双子ベビーカーと東北新幹線

双子ベビーカーを東北新幹線に乗せる方法

双子ベビーカーを広げたまま乗車する

はじめに

私は、双子ベビーカーユーザーとして、新幹線の定刻通りの運行を妨げず、なるべく周りの乗客の物理的な邪魔にならない、双子ベビーカーと東北新幹線に乗れる方法を模索しています。双子ベビーカーを使わないという選択肢も検討した上で「双子ベビーカーじゃないと厳しい…」という結論に至った同士に届けばいいなと思い、筆者個人調べによる「現状一番マシな方法」をまとめたものです。また、この記事は東北新幹線に特化しています。事情は路線ごとに異なりますのでご注意ください。

ここでの双子ベビーカーは、「エアバギー ココダブルEX フロムバース(以下ココダブル)」を指します。ココダブルは多胎家庭でのシェアが高く、双子ベビーカー問題になると大抵このココダブルのサイズが基準になる印象です。拙宅もココダブルユーザーです。

 

エアバギー ココダブルEX フロムバースの大きさは以下の通りです。

起立時:幅71.5cm 全長90cm 高さ95cm
折畳時:幅71.5cm 奥行45cm 高さ82cm
重量:13kg
 (エアバギー公式サイトより)

ココダブルは、横型の双子ベビーカーとしてはスリムです。一般的な車椅子より幅広ですが、一応車椅子のISO基準の最大幅くらいなので、車椅子対応の場所であれば通過可能です。記事中では、他の双子ベビーカーをお使いの方も参考にしていただけるよう、要所要所のサイズを実測値を掲載しました。ただ、計測誤差もありますし、新幹線側も同じ系でも車両によってサイズが異なる可能性もあります。ご了承ください。

あと、鉄道に全く詳しくないので用語等が間違っていたらごめんなさい!!

目次

双子ベビーカーを広げたまま乗車する

双子ベビーカーを新幹線に乗せるには、大きく分けて、「双子ベビーカーを畳んで乗車する場合」と「双子ベビーカーを広げたまま乗車する場合」があります。この記事では、「双子ベビーカーを広げたまま乗車する場合」をご紹介しています。

こんなご家庭におすすめ

  • 乗車距離が短い、または途中停車駅が少ない
  • 大人が1人しかいない
  • 赤ちゃんが小さい(目安:首据わり前、昼寝や授乳の回数が多い)
  • 記事『双子ベビーカーを畳んで乗車する』を読んだが、自分たちの人員構成や荷物の量その他考えると、無理無茶無謀だと思った

概要

  1. E5系の5号車の車椅子スペース近く(仙台側)の席を予約する
  2. 必要に応じて事前に駅でのお手伝いを依頼する
  3. 5号車の仙台側の扉からベビーカーを押して乗車する
  4. デッキで車掌さんが来るのを待つ
  5. 車掌さんに車椅子スペースまたら多目的室を利用したい旨相談する
  6. 了承を貰えたら、車椅子スペースまたは多目的室に移動する
  7. 無理ならそのままデッキで過ごす
  8. 目的の駅でベビーカーを押して下車する

車椅子スペースと多目的室、JR東日本の対応について

この記事では、単純な乗り方より背景の部分が長くなっています。ただ、ベビーカーを広げて乗りたいという方はぜひご一読いただきたいです。

双子ベビーカーを広げておける場所は限られる

新幹線の中で物理的に双子ベビーカーを広げて置ける場所は限られます。多目的室、普通車両の車椅子スペース、グリーン車の車椅子スペース、多目的室等があるバリアフリー設計のデッキ(以下バリアフリーデッキと呼称)の4ヶ所です。それぞれ1編成に1つずつついています(ただしE5系の最新編成u46では、普通車両の車椅子スペースが4台分あります)。

【Point】グリーン車についてはその性質上、私自身が小さな子ども2人を連れて乗ることを是と思わないので、この記事には取り上げません。

多目的室の利用

多目的室の外観

多目的室は、E5系の場合5号車のデッキにある個室です。普段は鍵がかけられ、利用するには車掌さんの許可を得る必要があります。身体の不自由な人、乗車中気分が悪くなった人が優先的に使ええます。また、上記の人の利用がない場合、赤ちゃんに授乳したり、ぐずった赤ちゃんをあやすことを目的に、短時間のみ利用することができます(車掌さんにこちらから使いたい旨伝えたり、向こうから声をかけてくれます)。

