【読書感想】清須会議/三谷幸喜
歴史小説ってのはどうにも苦手で敬遠してたんだけど、この本は三谷作品だけに面白く読めたわ。何しろコトバが現代語風にくだけてる書いてあるところが非常にわかりやすい。昔の武将たちも同じ人間で、悩んだり、迷ったり、落ち込んだり、喜んだり、そんな人間らしさ全開のはずなのに、よくある歴史小説は言葉遣いが難しいから、人間の機微みたいなところは今イチ伝わってこないことが多いんだよね。それをわかりやすく表現するところがさすが。
しかし、秀吉は先見性がすごいね。人心を読む力も段違い。勝負所もわかってるし、作戦も用意周到。目的達成のためならいくらでも嘘をつける。こんなしたたかな野心家は保守派から見ればすごい危険人物なわけで、こんな奴にのし上がられていいようにされてたまるかという思いが強くなるのも当然のこと。でも、秀吉はそんな独裁政治をしたいわけでなく、戦乱の世を終わらせることが世のためだという思いから発動しているところが、なんだかホッとする。また、その辺をさりげなく書くところが嫌みがなくていいよね。
戦国のツワモノが集まって利害調整の会議を行うのだから、生臭くなるのは当然なのに、すべての登場人物がどこか愛すべきキャラクターとして描かれているところが三谷作品ならではなんだろうな。おもしろいよ、ぜひどうぞ。
【読書感想】「Chikirinの日記」の育て方/ちきりん
ちきりんさんの本はとにかく読みやすいのが有り難い。この本も3時間ほどで一気に読了。ちきりんさんのブログ運営に対する考え方をまとめた内容で、人気ブログに成長するまでに起こった諸々への対処について考え方が述べられている。
マネタイズ中心のブログ運営術ではなく、人が集まるメディアとしての信用信頼をどう育てるかという考えが基本になっている。お金儲け以上に大事にしたいことがあるというガツガツしていないスタンスが気持ちいい。ビジネスの成功事例でも「お役立ち」を第一に考えていたら、結果的にお金がついてきたという話しをよく聞くが、これに近いのかもしれないね。
『「Chikirinの日記」の育て方』相変わらずの読みやすさで一気に読了。http://t.co/y47KERBH40
— come-backer (@come_backer) 2013, 11月 24
コーチング勉強会に参加してみた。
人材育成の手法としてコーチングが注目されはじめてから、ずいぶん経つと思う。私も3年ほど前に半年ほどトレーニングに参加したことがある。あれ以来、特にこれといった活動はしていなかったが、今回1日勉強会があるというので久しぶりに参加してみた。
午前の部は、企業経営者でもあるコーチングトレーナーからの講義。場を暖めるために受講生同士のハイタッチからスタート。見知らぬ人ばかりだったが、これで一気に距離が縮まったような気がする。講義は哲学的なことが中心で、すべてにおいて「何のために」を考えることが基本になっていたようだ。講師の「人間にとって一番愚かなことは意味を失うこと」というコトバからも、意味付けが自主的に行動するためのモチベーションとなり、流されない強さを持つことができると伝えたかったのだろう。
午後の部は、メイン講師からコーチングの要素や仕組みなど専門的な講義があり、コーチング実践。クライアントが話す時間は3分。その後に要約、承認、拡張質問をするのだが、これをやろうと思って話しを聞くと異常に頭が疲れる。正しくコトバを聞く、ポイントになるキーワードをひろう、身振りや表情の変化にも気を配る、相手の状態がよくなるための質問ポイントはどこなのかを探る、この他にもやるべきことは沢山あるんだろうが、これだけでもお腹いっぱい。クライアント3人しか相手してないのに、終わった後は頭がぼーっとなったよ。
他のコーチを見ていると、私とは違うポイントを拾って質問してる。当然クライアントの反応も違って、別の道に向かって話しが進んでいく。その行き先の善し悪しはわからないが、クライアントの行き先はコーチ次第なのかと思うとちょっと怖い面もある。
そういえば、この「質問」について気づいたことがある。クライアントが変わって違う話しをしているにも関わらず、前のクライアントで拾ったポイントと同じようなところを質問していた人が多かった。これはきっと聞き方の癖だと思う。自分の型があって、そこに人の話しをあてはめながら聞いてる。おそらくコーチ初心者ほどいつも同じ型しか使えなくて、上級コーチはクライアントのタイプによって型を使い分けて、クライアント中心のコーチングができるということなのだろう。本日の研修で、簡単に習得できるもんじゃないなっていうことがよくわかりました。
こんな奥の深いコーチングですが、マネジメント層は特に仕事で重宝する技術なので、学んでみてはいかが?
