東北大が、初めての国際卓越研究大学に選ばれた。
その内容について少しみてみたい。
計画には、講座制をやめて、教授、准教授、助教がそれぞれPI(研究室の主催者)になって、各研究室を運営するとある。
これは、一長一短があるだろう。講座制のいいところもあるからだ。ちなみに、講座制とは、一つの研究室のスタッフの構成が、教授、准教授、助教(1〜2名)で、これが単位となっている場合のことで、昔の日本の大学はほぼこの形式だった。うまく、研究室の運営が回っていれば、それぞれが持ちつ持たれつの関係で、弱点を補いながら研究を推進することができるし、研究室として、それぞれの教員の専門性を少しずつずらすと、かなり大きな研究分野の確立が、一つの研究室内で確立できることもある。当然、若手は、自分の研究領域よりももっと広い観点かつ、身近に研究を行うことができる利点がある。
一方で、悪い点は、准教授や助教が、若いうちは教授の研究内容に沿って、自分の研究があまりできないこともある点である。しかし、教授の方針によって、自由な研究ができることも多い(ちなみに、私がこれまで所属してきた研究室は、基本的に自分のやりたい研究を思う存分やってください、というところだった。とてもありがたかった)。
これが、各教員が一つの研究室を持つことになると、上の長所と短所が入れ替わることになる。もちろん、東北大の案には、サポート体制もしっかりと充実させるとあるので、研究者同士の横の連携がうまく取れるようにしておくといいかもしれない。
あと、研究結果の発表として、論文数を上げている。
論文数、Top10%論文数、Top10%論文割合、若⼿研究者Top10%論文数、若⼿研究者Top10%論文割合をそれぞれ増加させるとある。具体的な目標数値が見当たらないのだが、あるHPにその数値が載っていた。
news.yahoo.co.jp
この数値が本当かどうかはわからない。
一応、抜粋しておくと、
1)論文数は25年後までに現在の6791本から24000本にまで伸ばす
2)「TOP10%論文数」が25年後には現在の664本から約10倍の6000本にする
3)若手研究者のTOP10%論文は、現在の114本から1140本に増やす。また、TOP10%論文の割合も25%に達する事になっている。
この目標を、講座制の撤廃、若手のテニュアトラック制度を中心にして実現させようとしている。
果たして、できるのだろうか。
実現するためには、シニアな研究者から若手まで、優秀な人材を世界中から集める必要があるだろう。単純に研究者の数を増やしてもダメだろう。実際に、計画には、外国人PIを増やすとも書いてある。
そうすると、給与(年俸)をもっと増やして、それこそ、MITやハーバード大、オックスフォード大など、世界的な一流大学から、研究者を引き抜かないといけないだろう。そこに、優秀な日本人の若手も含めていくことになるのか。
そもそも、ファンドで利益を長期間出し続けることも可能なのだろうか。
何回も書いてきたが、日本全国の大学についての現在の改革を停止し、ある程度各大学に自治権を認めつつ、基盤となる教育研究費は国が出す必要があると思う。