ルール上、双子ベビーカーを理由に、予約したり、長時間居座ったりすることはできませんしかし、多目的室の利用に関しては、車掌さんの判断によるところが大きいようです。実際、「当日新幹線の中でお願いしたら使わせてもらえた!」という体験談もききます。なので、「一切使えないかもしれないし、一旦使えても他に必要な人が出て、場所を譲ってくださいと言われるかもしれない」と把握した上で、当日車掌さんにお願いしてみるのが良いでしょう。

車椅子スペースの利用

まず大前提として車椅子スペースは、名前の通り車椅子ユーザーのためのものです。ご意見は様々あると思いますが、私は、車椅子ユーザーが利用するのを妨げるような使い方は避けるべきであると考えています。

E5系5号車の車椅子スペース(通路側1席分、座席の設置がない)

車椅子スペースは、E5系なら5号車の仙台側にあります。端列の3人席通路側にあたる12C席に座席の設置がなく、代わりに車椅子を固定できる器具があります(E5系の最新編成では少し異なります。後述)。車椅子スペースの隣席にあたる12Bは、介助者用席として、一般のシステム(券売機やアプリ)からは予約できません。車椅子ユーザーは、専用webサイトまたは電話で、この車椅子スペースおよび介助者用席を予約することができます。この記事では、以下「車椅子スペースおよび隣の介助者用席」を合わせて単に「車椅子スペース」と呼称します。

2023年4月10日現在、双子ベビーカーを含めたベビーカーユーザーは、車椅子スペースを予約することはできません

また、ネットで「東海道新幹線は、直前に車椅子スペースも一般予約できるようになる!」という記事がありました。東海道新幹線で実際にどうかはわかりませんが、少なくとも東北新幹線では、直前になっても、普通車両の車椅子スペースを一般予約することはできません(注: 個人調べ)。双子ベビーカーユーザーが車椅子スペースを使いたければ、「当日新幹線に乗ってから、車掌さんに使っていいか訊く」しかありません

要は、多目的室や車椅子スペースが使えるかは、賭け。無理なら、デッキに居座る。

そう。多目的室も車椅子スペースも、当日新幹線に乗ってみないと、使えるかわからないんです。赤ちゃん連れてそんな博打!?!?使えなかったらどうするの!?となりますよね。「使えなかったら?」のJR東日本の回答は、「混雑している場合はベビーカーを畳んでください」です。

しかし、現実問題、「双子ベビーカーを広げて乗車したのち、車内で畳む」のは、かなり大変です。大人の人数と子どもの月齢によっては不可能ですし、そうじゃなくても、大変だし安全上の問題もあります。

したがって、多目的室も車椅子スペースも使えなかった場合の、私の結論は、そのままデッキにいるです。大丈夫、デッキにいることになる確率は高くないし、E5系バリアフリーデッキは広いので、そうそう人の邪魔にはなりません。ただ大人は座れないので、長時間となると厳しいものがありますね。キャンプ用の折り畳み小型椅子なんかを持参した方がいいかも知れません。

【Point】車内で双子ベビーカーを畳むことがなんとか物理的に可能な方であるという方に向けて、そちらの手順もそのうち追記したいと考えています(2023年4月17日現在)。しばらくお待ちください。

【Point】JR東日本の定めるルールには打ちのめされるのですが、会社の規模からしてルールが画一的になることはある程度しかたがないし、現場で働いている方は親切な方が多いです。できる範囲で、臨機応変に対応してくださいます。そこまで「どうせ無理なんでしょ!?」とピリピリ挑まなくても大丈夫です(無理な時は無理ですけど)。
ただ、一方で現場の方は、「双子ベビーカーで車椅子スペースを予約できない」ことを知らなかったり、「車椅子スペースは当日の朝も一般に予約開放される」と勘違いしていたりと、細かいルールを把握されてないことも多いです。そのため、「予約しとけばいいのに」感を出されることもあります。正直イラっとするのですが、たくさんのルールがある中マイナーなものまで全て覚えていろというのは難しい話です。スルーするか、穏便に事情を説明することをおすすめします。

E5系バリアフリー対応車両

E5系5号車の車内マップ(各設備の大きさ・形は正確ではありません)

それでは作戦をご紹介します。乗り込むデッキは、「E5系新幹線の5号車仙台側(6号車寄り)のデッキ」です。E5系の5号車はバリアフリー対応車両になっています。デッキにはバリアフリー設備が配備されており、客室には車椅子スペースがあります。

