロがスピンオフ的に創業したリイド社が運営する『トーチweb』連載。今、WEB漫画界で最もアツいのはこのサイトを置いて他にない。2014年サイト開設と出遅れた感こそあったが、その作品の圧倒的な質によって他を圧倒した。
高浜寛などの大御所漫画家だけでなく新人にイラストレーターやアニメーション作家として活躍している人物も連載しており純粋にその作品の質のみに依って連載が決まっているのは容易に想像がつく。開設当初から赤字を計上し続けているが、それはリイド社の商才のなさと漫画フリークの文化レベルの低下が原因だろう。サブカルや文化人を自称するならばここをチェックしてなければにわか呼ばわりは避けられないだろう。
閑話休題。これはしゃんおずんのデビュー作だが信じられないクオリティだ。どこか懐かしくポップな絵柄と穏やかな雰囲気、小気味良いコミカルな展開。手塚などが活躍した黎明期の漫画を読んでいるような錯覚に陥ることさえある。二話までしか公開されてないので語れる部分は少ないが黎明期の漫画が好きならばまず外れないだろう。
・12位 同居人はひざ、ときどき、頭の上 / みなつき・二ツ家あす
前述の『COMICメテオ』の兄妹サイトである『COMICポラリス』連載。こちらは女性向けでメテオに比べると対象年齢も少し高め。
売れっ子作家と猫が共に生活する様子を両者の目線から描くザッピングストーリー。女子高校生が好きそうな感じ……でも悔しいけど面白い。少女マンガの文脈で描かれており、ジャンル分けするならコメディよりラブコメの方が正確。テンポも良くコマ割りも上手い。絵だって勿論。……でも何故か悔しくなるのは周囲の目線を気にしすぎているからだろうか…。
・11位 太郎は水になりたかった / 大橋裕之
『トーチweb』連載。『エアーズロック』や『遠浅の部屋』で有名な大橋裕之の最新作。
初めてこの絵を見る人は驚くだろうが読み進めるうちにストーリーテリング上、過不足ない計算された絵であることを理解するだろう。
スクールカーストの底辺を生きる中学生二人組、ドクロみたいな顔した太郎と、アサリの中身みたいな頭をしたヤスシの物語。起伏のない生活、スクールカースト下位特有の葛藤や拗らせ、イカ臭い青春を謳歌する姿や一歩先に行く友人に対する嫉妬。相変わらず青臭いノスタルジーを感じさせる表現が上手すぎる。大人なら当時の気持ちを思い出して物悲しくなること請け合い。
■10位~4位
・10位 道割草物語 / 武川慎
武川慎先生が『COMICメテオ』で連載していた作品。一月終盤に完結したのですが、あまりに素晴らしいので掲載させていただきます。
ウイルスによって人類が絶滅して20年後の世界に生きる吸血鬼達を武川先生の超絶画力で描いた作品なのですが、男が一切居ないおかげで画面に美しさしか存在しない……美しさだけが湯水のように溢れ出してくる……しかも「吸血を行われた対象が吸血鬼として生まれ変わる『宿し直し』という行為によって主従・カップリングが成立する」というどこかに某聖人がみてる系少女小説リスペクトも感じられる……まあ百聞は一見に如かず。第一話終盤のこの画像を見て下さい。
尊い……「尊い」という言葉が嫌いな僕も思わず「尊い……」とつぶやき涙を流しました。一話からこれですよ……武川先生飛ばしすぎでしょう……ディストピアものかと思わせてユートピア……ありがとう……武川先生ありがとう……。
もう完結してネットでは四話までしか閲覧出来ませんが、上下巻の二冊しか出てませんので二食ランチ我慢すれば買えます。腹は減っても心は満たされますので是非。ちなみに二話はこの四人で乱交するお話です。
・9位 オデットODETTE / 目当 貼
『同居人は…』と同様『COMICポラリス』連載。『このマンガがすごい!2016』第六位。
何でもそつなくこなす人の体に猫の顔した彼氏と、ドジだけど底抜けに明るい彼女とのラブコメ。20代女性を中心に流行中。二人の掛け合いや関係性、思いやりあう様子が愛おしい。関係性萌えみたいな作品は若年層向けでクドい描写が多いが、これはさっぱりしていて絵柄も落ち着いた男でも楽しめる作品に仕上がっている。多恵ちゃんおばあちゃんっぽいかわいい。
・8位 トキワブルーに憧れて / 牧鉄兵
『トーチweb』連載。映像作家、兼漫画家として活躍する牧鉄兵版『まんが道』であり『トキワ荘物語』。クリエイターの熱情や苦労を描いた作品。
絵柄も話運びもトキワ荘のメンバーの影響が見られる。
