おれは正当な読者〜『カグラバチ』第17話感想〜

ネタバレ全開なので注意。

六平国重の厄介オタクとして一部で人気だった双城厳一。彼と、国重の息子チヒロの決着が、17話「茶」で描かれた。
カッコイイバトルもさることながら、サブタイトル通り謎の精神茶室空間でのスイーツトークが異様に印象に残り、そこでまた双城は厄介オタクの名を不動のものとした。

だが私は、彼が厄介オタクではないことを主張しようと思う。

双城さんのオタク歴

双城厳一はヤクザであり、その中でも暴力に取り憑かれた男である。彼は恐らく、その暴力への指向性から、現代最高の暴力としての妖刀、そして、「妖刀の父」六平国重への興味を抱いた。そしてついには、妖刀の一振りである刳雲を入手することになる。
その偏愛っぷりは、「刳雲を預かった」という言い回しに端的に表れている。これは明らかに、「刳雲を所有していた人物から預かった」という意味ではない。妖刀は、唯一国重を除いては誰に所有されるものでもなく、使い手はそれを一時的に預かるだけ、という認識だ。

しかし双城は、「戦争を終わらせ英雄」としての国重像を「侮辱」と呼び、「彼の理解者は俺しかいない」とうそぶく。

妖刀は彼が生んだ…最高の殺戮兵器さ!!
ただひたすら 命を奪うために在るんだ

言うまでもなく、これは敬意の表れだ。それも、「自分の望む物を供給してくれる相手」ではなく「自分が歩む道の先達」への敬意。
オタクをこじらせた双城は、自ら(殺戮兵器としての)妖刀を生み出すことを目指し、そのための行動を起こしている。彼はただのファンではなく、ワナビーなのだ。

双城のこのような信念、そして目的のために手段を選ばぬ外道は、チヒロの「悪を滅し…弱者を救うため」妖刀を振るうという信念と真っ向から対立し、必然的な激突を導くことになる。
チヒロは国重の息子であり、国重の想いを直に聞き、作刀の過程も目にしている。国重に平和への願いがあったことは、(少なくともチヒロにとって)疑いようのない事実だ。

妖刀のオタク として、双城は間違っているのだろうか。勝手な解釈を他者に押し付ける、厄介オタクだろうか。
私はそうは思わない。双城の「解釈」は、妖刀という作品に触れ、読み込んだ上で、改めて確立されたものだからだ。

最初の対決が水入りとなった後、チヒロに「全てをわからせ」ることを欲し、「刳雲の全てを理解」して対決に臨むため、神奈備の精鋭との戦いに挑む。
この時双城は、刳雲を(入手して一週間ぽっちとはいえ)使いこなせない自分と、刳雲の性能を自分より深く知る「六平の息子」の存在に、明らかに揺らいでいた。
後に 恋する女子高生のように 告白した通り、神奈備の的確な戦術にもチヒロの影を感じ、劣等感を刺激されていた。

そもそも、自分の解釈が絶対に正しいと信じるなら、チヒロ(だけ)と「話す」必要はない。行動で、実力で、作品で示せばいいだけだ。
チヒロとの対話=対決を欲したのは、刳雲を理解し、自身の正しさを証明し、ひいては自分の妖刀を生み出すため。つまり、 国重の後継者になる ためだ。
刳雲への理解を深めることで神奈備を退け、双城は「六平の息子」との再対決に臨む。

スイーツトーク〜行間の前にまず行読め〜

謎の精神茶室世界で、双城はチヒロに語る。

認めるよ お前のその反吐が出そうな信念も

この台詞は、一見して意味が取りづらい、微妙な台詞回しだ。よくよく読めば、この「も」は、双城が「認める」のは、「チヒロの信念」 だけではない という意味だろう。
では、それ以外に認めたのは何か。それは、 六平国重の実像 ではないか。

今回のパンチライン

これも実に微妙な台詞回しだ。こういう場合、「知りたい」と「知りたくない」の分岐、つまり「知りた…」と止めるのが普通だろう。「知りたくて」の変化を受け入れるなら「知りたく…」もなくはないが、「知りたくな…」まで言ったらもう結論出てるじゃん。

解釈しよう。誰にでも解釈する権利はある。これは、ポリシーとして「知りたくない」のは最初から決まっているが、それでも「知りたい」という気持ちがあり、それを捩じ伏せて「知りたくない」を通した、という意味だ。

妖刀を漫画、刀鍛冶を漫画家に喩えよう。
漫画を解釈する時、「漫画家の実像」を入れないのが双城のポリシーだ。つまり、作品を作者から切り離し、独立した存在として受け取ろうとする態度といえる。
しかし、こと六平国重だけはわけが違う。それは、双城がワナビーであり、唯一の妖刀作者である国重から学びたいと願うからではないか。
双城にとっての受け入れ難い現実は、その国重の「実像」が、「彼の作品から受けたメッセージ」と矛盾するということだ。

それを彼は認めた。 唯一尊敬する漫画家を目指す限り、自分がありたいと願う漫画家にはなれない という矛盾を。
その上で、自らの 確立した解釈 を堅持した。刳雲が彼に応えたことは、紛れもない現実だからだ。
ここで、チヒロの側に問いが投げ掛けられる。 息子として知る漫画家の実像が、生み出された漫画と矛盾する ことを認めるか?

双城の「読者としての態度」は正しい。戦争を終わらせたという「実績」も、息子を愛する父親という「実像」も、作品とは本質的に無関係だ。
歴史家も、チヒロも、現実に描かれた妖刀の「行」を読まずに、「行間」だけを読んでいる。刀は人殺しの道具、妖刀は殺戮兵器。当たり前だ。それはそう。

双城は、堂々と自らの「資格」を主張する。チヒロが息子だろうが関係ない。自分もまた六平の代弁者、ひいては後継者たりうる者なのだと。

お前はまだ自分だけが六平の代弁者だと思ってる
俺もそう思っていた…だが違う
誰もが彼の代弁者に成り得る だからこそこの戦いに意味があるのさ

苦手な団子を飲み下すメタファーが素晴らしい。行を読む。現実を受け入れる。チヒロもまた矛盾を認め、自らの「解釈」を堅持し、それをもって双城の「解釈」を否定するのだ。

ここにおいて、「作品」を巡る解釈バトルは、六平の後継者争いという本質を露にする。言い換えれば、「父親」の愛を巡る兄弟喧嘩だ。
双城というキャラクターの魅力はそこだ。双城が「六平の息子」の存在に揺れたのは、妖刀作者という意味での後継者を自任するゆえだ。
言い換えれば、双城は(世間の風潮と反する)自分の「解釈」を、作者に認められたかったのだと思う。その精神性は、確かに厄介オタクといえるかもしれない。
しかしその手段は、「自らの信念に基づいて妖刀作成に辿り着く」というものだ。甘えがない。覚悟しかない。

ここまで考えると、「知りたくない」がまた深みを増してくる。
大前提のポリシーとして、彼が信じるのは「作品から受けたメッセージ」だ。
しかし、そのポリシーへの不安ゆえに、「作者の承認」を求める揺らぎがある。「知りたい」という気持ちがわずかに入り交じってしまう。
その上で、改めて「承認」を拒絶し、「証明」を目指すのだ。チヒロを打ち倒し、自らの妖刀に辿り着くことで。

これは、「父の愛」に依存するチヒロよりも、一歩進んだ態度だった。
双城との対決を通じて、チヒロは「父の願い」ではなく「自らの信念」によって行動することを学ぶ。妖刀が殺戮兵器であろうがなかろうが、自分が「悪を滅し弱者を救うため」の存在にするのだと。

刳雲をへし折る一瞬、父との思い出が駆け巡る演出が美しい。
チヒロはどこか、妖刀を「相続すべき遺産」と認識していたのだと思う。もちろん、性能云々ではなく、国重が自分の父親だからだ。
しかし、双城もまた「後継者」であり、「妖刀の担い手」であることを認めた。ひいては、「妖刀が自分への遺産ではない」ことをも認めた。
だからこれは、妖刀の「相続放棄」であり、「六平の息子」から「チヒロ自身」への脱皮だ。

本来チヒロは、妖刀使いなんかではなく刀鍛冶、というか鍛冶屋になるべきなのだ。
しかしこれは、必要な寄り道なのだろう。偉大な父への「解釈」と、自らの信念を確立するための寄り道。
その最初の障害として、双城厳一は完璧な敵役だった。あとはキッチリ地獄で罪を償って……いやでもこの描写だと致命傷とも言い切れないし……刳雲が身を挺して守ったようにも……

生存…? 〝双城生存√〟……?
おいよせ生存だと……!? 刳雲以外を使う双城なんて見たくな…見たくない!!

追記:遺産を捨て信念を通す決意

実はこの表情がずっとノドに引っかかっていた。読みが当たった瞬間にしては、渋すぎやしないかと。
それともう一つ。双城が実は、振り返りざまの一閃を躱された後、しっかり受け太刀をしている。これがなんか引っかかる。

まず行を読もう。「やっぱり」なのは、9〜10話で描かれた初戦において、背後からの奇襲を受け止められ(9話)、優速での回り込みにさえカウンターを合わせられた(10話)経験があるからだ。

チヒロは、カウンターを見た時点で(あるいはカウンターを予測した時点で)、カウンター返しに対する受け太刀まで予測していたのではないか。
双城を上回るオーバードライブで肉体を痛めつけ、残りの玄力を全て費やした涅に二の太刀はない。
受け太刀を予測したなら、双城のみを斬り、刳雲を取り戻すことは不可能だとも理解したはずだ。

この前提に立つと、一瞬の走馬灯が俄然味わいを増してくる。

チヒロは、刳雲を失うことを覚悟して、双城を斬ったのだ。
父親の意志と遺産より、自らの信念を通す決意をしたのだ。

さらに踏み込むなら、この「やっぱり」は、 信念のある男は、やっぱり強い でもあるのではないか。
なぜなら、チヒロが「団子を食う」ところが描かれたのは、双城がオーバードライブを始めた後だからだ。
認めなければ勝てない相手。 その現実が、チヒロに双城を認めさせた。承認ではなく、証明だ。

そう考えると、双城の受け太刀は、心理・物理の両面で、チヒロに覚悟を求めたことになる。
妖刀は必ずしもチヒロへの遺産ではない
双城を斬るためには、刳雲ごと斬らねばならない

渋い、渋すぎる。
サブタイトルが「団子」じゃなく、絵的には一口も飲んでない「茶」なわけだ。

守られる心、救われぬ現実~『平和の国の島崎へ』#08「DEAR SHIMAZAKI AND HIS PORTFOLIO」

初回から興味深く読んでいた『平和の国の島崎へ』だが、最新話があまりに神回だったので記す。

『平和の国の島崎へ』について

上記の通り、第一話が常設無料で掲載されているので詳しくはそちらをお読みいただきたいが、読みたくなるように少し概要に触れておこう。

島崎真悟は、久しぶりに日本に戻ってきた日本人である。

もうちょっと詳しく言うと、彼は9歳からの30年に及び、国際テロ組織LEL(経済解放同盟)に拉致・洗脳され、作戦行動に従事していた。

本作は、地獄を潜り抜けて帰還した元少年・島崎が、見知らぬ祖国で過ごす日々を描く物語である。

日本での島崎は、同様の境遇にあった者たちとコロニーを形成し、LELから隠れるように暮らしている。
ちょっと公安に付け回されたり、日本の日常で起き得る水準のトラブルに巻き込まれたりしつつも、溶け込もうと努力している。

まあその、ちょっと、行動の選択肢の中に極度に効率的な暴力が含まれてはいるが、決してそれを行使することを望んではいないのである。

そんな島崎の「居場所」のひとつが、漫画家・川本マッハのアシスタントなのだ。

#08「DEAR SHIMAZAKI AND HIS PORTFOLIO」

ここからは最新話のネタバレを含むので、これから読もうという方はご注意いただきたい。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

第八話では、島崎と「絵」の関係について、大きく踏み込むことになる。

川本に連れられ、島崎は資料写真の撮影にやってくる。しばしの撮影の後、二人が昼食を摂る食堂で、LELが公開したPR動画に関するニュースが流れる。

LELへの共感を示すSNSの投稿を見て、暴力に対する芸術の無力を嘆く川本だが、島崎はごく当然のように反論する。

人間は夢想で心をまもります 暴力は人間の心の中にはふみこめない 暴力にはそのていどの力しかありません

その言葉に興味を惹かれた川本は、島崎が撮影した写真を確認する。写真には撮影者の内面が出る、と。
その川本の表情が、曇る。

この、写真の描写が、恐ろしい。まだ本編を読んでいないのにここまで読んでしまった人は、今すぐコミックDAYSプレミアムに加入してモーニング44号を見てきて欲しい。
凶器じみた網針。殺人者めいた漁師。バッタの死骸を運ぶ蟻。カメラを睨めつける猫。処刑台のクレーン。腸が巻き付いた木。
平和な、ただ平和な漁港で、こんな戦場写真じみたものを撮る人間には、一体どのような世界が見えているというのか。

川本の態度を訝しみつつも、島崎は描きためた自身の絵をまとめたファイルを見せる。
第一話でも描写されたそれを、初対面時の川本は褒めていたが、あの時の島崎は「お客さん」だったので、まあ、それほど真剣な評価でもあるまい。
しかし、今写真と見比べることで、川本に笑みが戻る。

島崎の絵は、素朴だ。題材は動物たち、ひまわり、食卓、街、居眠りする(おそらく)コロニーの仲間。技巧の程は、観察力を除けば子供の絵日記だ。
それは、写真とあまりに違いすぎた。優しすぎた。生き物は雄々しく、美しく、愛らしい。食卓も街も人も温かい。「死」の代わりに「生」の気配が満ち満ちている。

川本は島崎の言葉の意味を理解した。島崎が、本気で、体験に基づいて語っていることを。
暴力に埋め尽くされた世界の中で、夢想が島崎の心を守ったのだ。

「写真」と「絵」の圧倒的な説得力と両輪をなすのが、川本センセイの表情だ。彼の内心、島崎に対する想いがひしひしと伝わってくる。
島崎の絶望的な「世界観」を悲しみ、優しい「夢想」を慈しみ、心を守る行為を尊重する。そして、自分の想いを作品として世に送り出す。
この漫画の、そして「HIS PORTFOLIO」のタイトルを象徴するに相応しい人物だ。

川本に問われた島崎は、自身の作品集をこう名付ける。「平和の国」、と。

「平和の国」

今回の内容は、「平和の国」が日本(のみ)を指していないことを示している。

それは、日本に"あこがれてた"島崎が、心に抱き続けた夢想なのだ。暴力も拉致も洗脳も訓練も、彼から奪えなかったものだ。
そして、それが「形」を持ったものだ。

第一話の時点で、島崎が川本に見せた絵は、かなりの枚数にのぼる。いつ描き始めたのか、LEL時代なのか帰国してからか、それはわからないが、少なくとも彼は自分の作品を保存していた。
そして、縁あってのこととはいえ、一面識もない漫画家を訪ね、その際にも作品を持参した。今回持ち歩いていたファイルも、自分で作ったものだ。
島崎は、自分に持ちうる限りの力で、夢想を「形」にしようとしている。

指先を合わせ、口元をはにかませ、冗談めかして自作を名付ける島崎は、これでもかというほど照れまくっている。
この照れは、まさに「夢想」を口にする人間のものだ。この場合の夢想とは、作品をつくり、タイトルをつけ、そして世に送り出すということだ。

他者を思いやり、その幸福を願い、そのために力を尽くす。 夢想に形を与え、タイトルをつけ、世に送り出す。

「平和の国」とは、そうしたしごく積極的な行為のことだ。

あるがままの現実に、「平和の国」はない。作中の日本には戦場が迫り、島崎にはもっと近くまで迫っている。
平和な日本に生活しながらも、島崎の世界には血と硝煙の臭いが漂っている。暴力は心には踏み込めない。ただし現実を容易く傷つける。芸術を破壊し、命を奪う。

島崎の「夢想」の尊さを痛感させられたがために、島崎の「末路」を知る読者はなおさら胸を痛めざるを得ない。340日、340日だ。たったの。

あまりに素晴らしく、それがゆえにつらすぎる第八話だった。ぜひ見開きで読んでいただきたい。

人間否定、からの解放~『チェンソーマン』第102話

チェンソーマン102話がすごくすごくすごかった。読んだ直後に3時間近くSkypeしてしまった。ので、感想をしたためる。
チェンソーマン』、『さよなら絵梨』、『ルックバック』のネタバレを含むため注意。

