シネマとライブと雑多な日々

映画やライブを見て感じたこと、考えたことを気ままに綴ります。

#私的名画シリーズ アラン・リックマンが印象的だった、笑えて泣ける「ギャラクシー・クエスト」

サンダーバード」や「スタートレック」「宇宙戦艦ヤマト」で育った世代にはたまらない映画。熱中度が低くても十分楽しめるが、熱中度が高かった人ほど、爆笑頻度は高い。

トーリーは。。。

TV番組「ギャラクシー・クエスト」の出演俳優たちが、物語さながらの宇宙戦争に巻き込まれてしまうという話。いかにも!の、B級ノリで、パロディもふんだんだが、出演者もスタッフも一流どころが顔をそろえたドリームワークス作品。仕上がりも超A級だ。

公開された2001年2月。現在は休館中の渋谷シネクイントで観たのだけれど。。。

当時、前評判では感動すると聞いていたが、この設定で、このバカバカしさで、泣けるわけがないだろうと高をくくっていたところ、うるうる、ジワジワシーンが結構あって、「失礼しました!」と心の中で謝った。

映画ならではの奇想天外さ、作り手の愛とこだわりが感じられる、あったかい映画だ。

出演者で特にいいのが、トカゲヘッドのアラン・リックマン。何に対しても投げやりな風情がすごくよくて、クールなんだけど、何とも言えないおかしみがにじみ出ていてすごく印象に残る。

当時、映画を観た後に、「ダイハード」のテロリスト役と知って、びっくりした記憶がある。さすが役者! この映画の彼は、確かにそうだけど、同一人物とは思えない化けっぷりだった。晩年は、ハリー・ポッターシリーズで知られた役者さんだけれど、アラン・リックマンというと、私はこの映画の彼を思い出してしまう。

この映画でギモンだったのは。シガニー・ウィーバーの胸。叶姉妹ほどではないが、かなりの豊満ぶりで、思わずギモンがむくむく。でも、こういうラフで楽しい映画に出るシガニー・ウィーバーって好き。最近、あまり映画で見ないけれど。どうしているのだろう。

 

♯今日の1本 リオがらみで思い出した2003年の衝撃作『シティ・オブ・ゴッド』

第15回東京国際映画祭でこのブラジル映画を観たとき、心底驚嘆した。

「こんな映画初めて観た!」というのが正直な感想。

その重苦しい題材からいって、一歩間違えば教訓タラタラの説教くさい映画になってもおかしくなかったのに、そうはならなかった…。

悲惨なスラム街の現実を赤裸々にあぶりだしつつも、まるで最新のCMのような躍動感あふれるスタイリッシュな映像美で、エンターテイメント作品として見事に成立!

十年以上たった今でも、にわとりを追いかけるシーンやすごみのある少年の表情が頭に浮かぶほど、印象に残る映画だった。

この映画は、実際にスラム街で育ったパウロ・リンスのベストセラー・ノンフィクションを原作に作られた。舞台は、ブラジル、リオデジャネイロ近郊のスラム街「シティ・オブ・ゴッド」。ここに暮らす少年たちの日常を60年代、70年代、80年代の3部構成で描いている。

中心人物はふたり。60年代後半に10代そこそこだったリトルトブスカペ、このふたりの少年がどのように育っていくのか、カメラは善悪を判断しない冷徹な視線で追っていく。

「神の街」なんて素晴らしい名前がついているが、そこは麻薬や銃撃戦、暴力等々、何でもありの世界。

60年代の描写で、少年団がモーテルを襲撃し、従業員ほか客もろとも皆殺しにするシーンがある。その一味に加わっていたリトル。しかも、最年少でありながら、最も残虐なことをやってのけるのだ。

このリトルを演じる少年の見事なまでのふてぶてしさ!