7話までしか公開されておらず、ここまでが序章。次の更新からが本編といった感じで多く語れる部分はないですが、大物漫画家が講師として多数在籍する京都精華大学で教鞭をとっているだけありドラマツルギーの質はこのランキング内でも一、二を争う。努力の描写も飽きさせないようコミカルな絵柄で大量に挟まれているので、今後主人公が夢を叶えていく中で得られるカタルシスもひとしおだろう。この絵を見てノスタルジーを感じるなら読んで損はない。
・7位 カシワイ作品集 / カシワイ
『トーチweb』連載の短編集。現在新作執筆のため休載中。
台詞が極力排除されており絵の力のみでストーリーを展開する。「コミティアっぽい」は主に中傷する際に使用される言葉だが、いい意味でコミティア出身らしい作風。
なんでもない日常のありがたみをゆったりと、それでいて力強く教えてくれる作品。
・6位 Stand by me 描クえもん / 佐藤秀峰
お馴染み『トーチweb』連載。『ブラックジャックによろしく』や『海猿』で有名な佐藤秀峰の新作。
漫画家志望の青年・漫画描男の下に「俺はお前だ。お前が人生に失敗しないように未来からやって来た」とのたまう自称・未来の自分の老人が現れ……というお話。
更新ペースは遅いものの、その圧倒的な面白さ・画力は健在で、まだ四話までしか公開されていないのでこの順位に落ち着いたものの話が見えてくればより一層の飛躍もあり得る。無料でこのクオリティの作品が読める現代に感謝。
相変わらずアツくて最高……!
『ぽこぽこ』連載。言わずと知れた百合漫画の大家、志村貴子の新作。
元宝塚トップスター『淡島千景』の名前をもじったタイトル通り、淡島歌劇学校に通う少女達を中心に描かれる群像劇。主役は毎話交代。志村先生らしい淡々とした描き口だが、感情表現が絶品で漫画的な描写も生々しく感じられる。『青い花』の上田良子が登場するファンサービス回もあるのがいやらしい。
・4位 サザンと彗星の少女 / 赤瀬由里子
『トーチweb』連載。 宇宙との交流が当たり前になった未来の地球が舞台。地球人の青年は「破滅を呼ぶ生命体」と呼ばれる宇宙随一の戦闘力を持つ彗星人の少女に出会い旅に出る……というスペースオペラ。
全ての漫画家はこの作者の年齢を聞いたら驚嘆とともに無力感を感じ、筆を折りたくなるだろう。なんと平成生まれの25歳。全編フルカラーで絵柄や話運びも巧み。70~80年代に第一線で活躍した漫画家のよう。作風や絵柄は週刊誌向きでこそないものの次代を担う漫画家であることは間違いない。今のうちに注目して数年後に節穴どもにドヤ顔してデビュー作から目を付けてたと語ってやろう。
■3位~1位
・3位 Fantasic World / ひらのりょう
『 第18回文化庁メディア芸術祭』マンガ部門 審査委員会推薦作品。上坂すみれ『来たれ!暁の同志』MV制作や七尾旅人のアルバムジャケットを手掛けたりと期待の若手アニメーション作家ひらのりょうが描くファンタジー。
地球空洞説が採用されており、『幽☆遊☆白書』の魔界のような地球内部(シャンドラ)の世界が舞台。界境トンネルが原因で様々な災厄が起こるあたりも同様。シャンドラと人間界はかつて友好関係にあったが、他者と交わるものの常として戦争が起こりシャンドラは荒廃。主人公はシャンドラに取り残された人間の息子で、シャンドラの実質的な王の半身であり歯を模した風貌の『歯ちゃん』と共に旅をする。
ポップでキャッチーなキャラデザ、一見するとヘタウマに思われがちな独特な絵柄だが美大出身だけあってパースなどは一切狂っておらず、これが絶妙なリアルさを演出している。今最も完璧なファンタジー世界が描かれているのはこの作品を置いて他にない。
・2位 なんてことないふつうの夜に / 嶽まいこ
安野モヨコ、岡崎京子、内田春菊、おかざき真理、ヤマシタトモコなどの銀河系軍団と言っても過言ではない超豪華漫画家たちを抱え、成人女性向けコミックでは一人勝ち状態の『 FEEL YOUNG』、通向けな特集が多いBL誌『on blue』などを刊行する祥伝社が満を持して昨年末に開設した『FEEL FREE』連載。イラストレーター嶽まいこの短編集的な作品。
叙情的で胸がじんわり温かくなるような短編が多い。流石イラストレーターという温かみのある絵柄がどこか不思議だけど、もしかしたらこんなことあるかもしれない、という妙なリアルさを生んでいる。どんなシリアスな作品も最後のコマは必ずコミカルに終わるのも読んでいて気持ちがいい。
『追憶のネットサーフィン』と『手のひらに地上の星』は特にお気に入り。