【読書感想】月魚/三浦しをん
古書業を営む幼馴染の若者ふたりのお話。幼少期に起きた事件が二人の関係を難しくさせ、惹かれあいながらも適度に距離を保ち続ける。
何かが壊れてしまうのを恐れて、核心に踏み込まない関係性がもどかしい。こう書いていると男女間の恋話のようだが、この若者二人はどちらも男性。
そちらには興味がないのでスルーだけど、古書の目利きを発揮する場面が感動もので、クライアントの気持ちに寄り添う仕事ぶりは、仕事論としても読める一冊かも。
杉山愛さんが長崎大学リレー講座2013に登壇!
杉山愛さんの公開講座に参加してきたのでまとめなど。
長崎大学の紹介ページはこちら=>「夢をかなえる生き方/杉山愛」
- アウェーをホームに変える
アウェー感やその国が嫌いという負の感情を抱いてプレーするよりも居心地のよさを感じてプレーする方がいい結果を生む。だから、その国をいいところを見て、好きになるようにしている。郷に入っては郷に従えで、その国の文化に自分が合わせていくことがうまくいくコツ。 - スランプが変わるきっかけに
25歳、大スランプに陥る。これを機に「上手くなる」の一心だった自分から「自分探し、自分磨き」に考え方が変わった。救ってくれたのは母の一言「ここで辞めたら、他のことをやってもうまくいかないんじゃない?」 - どうとらえるか
一流選手は考え方がポジティブでプラス思考。対戦相手が打ち込んでくる難しいボールでさえも、「自分の苦手を教えてくれる先生」と考えるという。現状に甘んじることなく、常に前進することに貪欲なのがトップ選手の特徴。 - パートナーの決め方
ダブルスのパートナーは、勝てる人ではなく、一緒に居て楽しい時間を持てる人を選ぶ。チーム力が発揮できる温度感を保ち続けるには、気心の知れた信頼できる人である必要があるから。難しい課題についてとことん話し合っても関係が壊れない、それが大事。技術よりも相性を優先。 - 基礎練習が技術の幅を広げる
客席からの質問「僕は基礎練習が嫌いですが、どうしたら好きになれますか?」に対する回答。基礎練習を繰り返すと、いつしか意識せずともカラダが動くようになる。意識は別のアクションに向けることができるから、プレーの幅が広がる。そうなったらいいと思わない?考えずにできるようになるには1万回の繰り返しが必要と言われているから頑張りましょう。 - 子供は社会からの預かりもの
客席からの質問「母親への思いについて教えてください」に対する回答。母親は、子供は社会からの預かりものと考えているので、適度な距離感を持ち、私物化しない人。それがよかった。愛情深さと客観を持ち合わせる稀有な人。 - 遊戯三昧(ゆげざんまい)
禅のことばで「することを楽しむ」という意味。ものごとは受け止め方次第。ハードな状況でも、このことばを思い出してスイッチを入れれば、風景が変わる。楽しんでやっているうちに、困難な状況もいつの間にか乗り越えられているものだと思う。 - 自分の得意なところを再確認する
周りがツワモノばかりに見えて自信を失いそうになるが、自分を疑えばもう戦えない。だから、自分の得意なところに注目して、それを自覚することで気持ちを整える。ひとりでは戦えない。支えてくれる周りのサポートが重要。
杉山さん、とても美人で爽やかな感じに溢れた方でした。フットワークとバックハンドが武器だと聞いてますが、それ以上に多くの人が好印象を抱くであろう立ち振る舞いこそが、杉山さんの一番の武器だなと思いましたよ。素敵な時間でした。
【読書感想】未来の働き方を考えよう/ちきりん
高齢化、グローバル化、世の中は大きく変わっていくのだから、職業人生に対する価値観も変わるのが自然じゃない?今の時代をよく見れば選択肢は沢山ある。だから今こそ考えてみようよ。ちきりんさんの主張はこういう感じかな。
会社に所属すれば毎月給料がもらえて生活が安定する。だから、多くの人がこの生き方を選び、そこに居続ける努力をする。もちろん、生活のためだけに仕事しているわけではないけれど、これも外せない要件のひとつであるのは間違いない。だからこそ、本意でなくても我慢して、自分をごまかしながら、やり過ごしたりしているわけだ。
でも、職業人生の選択肢を増やせる時代になったことを知らされた今、新しい道を考えずにはいられないなー。なかなかの罪作りですな、ちきりんさん。