1.組織とは
組織論概論の第1回目は「組織とは何か」ということです。
組織とは何か。それを学ぶのがここの役割です。
一般に、組織をイメージする時に出てくるキーワードは何でしょうか。まず「人」がいるということではないでしょうか。人がいないのに組織は成り立たない。そんな風に考える方が普通だと思います。
今、普通と書きましたが、組織論の理論体系では、組織を考える際に、(―組織を定義する際にー)、人は入らないのが普通です。
もっとも著名な組織の定義は、下記に紹介したチェスター・バーナード著『経営者の役割』に係れている公式組織の定義です。この定義は、次のようになります。
公式組織とは、
「二人以上の人びとにより意識的に調整されて諸活動および諸力の体系」
である。
- 作者: C.I.バーナード,山本安次郎
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すなわち、組織は人から出来ているのではなく、人びとが提供する諸活動や諸力によって形成されているのだということです。
言い換えれば、諸活動や諸力の体系が変わらない状態であれば、人が変わっても、組織は変わらない、ということです。
この文章をお読みの方なら、これまでの人生のどこかで、ご自身が所属していた組織をやめて、新しい組織に所属した経験があることでしょう。例えば、新卒で入社した会社をやめて別の会社に就職したとか、脱サラして自営業を始めたとか。もっと若い方なら、小学校を卒業して、中学校に入ったとかも、ある組織から別の組織に移った経験にあたります。その際、元の組織はどうなったでしょうか。あなたがいなくなって潰れてなくなってしまいましたでしょうか。今もなお存在し続けているでしょうか。存在しているというのは、諸活動や諸力の体系が維持されているからなのです。3月に小学校や中学校を卒業しても、4月に新しい新入生が入ってきます。これにより、学校という組織は継続していくのです。誰も入学して来なくなると、やっかいな問題が生じます。それは、教える対象が不在になるからです。
と、このように考えると、会社や学校、病院においてその組織が存続し続けているのは、人がいることが問題ではなく、参加者が活動を維持することが重要な問題だということなのです。
次回は、どうしたら組織の活動を維持できるのかを考えます。(2018.09.02)