・1位 プリンセスメゾン / 池辺葵
『このマンガがすごい!2016』オンナ編10位選出作品。小学館が運営する“ゆるい漫画”がテーマの『やわらかスピリッツ』連載作品。映画化もされた『縫い裁つ人』で有名な池辺葵の新作。
年収250万、25歳の主人公・沼越さんの夢はマイハウス。趣味は住宅見学会巡り。登場人物は全員どこか「欠けた」人間ながらも「家」を通した温かい人間ドラマが見えてくる作品で寂寥感溢れる池辺先生の筆致がそれを引き立てる。
沼越さんが一歩一歩今を生きる姿には「励まされる」「胸を掴まれる」などといった押しつけがましい表現ではなく、胸を優しく包まれるような、目の前が不思議な明るさを帯びるような、そんな気持ちにさせられる。
沼越さんがきらびやかな住宅見学会から自宅である古いアパートに帰宅し通帳を見て微笑むシーン。池辺先生は光の使い方が絶妙でこの場面では差し込む明るい日差しで気分を表現。第一話、感情移入も難しいたった21ページという制限の中でこれだけ感動させられるのは日本でも片手で数えられるほどしか居ないだろう。
WEB漫画ではずば抜けてトップ。紙媒体も含め現行連載作品の中で今一番次の話を楽しみにしている作品です。
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『キン肉マン』、『特集 高浜寛』、『金魚王国の崩壊』といった既アニメ化作品やアニメ化決定作品、認知度の高い作品、スピンオフ、連載という形式か意見が分かれる作品は除いてランキングを作りましたが、いかがでしたでしょうか。
レベルが上がってきたとはいえ、誰にでも門戸が開かれているのがWEB漫画のいいところ。正統派もアバンギャルドもなんでもあります。興味を持ったら是非WEB漫画の海に飛び込んでみてください。きっとあなた好みの作品が見つかりますよ。
今、最もスタイリッシュなアイドルWINNERを知っているか?
WINNERというアイドルをご存じですか?
グループの成り立ちとか、メンバーのプロフィールとか、デビューアルバムが私的年間ベストアルバムだったとか、最近2ndアルバムが出てそれもまたいい出来なんだとか、最近髪色を金に染めたナムテがこれまた似合ってないんだとか、そんなことはどうでもいいんです。興味を持ったら他の方の記事やらまとめやらを見ればいいんです(一応、以下にグループの軽い紹介も載せておく)。
何故このグループを紹介しようと思ったか。それは彼らが今世界で最もスタイリッシュなアイドルだからである。
***
韓国は最大手音楽事務所YG ENTERTAINMENT(以下YG)所属のボーカル3人、ラッパー2人で構成された平均年齢22歳のアイドルグループ。ヒップホップスタイルが売りのYGの中で異色な、アイドルとしては上品で落ち着いた音楽が特徴。
YGはBIGBANGやPSY、2NE1などが所属する韓国でも最大手の音楽事務所でその特徴は徹底した完璧主義に基づいた少数精鋭&自給自足。最大手にも関わらず現役活動アーティスト(アイドルは一グループにつき一人の計算)は10名とごく少数。練習生期間も他の会社の倍近く。楽曲は一切外注せず事務所所属プロデューサーとそのアーティストとで制作、社長が納得するまで何百回でも直しを食らい予定リリース日から一月二月遅れることは当たり前。一年以上遅れることもしばしばという狂気染みた完璧主義により他の事務所と一線を画した存在なのだ。
そしてもう一つ特筆すべきはデビュー前から世間の目に晒すこと。BIGBANGは練習生時代は六人のグループで、デビューに際してテレビでグループへの生き残りを賭けてサバイバル番組を放送。結果的に現BEASTのヒョンスンが脱落し五人組のグループとなりデビュー。全国から選び抜かれた精鋭が完璧主義のYGで練習生をこなした上に、サバイバル番組のおかげでデビュー直後から人気は爆発。あれよあれよという間にスターダムを駆け上がり現在の人気と活躍は周知のとおり。
2013年「Who Is Next」通称「WIN」という番組が放送された。BIGBANGデビュー以降七年ぶりの男性アイドルグループデビューを賭けて平均年齢20歳と練習生としては高齢で後がないAチームと平均年齢17歳で前途洋洋なBチームが戦い、視聴者投票と所属アーティストとの投票によってデビューが決まるという内容でお察しの通りWINNERはこの番組で勝利したチームで結成されたアイドルである。
[WIN : WHO IS NEXT ] episode 1_ YG의 월말평가!