バリアフリーデッキ

バリアフリーデッキ写真1(洗面台から多目的トイレ、右回りに半周)
バリアフリーデッキ写真2(多目的トイレから洗面台、右回りに半周)

このデッキに乗るための扉は、車椅子が通れるように幅広の99cmとなっています。他のデッキの扉は63cmなので、双子ベビーカーは通れません。

デッキには、多目的室・多目的トイレ・男女共用トイレ(ベビーチェアとベビーベッドあり)・男性用トイレ・洗面台が設置されています。図を見ていただくとわかるように、多目的室と多目的トイレの扉は円筒形になっています。このおかげで扉の前のスペースが広く、大きな双子ベビーカーでも、旋回したり人とすれ違ったりが容易です。

もしずっとデッキにいることになっても、ベビーカーを扉側に寄せておけば殆ど人の邪魔になりません(立ち客が多いと別ですが、このデッキは5号車が指定席車両になっていれば立ち客が出にくい場所です)。途中駅でどちらの扉が開くのかに注意して、降りる人がデッキに出てくる前に開く扉の前からどきましょう。

多目的室

私は多目的室を使ったことがないので、中が実際どうなっているのかは知らないのですが、ベンチ席と、ベビーカーも置けるくらいのスペースがあるようです。個室なので色々と人目を気にする必要がなく過ごしやすいと思いますが、常に「途中で突然別の人に譲ってと言われるかも」と頭の片隅に入れておかなくてはいけません。

車椅子スペース

車椅子スペース。介助者用座席12B席に、車椅子固定用のベルトがついている。

車椅子スペースは、バリアフリーデッキから5号車の客室へ入ってすぐのところにあります。12C席にあたる場所に座席がなく、隣の12B席の座席の側面に、車椅子固定用の器具がついています。座席のないスペース+通路の幅は108センチあり、双子ベビーカーを置いても、余裕を持って横を人が通過できます。12B席は車椅子ユーザーの介助者用席です。

車椅子スペースの空席率は見る限り高いです。ただそれは、車椅子ユーザーの遠出しにくさを表しているわけで、複雑な気持ちになりますが……(車椅子ユーザーは日本の人口の1.5%以上を占めます。ただし病院・老人ホーム等施設内で生活されている方も含むと思います)。因みに、車椅子スペースにシングルベビーカーや大型荷物がある可能性もゼロではありません。こういった場合、それでも使いたければ個人間で交渉することになります(過去、駅スタッフさんに、代わりにそういう交渉をしていただくことが可能か尋ねたら、できないとのことでした。でも車掌さんによるかも)。

確率1/46!?出会えたらラッキーな車椅子スペース4台付き編成

運よくu46編成に乗れた時の写真

実は、E5系バリアフリー車両は大きく分けて2つあります。といっても、殆どは前述のタイプです。現在運行中の46編成のうち、最新編成のu46編成のバリアフリー車両だけが異なります。何が違うかというと、他の車両は車椅子スペースが1台分しかないのに対して、u46編成は4台分あるんです!(JR東日本公式サイトのE5系の座席表は、この最新編成のものになってます。いや1編成しかないのに!?)

E5系u46編成の5号車の車内マップ(各設備の大きさ・形は正確ではありません)

ただ、この編成を狙って予約することはできません。なぜなら、どの編成が何時の新幹線で使われるかは当日決まるらしいのと、当日も何も一般向けの情報は出ないからです。でも、偶然この編成に当たったら、車椅子スペースが使えない確率はほぼないと言えるでしょう。今後、10編成ほど、この車椅子スペース4台付きの編成が増える予定のようです。そしたら、前もってその編成の運行時間がわかるようになるかもしれません。

トイレ

バリアフリーデッキのトイレの設備

バリアフリーデッキには、多目的トイレと男女共用トイレがあります。多目的トイレは、双子ベビーカーも入れる大きさですが、ベビーチェアやベビーベッドの設置はありません。男女共用トイレには、ベビーチェアとベビーベッドが1つずつ付いていますが、ベビーカーの入る余地はありません。したがって、大人が用を足すときは多目的トイレを使用し、子どものおむつを替えるときには男女共用トイレを使用します。

子どものおむつを替える時に、双子ベビーカーをどこに置いておくか、替えない方の子をどうするかは迷いどころです。面倒ですが、ベビーカーは扉の前に置いたままにして、替えない方の子をベビーチェアに座らせてから、替える子をベッドに連れてくるのが、一番「子どもから目を離す時間」が短くてすみそうです。

双子ベビーカーが余裕で収まる多目的トイレ
ベビーチェア・ベビーベッド付きの男女共用トイレ
(ベビーベッド使いにくくない…?)