日本で言ったら小学校高学年くらいだろうか。こんな子どもが銃を所持し、ギャングのボスになるべく悪行の限りを尽くしていく。この悲惨な世界…、と思うのだが、そこで生きる子どもたちは、「ここで生き延びてやる!」という強烈なエネルギーを発散していて目が離せない。

監督は、当時、この作品が長編3作目であり、CMなどテレビ業界でも活躍していたフェルナンド・メイレレス。そう、今年のリオデジャネイロオリンピック開会式の演出を手がけたのがこの人だ。

彼はこの当時、出演者を選ぶにあたり、2000人におよぶスラム在住の子どもたちをオーディションしたのだという。東京国際映画祭の上映後のトークでは、「ドキュメンタリーのようなリアルな描写を実現するため、出演者によるワークショップやリハーサル、脚本やセリフに関する意見出しは入念に行った」と言っていた。実際、登場人物はすべて素人だったにもかかわらず、みんな演技以上の圧倒的な存在感で観客を魅了したのだ。

余談だけれど,これを観たときに「東京国際映画祭のグランプリはこれで決りだ」と確信した。しかし、そうはならなかった。公式プログラムでは、コンペティション部門にエントリーされていたのに、映画祭の終盤になぜか出品規定を満たさないとかで、アウト・オブ・コンペティションになってしまったのだ。このときの映画祭では、ほかにも2作品が同様の理由で対象外になった。すべて映画祭の最中に。3作品すべてがグランプリ最有力候補だっただけに、とても残念だった。

6月公開の新作映画から、観たい映画をピックアップしてみた

映画はやっぱり公開してからそんなに日を置かずに観るのがいいと感じる今日この頃。4月公開、5月公開の新作で、まだ観ていない映画がたくさんあるのに、6月も次々と新作が公開される。何本観れるかわからないけれど、あとでDVD化されたときの覚え書き用にも、今月も観たい映画をピックアップ!

★毒舌家のアンチヒーローが観てみたい『デッドプール』6/1公開

★捨てられた子犬のような目が魅力のジェイク・ギレンホールがボクサーを演じる『サウスポー』。エミネムの主題歌も楽しみ。6/3公開

玉木宏の舞台挨拶付き!に魅かれて公開初日に行く予定の『探偵ミタライの事件簿 星龍(せいろ)の海』6/4公開

阪本順治監督と藤山直美が15年ぶりに組むという『団地』6/4公開

ソン・ガンホとユ・アインが確執のある父と子を演じるという『王の運命(さだめ) 歴史を変えた八日間』6/4公開

★映画のテーマ&ジョディ・フォスター監督&ジョージ・クルーニージュリア・ロバーツ共演と見所盛りだくさんな『マネーモンスター』6/10公開

★第88回アカデミー賞の助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィカンダーがロボットを演じる『エクス・マキナ』6/11公開

★観たいような、観たくないような…。キアヌ・リーブスが一夜の過ちから破滅する父親を演じる『ノック・ノック』6/11公開

★昨年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『シチズンフォー スノーデンの暴露』6/11公開

★過去からタイムスリップしてきたヒトラーが、現代社会でモノマネ芸人としてスターになるというドイツ映画『帰ってきたヒトラー』6/17公開

★家族を抑圧し、支配する父親を演じる三浦友和など、キャストに興味が向く『葛城事件』6/18公開

★昨年の「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」で観て衝撃を受けた『シリア・モナムール』がついに6/18公開

cinemato-iroiro.hatenablog.jp

★イケてない43歳独身男性の恋模様を描いたアイスランド映画『好きにならずにいられない』6/18公開

★昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭コンペティション部門で大賞を受賞したポルトガル映画ホース・マネー』6/18公開

★EDMシーン&ザック・エフロンのコラボに惹かれる『WE ARE YOUR FRIENDS』6/24公開

★「反逆の韓国ノワール2016」と題しシネマート新宿&シネマート心斎橋で上映される『極秘捜査』『鬼はさまよう』『殺人の輪廻』『名もなき復讐』6/25〜、7/2〜

★1980年代の東ドイツが舞台。ダンス好きなので、ブレイクダンスに熱中する若者というテーマに惹かれる『ブレイク・ピーターズ』6/25公開

★『マシュー・ボーンの「ザ・カーマン」』6/25公開

 

切ないのに、満たされた気持ちになれる! リアルなファンタジー映画『世界から猫が消えたなら』

世界から猫が消えたなら、この世界はどう変わるのだろうか……。

世界から僕が消えたなら、いったい誰が悲しんでくれるのだろうか。

 120万部超のベストセラーとなった原作本は未読だったのだけれど、このキャッチコピーと自転車のかごに乗せられた猫のビジュアルに惹かれて観に行った。

主人公は、猫と暮らす30歳の「僕」。

ある日、自転車に乗っていたときに転び、病院で脳腫瘍だと告げられる…。手術もできない状況…。明日をも知れない命…。

取り乱すこともできず、ぼんやりとした気持ちで家に帰ると、自分とそっくりな男が食卓に座っていた。男は自分を「悪魔」と名乗り、「この世界から何かをひとつ消す代わりに、寿命を1日延ばすことができる」と不思議な取引を持ちかけた…。