(公式の動画はパソコンからの視聴であれば字幕付きで見放題なのでよろしかったらどうぞ)
デビュー曲は各音楽番組で一位を獲得、2014年の新人音楽賞を総なめにした。一般的なアイドル・アーティストの音楽番組での一位獲得までのスピードがデビュー後、三枚目のアルバムを出すあたりだと説明すればこの凄さがわかってもらえるだろう。
***
百聞は一見にしかず。2014年のこのデビューステージを見て頂きたい。
そう、彼らはとにかく、抜群にオシャレなのだ。顔は一名を除いて一般的なイケメンとは程遠いのにも関わらず、である。まるでファッションショーから抜け出してきたような服装。ステージ構成とイントロの短いウォーキングは意図的に仕掛けられたものであろう。
同じくデビュー直後。
彼らの衣装はスタイリングのお手本となるものばかりである。
脱オタファッションのススメ - 赤点以上、及第点未満 ←で触れた清潔感、サイズ感、姿勢、髪型、3~4色での着こなしなどが守られていることに気が付くだろうか?
それに加え、欠点を隠しつつ、雰囲気や顔の特徴に合った彼らが何倍も魅力的に見えるようなスタイリングを施している。流行を抑えつつもテーマを決め、品を失わず何年後であっても違和感を感じないお手本のようなスタイリングである。
飛んで2016年、最近のステージ。
雰囲気が変わったように思えるだろうが、これは今の流行を反映させた結果だ。ここ何年かのストリートとモードの融合の流行から、よりストリートに寄せたものが流行っているためであろう。クラッシュデニムにロングスリーブのスウェットはその象徴的なアイテムで街を歩いていてもそこら中で見かけるはずだ。
これは一昨年あたりから流行している(ほぼ)同色コーディネート。コントラスト程度にしかアイテムの色を変えずとも素材を変えたりサイジングを工夫すれば映えるという好例。
文才がない上に文章も少なくて申し訳ないが、前回の記事で触れたポイントの実感を得られただろうか?イケメンでなくともスタイリングによってここまで魅力的に、少なくともオシャレには見えるということが少しでもわかって頂けただろうか?もしそうであれば光栄だ。
***
最後にWINNERに興味を持ってくれた人のためにメンバーのミノくんが「Show Me The Money」という韓国一のラッパーを決める番組の準決勝で披露した歌を貼っておきたい。アンダーグラウンドでラッパーとして活躍した後、Block-Bというグループの練習生になったものの脱落。そして別グループとしてデビューしたものの、鳴かず飛ばずで解散。その後YGの練習生となり現在に至る苦労人である彼の半生を語った曲でファンは涙なしでは見れない曲だ。
脱オタファッションのススメ
脱オタファッション本が叩かれてたのと親しいフォロワーがめでたく大学合格したとのことでファッション初心者から中級者へ移行したいと考えてる人に向けて、脱オタファッションに挑むにあたって覚えておくといいかなってことを書いておこうと筆を執りました。
他のブログだと定番アイテムだけ勧めたり急にバカ高いハイブランドのもの勧めたりとその場限りのアドバイスが目立つので意識しておくことをメインに、定番、NGアイテムも書いておきました。追記してほしいことなどありましたらリプライ、コメント下さい。
[目次]
ポイント
・清潔感
・サイズ感
・姿勢の良さ、整えられた髪型
アイテム
・避けるべき地雷アイテム
・持っておくべき定番アイテム
実践
・定番ショップごとの傾向
・着こなし
・意識
脱オタファッションでありがちなのは“値の張るものを買えばオッケー”という勘違い。本当に大事なのは
清潔感、サイズ感、姿勢の良さ、整えられた髪形
これさえしっかり抑えられていればユニクロのようなファストファッションブランドだけでも十分オシャレに見えます。逆にこれが出来ておらずネットで総叩きの憂き目に遭ったのが“ギャルソン氏”です。髪型やサイズ感がおかしいだけであんな風になる。そしてそこを変えるだけであんなにオシャレになる。最近のギャルソン氏見てない人居たら見てきて下さい。普通にカッコよくてビビりますよ。
【ポイント】
・清潔感
オシャレ云々抜きにした人としての基本。これさえクリアすれば不快感を与えることはなくなります。不細工が美人を連れてるのは見ても小汚い奴が美人を連れてるのは見ないでしょ。見たことあるとしたらそれは九割デリヘルの同伴です。