チケット予約

新幹線に乗るイメージはついたでしょうか!?それでは、チケット予約をしてみましょう。チケットを取るときは、①E5系 の ②5号車 の ③なるべく車椅子スペース近く(仙台より)の席を予約します。

はやぶさが停車しない駅を利用する方への悲報

さて、ここで、はやぶさが停まらない駅を利用する方に残念ながらお知らせです。やまびこ・なすのは、バリアフリー対応車両が必ずしも指定席車両になっているとは限りません。特にオフシーズンの平日昼頃は、E5系5号車が指定席になってる新幹線を探すのに苦労するかもしれません。
自由席車両だと、車椅子スペースは誰でも使える状態になっています。始発駅から乗るなら確保できるかもしれませんが、途中から乗るとなると、子連れで賭けるには勝算が低いです。また、自由席車両だと指定席車両に比べてデッキに人が立っている率も上がります。やはりおすすめは5号車が指定席車両になっているE5系を探すことです。

5号車が指定席になっているE5系を選ぼう

予約する時のE5系の目印はグランクラスです。はやぶさ・やまびこ等なんでも、グランクラスがついている新幹線の1〜10号車ならE5系です。おそらく現在、はやぶさは全てE5系(+E6系)だと思います。そして全席指定なので、はやぶさが使える旅程であれば「5号車が指定席になっているE5系」を選ぶのは簡単です。

 

左はグランクラスがあるのでE5系、右はないので違う系(E2系

やまびこ・なすのは、E2系(+E3系)の場合がありますので、グランクラスがついているかよく確認してください。また前述の通り、肝心の5号車が指定席車両になっていない場合がありますえきねっとアプリの場合、5号車が指定席車両かどうかは、新幹線を選ぶ→切符の種類(指定席券)を選ぶ→座席図左上の「号車変更」から5号車が指定席として選べるかを見る という段階を踏まないと確認できません。オフシーズンの平日昼間は結構大変です。

車椅子スペース近くの席……?

えきねっと」のE5系5号車の座席選択画面

えきねっと」のE5系5号車の座席選択画面

スクショをご覧ください。「えきねっと」でみた、E5系5号車の座席選択画面です。少し先の日程のとある仙台方面行きのはやぶさE5系5号車の一部です。12C席に該当する車椅子スペースの周囲一体が、斜線つまり予約不可となっています。これは、予約できないようにシステム側でブロックされている状態です(車椅子ユーザーは専用ルートで予約できます)。なぜこんなにたくさんの席がブロックされているのか?それは、E5系には、先ほど紹介した車椅子スペースが4台分ある最新編成u46が存在するからです。スクショに、u46編成とそれ以外の編成の車椅子スペースの配置を書き込むと、下図のようになります。u46編成には、12Cだけでなく、11C・12D・12E・11D・11Eにも座席がありません。予約システムでは、「u46編成で座席がない位置」プラス「介助者用席(12AB、11AB、10C、10DE」も、一般から予約できないようにブロックされています。

ほとんどの編成では車椅子スペースは1台分だが、u46編成だけは4台分。

当日の朝5時になると、この11席のうち、12A・11A・11Bの3席が一般に開放されます(下のスクショは仙台-盛岡間の新幹線の座席表ですが同じです)。

12A席・11A席・11B席は、当日の朝、ブロックが解除される

したがって、前日までに予約できる「車椅子スペースに近い席」は、10A・10B・9D・9Eになります。前日までにそのあたりを予約しておき、当日の早朝に12A・11A・11Bへ座席変更を狙うと、より近い席をゲットできます。特に12A席を押さえることができれば、車椅子スペースを使えた場合に、隣に人がいる心配がなくなります。

当日朝もブロックされている席は、どうやら該当の新幹線が走り出してもブロックされたままです。つまり、専用の方法で車椅子ユーザーが予約しない限りは空席になります。

JRへの介助依頼

窓口で色々と聞くと良いです

ベビーカーを押しながら乗降するにあたって、必要であれば駅にお手伝いをお願いしましょう。事前にみどりの窓口に行くか、電話(JR東日本お問い合わせセンターに電話をかけて、駅に転送してもらうようです)で相談をします。できれば新幹線に乗車する駅で相談するのが良いでしょう。