あと、藤本タツキ先生は本当に才能ある作家で、尊敬の念に堪えないが、同時に タツキこの野郎クソ野郎 という気持ちも否定し難いので、 以後タツキと表記する。

前回までのあらすじ

アサはユウコに親切にしてもらって仲良くなったが、コウモリの悪魔に遭遇してしまう。ヨルこと戦争の悪魔は全力を出せず、二人に危機が迫る。

今回のおはなし

コウモリの悪魔からの逃走劇の最中、ユウコは足を負傷し気絶してしまう。絶望的な状態のユウコを前に、ヨルは、ユウコを殺して不器にするようアサへ迫る。
第98話(第二部第1話)で、アサは不注意からコケピーを殺してしまった。
この事件についてヨルは、アサの後悔はコケピーの死ではなく、「見られた事」
だと指摘する──他に誰もいないこの場で、ユウコを殺す事を躊躇う必要はないと。
(残酷ではあるが、相変わらずヨルはアサとちゃんとコミュニケーションを取ってくる)

操られるように凶器へ手を伸ばしかけたアサはしかし、ユウコを抱えて逃走を続ける。「いつも」のように転倒したアサの脳裏に、かつての記憶が蘇る──現在の人格を決定づけたといえる事件を。
悪魔に遭遇し、母とともに逃げるアサ。足を怪我した野良猫を見つけたアサは、ネコを助けようとして転倒する。アサを助け起こした母は、そのせいで逃げ遅れて死んでしまう。
まさにユウコは猫と同じだった。

そしてもう一つ、読者には明かされなかった(つまりヨルは知っていた)出来事が描かれる。ユウコの「憐れみ」を拒絶するアサに対し、ユウコはこう語る。

「アサちゃんの気持ちはどうでもいいかな!」
結果は間違えても……自分の気持ちが間違ってなければ私はいいんだ!」

この出来事を経て、アサはユウコと行動を共にしていた事になる。

アサにとってのユウコの命は、お母さんが命がけで守ってくれた自分の命より重要ではないだろう。そのために命を捨てる事は、決して「正しく」はないだろう。
だが、だからこそなのだ。だからこそ、それは誰に阿るでも、誰に強いられるでもない、アサの心からの願いだった。てぇてぇ。

しかし、アサにコウモリの悪魔を退けることも、逃げ切ることもできない。当然の結果として、アサはユウコごと、悪魔の巨大な口に捕食される。

その運命をめちゃくちゃに切り裂いたのは、みんなのヒーロー、チェンソーマンであった。
ここで重要なのは、チェンソーマンにアサを救う意思はおろか、恐らくは救ったという自覚すらないということだ。
チェンソーマンが戦っていた相手は、コウモリの悪魔より遥かに強大なゴキブリの悪魔であり、コウモリの悪魔はそれに巻き込まれ、轢き殺されたにすぎない。
アサたちもまとめて轢き殺されていたとしても、全くおかしくはなかった。

アサの決断を知ることもなく、失敗という結果を与えることさえなく、チェンソーマンとゴキブリの悪魔の戦いは続く。
アサはただ、踏み躙られただけで終わるのか──チェンソーマンのべらぼうな暴れっぷりを見ていると、そう思われてならなかった。

もちろんそんなことはなかった。『チェンソーマン』が、そんな薄っぺらな物語であるはずがなかった。
追い詰められたゴキブリの悪魔は、チェンソーマンに人質と「命の選択」を突きつける。いわゆる、トロッコ問題である。
レールに乗っているものが違いすぎてわかりにくいが、これはヨルがアサに突きつけた選択と同種のものだ。
どちらも否定すべきでない両者の、どちらかを否定させる。その構造に残酷さがある。

果たして、チェンソーマンは躊躇わなかった。ノータイムでゴキブリの悪魔を惨殺し、レールに乗っていた命はどちらも失われる。
しかし、チェンソーマンは全ての救うべき命を切り捨てたわけではなかった。

ネコもいたよ

彼は自らの意思と力で、三つ目のレールを作り出し、それを選択していたのだ。
天才すぎる。完全にぶったまげた。

しかし、このセリフのスゴさは、トロッコ問題に対するべらぼうな解答だからではない
この一言によって、ここまでの展開がまったく意味合いを変えてくるからだ。

種モミメソッド

僕が勝手に「種モミメソッド」と呼んでいる作劇手法がある。

正義なき力が無力であるのと同時に力なき正義もまた無力なのですよ

これは『ダイの大冒険』アバン先生の教えだが、元ネタを遡ればパスカル『パンセ』であるらしい。
これは、『ダイの大冒険』に限らず、少年漫画ではかなりメジャーなテーマだ。
そして、正義(善)と力を合わせ持つヒーローが、ある種の理想像として表現されることになる。

その最も典型的な表れが、『北斗の拳』第2話に登場する、種モミを守ろうとするじいさんだと思う。

そうすればもう食料を奪い合うこともない争いもなくなる
今日より明日なんじゃ

じいさんの行いは美しく正しいが、力なきゆえにその命は奪われ、切なる願いは踏み躙られる。
そして、善と力を合わせ持つケンシロウは、じいさんを認め、共感し、肩入れする。

実るさ… 下に あの老人が眠っている

守りきれたかという「結果」は重要ではない。 守りきれなかったことに悲しみが起こるのであれば、それによって無力な善の価値は担保されるからだ。

今回の『チェンソーマン』は、全く逆のことをやっている。
無力なアサの善を、チェンソーマンは一顧だにしない。むしろヒーローの存在によって、アサの善は決定的に踏み躙られ、否定される。

しかし、物語はその意味合いを全く変えてしまう──その話をする前に、アサを襲った残酷さについて別の角度から考えてみたい。

「必然=人間賛歌」の否定

少年漫画の世界で「人間賛歌」を描いた作品といえば、真っ先に上げられるのが『ジョジョの奇妙な冒険』だろう。
ジョジョ』は長きに渡って連載され、様々な形で人間の素晴らしさ=黄金の精神を描いてきた。中でも最も印象的なものを挙げるとすれば、第五部『黄金の風』に登場する、アバッキオの警官時代の友人である。

そうだな…わたしは「結果」だけを求めてはいない
「結果」だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ…………近道した時、真実を見失うかもしれない
やる気も次第に失せていく
大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている
向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな……………違うかい?

(強調は筆者による)

黄金の精神の代表例として、つとに有名な一連のセリフである。
「結果」が重要ではないというところで、ユウコのセリフとの類似性も感じられるが、ここで強調したいのは、時空を超越する普遍性こそが、黄金の精神だということだ。

少しネタバレになるが、彼自身もアバッキオも、結局「犯人」に辿り着いてはいない。人生は有限なのだから、諦めなければなんでも成せるわけではない。
しかし、それが「黄金の精神」に基づいた「真実の行動」であるならば、普遍的な黄金の精神を持つ他の、あるいはその次の誰かが、いつかは真実に辿り着く。
超時空的・普遍的な善が、現実を生きる個人の中に息づいている。ゆえに、その行動は必然的に真実に辿り着く。「一切衆生悉有仏性」にも似たこの概念が、『ジョジョ』における人間賛歌の根本思想だといえる。

これにある意味では似て、ある意味では正反対の人間観を持つ作家が、伊藤計劃だろう。
ここでは詳しく述べないが、伊藤の人間観は、「個人に魂は存在せず、人間性はネットワークが落とす影にすぎない」とでも表現できよう。
人間性の本質が個を超越したネットワークであるという点までは、『ジョジョ』の人間観と似てはいる。しかし伊藤にとってそれは、個人が高次元へ接続しうる可能性とはならず、個人の尊厳を剥奪してしまう。
伊藤世界における人間は、偶然人間らしく見えている現象にすぎない。必然性の否定が、既に絶望的な人間性の否定なのだ。
これは、人間の本性が悪であるゆえに、必然的に絶望に辿り着いてしまう、虚淵玄の人間観とも全く異なっている。

アサを襲った残酷とは、まさにこの必然性の否定といえる。
「結果」に囚われない「真実の行動」が、その人間性とは 全く関係のない、完全なる「偶然」 によって、「結果」を押し付けられたからだ。
「揃って生き延びた」という「結果」には意味がない。じいさんが助からなかったことは重要ではない。アサの尊厳は、ヒーローがもたらした「偶然」によって、徹底的に踏み躙られたのだ。

「ネコもいたよ」

この、あまりに残酷すぎる人間否定の物語を一転させたのが、チェンソーマンが放ったこの一言だ。

猫と比べられた人間の命が、少なくともその特権性を否定されたことは間違いない。
しかし、「ネコいたよ」と言ったチェンソーマンが、猫を人間より高みに置いたわけでもない。平等な命の価値は、確かに肯定されている。
そしてなお、チェンソーマンが猫を救うことができたのは、力があったからにすぎない。

だがそもそも、彼が猫を救おうとしたことに、第一部での経験が影響していないはずがない。
ニャーコの存在なかりせば、パワーちゃんとアキとの生活なかりせば、彼は猫を人間と同等に重んじただろうか?
しかし、彼の家族は悪意の暴力によって奪われた。
にもかかわらず、家族がもたらしたものは、彼の中に確かに息づいている。

どれだけ考えても、善を否定する暴力と、暴力を否定する善が、互い違いに顔を出す。
ヒーローに擁護されず、偶然によって蹂躙された人間の尊厳が、しかし、完全に否定されることもない。もちろん、退避される暴力もそうだ。
善と暴力が、ウロボロスのように互いを飲み込み続ける。いつまでも論理が完結しない。

その、この世界のありようを、タツキは絵でもなく、セリフでもなく、クオリアとして脳内にブチ込んできた。

そして、ここにおけるチェンソーマンは、爆発オチと同様の事象でもある。

物語を超克する物語〜『さよなら絵梨』

またここから長くなるのだが、今回のチェンソーマンを語るに当たって、『さよなら絵梨』を無視することはできない。

チェンソーマン』第一部完結から第二部開始の間に発表された短編『さよなら絵梨』は、物語の持つ力を描いた作品である。

冒頭、まず物語のポジティブな力が描かれる。悲しい出来事を昇華し、前向きに生きる力に変え、もって見たものに感動をも与える。
それを爆発オチで台無しにした主人公・優太が、大顰蹙を受けるのはあまりに当然である。
しかし、真相が明かされるごとに、その印象は反転する。
母親は見にくい現実を美しい物語で粉飾しようとし、そのために家族を傷付けて恥じず、死んだあとも呪いを残した。
他者を支配し、都合よく操り、架空の価値のために消費する。 物語が持つ邪悪な力が、そこにはっきりと現れる。

母と同じく死に行くヒロインを撮影することで、この呪われた物語を「語り直し」、自己を再生しようとする試みが、物語の主要な部分になる。
一見して残酷だが、そこには強いられた行為か、主体的に選び取った行為かという決定的な違いが存在する。
まさに優太は自ら望んで、ある種の快楽を伴って絵梨を映像に残し、関係性の構築とともに自己を再構築していく。性的DVとらぶらぶえっちくらい違う。
しかししかし、再度のネタバラシとともに、この印象もまた反転するのだ。

絵梨は吸血鬼であり、生命体としては不死であった。
優太に撮らせた映画は、復活後の自分が「生前」の人格を継承するための、美化された記録映像にすぎなかった。
絵梨の行為が母親のそれよりもおぞましいのは、ただ優太に目的さえ告げずに利用したからではない。
それは、自分自身さえ洗脳し、粉飾し、都合のいい存在に作り替えようとする、最も醜悪な物語の力だからだ。
語り手を支配した物語は、癌細胞のように際限なく増殖し、正常な細胞のふりをして他者にさえ襲いかかる。
自己再生のプロセスを深く共にした異性から、このような醜悪極まる行為を受けることは、人生を台無しにしてあまりある仕打ちだ。

だから優太は、その物語を台無しにした。
爆発オチとは、物語の支配から逃れようとする運動なのだ。

『さよなら絵梨』は、物語を超克する物語なのだ。

物語の加害性〜『ルックバック』

タツキの野郎は、物語が持つ邪悪な力を、自分が生み出す物語が有する鋭すぎる刃を、かなり自覚していると思う。
それは、「漫画家漫画」である『ルックバック』からも見て取れる。

京本を殺した男は、藤野にとっては圧倒的な理不尽だが、京本にとっては、自ら作り出した物語によって狂ってしまった、邪悪な物語の奴隷だ。
優れた物語ほど、読者の内なる物語に強く働きかけ、自家中毒を起こさせる力をも持ち得る。
「物語の支配」という見方をすれば、『ルックバック』には『さよなら絵梨』と極めて似た部分がある。

タツキが自身の危険性をハッキリと意識したのは、アキとパワーを死なせた時ではなかっただろうか。
あるべき結末のために、二人の死を描くことは必要なことではあったが、それは、あまりにも読者を傷付けすぎた。
今になってファミリーバーガーのくだりを読み返すと、ある種の「焦り」のようなものを感じなくもない。ギャグでなんぼか中和しないと、まずいことになる──といったような。

チェンソーマン』第一部完結後のタツキは、立て続けに短編を発表するが、そこにはほぼ常に、物語からの離脱力が見て取れる。
二人で共有した物語に引きずられず、自分一人だけの物語を生きることを描いた『ルックバック』が、無視できないほどの自家中毒を撒き散らしてしまったことは皮肉だが、タツキはそこで挫折することなく、さらなる「実験」を展開してゆく。
その極北が『さよなら絵梨』であることは先に述べた通りだが、本作には、これ自体もまた物語であるという決定的な矛盾が存在する。
二回目のネタバラシから、段階的かつ急進的に非現実度合いを増していくことは、「こんなまんがにまじになっちゃってどうするの」という『たけしの挑戦状』メソッドであったかもしれないが、このやり口は、「物語に囚われたままの読者を置き去りにする」という邪悪さを発揮してしまいかねない。

物語の相克、そしてアート

しかし今回のチェンソーマンは、ザボエラ基準で言っても完全な「改良」に達している。

「ネコがいたよ」によって、物語は暴力と善が互いを飲み込み合い続ける相克を形成し、円環として閉じる。
朝と夜のように、チェンソーの刃のように、それは回転し続けて終わりがない。

一見すると、これは物語からの離脱には反するように見える。しかしそもそも、人間は物語の、心理学的に言えば神話の中を生きているではないか。
「物語を捨てて現実に帰れ」というテーゼは、残酷なのではなく不可能だ。人が帰る我とは、オタクやメンヘラや信仰者でなくとも、常に何らかの物語の中でしかない。

今回のチェンソーマンを読み終えて、僕はなにやら心が軽くなり、元気が湧いてきた。

描かれているのは、身勝手に残酷で気まぐれに美しい、なんら粉飾されていない世界のありようでしかない。
それがよかった。「世界は残酷だ」と言うことからも、「世界は美しい」と言うことからも、解放されたような気分だった。

ひょっとして、これがアートとか言うものなのか、と僕は思った。
五感への働きかけを超えたクオリアで、人の心へ働きかけ、 解放し、エンパワーメントする。 これこそがアートなのではないか。
それだけがアートだとは言わないまでも、アートとして最上のものであることまでは、疑いないように思われる。

これを計算ずくやっているなら、ファンを通り越して信者になるしかないのだが、さすがにそこはまだ疑っている。
しかし、再現性の有無でいうならば、ここに至る「発展」は確かに見て取れるのだ。
充分な準備期間さえ与えれば、この程度は何度でもできてしまうのではないか──そんな恐ろしさを感じる。
そしてまた、タツキの野郎が全く同じことを繰り返す類いの作家ではないことは、もはや明らかだろう。

走り続けるチェンソーは、一体どこまで突き抜けてしまうのだろうか。

なろう評論会「温泉卵作品について」

『我にチートを』人妻?未亡人?愛人?