髪は一月、もしくは二月に一回くらい切ってちゃんとセットする。セットしたくないならその旨を美容師に伝えてそういった仕様の髪型にしてもらう。顔が汚かったら化粧水やクリームを使う。毛の処理を怠らない。衣類がほつれたり破れてたら捨てる。
ちなみにクリームはNIVEAの青缶。お母さんが手に塗りたくってるアレ。もっと高そうなカッコいい名前の物がいいって人も居ると思いますけど中〜低価格帯ならこれが一番効きます。調べたらこんなのもあったので試してみてもいいかも。
最強の組み合わせ!ニベア×ハトムギ化粧水の効果がすごい - Locari(ロカリ)
髪がボロボロの人はfinoのこれがオススメです。色々高いのも試したけど普通に薬局で見つけたこれが一番効いた…って自信満々に勧めようとしたらamazonベストセラー入ってました。マジでおすすめ。
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・サイズ感
これでオシャレか否か八割方決まります。普通の服着てるのに何故かオシャレに見える人と一般人を分けてるのはここの差です。
肩のラインをちゃんと肩口に合わせる。袖丈を手首に合わせる。ズボンの丈を靴にかからないようにする。基本ですけど「安いしまあいっか」「試着は面倒」で出来てない人が大多数。成長期の頃身につけた少し大き目を買うという文化は捨てて下さい。海外のブランドのものだったら仕立て直してもらうことを勧めます。購入したショップが対応してなかったら駅ビルなんかに仕立て直し専門店が入ってます。
(VETEMENTSがトレンドセッターとなり今はロングスリーブ(異様に長い袖)、ビッグシルエットが流行してますが、そういうのに手を出すのは当分先です)
・姿勢の良さ、整えられた髪型
忘れられがちだけど重要。立ち姿まで含めた全身を見て印象は決まります。モテに直結するのはファッションセンスよりむしろこっち。
整えられた髪型に関連したものとして顔に自信のない人は顔周りにアイテムを集中させると随分良く見えます。雰囲気イケメンに帽子被ったり眼鏡をかけてヒゲ生やしてる人が多いのはこのテクニックに則ってるから(例:おぎやはぎ、リリーフランキー、マキタスポーツなど)
【アイテム】
《避けるべき地雷アイテム》
・古着(経験を積んでないとブランド名に騙されてサイズの合ってないもの、清潔感のないものを選びがち)
・チェックシャツ(流行してるけどこれも経験値の差が出やすい。赤チェックはイケメン専用アイテム)
・VネックのTシャツ(オタク人気No.1アイテム。ダサいものが多い。基本的に手を出さない方が無難)
・デッキシューズ(難易度が高い。その割に使われて失敗してることが多い)
・ニューバランス(デザイン自体は問題ないけどあまりに広まりすぎた。似たデザインの別ブランドなら可)
・Pコート(脱オタファッションの定番なので避けた方がアンパイ。初心者が着ると無難になりすぎる)
・セレクトショップの自社ブランドアイテム(最近は質が向上してるとはいえこれを買うならもう少し出していいものを買った方が無難)
・色や柄が多用されているアイテム(同様に経験値の問題)
・ロゴが前面に押し出されたアイテム(論外)
・リュック(楽でカッコいいものが多いけどリュックより手提げタイプの鞄を持ってた方が対応出来る服装、場面が多い。オタクが身につけると何故か差が出やすいアイテム。服装に合っているか注意が必要)
・ハイテクスニーカー(カッコいいけどこれも経験の差が出るし使える服装が限られる。一年前後は手を出さない方が無難)
《持っておくべき定番アイテム》
・白シャツ
・ロンドンストライプのシャツ
・ポロシャツ
・ボーダーT
・ニット(白or黒)
・ジーンズ(濃い色のもの&褪せた色のもの二本あると良)
・ネイビーorブラックのスラックス
・オールホワイトのスニーカー(例:スタンスミス)
・普段使い用の革靴(ウイングチップが無難)
・ステンカラ―コート
・ジャケット
・チェスターコート
・時計(黒の革ベルトのものが〇。DanielWellingtonが流行中)
・白のトートバッグ
14個にも上りましたがこれらは定番で場面場所選ばず、趣味が変わっても使える。ファッションスターターセットです。
【実践】
・定番ショップごとの傾向
