横田増生 潜入ルポamazon帝国

ユニクロへも潜入取材している著者のamazon潜入第二弾。

物流拠点のamazon FCにおける労働環境や待遇面だけでなく、amazonのビジネスモデルを支える節税スキーム、マーケットプレイスAWS(Amazon Web Service) 、出版社との直接取引についても詳述。

人材獲得が困難な時代、分業化/単純労働化により欠員や需要の多寡に柔軟に対応していくのは、非常に合理的であるが、その一方で、末端の労働者の個々人の性質(性格、業務処理量能力、やりがい)は軽視(無視)している。amazonに限ったことではなく、単純労働とはそもそもそういうものなのかもしれないが。日本に限らず、出る杭は打たれる、という風にも読み取れる。

非常に興味深いのが、amazonの(税制上の)本社があるデラウェア州では売上(消費)税には非課税(通常5-10%程度)であり、フォーチュン500の6割以上の本社所在地であること。その他、米国において法人税は掛かる、トランプ減税で21%。ヨーロッパではルクセンブルクに利益を還流して節税。日本法人は、米国本社の補助業務を受託しており、売上の10%程度を手数料として受取るのみ。従って、日本においては他社と税率は同一であるものの、法人税の納税総額は圧縮されている。

思い出されるのが、ソフトバンクの節税。株式投資の観点からは、節税で得た現金を投資して成長を加速させて、同業他社を圧倒することができる企業であり、重要な観点かもしれない。

ロバート・A・ハインライン 夏への扉 新訳版

SFの重鎮であるロバート・A・ハインラインによる、猫と発明家の僕そして彼らを取り巻く人々のお話。

驚くのはこの小説が発表されたのが1956年であること。その時点で1970年、2000年のリアリティある世界を構築していること。

序盤の不可解な現象が、その後タイムトラベルによって引起こされることが判明するのだが、自分の過去の体験を改変しないように行動しなくては、というのが少し気に入らなかった。個人的にはそうする以外に選択がなく、結果的に後から考えてみると辻褄が合っている、というのがスマートで好きなんだけど。

長友佑都 日本男児

明治大学からJリーグ特別強化指定選手、FC東京北京オリンピック代表、日本代表、そしてチェゼーナインテルとサッカー選手としてのキャリアを5年あまりの間に駆け上った長友選手の半生を綴った自伝。

”闇雲に努力するだけでは、成長できない。”

本書にあるこの言葉のように、自分に足りないものを冷静に分析し、理詰めで目標に到達する。長友選手の活躍の裏に潜む考え方は多くの人が共感する内容だと思う。満足してしまったら成長はとまってしまう、感謝の気持ちを忘れない等のことを守り大事にし続けている。彼にはもともと力があるから、それらの考え方を信じ続けてこれたのか。それとも信じ続けてきたからこその今があるのか。

いずれにしても自分の力の不足を認めず、考え方の方を否定していたのは自分の甘えなのかもしれない。