ココダブルなら、タイヤが大きくしっかりしているので、ホームと車体の隙間が大きくなければ、1人でも乗降可能です。ですが、ホームがカーブしている場合などは、隙間が大きくなりがちです。初めての駅で下見もできない場合は、駅にお願いしてスロープを出して貰う方が安心です。

お手伝いを依頼するときは、新幹線の予約内容を伝えた上で、何を手伝って欲しいのか、なるべく具体的にお願いします。とはいえベビーカーを広げたままなら、スロープを出してもらうくらいでしょうか。※停車時間内(1分程度のことも!)でおさまる内容に限られるので、車内での色々をお手伝いしてもらうことは難しいです。

内容を伝えて了承をもらえたら、当日の待ち合わせ時間と場所を確認します。乗車時間より早めに来るように言われますのでそのつもりで(私は20分前でした)。往復まとめて依頼する場合、復路の待ち合わせ場所と時間の確認も忘れずに!!

当日急にお願いしてもスロープは出してもらえるようですが、余裕を持った運行を妨げないよう、きちんと事前に依頼をしたいところです。

乗車当日

できるだけ たのしみたいな しんかんせん

設備のことを把握していたら、もう残る心配は車中の子どもの世話くらいです!

乗車する時

お手伝いを依頼している場合は、事前に確認した待ち合わせ場所に行きます。駅スタッフさんと合流したら、改めてお願い事項を確認しましょう。以降の移動や乗車などは、駅スタッフさんの指示に従ってください。

早めにホームに行き、5号車の仙台寄りの扉が来る近くの安全な場所で、体勢を整えておきましょう。デッキで車掌さんを待つことになるので、乗る時は最後に乗り込みます。

駅スタッフさんにお手伝いをしてもらった場合、お礼を言って別れましょう。駅スタッフさんが降りないと発車できません。お手伝いしてもらうことは最低限にして、引き留めず、なるべく早めに降りてもらいましょう。

車掌さんを待つ

乗車した後は、デッキで車掌さんが来るのを待ちましょう。デッキから客室の車椅子スペースが見えます(もし乗車区間が一駅なら、ドアが閉まった時点で誰もいなければ、車掌さんを待たずに使って事後承諾でもいいかも……しれません、どうでしょうね?)。車掌さんが来たら、多目的室か車椅子スペースを使いたいことを伝えましょう。OKなら移動、NGならそのままデッキで過ごします。デッキにいることになった時のために、軽量で折り畳みのキャンプ用チェアを持ってると便利かもしれませんね。折り畳み傘レベルのコンパクトなものもあるようですし。

車内で過ごす

双子ベビーカー特有のことはトイレくらいかと思います。

降車する時

降り遅れないように早めに降りる準備をしておきましょう!多目的室または車椅子スペースにいる場合、降りる人が少なければあらかじめデッキに行き、多ければその場にとどまって最後に降りることをおすすめします。駅にお手伝いを依頼している場合は、何か事前に指示があればそちらに従ってください。

以上です。

【そのうち追記するつもり】双子ベビーカーを広げたまま乗って、多目的室も車椅子スペースも無理ならベビーカーを畳みたい方へ

そのうち書きます。

おわりに

多胎家庭の外出困難が少しでも解消されますように

およそ9,000文字の記事になりました。長い。でもこれで良いと思っています。マジでなんとか乗りたいんじゃ。。。って人向けなので。

多胎家庭のお出かけのしにくさが少しでも解消しますように。みんながお出かけを楽しめますように。

横型双子ベビーカー以外の手段で新幹線に乗る際の比較検討記事もそのうち書きたいです。

双子ベビーカーを畳んで乗車する

はじめに

私は、双子ベビーカーユーザーとして、新幹線の定刻通りの運行を妨げず、なるべく周りの乗客の物理的な邪魔にならない、双子ベビーカーと東北新幹線に乗れる方法を模索しています。この記事は、筆者個人調べによる「現状一番良いと思われる方法」をまとめたものです。また、この記事は東北新幹線に特化しています。事情は路線ごとに異なりますのでご注意ください。

ここでの双子ベビーカーは、「エアバギー ココダブルEX フロムバース(以下ココダブル)」を指します。ココダブルは多胎家庭でのシェアが高く、双子ベビーカー問題になると大抵このココダブルのサイズが基準になる印象です。拙宅もココダブルユーザーです。