もりやん

我にチートを』1日で読み終えて『俺のロボ』をもりもり読んでますよ。

singingroot

いやあれ結構分量あったような……?
まあ月イチ更新なのでめっちゃ進行遅いですが。

もりやん

結構時間取られましたねw
いやあなにか、死ぬほど面白くて止まらないっていうんじゃないけど、ついつい止まらなくなるタイプの作品ってありますよね……。

singingroot

温泉卵氏のはそういうタイプの作品ですねー。

もりやん

そしてノクタだけど一般レーベルなんですね。実際その方がいいと思うけど。

singingroot

まあエロ要素とか絶無に近いので。 植田亮絵でしたっけ。

もりやん

ですね。

singingroot

まあニーナさんとのエロは……あったらあったでありがとうございますなんだけどまあないだろうし、それでいいんだうんうんみたいな感じですね。

もりやん

まあ現状ニーナさんがアレなので、当面はアレですが。
エロでいうとアリさんの秘部アーマーがシャコンと開いて、これ下手したらちょん切れるな1ってあたりがフェティッシュでよかったですね。

singingroot

いや分からんでもないですけど、そこかーw
個人的には精霊たちとの関係が好きかな。

もりやん

エロという意味ではなく、なんというか「大人の小説」という意味では、そこですね。
後に「あれが理想のハーレムだったよなあ」って思い返すあたりが好き。

singingroot

年齢制限ある方でないとできない表現ってのはそうですね。

もりやん

"異世界は人妻とともに #イセヅマ"とかいうネタも自分で考えていたので、最初はイセヅマになるものとばかり思ってましたが、まさか人妻ヒロインがフロリア先生で打ち止めとは……。

singingroot

まあでもヒロインがほぼ「いわゆる小娘キャラ」じゃないってのはそうだとは思います。

もりやん

ふたりとも人妻になった百合コンビもいましたけどねw

singingroot

精霊sにも未亡人はいましたよね、確か……マジでうろ覚えですが。

もりやん

水の人ですね。正確には昔男はいたけど根性無しでセックスするまえにフラれたから処女2。結局ドラゴン含めて全員処女でしたからね。

singingroot

そか、そうするとあんまり人妻感(?)はないかもですね。

もりやん

フロリア先生も、未亡人みたいな後腐れのなさっていうか、人妻が一番後腐れないって設定ですからね。だからイセヅマなのかと思ったんだけど……。

singingroot

そういう世界観ですからね。

もりやん

意外とエリンさんがやらせてくれないのよなあ……。

singingroot

うーん、そこは個人的にはあんまり意外ではないかもですねえ。
なんだろ、性交渉にギブアンドテイクみたいな感覚があって、そこでエリンさんに何かを提供できる感覚がないから……なのかなあ。

もりやん

まあ意外ではないけど一番色気を感じるじゃないですか!

singingroot

そこはでも、一番色気を感じる相手だからヤる、ヤれるっていう世界観じゃないじゃないですかw

もりやん

それは言えてるw
なんだろ、性交渉というか、愛人関係を描いてる作品ですよねこれ。

singingroot

現代日本的な意味での恋人じゃないですね。

もりやん

エリンさん、農園に引きこもってて子供たち以外とあんまり交渉がなさそうだから、したいときに訪ねたらやらせてくれそうなところも込みでイイんですけどねえ……。
逆に、現地妻抱きにじゃなくて仕事しに試練の谷行くのほんとサイテーと思いますけどw

singingroot

あれはなあw
あくまで個人的な感覚だけど、エリンさんを訪ねてやらせてもらうとして、そこで相手にもなにかしらをあげられるんだったらそういう展開もありかな、っていう感覚ですね、やっぱり。

もりやん

エリンさんが明らかに男を求めてないですからねえ……。
あと、百合夫婦を抱きに行ってる形跡がないのもサイテーだと思う。

singingroot

恋人じゃなくて愛人だよって話と関連しますけど、相手が好きだよって気持ちに基づいた関係とはいい難いですからねえ。
相手への好意を示すっていう儀礼があんまり重要視されないという。

もりやん

抱いたら好きになっちゃうけどw

singingroot

うん、内面の気持ちとして好きは好きなんだけど、関係性としては、好きを全面に押し出すものとは違うという。 そこは、内面の気持ちとして好きは好きなんだけど、関係性としては、好きを全面に押し出すものとは違うという感じかな。

『我にチートを』ニーナさんとの関係

もりやん

ああ、そういう意味では、ニーナさんを抱いてないってのがやっぱ構造的に重要なんだな。
主人公から唯一好き好きアピールを受けてる存在が、でも抱かれてはいないっていうバランス。

singingroot

いやそれはもうすごくすごく大事なことですよ。
ニーナさんが復活して、そんでじゃあどうなるんだコレって思いますもの。

もりやん

心の妻>思い姫>現地妻というか……。

singingroot

明らかに心の妻なんだけど、そう宣言してはいないんですよね、あくまで心の中だけで……。
それどころか、地の文でも明言してないんだったかな? してましたっけか。

もりやん

してないっぽいですね。好きって気持ちより、ニーナさんを失いたくないって気持ちが前面に出てますからね、やっぱり。「そばに居てくれれば満足」ってのと、実際問題消滅の危機ってのと、両面で。

singingroot

それはありますね。だからこそ、復活しちゃったら二人の関係がどうなるのかが予想がつかない。
まあ勢いで告白まで行っちゃうなら分かりやすいですけど、この二人がそうなるかあ?という。

もりやん

ニーナさんの側が、人形姫としての使命感で、ご主人様を卒業させないとみたいなところがありましたけど、それがなくなってどうなるかってとこですよね。これはどっかで主人公も言ってたけど。3
ただ、ニーナさんがご主人様に会えない期間でかなりこじらせてる感じがするので……。

singingroot

そこも気になりますね。会おうとしたらめっちゃ照れてて会えない、みたいな感じでしたっけ。

もりやん

いや、培養槽で全裸だから、恥ずかしくて見られたくない的な感じでしたね。肌を見られるとかいうより、「お見せできる状態ではない」的なニュアンスで。

 どうも裸だけじゃなくて、培養槽に浸ってる姿を見られたくないようなんだよな。女の子の考えることはわからん。 (我にチートを - ラブレター

singingroot

ありがとうございます。この辺読んで、ニーナさんの心理を脳内補完したのがうろ覚えになってたっぽいですね。

もりやん

ここ非常に印象的なところで、たぶん「元はウッドゴーレムだから恥ずかしくないけど、自分の肉体だと恥ずかしい」っていう要素と、「ご主人様を意識し始めちゃってるから恥ずかしい」っていう要素が、従来の関係性との変化としてありそう。

singingroot

関係は明らかに変化してますからねえ。
ともあれこの作品はニーナさんの存在感が(かなりの期間不在なのに)すごく大きいので、そこどうなるかは本当に気になるんですが……いつ復活するのかな、リアル時間で……。

もりやん

来年中くらい?w

singingroot

それは早いほうだと思う(真顔)
まあでもエタらないだけめちゃくちゃエラいんですけどね。尊敬してますよ温泉卵先生は。

もりやん

それも言えてるw

『俺のロボ』タイトル反省会と「分かる」瞬間

もりやん

んでねー、『俺のロボ』も基地出張編くらいまで読んだんですけど。

singingroot

はやいw

もりやん

まず両方共タイトルをあと5分考えろとは言いたいw

singingroot

www

もりやん

見た目のつまんなさそうさが半端ないw 内容が何一つ伝わってこないですからね。
「人形姫」「近接さん」というワードまでたどり着くとだいぶ見えてくるんですが。

singingroot

まあそこはこう、逆張りとまでは言わないにしても、ちょっとタイトルを飾るのが恥ずかしかったのかなみたいなゲスパーをしてますが。
しかし考えてみると、『我にチート』を、書籍版でもタイトル変えなかったの蛮勇ですね。

もりやん

『残念勇者と人形姫』とかだったらもっと早く読んでたよw
んで、たぶんそれぞれのテーマっていうと我チは「文明」で俺ロボは「エスパー」だと思うんですけど。「人形姫」と「近接さん」というワードからはその片鱗くらいは感じられる。

singingroot

そこは……でもそれを言い出すと、タイトルはテーマを反映すべきか、というかそもそもテーマを大上段に提示すべきかみたいな議論にも入ってきませんか?
まあ提示した方がキャッチーなのはその通りだとは思いますが。

もりやん

まあそうなんだけど、もうちょっと面白そうなツラしてないと俺が見つけられないだろ!!

singingroot

まあ何もかもまず読まれないと始まらないってのは正論ですからねw

もりやん

ていうか、俺ロボ最初わかんなくて一回切ったんですよ。こないだ紹介されてから。

singingroot

ほほう。

もりやん

我チのほうがちょっと良さがわかりやすかったんで、そっちは読み切ることができて、それから俺ロボに戻ったんですけど。

singingroot

ちなみにどの辺で切りました?

もりやん

6話くらいかなあ……?

singingroot

あー、ゲーセンでゲームやってるだけのとこ
そもそもザック氏がどんだけ人外かとかあまり明かされてない時期ですかね。

もりやん

惜しかったんですよね。もうちょっと読めば主人公がある種の超人だってことが匂ってきたんですけど。ギャランティが入るあたりで。
まず自分がスーパープレイを連発してることに気づいてないんだもんコイツw

singingroot

そういう作品だしこういう序盤だからこその味ってのはありますけど、まーとっつきにくいですよね実際。

もりやん

あのへんで、「これって弾道予測線を予測するゲームでしょ?4とかのたまってるレベルの狂人だということが読者にもわかってくるんですけどw

singingroot

『我にチートを』と違って周囲に親切な女性がだいぶ少ないってのはあるでしょうね。

もりやん

ベティちゃんだけだからなあ……w

singingroot

狂人ザック氏がつらつら一人称で語るんですけど、それをフォローしてくれるヤツがいないという……。
オッサンだからか、オッサンだから悪いのか。

もりやん

ちゃんとパンピーのオッサンが「あんなことは常人にはできないから!」って言ってるんだけど、まあ「言っちゃ悪いけど、君らのレベルが低すぎるだけでしょ?」というふうにも読めちゃうしw

singingroot

そこはただ、ザック氏の世界ではそれは事実なんですよね。
あの一人称の世界では「ザックは超人じゃない」ってのは普通に事実で、だけど他人の世界からするとそうじゃないんですよ、多分。

もりやん

親切な女性っていうか、女性プレイヤーというか、とにかく女の人がゲームのうまさを褒めてくれないのが悪い!
リンリンもただの傭兵だからそのへん全然わかってないし!

singingroot

ニンジャマスターとしての強さは認めてるけど、ザック氏の方はその認識に困惑してて、すれ違ってる感じですかねえ……。

もりやん

ソードアート・オンライン』だったら、アインクラッドのアイドルアスナちゃんが構ってくるから、タダモンじゃあないんだなってすぐわかるじゃないですか!
まああれも、強かったからじゃなくて昼寝してたからなんだけど……。

singingroot

SAOは確かにそーゆー構造ですねえ。

もりやん

「リアルで傭兵が驚くレベルの運動性能を発揮できる」という表現も充分異常さは伝わるんですけど、それが価値保証に繋がっていないところがミソなんだよねえ。

singingroot

SAOってキリトさんがアスナさん達に引っ張られて世界と関わるようになるっていうモチーフが一つあるわけですけども。

もりやん

それは『アクセル・ワールド』でも似たような構造ですね。

singingroot

さっき書いたことにも関連しますけど、本作には「世界」っていう場所は、少なくとも目に見えるものとしては描かれない構造になってると思ってるんですね。
あくまでザックの目から見た世界、リンリンの目から見た世界、ってのがあって、それらは融け合わない。

もりやん

「世界」っていうか、語弊を承知でいうと「世界ランキング」っていうか?

singingroot

うん、そういうのも含んでの話です。

もりやん

共通する価値観……価値軸?のことですよね。

singingroot

そうそう、もりやんさんのおっしゃった「価値保証」ってのは、成立し得ない。共通市場がないから。
金銭感覚が崩壊してるじゃないですか、作中でも。共有できる価値観、市場がないんですよ。

もりやん

SAOの場合、「アスナが気にかけてる」から始まり、「あの世界でも最強クラスの戦力」っていうのが提示されて、最終的に「アインクラッドを攻略しうる切り札」ということがわかるわけですが。
何より、まず、モテるということが一番大事でしょう。やっぱり。

singingroot

それがキリトさんの価値を保証している、という意味で、ですよね(こう言うとすごいゲスくなる……)

もりやん

まさにそうです。美少女本位制ですよ。

singingroot

やめれやwww

もりやん

そこをすっ飛ばしているので、何億円稼いでも読者としても実感が得にくい。

singingroot

読んでて結局なんなんだ?ってなりますよね、実際。
基地編とか、最後まで読んで、結局なんなん?ってなりますもん、本当に。ベティさん出ないし
そういうとこ、個人的には嫌いではないのだけれども、とっつきにくくはある。

『俺のロボ』ゲーマー文芸、『ウメハラ』との比較

もりやん

……その辺、僕がずっと考えてるゲーマー文芸論の骨子でもあるんですけど。

singingroot

ほほう。

もりやん

Twitterで書いたのはこのへんなんですけど。

singingroot

ものっそ流し読みして、梗概は把握です。
多分昔読んだと思うし、普通に話としては分かりますし。

もりやん

僕と彼女のゲーム戦争』とかも、ゲーム頑張ったら美少女にモテる話なんですよね。
んで、実際プロゲーマーが誕生してきた世相との絡みなどもありまして……。

singingroot

ここで言うゲーム文芸論は、ゲームを題材にした文芸において、いかにしてゲームをやることに対して意味付けを行うかの、みたいな把握でいいですか?

もりやん

だいたいそうです。あと、ゲームの社会問題化に対して、あるいはゲームという文化が直面する問題に対して、文芸はなにができるのかみたいな話でもあります。
僕の基本的な考えとしては、ゲームの根本的な楽しさは無価値さ=社会的価値観からの切断そのものであって、無価値だからこそ自由だし、あるいは無価値なものに勝手に価値を見出すことに意義がある。
マルドゥック・スクランブル』でも、人間に価値があるのではなく、人間が価値を生み出すのだ5みたいな話がありましたけどね。
んで、MMORPGというものは一度そういう無価値の価値を破壊してしまったと思うんです。アレはプレイヤーが支払う時間コストに対して、保証を与えつつもダンピングを行った。
つまり、プレイ時間を投入することである程度他のプレイヤーに対してデカいツラができる、といった形で。
一方で、月額課金制なので大量の時間コストを投入しなければ相対優位に立てない。立ちようがない。ここでプレイヤーは自ら価値を規定する権利を手放してしまった

singingroot

その辺りの把握には同意です。

もりやん

「ゲームで強くなればモテる」という文学の成立は、ゲーム内のバーチャルな人間関係の成立という要素に加えて、このようにゲームそのものの価値ではなく、ゲームによって得られる現世利益が求められる状況があった。
この点はソシャゲも似たような構造にあって、時間ではなくカネを投入することでデカいツラができるってのがある。 んで、そこでいわば古典回帰派ゲーマー文芸があると思っていて、漫画『ウメハラ』がそうですし、たぶん『連射王』もそう。
単純に舞台となる時代が古い分『ウメハラ』がわかりやすいと思うけど、誰にも認めてもらえないけど自分の満足のためにやる、相手に「わからせる」ために戦う。
互いに納得いく形で決着を付けようみたいな美学は俺ロボにもありますよね。ちょっとはw

singingroot

んんんー……ゲームでモテる話と、『ウメハラ』の間に対立構造を見てます?

もりやん

対立というより時代の変化かな。「今は『ウメハラ』の時代じゃない」ということは厳然たる事実としてある。
現代における文芸の派閥としては対立関係に近いと言えるかもしれない。
んで、僕個人の考えとしては、「現世利益を求めるためのゲーム」という思想はゲーム文化を衰退させそうなので、文芸としてはゲームそのものの「無価値の価値」をどうにか称揚しなければならないと思っている。

singingroot

個人的にはそこはちょっと納得がいかなくて、ええと。まず主人公が『ゲームをやってること』が誰かに受け入れられないと、なかなかエンタメとしては成立しない。
で、『誰に受け入れられるのか』っていったときに、それが美少女か、同好の士であるおっさんか、っていうとこに、区別を持ち込むことにあまり意義を見いだせないというか。
ウメハラ』って、再発見だと思ってるんですよ。「美少女がゲームを認めてくれる」作品が出てきたんだったら、「おっさん同士でゲームを認め合う」作品があってもいいじゃん、みたいな。

もりやん

それは、同好の士のおっさんの価値はゲームに担保される価値ですが、美少女はゲーム関係ない価値だから違うという考えです。

singingroot

ええと、想定してる作品がなにかにもよると思うんですが、例えば『僕と彼女のゲーム戦争』だったらゲーム上手い(没入という異能がある)とこにモテる一つの鍵があるわけですよね、そこはゲーム関係ない?