ユニクロ、無印、GU……近年質も高くなりサイズ感にさえ気を付ければ安く定番アイテムを揃えられる。ただしここのものだけを揃えるとポイントになるようなアイテムがなく地味になりがち。ただしGUはアイテムごとの質の差が激しい。
H&M、ZARA……デザインは流行を取り入れるが生地や縫製といった質に問題アリ。使いすぎには注意。
アバクロ、ホリスター……大学生御用達ブランド。日本進出前は安い割に優れたデザインが魅力だったが、日本進出後値上げを決行(日本だけ?)。現在の値段ならラコステを買ったほうが良。アメリカ人用のサイズの為、買う場合は試着必須。
TomorrowLand……20代後半を中心に人気のセレクトショップ。ハイブランド中心のセレクトだが、自社ブランド製品はそれなりの値段で質は頭一つ抜けている。
Studious……今最も勢いのあるセレクトショップ。国産ブランドしかセレクトしないことで有名。TomorrowLand同様、セレクトショップであるものの自社ブランド製品の質は頭一つ抜けている。フレンドリーで親身な接客が魅力でどんな相談も受け付けてくれるはず。
BEAMS、UNITED ARROWS……自社ブランド製品の質は他のセレクトショップと同等だがセレクトしてるアイテムは当たり多し。BEAMSのインターナショナルギャラリーやUNITED AROOWS&SONS(同ブランドディレクターPOGGYはメンズウェアの世界で影響力のある25人にも選出されるほどの人物)は業界人も贔屓に。
*これらのショップ(Studious以外)は店員も忙しくてこちらから声をかけない限り放置してくれます。ネットで買うのは避けましょう。必ず試着して下さい。
・着こなし
3~4色で構築する。逆に脱オタしたての人がやるのが黒に頼ること。黒一色、モノトーンばかりになりがち。陰気なオタクが黒ばっか身につけてたら余計陰気に見えます。色使いのセンスの伸びもなくなるので黒が全体の70%以上になるのは避けて下さい。
・教科書
他の分野では練習しないで上手くなりたいなんて通用しないのにことファッションに関してはよく言われがちです。FashionSnapやFashionPressのスナップを眺めたり書店に行って雑誌コーナーで気に入ったものがあれば買うなりして経験値を積んで下さい。地元の書店じゃなかなか見つからないことが多いけどジュンク堂などの都内大型書店であれば間違いなく気に入ったものが見つかると思います。テレビはとにかく不快感を与えないようなコーディネートをしているのでそれを見るのもいいかもしれません。
・意識
脱オタファッション記事に書くべきか否か悩んだのですが発展編として。
1.金銭感覚を変える。ユニクロ、ZARA、H&Mだけでもオシャレにはなれますが、安くも高くもない“普通の服の価格”と考えるとアウター2万~、ニット・スウェット1万~、シャツ・Tシャツ8000~、パンツ1万~、革靴2.5万~ぐらいはします。初心者の人からすると高いと思います。ですが冬はコートだけ気を付けて他を安く抑えたり、夏はシャツだけ気合入れたり。それだけでも随分良く見えますし工夫次第では全身ハイブランドの人より良く見えることもある。
2.服を買うことの習慣化。最初の3年は1シーズン(春夏、秋冬)3点は買い足さないと浮いて見えます。
3.脱批判屋。オタクはとかく批判しがちで流行のものはとりあえず斜めから見ることが多いですがポジティブな面を見つけて取り込むのが成長への近道。流行には理由があり、なんでも叩くのは無知と狭量を晒す行為でファッション云々抜きにクソダサいです。
思いつくとこではこんなところでしょうか。成長するにつれて雑誌が不要になったり地雷のアイテムも上手に着こなせるようになりますが1、2年はこれを参考にすべきかと思います。
ちなみに失敗することで得られる経験もあるしどうしても気に入ったアイテムがあったら買ってみるのもいいと思います。どう合わせようかと鏡の前に立った分だけオシャレになります。いつの間にか服が好きになってるはずです。是非ファッションを楽しんで下さい。
*追記
この記事の補足兼、布教用にこちらの記事も書きましたのでよろしかったらどうぞ。
アイドルというか弱い存在と神であることを拒否し続ける彼女:上坂すみれ“超中野大陸の逆襲 群星の巻”に参加しました
「神は死んだ」