主人公が自転車で転ぶとき、体が上空にふわりと浮き上がり、一回転するシーンがスローモーションで描かれたり、まさかの「悪魔」が出てきたり、突然舞台がアルゼンチンに飛んだり、時間が前後したり…。

お涙ちょうだい映画によくあるベタッとした描写がまったくなくて、ときにサラサラと、ときに淡々と、ときにファンタジーの要素を加味して大胆に!

それなのに、後半は親と子、元彼女や友人、猫とのエピソードが心にしみて、しみて、何気ないシーンに涙があふれてくる。

ふだん声高に叫んでいなくても、誰しも認められたい気持ちや、自分の存在意義への不安があるのではないだろうか。そんな答えがあるようで答えが出ない問いに対して、この映画は、ふんわりと包み込んでくれるようなやさしさがある。心にぐっとくるたくさんの言葉も出てくるのだれど、心にしみてくるのは言葉では現しきれない「何か」。

寿命を延ばす代わりに消えるものとして「悪魔」が選ぶのは、「電話」「映画」「猫」。その流れの中で、とりわけ「映画」のエピソードが熱く描かれている。

レンタルビデオ店に勤める友人と「僕」との会話の中で出てくる『アンダーグラウンド』や『燃えよドラゴン』『ライムライト』『太陽を盗んだ男』『海の上のピアニスト』『恋人たちの予感』、そして、元彼女とのエピソードにからむ『メトロポリス』や『ブエノスアイレス』…。

原作者について全く知らずに観ていたので、「きっと映画オタクなんだな」「まるで文系タランティーノみたいだな」などと思っていた。

パンフレットを見て知ったのだが、原作者の川村元気さんは、『モテキ』や『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『バケモノの子』『バクマン』などを製作した映画プロデューサーでもあった。それを知って、なんか納得。パンフレットに書いてあったのだけれど、原作本は、川村さんが10代のときに、40代で脳腫瘍で亡くなった叔父さんの話なのだそうで、15年を経て完成した叔父さんへの「卒論」なのだそうだ。そのエピソードもまた泣ける。

このパンフレットには、出演俳優や永井聡監督、撮影や照明などのスタッフの人が「人生最後に観たい1本」を紹介しているので、映画愛が強い人は買うとよりいっそう楽しめると思う。

映画『世界から猫が消えたなら』公式サイト

映画の最後に流れる「ひずみ」という歌がとてもよくて、iTunesで思わず買ってしまった。聴くたびに映画の世界観に包まれているようで、切ないのだけれど、満たされた、ポジティブな気持ちになれるから何回も何回も聴いている。

www.youtube.com

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♯今日の1本 2006年のマイベストワン映画『ゆれる』

女性である西川美和監督が描く、男兄弟の心の「ゆれ」。

女だから、男だから、という文脈で語りたくはないけれど、
この映画は監督の女性としての感性がとっても生かされた作品だと思う。

そもそも、こんな深くて、とらえどころのない心の「ゆれ」を作品にするのはすごく難しいのに、無理なくさらりとやってしまった感がある(本当は脚本も演出も練りに練ったもののようだが…)。

しかも、出来上がった作品は、西川監督の個性が色濃く出たものでありながら、作家性の強い作品にありがちな気取った感じや独りよがりな感じや、難解な感じがまったくない。

主人公は、家業を継いで地方に住む「兄」と東京に出てカメラマンとして成功した「弟」。母親の法事で故郷に帰った弟が兄とおさななじみの女性と3人で、山あいの川へ出かけたことで事件が起こる。

香川照之演じる「兄」は、まじめだけが取り柄という感じ。
独身で父親と同居して家業のガソリンスタンドを切り盛りしている。
従業員には慕われているが、女性には奥手の雰囲気だ。
父と折り合いの悪い弟には何かと気配りを見せ、やさしい。

一方、オダギリ・ジョー演じる「弟」は、
女にモテるが、女癖が悪く、でも、仕事はできて成功してる。
ある種の男には反感を抱かれるタイプ。
女性にとっては、惹かれちゃいけないと思いつつ、惹かれてしまう悪い奴。