もりやん

モテる理由がゲームの上手さじゃなくても、モテる嬉しさは変わらんよね」……と言ったらいいかな?
もちろん、自分の一番の(唯一の)長所を認めてもらえれば、それはそういう気持ちよさもあるわけですが。

singingroot

ああいや、そうか、もりやんさんが価値って言ってるのは、「作中人物が主人公orゲームに対して感じてる価値」のことじゃなくて、「読者が主人公がゲームを通じて得たものに対して感じる価値」のことなのか。

もりやん

そうですね。んで畢竟、SAOを代表とするMMORPGネタの作品の多くは、「ゲームを通じてモテる話」、つまり現世利益であって、ゲーマー文芸としては不純だという考えです。というか、現世利益を提示するからこそMMORPGがネタになりやすいのだと思っている。
ソシャゲの世界に入るやつも、やること変わってへんし。

singingroot

そうだなあ……うーん。
だとすると、むしろ俺のロボに関しては、第三の分類だと主張したくなるかもしれない。
「ゲームやってることを認められなくてもいい」と「ゲームやってることを同好の士以外には認められなくてもいい」には相当な差があって。
俺のロボは前者の価値観だし、『ウメハラ』は後者だと思うんです。

もりやん

まあそこは、『ウメハラ』では実際ゲーセンの人間関係が心地いいと書かれてはいる。

singingroot

互いに納得いく形で決着を付けようみたいな美学は俺ロボにもありますよね。ちょっとはwっていう風に仰られてましたけど、確か、俺ロボでは、その美学は相手には受け入れられてなかったんじゃなかったかなあと。

もりやん

そうですね。互いの了解すらない。そこは明確に違う。

singingroot

あくまでザック氏の中でだけある話で、しかも本人がどこまで本気かも明確ではないような。

もりやん

そこいくと、ナラケンとか完全にツンデレですしね。

singingroot

実質美少女では?

もりやん

ただ、認めてくれる相手がいうてもナラケンというところはやっぱりSAOとは違うw
というのは、主人公であるウメハラ自身、(少なくともあの時代において)そういうプレイヤー同士の絆みたいなものを全肯定できていない。
無価値であることがわかっていて、それでもなおそれを選ぶ、あるいはそれしか選べない。そこがキモじゃないですか。 ナラケンもいなくなっちゃいますしね。BeasTVに出てたけどw6

singingroot

その点でSAOと違う点のある作品であることは分かります。

もりやん

僕としては現世利益を求めるかどうかってところでひとつ分けておきたい。

singingroot

私はあんまり、なんだろう、ゲームが無価値だと世間から思われてるっていうのを、あまり内面化してきた経験がないんですよね。
だからピンと来ないのかもしれないけれども……。

もりやん

ゲームやってて親に怒られたりは?

singingroot

いやあんまり……割と放任気味というか、私が他人の視線ガン無視だっただけかもですがw

もりやん

なるほど。僕はあります。そこはけっこう受け取り方が違いそうですね。
ましてや、『ウメハラ』はゲーセンが「不良の溜まり場」だった時代ですからね……。

singingroot

そこの空気感が分からない人間には結構分からないんですよね、多分。
だからこそ今『ウメハラ』っていう作品が成立してるんだとも思ってますが。本当にゲーセンが不良の溜まり場だった時代だったら成立しない、的な意味で。

もりやん

第1話で長々やってますけど、今やウメハラは実際にゲームで生活してますからね。

singingroot

そこはだから、今さらそういう話をやるのって……なんかちょっとズルいなあ、という若干言いがかりに近い感情はなくもなかったりしますかねえ、いやマジで言いがかりですが。
ただしウメハラ姉は可愛い。

もりやん

ムダヅモ無き改革の女性キャラのような可愛さある。
あんなイイ女なんですかねウメハラシスターw

singingroot

気の迷いで"ウメハラ 姉"でググったことはあります

もりやん

あ、結果は言わなくていいw

singingroot

いやなんも情報なかったですよw

もりやん

それも含めてだようw

singingroot

すまぬw
ともあれSAOと『ウメハラ』の間に差があることは分かります。で、同時に、『ウメハラ』と俺のロボの間にも断絶があるよね、というのが個人的な立場ですね。

もりやん

まあ偽史的な言い方をしちゃえば、MMORPG以前の価値観っていうところで、「誰もゲームの価値を保証してくれない時代」があって、基本的に『ウメハラ』はその時代の価値観を描いていると思っている。
ウメハラ』、ヌキ(セイヴァー・ZERO3)編とナラケン(スト2)編があるわけですけど、結局比重が大きいのは後者なんですよね。 んで、ヌキ編は全国大会だけどナラケン編は野試合。
いちおう時代考証的にはすでに全国大会があって、賞金とかも出るには出ていたんだけど、それで世の中には認められないっていうのがテーマで、それをより深く抉ったのが互いの納得だけの戦いを描いたナラケン編であると。
そういう意味では、俺ロボは時代的にはMMORPG以降、バリバリのプロゲーマー時代で、世の中には認められるしカネももらえるし人より贅沢な生活すらできる、でもそこに自分で価値を見いだせないっていう話ですよね。
付け加えると、MMORPGの登場によって「ゲームに自分の価値を担保してもらえる」という概念が現実味を帯びてきて、そこから「ゲームを通じてモテる」という妄想が生まれた。
そして、プロゲーマー時代では、それが妄想でもなんでもなくなりつつある。という感じですね。「現世利益」という軸で考えると。

singingroot

ううむ、話は分かるんですけど、そこの時代を描いた作品として俺のロボを位置づけると、興味深いんだけど話が結構ややこしくなりますよね。
プロゲーマー時代は「誰とも分からない群衆」にはゲームの価値を認められはするけど、それはある意味ではほとんどのパンピーにとっては価値を認めてもらえないのと同じだし、というのはいいとして。

もりやん

まあ、野球選手と同じなら充分ですよね。
これは俺ロボはいったんおいといての話ですけど。競技で成功すれば社会的にも成功者とみなされる、と。

singingroot

俺のロボ置いとくなら、その辺りの筋には同意です。

もりやん

あしたのジョー』の紀ちゃんだって、今やボクシングに捧げる青春を「くらすぎる」とは言わんでしょう。そういう違いですよね。7
青春と呼ぶにはあまりにもくらすぎるわ!
んで、俺ロボの「時代背景」をいうなら、基本的にはゲームで成功者になれる時代ではある。ではあるんだけど、ガーディアントルーパーズがゲイツ8の作ったある種のオーパーツだってのがちょっと……ズルいところでw
ガーディアントルーパーズが現役じゃなくなったら、また別のゲームで稼ぐ、っていうビジョンが全く見えてこないんですよね。

singingroot

いやまあそもそも成功者の意味が明らかに違いますよね、いわゆるe-sportsという言葉で普通イメージするものとは。
ビリー氏にお金もらうのと、EVOで優勝して賞金得るのとでは、何もかもが違いすぎる……。

もりやん

そう。野球の一流もサッカーの一流も、どちらも超人であり金持ちで、e-sportsが完全に成立すれば、やってるゲームがなんだろうが同じように認められるはず。でも、俺ロボのそれはビリーのオモチャでしかない。
ただ、本質的に重要なのは、ザック自身にその気がないという点だと思うんです。詩的にいうなら「旗を揚げる」気がない。
それはビリーが信用できないとか、兵器開発に流れ込むカネだからとかじゃなくて、単に個人の価値観として興味がない。能力を最大限に発揮しようとか、要はモテようとしていない。
じゃあなんのために彼はゲームをやるのか。最初はただのストレス解消でしょうけど、今やリンクスと添い遂げるため……じゃないですかね? つまり俺の嫁はリンクス。

singingroot

ああ、そこに話題がやってくるんですね。

もりやん

そう。んで、その観点からして、「プロゲーマー時代」であることも、「ガーディアントルーパーズがオーパーツであること」も評価できると思っていて。

『俺のロボ』ガーディアントルーパーズはゲームじゃない?

もりやん

つまり、この時代って、ゲームでセックスができる時代なんですよ!!
言い直すと、生きがいになりえるほどの体験が得られるレベルの高品質なゲームが実在している……ってことです。そういう意味では、本質的にゲームというよりVRを描いていると言っていいかもしれない。

singingroot

ああ、その言葉がもりやんさんから出てきてよかったです。
いやさっきから、そもそも俺のロボで描いてるものをゲームと呼んでいいのかってことを言い出そうかちょっと迷ってたので。

もりやん

そこ結構重要だと思いますね。

singingroot

ゲームという言葉は割とバズワードに近いとこもあると思うんです、いろんなものを含んでしまう。電源ゲームでも、一人用とか対戦ゲーとかあるし、一人用でも対戦できたりする(RTAとかスコアアタックとか)。

もりやん

そうですね。僕が言ってるのは基本的にコンピューターゲームのことではあります。個人的には非電源ゲームも嗜むんですけど。

singingroot

だからまあ別にガーディアントルーパーズだって何だってゲームって呼んでもいいっちゃいいんだけど、ただ、格ゲーでe-sportsだーっつって言ってるものとは、それはかなりズレたものなので。そこでガーディアントルーパーズも格ゲーも全部引っくるめて単にゲームって呼んじゃうのには結構難しいものがある。

もりやん

俺ロボっていうか、ザックにとってのガーディアントルーパーズは、実は水口哲也文脈9のゲームかもしれないw

singingroot

ゲームってすごく広い概念なんだけど、ある意味、以前はそこに「他人に認められないもの、無意味なもの」っていう共通項があったんでしょう。
だからこそもりやんさんは、そういうものじゃなくなりつつある「ゲーム」に対して、いやお前は本来そういうもんじゃなかっただろう、と言っているのかな、とも思う。

もりやん

まあ、ゲームやってモテるような話読むと、「他人に認められなくなったらやらないのか」とは言いたくなる。

singingroot

ただ、世間が認めるか認めないかと、それが椅子の前に座ってレバー握って対戦できるツールかどうかっていう物理的な性質は、別々のことなので。
後者の特徴を捉えたら、ガーディアントルーパーズは「ゲーム」なんだけども、前者の意味では「ゲーム」なのかなんなのか、まーよくわからんものになってますよねと。

もりやん

そういう、「ゲーム」を取り巻く社会的側面からアプローチするなら、非電源もマンガもアニメも同じだろって話はあるんですよ。
ただ、あえてコンピュータゲームを対象にしていることにも意味はあって、ゲームは元々原始的なVRだったと思うんですよ。
感覚フィードバックはないんだけど、I/Oはあって、それはVRの最低限の要件ではある。んでまあ、VRであることによって人は「勇者になれる」わけです。

singingroot

そこに、ここでいう「ゲーム」特有の価値の淵源がある?

もりやん

そうですね。今日僕が言ったようなMMORPG前後に限らず、ゲームの進化史は「誰でも勇者になれる」ことへの道であったとも言えるわけです。RPGが圧倒的に遊ばれてるのって、誰でも「強くなれる」からですよ。
ただ、そこで得られる「強さ」はどこまでもバーチャルなもので、誰にも認めてもらえなかった。それがゲームの限界であり価値でもあった。それが近年は違ってきている。ってことです。
そうそう、「トレーニング用シミュレーターとしてのゲーム」っていう文脈も入ってるんですよね明らかに。リアルの肉体でもある程度強くなれてしまうVRお手玉やると、本当にお手玉できるようになるそうですよ。10

singingroot

なるほど、その勇者になれることを以てゲームと呼ぶのであれば、ここまで話題に挙がってきた「ゲーム」を全て包含する定義だと言えると思います。
ただ、その「勇者であること」を誰が認めてくれるのか、その形はそれぞれ違う、ということなのかなと思います。

もりやん

ウメハラ』の最高にエモいところって、ウメハラの「強さ」を本当に理解できる男が、唯一ナラケンしかいないところですよね。いやオゴウさんとかもいるんだけどw

singingroot

そこはなんだろ、本当に理解してるかとか、本当に強いかどうかってのはどうでもよいってことだと思いますね。
眼の前で対戦してる相手にしか、「勇者であるウメハラ」は見えない。
外野にとって「勇者であるウメハラ」は、ある意味では存在しない(本当には見えてない)んだと思うので。

もりやん

いや、実際に戦ってすら、レベルあるいは価値観が違う相手にはわからないってのが重要だと思う。

singingroot

ああ、それはそうですね。「眼の前で、同じレベルで、同じ価値観で」対戦できる相手としか、ゲームの中でお互いを勇者として認めあえない、という方が正しいのかなあ。

もりやん

しかも、認め会える相手が出てきたら殺さなければ収まらないw

singingroot

そうじゃないとお互いが勇者になれないですからねえ。

もりやん

んで、俺ロボでは、リアルの肉体ですら明らかにおかしいくらい強いのに、モテないw
さすがニンジャマスター……じゃねえ、お前の言うべきことは抱いて以外ねえんだよw

singingroot

その結論に戻ってくるんですねw

もりやん

なんだけど、そこが俺ロボですよね。「実際に稼げる」し「実際に強い」のに、モテないしモテようともしない。
これはそういう意味で未来を描いていると思う。今はまだe-sportsは未熟だし、ゲームで成功者になることは社会的に現実的な道だと思われていない。実際に生活できてるプロゲーマーなんて、絶対プロ野球選手より少ないわけですから……。
ただ、ゲームで本当に成功者になれるようになっても、成功者になることがゲームの目的では、必ずしも無い。
俺はリンクスさえいてくれればそれでいいっていう話じゃないですかw

『俺のロボ』リンクスorベティ

リンクスとはどんな存在か?

singingroot

逆に、そうだなあ、リンクスがいなくなったら俺は駄目だ、みたいな話であるとは思いますか?
個人的にはちょっとそういう感覚がなくて。

もりやん

つまり、リンクスのおかげで自己肯定できてる、みたいな話ですかね?

singingroot

単純に――そうだなあ、ええと、多分私は、そもそもザック氏がガーディアントルーパーズを通じて自己実現/自己肯定をしてると読んでなかったんだと思います

もりやん

あとで補足しますが、それは僕もそうだと思います。

singingroot

だから、リンクスがいなくなったら彼の自己肯定感がなくなる、という読みをしているのか気になった。

もりやん

そこはね、たぶん自己肯定感ではなく幸福感なのではないかと思う。ざっくり言えば。

singingroot

ああ、なるほど。であれば彼は確かに幸福感を得ていますね。

もりやん

言うなれば、人生のプラマイゼロではなくプラスアルファ。

singingroot

そして、もしガーディアントルーパーズがなくなっても、幸福感は減りはするかもしれないが、それで決定的に空虚になるわけではない。

もりやん

そうですね。そういう意味でザックのキャラクターのコアの部分って、ブラック企業に勤めていながら別にへこたれてないところだと思うw

singingroot

別にブラック企業に勤めてても秒で億の金を稼いでてもテンション変わんないですからね、なんだったら……。

もりやん

ただ、人生においてただひとつの何かを選ぶとすれば、いわば伴侶を選ぶとすれば、彼にとってそれはリンクス以外ないのではないか。
ああそういえば、うたねさんは俺ロボのメインヒロインはベティだと仰ってました11けど、それは違うと思いますよ。リンクスですよ。

singingroot

なんか繰り返しみたいな話になって非常ーに申し訳ないんですけど、伴侶って言った時に、そこで、失いがたきもの、っていうニュアンスがどのくらい含まれてますか?

もりやん

あんまり含んでないですね。だって嫁に先立たれても人生は続きますから。そのくらいのニュアンスです。
ただ、他の嫁を取る気もあんまりない、と。

singingroot

なるなる。であれば話は分かります。
そうだなあ……ただ、まだリンクスに対する思い入れがどこまでっていうのは、理解はできてないと思います。

もりやん

いやまあそれは僕も言い方が不十分ではあって、まずもってリンクスって基本的に複製可能な存在ですしねw
揉めるおっぱいとしてのリンクスというか、操作する体験も含んだ存在の呼び方としてのリンクスですね。

singingroot

ガーディアントルーパーズそのものの、表象、みたいなことですか?