日本のみならず東アジア圏全体において絶対的な存在であったSMAPの失墜は彼らのファンのみならずアイドルファン全体、日本国民全体に衝撃を与えた。事務所の象徴、シーンの象徴、アイドルの象徴であった彼らですらスパルタクスのようなコロッセオの中だけのヒーローであり一歩外に出ればただの力ない奴隷だったと突然現実を突き付けられたのだ。
アイドルは言葉そのものの意味やその神性やファンとの関係から“神”や“巫女”、“偶像”と絡めて語られることが多いが、アイドルは神でも神下ろしでもなんでもない。もっと大きな存在の繰り人形であったと、冷や水をかけられた気持ちになった人は多いだろう。
この一件は今後アイドルという存在の未来に暗い影を落とすのは間違いない。
しかし、私は一筋の光明を見た。2月11日、声優アイドル上坂すみれの三回目となる単独ライブ「超中野大陸の逆襲 群星の巻」に参加したのだ。
彼女はたびたび自身の歌やアーティスト活動へのこだわりの薄さを語っていた。しかしそれは事務所に活動を強要されているといった意味ではなく、元来内向的で前に前にといった性格ではなく、筋金入りのアイドル・メタルその他音楽、サブカルチャー好きとしての理想と自身の歌唱力や表現力との乖離が許せないものであるからだろう。
先日のナタリーのインタビューでは「私のライブやイベントは町内の子供会スタイルというか。よい子のみんなとMCという名のおしゃべりを楽しみつつ、お歌の時間になったら、そのみんなと一緒に歌う(笑)」と語っていた。そんな、一見すると向上心がないように映る彼女の今回のライブはこれまでの活動の一つの集大成であり、アイドルの置かれた仄暗い現状に光明を見出すことが出来るものだった。
ステージ上の彼女はこれまで見たどのアイドルとも違っていた。
会場は思わぬ形から高まりを見せる。「公演中、曲のタイミングを外してジャンプを続ける行為。周りのお客様のご迷惑になるくらいの高いジャンプ、連続したジャンプは禁止です。ダイブ、モッシュ、リフトなどの行為も禁止です。ペンライト、サイリウムは片手三本ずつとまでっえっうぁぁ・・・間違えた!!!」 と録音かと思われた前説の言い間違えにより生で喋っていることが判明したのである。ユーモアある一節で注意を引き付けた絶好のタイミングで計算されたかのような言い間違えだった。そこからはいつもの彼女。まるで数分後に開演するのが嘘のような軽快なトークとへご真似、遅れて入場した同志(彼女のファンの呼称)をいじったりキョンシーの仮装した同志のお札に「上坂は可愛い」と書いてあるのを発見し「なんてくだらないことを書いているんだね!」と憤ったりと会場をあたため彼女らしいアットホームな雰囲気の中ライブに突入する。
しかしオープニングSE『予感02』が流れ出した途端空気は一転。警告音からの「埼京線とりあえず一本だけ参りま~す・・・最強だぜ」のいつ聞いても盛り上がるAメロからダンサーのアニメーションダンスが始まる。主役を奪わない際の際まで質を高めた踊りで会場を沸かせ、『来たれ!暁の同志』の遠くから迫ってくるような期待感を煽るイントロから上坂すみれが登場。会場のボルテージは一気に最高潮に。檀上で一身に注目を集める彼女は一目で以前とは違った、オーラやカリスマのようなものを感じさせてくれるものだった。
『パララックスビュー』では難解なメロディをバックバンドが見事に弾きこなし、『全円スペクトル』の「あれも違う、これも違う、違う違う違う!」のイントロ語りに合うよう’猫ふんじゃった’から猫キャラの前川みくモノマネ、昨年公開された映画で更に人気に火が付いたガルパンで広く知られた’カチューシャ’を歌い上手く『全円スペクトル』のイントロに繋げ盛り上げる。
曲間映像ではアイドルマスターシンデレラガールズで共演した武内俊輔と洲崎綾が出演し、’学校の怪談’などのチープな懐かしのドラマや彼女のマイブームでありライブタイトルにも引用された’三国志’にインスパイアされたような、彼女のメタ思考が色濃く反映されたショートストーリーで笑いを誘う。アイマスやガルパンなどの自身が出演するアニメのネタを取り込み盛り上げるのは実に彼女らしいやり方だ。
最新アルバムの表題曲である20世紀シリーズでは4曲が地続きになった世界観を舞台演出や身に纏った魔女のような衣装、声優として第一線で活躍する彼女の演技力を武器に表現していく。
ライブも終盤。にも関わらずメタル要素が散りばめられた『閻魔大王に訊いてごらん』を熱唱し、デビューシングル『七つの海よりキミの海』でダンサーと息の合ったダンスを披露し体力や運動能力が心配されたデビュー当時から一皮も二皮も剥けた姿に胸を打たれる。