エアバギー ココダブルEX フロムバースの大きさは以下の通りです。

起立時:幅71.5cm 全長90cm 高さ95cm
折畳時:幅71.5cm 奥行45cm 高さ82cm
重量:13kg
 (エアバギー公式サイトより)

ココダブルは、横型の双子ベビーカーとしてはスリムです。一般的な車椅子より幅広ですが、一応車椅子のISO基準の最大幅くらいなので、車椅子対応の場所であれば通過可能です。記事中では、他の双子ベビーカーをお使いの方も参考にしていただけるよう、要所要所のサイズを実測値を掲載しました。ただ、計測誤差もありますし、新幹線側も同じ系でも車両によってサイズが異なる可能性もあります。ご了承ください。

あと、鉄道に全く詳しくないので用語等が間違っていたらごめんなさい!!

目次

双子ベビーカーを畳んで乗車する

双子ベビーカーを新幹線に乗せるには、大きく分けて、「双子ベビーカーを畳んで乗車する場合」と「双子ベビーカーを畳まず乗車する場合」があります。この記事では、「双子ベビーカーを畳んで乗車する場合」をご紹介しています。

こんなご家庭におすすめ

  • 以下2つのどちらかを満たしている(おすすめというか必要条件
    • 大人の数 ≧子どもの数(車内での子どもの抱っこ人員が足りている)
    • 子どもが自分で座席に座っていられる
  • 乗車距離が長い

【Point】子どもが自分で座席に座っていられる月齢であれば、大人1人でも実行可能です(乗降はJR東日本にお手伝いをお願いします)。ただまあ、実現不可能ではないだけでかなり大変です。

概要

  1. E5系の車両の最後列の席を予約する
  2. ホームで子どもたちを抱っこして、双子ベビーカーを畳む
  3. 子どもたち、荷物、双子ベビーカーと共に乗車する
  4. 双子ベビーカーは、予約した座席の後ろに置く
  5. 子どもたちと席に座る
  6. 降りる駅が近づいたら降車準備をする
  7. 子どもたち、荷物、双子ベビーカーと共に降車する
  8. ホームで双子ベビーカーを広げ、子どもたちを乗せる

全体像のイメージは湧きましたか?では、詳細を、事前準備と当日に分けてご説明します。

事前準備

チケットを予約する→当日のシミュレーションをする→JRに介助依頼をする
の順で書いています。

チケットを予約する

席を取る時に注意したいポイントは以下の4つです。

  1. 予約する席の数
  2. 乗車する新幹線
  3. 席の位置
  4. 号車
1.予約する席の数

列車では本来、大人1人の運賃につき未就学児2人まで無料で同伴できます。しかし、指定席を使うとなると別です。使いたい席数が大人の数より多い場合は、その分をこども運賃で予約しましょう。
例えば私が1歳9ヶ月の子ども2人と、合計3人で乗車した時は、大人1・こども1の計2席を予約し、そこに3人で並んで座りました。

【Point】eチケットでこども用の切符を予約した場合、こども用Suicaの準備と切符との紐付けを忘れずに。こども用Suicaは窓口でしか発行できません。切符購入後に発行しても大丈夫です。

2.乗車する新幹線

東北新幹線の車両には、E5系E2系E6系E3系の4系統がありますが、E5系を選んで乗車しましょう。E5系は、デッキが広く、おむつ替え台やトイレ内のベビーチェアも潤沢です。一方で、E2系E3系には、双子ベビーカーを置く場所がない車両があります。デッキ等も狭いです。E6系はベビーカーを置くことはできるのですが、在来線へ乗り入れする関係で、車体が細く、結果E5系より車内が狭いです。

E5系の目印は、グランクラスのある列車の1~10号車です。はやぶさは全てE5系なので、どの列車を選んでも大丈夫です。一方、やまびこ・なすのは、E2系の場合があるので注意しましょう。

えきねっとアプリの列車選択画面。グランクラスがあるのでE5系
3.席の位置

車両最後列座席の後ろにベビーカーを畳んで置く

予約する席を選ぶときの最重要事項は、車両の最後列にすることです。畳んだ双子ベビーカーを、座席の後ろの、壁との間のスペース(幅50センチ)に置くためです。2席分の後ろのスペースを占領し、椅子は殆ど倒せなくなります。下り(仙台方面)の場合は1A・1B・1C・2D・2Eが該当します(左下図)。上り(東京方面)の場合はその車両で最も番号が大きい一列です(右下図)。