もりやん

いや、ゲームタイトルとしての『ガーディアントルーパーズ』ということではないですね。その中でリンクスという機体に出会って、練習してうまく動かせるようになってきたっていう体験が重要で。

singingroot

ああ、すみません。言い方が悪かった。ガーディアントルーパーズを通じた体験すべての、表象、と言うべきでした

もりやん

いやー、やっぱりそういうことではないですね。例えば対戦相手の想い出なんかはここでいう「リンクス」には含まれないと思うし。あくまでも「リンクス」と共に乗り越えてきた想い出たち……ってことで。
ざっくり言って、「機体性能+操作体験(感覚)+ベティちゃん」=リンクスですかね。

singingroot

なるほどなー、いや段々感覚が分かってきた気がします。

もりやん

ベティちゃんがいい感じにサポートしてくれるから気持ちいいセックスができるってのもあるわけでねw
「俺のリンクス」と「他のリンクス」との差異は畢竟ベティちゃんだっていうのもあるし。機体そのものには個体差とかないわけですから……。
ただ、ベティちゃんがリンクスの人格とか、魂だってことではない。バーチャルな肉体あってのリンクス。

singingroot

なんだろ、私は読んでた時、リンクスっていうのは、愛着と思い入れたっぷりの、愛機、という認識だったんですよ。どこまでも道具というか、自分の技術の延長にあるものというか……だからリンクスは大したことじゃないって言いたいわけじゃなくて、他者じゃない、というか。
嫁、というのに、結構違和感があったのは、それもあったのかな。
逆にベティちゃんは、割と他者っていう感覚だったんですね。ザックの身体/精神の外側にいる存在、という認識だった。
どっちが親密かというと、確かにもりやんさんの言う通り、リンクスの方だと思います。

もりやん

そこはまあ、クルマや船に女性の名前を付ける精神みたいのもありますしね。
あと、ベティちゃんがけっこうシビアにAIとして描かれてるのも重要だと思います。めっちゃファジーだけど、心があるとかじゃなくあくまで超高性能なAIという感じでしょう。

singingroot

うん、そうですね。

もりやん

そういう意味で、ザックが平気でメイドロボを弾幕に突撃させる野郎だというところも重要w12

ベティこそ俺の嫁なのか?

singingroot

でも、自分でもこれは無茶言ってるなという気もしますが、だからこそベティちゃんはヒロインなのかなという感覚があった。

もりやん

だからこそというのは、人格のないところに人格を見出す妙味、的な意味で?

singingroot

リンクスって、ザックの世界の中にいる存在だと思うんです。彼の人生に、ある意味で、寄り添っている。
でもベティちゃんはそうではない……なんか上手いこと言えず同じことを繰り返してるような気がしますけど、ザックの一人称の世界の、外にいる存在だと思うんですね。

もりやん

むしろリンクスのほうが、すっごい語弊あるけど「人間的」であり、ゆえに「自己的」存在って感じですかね?

singingroot

そうですね。そういう認識です。

もりやん

なるほど。ベティちゃんは「物体的」であるゆえに「他者的」であり、ゆえに「嫁」たりうると。

singingroot

まあ他者であるだけでいいんだったら、それは生身のおねーちゃんも同じことなんですけどね。
なにかこう、そこで、ザックにとっては、生身のおねーちゃんは……なんだろう、底が見えて惹かれないみたいな面をしてるように見えるので。

もりやん

これ、僕自身解釈に悩んでるところなんですけど、リンクスとベティの関係ってどう捉えてます?

singingroot

……愛人と、ヒロイン……?
いや話してて、さっきのニーナさんと愛人の関係が少し浮かんだんですよ。

もりやん

じゃあわりと個別の存在って感じですかね。僕の認識としては、「リンクスというシステムを構成する一部がベティ」っていう感じに近いんですよ。
それも頭脳とかじゃなくて、どっちかっていうとハンドルに近い。

singingroot

ああ、それはそれで分かる認識です。
難しいな……私は、ベティちゃんが勝手にザックの操作を忖度して勝手に補助してるって辺りで、なんだったら別にこいつザックが居なくてもリンクスをある程度は動かせるんかなみたいな認識があって。

もりやん

それはね、可否でいえばできると思う。ただ、それに意味や価値はない。
例えば、フライトユニットなんか、なんなら最初はベティのほうがうまく動かせたわけです。13でも、別にそのことに意味はない。なぜなら、ベティはザックがリンクスをよりうまく動かすために存在するわけですから。

singingroot

うん、その認識も分かります。
畢竟、別に人格とかあるとも言われてないAIに、どこまで他者としての存在を見いだすかってとこだと思うので……まあ、確かに、見出さない方が自然だとは思います。

もりやん

ちなみに、「アーバレスト」と「アル」14の関係で言えば、僕も完全に別個の存在だと捉えてます。

singingroot

それは、軍曹がアルを人格として認めているから?

もりやん

それもあるし、実態としても製造目的としてもアルが独立した知性体たれと作られていることもあるし、アーバレストは戦争機械だから、誰がコントロールしようが強いことが一番ってこともなんならあるし。
あと、実際レーバテインにアルごと乗り換えますし。
これなら僕も宗介の嫁はアーバレストじゃなくてアルって言う。言ってた。アルメイドロボに入って嫁に来いって言ってた。

singingroot

その場合声は女声なのか男声なのか……。

もりやん

アニメフルメタで一番許せないことは、アルの声を男声で固定しやがったことだ……!

singingroot

男声で良い嫁に来いとか言ってくれるかと思ったのに、そっちですかw

もりやん

まあ、アルはなんならメイドロボから男声でしゃべる嫌がらせとか仕掛けてきそうではある。キレそうだがそれはそれでいい!
「サージェントはAS制御用AIである私になにを求めておいでなのですか?(イケボ)」ぶっ壊すぞ!!!

singingroot

でも女声で来るとしても雪野五月ボイスでやってこられたら嫌がらせ度たけーなと思いました()

もりやん

「ソースケどきなさいソイツぶっ壊す!!!」
まーそれはともかく、僕が言いたいこととしては……リンクスとベティはもっと不可分な存在ではないかということですね。設定的にも、ベティは「リンクス用」っぽいし。

ベティはリンクスの付属物なのか?

singingroot

物理的に存在が不可分かどうかっていう話じゃなくて、価値として不可分っていう話ですよね、それは。

もりやん

そうですそうです。

singingroot

ベティちゃんに、リンクスと独立して、それ固有の存在の意味っていうのは、ない、という

もりやん

ない、と言い切ります。

singingroot

もりやんさんの仰ることは理解できたと思う(たぶん)し、一つの筋が通った見方だと思います。納得できる。
ただ、んー、そこで私もいまいち自分の見方を捨てる感じかっていうとそうでもなくて、そういう読み方も理があると思うけど、なんだか自分はそう読んでないな……という感覚ですね。
多分、申し訳ないんですけど、具体的にどこどこの記述が根拠になって自分がそう読んでるのか明確に解説できない状態なんだと思います。

もりやん

まあ根拠はともかくとして、リンクスはリンクス、ベティはベティ、ってことですよね?

singingroot

そうですね。あと付け加えて言うなら、そもそも、存在の性質が違う。片方は道具であり、片方は他者である、という。優劣とは別の問題として。

もりやん

ただ、それはベティが人格的存在であるという意味ではないと。

singingroot

そのー……人格的って言った時に、人間と同じ精神構造の人格かっていうと、違うし、そういう描き方をされている。でも、例えばコズミックホラー的生物がいちおう精神を持ってるよみたいな意味では、精神があるという認識ですかね?

もりやん

なるほど? 知性体、という言い方でいいですかね?

singingroot

ああ、そうですね。知性体ではある、とは思っています。
作中で、"ザックはベティちゃんに知性体として接している"と読んでいる、という言い方のほうがいいか。

もりやん

なるほどなるほど。さっきから対物性愛というワード保持してたんですが、そういうものとは違いますね。
ところで、メイドロボとかナースロボのAIへの態度とは異なる、という認識ですか?

singingroot

それについては、たまにザックの独白中に、「高度なAI」と「そうでもないAI」に対する区別がたまに出てきたと思います。

もりやん

うんうん。

singingroot

そして、私は、「高度なAI」に対しては、なんだったらこいつ俺らより頭いいんじゃねーのみたいなことを思ってるシーンがあったと思ってて(超うろ覚えですすみません)。15
ベティちゃんみたいに親しみを持っているかどうかはともかく、ある種の知性に対する……リスペクト?みたいなものは見いだせるかなと思ってます。多分低級なAIに対しては普通に道具扱いかと。

もりやん

ベティだけが特別かどうかはともかく、少なくともベティはザックにとって高度なAIの分類で、それは知性体として扱っていると。

singingroot

そういう認識です。そしてリンクスがベティと違う存在という認識なのは、リンクスがザックにも操作され得、またベティからも操作されうるからです。

もりやん

なるほど、AIのボディとしての機体やアンドロイドは道具だと。

singingroot

いやそこはちょっと違うかな? AIとそのボディが不可分に結びついていたら、ボディもAIの一部なんじゃないかなあとは思いますが。

もりやん

いやーAIとボディは別とは言っちゃっていいんじゃないかな? 例えば、メイドロボのボディはあくまで物体で、AIの本体は別の記憶装置上にあるわけだし[^12]……みたいな記述は実際ありましたし。
あと、パイロットカードが破損してもベティの本体は失われてなかったやつとか。16リンクスとの関係とはまた違いますけど。

singingroot

ああ、作中ではそういうのがありましたね。「このボディが破壊されたAIの知性も道を共にする」みたいなボディは作中には存在してないので、そういう意味では、ボディはAIとは常に可分な存在といってしまってもいいかもしれないです。

もりやん

で、そういう観点からすると、リンクスとベティは可分であると。わからんではないな。
AIは人工物だから製造目的ってのがあるわけですけど、それこそ知性体へのリスペクト的な意味では、それはそれとしてAI自身の尊厳ってのはあるわけだ。

singingroot

それはもうなんか、見出すも見出さないも勝手としか言えなくて、だから問題は、ザックがそういうリスペクト的感覚を持ってるかどうかという話だと思うんですけどね。
でもそれがどっちかは明確には描写されてないかなと……私は思ってますが……なにせうろ覚えの身なので怪しい。
私はなんかね、リスペクトを持ってると思って読んでたんだ、なんでだか。

もりやん

それは、あるなしでいえばあるでいいと思う。ただ、ザックにとってリンクスとベティどっちが大事か? それはリンクスじゃないかなあ?

singingroot

それは私の中だと、そもそも存在の性質が違うんですよって話になるんですよ。
どっちが親密か、大事かっていうとリンクスかなと思う。ただ、ヒロインって言葉に相応しいのは、他者であるベティちゃんかなって。

もりやん

つまり、私と仕事とどっちが大事なの?って言われて、それは仕事だけど仕事と結婚はできないよと。

singingroot

まあそういうアナロジーもあるかも……? 外れては居ないと思います、多分。

もりやん

なるほどなるほど。わからんではない。
ただそういう観点でいくと、僕はヒロインはいないと答えるかな。
だって君はリンクスの管理人でしょ?って言うw

singingroot

まあ別に一ミリもフラグとかないしセックスとかロマンスとか結婚とかないだろってのはそうですよね。
そういうのを欠いてるという点で、ベティちゃんがヒロインではない、という話でいいです?

どっちが嫁でどっちが愛人なのか?

もりやん

関係性が恋愛的な性質を帯びるか、というよりは、単にザックにとって大事かって見方かなあ?
たとえば、『ウメハラ』のヒロインがナラケンみたいな話はいえなくもないと思うので。
いやそれはロマンス的な見方ができるかどうかって話になるかな?w

singingroot

ナラケンヒロイン説はむしろそうじゃない説があるのかってレベルという認識です。

もりやん

それは彼等のセックスなんです…!17

singingroot

まあその……否定はしないよ。
※何でも許せるとは言ってない

もりやん

まあ、現状ベティちゃんがお姫様ムーブもパートナームーブもライバルムーブもへったくれもないのは事実。

singingroot

それはそうですね。

もりやん

ただ……最終的に、リンクスを守る戦いはありそうな気がしている。

singingroot

んんんー……まあ、どうなんでしょうね。いや順当に行くならそうなるんですけど。
順当にやるのかこの作家?という気持ちがすごく……強い……。

もりやん

なんだかんだニーナさんを助けるための戦いはやったじゃないですかw

singingroot

それはそうですねw

もりやん

んで、それをきっかけにニーナさんが人形姫からひとりのパートナーになりつつあるように、ベティちゃんがリンクスのハンドルからザックのパートナーになることはあるかもしれない、とも思う。
というのも……いくらなんでもベティちゃん高性能過ぎというのもあって。

singingroot

「ただのハンドル」に対してはちょっと過剰にすぎるくらいに盛ってるのはそうですね。

もりやん

そこになんらかの世界の秘密があるなら、それを解き明かすことでベティちゃんのクラスチェンジもまたあり得るかと。

singingroot

順当にやるならビリー氏と対立したり(ただし完全な敵対とは別)そういう展開になったりするのかなーとは思うんですけどね。
ただ、はい、そういう展開も一割くらいはありうるのかなと思って読んでるのは事実です。

もりやん

結局、ビリーがロボット大戦争やろうがザックにとっては怖いけど許せないとかではなくて、ただそれによってリンクスに乗れなくなるのであれば……ってことだと思うんですよね。

singingroot

うん、それはそうだと思います。

もりやん

リアルリンクスに乗って敵兵を殺せ、なら、なんならやりそうだし。

singingroot

なんなら既にやってる展開まである。

もりやん

いやーヘリ部隊との対戦がいつマージナル・オペレーション展開18になるかとヒヤヒヤしましたよw
これ相手は……いや予告出撃してきてるから演習のはず……ああ中の人出てきたよかったーーーwwwwって

singingroot

まあ思いますよねw

もりやん

そこで……やっぱり、リンクス(ベティ)を汚すな、みたいな想いも薄いですよね。ザックは。

singingroot

別にそこには興味ないですね、彼は。

もりやん

プレイ中以外に、「ベティがいたら助かるのに」とは思っても、「ベティに会いたい」とは思わないし。
ゲーマーの誇りとかも別にない。ただリンクスに乗れたらいい。

singingroot

それもやっぱり、リンクスに乗れなきゃ死ぬからじゃなくて、それが幸福だから、であって。

もりやん

そういう意味では、「所有欲」とかに近いのかなあ? ガレージに置いておきたい、もちろんたまには乗りたいみたいな……。
「乗ろうと思えばいつでも乗れる権利」みたいな?

singingroot

んー、どっちかというと個人的には、繰り返し出てくる食のモチーフのほうが近く感じますかね。

もりやん

毎日食べたいとか食べないと死ぬとかではないけど、週1くらいは食べたい、それが幸せだと。

singingroot

食えばその瞬間幸福、別にそれは後に残らず意味のあることでもないし必要でもない、けれども俺はそれを食う、それが幸福なんだ、というか。
どうなんだろ、「週一」とか「ガレージに置いておきたい」とか、時間的な持続の感覚より、瞬間の幸福っていう感覚の方が支配的なような?

もりやん

瞬間瞬間が幸福ならいいみたいなのは間違いなくある。

singingroot

その瞬間にリンクスに乗っていることや美味いものを食うことを幸福だと感じることはあっても、俺は明日も明後日もリンクスに乗っていられるなあ、それが幸せだなあ、とは思ってないでしょう。

もりやん

うーん、それはそう。ただ、「叶うならいつまでも(週1で)乗っていたい」はあるでしょう。

singingroot

そうですね。戦争のせいで明日リンクスに乗られないなら、戦争をぶっ潰すでしょうけど、ただそれは、「明日リンクスに乗られる幸福を今日味わうため」ではなく「明日リンクスに乗られる幸福を明日味わうため」です。

もりやん

それはその通りですね。そういう意味で「所有」は違うのではないかと。なるほど。まあ納得。
あー、つまり……リンクスは愛人ってこと?w

singingroot

なんか戻ってきたw

もりやん

やっぱ妻じゃないわw

singingroot

違うと思います。どこまで行っても、ちょっとこの関係は妻とは言いかねる。

もりやん

あー、そうなると、どっちかっていうとベティのほうが妻存在に近いというのはわかる気が……。

singingroot

そういや一応、ベティちゃんがザックにとってどの程度大切かってのについて、こんなんはありました

モリーチップが破壊されて全てのデータが消えてしまったのだから、技術的にももうどうしようもないようだ。ベティちゃんは死んでしまったのか、俺が殺したようなもんじゃないか。本当に大切なものを金で売ってしまったんだ、思わず泣きそうになる、男は涙を見せちゃダメだ。

まあ別にこれは、恋人的な存在として大切って意味ではないですけどね。

もりやん

500万でカード割られたときのですねw

singingroot

そうw
別にザックはベティちゃんを恋人だと思って大切にしてるわけじゃないし、あくまでAIなんだけど……でもなんか、私は結構、ここで、でもそれはそれとしてベティちゃんは大切なものなんだな、って思ったのかな。

もりやん

リンクスはあくまでプレイしている間だけの関係だけど、ベティちゃんはコイン(ポイント)入れてる間以外も関係しているみたいな感覚はあるような気がする。
まあそれを言うと、Xキャリヴァーが自動修復してるのが、プレイ中以外もゲームが動いてる感があっていいとか言ってますけど……。19
あー、なんか、ベティちゃんはいつでも俺を待ってる?

singingroot

リンクスはあくまで幸福を与える存在だからなのかな……だからこそ逆に、幸福を与えていない、プレイしていない間は存在感がない。
ベティちゃんは直接的にザックに幸福を与える存在ではないんですよね、別に。

もりやん

お帰りなさいザック軍曹、いつもの装備でよろしいですか。

つうかこれだよ。実際にベティちゃんは俺を待ってるよ。

singingroot

まあ愛人と遊びに来るのを待ってる妻とか、ヤバいとかそういうレベルではないんですけどね?

