■
ロックロックロック!ポップでロケンロール!丸みのある優しい声とそれを包み込む深みと味わいのある演奏には可憐さすら漂う。ポップなくせして、重い演奏とかじゃないのにそこらのバンドよりも遥かに攻撃的で刺激的。アルバムの構成もポップソングの合間にアクセントとしてハードコアな曲をぶち込む辺りが上手い。ハードコアって言っても弾むような軽さの、だけど刺々しい鋭さの曲。だから決して聴き辛いわけじゃない。素直にカッコイイし。
シングルカットもされてる5曲目、アンハッピー・ニューエイジが一番好き。片っぽメモリーズも輝いてるけど。あと、NO WAY CITYみたいな尖った曲も。ポップとハードのどっちもカッコイイっていうのは凄いことだと思う。
■
いい意味でものすごくeastern youthの魅力が出てると思うけど、ずいぶん丸くなったなぁって思った。相変わらず絶叫がいい感じに放り込まれているけどその数が少ない少ない。でもまぁ、叫べばいいってもんじゃないし矯正視力0.六みたいな、聴かせる感のある曲でギャーギャー叫ばれてもうれしいもんじゃないし。今回のアルバムは聴かせる感のある曲が多いけど、ミドルテンポだろうが刺激が少なかろうがそんなものを吹き飛ばすかっこよさをもってる。飽きないし切なさがにじみ出ててすごくいい。
しっとりしてるのだと矯正視力0.六、からっとしてるのだとDon QuijoteやJet Manかな。ああ、安手の仮面と間抜けた男もいいなぁ。つまるところは捨て曲が無いってことなんですけどね。
■
「踵鳴る」に魅せられてアルバムを手に入れたんだけど、こういうのを聴くと邦楽だからってなめちゃいけないんだなっていつも思う。この洗練された音は素直にカッコイイ。刺激的で高揚感があって、そしてなによりもボーカルの絶叫が交わることでその魅力が段違いになる。エモーショナルのない曲は存在しないけど、ここまでエモーショナルを露わにしているのってそうは無い。ただ怒鳴るだけがエモなんじゃないと気付かされる。普段歌詞を見ないんだけど(詩が読みたきゃそれを専門にしている詩人の詩集の方がはるかにレベル高いだろうって考えてます。そもそもハードコアなやからの詩なんざ読めたもんじゃないし)このバンドの歌詞は、カッコイイと思った。あのリズムで、あのメロディで、この歌詞を歌うなんて反則だ。
捨て曲は無いです。全部が全部ハイクオリティ、もう惚れちまいましたよ。一番好きなのは「踵鳴る」です。このバンドならAt The Drive-Inと一緒にツアーをしたっていうのも納得できる。