座席選択画面。下り(左)であれば1A・1B・1C・2D・2Eを、上り(右)であれば番号が一番大きい最後列(図の車両では20列目)を予約する

また、図4左の通り、E5系の各車両客室の東京方面側には荷物置場があります。サイズ的には、この荷物置き場に双子ベビーカーを平置きすることができます。ただ、ぴったりサイズなので、1つでも先に荷物が置かれていたら収まりません。使えることを期待せず、後ろにベビーカーを置ける最後列座席を予約することをおすすめします。

E5系客室内の荷物置場。他に荷物がなければ、平置きで双子ベビーカーを入れられる

荷物置き場のサイズは、以下の通りです。

幅 89cm
奥行き 上段 70cm  下段 74cm
  (両方80cmくらいのものまで置けそう)
高さ 上段 54cm  下段 60cm

4.号車

ベビーカーを畳んで乗車する場合は、基本的に何号車でも大丈夫です。選べそうなら下記を参考にしてください。

①駅によっては、階段などでホームがとても狭くなっている場合があります。ホーム上での新幹線の扉への辿り着きやすさを気にしてみましょう。

②トイレ、ベビーベッドが近いと便利です。E5系の場合、奇数車両の仙台方面側(番号が大きい側)にあります。つまり、上り(東京方面)に乗る時は奇数車両、下り(仙台方面)に乗る時は偶数車両の最後列に乗ると、トイレやベビーベッドが近くなります。

E5系のトイレ・ベビーベッド配置

当日のシミュレーション

チケットが取れたら、当日のシミュレーションを始めましょう。新幹線は、停車時間が1分しかない!ということもザラです。スムーズに乗降できるよう、誰が何をどう持って運ぶのか、事前に検討しましょう。必要に応じて練習もします。私は、双子を抱っこ(双子抱っこ紐ベラミ使用)+リュックで乗降予定でしたが、練習で、「リュック→子どもたちの順で背負うと締まって息ができなくなる」ということに気付きました。

また、乗る時よりも、降りる時の準備の方がシビアです。降りる駅に着く何分前から降りる準備を始めるかも、決めておくとよいでしょう。

当日持ち歩く荷物を減らす工夫も必要です。旅先に送れるものは送る、旅先で買えるものは買う、消耗品は使い切りサイズを用意する、圧縮袋を使用するエトセトラ。大人1人であればリュック+サコッシュ(貴重品入れ)が限度です。私は工夫に工夫を重ねた上で、それでも大容量のマザーズバックをパンパンにしていきました(1泊2日)。

もちろん、新幹線の乗降だけでなく、その前後の道のりの下調べも忘れずに。予約した新幹線に乗り遅れたら悲劇ですから……。

JRへの介助依頼

みどりの窓口で相談してみましょう

乗降時の人手が足りない場合、駅にお手伝いをお願いしましょう。事前に、みどりの窓口に行くか、電話(JR東日本お問い合わせセンターに電話をかけて、駅に転送してもらうようです)で相談をします。できれば新幹線に乗車する駅で相談するのが良いでしょう。

伝える・確認することは以下の通りです。

  • 予約内容の詳細(予約番号を伝えるとスムーズ)
    • 乗る新幹線の時間、座席、人数
  • 手伝って欲しいこと(なるべく具体的に)
    • 例1:畳んだベビーカーをホームから座席の後ろまで運んでほしい
    • 例2:鞄を座席まで運んでほしい
    • 例3:スロープを出してほしい
  • (ものの運搬を頼む場合)運んでもらうものの重さや大きさ
  • 乗車駅での待ち合わせ時間と場所
  • 降車時の新幹線車内での待ち合わせ場所(デッキor座席)

特に双子ベビーカーを運んでもらう場合、大体の重さや大きさを伝えましょう。大抵の人は双子ベビーカーをシングルベビーカーの延長でイメージしています。私は初回、駅窓口であまりに軽く「はい大丈夫ですよ〜運びますよ〜」と受けて貰えたので、ベビーカーのサイズに言及しなかったんです。そしたら当日、駅スタッフさんが「おもっ!?」って声をあげていました。すみません。

そして、注意したいのは、窓口で伝えたこと全てが当日スタッフさんに伝わるとは限らないということです。介助依頼の管理がどうなっているのかは不明ですが、人選・人数に関わる部分は、強調しておきましょう。

内容を伝えて了承をもらえたら、当日の待ち合わせ時間と場所を確認します。乗車時間より早めに来るように言われますのでそのつもりで(私は20分前でした)。往復まとめて依頼する場合、復路の待ち合わせ場所と時間の確認も忘れずに!!

