秋田-弘前・青森間を結ぶ
東日本のリゾート列車の王様
「リゾートしらかみ」
日本海の眺めをお楽しみいただける
海側の席を予約すると良い、と旅行者は口を揃えて語るわけですが、
それゆえに座席が海側からあっという間に埋まるという問題があります
思い立ったら急におでかけする人間には
非常に辛いものがあります
先日乗りに行った際も
案の定山側の席しか取れませんでしたので、
以下、それでも海を楽しみたいと
いろいろ模索した記録をお送りします。
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【8:00 秋田駅】
リゾートしらかみ1号に乗車
12:30くらいに弘前駅、13:00くらいに青森駅に着く列車です。
写真は能代駅
乗る間際まで
しつこくえきねっとに張り付いて空席照会をしていたのですが、
とうとう海側席が空くことはありませんでした。
実際に乗車してみますと
海側席は、
ザ・大人の休日俱楽部、みたいな老夫婦と、
東アジアからのインバウンドさんが半々といった様相でした。
列車は五能線へ
東能代行き快速ワンマンカー(新車)とすれ違い
五能線の中でも景色が素晴らしいところで観光徐行
海側の席はとれなかったのですが、
海側を向いたカウンターがフリースペース扱いになっていましたので、
今回はそちらをありがたく使わせていただき、
まんまと缶ビールを開けました。
窓側に向いて座れるカウンター席、大好きです
変わりゆく景色を眺めながら飲食という
最高の贅沢を存分に楽しむことができます。
ただ、あくまでフリースペースなので
いつまでも占有するのは心象が悪いですし、
なにより座り心地が最悪なので
やはり指定席が取れるに越したことはないのだと思います。
さて、繰り返しになりますが
今回ぼくは海側席がとれませんでしたので、
思い切って途中駅で下車することにします。
【10:38 ウェスパ椿山駅】
この列車にはすでに2時間以上乗りましたし、
道中五能線の中でも景色が素晴らしいところも堪能しました。
せっかく指定席料金を支払っているのだから
このリゾート列車に少しでも長く乗っていたいという
貧乏人根性を必死で説得して、
ウェスパ椿山駅で列車を見送ります。
コンビニひとつない
この駅から2キロほど離れた
「不老ふ死温泉」に向かうことにします。
魅惑のフレーズ「不老ふ死」
不老ふ死温泉までは
送迎バスを利用することができます。
初老の女性が5名程が
リゾートしらかみからこのバスに乗り継いでいきました。
リゾートしらかみの到着時刻にあわせて
バスが駅前ロータリーで待ってくれています。
日帰り客でも、予約不要・無料で温泉までバスに乗せてくれます。
本当にありがたいことです。
ぼくは道中寄りたいところがあったのでバスを見送りました。
道中寄りたかった場所
大自然の中にあり、人の手が加えられていない
天然の秘湯「野湯(のゆ)」
これを巡るという
温泉趣味やり尽くした人が最後に行きつく場所みたいな界隈が
どうやらあるみたいなのですが、
それに片足突っ込んできました。
源泉温度50℃。あちあち
ウェスパ椿山駅から歩いて行ける場所にあります。
泉質は不老ふ死温泉のそれと素人目には同一なので、
温泉に安らぎを求める普通の方はここに行く必要はなく、
いま紹介しているこれは、たぶん、異常者しぐさです。
【12:00 不老ふ死温泉】
日本海の荘厳な景色を左手に眺めながら
歩くこと2キロ、やってきました
海と同じ高さの露天風呂が魅力
ここ、すごく良いです
写真の奥の方にぽつりと映る露天風呂が名物なのですが、
内湯もすばらしい
黄金色の鉄味と塩味を帯びた独特の泉質、
日本海の厳しい風にさらされた露天風呂、
よく熱されたサウナ、
きんきんの水風呂
温泉に欲しいものが全てありました。
画像1枚に男子の夢がすべて詰まっている
海に面した露天風呂は、混浴です。
心躍らせ入ってみますと、
初老の夫婦が湯浴み着でゆっくりと日本海を眺めていらっしゃいました。
うん、まあそりゃ、そんなもんですね
ここも、すごく良いです
泉質と景色は語るまでもなく。
海辺では見たことない種類の野生のカモが毛繕いしてました。
あとで調べたらシノリガモという
冬の北海道・東北の波が荒い磯でよくみられる鴨なんだそうです。
外は荒っぽい風が吹きすさび、
温泉は温度ほどよく。
(その日のコンディションで湯温が変わるみたいなのですが、
ぼくが行ったときは38℃でした)
外が寒い露天風呂、いつまでも入っていられる・・
暗くなるまでいたいくらいでしたが、
列車の時間があるので
名残惜しくも温泉をあとにしました。
【14:50 艫作駅】
難読
往路とは違う駅から帰ります。
リゾートしらかみは通過しますが、
歩いて1キロくらいです。
14:53発 東能代行に乗車
今回風呂でゆっくりしすぎて
あわや乗り遅れそうになったのですが、
14時台の列車を逃すと
18時台まで電車は止まらないので
慎重な時間管理が必要です。
良い駅
絶対に日中は誰も使わないであろう
いかにもなローカル線の駅の雰囲気を感じられる良い駅です。
なので、この駅でおじいさんが一人下車したのには、たまげました。
座席選び放題
リゾートしらかみの指定席がとれないなら、
普通列車に乗ればいいわけです。
普通列車の車内には、大人の休日倶楽部の住人の姿も、海を越えてやって来た行楽客の姿もありません。
青森方面からの接続が悪い列車なので、18歳を過ぎてなお青春を追いかけるチェック柄のシャツを纏った亡霊の姿もぼくを除いてありません。
夢にまで見た海側の座席がいくらでも空いてます。
というか、ぼく以外乗客0人です。
終点ひとつ前の能代駅まで
とうとう一人も乗ってきませんでした。
察するに、この列車は
まちの中心・能代駅から
乗客を送れればそれでよく、
始発の深浦駅から能代駅まで63kmは
ながーい助走区間に過ぎないという、
ローカル線にありがちな現象が起きているのでしょう。
こういうことは時刻表等で察するのは難しく、
実際に乗ってみないとわからないことで、
鈍行旅の醍醐味ではないでしょうか。
おかげさまで車内は静寂を極め、
せっかくの海側席もほぼ全区間眠ってしまったのでした。
16:17 秋田駅着
新幹線に乗り継げば、
21時くらいには東京に帰れます。
ぼくは抑えていた貧乏人根性が暴れ出したので、
18きっぷで仙台に出て夜行バスで東京に向かいました。