もりやん

パワーワードすぎるwww
お帰りなさい旦那様。いつものプレイでよろしいですか。

singingroot

おかえりなさい、あなた。お風呂? ご飯? それとも、あ・の・子?

もりやん

あの子とお風呂に入るよ
クズううううううううう

singingroot

だめだちょっとひどすぎる

もりやん

まあでも奥さんも風呂場でお湯加減は問題ありませんか旦那様って言ってるし……。

singingroot

三周くらい回ってハーレムノベルに見えてきたから困る(見えてこない)。

もりやん

んでリンクスは前回のプレイで爪が割れたとか言って勝手に爪を研いでいるという……。

singingroot

ああ、あれはそういう……。

もりやん

なるほど。嫁はベティちゃんですね。納得。

singingroot

まあ今後の展開次第って部分もありますし、いずれにせよロマンスとかはないと思いますが、はい。なんとなく言ってることの感覚が通じたなら幸いです。

もりやん

まあ、この作品において嫁という属性がどこまで重要かという問題もあってなw

singingroot

まあ激論したけど、それはそうですね。

もりやん

こっちも基本的に愛人関係を描いてる作品だとは思うw

singingroot

リンクスはそうですけど、他の生身女子とかサイボーグ女子とかの話は含めてゆってます?

もりやん

いや、それは含めてない。愛人だけど浮気はしない。
というか、ある種の現地妻というか、ガーディアントルーパーズでの愛人はリンクスだけ的な。

singingroot

同意です。

もりやん

このオッサン曰く、「ひとつの島に、女は一人だけだ」という。

singingroot

他の島では作るんかいw

もりやん

そもそもガーディアントルーパーズから釣りに浮気してるときもあるしw

singingroot

そこはまあ、さっき言った食の件もありますしね、幸福に対しては別に何か一つに操を立てたりはしてないですね、やつは。
それが他の島……? つまり料理人の爺さんは愛人二号だった……?

もりやん

爺さんは鯵が住んでる島の管理人じゃないですかw
まあ、つまり、側室だな。

singingroot

なる、そっち属性だったか。

もりやん

 そうそう、ジュラルミンといえば先月発売予定だった削り出しフレームのクラシカルな一眼レフカメラが欲しかったんだよ。ボディだけで百万円超えのカメラとかさすがに二の足を踏んで予約しなかったんだが、限定生産だしもう売り切れてるだろう。

この男下半身がばゆるである

singingroot

ひとつの島には女は一人しか作ってないから(多分)

もりやん

釣り竿は大量に囲ってたけどw

singingroot

ダメじゃねーか!

もりやん

まあ、つまり……ガーディアントルーパーズとリンクスは特別ってことですよ。

singingroot

まあそれはそうですねw

 だが、フェイスマンは、かぶりを振り、穏やかな微笑とともに告げた。
「それは、真理を逆転させた、愚かな問いだ。価値は、あるのではない。観念であり、創り出すものだ。命の価値を創り出す努力を怠れば、人間は動物に戻る。社会とは、価値を創り出し、価値を巡って機能する、人間独自のシステムだ」
(『マルドゥック・スクランブル The Second Combustion 燃焼』より)


  1. 我にチートを - 蟻の城参照

  2. 我にチートを - エディタスキル無双

  3. 我にチートを - ティジーの場合 その1

  4. ソードアート・オンライン 05 ファントム・バレット』での、主人公キリトさんの迷言。

  5. 「命に、価値があるのか――?」

  6. BeasTV - 17/7/5 - オゴウクラハシ徹底討論 - YouTube

  7. ただし、『あしたのジョー』の作中でも、このようなボクサーは時勢遅れの存在として描かれてはいる。(参考:「あしたのジョー」の最後について──「あしたのジョー」論その七 | 語り部のほとりで))

  8. ビリー・レイスのモデルであろう、ビル・ゲイツ氏のこと。

  9. 水口哲也 - Wikipedia 音楽をベースとしたマルチメディアアートとしてのゲームを作り続けるゲームデザイナー。VRゲームにも積極的に取り組んでいる。

  10. ばやしこ@9/20〜23 TGSさんのツイート: “このお手玉VRは、こちらのVRけん玉師(@VRkendama)による作品、お手玉VRです! 本当にすごくて、人生で全くできなかったお手玉がものの数分で出来るようになって涙ちょちょ切れんばかりなので、もしご興味あればご本人に連絡してみてください!!”)

  11. “メインヒロインがナビゲーターAI”なろう評論会第1回『異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに』 - 猫拳@はてなブログ))

  12. 俺のロボ - マリオネットは傷つかない参照

  13. 俺のロボ - 空飛ぶリンクス参照

  14. フルメタル・パニック!』の主役ロボとその管制AI。

  15. 俺のロボ - 加速する世界の、 いやいやいや、そいつの中の人はホテルのスパコンだから。スタンドアローン式の新型アンドロイドよりもずっと高性能だと思うぞ。でも、まあ、確かに、お利口さんなAIは、面倒な時には馬鹿なロボのふりをして誤魔化すことがあるよな。/ 実は知らないうちに、この世界は人工知能に支配されているのかもしれない。という部分のこと。

  16. 俺のロボ - 俺は炎の筋肉痛参照

  17. 「何でも許せる人向けの属性腐女子漫画」/「マツキ」の漫画 [pixiv]より

  18. ゲーム感覚で指揮していたら、自軍も敵軍も生身の人間だったというアレ。

  19. 俺のロボ - 最初の晩餐参照

なろう評論会第1回『異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに』

前置きの前置き~なろう評論会について

対談本文中でも言及していますが、これは「小説家になろう」の作品について、管を巻いたり性癖を告白したり横断的に論じていこうという企画です。

現在はたまたま釣れたのでsingingrootさんにお相手いただいていますが、今後も続けていきますし(すでにsingingrootさんとの対談ログは溜まっている)、参加したいという方がいらっしゃればDiscordに招待しますのでお声がけください(・ω・)

前置き~「小説家になろう!」を取り巻く評論・言論について

もりやん

現状なろうでは書いていませんが、いちおう書き手のもりやん(@catfist)です。
この企画では、なろう作品について色々深くお話をさせていただきたいと思い、旧知のsingingrootさんをお招きしております。よろしくお願いします。

singingroot

読み専のsingingroot(@singingroot)です。どうぞよろしくお願いします。本作についてはぜひ色々と聞いてみたいので……。

もりやん

とりあえず最初に、どういう企画なのかといったあたりのお話からさせていただきたいんですけども。

singingroot

うい。

もりやん

まず僕が、なろういっぱい読んでるのに、立ち入った話ができてなくてツマランというのがあった!
インプットしたらアウトプットしないと気持ち悪いですからね。そういう意味で色んな作品について語っていきたいところではあります。
あと、これはもはやなろう含むWeb小説の話だけじゃなくて、現在の多くのコンテンツに共通して言えることなのかもと思ってるんですが、評論がされてない。
やっぱり昔言われたWebのタコツボ化なんでしょうかね、覇権アニメとミリオンヒットゲームくらいしか議論のメディアになってないよねというのがあって。
まあ、なろうの作家は書籍化できるかどうかっていう非常に厳しい評価にさらされてはいるんです。
でも結果論って面白くないじゃないですか。「じゃあ次は売れるような話書こう」ってだけじゃ潤いが無い。

singingroot

今のもりやんさんの頭の中だと、なろうの特定の作品の話の比重が大きいんですかね、それともそこから最終的に……なんていうのかな、「流れ」とか「作品群」とかの話になっていく?

もりやん

それは両方かな?
読んで面白かった作品の話もしたいし、それを色んなメタな流れの中に位置づけるような話もできたらいいし。
そういう話が作家に届いたらいいよねということ自体が、なろうを取り巻く状況への議論として提起したいことでもあるかな。

singingroot

了解です。まあ二分できるようなもんじゃないのはそうなんですが、どっちが特にやりたいんだってのはなくて、どっちもしてきたいと。
そういうやり方はこっちも歓迎です。

もりやん

僕も感想欄けっこう書いてるんですけど、「他作品の話はNG」じゃないですか。そうなると感想であって評論じゃない。感想欄なんだから当たり前ではありますけど。
「こういう作品があるべきじゃないか」「もっとこうしたら面白くなるんじゃないか」そんな話が、もっと広くされたらいいのになと。そういう気持ちの小さな小さな一歩でもありますね。

singingroot

感想欄は荒れやすかったり作者に直接届くものだったりで色々センシティブですからね。
ところで、評論ってのが何を指してるのかってのは結構難しいとこかなとも思ったんですが。

もりやん

まあ、言っちゃえば「対象とする作品そのものとは異なる価値を持つもの」ですかね。
作者への応援、作品への感想、作品の紹介、これらはすべて評論ではない。
まあ応援も感想も紹介もするけどな!

singingroot

うん、その定義は分かります。
あと、Web小説に対する語りの場ってのは今どういうものがあるのかってのは私もよく知らないので、言われてみると気になりますね

もりやん

結局現在のなろう界隈って、読者から作者への感想と作家同士のクネクネくらいしか言論がなくって。
面白いけどランキングに載ってない作品を発掘しようっていう、スコッパースレってのがいちおうあるにはありますけど。1

singingroot

スコッパースレ、それくらいしか思いつかないんですよね。
でもなんかアレも評論っていう形かっていうと、それ未満という印象ではある。

もりやん

スコッパーの価値は大いに認めるし利用もしてるけど、言論としては当然不十分であると思うわけです。あれ見て、作家が役立てられるかっていうとうーんですしね。
最終的には、作家が読んで面白いものを目指していきたいという気持ちはありますね。

singingroot

なるほど、作家にとってっていう視点なんですね。読み専なのでその視点はなかった。

もりやん

読者にとっての言論の価値をいえば、やはりその最たるものは作品の紹介だと思うんですけど。
まずランキングというシステムが大前提としてあるわけですね。んで、ランキング載ってないけど面白い作品てのを受容するには、まず「系統樹」というか、作品の持つ文脈、コンテクストの概念が必要になってくると思っていて。

singingroot

コンテクストっていうのはもう本当にそうだと思います。

もりやん

読者向けという意味でも、単なる上位ランカー紹介に留まらないのであれば、それはやっぱり作家が読んで面白いものだと思うわけです。

singingroot

タグってのがそこに対して機能してくれていればまだしもなんですが、今はそうではない。

もりやん

タグ機能してないですよねーw

singingroot

将来タグ、あるいはそれに類するものがうまいこと機能してくれれば、みたいな未来を思い描かないわけではないんですが。
それこそ作品の位置づけられている文脈やら何やらまで、ある程度把握した上でサジェストしてくれたりとか。

もりやん

「この小説をブックマークしている人はこんな小説も読んでいます!」っていうのが、それに近いものとしてはありますけど、あれも単にブクマ多い作品が出てきがちですしね。
作品を構成する要素で抽出する役には当然立つんだけど、でもその「流通している要素」に対してどうアプローチするかが作品の価値であり個性であり妙味じゃない?
というあたりで例のアレの話いってみます?w

singingroot

うい。では行きましょうか……。

もりやん

やべぇよやべぇよ……。

課題作『異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに』について

もりやん

えーとまあ、声かける時にうっかり勧めちゃったので仕方なくという感じですが、『異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに』の話をしまーす!

singingroot

パチパチパチパチ

もりやん

今なろうで一番デンジャラスな作品といって過言ではない!

singingroot

いやそれは各方面からツッコミが来そうですが。
ツッコミが来たら来たでヤバい作品を知れる機会なのでツッコミ上等か。

もりやん

せやねw

singingroot

そもそもこの作品が「流通している要素に対してどうアプローチ」してるのかが未だに分かってない、分からない。

もりやん

それじゃあ、まずそのへんの、基本的な設定のおさらいからしてみますか。
これは召喚勇者モノの一種というか、召喚勇者ミームに乗っかった作品ではあります。
異世界で勇者業やってたら、勇者業が超ブラックで、ヒドイめに遭いながら魔王倒して帰ってきたら、超人的なステータスの代わりに、中卒無職30代になっていた……というコワイ導入。

singingroot

「元」転生勇者ってのは、もう数年前から一つの型になってる感はありますね。

もりやん

ただ、日本に帰ってくる作例はかなり少ないですよね?
「なろう風」書き下ろしラノベにいかにもありそうだけど、あまり詳しくない……。

singingroot

まあ現代日本を舞台にする系自体が少ないですからね……。
元勇者ってタイトルが直接に入ってるのだと、『元勇者、印税生活はじめました。』ってのがぱっと出てきますかね、ここ一年くらいの作品でしたっけ?

もりやん

これは新人賞あがりのようですね。昨年6月か。
実は、異世界召喚勇者×現代異能っていう作例として異世界帰りの勇者が現代最強!っていうのがありまして。
これ読んだときも思ったんですが、いわゆる異世界転生チート設定の能力であっても、現代日本で使ったらそれはもう現代異能なんですよw

singingroot

まあ別に能力の由来が魔法か武術か神パワーかなんてどうでもいい、というのがチート概念ですしね。
その力をどこで振るうかが重要、ということなのか。
あとは、無双できる力の有用な振るいどころがあるかってところでしょうか?

もりやん

いちおうそこは、学園異能的な「悪」をチートでやっつけるって話にはなってますね。
んで、空の境界の解説で、笠井潔が「伝奇」について、いわゆる土蜘蛛、朝廷にまつろわざる者のコミュニティに紐づくキャラクターが云々とかの話をしていたんですが。
そういう意味では「異世界帰り」という「マレビト」であるとかいえなくもないし、極論異世界でチャンネーと出会えることありきの概念なんですよチートって
というか、『父性スキル』でも異世界でチャンネーと出会ってはいるんだ。いるんだけど、その意味がすでに変質しているんだよw

異世界召喚テンプレからの変質

singingroot

変質についてkwsk

もりやん

まあそこはうたねさん2お読みになったからおわかりかと思いますけど。
異世界でエルザという奴隷美少女と出会って恋に落ちて結婚して……悲劇的な結末を迎えるわけじゃないですか。

singingroot

いや、そう言われたら、うん、とは言えるんだけど。
ただ、それを"変質"と捉えるかどうかは結構大事な問題かなと思ってて。

もりやん

いやまあそんなややこい話じゃないんだけど、そういう悲劇があったことによって、チートは幸せをもたらす存在ではなくただの呪いになってしまった
もはや身体能力からして人間離れしてしまって、日常生活を送る上では「身体障害」に近いじゃないですか。
付け加えるなら、異世界召喚テンプレでいうとこの「サブヒロイン」との関係もそうです。おいおい明らかになっていくことですが、向こうでのパーティってハーレムだったんですよね。
だったんだけど、もはやかつての「ハーレム」のメンバーは、異世界から現代日本および主人公の人生を脅かす呪詛でしかない。
そうなるともう、「異世界でチャンネーと出会える」というチートの意義自体が失われてしまっているじゃないかと、まあそういう話ですね。

singingroot

まずこれは反論というより、どういうふうにこの作品を捉えるかについての整理だと思って聞いていただきたいんですが。
まず一般的な観念として異世界勇者召喚が割とイケイケハッピーなものであるっていうのはあります。もちろんそうじゃない作品も大量にありますが、そこはさておき。

もりやん

少なくとも「そういうイメージに乗っかってる」作品が大半ですよね。

singingroot

で、中元も最初の一日くらいはそういうイメージでいた。
ただ、一瞬でそれが崩れてるわけですよね、マジで。

もりやん

ほんっと最初の一瞬だけなw
分かる人には『永遠のアセリア3である程度通じると思いますが。

singingroot

ハッピー→ダークの転換は非常に早い段階で起きてて、彼の中で、異世界での生活、奴隷少女との生活の価値ってのが、どこかで"変質"し転換を迎えたのかっていうのが、ちょっと明確でないかなとも思うんですね。
いや折々に触れて「フィリアはこんな女じゃなかった……」とか言いますけども。

もりやん

その点では、エルザが亡くなるまでは彼にとって召喚されたことはギリギリ肯定できることで、パーティメンバーとの関係も(表面上)破綻していなかった、ということは重要かと思うんですね。
少なくとも「中元にとってのフィリア像」が壊れるのは戻ってきて再会してからじゃないですか。

singingroot

いや、分かるんです。分かるんですが、そこを単純にエルザとの死別前と後で綺麗に転換があったと、そういう風な図式で捉えることに、少し抵抗があって。

もりやん

まあそれはそうです。そこは、事実上のポイント・オブ・ノーリターンと、中元自身の認識、そして我々読者の認識いずれもズレがあるからで。
例のアンジェのひでぇ例え話で語られることですが、フィリアは実は中元がエルザとくっついた時点で壊れていたわけですよね。4

singingroot

そう、そこなんですよね。まずは、「転換はあった」「ただ、それは綺麗に一点で反転したものではない」ということが確認したかった。

もりやん

まあそうですね。僕はやっぱりエルザとの死別は「矛盾が噴出した瞬間」という意味で決定的に重要かなとは思いますけども。
なんだかんだこれは、エルザが生きてさえいれば、異世界召喚モノの典型に収まらないでもない話なわけでね。

singingroot

それはそうですね。

もりやん

でも、そうはならなかった。ならなかったんだよ、ロック。だから――――この話はここでお終いなんだ。
もとい、だから――――この話はここから始まった。つまり、この話は云うたら、エルザのために背負った負債を清算し、エルザと共に失ったものを取り戻す話である……と、まとめられると思うんですね。

singingroot

すみません、「共に」はどっちにかかってる?
「失った」ですか? それとも「取り戻す」?