オダギリ・ジョーがおさななじみの女性とキスしながら
「舌出せよ」というシーンがある。
も〜う、何と言うか、画面を見ながらドキドキした。
パンフ(発行:シネカノン)にあったオダギリ・ジョーのインタビューには、「冗談かもしれませんが、監督は、つきあってきた男性の、ひとつひとつの欠点を猛(弟)という役に投影しました、とも言っていました。怖い人です(笑)」とあった。

こんなところが、女性ならではの良さなんじゃないかと思うのだ。
男性が描くラブシーンの多くは、幻想に彩られすぎてて、
観ていてちっともドキドキしないことが多い…。

本題からズレてしまったが、この兄弟に起こった事件が
二人の関係をどう変えていくのか。

気配りのあるできた人間と思っていた兄の心にひそむ屈折した感情。この兄が洗濯物を畳むシーンが出てくるのだけれど、静かなシーンながら兄の心をのぞいてしまったようなコワイシーンに受け取れた。

展開に目が離せなくなり、時に共感したり、
「えーっ、そうなるの?」と心で叫んでみたり、
見ているこっちの心も大きく「ゆれる」この作品。
かなりオススメの1本。

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ノベライズ小説も出ていたのですね。知らなかった。

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5月公開の新作映画から、観たい映画をピックアップしてみた

4月に映画館で観た映画の感想も整理しきれないうちに、もう5月。。。

2010年から追いかけている2PMのアリーナツアーが4月23日から始まり、GWは代々木に3日間通うなどライブ三昧の日々だった。その感想はまた別の機会にすることにして、今月も5月に公開される映画から、観たい映画をざっくりとピックアップしてみた。

★ベルリンの街を舞台に繰り広げられるひとりの女性と4人の青年の一夜を140分のワンカットで描いた『ヴィクトリア』5/7公開

★メキシコの麻薬戦争を描いたドキュメンタリー。内科医のホセ氏が麻薬カルテルに対抗するため市民とともに銃を取る予告編を観て、その行き着く先が知りたくなった『カルテル・ランド』5/7公開

東京国際映画祭のディレクター矢田部さんがツイッターでおススメしていた『殿、利息でござる!』5/14公開

恵比寿ガーデンシネマで〈ヴィスコンティと美しき男たち〜アラン・ドロンヘルムート・バーガー〉と題して公開される『山猫 4K修復版』『ルードヴィヒ デジタル修復版』5/14公開

★突撃アポなし取材がウリの監督の久々のドキュメンタリーはどんななのか楽しみな『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』5/27公開

ピックアップしてみたら、意外と少なかったけれど、4月公開の新作映画で『シビル・ウォー』や『ズートピア』『スポットライト  世紀のスクープ』『アイアムアヒーロー』などまだ観ていない作品が多々あるので、そっちも追いかけたい。

名画座「新文芸座」で観た『ベテラン』&『国際市場で逢いましょう』の2本立てに、映画愛が呼び覚まされた!

4月初め、前から気になっていた池袋にある名画座「新文芸座」に行って韓国映画の2本立てを観た。いつもサービスデーを狙ってはしごするので、1日に同じ映画館で2本観ることは珍しいことではないけれど、名画座は何と言っても料金がお得! 

たいていはロードショウ1本分(1800円)より安い料金で、2本分の映画が観られる。新文芸座の場合は、一般1300円で2本! 館内も新しくてきれいだし、スクリーンも某ロードショー館より大きいので、お得感満載だ。

感動はスクリーンから – 低料金2本立ての名画座 | 新文芸坐

そういえば、学生時代は横浜天王町にあった名画座のライオン座によく通った。おぼろげだけれど、『ロッキー・シリーズ』とか、『スター・ウォーズ・シリーズ』とかを2本立て、3本立てで観た記憶がある。ロッキーといえば、エキサイティングなボクシング映画だけれど、どう見てもイケメンに見えないシルベスター・スタローンが、試合で殴られ腫れた顔で「エイドリアン〜、エイドリアン」と叫ぶ姿になぜかキュンキュンした思い出がよみがえる。

名画座にかかる映画は、いわゆるロードショー落ちと言われ、新作ではなくなってしまった映画だけれど、DVDやレンタルになる前にかかる場合もあるし、その名画座ならではの組み合わせが楽しかったりもする。

