記録。

脈絡はないようでない。

トロッコ問題から考える最大多数の最大幸福と犯罪の境界線について +α

突然ですが、ロッコ問題という思考実験があるのをご存知でしょうか?

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猛速度で暴走してきた、止めることの不可能なトロッコが、このままでは線路上にいる5人の作業員を殺してしまう。鉄道のポイントを切り替えてトロッコを引き込み線に導けば5人の作業員は助かるが、引き込み線上にいる1人の作業員を殺してしまう。あなたがポイント切り替え係であった場合、ポイントを切り替えるか

 

という内容のものです。


多くの人はポイントを切り替えると回答するようで、つまり、1人の命より5人の命を優先するわけです。

しかし、自分が行動しなければ死ぬことはなかった人を死なせてまで、人間の最大多数の幸福を望む感覚のようなものは強いのかと考えていて、この前「自殺は人間の生存本能と相反するものではないのか?」と気になって調べていた時に目にした、自殺は人間の自己保存よりも種の保存を優先する本能と矛盾しないという話を思い出しました。

これまでの経験から他と比較して劣等していると思われる自分を、種の保存にとって役に立たない個体であると見なすわけですね。

 

こういうことを考えると数の力って凄まじいなって思います。

多数決なんか顕著な例で、多数決は物事を決めるにあたってとても効率的な方法であるとは思いますが、事実と違うことであっても多くの人がそうであってほしいと思い、それを表明すれば、それが事実であるということになるわけですから。

実際、「多数決とりま~す」なんて場面ではなくても、今の社会で潜在的な多数決は日々行われていて、例えばメディアが事実を歪めて大衆が見たいものを報じたら、大衆はそれにとびついてしまって、後から訂正の報道が出ようとインパクトは弱くて、たとえ知っても「実際は最初に出た報道が本当だったんじゃない?みんなもそう言ってるし」って感じになるなんてことはザラに起こってますよね。たとえそれが誰かの人生を壊すことになっても、大体の人は自分と自分の周りしか大切にできないですからね。

 

多分、自分の中に多数決というものへの疑念と、それによる多数決全肯定に対する嫌悪感がずっとあるのでこういう話になったと思うのですが、たとえ人に最大多数の最大幸福を優先する本能があったとしても、それと並行して自分の信念を貫ける理性を持つことも可能だと思うんですよね。そして時に、理性で本能を抑えることも可能だと思います。これは希望的観測なんですけどね。

 

少し話は変わりますが、トロッコ問題にはバリエーションがあって、

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ロッコが暴走してきて、行く手には5人の作業員がいるが、引き込み線もない。このままだと5人は死んでしまう。あなたは線路にまたがる陸橋の上にいて、そばには線路をのぞき込む大男がいる。自分の体格では不可能だが、その大男を線路に突き落とせばトロッコは止まり、5人は助かる。あなたは男を突き落とすか

 

という内容のものもあります。

興味深いのが、こちらでは多くの人は突き落とさないと回答するようなんですね。5人が助かり、1人が死ぬという結果は同じなんですけどね。

この違いは最初のトロッコ問題が消極的殺人だとしたら、後のトロッコ問題が積極的殺人であるというところにあるみたいです。

しかし、どちらも人1人を殺していることに違いはないですし、致し方なく、嫌々、どうしようもなかったという条件が揃っていれば、人は人を意外と簡単に殺せるんですよね。

この境界線は多くの人が思っているよりも曖昧なものなのではないかなと思います。多くの人は、人が人を殺すのは、それまでに蓄積された感情、影響を与えた環境、形成された人格、すべての条件が完璧に揃った稀有な状況でだけだと思いがちだけれど、そうではない場合も多くあるのではと。

こう思うのはただ単に私の道徳性が低いからかも知れないですが。

 

というように頭の中で行う思考実験で色々と考えてみるのは個人的には面白いと思ってたまにやるのでおすすめです。トロッコ問題の他にも有名な思考実験の題材は多くあるので、思考実験についてあまり知らなかったけれど興味がわいた人は是非調べてから考えてみてほしいです。ちなみに私は哲学的ゾンビや水槽の中の脳、転送機問題などが好きです。

 

 

ここからは思考の話で、いつからか忘れてしまったのですが、ずっと思考をやめることへの恐怖みたいなものが私の中にあって、何かを妄信したり、周りの空気にのまれて疑わなくなったりすることが怖くて、思考をやめては駄目だっていう強迫観念みたいなものがあるんですよね。

それで他の人からしたらどうでもいいであろうことなどを色々と考えるんですけど、我ながら自分の思考が飛び飛びで、脈絡のミの字も知らないってくらい脳の中が乱雑としていたので、こうやって書き出すことで少し整理しよ~と思った次第です。

 

他にもこのブログには、本や映画などの感想や、気が向いたらあれこれと記録するために書いていけたらなって感じです。

 

それでは。ここまで読んでいただいてありがとうございました。