ダンサー、バックバンドのメンバー紹介では屈んで視点を一つ下げて紹介するあたりに他人へのリスペクトと感謝の気持ちが見て取れる。ライブは一先ずの終わりを見せたものの間髪入れずに映像が流れ、その中ではレーベルメイトの小倉唯が自身のライブの曲間映像で訪れた板橋区の‘ハッピーロード’商店街を訪れるというメタっぷり。
映像も終わり客席から再登場する上坂すみれ。映像の中で購入していた‘おみやげ’を会場行脚をしながらファンとタッチや会話を交わし配り歩く。行脚も終盤、会場中央で『我らと我らの道を』をスタッフ、観客と歌い会場と一体に。
そしてステージに戻り『げんし、女子は、たいようだった』『革命的ブロードウェイ主義者同盟』を歌い上げ、「生産、団結、反抑圧」のスローガンと「ypa!」の三唱を唱え彼女は去って行った。彼女がハケた後には曲間映像のNG集が流れ、最後まで笑いと満足感に包まれたまま三時間ものライブは幕を閉じた。緊張と緩和や予想の裏切りなどの笑いの場やいわゆるジェットコースタームービーなどで主に使われるテクニックを上手く使われたポストメディウム的な視点で見ても工夫が凝らされた素晴らしいライブだった。
ライブ後半になっても衰えを見せない体力。生なのにブレない歌唱力。進境著しいダンスのキレ。会場を沸かせるメタ発言の数々。地雷原のような話題も走り切ってしまうようなバランス力。全てがデビュー当時とは見違えていた。
しかし、アイドルとして太鼓判を押せる実力を身に着けた彼女は“神”にはならなかった。圧倒的なカリスマや実力を持つアイドルというのは得てして会場全体を掌握して“神”になることを選ぶ。しかし彼女はそれを選ばなかったのだ。
彼女のステージは一目でそれが何人もの力で作り上げられたものであることがわかった。迫力のある音を奏でるバックバンド、ライブ用に多くの曲にアレンジを施した作曲チーム、主役を引き立て続けるダンサー、彼女の魅力を120%引き出す衣装を作るスタイリスト、世界観を彩る舞台を作った演出、関わったスタッフのみならず客席に居る我々すらも一つのステージを作り上げる一員だった。
哲学者フッサールは言った。自己の存在は他者の存在によって認識出来る。
彼女のステージは、アイドルとしての自己は他者の存在によってはじめて存在していると確かに語っていた。
前に出る意欲の少ない性格や謙虚さ、こだわりの薄さ、過剰に他人をリスペクトする一面、一見するとアイドルをやる上でマイナス要素とみなされがちなすべてが好作用した素晴らしいライブだった。
七十年代、一世を風靡したアイドル歌手のような世間から愛される存在は九十年代にはCMタレントに、ゼロ年代以降は女優に移っていった。
八十年代以降、おニャン子クラブやハロー!プロジェクト、AKB48、ももいろクローバーと“メタ”アイドルに変身を遂げ生き残り続けてきたアイドル。SMAPの一連の騒動で疑いの目が向けられた今、アイドルはどう進んでいくべきか岐路に立たされている。
そんな今、バランス感覚に長け、か弱いことを自覚し、 “神”であることを拒否する彼女のような“メタ・メタアイドル”が一種のロールモデルになるような予感がして止まない。
きっとこう言える日が来るだろう「上坂すみれは“最強だぜ”」と。
2月11日 上坂すみれ「超中野大陸の逆襲 群星の巻」セットリスト
- 前説
- 予感02
- 来たれ!暁の同志
- 冥界通信~慕情編~
- MCトーク 1
- パララックスビュー
- すみれコード
- Inner Urge
- MCトーク 2
- 繋がれ人、酔い痴れ人。
- (猫ふんじゃった→カチューシャ→)全円スペクトル
- テトリアシトリ ParkGolf Remix)
- 曲間映像①
- 20世紀の逆襲 第一章 ~紅蓮の道~
- 20世紀の逆襲 第二章 ~蠱惑の牙~
- 20世紀の逆襲 第三章 ~絶境の蝶~
- ツワモノドモガユメノアト
- 曲間映像②
- 罪と罰 -Sweet Inferno-
- 我旗の元へと集いたまえ
- MCトーク 3
- 閻魔大王に訊いてごらん
- 七つの海よりキミの海
- 曲間映像 すみすみ散歩
- 会場内行脚
- 我らと我らの道を
- げんし、女子は、たいようだった。
- 革命的ブロードウェイ主義者同盟
- エンディング映像 曲間映像NG集