新文芸座」で観た『ベテラン』と『国際市場で逢いましょう』は、そういう意味では組み合わせの楽しさで満足感が倍増したと言ってもいいかもしれない。

どちらも韓国映画、しかも主演はどっちもファン・ジョンミン。おまけにどちらの映画にも、助演的立ち位置でオ・ダルスという個性派の俳優さんが出てくる。ふつうだったらあきてしまいそうな気がするが、どっちもテーマは重いのに、くすっと笑いつつ、「えっ、そうくるか」とストーリー展開にうならされ、映画的飛躍で観客を喜ばせる! とにかく観たあとに「おもしろかった」「楽しかった」「この映画を観てよかった」と単純に喜べる映画だったのだ。

ここ最近、話題の映画を観ても心がわくわく動くことが少なく、「私、何でこの映画観たんだっけ?」と自問自答することが多かったので、2本続けて楽しい気分が味わえ、久しぶりに映画愛が呼び覚まされてうれしかった。

ロードショウ公開を逃してしまうと、実はDVDレンタルや動画配信サービスで映画を観ることは結構少ない。ドラマの場合、途中で家事や宅配便で中断されてもあまり問題ないけれど、映画はやっぱり中断されたくないという気持ちが働くのでなかなか手が伸びないのだ。だから、『ベテラン』と『国際市場で逢いましょう』も「新文芸座」で上映されなければ観てなかったかも。。。

新作映画ばかり気にしていたけれど、これからは名画座にも注目しなくては!

ということで、以下に映画の簡単な感想を。

財閥3世を演じた若手俳優ユ・アインの悪人演技が最高!だった『ベテラン

熱血漢のベテラン刑事とその仲間たちが、韓国財閥の悪を暴く! 冒頭から説明的な描写がなく、ぐいぐいストーリーが展開して行く。ハリウッド映画だとあまり出て来ない主演刑事の家庭のやりとりがいっぱい出てきて、それがリアルだし、ベテラン刑事の人となりを垣間見せてておもしろい。アクションシーンもスタイリッシュというより、素手の闘いで痛くて重いけれど、適度に挟まれるコミカルなシーンが緩衝剤になって、まさに「痛快活劇アクション」。監督は、『ベルリンファイル』のリュ・スンワン。DVDは6月発売。いろいろ言ったけれど、家で観てもおもしろいと思う。 

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朝鮮戦争からドイツ派遣、ベトナム戦争の時代を生きた男の物語『国際市場で逢いましょう

釜山の国際市場を舞台にした激動の時代を生きたひとりの男の話。主人公ドクスが、朝鮮戦争興南撤収の際の混乱で父と妹と離ればなれとなり、母と幼い弟妹と共に釜山の国際市場に店を出す叔母のもとに身を寄せる。若くして一家を支えることになったドクスは、お金のためにドイツの炭坑に出稼ぎに行き、ベトナム戦争で民間技術者として働き、何度か命の危険にさらされながら、伴侶を得て子どもや孫と生きる中で、生き別れた妹と再会する姿なども描かれる。ひとりの人間が体験したとしては過酷な運命すぎるけれど、きっとその時代を生きた何人もの物語をひとりの男に体現させたと思えば、さして違和感を感じなかった。韓国で1132万人を動員したという。

釜山に行ったことがあるが、山々に家が張り付くように建っていた。ガイドさんが、朝鮮戦争のときにたくさんの避難民がこの土地に来て、住む場所がなくこのようになったと語っていたが、釜山は港町ということで、町の雰囲気はとても明るく、外へと開かれたイメージがあって、活気が感じられる町だった。

最後、主人公夫妻が屋上から港を見下ろすシーンは、老いた夫婦の後ろ姿の先に近代的な釜山港を映し出していて、じわじわと胸に迫る。

監督は『TSUNAMI-ツナミ』のユン・ジェギュン。東方神起のユンホがベトナム戦争に参戦した、実在する有名歌手、ナム・ジン役で出演していてびっくり。いい味だしてたけれど、現在ユンホは兵役中なので複雑な気持ちにもなった。

この映画はすでにDVD化されている。

ちなみに「新文芸座」は、4月29日〜5月10日まで「魅惑のシネマクラシックスVol.20」と題して、日替わりで『太陽がいっぱい』や『昼顔』、『処女の泉』『チャイナ・シンドローム』『Uボート〈ディレクターズカット〉』などなど23本の名画を上映する。

上映プログラム | 新文芸坐

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