【Point】お願いできるお手伝いは限られています。例えば、ベビーカーを畳んでほしいと思っても、大抵の人は畳み方がわからないでしょう。また、車内でしてもらえることは、停車中の短時間(1分しかないことも!)で可能なことのみです。定刻発車を妨げないように気を付けましょう。

乗車当日

ものごとは準備が9割。当日は気合あるのみ。

乗車する時

お手伝いを依頼している場合は、事前に確認した待ち合わせ場所に行きます。駅スタッフさんと合流したら、改めてお願い事項を確認しましょう。以降の移動や乗車などは、駅スタッフさんの指示に従ってください。

席を予約しているので、乗車待ちの列に急いで並ぶ必要はありません。ただ、早めにホームに行き、席から一番近い扉のそばの、安全な場所で、体勢を整えておきましょう。乗車する新幹線が到着する前には、子どもたちを抱っこし、双子ベビーカーを畳んでおきます。乗る時は、他のお客さんが乗り終わったあと、最後に乗り込みましょう。

畳んだ双子ベビーカーは、予約した最後列席の後ろのスペースに置きます。子どもたちと席におさまれば、ひとまず最初の山場は終了です。

駅スタッフさんにお手伝いをしてもらった場合は、お礼をして別れましょう。駅スタッフさんが降りないと発車できません。引き留めず、なるべく早めに降りてもらいましょう。

車内で過ごす

席に座れたらひとまず一安心です。難関は、大人が1人の場合のおむつ替え&大人のトイレくらいだと思います。E5系のトイレの良いところは、男女共用トイレの中にベビーチェアとベビーベッドが併設されていることです。大人が1人でも、2人とも抱えてこのトイレに行き、1人をベビーチェアに座らせて、もう1人のおむつを替えることができます。2人を入れ替えるのは少々大変ですが……。なお、ベビーチェア・ベビーベッドともに対象年齢は2歳半までです。

E5系男女共用トイレ。ベビーチェアとベビーベッドが併設されている

大人がもよおした時は、1人ベビーチェア、1人は抱っこでしょう。できれば車内でトイレに行く必要がないよう、乗車前に多目的トイレに行っておき、乗車中は飲み物控えめにしたいところです(体調にはお気をつけください)。

降車する時

大人の手が少ない場合、最も大変なのは降車する時です。時間に余裕を持って降車準備をしましょう。新幹線の走行中に準備することになりますので、くれぐれも揺れに注意してください。

駅にお手伝いをお願いしている場合は、乗車する人たちを留めて、駅スタッフさんが乗り込んできてくれます。依頼時に、座席まできて欲しいのか、デッキでいいのか、伝えておきましょう。

お手伝いをお願いしていない場合は、なんとか降り遅れないようにデッキに出なくてはいけません。手順や分担を細かく考えておきましょう。

ホームに出たら、ホームの端から離れ、人の邪魔にならない場所でベビーカーを広げましょう。子どもたちをベビーカーに下ろせたら、ミッションコンプリートです。お手伝いをしてもらった場合、感謝を伝えましょう。

以上です!お疲れ様でした!!残りの旅程も頑張りましょう~!

おわりに

頑張れ!ふたご・みつごのパパとママ

東北新幹線に双子ベビーカーを畳んで乗車する方法をご紹介しました。

大変ですね。1人でも月齢によってはできるんですけど(我が家の場合は乗車時間がそこまで長くないこともあり、1歳8か月頃に「席に座ってられそうだな」と判断しました)、ま~~~~、駅スタッフさんのお手伝いが必要な上にそれでも乗降が大変なので(「車内でどう静かに過ごさせるか」なんて霞む)、この方法は大人2人以上にお勧めします。大人2人でもダブル抱っこが厳しいようであれば(低月齢、イヤイヤ期で暴れるなど)、お手伝いをお願いした方がいいと思います。

新幹線に乗りたい多胎家庭の方のヒントになれば幸いです。とにかく最初から最後まで事前シミュレーションしてください。応援しています。

ぜひ兄弟記事『双子ベビーカーを広げて乗車する』も合わせてお読みください。めっちゃ長いけど