もりやん

「失った」です。

singingroot

そっちですか……なるほど。

もりやん

んで、例えばパーティメンバーとの関係が負債に成り、エルザと積み重ねてきたものが喪失に成った、まあ過去にそういう出来事があったということはいえるだろうと。
変質という表現は、ひとしきり異世界召喚らしいことがあった上で、それが負に転じた……というより、もっとおぞましいものに変わった、というような印象ですね。
一番おぞましいのは、なぜか現代日本JKだったりもするんですが!

singingroot

まあ明らかに一番ヤベー奴扱いされてますよね……。
ともあれ、そういう捉え方なんですね。一瞬、「エルザと共に取り戻す」という意味かと思ったのですが、そういう意味ではない、と。

もりやん

ああ、それはそうではないですよね。エルザが死んでいることだけは動かないわけですから。

singingroot

うーん、そこにすごく引っかかってるんですよね……。
いや、一章ラストで「え、それバラすの!?」ってビビったんですよ。あの「声」の正体がエルザだっていうことを、中元に対して
普通それ、最後の最後、エンディングでバラすやつじゃないの?って

もりやん

あーアレね!

singingroot

あまつさえ会話してんじゃん!

もりやん

それねー! 解釈迷うよねー!

singingroot

中元が失ったものを取り戻す話だとして、それは何が取り戻させたのか?ということも重要だと思いますが。
もし中元が過去を断ち切り(もしくは向き合い?)再生してく話なら、「声」とどう向き合うべきかっていうのは絶対に入ってくる話だと思いませんか?

もりやん

ええとね、やっぱりね、中元の中で死んでることにはなってるとは言えると思うんですよね。

singingroot

中元の内心については、地の文ではほとんど描写されてないですけども。ただまあ、中元の中ではちゃんと諦めがついていて、あの声はどこまで行ってもエルザそのものではないことは認識できている、ということでいいんですかねー。

もりやん

なんというか、エルザの成れの果てではあってもエルザではないというか。そういう「認識」ですよね。
でもそうなら、エルザじゃないけどエルザみたいなものがなんか概念的には密着状態で話しかけてくんの、ヤですよね。

singingroot

話しかけてくるどころか子作り推奨してくるんですがそれは

もりやん

まるで意味がわからないw
そこで、死んだ彼女がバッチリ死んでるけど神になってるからイチャつけるっていう作例として、おっさん冒険者ケインの善行があります。
これ、ド天然スーパー朴念仁ウルトラ善人のおっさんに、性能チート性格キチガイ行動バグってるお姫様が惚れ込んで云々っていうコメディなんですけど。
おっさんの気持ちが一途に女神(になった彼女)に向かってるんでキチガイ姫に全く脈がない、というか普通に萌えないという……。
誰もアナ姫も相手してやれよという感想書かないw

singingroot

それはそれでストレートな作劇だとは思うんですけど、本作の実装はそうなってないというか、そういう方向に向かってるとは到底思えない状態ですよね。
いやなかなか読んでてこの話がどこに行くのか大変悩ましくて、そこが面白くもあったんですが。

もりやん

そうなんですよね。アナウンスさん5になったエルザとの関係性については非常に難しい。
やっぱり、エルザのことは割り切ってJKを孕ませろという話ではあるわけですよw
まーだからそのー、エルザに操を立てつつ命をかけて戦ってきた、そのために失ってきたモテ期と青春を取り戻している……とか、いえなくもないことも……。

singingroot

それが丸く収まるよね……いや丸いか?

もりやん

だいたい何人孕ませたらいいんだよww

singingroot

ヒロインが現状で6人居る上に、一年ごとに孕ませろとか言ってくるので……。
※分裂JKは2人とカウント

もりやん

アンジェ、リオ、アヤコAB、フィリア、エリン?

singingroot

とゆー認識でしたが。さすがにカナはさすがに?

もりやん

カナは孕ませろって言ってこないからw
現代人が4人(戸籍上は3人)で全員が変態っていう……おお、もう……。

父性スキル(搾乳ではない)

singingroot

変態について言うと、ヒロインズ全員ナチュラルボーン変態でいいんですよね? 父性スキルって別に交渉スキル全振りみたいなアレじゃないんですよね?6

もりやん

交渉スキル(搾乳)みたいのじゃないからw

singingroot

いや最初にタイトルを見たとき普通にアレをイメージしたから……

もりやん

タイトルの父性スキルはリアル技能のことだから! MCとかじゃないから!
交渉スキル(搾乳)もちゃんと論じておきたいところではありますが。チートってあそこまで自由でいいんだなって!!

singingroot

アレは……私は序盤で挫折したので……。
それはさておき、結構大事なとこかなと思うんですよね、タイトルの「父性スキル」が何を指しているのか、というのは。

もりやん

ですね。まあ、「父性」というチートスキルは実際にあるわけですが。

singingroot

ただそれはあくまで戦闘スキルでしか無い、と。

もりやん

魅了とか催眠とか、その手の効果ではないw

singingroot

というかむしろJKを傷つけてパワーアップするみたいな、罪の象徴みたいなものですらある。

もりやん

あるいは、現代日本での新たな人生――または戦いのために与えられたもの、とも言えます。

singingroot

ふむむ。

もりやん

ここでね。例の変質とか転換の話にもつながってくるんですけど。
結局、異世界での戦いって、中元自身のための戦いではなかった、またはならなかったわけじゃないですか。
エルザが生きていればエルザを、エルザの生きる世界を、エルザとの子供を守るための戦いだと、そう思えた。でもそうはならなかった。
だから彼は、今度こそ彼自身のために戦わねばならない……とはいえると思います。

singingroot

年下を守ることが、中元自身のための戦い、という位置づけですか?

もりやん

そこがねー、彼の宿業というのかトラウマというのか……。
自分の幸せのためとか、愛する人を守るためとか、あんまり素直に解釈できる感じじゃないんですよね。

singingroot

難しいですよねそこんとこ。

もりやん

彼、他者を守ることでしか自己肯定できなくなってしまったんですかね……。
中元もだいぶ壊れていて、もう直らないじゃないですか。

singingroot

それもそうだし、そんなヒロイックな戦いが描かれてるかっていうと、そうじゃない、という話もあると思います。
そもそも現代日本女子組が戦いに巻き込まれてるのが、半分くらい中元が近くにいるせいまである。

もりやん

むしろそういう意味で、今度こそ自分の属するコミュニティを守るための戦いという言い方はできるのかと。
だって向こうの人は向こうの人じゃないですか?
アンジェは向こうの人だけど、向こうとの関係・因果をスッパリ断ち切って、中元の庇護下・家族に属したいという気持ちでやってきてはいる。

singingroot

今度こそ自分の身の周りの人を守りたい。それは分かります。そうすると、ちょっと疑問に思っていたことがあるんですが、「中元が何故エルザを殺したか」という点が大事になるかなと思うんですね。
明確に語られてないですよね、多分。なぜエルザより世界を選んだのか、その芯の所が。

もりやん

語られてないですねえ。

singingroot

世界を敵に回してもキミを守るよ的なことが、何故出来なかったのか。現代日本でそれをやり直すくらいなら、なぜ最初からそれが出来なかったのか?

もりやん

エルザを殺したら彼の戦いは無意味なんですよね。それは間違いない。
彼はエルザを殺したことを明らかに過ちだと感じている。

singingroot

そこが語られずにサスペンドされ続けてるというのは、本作の刺激的であり、難しいところかなと思ってます。

もりやん

まあ、メタ的には過ちを犯したところからスタートしたかった、それは明白なのですが。
……結局ね、人間てのはそういうものかもしれないね。自分の都合だけで物事を割り切れないというか。

singingroot

やっぱりそういう形になるんですかね、それはそれでよく分かるんですが。

もりやん

あのね、その、現代日本での、自分の「家族」を守るための戦いが……全然楽しくないじゃないですかw

singingroot

はい。

もりやん

客観的に見ればけっこうヒロイックな戦いと解釈できる気もするのに、なんかこう……しみったれてるじゃないですかw

singingroot

いや客観的にもどうかな……w
まあ、異世界に居たときも、この世界でも、スッキリ悪を倒す戦いではないのはそうですよね。

もりやん

敵がどうというより、どう選択しても後悔がつきまとうというか…。
ほんとのほんと、人間は自分の都合だけでも論理的な正解だけでも割り切れないし、どっちを選んでも後悔は残るし、一度それを理解してしまったらなおさら割り切れない。
まあ……滅びた世界でエルザとアダムとイヴやったところで、エルザは喜ばないよね……フィリアは喜ぶだろうけどw

singingroot

そうですねえ……。
異世界でそういうどうしようもなく割り切れない戦いがあって、そして、現代日本での戦いにもそういう一面はあるわけですね。
でも現代日本での戦いは間違いなく異世界でのものよりは多少なりとも中元にとってポジティブな意味合いを持つものなのも確かでしょう。

もりやん

そうですね……いうなれば、自分の気持ちを殺さないこと。死んだように生きないこと……その違いなのかな……。
JKのおっぱい揉みたいって気持ちだって、ほんとの気持ちなら殺さなくてもいいじゃないですか。
実際中元は(ごく最近までw)自分の倫理観にしたがってそれを「我慢」してはいたけど、でもそれは「殺して」はいないでしょう?

singingroot

まあダダ漏れですよね普通に

もりやん

そうだけどw 行動に移さないということと、気持ちそのものを封じ込めるということは違うんじゃないかと。
アヤコちゃんBが言ってましたけど、中元は異世界で殺しを忌避する気持ちを封じ込めてしまったわけですよね。7
実際殺すかどうかは……重要だけど決定的じゃないです。決定的なのはちゃんと感じられるかどうか

singingroot

その違いは、確かにそうですね。そこは決定的に違う。

もりやん

かつては、それを蘇らせてくれたのがエルザだった。

singingroot

そして今は?……なんだろう。

もりやん

なんだろうww 僕もそれアレッ?と思ってw

singingroot

現代日本っていう文化の中に、ホームグラウンドの中にいるからってのはありますよね、まあ身も蓋もないことを言えば。

もりやん

それは間違いなくあるw
アンジェもそうではあるんだけど、アンジェだ!っていうとなんか違う気はするw

singingroot

なんかな、アンジェがバブみで甘やかしてくれるから~とかそういう結論に行かないですよね。

もりやん

そうなんですよねw
なんだかんだ……ここが現代日本で、そこに自分の人生があるっていう実感なのかな……。
それが、異世界にはエルザ以外なかった
その意味で彼は最後まで、マレビトのままでしかいられなかったのかも。

singingroot

なんだかんだ周囲にフレンドリーな男キャラがいるんですよね、異世界で周囲の男に全く馴染めてない描写ばかりがあったのと違って。

もりやん

ヤクザと公安だけどw

singingroot

ヤンキー兄ちゃんもいるよ!

もりやん

でも……マジメな話、彼にはヤンキーとヤクザと公安のほうが異世界の兵士より共感できたんですね。

singingroot

ヒロイン一人に寄っかかって幸せになれるタイプじゃないんですかね、彼は。

もりやん

というより、人間はそうじゃないっていう書き筋なのかな。
基本的に、中元はどこまでも普通の男で、彼の個性がこうだから、彼がこういう男だからという書き筋にはなってないでしょう。

singingroot

それはそうですね。

もりやん

だから、バブみも必要だしおっぱいも必要だし。
仕事も必要だし、キレイなユメもそれはそれで必要で。
エルザが見守ってくれているというユメも、彼には必要だったのかも?

singingroot

そう言われるとしっくりくる気はします。

もりやん

アレかな。突き詰めたくないのかな。彼は。
エルザが見守ってくれていると思えることが必要で、そのユメを壊したくない。だから突き詰めて考えない。

singingroot

まあ煮え切らない男といえばそうですよね……。
情けないと言えば情けないし、でも共感できる情けなさですよね実際。割り切れない「八割」の側の人間だからこそ、PTSDになったとも言えるわけだし。

もりやん

フィリアは明らかに「二割」の側ですよね。

singingroot

まあ161話盛大に割り切りましたからね。オムツのためならすべてを捨てた女なので。

もりやん

そういうパワーワード本文に平然と出てくるのがなw

singingroot

いやこれだけ無茶苦茶やっといて、破綻してないのはすごいと思いますよ。
いや破綻してないかの判断は人によって違うような気もするけども。

もりやん

元々破綻してるから、改めて破綻はしてないというか……。

singingroot

中元がグダグダ言い訳を連ねるので決定的な関係を持つまでは行かないんだけど、でも別に普通に流し流されはしてて、というのはバランス感覚だなあと思います。

もりやん

なんというか、それこそリトさん8だって流し流されやってるんだけども。
流し流されを自分に許さないと、人は壊れるというメッセージにまで至ってますよねこれ。

singingroot

赦し。バブみですね……。

もりやん

バブみとは、赦す少女の側ではなく、赦されることを自分に赦す男の側に本質があったのか……。

singingroot

いやそれは実際あると思いますね。受容側の態度にこそバブみ概念の本質はあって、みたいなのは。

もりやん

けっこうマジでそういう話か。だからわざわざ少女が対象になる。幼い女の子に甘えるのってどうなの?というより鋭い問いが前提にある。
見るからにママみの深い女に甘えることを自分に赦すのはたやすい。相手が幼女でもいいじゃないかにんげんだもの。これがバブみか!

singingroot

ていうか、そうか。エルザのママみが深すぎたからこそ、中元は「過ち」を犯してしまったんじゃないか、という捉え方もできるのかも。

もりやん

「エルザから与えられるものを、中元は突き返せなかった」というような話でしょうか?

singingroot

そうですね。エルザが、中元の勇者としての役割のために自分が犠牲になることを受け入れたときに、それに流されてしまったのかな、というような。
いやその場面が書かれていない以上、憶測でしか無いですが。

もりやん

まあエルザも元奴隷で判断能力怪しいところはあるんですけどもw

singingroot

まあそこよくわかんないですよね。回想で若干神格化されすぎてて、実際どういう人だったのかは分かりにくいとこがある。

もりやん

まあ、その神格化しすぎってところでしょうね。エルザの「愛」を、中元は拒否することができなかったと。
エルザが奴隷であり女神であるということがよくなかったのかな。
二重の意味で、中元の側で「判断」を行うメカニズムが封じ込められている
アンジェたちに対しては、何をするにしても中元はウダウダ考えますよね。その考えるということ自体が重要なのかもしれない。
例えば犠牲になろうとしていたのがアンジェだったら、中元はどちらを選ぶにせよ、考えて判断して覚悟したのではないか。

singingroot

そういう意味では、父性っていうのは、ある特定のヒロインとの関係だけに溺れないためのよすがとしてあるのかもしれないですね。

もりやん

それは結局、エルザほどには大事でないからなのかもしれないけれど……。

singingroot

そこは難しいですよね。それがネガティブなことなのかどうかも分からなくなってきました。

異世界現代日本

もりやん

でも、エルザほど大事でないというのは、異世界には他になにもなかっただけともいえる。

singingroot

ああ、エルザほど大事でないっていうのは絶対値じゃなくて相対値なんだと。

もりやん

いうなれば、現代日本に「エルザ」は存在し得ない

singingroot

奴隷も女神も、という意味ですよね、それは。

もりやん

そうだし、どっちかといえば唯一性の問題ですかね。

singingroot

唯一性って意味で他には何もなかっただけっていうとパーティメンバーが泣く気もしますが……。

もりやん

たぶんこれは僕もうたねさんもそうだと思うけど、リアルの世界において命の二者択一を迫られたとき、両方助ける以外の選択肢ってないですよね。

singingroot

「正しい」選択肢は、そうですね。

もりやん

正しいというより、「選べる」っていう意味かな。
例え片方が妻でもう片方が他人でも、あるいは罪人でも、実際問題他人の手を離せます? ムリでしょう。
「滑る」ことはあるかもね。でもそれはやっぱり「選んで」はいないでしょう。

singingroot

分かります。

もりやん

でも、異世界に行ったら恋人選ぶでしょう。外国でも選んじゃうかも。

singingroot

ふむむ?

もりやん

ガンダムUCでいえば「撃てませぇぇぇぇん!」っていう倫理観、異世界では機能しない気がする。

singingroot

それは異世界/外国の「恋人以外の人間」に対して、どう言ったらいいのかな、親近感というか、同族意識とか、そういうものが薄いとかそういう話ではなくてですか?

もりやん

まあだいたいそういう話ですし、もっとフィールド的な話でもあるかも。
例えば、日本の崖で日本人の手を放すのと、外国の崖で日本人の手を放すのでは、けっこう抵抗感が違うような気もする。

singingroot

その抵抗感の感覚自体は分かる気はします。
それは私にとってはですが、「外国でそういう行動をとったとき、自分の社会的なreputationが下がるリスクが小さいから」っていう感覚なんですが。
どっちかというと、もりやんさんが今おっしゃってるのは、「外国でそういう行動をとったとき、周囲の人間がその選択に同意してくれるから」ですかね?

もりやん

あ、そういう考えはあんまりなかった。いっそ誰にもバレない条件で想像してた。
詩的に言えばお天道さまが見てるかどうかの違いですかね。
これは「故郷」っていうより、「日本」っていう世界特有の感覚なのかも。

singingroot

あ、そういう仮定ですか。

もりやん

誰にもバレない条件でも国内のほうが見捨てにくくないですか? わかります?

singingroot

すみません、そーなるとちょっと分からないかもですね……w
まあこの辺は個人によって色々違いそうではあります。

もりやん

あじゃあそれはおいといてw
ぶっちゃけ、異世界の人間にどう思われようが知るかって要素は確実にありますよね。

singingroot

そうですね、それは間違いなく。

もりやん

いろんな要素が影響すると思うけど、リオよりフィリアのほうが確実に大事だけど、異世界でフィリアを見捨てるのは良くても、日本でリオを見捨てるのはムリみたいな感覚はありません?

singingroot

それは、うん。あると思います。
異世界だから」「日本だから」なのかはちょっとわからないですが。
というのも、「フィリアは強い」「リオは弱い」だから父としてはリオを守らなきゃ、みたいなのも入ってきちゃう部分はあるので。
その辺コミコミで、最終的にそういう判断に傾くのは分かります。

もりやん

あーありますね。それと、「自分が守らなきゃいけないか」という言い方するとまたニュアンス違ってくるし。
で、逆説的に……なんですけど、だからエルザを殺してしまったのかな、というところに繋がる話だったんです。

singingroot

中元にとって、「自分が」守ったり殺したりできる――ある意味、なんだろう、「他人じゃない」相手が、エルザしか居なかった、ということですかね

もりやん

そうですそうです。
それでね、第五章あたりの話になってくるんですけど、日本でおしめ換えてるうちに、フィリアも「他人」じゃなくなった感じしません?

singingroot

ですねえ。少しずつ、改めて関係を結び直してるわけですよね。
元々鈍感スキルや若さのせいで相手の気持ちを理解できてなかった所を、JK達の助けを借りて、関係を結び直しているような。

もりやん

このへんが、なんというか、ストーリーラインはぐっちゃぐちゃでワケわかんないんだけど……なんか、スジは通ってるんですよね、この作品。

singingroot

わかりみ。

もりやん

なんで、章が終わってみると謎の達成感みたいなものがあるし、ホンモノ感がある。
途中では怒涛のパワーワードしか印象にないんだけど……なんだよ罪のミルフィーって!

singingroot

異常性癖とヒロイン

singingroot

いや面白いですよ本当に。やっぱり人物が破綻してるって感覚がないんですよね。

もりやん

わかりみ。

singingroot

無茶苦茶やってるし、ネタ先行で書いてるだろう箇所とかもあると思うんですけども、それがちゃんとその人間の個性として吸収されている。

もりやん

いわゆるギャグシーンでのキャラ崩壊とかって、僕萎えちゃうことも多いんですけど。
この作品だと、ああそうかお前はそういうカルマを背負っていたのかという納得感しかないのはなぜなんだw

singingroot

それもこう、「このキャラはこういうカルマのキャラなんです」っていう綺麗に統一された属性でやってるかっていうと、そうでもないじゃないですか。

もりやん

そうなんですよね……。

singingroot

ていうかフィリアのオムツ属性とか、どっから出てきたんだお前それは。

もりやん

ヤミツキになってんじゃねえよwww
あのーそれはやっぱり、一面にはリオがただのドMではなくて、昭和ガンコ親父好きっていう、一歩踏み込んだその、邪悪があるからですよね。

singingroot

別になんかトラウマのせいとかでもなくて、結局単なる性癖ですよね……。

もりやん

作者の都合でそこまで邪悪にはなれないっていうか……、もうそういう悪霊に取り憑かれてるんだからしょうがないって思えるというか……。

singingroot

悪霊w
ちょっと感想欄の話が出てましたけど、まあ全員ヒロインは邪悪っちゃ邪悪なんですけど、エルザは除いて、誰が人気とかってあるんですか?

もりやん

わかんねえよマジでw 毎回パワーワードにみんな脳を破壊されているので……やっぱり、一頭地を抜く邪悪さを持つアヤコちゃんBへの反応が大きいかなあ……。

singingroot

まあ……地の文とシステムメッセージの扱いが明らかに酷いですからね……。
ていうか綾子Aが相対的にすごくまともに見えてビビりました(小並感)。

もりやん

いやそのりくつはおかしい。Aもたいがいだからね?

singingroot

おかしいな……。
ヒロインについては、書籍化でイラストがどうなるかってのも気になりますね。その辺で印象がまた変わってくるかもしれない……いやおかしいのは何がどうあっても変わりようがないですが。
ていうかあゆま紗由でいいのか?

もりやん

アンジェはこういう絵柄が合う気はしますが。でもこの絵でアヤコちゃんは想像つかないぞ……。

singingroot

そうそう、この絵柄でちょっとヤバい組をどう表現するのかという……。

もりやん

口絵は炸裂してそう。4pフルカラー漫画とか入ってそう。

singingroot

どのシーンだw

もりやん

候補が多すぎるのですがw

singingroot

加筆だの修正だのがあるのかとかも含めて、怖いものみたさ的な意味ではすごく気になりますね、書籍版は。

もりやん

んでまあちょびっと話を戻しますとだ、なんだかんだ作品全体で、変態であることを肯定するような仕組みとか雰囲気作りはあるよねって。
なんというか……この作品での変態性は、人間関係における触手というか……。

singingroot

またなんかパワーワードが出た。

もりやん

干渉し合う部分でもあり、触るとヌメっとするからヒッってなるところでもあるんだけど、同時にコミュニケーションの手段でもあって。
だってリオが変態じゃなければ、おっさんがギャルとコミュニケーションなんか取れないじゃないですか。アヤコが変態じゃなければ、殻に閉じこもって出てこないだろうし。
基本的に異性怖いんだから、スケベじゃないと寄っていけないよね

singingroot

なるほど、もりやんさんの言う変態は、多分、「異常性」じゃなくて「突き抜けた性欲」みたいな感じのやつですよね。いや突き抜けてるから異常っちゃ異常なんだけど。

もりやん

「自分の奥底から出た」とかも付け足していいかな。

singingroot

そうですね。

もりやん

あと、「歪み」とか「偏り」という意味で、異常性に近いニュアンスもある。

singingroot

難しいな、表現が……。

もりやん

まあそれ、いってしまえば「個性」なんですけどね。
ヒロアカの「個性」だって気持ち悪いじゃんw9

singingroot

そうですね。なんていうか、それがリオとかの奥底から出てきたもので、そいつは中元にとって時に怖いし時にキモイし時に魅力的で、とにかくそれはリオの……まあ、引っくるめて言えば、個性で。

もりやん

んで、云うたら、個性が軋んでストレスが発生している状態のほうが正常なんですよ

singingroot

うん。

もりやん

エルザとは噛み合いすぎてたし、フィリアたちとは噛み合わなすぎてたし。
そういう意味で、かつてのパーティになく、いまの生活にある生命力みたいなものって、言い換えればその変態性というか、変態性が表出しているフィールドのことだよなあ……みたいな。

singingroot

それは多分、最初にアンジェがもたらしたものなんでしょうね。

もりやん

ですね! アンジェ天使だなあ!(錯乱)

singingroot

よし、やっぱりメインヒロインはアンジェだった。何の問題もない。

もりやん

いやーマジな話、エルザよりアンジェのほうがいい女だということに納得がいったような気がする。
懐が深いですよね、物理的にも精神的にも。

singingroot

確かにここまで話して、なるほどなって感じがしてきましたよね。

もりやん

すごく単純な違いとして、アンジェは恋敵のことを認識してるじゃないですか。

singingroot

そうなんですよね。友情一辺倒とか排斥一辺倒とかじゃなく、普通にちゃんと関係を結んでいる

もりやん

その上で競うし、蹴落とさないし、仲良くもするし、嫉妬もする。健全……この作品にこの表現を使うと頭がおかしくなりそうですが、健全ですよね。

singingroot

け、けん……ぜん……いや、しかし……確かに……?
あと、やっぱ元勇者パーティの面子の感情解説するのが地味に大事ですよねってのもある。10

もりやん

そう、人の気持ちが分かる子ですよね、アンジェは。しかもそれを鈍感カンストの中元に伝えられるあたり、頭もいい。

singingroot

彼女のあの技能がなかったら、今ほど上手くいかなかったことっていっぱいあるんだと思いますよね。

もりやん

ここで、実はエルザも認識していたんじゃないかと思うと突然ホラーになりますよw

singingroot

そこな!!!!どうだったんですかね!!!???

もりやん

思うに、本能的には感じてた部分はあったと思う。

singingroot

まあ立場が立場ですからねえ、気付いてたとしてもどうにかできたかは別の問題だったのかもしれないし。

もりやん

また、当時の中元にそれを受け入れる度量があったかという問題もあり……。
今のアンジェたちのような関係を築くことは結局不可能だったとは思いますが、エルザがアンジェほど視野と心が広くなかったのは事実でしょうね。
まあ、なんだかんだアンジェは善良だし優秀ですよ。性癖が邪悪なだけで……。

singingroot

まあアンジェたちだけでなく、詳しく語られてないけど、エルザも性欲はスゴかったとか書かれてますしね……。
あと性癖とかについては、もうそういう仕様だということで……。

もりやん

ぶっちゃけエルザも相当の地雷女だよなw
中元が気付いてないから我々に伝わってきにくいだけでw

singingroot

やっぱり中元視点以外のエルザ描写が楽しみです

まとめと次回への振りなど

もりやん

というわけで、だいたい語りたいことは語れたと思います!
アンジェがすごく好きになれた!

singingroot

うい、こちらも色々納得が得られて非常に楽しかったです。

もりやん

ちなみにいちおう聞いてみるけど、コレに関連しておすすめの作品とかありますか?

singingroot

今回の話から繋げるのに適切な作品、という意味です?
メインヒロインとはなんぞやとかハーレムの設計どーすんだとかバブみの扱いとかですかね、例えば……。

もりやん

合わせて読みたいとかお口直しでもなんでもいいですし?
別に我々の間での課題図書的な意味ではなく。

singingroot

あー、例えば『俺のロボ』とかは、"メインヒロインがナビゲーターAI" "現代モノ" "おっさん主人公"と、共通する要素が多いですかね。中身が似てるかどうかはともかくとして。
ノクタの方の『我にチートを』と同じ作者の作品ですね。

もりやん

あっノクタの話OK? いま僕の中で一番熱い作品ってノクタなんですけど。

singingroot

ノクタは数を読んでるかっていうと微妙ですが、別にエロはNGとかそんなのはないですよw

もりやん

じゃあ『こんなチンポに誰がした!』ですね。
Twitterにも書きましたが、あまりにも面白くて速攻で怪文書レビューを書き上げていた作品です

singingroot

書き出しが聖也を半年ぶりに射精させたのは、やはり黒淵麗奈だった。
インパクト大。

もりやん

「こいつタダモンじゃねえ」が何段階か来ますよ。

singingroot

ただ、もりやんさんのレビュー、いま読んでみましたが正直よく分からんかったです……w

もりやん

読み終わった上でコンテクストを把握してないと意味わかんないと思うw
最初600字のつもりで書いたら400字制限だったからめっちゃ削ったのもある。

singingroot

あー、レビューや感想の類ってほぼガン無視してるので知らなかったんですが、400字制限なんですね。

もりやん

感想はもっと長いと思う。レビューは400字ですね。

singingroot

ああ、感想は字数制限ないんですね。なるほど。
まあ性癖の問題もあるのでどのくらい話にノッていけるかは読んでみないと分かんないですが、ちょっと読んでみます。

もりやん

抜けるかどうかは別として、めっちゃ面白いですよ!

singingroot

あと、あけちともあきの作品も、カラーは少し似てたりしますかね。もりやんさんも読まれてるやつがあるかと思いますが。

もりやん

熟練度カンストの魔剣使い』と『転生魔王のマニュアル無双』は読みましたね。
『マニュアル無双』は、彼の作品の中ではやっぱりメジャー感があって素直に読みやすいですよ。
よわよわ魔王VS七人の勇者という構図が既に勝ってるし、笑顔の絶えない楽しい職場の話なのが良い。
エロは皆無なので口直しにはいいと思うw

singingroot

『マニュアル無双』は読んでないんですよね。やはり読まねば……。
初期は現代モノとかも書いてます。『シェイプシフター』はヒロインの存在感とかも面白くて、割と短いですし面白いかも?

もりやん

なるほど、僕もチェックしてみますね。
んじゃ今日はこんなところで!

singingroot

あいあい、お疲れ様でした。

もりやん

ありがとうございました!


  1. 文芸・書籍サロン - おーぷん2ちゃんねるに存在する、「小説家になろうおすすめ・雑談スレ」のこと。発掘することから通称スコッパースレと呼ばれているようだ。編集時点での最新スレは【荒らし厳禁】小説家になろうおすすめ・雑談スレ 31冊目

  2. singingroot氏のこと

  3. 永遠のアセリア - Wikipedia。主人公は異世界に勇者として召喚されるが、実際の扱いとしては、戦争奴隷同然に他国との戦争に駆り出されることになる。

  4. 異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに - 遅すぎたんだ参照。

  5. 転生したら剣でした』に登場する、やはりシステムメッセージ的な存在のこと。

  6. コミュ難の俺が、交渉スキルに全振りして転生した結果』のこと。交渉スキルという字面からは想像も付かないエロ小説展開が襲ってくることで有名。

  7. 異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに - 80%側の人間参照。

  8. To LOVEる -とらぶる-』シリーズの主人公、結城リトのこと。

  9. 僕のヒーローアカデミア』。ざっくり言うと、一定の割合で『X-MEN』的なミュータントが生まれるようになった世界が舞台の漫画。

  10. 前出の「遅すぎたんだ」と、異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに - サークルクラッシャー参照。